入学式翌日、雄英高校二日目。今日から本格的に授業が始まる。そして雄英高校は教師全員がプロヒーローであるため、ごく普通の授業をやたらとハイテンションで行う山田……プレゼント・マイク先生を見ることが出来る。授業自体は可も不可もなくといった具合であるが、なかなか見ることが出来ないレアな光景だろう。
そんな英語や数学などの必修科目は午前に行われる。
まぁ最初の授業のため、中学の頃の復習と高校範囲の触りだった。知ってることも多く、高校は難易度が高いと聞いて戦々恐々としていた俺としてはひとまず安心した。まぁこれから難易度が上がっていくのだろう。
そして昼食。学食ではクックヒーロー、ランチラッシュが作った一流の絶品料理を安価で頂ける。カレーやカツ丼、うどんなど、様々な料理が食べられる。
中でも日替わりランチは更に安価で毎日メニューが変わるため、とても人気が高い。かくいう俺も日替わりランチだ。
「おっ、炎は日替わりランチ……てことは味噌カツ定食か。じゃあ俺は親子丼にするぜ!」
「んー……じゃあ俺は、ド定番のカレーにすっかな。」
一緒に食堂に来ていた切島が親子丼、上鳴がカレーを頼む。すると一年生だと気づいたのか、ランチラッシュがグッと親指を立てた。
「おっ一年生!?腕によりをかけて作ってるから楽しんでってね!やっぱり白米に落ち着くよね!最終的に!」
よくわからないけど、とりあえずコチラも親指を立てる。すると切島と上鳴もつられて親指を立てた。
そして何とか3人分空いている席を見つけて席に着く。
「メチャクチャ美味いぜ!?コレ!流石ランチラッシュ!」
「これをあの値段で食えるのはヤベェ!」
「ウマウマ……」
これは……!ジューシーなカツは非常に柔らかく、噛めば噛むほど旨みが溢れだしてくる……!そしてその上の味噌は甘みが少しあり、カツとの完璧に噛み合っている。これは米が無限に進む……!!
「どうした炎!?」
「え、そんなに美味ぇの?一口交換しね?」
そしてその後互いに味見させてもらった。親子丼もカレーも、非常に美味だった。
そして午後からはヒーロー基礎学!誰が担当教師なのかは知らないため、初めての授業ならではの誰が教師になるのかという楽しみがある。
「わーたーしーがー!!」
この声とセリフと雰囲気は……!
「普通にドアから来た!」
「オールマイトか……!」
「すげぇや本当に先生やってるんだな……!」
「銀時代のコスチュームだ……!画風が違いすぎて鳥肌が……」
ナンバーワンヒーロー登場にクラス中がざわめく。ヒーローを志す者ならば憧れや目標、尊敬のいずれかを彼に持たない者は居ないだろう。それだけの偉人が鼻歌を歌いながらわざとらしい歩き方で教壇に登る。そして少しざわめきが落ち着くと話し始めた。
「ヒーロー基礎学!ヒーローの素地をつくる為様々な訓練を行う課目だ!単位数も最も多いぞ!」
グググ……と力を溜めながらそう言い、BATTLEと書かれたプレートを前に突き出す。
「早速だが今日はコレ!戦闘訓練!」
戦闘訓練……!最初の授業でいきなりか……!
再びざわめき出すクラス。
「そしてそいつに伴って……こちら!入学前に送ってもらった『個性届』と『要望』に沿ってあつらえた……」
教室の壁からナニカが入った箱が出てくる。番号……おそらく出席番号だろう。個性届と要望、つまりコレはまさか……
「コスチューム!」
「「「「おおお!!!」」」」
俺だけでなくみんなも興奮していたようで、声が上がる。そして待ちきれないように、ソワソワとし始める。
「着替えたら順次グラウンド・βに集まるんだ!」
「「「「はーい!!!」」」」
そして競走のように自分のコスチュームを受け取り、昨日相澤先生に案内してもらった更衣室に向かう。
「緑谷、着れたか?」
「う、うん!今行くよ!」
少し手間取ったような様子だったが、問題ないようだ。先に行ったクラスメイトたちを追いかけるため、少し小走りで向かう。
すると通路の先からオールマイトの声が聞こえてくる。
「格好から入るってのも大切な事だぜ少年少女!自覚するのだ!今日から自分は……ヒーローなんだと!」
グラウンドに出ると、格好いいコスチュームを着たクラスメイトが並んでいた。初めて着るため他の人のコスチュームをじっくりと見る余裕がなかったが、改めて見てみると騎士っぽい格好やロボットっぽい格好、ピッチリしたスーツなど、ヒーローらしい格好だ。爆豪は手元のグレネードを模した篭手や目元のマスクに付いた後ろのトゲトゲと目付き、口角の上がり方が……なんというか、ヒーローよりも敵っぽい感じもある。
「お、緑谷もシンプルでいいな。」
「あ、操くん……!操くんもカッコイイね!」
「おう、ありがとう。大量の髪の毛送り付けた甲斐が有るってもんだ。」
「か、髪!?」
「ああ。俺の個性だと普通の服は燃えるからな。耐火性のある服だと服着てない部分からしか炎出せないしな。」
「ああ、なるほど……」
そう、自分の髪などを使った繊維だと個性の影響を受けない。Mt.レディとかが有名な例だ。
それを俺も利用した。格好としては赤の長袖Tシャツと赤のラインが入った黒を基調としたズボン。そして赤いサイハイブーツは黒の靴紐と金色の留め具。上にパーカー付きの足首くらいまでの長さがある黒いロングコート。留め具は胸元のみであり、白と灰と赤で炎を思わせる模様がある。所々にアクセントとして金色の刺繍があり、コートの内側は灰色となっている為暗い印象よりも、格好いいという印象だ。
凄いと思ったのはサイハイブーツなんて固くて動きにくいと思っていたのだが、やたらと柔らかくてグリップが効いていて動きやすい。これがサポート会社の実力か……
説明書を見ると手首のボタンで冷却スイッチが入るようで、連続使用は3回、再使用までに10分くかかるそうだ。フードにはわかりにくいがゴーグルが内蔵されており、飛行の際の目の乾きを防いでくれる。
要望では冷却機能とゴーグル、俺の髪を使って作ってくれと頼んだだけだが、おそらく気合を入れてくれたのだろう。
「先生!ここは入試の演習場ですが、また市街地演習を行うのでしょうか!?」
ロボットっぽい格好の誰かが手を挙げて発言した。あ、コレ飯田か。めっちゃ格好いいな。
「いいや!もう二歩先に踏み込む!屋内での対人戦闘訓練さ!敵退治は主に屋内で見られるが、統計で言えば屋内の方が凶悪敵出現率は高いんだ。このヒーロー社会、真に賢しい敵は屋内に潜む!君らにはこれから『敵組』と『ヒーロー組』に分かれて2対2の屋内戦を行ってもらう!」
「基礎訓練もなしに?」
「その基礎を知る為の実践さ!ただし今度はブッ壊せばオッケーなロボじゃないのがミソだ。」
「勝敗のシステムはどうなります?」
「ブッ飛ばしてもいいんスか」
「また相澤先生みたいな除籍とかあるんですか……?」
「人質とかいる前提ですか?」
「分かれるとはどのような分かれ方をすればよろしいですか?」
「このマントヤバくない?」
「んんん〜聖徳太子ィィ!!」
おっと、ついつい疑問が先走ってしまった。みんなが口々に質問してオールマイトがプルプルしてる。
するとオールマイト先生が説明を始めた。
状況としては敵が核兵器を隠し、ヒーローがそれを確保して処理しようとしている。
ヒーローの勝利条件は制限時間内に『敵を捕まえる』か『核兵器を回収(タッチ)する』こと。コンビ相手と対戦相手はくじで決める。
といった感じだ。爆弾持ってるならヒーロー側にしろ敵側にしろ個性使いづらいな。
そしてくじを引いてコンビと対戦相手を決めた。
Aコンビ、緑谷と麗日
Bコンビ、轟と障子
Cコンビ、八百万と峰田
Dコンビ、爆豪と飯田
Eコンビ、青山と芦戸
Fコンビ、俺と砂藤
Gコンビ、上鳴と耳郎
Hコンビ、常闇と蛙水
I コンビ、葉隠と尾白
Jコンビ、瀬呂と切島
ヒーローvs敵
AコンビvsDコンビ
BコンビvsFコンビ
HコンビvsJコンビ
GコンビvsCコンビ
Eコンビvs I コンビ
と言った具合。氷を使う轟が相手だし、程よく冷却できて相性は良さそうな予感。規模とかわからんからなんとも言えないけども。
「操、よろしくな。」
「おう。よろしく、砂藤。早速だけど、作戦考えよーぜ。俺は炎を出して操れる個性。屋内だし爆弾持ってっからバカスカ高火力撃てん。」
「ああ、確かにそうだな。俺は砂糖を食えば食うほど力が湧いてくる。まぁ今は単純な増強系と思って欲しい。」
そうして作戦を立てていると、視線を感じてその方向をチラリと見る。すると轟がこっち……というか俺をかなり険しい目つきで睨んでいた。
「お、おう。対戦よろしくな。」
「……ああ。ただ、お前には負けねぇぞ。」
「ああ、いい勝負にしような。」
「……そうだな。」
相変わらず険しい表情だったが、そう言うと去っていってしまった。
少し怪訝に思ったが、オールマイトの案内が始まったため、特に気に止めることなくついていった。
コスチュームのイメージはFGOのサンタカルナさんです。消防服はもういたし、服を考えるセンスもなかった為、参考にさせてもらいました。