~光一視点~
剣が突き刺さった荒野が、元の景色に戻った。
ベディビエールとアーサー王は毅然と立っているが、エミヤは満身創痍のようで片膝をついて油汗を大量に流している。
俺はハロウィンにささげた代償が戻ってきてはいるが、あばらが何本も折れている。
全員無事なようだ。
「とりあえずみんな無事にゲームクリアできたな。エミヤも俺も大した怪我はないし、そこの二人も平気そうだ」
うん。
なかなかいい結果に終わったと思う。
「ちょっとまてええええ!」
少しうるさい声が聞こえてくる。
「完全に僕のことは勘定に入ってなかったよな!? オマエ!」
「あ、元気そうだな」
「元気そうだなじゃない! 大口叩いてた割に序盤で潰れて寝こけてた奴が言うな!」
うん。やっぱり元気そうだ。
「とりあえずこれで両チームゲームクリアだろう?」
「無視するなよ。あと説明をしろ。僕はどうなったのか未だに分からないぞ!」
「おいおい、ちゃんと見とけよ。それでもリーダーか?」
「ああ、もうお前には何を言っても無駄なんだな!? オーケー次はお前を倒してやる!」
「あー、聖者の墓」
パチン。
劣化した悪魔の奇跡を使い、ルイオスの足だけを動かせなくする。
こいつが満身創痍でなかったら簡単に振り払えただろうが、今のルイオスは悲しいかな、顔面から落ちることになった。
「殺す! ころしてやるう!」
鬼の形相にゆがむルイオスの前に言って説明をする。
「とりあえず、盾はエミヤが世界を整えて、ベディヴィエールが武器を提供して、俺とアーサー王で壊したから全員でゲームをクリアしたわけだ。つまり全員勝ち。ほら」
ちょうどいいタイミングで降ってきた
そこにはちゃんと全員の名前が入って勝利となっている。
「くそっ! 無駄に結果だけ出してくる……!」
「だからまあ、全員勝ちだ。鞘はアーサー王の手に戻るし、お前はゲームに勝つことでヘパイストスの恩恵をもらえる。さらにベディヴィエールはクイーン・ハロウィンに紹介してもらえる。いいだろ?」
「くそ、好きにしろよもう」
そう言ってルイオスは黙った。
完全にふてくされてるなこいつ。
いじり過ぎたか。
視界の端ではアーサー王がベディヴィエールに聖剣を返していて、エミヤも立ち上がっていた。
「光一、魔力切れで少しふらつくから肩を貸してくれ」
「おう」
返事を返してからエミヤのもとに向かって肩を貸した。
瞬間。
俺は何故か空を舞っていた。
どしゃり。
「おい! なにすんだよ!」
「こっちの台詞だ戯け! またお前は独断で動きおって! 今回はうまくいったからいいものを……」
その後三十分くらいかけてエミヤに説教される。
まあ、確かに何も伝えずに動いていたからしょうがないなあ、と思いつつ怒られ続けていた。
※※※
「あんたも行くのか?」
「ええ、私の目的は果たされましたから」
ゲームが終わって三日後、元の世界に戻るらしいアーサー王に声をかける。
見送りに来たのはエミヤと俺だけだが、数が居れば良いというものではないと思う。
「ところで君の目的はなんだったんだ? 唯の酔狂で鞘をかけるなどとは思えないのだが」
「ええ、悪戯好きな老人に少しだけ手を貸して欲しいと頼まれましてね。それに、私も無関係の事では無かったですから」
「ほう。やはり君は初めから彼のために動いていたのか。それにしては敵対するとは少々回りくどくは無いか?」
エミヤの言葉に、アーサー王は図星を疲れたように目を背ける。
怪しい。
俺もエミヤもジト目で見つめる。
「それがですね。この世界に来てみたは良いものの、ベディヴィエール卿がどこに居るのか分からなかったんです。そこでとりあえずゲームに参加していたところ、ヘパイストスに敗れてしまい……」
「聖剣の鞘を賭けてゲームに参加し続けていたのか? それは間抜けすぎるだろう」
「いえ、ヘパイストスとの三回目の勝負までは賭けてはいません!」
「負けず嫌いも程ほどにしろ、セイバー」
なんか、ギャンブルに負け続けてる人みたいだな、アーサー王。
「なんですか、その呆れ果てたような顔は!」
「実際しょうもないし、途中から目的忘れてるしなあ」
「ほう、私と戦いたいということですか? コーイチ」
「いえ、なんでもないです」
笑顔で首に剣を突きつけられて黙らされる。
そんな姿を見てエミヤがやれやれといわんばかりに肩を落とす。
そしてギフトカードから大きな包みを取り出す。
「はあ。君はこの後にまだ待ち続けるのだろう? ならばこれをもっていけ」
それをアーサー王に手渡す。
「日持ちのするものを入れておいたが、今日中に食べるといい。君ならば二食で丁度良いだろう?」
「アーチャー! 私を食いしん坊みたいにいわないで下さい!」
「ではいらないかね? 重箱三段分なのだが」
「それはいただきます」
真顔で即答するアーサー王。
十分腹ペコキャラな気がするが、首が飛ばされては叶わないので黙っておく。
そんなやり取りをしているうちにアーサー王が出発しようとしていた時間になる。
「では、これで私は行きます。お元気で」
「ああ、正直何と送り出せばいいのかは分からないが、達者でな」
「ああ、また縁が有ったら会おう」
「ええ、その時は士郎も連れてきましょう」
「それは止めてくれ」
「ふふ。それでは」
そう言って騎士王はアヴァロンへと帰還した。
そして彼女は思い人を待ち続けるのだろう。
~光一視点終了~
光一「二巻と三巻の幕間もこれでようやく終わりだな」
エミヤ「ああ、長かったような短かったような、不思議な感じだな」
光一「でもまあ、ベディヴィエールを書きたいと思ったから書いてたのに、気が付いたら影が薄くなってたんだと。実力不足過ぎるよなあ」
エミヤ「全くだ。そんなこんなしているうちにクロスしている作品が全部終わってしまうんじゃないか?」
光一「それは目も当てられないな」
エミヤ「それはそうと、バカの友人からプレゼントが届いている。小説のあらすじのところに乗せておくから気が向いたらぜひ見てくれ」
光一「活動報告にも書いておくから、気が向いたら絵を描く依頼でも出してやってくれ」