全部エルデンリングってやつが悪いんだ……
不定期更新タグ付けといて良かったって思いました()
「今日のヒーロー基礎学だが、俺とオールマイト、そしてもう一人の3人体制で見ることになった。災害水難なんでもござれ。人命救助訓練だ!」
相澤先生には珍しく、オールマイトが最初のヒーロー基礎学で使ったようなプレートを前に突き出して言った。うーむ、なんともミスマッチ。あれが似合うのなんてオールマイトか……プレマイ先生くらいじゃないか?
てかレスキューか……個性の使い所とか難しそうだな。俺の個性だと火力調節必須だし。
「レスキュー……今回も大変そうだな。」
そんなことを思っていたら上鳴が呟くのが耳に入ってきた。確かに救助活動に直接役立てるのは難しそうな個性だな……避難所とかに居てくれると助かりそうだけど。充電器代わりになりそうだし。
「ねー!」
「バカおめーこれこそヒーローの本分だぜ!?鳴るぜ!腕が!」
「向き不向きなんて言ってらんねぇよなぁ」
「水難なら私の独壇場。ケロケロ。」
さすがカエルな個性の梅雨ちゃん……あ、そう言えば。
「梅雨ちゃんてどこまでカエルっぽいこと出来んの?」
「それはね……」
「おいまだ途中。」
ギロリと相澤先生からの睨みをいただいた。クラスが一瞬で静かになる。まさに蛇に睨まれたカエル……相澤先生は目の個性だし、この例えは中々秀逸なのでは?とか考えてるとまた睨まれた。今度は完全に俺をターゲティングして。変なこと考えてるのがわかったのだろうか。なにそれこわい。
そしてその後コスチュームの着用を各自の判断に任せるといった後、バスの集合場所に集合となって一旦解散になった。
確かによく良く考えれば、飯田のコスチュームとか、顔を覆う系統のコスチュームだと水難事故や火災事故現場の呼吸を大切にする場面で枷になるかもしれない。それこそサポート会社との相談がいるな。
俺のコスチュームは特に制限するものがないため、しっかり全身着替えてバスの集合場所に向かう。緑谷は戦闘訓練でコスチュームが壊れたから体操服のようだ。しかし、手作りだったコスチュームをサポート会社が修復してくれるらしい。
「あ、爆豪は目のとこに着けてたマスク外すんだな。」
「あ゛ぁ!?救助活動だと邪魔になんだろうがコラ!」
「へー……アレってやっぱ視界狭まったりすんの?戦いにくそうに見えたけど。」
「狭まらねぇし狭まったとしても余裕だわクソが!」
集合場所にはやはりヘルメットを外した飯田。ヘルメット無しだと一気に飯田感が強まるな。ヘルメット有りのスタイリッシュで寡黙な仕事のできるヒーローといった雰囲気が、真面目でメガネな委員長飯田に。
ロボットのような動きをして笛を吹きながら並ばされる。その笛をどこから取り出したのか、なぜ持ってるかと気になる。
……そして修学旅行で乗るような、全ての席が進行方向に向かって座るタイプのバスではなく、普段使うような、向かい合う席が前半分にあるタイプのバスだった。つまり、並ぶ意味はそんなに無かった。
そして俺は最後列の窓際だったため、隣の常闇と話した。前にいる轟は寝ていたため少しは声を落としてではあるが、必殺技はこうあるべきだとか、ネーミングとかがかなり盛り上がった。特に長い技名もいいが、シンプルな技名で超高火力な必殺技のロマンを話したときはお互いかなりの早口になった。
そして着くと……
「デカ過ぎんだろ……」
「すっげーー!!USJかよ!?」
「あらゆる事故や災害を想定し、僕がつくった演習場です。その名も……ウソの災害や事故ルーム!!」
((((USJだった……!てかいいのかそれは……!?))))
「わーー、私好きなの13号!」
麗日がテンションが爆上がりしてる。やっぱり好きなヒーローに会うとテンションバグるよなぁ。13号も雄英にいたのか。ヒーローを多少なりとも知っていれば目にする13号。ブラックホールとかいう激ヤバ個性を救助活動に活かしてどんな災害からも人を救う。個性は使いようというのを体現してるようなヒーローだ。
「仕方ない。始めるか。」
あれ、オールマイトがいないが、準備中だろうか?
「えー、始める前にお小言を一つ二つ……三つ……四つ……」
((((増える……))))
「皆さんご存知だとは思いますが僕の個性は"ブラックホール"どんなものでも吸い込んでチリにしてしまいます。」
「その個性でどんな災害からも人を救いあげるんですよね。」
緑谷がそう言うと、麗日が凄まじい速度で頷く。あまりにも速い、顔がブレてる。
「ええ……しかし簡単に人を殺せる力です。皆の中にもそういう"個性"の人がいるでしょう。超人社会は"個性"の使用を資格制にし厳しく規制することで一見成り立っているようにはみえます。しかし、一歩間違えれば容易に人を殺せる"いきすぎた個性"を個々が持っていることを忘れないでください。相澤さんの体力テストで自身の力が秘めている可能性を知り、オールマイトの対人戦闘でそれを人に向ける危うさを体験したかと思います。この授業では心機一転!人命のために個性をどう活用するかを学んでいきましょう。君たちの個性は助ける為にあるのだと心得て帰って下さいな。以上!ご清聴ありがとうございました!」
「ステキー!」
「ブラボー!ブラーボー!」
心に染みる……幼い頃から制御を学んできたし、そうしないと誰かを傷つけることになった俺にはよく染みた。炎に関わる個性持ち以外は少しの火花でも火傷する。そのため個性を出さないこと。そして制御することが求められたのだ。
「そんじゃあまずは……」
相澤先生がそう言うと何かを察知したように広場を向く。すると黒いモヤが現れ、その中から人が溢れてくる。
「ひとかたまりになって動くな!」
相澤先生の、今まで聞いたことの無いほど大きな、有無を言わせないような声が響き渡る。
俺たちは突然のことに何も理解出来ずに止まるが、そんなこと知ったこっちゃないと言わんばかりに相澤先生や13号、モヤから溢れる人は動き続ける。
「動くな!あれは……敵だ!!!」
「13号にイレイザーヘッドですか……先日頂いた教師側のカリキュラムではここにオールマイトがいるはずなのですが……」
「どこだよ……せっかくこんなに大衆引き連れてきたのにさ……オールマイト……平和の象徴……いないなんて…………子供を殺せば来るのかな?」
まるで、冷や水を被せられたかのような感覚。今まで浴びたことの無い純粋な悪意で満ちた殺気を受けて体の内から恐怖が湧いてくる。しかし、そんなことで完全に止まる生徒はいない。
「13号避難開始!学校に電話試せ!センサーの対策も頭にある敵だ。電波系の個性が妨害している可能性もある。上鳴、お前も個性で連絡試せ。」
「っス!」
「13号!任せたぞ。」
そう言って相澤先生が飛び出す。それを迎え撃とうとした敵は個性を消されて止まり、そのまま相澤先生が首に巻いている捕縛布で敵同士をぶつけ合わせて戦闘不能にする。
そして異形型には距離をとって捕縛布を用いて周囲を巻き込みながら戦闘する。近接戦闘も中距離戦闘もこなすその様はまさに洗練されており、多対一という不利な状況でも一切の遅れを取っていない。
「すごい……!多対一こそ先生の得意分野だったんだ!」
「今は避難だ緑谷!」
完全に見入って足を止めている緑谷を出口へと引っ張るが、振り向いた直後、13号たちの目の前に黒いモヤが現れ、瞬く間に広がった。
「初めまして。我々は敵連合。僭越ながら……この度ヒーローの巣窟、雄英高校に入らせて頂いたのは、平和の象徴オールマイトに息絶えて頂きたいと思ってのことでして。本来ならばここにいらっしゃるハズですが……なにか変更があったのでしょうか?まぁ……それとは関係なく……私の役目はこれ。」
そう言った直後、切島と爆豪が飛び出して襲いかかった。
「危ない危ない……そう、生徒といえど優秀な金の卵……」
が、どうにもダメージが無い様子だ。13号も臨戦態勢だったし、襲うのは悪手だったか。
そう思いつつも手を前に突き出して爆豪の出した爆炎を操作して二人をこちらに吹き飛ばす。
しかしそれも虚しく黒モヤが俺たちを包み込むように広がっていく。
「散らして……嬲り……殺す……!」
黒モヤの声が聞こえた直後、俺は轟轟と燃え盛る街に放り出された。
「うおおおおぉぉぉ!?」
頭から落ちるのはギリギリで回避したが、受け身もろくに取れずになんとも不細工な着地をしてしまった。
「大丈夫か?操。」
隣を見ると、膝を痛めないタイプのヒーロー着地を綺麗に決めた尾白がいた。負けた気がするぜちくしょう。
「ああ、大丈夫大丈夫。ちょっと体うったけど、そんだけ。」
「それにしても、これは……」
「ああ、多いな……」
見渡すと敵意むき出しの敵が俺たちを囲んで立っている。この人数差とこちらが生徒ということで負けるとは露ほど思っていないのか、ニヤついてる奴ばかりだ。
「火災ゾーンの俺はほぼ最強だけど、ちょっと準備まで足止め頼んでいいか?」
「あ、ああ……任せろ。」
「よっしゃ!頭痛待ったナシの量してるが気合い入れる!」
両手を左右に広げ、指揮を始めるときのようにゆっくり手を上に上げる。
すると左右にあったビルの炎が全て引っ張られる様に俺の真上に集まり、渦をまく。そのまま両手でわたあめ機で綿あめを回し集めるように、火災ゾーン全体から炎を巻き上げていく。
今までやった事の無い規模の操作に頭の処理が追いつかなくなりそうだが、何とかこらえる。想像以上の難易度だ。頭もバカになりそうだ。しかし、火災ゾーンにいるのが俺と尾白だけとは限らない。もしかしたら燃え盛るビルの中に転移させられてる可能性もゼロじゃないし、炎で脱出できない場所に転移させられてる可能性もある。だから全てだ。全て集める。
割れそうな頭の痛みに耐えつつ、両手を回していると徐々に炎の渦は大きさと光量を増していき、遂に取り囲む敵の外にまで広がった。
そして全ての炎を集め終わると圧縮していく。一つの球にする。大規模な炎や複数の炎の操作は脳が処理する情報量が増えるため限界があるが、小さく超圧縮した炎ならば、力に限界はあるが脳の処理する情報量はかなり少なくて済むのだ。
「よし、ありがとう尾白!準備できた!」
「了解!」
そう言って尾白は俺の元へ戻ってくる。そしてそれを追ってくる敵たち。
「待てよぉ!まだまだ遊び足りねぇぜ?!」
猛ダッシュでこちらに迫るが、バランスボール程の大きさの圧縮炎球の一部の押さえつける力を消すことによって俺たちと敵の間に熱線を放つ。俺が自力で出せる熱線よりも遥かに太く、熱い。
集めた炎の量があまりに大きいため、火力も相当なものとなっている。その証拠に足元のアスファルトが熱でドロドロに溶け、その下の土も溶岩のような色で蕩けている。
それを見た敵は足を止めて俺たちを怯えたような目でみる。
「見てわかるだろうが、当たるとヤベぇぞ。大人しく拘束されれば当てねぇが、来るなら手や足の一本や二本無くなるくらいの気で来い……」
出来る限り高圧的に、コイツならやるかもしれないと思わせるように言う。目をかっぴらいて、口をわざとらしく笑わせれば、俺が思うヤバいやつの完成だ。
「さぁ……どうする?」
結論から言うと、無事に全員無力化出来たし、火災ゾーンには俺と尾白以外はいなかった。俺が炎で脅している間に尾白がロープで縛り上げる。その繰り返しだ。敵意を向けてくる敵もいたが、俺の制御が無くなると大爆発を起こして全員が木っ端微塵になると言うと、反抗心が完全に消え去った。
「これからどうするんだ?」
「この様子なら生徒と敵が他のエリアにもいるはずだ。だから俺は他のエリアを見ながら広場を目指す。俺は右から行くから、尾白は左から行って欲しい。」
「わかった……気をつけろよ」
「尾白も危なくなったら逃げろよ。」
「ああ!」
「じゃあ……「また後で!」」