ポケットモンスターHUNTER アルセウス   作:箱厨

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BGMはお約束のアレを垂れ流しながらご覧下さい。


最終決戦 ~禁忌の力~

ついに始まった、ミラボレアスとの最終決戦!私達はすぐに散開し、ミラボレアスへの攻撃に移る!

 

「グラビモス、リフレクター!」

 

「ガムート、ひかりのかべ!」

 

まず、セキさんとカイさんが防御技であるリフレクターとひかりのかべで、耐久力を高める!この技は味方陣営全体に影響する技……今回の場合、グラビモスとガムートが「味方だ」と判断している全員に守りの壁が貼られたわけだ。

 

「ジンオウガ、とおぼえ!」

 

「ゼルレウス、おいかぜだ!」

 

ジンオウガのとおぼえで味方全体の攻撃力を高めつつ、さらにゼルレウスのおいかぜで素早さアップ!

 

「さらに!ジンオウガ、コーチング!」

 

『頑張れ頑張れできるできる絶対できる頑張れもっとやれるってやれる気持ちの問題だ頑張れ頑張れそこだ!そこで諦めるな絶対に頑張れ積極的にポジティブに頑張る頑張る北京だって頑張ってるんだから!』

 

「(うるっさ!?)」

 

コーチングは自分以外の味方の攻撃力と防御力を一段階上げる技だけど……こんなうるさいもんだっけ?あと、ペキンってなに?

 

「おぉ!?なんか俺たちにも力が漲ってくるぜ!」

 

「リフレクターにひかりのかべ……たしか、それぞれ物理技と特殊技の威力を減衰してくれるんだったか」

 

「ありがたい話ですわ。アタシのようなガンナーは総じて防御が低いものですから」

 

「これで、多少の被弾は気にならない……切り込む!!」

 

「援護しますわ、姉様っ!」

 

静香さんが一気に駆け出す。その速度はおいかぜの効果もあって、ブラストダッシュ並みの爆速だ。ネネさんも攻撃のためにミラボレアスに接近し、ある程度の位置からボウガンを構える。静香さんを追いかけるようにヒューイさん、ニールさん、シュラークさんも走り出す。

 

「うおっとぉ!?こりゃあ、大した速さだぜ!」

 

驚きながらも抜刀し、腕を振り下ろしてきたミラボレアスの爪と爪の間に体をねじ込んで回避し、そのまま腕に太刀を突き立てた。ちなみに、静香さんも爪攻撃を回避して、今はミラボレアスの後方に回り込んでいる。

 

「おっと!一番槍はハンターに奪われちまったか」

 

「何言ってんの、セキ。私達トレーナーの役目はバリスタの防衛兼ハンターの支援でしょ!」

 

「だが、見てるだけは性に合わん!後に続けセキ!往くぞ、ディノバルド!!」

 

「よっしゃあ!わかってるじゃねぇか、デンボクの旦那!行くぜ、グラビモス!カイ、後は頼んだ!!」

 

「ちょっとぉ!?」

 

あ、デンボク団長がディノバルドと一緒に走り出し、さらにセキさんがその後に続いた。上空では空飛ぶ飛竜組がミラボレアスの頭上からエアスラッシュで攻撃を仕掛けている。先輩とライゼクス、アカイさんとゼルレウスにラ・ロだ。

 

「(ミラボレアスはドラゴン単タイプ。加えてほのおとドラゴンに弱く、みず・かみなり・こおりに強い体質だ)」

 

『だが、見た感じほのお技もドラゴン技も、ミラボレアスに大打撃って感じに見えないな……もしかして、特性か?それも威力を半減するパターンの』

 

「(フィルターやハードロックと同じってこと?)」

 

『いや、あれらの特性でも減衰できるのは元々のダメージの3/4までだ。ミラボレアスの場合は、きっちり半分って感じだな。あれで向こうも壁を張ってきたら、半減の半減になっちまう』

 

1/2をさらに1/2だから……うわっ、ドラゴン単タイプなのもあって、実質弱点なしじゃん!

 

「(壁込みで最大1/4減衰か……随分と頑丈なことで)」

 

『気をつけていくぞ、ショウ。メタモンで予行演習したとはいえ、あれは体力まではコピーできないんだ。つまり、メタモンの時以上に時間がかかる……そして、ミラボレアスの計画上、俺たちに残された時間は少ない。焦って判断ミスしないよう、しかして迅速に奴を倒さなければならん』

 

「(わかってるよ、光輝叔父さん)」

 

遠目に見ても、ミラボレアスはモンスターからの攻撃にはあまり動じていないように見える。反面、ハンターからの攻撃には露骨に警戒しているのか、そちらへの対処を優先しているようだ。

ミラボレアスは一度腹ばいの姿勢になると、その場で一回転して周囲を薙ぎ払う。あれは、ティガレックスと同じ動きだ!けれど、そこは静香さん達ハンターだ。タイミングよく回避して、即座に反撃に転じている。

 

「ギギャオオォォ!!」

 

「うるさい、よっ!」

 

上体を起こし、たつまき攻撃で全体攻撃を仕掛けるミラボレアスに対し、静香さんはブラストダッシュでほぼ真上めがけて上昇する。そのままミラボレアスの上を取ると、思い切りガンランスを顔面めがけて叩きつけた!

 

「グルルッ!!」

 

「……っ」

 

だが、ミラボレアスも怯むことなく頭を振って静香さんを押し返すと、そのままかえんほうしゃをぶっぱなす。空中に投げ出されたところを狙い撃ちにされる静香さんだが、ラ・ロが器用に盾だけを掴んで救出、事なきを得た。

 

「仕掛けるぞ、テル少年!」

 

「わかりました!行くぞっ、ライゼクス!メガシンカッ!!」

 

先輩とアカイさんの指示を受けたゼルレウスとライゼクスが、ミラボレアスに突っ込んでいく。ゼルレウスがメガシンカを終えたライゼクスに向けて目配せすると、お互いに頷き合う。

 

「この日のために訓練した、コンビネーションアタックだ!」

 

「存分に味わえ、黒龍!」

 

「「エアカッター!」」

 

ミラボレアスの正面から突っ込むゼルレウスとメガライゼクス。ある程度まで弾幕を張ると、ゼルレウスが前に出た。

 

「よし。ライゼクス、でんげきは!」

 

「ゼルレウス、スタンバイ」

 

突撃しながら繰り出されたエアカッターがミラボレアスに襲い掛かり、動きを封じ込める。その直後にメガライゼクスが放ったでんげきはが降り注ぎ、さらなる押さえ込みにかかった。鬱陶しい、とばかりにきりさく攻撃ででんげきはを振り払うミラボレアスだが、その直後には既にゼルレウスが懐に飛び込んでいた。

 

「ハンター各員は離れていろ。ゼルレウス、ドラゴンクロー!」

 

ゼルレウスの翼爪にて展開されたドラゴンクローがミラボレアスの土手っ腹にぶち込まれる。ゼルレウスは足腰を踏ん張り一回転しつつ、そのままミラボレアスを空に勝ち上げた!

吹っ飛んでいくミラボレアスが体勢を整えようとした直前、横からすっ飛んできたメガライゼクスがゼクスカリバーを突き込み、そのまま掻っ攫っていく。

 

「行くぜ、新技!カリバー・バンカー!」

 

新技!?メガライゼクスはミラボレアスに突き込んだゼクスカリバーの電刃を射出!さらに吹き飛ぶミラボレアスに、すかさずエアカッターを浴びせていく!

 

「アカイさん、送ります!」

 

「貫け!ドラゴンダイブ!」

 

まるでミラボレアスを誘導するようにエアカッターを繰り出すメガライゼクス!そこへまっすぐにゼルレウスがドラゴンダイブで突撃していく!上空へとミラボレアスを押し上げるゼルレウスに対し、先回りしたメガライゼクスが攻撃態勢に入る!

 

「合わせろ、テル少年!」

 

「了解!ライゼクス、らいめいげり!!」

 

ゼルレウスが運んできたミラボレアスを、メガライゼクスのらいめいげりが地上へと叩き落とす!

 

「仕上げだ!りゅうせいぐん!」

 

「こっちもりゅうせいぐんだ!!」

 

ゼルレウスとメガライゼクスによるダブルりゅうせいぐん!ドラゴンタイプの最強技、それの二頭同時攻撃!降り注ぐ隕石に押し込まれ、地上に叩きつけられたミラボレアスにさらなる隕石の追撃が加わってド派手な大爆発を引き起こした!

 

「ラ・ロのようにはいかないけど……」

 

「いや、いい連携だった」

 

うん、実際見ててもすっごくいい連携だった。……空から見てたラ・ロが、遠目に見てもわかりやすく嫉妬しているくらいには。爆炎に包まれるミラボレアス……だけど……!

 

「ギギャオオオオオォォン!!」

 

「くっそぉ……てんで堪えないか……!!」

 

「だが、全くのノーダメージではない。絶えず攻めるぞ!」

 

「了解……!」

 

ミラボレアスは立ち上がった。見た目ではまるでダメージがないように見えるくらいには、かなり耐久力があるようだ。ミラボレアスは空を舞う飛竜達を睨みつけると、その大口を開けてりゅうのはどうを放った!しかもりゅうのはどうは途中で枝分かれしてそれぞれゼルレウス、メガライゼクス、ラ・ロに襲いかかった!

 

「マズイ!避けろライゼクス!」

 

「ちっ、味な真似を……」

 

「むぅ……いかんな。タマミツネ、メガシンカじゃ!」

 

「コオオオォォンッ!!」

 

ムベさんが動いたか!よし、私達も合わせて行こう!

 

「タマミツネ、マジカルシャイン!」

 

「ジンオウガ、はどうだん!」

 

メガタマミツネのマジカルシャインが追尾するりゅうのはどうをフェアリータイプで無力化しつつ、走り出したジンオウガのはどうだんを発射口であるミラボレアスの口部に撃ち込む!流石にこれには怯んだようでふらつき倒れこむミラボレアスへさらなる追撃を加える!

 

「ラギアクルス、りゅうのはどう!」

 

「ベリオロス、れいとうビーム!」

 

「迂闊ですわね、ミラボレアス!」

 

ラギアクルスのりゅうのはどう、ベリオロスのれいとうビームに加え、ネネさんの弾丸による連続攻撃!すかさずミラボレアスははかいこうせんで反撃に転じる……が!

 

「シズカ!」

 

「了解!」

 

射線上に立ったニールさんと静香さんが、それぞれ大剣と盾を使ってはかいこうせんを上空へと逸らした!

 

「隙は逃さない!」

 

「往生しろやぁ!」

 

「ディノバルド、つじぎりだ!」

 

「グラビモス、ストーンエッジ!」

 

攻撃のために動きを止めたミラボレアスへ、シュラークさんとヒューイさんからの追撃が加えられる!二人に対する反撃も、ディノバルドとグラビモスが技を挟むことで妨害できた。

 

「今だよっ、支援砲撃!」

 

「合図するっ!用意……撃ぇッ!!」

 

ワサビちゃんの声を受け、カイさんがバリスタ隊に合図を送る。ガムートの鼻の動きに合わせて、一斉にバリスタ弾が発射された。四方八方から降り注ぐバリスタ弾によって槍衾になるミラボレアス……それでもドラゴンダイブで周囲一帯を薙ぎ払いつつ体に刺さったバリスタ弾を振り落とす動きを見せた。くっ、まだまだ元気が有り余ってるか……。

 

「ちっ、余裕綽々ってか……バリスタ隊は一時待機!合図を待て!」

 

ヒューイさんの素早い指示で、バリスタ隊は息を潜めるようにして合図を待つ。過度に攻撃を加えすぎて、バリスタ隊がヘイトを集めるようなことだけは避けなければいけない。リフレクターとひかりのかべの効果ももうじき切れる……その瞬間をミラボレアスに悟られないよう、攻勢に出る!

 

「ジンオウガ、前へ!ミラボレアスのヘイトを稼ぐよ!」

 

「ワオン!」

 

「よし、しんそくだ!」

 

「タマミツネもしんそくじゃ!」

 

ジンオウガとメガタマミツネが縦横無尽に駆け回り、ミラボレアスを翻弄する。いいぞ、ミラボレアスはあの高速移動に対応できていない!

 

「こいつを喰らいやがれ!」

 

「フルパワーで行く……!」

 

「うおおぉぉぉぉ!!」

 

ヒューイさんの桜花気刃斬、静香さんのAAフレア、ニールさんの震怒竜怨斬がそれぞれミラボレアスに直撃する。特にヒューイさんの技……カムラの里のシキさんは翔蟲を使っていたけど、ヒューイさんは「いらんだろ」とのこと。静香さんは「なくてもできないことはない」って言ってたけど、本当にできるんだ……。

立て続けに繰り出される連続攻撃に、ミラボレアスは鬱陶しそうに顔を顰めると翼を大きく広げた……ぼうふうを使うつもりだな!?

 

「……拘束弾!」

 

「……装填完了!」

 

「撃ぇッ!!」

 

一発目の拘束弾が使われた!指示をしたのはヒューイさん、合図はもちろんカイさんだ。ミラボレアスから向かって右側から放たれた拘束弾は右の翼膜を貫通し、矢尻が左の翼膜を貫いたところで止まった。これでミラボレアスはしばらくの間、翼を使った攻撃及び飛行ができなくなった!

 

「……!?ギギャオオオオオオオオン!!」

 

翼を縫い付けられたと理解したミラボレアスが怒りの咆哮を上げた。拘束弾を放ったバリスタ台を見つけるなり、きあいだまで攻撃を仕掛けた!

 

「……!ムベさん、お願いします!」

 

「相分かった!タマミツネ、ミラーコート!!」

 

カイさんの言葉を受けたムベさんが間髪を容れずメガタマミツネに指示を出す。ミラーコートは特殊技であるミラーコートを反射して、逆にミラボレアスにダメージを与えた!

 

「ディノバルド、サイコカッター!」

 

「ライゼクス、チャージビーム!」

 

「ゼルレウス、もう一度おいかぜだ。そろそろ効果が切れるぞ」

 

「……よし、今なら大丈夫そうだ。グラビモス、リフレクター」

 

「ガムート、ひかりのかべ。もう一度お願い」

 

ちょうど効果が切れたリフレクターとひかりのかべ、さらにおいかぜも再展開され、戦線が崩れることなく順当に攻防戦が繰り広げられている。……それにしても、本当にタフなやつだな……!これだけ猛攻を浴びせているのに、いまだにケロリとしている……いや、長丁場になるのは確定しているんだ。下手に焦りを出すわけには行かない!

 

「グガオオオォォォ!!」

 

ミラボレアスが大きく吠える……口に蓄えたエネルギーを天高く放つ技……あれは、りゅうせいぐん!?

 

「りゅうせいぐんか!」

 

「な、なんて数だ!?」

 

セキさんとデンボク団長が空を見上げて驚愕している……それもその筈、今私達に見えている限りの広範囲に、りゅうせいぐんが展開されているからだ。あれでは、この戦闘領域の外……最悪の場合、天冠の山麓周辺にまで降り注ぐかも知れない!!

 

「くっ、ジンオウガ――」

 

「ダメだ、ショウさん!今はバリスタを守るんだ!」

 

「シュラークさん!でも……!!」

 

「気持ちは分かる……だが、ここで攻め手を欠くわけにはいかない!空でゼルレウス達も迎撃してくれている。彼らを信じて、バリスタを守るんだ」

 

「了解……っ!」

 

シュラークさんの言うとおり、上空ではメガライゼクスのほうでん、ゼルレウスのねっぷう、ラ・ロのドラゴンエナジーなど、広範囲に攻撃をする技で隕石を次々と撃ち落としている。さらに地上からはバリスタとその周辺に迫るものを破壊している。それでも撃ち漏らしというのは出るもので、戦場に落下するものならまだしも戦場の外へ落ちていくものも少なくなかった。

 

「(みんな……どうか無事で……!)」

 

「くそっ、好き勝手しやがって……!」

 

「調子に乗って……!!」

 

ディノバルドのアクアカッター(!?)をドラゴンクローで押し返し、さらにグラビモスのもろはのずつきをアイアンテールで弾き飛ばしながら、ラ・ロとゼルレウスのダブルりゅうのはどうをばくおんぱでかき消しているミラボレアス……くっ!わかってはいたけど、本当に強い!

 

「アイツ……ちっともバテる様子をみせないな……」

 

「技巧種化に伴って、色々とタガが外れたのかもな。まったく、腐っても源龍亜目ってわけか」

 

「今のところバリスタへのヘイトも逸らせているし、大技を見せる予兆もない……どのタイミングで最大火力を仕掛けるか、見極めないと」

 

「だったらミラボレアス最大攻撃である『劫火』をどうするか、だな。『劫火』を放たれる前に仕留めるか、なんとか『劫火』を凌いだあとに仕掛けるか……」

 

ネネさんを除くハンター達が集まって、臨時の作戦会議を始めた。ネネさん?ガムートと一緒に遠距離攻撃に徹してるよ。

今はちょうどラギアクルスがウェーブタックルを仕掛け、それを目くらましにメガタマミツネが妖泡をミラボレアスに放って泡まみれに。するとミラボレアスがほうでんで周囲を攻撃し始め、それをラギアクルスとジンオウガ、空はライゼクスが受け止めて無力化する。

 

「よしっ!」

 

「互いに無効化できるタイプの攻撃をフォローし合えば、最強の古龍の攻撃とて恐るるに足りません!」

 

「いっけー!ベリオロス!アイスサイクロン!!」

 

ベリオロスのアイスサイクロンが炸裂し、氷の竜巻がミラボレアスの視界を封じる!嫌がるように顔を背けると、竜巻に向かってほのおのうずを放ってこれを無効化した。けど、それこそを待っていた!

 

「ゼルレウス、フレアドライブ!ラ・ロ、ドラゴンダイブ!」

 

ほのおのうずを突き破って、ゼルレウスとラ・ロがミラボレアスに全力の体当たりをぶち込む!一歩、二歩と後退するミラボレアスだが、今度は自身がフレアドライブを発動した。全身を包み込む炎……って、マズイ!

 

「拘束弾の縄に、火が!!」

 

「あれじゃあ、拘束が解かれてしまう!」

 

ミラボレアスの翼を縫い付けていた拘束弾……その縄に引火してしまい、縄が焼ききれてしまった!結果、ミラボレアスの拘束が解除されてしまい、自由になった翼を使って早速攻撃を仕掛けてきた!

 

「うおおっ!?こりゃねっぷうか!デンボクの旦那!」

 

「うむ!ディノバルドとグラビモスを、皆の盾にするのだ!」

 

命令を受けたディノバルドとグラビモスが、早速行動を起こす。ディノバルドは獣竜種特有の長い全長を広く使い、グラビモスは翼も使ってねっぷうを受け止めてこちらの被害を最小限に食い止めてくれた。

 

「ならば……タマミツネ、あまごいじゃ!」

 

「コオオォン!」

 

「おぉ……ねっぷうの威力が減衰していく!」

 

メガタマミツネのあまごいによって雨が降り始め、ねっぷうの威力がさらに減っていく。けど、雨の天気は一部の技を必中状態にする効果も持つ……様々な技を駆使するミラボレアスが相手だと、諸刃の刃にも等しい戦術だ。でも、こちらとてそれくらいはわかっている!

 

「ぼうふうが来ます!先輩、アカイさん!」

 

「おう!」

 

「うむ」

 

「「ぼうふうだ!!」」

 

ミラボレアスの行動は私たちの予想通りにぼうふうだった。雨状態で必中になる技の一つで、翼が自由になって間がない今なら、かならずミラボレアスは使ってくるだろうと読んでいたのだ。

ミラボレアスと、ゼルレウス、ラ・ロ、メガライゼクス三頭によるぼうふうがぶつかり合う。生態系上位種三頭のぼうふうだというのに、ミラボレアス一頭のぼうふうのほうがわずかに威力が上か……!!

ぼうふうはなんとか互角のまま打ち消し合われたけど、こんどはかみなりか!

 

「ガラナさん!」

 

「えぇ、ショウさま!ラギアクルス、皆を守るのです!!」

 

ジンオウガ、ラギアクルス、メガライゼクスが縦横無尽に動き回り、かみなりを次々と受け止めていく。それによって急速に電力が充電されていき、全員がフルパワー状態になった。

 

「行くぜっ!ゼクスカリバー!!」

 

「参ります……旋嵐万雷!!」

 

メガライゼクスが頭上からゼクスカリバーを叩きつける!こっちはシャドークローで受け止められたけど、ミラボレアスがメガライゼクスに気を取られている隙に懐に飛び込んだラギアクルスには気が付かなかった!

真下から食らわされた雷の嵐に体勢を崩すミラボレアス。それを見逃さず、一度受け止められたゼクスカリバーを再度振り下ろすメガライゼクス!今度は頭部に直撃し、わずかだけどミラボレアスの動きが止まった!

 

「ジンオウガ、はかいこうせん!」

 

「ワオオォォン!」

 

「……!波状攻撃だ、ショウに続け!」

 

ヒューイさんからの指示によって各方面に回り込んだモンスター達による全方位からのはかいこうせんによる波状攻撃が仕掛けられる!複数のはかいこうせんを撃ち込まれ、大爆発を起こすミラボレアス……どうなった?

 

「グルルルル……」

 

「……やはり、未だ健在か」

 

「まだまだ勝負はこれからだ……気を抜くなよ、ショウ」

 

「わかってますよ、ヒューイさん」

 

勝負はまだまだこれから……ミラボレアスだって全然本気を出してないだろうし、油断はできない。特に『劫火』というシンプルな名前ながら最強と言われるミラボレアスの大技がまだ繰り出されていない。この『劫火』を放たれる前に仕留めるか、『劫火』を凌いでから倒すのか……どちらにせよ、私達が勝たなければ明日はないんだ!絶対に勝利してみせる!!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

~シンオウ地方~

 

マサゴタウン。海に繋がる砂の街と明記された看板のすぐそばに建つ家から、ひとりの女性が出てきた。濃紺のロングヘアーに青い瞳を持つ女性は、赤黒く染まった空を見上げている。その目が訴える感情は、果たしてどのようなものだったか……。

 

「また、空を見上げていたのかい?」

 

「うん」

 

女性のあとに続くように、短い黒髪の男性が出てきた。隣り合って立ち、ともに空を見上げる。そうしているうちに男性の方がなにか気配を感じ取ったのか、違う方へ視線を向けてから家の中へと戻っていった。やがて男性が見ていた方角から、一匹のポケモンが飛んできて着地した。マッハポケモンのガブリアスである。

そのガブリアスの背中から、ひとりの女性が飛び降りた。長い金髪を靡かせる、美しい妙齢の女性だ。

 

「シロナさん」

 

シンオウ地方チャンピオン・シロナ。一度はチャンピオンの座を降りたが、新チャンピオンである女性の複雑な事情からチャンピオンを交代し、再びその座に返り咲いた最高クラスの実力者である。

 

「お久しぶりね、こんにちは……って、この空の色では時間間隔もあやふやね……」

 

「ご無沙汰しています。……それで、何かわかったことでも?」

 

「えぇ。かつて、シンオウが『ヒスイ』と呼ばれていた時代に一度、起こったことがある現象のようね。ヨスガシティにある異文化の建物……あそこに飾られた一枚の絵を何十回と検分を重ねた結果、判明したわ。

我が家で見つかった謎の手記(・・・・)のことも含めて、昔のシンオウ……ヒスイにはとんでもないポケモンが跋扈していたようね」

 

「そうですか……」

 

シロナからの報告を聞き、憂うようにため息をつく女性。彼女の何かを堪えるような表情に、シロナもまた複雑な心境を抱く。

 

「この現象も、誰が引き起こしているのかを突き止めなくちゃ……ギンガ団も解散したというのに、いったい誰が……」

 

「……もし、この現象を起こしているものが、過去にいるとしたら……」

 

「……!まさか、歴史改変!?だとすれば、シンオウ時代にいる私たちにできることは……」

 

「なにもない、でしょうね」

 

女性がだした仮設が正しかった場合を想定して、シロナは苦虫を噛んだ顔になる。犯人が過去にいるのなら、未来にいる自分たちに出来ることはほとんどないからだ。それから、シロナはわずかに気まずそうにしながら女性に尋ねる。

 

「……ところで、ショウちゃんは……?」

 

「…………」

 

「……そう、まだ見つからないのね」

 

「シロナさん、粗茶ですが」

 

家の中に引っ込んだ男性が、お茶の入った湯呑を持って出てきた。どうやらシロナの来訪を予感して、お茶を淹れてくれたらしい。

 

「あら、気が利くわ……ありがとう、いただきます」

 

「……シロナさん、娘のことなら心配はいりません。娘も立派なポケモントレーナーです。冒険に夢中になって、ちょっと報連相が疎かになっているだけですよ」

 

「……だと、いいのだけれど」

 

「大丈夫」

 

なおも心配げにするシロナに対し、女性が口を開いた。憂いを帯びた儚げな表情だが、その目には確かな力の宿った火が灯っている。

 

「あの子は、私の子だから。たとえシンオウ地方の裏側だろうと、過去や未来に飛んでようと、自分の役割をきちんと果たして帰ってくる」

 

「…………」

 

「だから……」

 

「あぁ、みつけた」

 

全員が、一斉に振り返った。真っ白なドレスに真っ赤な瞳の、幼い少女。男性が肩の力を抜き、シロナが警戒し、女性は驚愕で目を見開いた。

 

「ようやくみつけた。会いたかったわ……」

 

少女は、女性を真っ直ぐに見据えている。幼い見目に似合わぬプレッシャーにシロナとガブリアスが冷や汗を流す中、女性が一歩前に出た。

 

「はじめまして。私にご用?」

 

「ええ、そう。あなたを探していたわ。シンオウ地方前チャンピオン。『ヒカリ』」

 

「…………」

 

「……いえ、あなたを呼ぶなら、それにふさわしい呼び名があったわね。そうでしょう?」

 

 

――イナヅマ ミツリ

 

 

紡がれたその名に、女性が表情を消した。

 

彼女の名前はヒカリ。シンオウに生まれ、シンオウで育った彼女には、前世の記憶があった。

前世の名は、稲妻光梨。二十代半ばで命を絶った、悲劇の天才外科医。

 

ジンオウガに転生した、稲妻光輝の従姉である。

 

 

 

 




次回、祖龍VSヒカリ(光梨)……!?
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