~エミヤ視点~
黒い風が吹きすさび、私の命を奪いにかかる。
その度に私は剣を振るって風の方向を替える。
そこで出来た隙を突こうにも宙に浮いている以上取れる手段は弓があげられる。
しかし剣を手放す訳にいかない以上攻撃手段が限られる。
既に戦いは三十分はたっているのだろうが、千日手になっている以上簡単には決着が着かない。
「まったく……面倒くさい剣ねぇ!」
「そちらこそ、当たり前のように浮いているがそれだけで近距離型の戦闘スタイルのものならば詰んでいるだろうに」
実際にノーネームで遠距離の専門は居ないのだから難しい部分があるだろう。
ギフトを奪われる前の十六夜なら、ジャンプで襲いかかってギフトを破壊しながら殴りかかるくらいしそうなものだが。
「私は見ての通り可憐な少女の魔王よ? 熱っくるしい殴りあいならヴェーザーかシュトロムに任せるわ」
たしかに可憐ではあるのだろうが、自分で言うのはどうなのだろうか。
「まぁ君のようなのが殴りかかってきたら度肝を抜かれるのは間違いないな」
「それは同意するわ」
「だが、空を飛ぶならスカートをやめるか、黒ウサギみたいに中が見えないギフトをつけてくれると助かる」
「黙りなさい
怒りと共に今まで以上の黒い暴風が吹き荒れる。
「くっ! その不名誉な呼び名を訂正するんだ!」
「嫌!」
「くっ。不味いな、味方を待つ作戦が使えなくなるとは。さすが魔王!」
「そんなことで魔王と呼ばれるのはすごい不本意なんだけど!?」
「……仕方がない。ここから先は私に攻撃が当たるとは思わないことだ」
手に握っている剣をギフトカードのなかにしまい、一振りの聖剣をイメージする。
「
あまり派手ではないが、黄銅色の柄に剣先の膨らんだ少し幅の広い聖剣ーーアスカロン。
「あら、竜殺しじゃない。私は見ての通り竜種じゃないわよ?」
「いやまあ、癖っ毛があるだけとか、角が生えてるからとか、竜の血を浴びたとかで竜種の能力を獲得したものもいる。見た目だけでは判断できんよ」
これを彼女に聞かれたらきついお仕置きが待っていそうなことを考えるとぞっとするが。
「まあ、この剣は確かに竜殺しだろうが、それ以外にも能力がある」
「へぇ、知らなかったわね。どんな能力なの?」
「言うわけがないだろう? だがまあすぐに分かる」
私は宙にいる魔王に向けて跳躍する。
そして空中に剣を投影して足場にしながらペストに肉薄する。
それをペストは黒い暴風で迎撃する。
しかし黒い風はもはや私に触れることはない。
そしてそのままペストを袈裟斬りにする。
この戦いが始まって以来の有効な攻撃だが、魔王は一瞬で復元する。
「なかなかに驚かせてもらったけれど、
次は星を砕く一撃を用意して来なさい!」
ドゴッ!
剣を振り抜いた私は、ペストの無造作に振るわれた腕を躱すことができずに地面に叩き落とされる。
「ゴホッ! まったく手厳しいものだ」
「随分と頑丈じゃない。私みたいな少女に強引に近づいてくるロリコンの癖に」
パチパチとペストがてを叩く。
確かに常人なら重症だっただろう。
「これでも英霊の末席を汚していたのでね。……あと、ロリコンはやめてくれ」
「へぇ、貴方一足先に同士にならない? そしたら待遇も変えてあげるわ」
「魅力的な誘いだが、私達を負かしてからにしてもらいたいな」
「あら残念」
もとから期待はしていなかったのかあまり残念では無さそうに言う。
「そちらの誘いを断っておいてなんだが、一つ契約をしたい」
「随分と無礼ね。でもまぁいいわ」
「このゲーム、私達が勝利した場合は間違いなく君は私達かサウザンドアイズに隷属することになるだろう」
「別に、それがどうかしたの?」
「その場合には、条件付きとして君の同士も呼び出せるように掛け合う代わりに、君達が勝利した場合でも、太陽神とその同士以外の者はそちらから襲わないという契約はどうかね?」
「随分と優しいじゃない。もしかしてヒーロー気取り? 割りに合わないわよ?」
「クク。それは身に染みて知ってはいるが、性分でね」
肩を上げておどけながら言う。
「それに、ここは暇をもて余した強者の遊技場だ。生前の分まで遊ぶ方が楽しいだろう?」
「ふふふ。魔王相手にそんな取引をするなんて馬鹿ね」
ペストはよほど面白かったのか、黒い風は自身の周りに纏うだけに止まっている。
「いいわ。約束しましょう。私の敵は怠惰な太陽とその仲間。代わりに私の仲間は私のものね」
「ああ。これでも交渉材料なら事欠かない体質でね」
贋作だとしても買い手にはことかかない。
その金を取引にでも使えば良いだろう。
「さて。貴方も英雄の末席なのだから、強力な
その言葉と共にペストの神霊としての霊核が解放される。
「私は“グリムグリモワール・ハーメルン”黒死病の魔王ーーペスト! さぁ、存分に苦しませてあげるわ!」
~エミヤ視点終了~
エミヤ「アスカロンは竜殺しの逸話が有名だが、危険を持ち主から遠ざける無敵の剣でもある。実に強力な聖剣だ」
光一「真面目な話をしても無駄だロリコン」
エミヤ「くっ! 貴様こそ小学生並みの外見の妻に、精神年齢十歳以下の妻に、もう一人いるハーレムを築いた変態だろう!」
光一「それがどうした! 俺はそんな事言われなれている!」
エミヤ「くそっ! 開き直った馬鹿を言い負かすことは出来ないのか!」
光一「それに、お前の義姉も幼女だろうが」
エミヤ「イリヤを相手に恋愛感情は……」
光一「異性として見たことがないとでも?」
エミヤ「それは女性だから、ないとは言い切れないが」
光一「『可愛い女の子なら誰でも好きだよ、オレは』とか、言い出してるのにか?」
エミヤ「くっ! ならばいっそ開き直ってロリロリハンターズでも立ち上げてやる!」
レティシア「……エミヤには近寄らないよう子供達に伝えなければな。いや、私も常に大人の姿でいるようにするか」
エミヤ「弁解をさせてくれないか?」
レティシア「ロリロリハンターズやらだろう? しばらく話しかけないでくれ」
エミヤ「ぐはっ!」
光一「哀れだ。身から出た錆と言えばそうなんだがな」