英雄の箱庭生活   作:英雄好きの馬鹿

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 こんにちわ!

 久しぶりです!

 だいぶ間が空きましたがこれからは前のペースに戻れるといいと思います!

 何が起こったかについては小説家になろうの方の活動報告に書いてあります。

 気になった人はぜひ見てくださいね。




〜エミヤシロウ視点〜

 

「では実技の試験の開始だな佐藤光一! 行け! 『赤原猟犬(フルンディング)』!」

 

 私が『赤原猟犬(フルンディング)』の真名開放をしようとした瞬間から、弓が発射されるまでの間に佐藤光一は指を弾き能力を使用する。

 

「『紫煙地獄(ヘビースモーカー)』!」

 

 いきなり辺り一帯が臭くて黄色い煙が当たり一面を覆いつくして辺りは何も見えなくなる。

 

 しかし何の冗談だ?

 

 なぜその場から動かない? 距離が変わっていないのであればさすがに見続けることくらいは出来る。私は千里眼を持っているしな。

 

 何か防御の手段でも持っているのか? 『熾天覆う七つの円環(ローアイアス)』ならば防ぎきれるだろうがそんな盾を持っている人間が何人もいるとは思えない。

 

 ……まさか生易しい攻撃だとでも思っているのか?

 

 私は若干あきれつつも、気を引き締めて弓に番えた『赤原猟犬(フルンディング)

を人影に向かって放つ。

 

 『赤原猟犬(フルンディング)』は一直線に佐藤幸一の元へ向かっていくと一度も速度

を緩めずにぶち当たる。

 

 体ごと吹き飛ばすと遠くのほうへ消えていった。

 

 あれでは助かりようがあるまい。

 

 あっけない終わりだ。

 

 まあマッハ十を越すような矢だ。十メートルも離れていない距離でかわせるはずがないししょうがないのだろう。

 

 ありえることのないはずだった来客はおそらく助からないだろうがそれは自業自得だろう。

 

 心の中でつぶやいて弓を消す。その瞬間にぱちん! という音がする。

 

 まさかあれを食らって生きているというのか?

 

 そして一瞬の内に白い壁で四方八方を覆われる。半径一メートルも幅がなくて狭い。高さは五メートル程度だろうか?

 

「ようこそ俺の『無能箱庭(アルカトラズ)』へ」

 

 声が聞こえたほうに干将・莫耶を持って構えようとするが出てこない。

 

 気づいたら頭上にだけ穴があり、佐藤光一はそこから私を覗いている。そして自信満々の顔で話し出す。

 

「『無能箱庭(アルカトラズ)』はもともとキャンバスで書いたとおりの異空間を造り出す能力なんだ。そしてその空間ではどんな異能も使うことが出来ない。欠点としては俺が使うと実物の十倍のサイズで書かなければいけないって事だが、そんなことは問題じゃないだろ?」

 

 実物の十倍のサイズで書けば異空間を作ることが出来るのか。便利なのか不便なのか良く分らん。

 

 だが使えることは確かだな。今こうしてつかまっているのがいい証拠だ。

 

「しかしキャンバスがあるようには見えないのだが? しかも書くだけの時間もない」

 

「ああ、だからお前の能力を使わせてもらった。その物体を作り出す能力でな。俺が使えば劣化して能力を持った剣なんて作れなくて日用品が限度だと思ったんだ。でもこの場合は十分だろう?」

 

「しかしどこに書いたのだ? この空間は見たとおりどこまで行っても真っ白なんだ。何か書いたら分ると思うのだが? 何か異能でも使ったのか?」

 

「コピーはしてるが使ってないぜ? …………というかそんな便利に使えないしな。実際は真っ白い物体で真っ白い紙に書けばこの真っ白い空間じゃ見えないだろう?」

 

「はあ……それにしても私の能力のコピーでコレか。その能力は本当にコピー能力か? 劣化がひど過ぎる。剣を作るでもなくやったことがお絵描きとは」

 

「っく! 良いんだよ! どうせそれしか出来ないんだからな!」

 

 劣化がひどいといった瞬間に激しくうろたえる。自分でもひどいと分っているのか。

 

 しかも自分の能力まで教えているようなものだ。私が言えた事じ44

ゃないが。

 

「つまりお前の能力は劣化コピーか。酷い能力も在ったものだな」

 

「俺は頭を使えば勝てるからいいんだよ!」 

 

 精一杯の強がりを言っているようだ。激しくうろたえている。

 

 見ていると少し哀れになってくるな。

 

「一つ聞いても言いかね? 能力を消す能力として発動しているならお前も能力を使えないだろう?」

 

「俺が使った場合は異空間なんて作れないからな。だから能力が使えないのはその白い壁の中だけだ」

 

 ふむ。なかなかいい戦法だな。自分は能力を使える状態にして相手は使えなくする。

 

 弱者にとっては当然の戦略だな。おそらくこの男も一歩間違ったら自分が死ぬ戦いなんてざらなのだろう。

 

「もう一つ聞いて良いかね? 自分の攻撃が防がれた理由が知りたい」

 

「あの視界の悪さなら気配やら音やらを頼るしかないだろう? だから気配だけ伸ばした案山子を作り出す能力で作ったダミーなら騙せると思ったんだ。それで『飛燕(トニー)』で空中に浮かんでいれば俺自身は音を立てないからな」

 

「なるほど。確かにあの視界の悪さでは気配ぐらいしか頼るものがないからな。お前の能力は性能を一つだけオリジナルに近づけるか、または超す性能にまで上げる能力のようだな」

 

「ああそうだぞ。もっとも今はオリジナルにち近づけただけだがな」

 

 『飛燕(トニー)』とはおそらく宙に浮かぶ程度の能力だろう。

 

 そして今度はさらに高い位置までふわりふわりと飛んでいく。

 

 それにしても魔術を使えないことはあったが封じられることは無かったな。

 

 しかし私がこの状況で落ち着いているのは理由が二つある。

 

 一つはおそらくこの空間では佐藤光一も能力を使うことが出来ない。

 

 だから攻撃される心配は少ない。

 

 今佐藤光一が居るのは十メートルほど上の空間だがそのくらいなら受け止めるくらい出来るだろう。

 

 もう一つはさっきからこの男から殺気を感じない。

 

 最初に言ったとおり殴るだけなのだろう。

 

 甘い男だ。

 

 しかしそういう考えも嫌いではない。もともと私もそうだったしな。

 

 まあもっとも手加減する気もないがな。

 

「いくぜ! 『超越者(ギガ)』!」

 

「今度は何かね?ライダーキックでもするのかね?」

 

「ま、まあ似たようなものだがかっこよさが違う! 『滅殺流星脚(メテオブレイクストライカー)』!」

 

 そういいながら右足を突き出しながら普通に落ちてくる。

 

 痛い名前だな。というか普通に落ちてきてるだけじゃないのか?

 

 しかし白い壁の境界線の中に落ちてきたときにいきなり速度が上がりだす。

 

「くっ!」

 

 それを何とか逸らそうとするが失敗して肩に少し食らってしまう。

 

 そして佐藤光一は能力を白い壁を作りだす能力を解除しながら後ろに飛んで私から距離をとる。

 

「……驚いたな。まさか空中で能力を解除されながらも加速するとはな」

 

「簡単な能力の応用だぜ? 今使った『超越者(ギガ)』って言うのは身体能力を三つまで二十倍にする能力なんだが俺の場合体重しか上げられない! しかも十倍まで重くなるから地上では動けないくらいだ」

 

「………………そんな能力に使い道があったとは」

 

「こんな場合でしか使えないけどな」

 

 戦闘に活路を見出す心眼も全く知らないことには対抗できない。

 

 佐藤光一とは相性が悪いようだな。

 

「重くなっていたということは、落ちる速さは重くても変わらないことに加え、いきなり軽くなることによって重かった時のエネルギーが運動量に変わって速くなる、ってとこか?」

 

「そんな硬っ苦しいもんじゃなくて単純に能力が解除されるって事を忘れていただけなのだが…………」

 

「…………」

 

「……考えたことが無駄になってすまん」

 

 まさかあれが偶然の産物とは。私の幸運値が低いせいか? 幸運Eランクはだてじゃない。

 

「ふむ。偶然とはいえ私に一撃入れたのはすばらしいことだな」

 

「ほめられても嬉しくないんだが…………」

 

「で、私としては実力も見れたからもう十分なんだが、まだ戦いたいかね?」

 

「俺も貴様が戦わないなら別にかまわないが。この後三つくらい本気で策を考えていた身としては複雑だな…………」

 

「三つも考えていたのか。見た目の馬鹿さの割りに本気で頭はそこまで馬鹿では無いらしいな」

 

 見た目は足まで覆う長く黒いコート、片方だけの手袋、人工的に脱色した銀髪その他もろもろ何をとっても痛い。

 

「このかっこよさが分らんとは! もっと聖典(ライトノベル・漫画)を読め!」

 

「別に否定しているわけではないのだが……。生前も今もそんな趣味は無くてな」

 

 というか格好の事になったらいきなり怒り出すなあ。

 

 そこでふと思い出す。

 

「お前は私にキレていなかったか?」

 

 佐藤光一は、満足そうにうなずいている。

 

「何がしたかったんだまったく……」

 

「ああ、アルカナからの手紙である程度のことは書いてあったしな。助け方は気に食わないが頑張ったのは事実だ。認めてやらん事もない」

 

 認めてやらん事もない、ってどれだけ上から目線なのだこの男は。

 

 ギルガメッシュと違って高慢なわけではないが崇められるのに憧れているのだろう。

 

 しかしその態度が全て作ったものだから普通に……いや少し痛い奴を相手にするように生きてきたのだろう。

 

「俺もこの後どこに向かうかは分らんがそこではこの五十六億の世界を救った男が手助けをしてやろう」

 

「ほほう。劣化コピーでも役に立てる場所であるといいがな」

 

「俺にだってまだ隠しだまはある! 今の戦いくらいでなめるな!」

 

「そりゃあ私にだってあるさ。こんなところで使うのも馬鹿らしい」

 

「くっ! そ、そういえば俺が蹴った肩は大丈夫なのか? ささやかな効果でよければ回復用の能力でも使うが?」

 

 明らかに話を逸らしているのが丸分りだな。これ以上劣化と言われたくないのだろう。

 

「それは必要ないが……ふむ。自己紹介がまだだったな」

 

「手紙に書いてあるから別に大丈夫だろう?」

 

 少し不思議そうに言う。

 

「いや、私はそういうマナーにうるさくしつけられたのでね。私から名乗っておこう。エミヤシロウだ。出来る事は武器の複製の魔術だ。死んでいる身だがよろしく頼む」

 

「ふっ。エミヤか。俺は佐藤光一だ。光一で良い。異能は劣化コピーだ。よろしく」

 

 少しだらけながらの戦いだったが別に実力も測れたし問題ないだろう。

 

 殺してしまったら守護者もやめられんしな。

 

 この後どこに行くのかは分らないがそこではちゃんと『正義の味方』が出来たらいいと思っている。

 

「出立する事になったらこの手紙を開けてください。という手紙を預かっている。もうあけていいか?」

 

「ああ。別に持ち物も無い。いつでもかまわない」

 

「では行くぞ。――――あれ? 何だこれは。魔方陣?」

 

 不思議そうに首をかしげて私のほうを向く。

 

 そしてその瞬間に爆発的な光が見え始める。

 

 驚いた様子だが問題ないだろう。

 

「出発のようだぞ? 異世界に旅立つ準備は十分か?」

 

「ああ、ここも異世界だしな。いまさらなんとも思わん!」

 

「では行くとするか」

 

 私達はそういって光に包まれて消えた。

 

 〜エミヤシロウ視点終了〜

 

 

 

 

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