英雄の箱庭生活   作:英雄好きの馬鹿

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私も年がいなくはしゃいでしまった。……しかし光一の反応は芸人並みだな。

 〜引き続き光一視点〜

 

 そのまま数キロほどジェット・エミヤ・コースターに揺さぶられていると川が見えた。

 

 そして逆巻く水。

 

 

 

 

 荒れ狂う風。

 

 そびえ立つ木と同等の大きさの大蛇。

 

 大蛇に相対しているヘッドフォンをした少年。

 

 腹の中からこみ上げて来る感覚。

 

 ヘッドフォンをした少年を見つけた瞬間にエミヤは俺を落とす。

 

 何だこのびっくり空間は! ついでに腹の中の物が出そうだ!

 

「俺を殺す気か! もう少し安全運転してくれても良かっただろう!」

 

 途中で跳躍したりジグザグに走ったりはいらなかっただろう!

 

「ああ、生身の肉体も手にいれたようなのでな。重いものもあったからトレーニングをしていた」

 

 エミヤは皮肉げな笑みを浮かべてなんの悪びれもせず言う。

 

 そういえばアルカナの手紙に書いてあったな。確か英霊とかいうやつで体がなかったんだっけ?

 

 それだったら少しくらいテンションが上がって体を動かしてしまっても……いや、俺でやる必要は無いな。

 

「一瞬騙されそうになったけど違うだろッ! とりあえず謝罪の言葉を要求する!」

 

「何に騙されそうになっているかも分らんのだが…………」

 

 エミヤは心底あきれた表情をしている。

 

 なんか空気がかわいそうなものを見る感じになってきた。

 

 ………………話を変えるか。俺はこんな経験何度もあるから耐性がついてるんだ! いやきっとついてるんだ! この空気に耐えられないわけじゃない!

 

「ま、まあ、それは後でいいがこの状況をどうにかすればいいのか?」

 

「何を言ってるんですか! あれは神格持ちの蛇神様ですヨ! そう簡単にどうにかできるものではありません!」

 

 さっき出会ったうさ耳の人がありえない事を聞いたように言う。

 

 おそらくエミヤに抱えられてここまで来たときのことを思い出してあれと戦えないと判断したのだろう。

 

 …………それが容易に分るのが嫌だな。

 

「まあ、あのサイズのものなら私は別に問題ないと思うが? 神格といっても半人半神で十二回殺さないと死なない奴よりはましだろう?」

 

「ヘラクレスとでも戦った事でもあるんですか!」

 

「あるぞ? それがどうかしたか?」

 

「どんな経験ですか!」

 

 本気で頭を抱えているうさ耳の人。

 

 なんかこの人は絶対苦労人だと分るような態度だ。

 

「なあ黒ウサギ。絶対に手出しさせるなよ? お前の手出しもいらん」

 

 ヘッドフォンの少年がうさ耳の人……いや黒ウサギって言う名前なのか? 黒ウサギ(仮)と呼ばれた人に向かって言う。

 

「何を言っているのですか十六夜さん!」

 

『何をなめた事を言っている! 我が貴様なんぞに負けるはずがないだろう!』

 

 黒ウサギ(仮)と大蛇が同時に十六夜(仮)に言う。

 

 大蛇のほうは怒り心頭だ。いや、って言うかあいつ喋れたのか。

 

「しかも蛇神様をこんなに怒らせているし! 何やったんですか十六夜さん!」

 

「なんか『試練を選べ』とかなんとか、上から目線で素敵な事言ってたからよ。俺を試せるのか試させてもらった(・・・・・・・・・・・・・・・)のさ。結果はまあ、残念な奴だったが」

 

『貴様……付け上がるなよ人間! 我がこの程度で倒れるか!!』

 

 その言葉とともに大蛇の甲高い咆哮が響く。

 

 そして大蛇の周りの風が目に見えるほどにうなり、大蛇の下の川から水柱が立ち上り、十六夜(仮)に襲い掛かる。

 

 しかし十六夜(仮)は軽くひょいひょいと避けている。

 

 よく周りを見ればコレまでの戦闘跡なのかねじ切られたような木が散乱している。

 

 おそらくあの水柱と荒れ狂う風によって起こされたものだろう。

 

 そんなものを食らえばひとたまりもない。

 

 流れ弾もくる可能性もあるだろう。

 

 防げるかは分らんがやるしかないか!

 

「流れ弾を防ぐ! 防ぎきれるか分らんが盾を用意する! とりあえず俺の後ろに来い!」

 

 必死になって二人に指示を飛ばす。

 

「ああ、そうさせて貰う。使い手から離れた武器なら防ぎきれる自信はあるが、もともと離れているものは微妙だ。せいぜいお前の作った盾を強化だけする程度にしておこう」

 エミヤはやれやれといいながら俺の後ろに回ってくる。

 

「助かる! そこのうさ耳の人も後ろに! ……まあ二人とも避けられるだけの足がありそうだが」

 

 

「黒ウサギも甘えさせていただきたいんですがいいですか?」

 

「別にかまわんぞ?」

 

 そう言って黒ウサギ(仮)は俺の後ろに来る。

 

 俺は過去に完全にコピーできるコピー能力者だった奴が使っていた盾を思い出す。

 

 出来るだけあの硬さを思い出すようにイメージを固めていく。

 

 鉄をも溶かす炎を出す能力を当たり前のように止めていたライバル(くそヤロウ)のことを思い出せ。

 

 あの何層にも重なっている強固な膜のような盾を! 

 

 おそらく俺がドンだけイメージを固めても一枚しか出ないだろうし、防御力も紙並だろう。さらに全身を覆うようだった膜も半球状ではないだろう。

 

 そんな中で一つだけ性能をあげるとするなら――――

 

 ぱちん!

 

「『不屈の卵殻(ハンプティダンプティ)』!」

 

 イメージを固めて指を弾く。そして能力が発動する。

 

 発動した能力によって俺の前に……いや俺の手のひらの上に現わ

れたのは小さな球状の弾だった。

 

 

 

 〜光一視点続く〜

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