MFG(ウマ娘部門)   作:狸より狐派 ハル

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コースの風景は、頭文字Dアーケードステージを参考にしてます。(あとでサムネに書きます)


※3月3日、コースの設定を変えました。


第2話 峠とウマ娘

《神奈川県のとある街中》

 

 

箱根ターンパイク 箱根小田原本線

 

 

元々有料道路だったここは、諸事情により意味をなさなくなり、代わりにMFGの舞台となった。

 

スタート地点は(ふもと)から見て、鍋割駐車場手前にある直線、そこから右コーナーを始め計7つのコーナーが左右へと蛇行し、最終コーナー出口すぐの直線がゴールとなっている。距離は実にして3.5キロメートル、ウマ娘にとって明らかな長距離が開幕戦となった。

 

まず初日からの1週間は予選とし、400ものウマ娘がそれぞれ単独で走り、ゴール到達までの時間のみを基準として、上位15位までの走者が決勝進出するといったものだ。

 

名声も、ファン数も必要ない、まさに純粋な強さのみで勝ち上がるこのシステムは、本来のウマ娘レースにはない、しかし、ある意味理想的な競技としての形を成していた。

 

 

 

 

西暦202×年、内燃機関を動力とする自動車は世界中で生産を停止し、一部発展途上国を除き、地球のクルマは自動運転機能のそなえた電気自動車(EV)燃料電池自動車(FCV)に占領され、交通事故死亡者数はこの10年で87%も減少した。

 

今や化石燃料をエネルギーとする自動車は、瞬く間に姿を消し、絶滅危惧種(レッドゾーンアニマル)と言われる程になっている。

 

そんな滅びゆく種への鎮魂歌(エクリエム)のようなモータースポーツのイベントが日本で生まれ、世界中にネット配信され爆発的な人気を博していた。

 

それがこのMFGである。

 

 

しかし、そのMFGが今度はウマ娘だけが参加できる部門を立ち上げる。理由はわからないが、このレースへの参加資格は特に決められていない。そのためトレセン学園生徒などのURA関係者を除く世界中のウマ娘が挑まんとしていた。

 

今まではカーレースのみだから興味を示さなかった者たちも、ウマ娘が自分の足で走るのならば、と多くの人たちがこのMFGに顔を向け、さらに人気が上がったと言うことは言わずもがなである。

 

 

 

 

「何見てんだ?ウマ娘?」

 

「あぁ、今日から始まったMFGのウマ娘部門だ。峠で今全力で走ってる最中だよ」

 

「峠でか!?そういやそんなレースがあるってのは聞いたな。けどまさか本当にやるとはなぁ」

 

「よく走りきれるよ、並のウマ娘じゃこんな風に走れないはずだ。もしかしてなんかの選手か?」

 

「あれ、確かトレセン学園のウマ娘って参加出来ないって聞いたような・・・」

 

「あぁ、もしかしたらこの娘は《走り屋》なのかもな」

 

「なぁ、確かこの辺り・・・だったんだっけな?だったら観に行かねぇか!?」

 

「無理だよ、あそこはMFGの規制がかかって選手や関係者以外は入れないようにしてあるんだ」

 

「そっかぁ・・・残念だ」

 

ガッカリしながら、うなだれる男性。その隣にいる男性のスマートフォンのスクリーンには、全力で走る茶髪でポニーテール、和風の勝負服を着たウマ娘が映っていた。

 

 

 

━━━━━━━━━━━━━━━

 

 

 

彼女は走り屋だ。普段から峠を全力で走り、そして誰よりも速く走ることを十八番(おはこ)とするウマ娘。

 

もともとは別の事に十八番を用いていた。しかし、そこではそれが通じなかった。

 

全部と言うわけでわない。が、肝心なところで実力を発揮が出来なかった彼女は、挫折し、その別の事と十八番を手放した。

 

その後に出会ったのだ。走り屋と言う存在に。峠で走るその者たちは、何も目標を持たず、ただ自己満足気に走っていた。

 

中にはそれほど速くないのに、自らを最速と言い張る者もいた。それも1人ではなく何人かが。

 

こんなところを走っても、名誉も何も得れない。せいぜいそこの者たちだけにとっての人気者が精一杯じゃないのか。だがそんな者たちの走る姿をみて酷く輝いて見えた。

 

何も縛られること無く、自由に、楽しく駆ける走り屋たち。もう多くの期待や哀れみの目を気にすることなく走れることを知った彼女は、再び十八番を取り戻した。

 

そして今、彼女は全力で峠を走っている。

 

(ここから・・・私の、本当の生まれ変わりが始まるんだ・・・!)

 

一度すべてを捨て、何者でもない存在に生まれ変わろうとしたウマ娘、

 

その名も《カラスマエイティン》

 

(ファンの期待に答える必要はもうない、今はただ私のためだけに走れる)

 

好きなものの為だけに取り組める環境下で彼女は、昔よりも確実に速くなっていた。

 

もしあの場所に居続けてしまったら、このやりがいは苦い青春を抱いたまま体験することが出来なかっただろう。現に今の彼女は高校生三年生、まだ具体的な将来を上手く築けていないこの少女は、自分だけの為に走り続ける。

 

(私は・・・私には走ることしか出来ないから・・・それしか取り柄がないから・・・だから、このレースに今までの全てを掛ける!峠を全力で走るのが、私の十八番だ!!!)

 

 

ゴールを思いっきり通りすぎる。そこに出た記録は、現在一位のウマ娘よりも遥かに早いタイムが更新されていた。

 

彼女はひとまず納得した。しかし予選は始まったばかり。これから現れるであろう強敵を覚悟しながら、その場を後にした。

 

(あの子なら、こんな記録すぐに塗り替えるだろうなぁ)

 

地元にいる普通なウマ娘を思い浮かべながら。




気がついたら時間があっという間に二時間過ぎてるんだよなぁ。

たった2000字の小説書くために。

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