あれよあれよというまに試合が始まり、熱い展開に見入って気がついたら1試合目が終わっていた。
開始と同時に爆豪が飛び出し、爆豪vs緑谷のタイマンと核防衛の飯田vs確保担当麗日という形となった。
爆豪vs緑谷は緑谷が序盤こそ爆豪の攻撃を上手く捌いていたが、その後徐々に爆豪が緑谷を捉え始め、終盤はほとんど爆豪の一方的な試合になっていた。しかし表情は緑谷よりも爆豪のほうが余裕が無いようで、爆豪が明らかにオーバーパワーの攻撃を仕掛けた際は驚いた。建物の一角が消し飛んだぞ。
そしてその後緑谷がボロボロになりつつ腕を犠牲に建物の床をぶち抜いて麗日の援護をして、麗日が核兵器を回収して訓練終了。ヒーローチームの勝ちとなった。しかしモニターに映るヒーローチームはボロボロで動けない緑谷と、個性の反動か、吐いてキラキラを見せてる麗日。そして敵チームはほぼ無傷と、どっちが勝ったのかわからなかった。
講評では八百万がオールマイト先生の言うことをほぼ言ってしまってオールマイト先生がプルプル震えながら親指を立てていた。多分アレは思ってたよりも言われたということだろう。
建物がボロボロになってしまった為場所を移し、第2戦。敵、俺と砂藤vsヒーロー、轟と障子の訓練が始まろうとしていた。今は与えられた10分の準備時間。俺と砂藤は建物の壁に穴を開けまくって、それで出た瓦礫は部屋の隅っこに寄せる。柱や重要そうな壁などは残っているが、ほとんどひとつの大部屋が4階分ある。そして4階の中央に核兵器を置いて準備完了。少しするとオールマイト先生から無線で声がかかり、準備できていると答えると訓練開始の号令が送られた。
「よし、んじゃあ俺は行ってくる。氷が4階まで来るようなら無線で連絡してくれ」
「おう! ここは任せとけ!」
事前に立てていた作戦は至ってシンプル。隠密されると困るから壁をぶち抜いて見通しを良くする。障子の個性がイマイチわかっていないが力の強い異形型である以上、タフであり炎に強い可能性も含めて、障子は力で渡り合えそうな砂藤に任せることにした。そして俺は轟と戦う。見たところ力はそこまである訳では無さそうだし、氷とは相性がいいからな。
『お、見つけた。普通に登って来てたわ。とりあえず無理しない程度に攻撃して、障子だけは通す。2人で来るようなら階を上にあげる』
『了解!』
1階から壊した階段を氷で作り直し、上ってきている。ここは、敵らしく行こう。
足音を出さないように炎で浮き上がり、上から奇襲する。高火力になりすぎる為少し加減して、炎の温度を下げてから圧縮した火球を障子に飛ばし、炎を纏わせた足で飛び下りながらかかと落とし。足から炎を噴射させることで足を加速させ、振り下ろす。
「……上だ!」
「なっ……!」
横からの爆発音を聞きつつ、踵をガードしてきた轟の足に振り下ろす。すると腕は当然耐えきれず、そのまま鎖骨に踵が突き刺さる。その後少し後ろに下がって様子を見る。
障子は直前で気づき、守りの体勢に入ったようでダメージは少ない。轟は咄嗟に腕で防いだが、そこそこダメージ入ってそう。左腕は使えんだろう。かかと落としだしな。それにしてもよく気づいたな……あ、噴射した炎の音か。
「大丈夫か?」
「……ああ、個性使うには問題ねぇ。コイツは俺ひとりでやる」
「……わかった。先に行くが、危うくなったら連絡してくれ」
「わかった」
『お、ラッキーだ。障子だけ上にいくみたい。確保証明のテープに気ぃつけてな』
『おう! 任せとけ!』
こっそりと無線を入れ、不自然にならない程度に障子を妨害しようと炎を飛ばすが、轟の氷に阻まれる。よし、上に行ったか。
「よっしゃ、じゃあやるか!」
「……ああ」
返答にも間があり、相変わらず不機嫌そうな様子。だが個性の発生速度はかなり速い。気を抜けば目の前に氷が迫っている。放出自体は俺の方が速いが、攻撃として使えるようにすると俺の方が遅いか。
全身から操作を考えずに炎を強火で放出する。氷は瞬く間に溶け、轟の姿が見えた。轟は引きながら氷の棘を地面に生やして攻撃を仕掛け、氷で拘束しようとしてくるが、それに対して俺は常に火力強めで放出する。普段だと10分持てば良いとこだが、轟の氷のおかげで10分は余裕で持ちそうだ。
個性把握テストで氷が溶かしてたみたいだし、熱、もしくは火も出せそうなもんなんだがな。
しばらくしても轟は逃げ、俺が追いかける形は変わらない。
この建物はそこまで広くないため、まるでカバディのような感覚だ。
すると轟が大きな氷の棘をコチラに生やしてくる。
「オラァ!」
右手で殴るように勢いをつけて炎を放つと見る見るうちに溶けていく。熱が溜まってきて少し火力が落ちてきたが、まだまだ問題ない。
しかしそれによってまた距離を開けられる。さっきからこれの繰り返しだ。
轟が全快なら接近戦を仕掛けてきたかもしれないが、今は左腕を使えない手負い。態々接近戦はしてこないだろう。
もう一度炎を纏いながら追いかけると、再び氷の棘。いい加減芸がないぞ? それは!
さっきのように殴りで氷を溶かし、前に走り出すが、轟が見えない。
どこだ? と顔を揺らすと背中に氷と手の感覚。後ろか!
振り向こうとすると氷が俺を包んだ。手だけ凍らせていないのは確保証明の為か……だがな、これで俺もクールダウン完了だ。
再び炎を吹き出す。さっきよりも強く。ほとんど全力だ。
すると全身を包んでいた氷が急激に熱されて気体となって水蒸気爆発を起こす。確保証明テープを巻かれかけたが、その爆発のおかげで轟諸共吹き飛んだ。少し建物を痛めた気がするが、壁ぶち抜きまくったから誤差か。
吹っ飛んだ轟を見ると壁に体を強かに打ちつけたようで、気を失っている。それを確認すると、テープ巻いて着ていたフードを敷いて寝転がしておく。
『轟捕まえたぞ。そっちはどうだ?』
『それなら手助けに来てくれ! 俺の方がダメージを与えられてはいるんだが、複数の腕の攻撃が結構痛てぇ!』
『おっしゃ了解!』
炎を纏って飛び、床から少し顔を出して様子を伺う。すると拳を2つの腕で受け止められ、テープを巻かれかけている砂藤の姿があった。
しかし、体を上手く使って核兵器から遠ざけるように障子を投げる。なるほど、確かにヒヤヒヤするし、障子の手を見るに、砂藤の攻撃が効いてるんだろう。
起き上がり、再び砂藤に向かっていく障子にゆっくりと後ろから近づいていく。複数ある腕の先端は拳がほとんどである為気づかれていない。
そしてそのまま後ろからテープを巻き付けた。
『敵チーム、WIIIIIIN!』
障子は驚いたように後ろを見た後、目を閉じてゆっくりと息を吐いた。
「よっしゃナイス砂藤! いぇーい!」
「いぇーい! 操もよく上に来てくれたな。助かった!」
「悔しいが、してやられた。作戦では索敵しつつ戦闘を避けながら核兵器を確保するつもりだったんだが、まさか壁を壊すとはな」
「障子ってたまに授業中、その腕を耳にしたり目にしたりしてるだろ? だからヒットアンドアウェイとかされたら嫌だなって言っててさ。砂藤がいっそ壁とっぱらっちゃうのはどうかって」
「なるほど……流石だ」
「いやいや、正直障子にやられかけたこと何回もあったし、何回か後悔したぞ」
「あ、轟1階で寝てるから、回収して戻るか」
「気絶!? 大丈夫なのかそれは!?」
「怪我の具合はどうなんだ?」
「パッと見打撲だけって感じだと思う。一応リカバリーガールんとこ連れてった方がいいだろうけど」
そんなことを言いつつモニターのある待機室に戻ると、八百万が作ったと思われる扇風機で皆が涼んでいた。端の方には毛布もある。
あ、俺と轟の個性のせいか。
「あ、悪い。張り切りすぎちゃった。ちょい暑いか……このボタンを、外にして、ホイ」
コスチュームに付いている冷却機能を外向きにして放出させる。すると真冬の風よりも冷たい風が放たれる。
「いや寒い寒い寒い! それ止めて!」
「お、おうすまん!」
素早く止めて、寒くなった室内を炎で適温に直す。すると、オールマイト先生がいつもの画風が違う顔で講評を始めると言った。
「操少年、室温調節ありがとう! そして3人とも訓練お疲れ様! 轟くんは大事をとって保健室に行ってもらった! それでは講評を始めたいんだけど、MVPは……操くんだ!」
「やっぱりそうだよな! 轟との勝負熱かったしな!」
「おぉ……ありがとうございます」
「ただ、今回の訓練で敵チームの作戦が上手くいったことには2つのポイントがあるんだ! 1つ目は壁を壊して見通しを良くしたことだね! 障子少年の個性でやられたくないことを考えて、それをしっかり対策したいい作戦だと思う。ただ柱を残したり、一応建物に気を使ったみたいだけど、それでも危険になることは多いから気をつけるんだ! そしてら2つ目のポイントは、事前に誰が誰の相手をするかを明確に決めていたこと、だね! これは防衛戦においても重要なことだ。相手の人数がわかっている場合はそれがかなり有効な手になる。また、操くんが核兵器と別の階で戦い、大規模な炎を使わなかったことは核兵器があるという意識があってこその行動だね! そしてヒーローチームは、これは結果論になってしまうんだけどね、1対1の状況を受け入れたが、障子少年が周囲を警戒しつつ2対1で操少年を攻略するという手もあった。そして、コンビ相手を信じて目の前の敵に集中するのもいいが、最低限の警戒は忘れないようにしなければならない。これは敵チームも同じだね。砂藤少年が障子少年を抑えられる保証はないからね。しかし! 初めての戦闘訓練とは思えないほど柔軟な発送と素晴らしい戦闘だった! 他のチームも相手を見つつ、作戦を立てておくとより高いレベルで戦うことが出来るぞ!」
反省点もいくつか貰ったけれど、いっぱい褒めてもらえた気がする。めっちゃ長かったのは、多分前回八百万に全部言われちゃったからなのかもしれない。
そして3、4、5戦が終わり、皆疲れつつも手応えや反省点を自覚して目がギラギラしている。
「お疲れさん! 緑谷少年以外は大きな怪我もなし! しかし真摯に取り組んだ! 初めての訓練にしちゃ皆上出来だったぜ! それじゃあ私は緑谷少年と轟少年に講評を聞かせねば! 着替えて教室にお戻り!」
そう言ってロケットのようにカッ飛んで帰って行った。そして着替えて教室に戻り、反省会をクラスのほぼ全員と行った。そしてそれのお陰でクラス全員の名前と顔、個性などが完全に一致するようになったし、結構仲良くなれた。
戦闘描写難しいし、この訓練でとるべき行動とかもわかんねぇや