(゚ω゚;)←あれ、思った以上に話が長いぞ?と焦り始めた筆者の顔。
コウキたちはブルベリーグに参加し、四天王打倒のために再びドームを訪れた。……その前に、ドーム内にいるすべてのトレーナーを全滅させるために行動を起こした。ライドポケモンの有無の関係上、ホムラはキャニオンエリア、コウキはポーラエリア、リュウセイはコーストエリア、ゴウタはサバンナエリアを受け持ち、それぞれ散ってトレーナーを探し、片っ端から勝負を仕掛けまくった。
~コウキ~
「でんきテラスエレキスキンこだわりゴローニャでだいばくはつじゃい♪」
「お、俺のポケモンたちがあああぁぁぁ!?」
~ホムラ~
「ようは面制圧が最強ってわけ!ニンフィア、ハイパーボイス!!」
「わたしのポケモンが一撃で……」
~リュウセイ~
「ほろびのうた。恨むなら、手持ちが少ない己を恨みな」
「ちくしょおおぉぉ!!」
~ゴウタ~
「個々が強けりゃダブルも強い!ゴルーグばくれつパンチ!ムクホークはすてみタックル!」
「特性をフルに活かした戦法……ぼ、暴力的すぎる……」
こんな感じで行く先々で無双を繰り返し、ブルーベリー学園生の実力を測って回った。無駄なく理にかなった戦術で学園を荒らし回る四人は、本格的に『パルデアアカデミーのヤベー奴ら』と認識されるようになるのだが……四人はそんなことなど知る由もなかった。
そうして一同は、再びサバンナエリアに集合した。
「おかえり。ホムラ、そっちはどうだった?」
「ん~……普通。リュウセイは?」
「まぁ……普通か。ゴウタはどうだ?」
「いや……普通、かな。コウキは?」
「中の中……はい、普通です」
総評、普通。それがホムラ達が感じたブルーベリー一般生の実力だった。
「ポケモンの選出は悪くない。ポケモンは決して弱くはない」
「ただ、トレーナー自身はマチマチだったな。ブルレクといい、この学園の設営位置といい……これは、学園というより研究施設って感じだな」
「教師にブライア先生にシアノ校長とかいるくらいだからな……パルデアとは校風が違うと言っちまえばそうなんだが……」
「……あー、あれだ。レジェアルみたいな感じなんだな、ここ」
「どういうことだ、コウキ?」
全員が感じたことは、生徒ごとにバトルタクティクスがちぐはぐしていることだった。「バトルの力を入れている」という謳い文句に偽りなく、生徒達がダブルバトルで選出するポケモンはとてもよく考えられている。だが、いざそのポケモンで戦うとどうもボロが出るというか、戦い方に手探り感があった。リュウセイに至っては相手の選出に対して戦法を説いてしまったほどだ。
まるで「ランクマトップのパーティーを初心者に使わせてみた」感が拭えない。その違和感の元がなんなのか、思い立ったのがコウキだった。
「ほら、ブルレクの内容にある『〇〇タイプのポケモンを捕まえろ』とか『〇〇のポケモンを撮影しろ』とかって、レジェアルの図鑑タスクに似てるよな~って思ってたわけよ。そんで、前世で言う大学感もある。ポケモンの生態調査ということならブルレクってのは体の良い名目で、バトル重視という校風も納得がいく」
「……なるほど。強いトレーナーを育てているのはバトルが優秀な生徒を世に送り出すためではなく、"
「さっすがリュウセイ!俺の言いたいこと、すぐにわかってくれたか」
「あん……?言われてみりゃ、この学園はバトルのことばっかだな。バトル重視というより、バトル以外が雑って感じで。……もしかして、バトルルールがダブルバトルなのもなにか意味があるのか?戦略性が~とか、学園らしさ~とか、そんなん抜きで」
「むむむ……ポケモンの調査という名目なら、確かに見方が変わるな。レジェアル時代は大変だった……こっちは一匹なのに、向こうは複数で来るからな。それの対策として対多数戦を想定した結果がダブルバトルなら、なるほど考えたもんだ。トリプルじゃなくてダブルなのは、学びはじめの子供たちにいきなりトリプルバトルはハードルが高いからか?」
それぞれが思ったことを口に出す中、リュウセイが何かに気づいたように振り返り、手を挙げた。
「来たか、ケンスケ」
「よっすよっす、お待たせ」
「ケンスケ?どうしたお前」
「いやいや、ここの学園の授業風景とか見学してたのよ。俺、教職だからな」
「どうだった?教師としての目線でこの学園を見て回った感想は」
「あー……確かにバトル学への力の入れようは本物だったぜ。キハダ先生もニッコリだろうよ。ただなぁ……それ以外の授業はなんというか、はっきり言って小学校レベルだぜ。俺らのアカデミーと比較したら、ここの連中が可哀想なくらいだ」
「そこまでか!?」
「あぁよ。教師として言わせてもらうなら……バトル学以外の科目だけは『全員今すぐパルデアアカデミーに来い!』ってレベルだ」
「そこまでのレベルか……」
「生徒大好きタイム先生もブチギレ待ったなしだな」
教師という立場だからこそ見えてくるものがある。ケンスケはその立場を利用して、ブルーベリー学園の日頃の授業風景を見学させてもらっていたのだ。そこで感じたことは、バトル学を除く他の授業の粗雑さ・杜撰さ・簡素さであった。
「言い過ぎかもしれんが、尖りすぎなんだよな。一般的に専門校っていっても平均すりゃ専門科目7割それ以外3割って感じなんだが、ここは専門9その他1って感じだ。教員も先生というより教授って感じ」
「ふむ……そこへ来てコウキやリュウセイの推理か。なるほど学園の皮をかぶった研究所と言われても納得だな」
「何の話?」
「おう、俺が説明するわ」
「頼む、ホムラ」
話の内容を知らないケンスケにホムラが説明しつつ、一行は四天王・アカマツが待つサバンナスクエアへと移動する。話を聞いたケンスケも納得のいく部分があるのか何度も相槌をうっていた。
「はは~ん……なるほどガッテン。それならカキツバタの三留が大目に見られてるのも納得もんだ。下手に退学やら卒業やらで学園からいなくなったら、強い学生の伝手の一つがなくなるからな」
「……あの時は深く考えなかったんだが、ブルベリーグってリーグ部があるところからして部活動の一環ってことだろ?学園が主体の……それこそ、前世で言うところの体育祭や文化祭、それらをひっくるめた学園祭ってわけではなく」
「いや、そもそも学校行事どころか勉強科目ですらないぞ」
「一般生徒の対人戦ガバガバ感も、説得力が持てるな……」
「おいおい……知らない間に学園の歯車になってるとか、俺イヤだぜ?」
学園の看板を背負ってる別の何か……ブルーベリー学園からそんな何かを感じ取り、五人は身震いした。
「あの校長……抜けているようで、結構なやり手だったか」
「教育者としては目も当てられんが、それ以外の側面から見たら確かに優秀な部類だ。これでどこぞの悪の組織と繋がってたら終わるぞ、マジで」
「うわぁ……ローズ並に面倒な奴だ。んー……ブライア先生も『先生』よか『博士』って呼ぶ方がしっくりくるわ。特にエリアゼロの話をした時の食いつきようと来たら……」
「ウチのレホール先生も、一歩間違えたらそっち側に足突っ込みかねないんだよなぁ。どういうわけか、この脳内シミュレーションじゃ杭が一本もないし封印もとっくに解かれてるからか大人しいけど」
「…………」
「……?どうした、ゴウタ」
「いっ!?いや、なんでも……(四災は本編開始前に俺が捕ったんだよなぁ……黙っとこ)」
そうして移動を続けていると、サバンナスクエアに到着した。早速受付を済ませて、アカマツから説明を聞く。
「待ってたよ、ほのおの挑戦者!こんなにはやく四天王に挑戦とか、スゲーよね!そりゃスグリやカキツバタ先輩が気に入るワケだ。オレもキミらのこと気になってるよ、ショージキね」
「ほほぉ、そりゃどうも」
「でも、ここのチャレンジは全然アマくないよ!オレの四天王チャレンジは……激辛サンドウィッチ作り!このオレ、アカマツをヒーヒー言わせるようなから~いサンドウィッチを作ってよね!」
「……え、それだけ?」
「なわけあるか。……当然、何かしら条件があるんだろう?」
「鋭いね、リュウセイ!そのとおり、自前の食材は使わせないよ。食材はまわりのリーグ部員とかけ引きして調達するんだ。食材が集まったなと思ったら、戻ってきて声かけてよ。オレが見てる前でサンドウィッチ作ってもらうからさ」
「なーるほど。それじゃあ、辛い味の食材を集めりゃいいわけか」
「かけ引きか……ま、なんとかなるだろ」
説明は以上となる。さっそく四天王チャレンジに挑むわけだが……。
「さあ、誰から四天王チャレンジに挑戦する?」
「よし、それなら同じ赤色同士でホムラ行け!」
「いや、俺はいいよ。アカマツの赤と俺の赤で赤の過剰摂取だわ。辛い味も赤っぽいイメージだし、赤々しすぎるのもどうかと思うから俺はいい」
ゴウタがホムラにGOサインを出すが、意外なことにホムラは一歩引き下がった。するとここで流れが変わった。
「あっそう、じゃあ俺がやるよ」
「何言ってんだゴウタ、一番手だぞ?俺がやるよ」
「コウキじゃ様子見にもならん、ここは俺がやる」
「いや、俺が」
「いやいや、俺が」
「いやいやいや、俺が」
「じゃあ俺がやるよ」
「「「どうぞどうぞ」」」
「"どうぞ"じゃねえんだよ!」
「アッハッハッハッハ!みんなって本当に仲良しなんだな!」
お約束芸を披露しつつ、結局ホムラが挑むことが決定した。コウキ達はネタバレ防止のため、スクエアで待つことにしている。
ホムラは早速リーグ部員達に声をかけて回った。時には物々交換で、時にはポケモンバトルで材料をかき集め、テキパキとサンドウィッチ作りを始めた。……上に乗せるパンを食べながら。
「はい、できたー」
「……あれ、パンは?」
「ん?下にちゃんとあるだろう?」
「いや、そうじゃなくて……上に乗せる方……」
「ムシャムシャしてやった」
「食べちゃったの!?」
挟んでしていないものの、ちゃんと激辛サンドウィッチを完成させた。もちろん、アカマツも大好評だ。その後、コウキ達も激辛サンドウィッチを作り上げたのだが……。
「はい完成」
「できたぜ」
「まぁ、こんなもんだろ」
誰一人としてパンを挟まなかった。流石に捨てるのはもったいなかったのか、自分のポケモンに食べさせたり材料集めの時点で既に食べていたり、なんとまぁ自由な連中である。
「……パンを乗せなかったのはパルデア流なのかな……?」
大丈夫だアカマツ、お前は間違っちゃいない。コイツらがおかしいだけだから。
その後、一同はスクエアに戻り、チャレンジクリア順にアカマツに挑むことになった。そのため、一番手はホムラだ。
「チャレンジも終わったし、お次は四天王勝負だね!」
「インターバルがあるとはいえ、流石に四連戦はきつくないか?」
「ぜんっぜん!むしろスグリが自慢しまくってたみんなとのバトルが楽しみで仕方ないよ!」
「そうかそうか、そりゃ何よりだ」
「……キミらってスグリと因縁あるみたいだね。特にホムラ。カキツバタ先輩もなんかたくらんでるみたいだし……そーゆーの!マジでめんどくさいよ!!言いたいことあるなら直接言えっての!やれっての!」
「なるほど、真理だな。……でもな、アカマツ。真っ直ぐすぎる言動ってのは、時には凶器に勝るものだ。言葉そのものが誰かを傷つけることがある。だから人間はオブラートに包んで、相手を無闇に傷つけないように言葉や行動を選ぶんだ」
「……それはそうかもしれないけど!」
直情的で考えることが苦手なアカマツは、心情に反して回りくどいことをするカキツバタらの行動が理解できないという。
それに対して待った、と返すのはホムラだ。「言葉は刃物」という言葉を知るホムラは、直接的すぎる言動が人を傷つけかねないことを理解している。だから、アカマツの言い分には一理あると同意しつつも安易に肯定はしない。
「アカマツ。刃物を握る手で人を幸せにできる職業ってなんだと思う?」
「え?な、なんだよ急に……」
「刃物を扱う職業はいくつかあるが……その一つは料理人、即ちお前だ」
「!!」
「言葉は刃物、つってな。包丁を扱う料理人、ハサミを扱う庭師や理髪師、そして言葉を使う俺等人間。包丁やハサミは仕舞えるけど、言葉はそうもいかねえんだ。出したら引っ込みつかないし、訂正も修正もきかねえ。言葉一つで人間関係なんて一瞬でばらばらになるんだ、みじん切りみたいにな。そうなっちまったら、もう二度と友達には戻れないかもしれねぇ。だから、言葉をかける前に、行動を起こす前に、相手の気持ちを汲んでやってくれないか?」
「……オレには……オレには、難しいよ……」
「まぁ、今すぐとは言わないさ。お前のペースで、ゆっくりやればいい。アカマツ風に言うなら……弱火でじっくりコトコト煮込むように、って感じかな。俺も手伝うからさ、一緒に頑張ろうぜ」
「……スグリがホムラのこと大好きな理由、わかった気がする」
「そりゃあ俺らは親友だからな!」
わっはっはー、と笑うホムラにつられるように、アカマツも笑顔になる。ホムラという男がどういう人間なのか、アカマツははっきりと理解できたのだ。
「スグリに言われたんだ、『みんなをがっかりさせたら許さない』って。それって、つまらない勝負をするなってことだよな?それなら大丈夫!オレは強いから!退屈で冷めるようなことにならないよう、超強火で戦うよ!
サバンナエリア、ほのおの四天王アカマツ!勝ちたいから、勝たせてもらうよ!」
「パルデアアカデミー所属、チャンピオンランクホムラ。負けたくないんで、勝たせてもらうよ」
「行け!ファイアロー!ロトム!」
「バンギラス。ドリュウズ」
アカマツの先手はファイアローとヒートロトム、ホムラの先手はバンギラスとドリュウズだ。バンギラスは特性『すなおこし』により、すなあらし状態を生み出す。いわ・じめん・はがねタイプ以外にダメージを与えつつ、いわタイプの特防を1.5倍にする効果を持つ。
「(むむ、いきなり天気を変えられた。いや、ファイアローでにほんばれを使えばいい。すなあらしを主軸にした手持ちかな?ならまずは……)」
「天候を変えてイニシアチブを握りたい気持ちはわかるが、そう簡単にはいかんよ」
「っ!?くっ、ファイアロー!」
「おそい。ドリュウズ、いわなだれ!」
「うっ……か、躱すんだ!ロトムはドリュウズにオーバーヒート!」
「織り込み済みだ」
ドリュウズに技を指示しつつ取り出したのは、テラスタルオーブ。ホムラはそれをドリュウズに投げ、ドリュウズをいわテラスでいわタイプへと変化させたのだ。
いわタイプにほのお技は半減。よってヒートロトムのオーバーヒートではドリュウズを止められず、いわなだれは放たれた。いわなだれはフィールド中に降り注ぎ、アカマツのポケモンを同時攻撃する。
「ロト~!?」
「ロトム……くっ!ファイアローは!?」
「ファ……」
ロトムは戦闘不能、ファイアローは持ち物きあいのタスキのおかげでかろうじて持ちこたえた。だが、ファイアローは技を繰り出すことができないでいる。
「怯んだな。バンギラス、お前もやれ」
「ギラ!」
畳み掛けるようにバンギラスからもいわなだれが放たれ、その直撃でファイアローも戦闘不能になった。
「(なんてこった、なんてこった!?
戦慄した。とことんまで考えられた火力ブースト、無駄なく処理する全体攻撃、天気を起こすバンギラスと超火力で全抜きを狙ういわテラスすなのちからハチマキドリュウズ。スグリがチャンピオンになってからも「俺より強いやつなんてたくさんいる」と豪語していたのも頷ける。
「バクーダ!ナッシー!!」
次に繰り出したのはじめん複合ですなあらしが効かないバクーダと、じめんに耐性を持ちみずに強いナッシーだ。アカマツもほのお使いとして対策は立てていたが、それは雨によるほのお技の威力低下を狙ったみずタイプ対策が主だ。じめん対策も初手のファイアローとロトム、そしてナッシーで万全。
高速超火力いわアタッカーによる絨毯爆撃など完全に想定外だった。
「バンギラス」
「ギラ」
ナッシーが出てきた直後、ホムラはバンギラスに指示を出してドリュウズのそばに寄せた。何の意味があるのかは定かではないが、考えるのは苦手なアカマツはとにかく攻勢に出ることにした。おあつらえ向きにじめん技を持つバクーダもいる。逆転するなら今しかないだろう。
「バクーダ、ドリュウズにだいちのちからだ!」
「ドリュウズ、バンギラスに向かって飛べ」
早速攻撃を仕掛けるが、これは躱された。バンギラスは胸の前で腕を組むとそこでドリュウズを受け止め、そのまま腕を振り上げてドリュウズを打ち上げた。
「空中ならよけられない!ナッシー、やどりぎのたね!バクーダ、げんしのちから!」
「バンギラス、いわなだれで守れ」
宙に躍り出て身動きがとれないドリュウズに迫るやどりぎのたねとげんしのちからだが、それはバンギラスのいわなだれによって阻まれ、攻撃が届かない。
「なんだって!?」
「バンギラス、てだすけ。ドリュウズ、いわなだれ!」
「なぁ……っ!?」
アカマツがダブルアタッカーと読んでいたバンギラス……その実態は、ドリュウズへの徹底したサポーターだった。能力値だけ見れば優秀なバンギラスをサポート役に回すという判断……余りにも衝撃がでかすぎた。
バンギラスのてだすけを受けたドリュウズは更に火力が増し、いわなだれの一撃でバクーダ・ナッシー共々一撃で葬り去った。
「(つ、強すぎる……オレの対策をしているにしたって、こうも一方的だなんて!オレも対策の対策をしてきたつもりなのに、何もさせてもらえないまま……これが、パルデアの強さなのか……!)」
「(ウインディとかガオガエンはいなさそうだな。ほのおケンタロスはパルデア産だからいないだろうなーとは思っていたが……あー、よかったよかった)」
アカマツはただタイプ相性を考えただけでなく、戦術などもとことん考え尽くされたホムラのバトルにただただ圧倒されていた。
ホムラは「いかく持ちいないやラッキー♪」としか考えていない。それ以外で懸念していたのは弱点タイプの先制技やこちらが技を外さないか、天候特性持ちがいるかどうかくらいだ。
「ブーバーン!……ふぅ、バシャーモ!!」
「(げっ、バシャーモだ。しんくうは使えるんだよなー、ダリィ。覚えてませんよーに)」
とか考えていたらアカマツがバシャーモを繰り出してきたので内心で嫌な顔をする。
「強火で燃えてテラスタル!赤く染まれ、バシャーモー!!」
ここでアカマツ、バシャーモをほのおテラスへとテラスタルさせる。そのことに対して特に驚きもせず、ホムラは笑顔になった。
「いいねいいね、タイプ相性が不利になろうとも己のこだわりを貫くスタイル!そういうの大好きだ!」
「ああ!テラスタルしない方が多少は有利に立ち回れるってわかってる。でも、バシャーモはオレの手持ちの中でも一番強いポケモンだ!!タイプ相性なんて、炎でまるごと飲み込む!」
「よっしゃ!そうこなくっちゃあなぁ!!」
「ブーバーン、10まんボルト!バシャーモ、きあいだま!!ドリュウズを攻撃だ!」
「ドリュウズ、いわなだれ!バンギラス、まもる!」
ブーバーンの10まんボルトとバシャーモのきあいだまが、ドリュウズへ迫る。バンギラスがドリュウズの前に躍り出て、まもるで全ての技を防いだ。10まんボルトは麻痺状態、きあいだまは特防低下を警戒しての判断だ。
反撃で繰り出されたいわなだれを、バシャーモは持ち前の運動能力で巧みに避けるが、ブーバーンは対処しきれず命中。一発当たれば雨あられのように打たれ続け、ブーバーンは戦闘不能になった。
「ブーバーン……!ごめん……でも、オレは負けないよ!バシャーモ、ストーンエッジ!!」
「受け止めろ、バンギラス。B極振りのお前なら耐えられる」
「ギラッ!」
「ドリュウズはバンギラスを踏み台に飛べ!いわなだれ!!」
「ドリュウゥゥゥ!」
バンギラスが体を張ってストーンエッジを受けた直後、ドリュウズが尻尾を踏み台に頭に足を付け、そのまま一気に高く飛ぶ。そこからいわなだれを降り注がせ、バシャーモへと攻撃をする。
「うっ……躱せ、バシャーモ!」
「バ、バシャァア!!」
「バシャーモッ!!」
咄嗟に回避を指示するも、最後は躱しきれずに直撃。バシャーモが倒れ、ここで決着がついた。
「勝ちたかったけど負けたー!」
「ふぅ、対戦ありがとうございました」
お互いにポケモンをボールに戻し、フィールドの中央に集まる。
「スゲー!強火で燃えたー!ホムラ、スゲーよ!スゴすぎるよ!!」
「んな大げさな」
「大げさなもんか!スグリが言ってたこと、本当だった。ホムラ達に対策組まれたら、オレのやりたいこと何にもできないじゃん!」
「アカマツのほのおタイプをカバーする作戦、悪くなかったぜ。まぁ、見た瞬間に何をするかなんて分かったけど」
「そんなわかりやすい?」
「おぉ、わかるわかる。これでひでり持ちとかいかく持ちとか出てきてたら、物理特化の今の手持ちじゃ悲鳴を上げてたぜ」
「ひでりといかく……なるほど」
正直、最初の攻撃でファイアローが怯んでいなかったら戦術変更も辞さない所存であった。by作者
「オレさ、勝負も料理もわかりやすいから好きだ!勝負は勝つか負けるか!料理は辛いか辛くないか!……シンプルだろ?でも今のリーグ部はなんでかイゴコチ悪くて、スゲー……難しい!どうすれば前みたいな楽しい部活に戻れるんだろ……」
「(スグリのストイックさに、周りが置いてけぼりになってる感じか?……どうもそれだけじゃない気がするぜ)」
ひとまず、パルデア流の『勝負後の一枚』をしっかり撮影し終え、ここでインターバルに入る。アカマツも自身のポケモンを休ませるため、移動を始めた。
「料理以外の火加減はオレにはわかんねー……けど、ホムラの言う通りじっくり弱火で、時間をかけて考えてみるよ」
「あぁ、その意気だぜ。行き詰まったら相談してくれ」
「ああ!だからホムラ!ブルベリーグ、燃え上がってな!」
「おう!」
ポケモンを休ませるアカマツと別れたあと、そのまま階下に下りようとしたところちょうどカキツバタが歩いてきていた。よっ、と軽い調子で手を挙げつつカキツバタは声をかけてきた。
「おーす、未来のチャンピオン。まずは四天王、一人目勝利だな。幸先がいいねぃ」
「あぁ、勝たせてもらったぜ」
「……アカマツも弱い方じゃねえんだ、考え方が単純なだけで。でもそこがいいとこでもあるんだよ」
「お前ももうちょい単細胞になってもいいと思うが」
「ははっ、オイラはこのままでいいぜぃ」
話しながら、カキツバタの誘導に従ってフィールドに戻る。誰にも聞かれたくはない、ということだろうか。
「部活後、アカマツ飯みんなでつまむの好きだったなあ。あいつもあいつなりに……悩んでたんだな」
「だな。お前とスグリと腸ぶちまkゲフンゲフン、腹を割って話せーって言ってたぜ」
「今、物騒なことを口走りかけなかったか?」
「気にするな!」
「お、おう」
失言は圧と勢いで誤魔化すホムラ、無事にカキツバタに対して誤魔化すことに成功する。なお、彼の幼馴染には同じ手は通じない模様。
「ま、アンタらならリーグ部をたらふく引っ掻き回してくれそうだ。……そいじゃ、残り三天王、がんばってくれーいホムラ」
「いや俺、他のメンバー終わるまでここで待つが」
「……え、待つのか?だいぶ時間掛かるくね?」
「いーのいーの。なんだ、制限時間でもあるのかよ?」
「いや、ないけど……」
「じゃ、いいじゃねーか。のんべんだらりとやらせてもらうさ」
ぬわああああん疲れたもおおおおん、なんて言いながら、ホムラは下で待つ仲間の下へ向かった。コイツいつも疲れてんな。
その後ろ姿を見送るカキツバタ……その目には、若干の厳しさが混ざっていた。そっと目を閉じるカキツバタ。その脳裏には、直前にすれ違ったアカマツの言葉が蘇る。
『カキツバタ先輩。オレ、先輩が何考えてるのかさっぱりわからねー!スグリとのことだって、なんかしようとしてるし』
『オレ、難しいことは分かんないし考えるの苦手だけどさ……ちょっとだけ、考えてみたい。前みたいなリーグ部にするには、どうすればいいのか』
『弱火でじっくり、コトコト煮込むように……ホムラの言う通り、オレなりに考えてみるから。だから、先輩もなんかあったら言ってくれ!』
「……アカマツまで変わった、変えやがった。ホムラ……オイラも飛び火しねーように、気を付けないとねぃ。あの焔は……危険だ」
帰るかー、と呟いてから、カキツバタは歩き始めた。
ホムラのアカマツ攻略後、インターバルを挟みつつコウキ、ゴウタ、リュウセイの三人もアカマツを攻略した。コウキは雨パ(初手はみずテラス夢ライチュウによるねこだまし)で押し流し、ゴウタは古代パラドックスを主軸にした晴れ逆利用パ、リュウセイはまさかの同じほのお統一パで、それぞれアカマツを突破した。
四人全員に負けたとあっては、流石のアカマツも落ち込み果てた。特にスグリから厳命されていた「ホムラ達をがっかりさせない」をちゃんと守れていたか、不安になったほどだ。
当然だが、ホムラ達はがっかりなどしていない。子供の身空でしっかりと考えられた手持ち編成、持たせる道具にポケモンに与えられた役割、すべてにおいて理にかなったものだ。特に「しゅうかくナッシー」には目を見張ったものだ。みずタイプ対策のくさ枠で、晴れ下で性能を十全に発揮する特性と、噛み合いは決して悪いものではない。欲を言うなら、「ひでり持ち」か「ようりょくそ持ち高速アタッカー」、あるいは「デバッファー」いたらどうなってたかわからなかった。
そして、ここで余計なことをしてしまうのが原作知識持ちの性というものか。
「パルデアにはな、こういうポケモンがいて……」
「ほ、ほのおとくさの複合タイプ!?」
「そうそう。攻撃と特攻が両方高いから両刀行けるし、特性がようりょくそで晴れパとも相性いいんだよ。これ、アカマツにあげるよ」
「え!?で、でも……流石に悪いよ……」
「いやいや、友達が強くなってくれるのは大歓迎だ。特性ひでり持ちならキタカミにキュウコンがいるし、今度連れてくるよ。これでもっと強くなってくれ」
「だけど……」
「ちなみにスコヴィランだが……こいつの体内には激辛の辛味成分が……」
「貰います!!」
「よっしゃ売ったぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」
こうしてアカマツにテコ入れがされたことで、後年のブルベリーグの難易度が激ヤバ化したとかなんとか……。
サバンナスクエアを後にした頃には、すっかり日が沈んでいた。時間的にもちょうど良いということで、本日のブルベリーグ挑戦は終わりだ。一行はホムラの部屋に集合することにして、一度食堂へ向かうことにした。一応、リーグ部にも顔を出しておこうと思い、全員でリーグ部の扉を開けた。
「ただいまー」
「お、美味そうな匂いがするな」
「おーす、お前ら。ちょうどアカマツ飯が出来たところだ。食ってくか?」
「マジで!?ラッキー!」
「そういやゼイユは?」
「ねーちゃんはまだレポート終わってないから、部屋で食べてる。……みんな来るなら、ねーちゃんも呼んだ方がよかったか……」
「いや、そこは宿題優先させてやれよ。……なんだ、スグリ。その残念なものを見る目は」
「ゴウタ……いや、なんでもない」(-ω-)
どうやら食堂で調理を終えたアカマツが、食事を部室に持ってきてくれたそうだ。せっかくなので、ホムラ達もご相伴にあずかることにした。
「それじゃ俺は――」
「ホムラは俺の隣な。……な?」
「アッハイ」
特に席が決まっていないそうなので適当に席に座ろうとしたホムラだが、スグリに捕まって問答無用で隣に座らされていた。なんの偶然か、スグリの反対隣にはタロが座っている。
その後、各々好きな席に座りつつアカマツの料理に舌鼓を打つ。その間、スグリがホムラに問いかけた。
「ホムラ、それにみんなも。アカマツに勝ったんだってな」
「お、耳が早いな」
「ん……だって、みんなのことだべな。絶対に負けるわけないって信じてるけど、勝負は時の運って言うし……やっぱり、ちょっと心配で」
「まぁ、過去のバトル映像とか記録とかで対策を練ったからな。いわばメタを張ったわけだ。それで勝てりゃそれは当然で、負けたら相手が上手だったってだけさ」
「一つのタイプを極めることの難しさってのは、ジムリーダーを見てりゃ嫌でもわかる。弱点が複数存在するタイプならなおのことな。そういう意味で言えば、アカマツの実力はほのおジムリーダーと遜色ないものだった。楽しませてもらったぜ」
もしかしたら些細なきっかけで負けるかもしれない、と不安がるスグリ。ホムラ達が全員勝利しただけでなくバトルそのものも楽しめたと聞き、スグリは納得するように頷いた。
「……ふぅ~ん……。まぁ、ホムラ達が楽しんでバトルしてくれたなら良かった。アカマツ、よくやったな」
「あ、うん……」
「にへへ……ホムラ、俺とのバトルじゃもっともっと楽しませてやるからな。楽しみにしてて」
「おう……」
アカマツを見ている間だけ無表情だったのに、ホムラの方へ振り返ったときには既に満面の笑みだ。温度差バグってませんかね?
と、ここで「そういえば」とカキツバタが口を開いた。
「ところで皆さんがた、お次は誰に挑むんですかねぃ」
「サバンナエリアからの距離で言えば、わたしのコーストエリアかネリネ先輩のキャニオンエリアですけど……」
「実力的に言えばネリネよかタロの方が上だが、ネリネの拠点であるキャニオンスクエアは高いところにあるからねぃ。ホムラはライドポケモン、ちゃんと用意してんのか?」
「してるよ、俺とコウキが。リュウセイ達はそれぞれ相乗りって感じだな」
「んじゃ問題ねえか。行きやすさではタロのコーストエリアが、実力ではランク四位のネリネの方が攻略しやすいが、どうすんだい?」
カキツバタはそう言うが、ホムラ達の中では既に腹は決まっている。
「あっ、ホムラさんが良かったらコーストに――」
「次はキャニオンに行こうと思ってる。とりあえず、実力から順にのし上がって行こうかと……悪い、タロ。なんか言ったか?」
「い、いえ……」(・ω・`)
気持ちしょんぼりとするタロ。それを複雑な目で見るアカマツ。逆にハイライトの無い目で睨むスグリ。アカマツと同じ目でスグリを見るネリネ。それぞれの情緒を機敏に察知し、にま~と悪い笑みを浮かべるカキツバタ。何も知らないパルデア組。
オメェの出番だぞ!ゼイユ!はやくきてくれーっ!!
「そんじゃあ、次はネリネかぁ。どうだい、ネリネ。宣戦布告されちまったぜぃ?今のお気持ちをどうぞ」
「……別に、いつもと変わりません。ネリネはいつもどおり、対応するだけです」
食事を終えたようで言うや否や立ち上がるネリネ。そのままリーグ部の扉前まで移動すると、そこで首だけで振り返り目を向ける。
「……強いて言えば、ホムラ」
「俺?」
「ええ。……あなたにだけは、負けません。負けたくありません」
「おっ、いいねえ。やる気があるのは結構だ!こりゃ明日が楽しみ――」
ガンッ!!
ネリネからも勝利宣言を受け、ますます楽しみになるホムラだが、直後に部室内に大きな音が響く。スグリがテーブルに拳を叩きつけ、立ち上がっていたのだ。そして、澱んだ瞳でネリネをきつく睨みつけた。
「お前がホムラに勝てるわけないだろ……弁えろ、ネリネ。ホムラを倒すのは俺だ……でも、そんなホムラは俺よりも強いんだ。俺も強くなったつもりだけど、ホムラに勝てるかどうかなんてまだわからない……未だに迷走している俺に負けてるくせに、ホムラになら勝てるとでも思ってるのか?
「スグリ……いえ、失言が過ぎました。……失礼します」
最後は言葉尻に悲しみを含ませながらも、ネリネは部室を後にした。スグリは小さく息をつくと、また普段と変わらない笑顔に戻った。
「ごめんな、ホムラ。気分悪くねえか?みんなのことは俺よりも強いんだぞーって事前に教えてたんだけど……まだ、よくわかってないみたいだ。後でわからせておくべ」
「い、いや!わからせる必要とか全然ないんだが!なんなら明日にはバトルするんだから、俺の実力を知ってもらういい機会だし!?今のスグリの強さがどんなもんかは分からないが……いい勝負するんじゃないか?」
「またまたぁ……ホムラは謙虚だべ。遠慮しいになったなぁ、一体何があったの?」
「(いや、お前ん中の俺らに対する過大評価の方が何があったんだよ)」
すんでのところでその言葉は飲み込み、声に出すことだけは避けられた。コウキ達がさりげなくほかのリーグ部員に目を向けると、タロもアカマツもカキツバタもかなり微妙な表情に変わっている。だが、スグリは周囲の三人に気づいていない……否、スグリは三人を見てすらいなかった。
「キタカミでコータス一匹に俺の六匹全部倒された衝撃、今でも思い出せる……あの時みたいなすごい勝負、俺もやってみたいって思ったんだ。それで、キタカミでの勝負のこととか思い出しながら――時々ねーちゃんにも聞いてみたりして――みんなのバトルの研究してんだ」
「リスペクト精神やべぇ。でもま、憧れてるだけじゃまだまだだぜ?憧れって事は背中を見て追っかけてるだけだからな、そのままじゃ追いつけはしても追い越せはしないぜ」
「……!そ、そうか……俺、そんな簡単なことにも気付けねぇで……やっぱホムラはすごいべ!」
「俺らより強くなったって、証明してくれるんだろ?なら、存分に追い越してくれ。その代わり……追い越したら、俺らもすぐに追い越してやるからな」
「うん……うん!!」
ホムラの言葉を受けて嬉しそうに笑うスグリ。それからすぐに「こうしちゃいられん」とばかりに席を立った。
「俺、やっぱもう一度手持ちポケモン見直してくる!アカマツ、飯、ごちそうさま。それじゃね、みんな!」
ドタバタと走り去り、扉の開閉も勢いそのままに出ていくスグリ。足音が完全に遠ざかったところで……全員が一気に肩の力を抜いた。
「……なんか想像の云十倍はやばいぞ、今のスグリ」
「憧れ……で、済ませていいと思うか?」
「なあ、アカマツ。お前もひょっとしてネリネと同じことを言われてた口か?」
リュウセイがアカマツに話を振ると、微妙な表情素のままにアカマツは頷いた。
「うん。……みんなのことは、スグリがブルベリーグで勝ち上がってきた時に聞いてた。スグリにも熱く語れる友達がいて、俺も強火に燃えてきた!……って、思ってたんだけど」
「ありゃあ、そんなもんにゃ全然見えねぇがねぃ。尊敬や憧憬とも違う……むしろ、神聖視してるようにオイラには見えたね」
「わたしがみなさんのことを聞いたのも、スグリくんとゼイユさんのお二方からなんです。特にスグリくんの話はなんだか誇張されているようにも思えて……だから、どんな人たちなのかなって、ちょっと不安だったんです。でも、実際に会って話してみたら全然普通の人達で……スグリくんが言うほどの人物なのか、よくわからなくなったんです」
どうやらスグリは学園中にホムラ達のことを吹聴して回っているらしい。どうりでドーム内で勝負したブルベリ生が自分たちを「恐ろしいものを見る目」で見てきたわけである。異常に強くなり自他ともに厳しくなったスグリ……そして、そのスグリ自身が自慢気に言いふらした自分よりも強い人たち……そりゃビビられるだろ。
「周りが何をどう言おうが関係ねぇ、俺たちは俺たちのバトルをするだけだ」
「……まぁ、そりゃそうだよな。周りやスグリが俺らをどう見てるかなんてのはどうでもいいことだ」
「おや、図太いねぃ。やっぱスグリより強いから、自信があるんかい?」
からかうようにそう言うカキツバタだが、直後に返ってきたのはコウキの冷めた目線だった。
「強いからなんだ、カキツバタ。それはただの結果だ。たかだか同じ結果が数回続いた程度で確信を得るなんて、早合点が過ぎるんだよ。同じポケモンでも技・持ち物・性格・三値どれか一つ違うだけで勝負の結果なんて180度変わるんだよ」
「そしてなにより、ポケモンバトルってのはトレーナーとポケモンという生き物同士の戦いだ。生きてるもん同士の戦いなんて毎回同じとは限らんだろ?その日の調子や咄嗟の判断力、そして戦闘中の情動次第じゃ何が起こるかわからん。強い奴が勝ち続けるのは妄想だ、そんなのは
「…………」
ホムラもコウキの言葉に同意するように続けてそう言った。若干、カキツバタがバツの悪い顔に変わるも、それはすぐに一変した。
「だからこそおもしれぇんだ、ポケモンバトルってやつは」
「へ?」
非難めいたことを言われたと思えば、一転して笑みを浮かべるホムラ。コウキ、そしてリュウセイとゴウタとケンスケも笑顔だ。
「はっきり言うがな、俺たちは誰ひとりとして勝てるつもりで戦ったことなんて一度もねぇし、負けるつもりはないが負ける可能性を考えなかったことはないぞ。むしろ負ける可能性を考えて、その負け筋を潰すために手持ちを臨機応変に入れ替えて、最後の最後で勝利をもぎ取る……それくらいはする。別に命をベットしてるわけじゃねえんだ、負けたらまた挑めばいい。それくらいには軽い気持ちでいるぜ、俺たち」
「それに、何事も楽しまなきゃ損だ!そう思うだろ?あんたも」
ケンスケがカキツバタに尋ね、そのまま視線でアカマツにも問うた。少しばかり考えてから、カキツバタは答えた。
「……まぁ、楽しいならそっちのほうがツバっさん的にはいいねぃ」
「俺も!熱く燃えるバトルなら大歓迎だ!!」
「タロはどうだ?まぁ、タロの場合は楽しいもそうだがもっと重要なものもあるよな」
「はい!わたしは可愛いものが大好きなので、『可愛い』もすっごく大事です!」
カキツバタとタロ、アカマツの返事を聞き、ホムラは満足げに頷く。それから少し瞑すると、困ったように笑った。
「……スグリのやつは、今はブレーキが壊れた列車みたいなもんだ。けど、どっかでブレーキ直して足を止めて振り返ってくれりゃ、きっといつものスグリに戻るはずなんだがな」
「……線路の先に目指す場所があるなら、止まることってないんじゃね?」
「そうかもな、カキツバタ。けど、俺たちはスグリを信じてるよ。だから大丈夫……俺たちは、バトルフィールドであいつとぶつかるだけだ」
それからホムラが動き出したのを皮切りに、全員が動き始める。それぞれ自室に戻り、明日の四天王戦に備えるためだ。
「なんにせよ、明日は明日の風が吹くってな。今日のところはこのへんで!アカマツ、ご飯美味しかったぜ!それじゃあみんな……おつヴァルー」
「おつコーン」
「おつみぉーん」
「完食おかゆ~」
「おつころ-ん」
上からコウキ、ホムラ、リュウセイ、ケンスケ、ゴウタの順に挨拶していってからリーグ部の部室を後にした。後に残されたのはブルベリ組のみである。
明日はキャニオンエリアでネリネと戦う。それが終われば次は……。
「独特な挨拶……サンドウィッチといい、パルデアって不思議な地方なんだなぁ」
「なぁ、タロ。『さんち』ってなんだ?」
「わたしが知るわけないでしょ、カキツバタが自分で聞きなさい」
16,000字も書いて四天王一人目って……もうちょいハイテンポで書いてみようかな。