ポケットモンスターHUNTER アルセウス   作:箱厨

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最終決戦 ~英雄の証~

ミラボレアスとの決戦、開戦から体感で二時間以上は経っているような気がする……それでもミラボレアスはなお倒れず、そして私たちも戦い続けていた。少しずつではあるが、遥か天上に見えるシュレイド城の姿がはっきりしてきている……これは、もうかなり時間がないのではないだろうか。

ミラボレアス最大の必殺技『劫火』をなんとか乗り切った私達だけど、技の余波で私たちヒスイ組が持つ道具のほとんどがダメになってしまった。……静香さん達が持っているアイテムポーチが健在なあたり、一体どうなってるんだ向こうの世界は……。

現在のところ、ディノバルド、タマミツネ、ライゼクス、ガムートが戦闘不能となった代わりに、シロちゃんがルギア、グラードン、ゼクロム、イベルタル、ルナアーラ、ザマゼンタと、非常に豪華な伝説のポケモンを引き連れて戻ってきた。これだけ強力なポケモンたちが勢ぞろいしているのに互角以上と断言するのが躊躇されるあたり、さすがはミラボレアスといったところだ。伝説に謳われるポケモン達も、緊張で顔がこわばっているのが見て取れる……ミラボレアスの脅威を、正しく理解しているんだ。

 

「ウォロ。しばらく彼らのうち何匹かを預けるわ。上手くショウ達を援護して」

 

「援護、ですか……伝説のポケモンといえど、やはりミラボレアスほどの脅威が相手では分が悪いと?」

 

「アルセウスでさえ打倒の叶わない相手よ?別におかしな話ではないでしょう」

 

「……業腹ですが、認めましょう。では、空を飛べるポケモンはシロさんにお任せします。きっとあなたの方がうまく動かせるでしょう」

 

「では、グラードンとザマゼンタの指揮権を譲るわ。お願いね」

 

「了解しました」

 

そんな会話が聞こえてきた。やはり、アルセウスはミラボレアスに……許さないぞ、ミラボレアス!

 

「グラビモス!リフレクターだ!」

 

「なるほど、先んじて壁を張り守りを固めると……では、ザマゼンタ、ひかりのかべです!」

 

ガムートが抜けてできた穴だけど、ザマゼンタのおかげで補強されたみたいだ。……それにしても、お母さんから名前だけは聞いたことのある伝説のポケモンが一堂に会するなんて、とんでもない話だ。

再び両壁が展開されたと悟ったミラボレアスは、片腕を高く上げてそれをハンターめがけて振り下ろそうとしてきた。あの技は、かわらわり!まずい、あの攻撃が成立するとせっかく張った壁が破壊される!

 

「ルギア、イベルタル、サイコキネシス!!」

 

と、ここでルギアとイベルタルによるサイコキネシス!ミラボレアスの動きが阻害されている!!念力で動きを止められた経験がないのか、ミラボレアスが困惑しているのが分かる。

 

「ふふっ、超能力を実際に受けるのは初めてかしら!?」

 

「今のうちに攻撃させてもらうぜ!卑怯とは言うまいな、黒龍!」

 

サイコキネシスで動きを止められたミラボレアスに、ヒューイさんからの猛攻が仕掛けられる。ニールさん達はじばく攻撃が直撃した影響か、回復作業は終えたけどまだ動けそうではない。ならば、ここは私達が!

 

「ジンオウガ!」

 

『おう!行くぜ、ショウ!!』

 

「「うおおおおっ!!/ウオオオオッ!!」」

 

ここからが正念場と見た私たちは、すかさず"きずなへんげ"を発動させる!!

 

「ジンオウガ、かみなり!」

 

「テル少年!ゼルレウスを預けるぞ!」

 

「わかりました、アカイさん!」

 

「「はかいこうせん!!」」

 

ジンオウガがミラボレアスへ迫りながらかみなりで攻撃を仕掛ける。ちょうどライゼクスを失った先輩が、アカイさんからゼルレウスを預けられたことで戦線に復帰したところだった。ジンオウガからの攻撃を鬱陶しそうに払いながら反撃に転じようとしたところで、横入りのはかいこうせんが命中した。

ゼルレウス達にりゅうのはどうを撃とうと構えるがそこへメガグラビモスのいわなだれが降り注ぎ、直後にメガベリオロスのサイコカッターが直撃する。

 

「そうはさせるかよ!ミラボレアスッ!!」

 

「ヒスイ地方をめちゃくちゃになんて、絶対にさせないんだから!!」

 

そういえば、ラギアクルス……流静さんはどうなっただろうか。げんきのかけらを与えられたとはいえ、現状ほかの仲間達から後れを取っているけれど……。

 

「……シズカさま」

 

「ガラナさん……?」

 

「……ラギアクルスさまを、お願いします。あたくしは後方に下がり、皆様の支援に専念します」

 

「ガラナさん、なにを……!」

 

あれ?静香さんとガラナさんが揉めてる……?そばにいる流静さんも、酷く困惑した様子だ。何があったんだろう……?

 

「遠目ではありましたが、見ていました。ミラボレアスがじばくを使った際、ラギアクルスさまは迷うことなくシズカさまを庇いに向かわれていました。シズカさまよりも近い場所にいたニールさまやネネさまよりも、より離れた場所にいたシズカさまを……アクアジェットによる高速移動を使ってまで、守っていました。

きっと、あたくしにはわからない何かがラギアクルスさまとシズカさまの間にあって、それはあたくしが介在することのかなわないものなのでしょう」

 

「それは……」

 

「少し、妬けてしまいますわ。出会いも……過ごした時も……あたくしの方が早く、長いのだと自負できるのに……。いえ、憧れを捨てきれなかったあたくしでは、真にラギアクルスさまの隣に立つことはできないのでしょう……けれど、シズカさま。あなたは、きっと違う」

 

「…………」

 

「あなたがラギアクルスさまを見る目も、ラギアクルスさまがあなたを見る目も、共に愛する人を見る目をしておりました。相互理解、相思相愛……お互いを尊重し、お互いを想い合う。お二方のような絆であれば、きっとショウさまとジンオウガさまと同じ領域にたどり着けるのではないかと愚考いたしますわ。

あたくしは……ダメですね。あの日、島キングを助けられたあの日から、ラギアクルスさまに返しきれぬ大恩と憧憬を抱いてしまった。正直なところ、ラギアクルスさまと対等であろうという心構えに、どこか萎縮しておりました。恐れ多くてかなわない……と」

 

「ガラナ、さん……」

 

「大丈夫、きっと成し遂げられますわ……魂という名の血で繋がった御家族であるお二人なら、必ず」

 

「うっ!……さ、さっきの話、聞こえて……」

 

「心配無用、決して他言致しませんわ」

 

「はい……」

 

……?よくわからないけど、どうやら丸く収まったみたいだ。ガラナさんが後方に下がって……え?静香さんと流静さんが隣り合ってる!?

 

「……兄さん」

 

「?」

 

「せっかくだし、背中に乗せてよ」

 

「グルァ」

 

「ん、ありがとう。……んしょっと。おぉ、結構高いね」

 

「グルラ」

 

「……さて、託されちゃったね。けど、どこかでこの瞬間を望んでいた自分がいたかもと思うと、なんか苦笑いしか出てこない」

 

「グルォラ」

 

「……私には、ショウみたいに兄さんの声が聞こえるわけじゃない。ショウと光輝さんに負けないような絆があるのか、まだわからない。私の一方通行かもしれないし、もしかしたら兄さんからは見向きもされていないかも」

 

「…………」

 

「……でもね。元いた世界じゃ兄さんだけだったのが、モンハンの世界に転移してたくさん増えたんだ。私を、私として認めて評価してくれる人が。元いた世界じゃ、私はどこまでも兄さんの下位互換としか見られなかった。ほかならぬ兄さん自身が私を私としてみてくれていたから、平気だった。いなくなってからは、一層生きづらくなったけど……それも、異世界転移でまるっと解決した。

『我らの団』の団長が私を受け入れてくれた。ハンターの師匠が私を鍛えてくれた。受付嬢のソフィアさんが私の友達になってくれた。加工担当のゲキさんが私のガンランスを作ってくれた。料理長のニャンハオさんがご飯を作ってくれた。竜人商人のポォさんが道具を融通してくれた。テュッティーが私に装飾品を加工してくれた。エイデンさんが師匠と一緒に面倒を見てくれた。ネネがこんな私に憧れてくれた。ニールさんが狩猟の手助けをしてくれた。ギルドからたくさん褒められた。依頼主からたくさんお礼を言われた」

 

も、もう少し近づかないとよく見えない。……んん!?し、静香さん、泣いてる!?何があったんだ?話し声も小さいからよく聞こえない……。

 

「私……私!こんなにたくさんの人に助けられてる!それと同じくらい、私もたくさんの人を助けてた!私はまだ、私を信じて支えてくれているすべての人に報いきれてない!……まだ、元いた世界に置いてきてしまった父さんと母さんに胸を張れるような、立派な大人になれてない!」

 

「……!」

 

「あのね、私……ずっと、誰よりも私と兄さんを比較してた父さんと母さんのこと、実はそんなに嫌いじゃなかったよ。私、本当は気づいてたんだ……父さんと母さんが私と兄さんを比較してたのは、"出来ることと出来ないことを見つけるためだったんだ"ってこと。私の高校の進学先は、兄さんに出来なくて私に出来ることを重点的に学べる学校にしようって話し合ってたの、全部知ってた。……知ってて、知ってて私は!なお兄さんにすがろうとした!目を逸らしてたのは私の方……私は、とんだ親不孝者だ……」

 

「…………」

 

「もう、父さんと母さんに私の成長を見せてあげることも、報せることもできない。……だから、せめて。今ここにいる兄さんに、今の私の全てを見せる。兄さんと死別して……そして、私がこの世界に来てからの七年間の成果を、兄さんに捧げる!

今ここに、決別の証を立てる……水橋静香、22歳。世界を滅ぼさんとする黒龍ミラボレアスをこの手で討ち果たす!そして……この討伐を成すと共に、私は兄さんへの執着も振り切ってみせる!!

だから、兄さん……私に力を貸して!!」

 

「グルオオオオオォォォォォォォォォッ!!」

 

静香さんが大きな声で宣誓をすると同時に、流静さんも大きく咆哮を上げて……あっ!?

 

「うおっ、なんだ急に!?」

 

「ラギアクルスが、光に包まれて……」

 

「進化、する……ラギアクルスさまが……!」

 

静香さんを背中に乗せたまま、ラギアクルスの体が光に包まれる。体が一回り以上大きくなり、それに伴って四肢も大きく太さを増し、尻尾の先端がまるで船の錨のような形状へと変化した。角と蓄電殻もより大きくなり、更に首周りからすごい量の毛が……あれは、鬣!

光が弾けると、青い鱗は比喩抜きで空と同じ色……空色へと変化。金の鬣はよく見ると背中から尻尾にかけて生え揃っていて、角や蓄電殻は先端から根元にかけて徐々に黒ずんでいる琥珀色に。四肢は関節部分から翡翠色へとグラデーションがかかっている。まるで快晴の青空と緑生い茂る大地、みたいだ。

 

「行こうっ!兄さんっ!!」

 

「グルオラアアアアァァァァァァァッ!!」

 

すごいすごいすごいすごい!なんかもうすごい!すごすぎてすごい!(語彙力消失)

 

「……驚いた。亜種でも希少種でもない、ましてきずなへんげとは異なる変化……なるほど、進化か」

 

「アカイさん!あのラギアクルスは……!」

 

「落ち着け、テル少年。……といっても、正直なところ私も興奮を禁じえない。あのような姿のラギアクルスは過去に発見例のない新しい姿だ。新種のラギアクルス……いや、もはやラギアクルスと呼称することも憚れる……それほどの進化だ。

名付けるなら……燦光竜(さんこうりゅう)】・『ラギアステラ』!」

 

遠くからアカイさんの言葉が聞こえた。ラギアステラ……星を冠する海竜種、なんていい響きなんだ!あ、アステラってニールさんが言ってた新大陸の拠点の名前?いろいろと噛み合っててなおのこといい名前だ。

 

「ふふっ、聞こえた?兄さん。新種の姿だって。兄さんも殻を破れたことだし、私も一皮剥けないとね。さあ、行こう!」

 

「グルオラァ!」

 

静香さんを乗せたラギアクルス……否、ラギアステラが突撃する!

アクアジェットで高速突貫したラギアステラは飛びかかるように体当たりを仕掛けた。ミラボレアスはそれに気づいていて、体を左に傾けることで右の脇元を抜かせる形で攻撃を避けた。しかし、ラギアステラが通り過ぎるタイミングでその背中から飛び出した静香さんがすかさず顔面にフルバーストを叩き込む!反動で後ろに吹っ飛ぶ静香さん。ミラボレアスはその隙を逃すまいと、ドラゴンクローを静香さんめがけて振り下ろそうとする。マズイ、静香さんが!

 

「(悪いね、ミラボレアス。私は……)」

 

と、その時だ!静香さんは右手に持っていた盾を軽く宙へ放り、その間に左手のガンランスを右手に、盾を左手に持ち替えた!

 

「(両利きなんだ!)」

 

すかさず盾を正面……ではなく、側面に構える静香さん。その直後、ハイドロポンプが静香さんが持つ盾に命中し、静香さんは押し出されてドラゴンクローを回避した!まさか攻撃が空振りに終わるとは思わなかったミラボレアスは思い切り前につんのめっている。そこへラギアステラがドラゴンダイブで体当りするとともに、静香さんの竜撃砲も命中する。すごい……静香さんがブラストダッシュと翔蟲で空を舞い、ラギアステラが地を滑りながら二面攻撃を仕掛けてる!完璧な連携だ!

 

「キングストローム!!」

 

ミラボレアスの顔を足蹴にしながら再び飛び上がった静香さんの鋭い指示が飛ぶ。ラギアステラが超巨大ななみのりを起こし、その波に乗って大きく旋回しうずしおを作る。そのうずしおの頂点に、ラギアステラとその頭に乗っている静香さんの姿が見えた。

 

「行くよ、兄さん!私の覇山竜撃砲と一緒に!」

 

「グルァ!!」

 

「いっけええぇぇ!!」

 

静香さんのガンランスの穂先に放たれた巨大な火球を、ラギアステラの雷球が押し出して発射される!火球と雷球が混ざり合い、炎と雷の弾丸となってミラボレアスの頭上から襲いかかる!!

 

「ギギャアアアンッ!?」

 

「よっしゃ!あとに続くぜ!!グラビモス、ラーヴァ・ロヴィーナ!!」

 

「ベリオロスも行くよ!ネージュツイスト!!」

 

続いてセキさんとワサビちゃんが動いた!まず、メガグラビモスが背中から大量の火山岩を発射しミラボレアスへ降り注がせる。さらに翼を地面に叩きつけるようにして翼爪で体を固定すると、ミラボレアスへマグマライザーをぶっぱなす!マグマライザーに加えて、その余波で周囲の火山岩が次々と大爆発を興してミラボレアスにダメージを与える!!

今度はメガベリオロスの番だ!アイスサイクロンを連続で放ち、ミラボレアスの動きを封じたところでグラウンドサイクロンを直接ミラボレアスに撃ち込む!グラウンドサイクロンは周囲に展開されていたアイスサイクロンを取り込みさらに巨大な猛吹雪の竜巻となりミラボレアスを苦しめる!

 

「イベルタル、デスウイング!ルギア、エアロブラスト!ゼクロム、らいげき!ルナアーラ、シャドーレイ!」

 

「グラードン、だんがいのつるぎ!ザマゼンタ、きょじゅうだん!」

 

伝説のポケモン達による援護攻撃も、いい感じに決まっている!!

 

「いいぞ、効いている!」

 

「このまま押し込むぞ!」

 

「少々出遅れましたわね……姉様に後れは取りませんわ!!」

 

シュラークさん達も、ミラボレアスからのダメージから起き上がってこれた!いいぞ、形勢は逆転だ!!

 

「……また会えたわね、あなた」

 

「っ!?その声は!」

 

「やと「野盗三姉妹ショウチクバイ!」――ってセリフを被せんな!!」

 

「あ、ごめんなさい。でも今はのっぴきならない状況で……」

 

背後から声をかけられたと思ったら、その正体は野盗三姉妹!ど、どうしてこんなところに……。

 

「シンオウさま……いや、ディアルガさまとパルキアさま、だったか。あの時は声をかけるくらいでまともに借りを返せなかったからね。これでようやく貸し借りなしだよ」

 

「あの、何の話?」

 

「あのシロってお嬢さんに頼まれてね……とある巨大ポケモンを退治するために必要なものを持ってきたのさ。……オウメ!」

 

「はい!ドーミラー達、最後にもうひと踏ん張りだ!」

 

「ミラ~!!」

 

オウメが階段の下の方に向かって声をかけている。すると、一匹、また一匹とドーミラーが姿を現して――ってぇ!?

 

「な、なにこれぇぇぇぇぇぇ!?」

 

「でっかい槍だろう?なんでも撃龍槍っていう、化け物退治専用の決戦兵器らしいじゃないか」

 

いや、撃龍槍なら知ってる。ダイマックスしたティガレックス戦で使われたものを知ってるけど、目の前にあるそれはあの時の物よりもずっと大きい!!

 

「……!!」

 

と、ここでビリビリと突き刺さる強烈な殺気――どうやらミラボレアスが、撃龍槍の存在を認識したらしい。酷く驚いた様子で、同時にありったけの憎悪と憤怒が込められた目つきをしていた。

 

「……っと。奴さん、こっちに気づいたようだね。この撃龍槍とやらを、ありったけの回転力を込めてあの黒龍にブチ込む!それが、あのお嬢さんの狙いなのさ」

 

「これだけの質量が回転しながらぶち当たったら、流石にあのでっかい黒龍だってイチコロさ!」

 

「そのためにも、エスパーポケモンの念力が必要不可欠だ。手は多いに越したことはない!」

 

その言葉と同時に、オマツはゲンガー、オタケはユキメノコ、オウメはユンゲラーを繰り出してサイコキネシスを指示。ミラボレアスへと穂先が向けられた撃龍槍が、徐々に回転を始めた。

 

「むっ……ルギア、イベルタル、ルナアーラ。あなたたちも撃龍槍へ!」

 

「「「(`・ω・)ゞ」」」

 

「さあ、ゼクロム。踏ん張るわよ」

 

「( `・ω・´ )」

 

シロちゃんの指示で、伝説のポケモンが三匹も加わってさらにサイコキネシスが掛けられる。回転力が増し始めた撃龍槍……ゴウンゴウンと、稼動音が聞こえてきそうな勢いだ。

 

「私だって!エーフィ!」

 

「ムウマージ、サーナイト、エルレイドよ、お主らも行くのじゃ!」

 

「ウォーグル!共に行けぃ!」

 

カイさん、ムベさん、デンボク団長達も念力系のエスパー技が使えるポケモンを繰り出し、共に撃龍槍へサイコキネシスを掛けていく。より回転速度が増して行き、風切り音すら聞こえてきた……!

 

「……!!」

 

「あ、ミラボレアスが!!」

 

ミラボレアスが、空へ逃げた!……いや、違う、この流れは!

 

「まさか、また劫火を撃つのか!」

 

「撃龍槍ごと、俺たちを焼き尽くそうって魂胆だな!?」

 

「いや!多大なるサイコパワーで回転力の増幅と耐久力の増加がなされた撃龍槍ならば、必ずや突破できる!!」

 

撃龍槍もまた、ミラボレアスへと穂先を向けて方向転換を終える。今やその回転力は、つのドリルもかくやとばかりだ。

 

「ギャオオオオオオオオオオオオッ!!」

 

「撃龍槍、発射ァーッ!!」

 

ヒューイさんの掛け声に合わせて、撃龍槍が勢いよくミラボレアスへ向かっていった。ミラボレアスも劫火で対抗するが、撃龍槍は劫火の中を勢いよく突っ切っていく!

 

「す、すごい……これなら!」

 

「あぁ……ミラボレアスに届かせられる!!」

 

どんどん突き進んでいく撃龍槍……だが、ミラボレアスとの距離が半ばまで迫ったところで、その勢いを失ってしまった……!

 

「くそっ、ここにきて……!」

 

「拮抗しちまったか……!」

 

「……いや、まだだ!」

 

「先輩!?」

 

先輩、いきなりなにを……!

 

「ゼルレウス!おれを乗せて飛べ!!」

 

「グオン?」

 

「こ、この土壇場で高いところが怖いとか言ってられるか!!早くしてくれ!」

 

「グオオオオ!!」

 

ゼルレウスが先輩を乗せて、空へ舞い上がる……一体何を!?

 

「こうなったら、直接ミラボレアスを妨害する!奴の気を少しでも逸らしてくる!!」

 

「おい!無茶だテル!!」

 

「先輩っ!!」

 

「大丈夫だ!おれを信じろ!!ショウ!!」

 

ゼルレウスと先輩が飛んでいく……そのあとに続いてラ・ロが飛び、ゼクロムも後を追う。その背にはそれぞれアカイさんとシロちゃんが騎乗していた。三者三様、ミラボレアスの背後を取ると、そこから一斉攻撃を仕掛けた!

 

「「「りゅうのはどう!!」」」

 

三つのりゅうのはどうがミラボレアスに浴びせられるが、ミラボレアスの攻撃が止む気配はない!それどころか、ミラボレアスは劫火を放ちながら翼からマジカルシャインを背後に向かって放った!

 

「うわぁ!」

 

「くぅっ!」

 

「うおっ!」

 

ゼルレウス、ラ・ロ、ゼクロムにそれぞれマジカルシャインが命中。大きく体勢を崩した三匹だけど、すぐに立て直した。よかった……。

 

「くっそー……まだまだだぁ!」

 

「負けられないね、ゼクロム!」

 

「ラ・ロ。まだやれるな?では、行くぞ!」

 

三匹は再びりゅうのはどうを放ち、ミラボレアスへ攻撃を続ける。流石のミラボレアスも苛立ち始めたのか、時折視線が後ろに向けられていた。まだだ、まだ……まだ手が足りない……!

 

「グギュグババァグアア!!!」

 

「ぱるらぱるぅるらああ!!!」

 

「ギゴガゴーゴーッ!!」

 

と、ここでどこからともなくときのほうこう、あくうせつだん、シャドーボールの連続攻撃がミラボレアスへ直撃した!今の攻撃は!!

 

「ディアルガさま!」

 

「パルキアさまだ!」

 

「ギラティナ……(どうやら、守護竜としての責務は全うできているようですね)」

 

セキさん、カイさん、ウォロが反応したように、攻撃に加わってくれたのはオリジンフォルムとなったディアルガ、パルキア、ギラティナの三匹だ!心強い味方が来てくれた!

……え?ダークライ?ちょっと何言ってるかわかんない。

 

「……!!」

 

流石にこの三匹の参戦は無視できないのか、ミラボレアスは再びマジカルシャインで後背へ攻撃を仕掛ける。

 

――次から次へと小賢しいッ!!

 

「(……!これは、ミラボレアスの……でも、この声は……)」

 

今聞こえた声は……知ってる、けれどもう聞こえないはずの声だ……。

 

「……クロノ……?」

 

おもわず、口を突いて出た名前……まさか、そこにいるの?

 

「ヤバい、撃龍槍が……!」

 

「エスパーポケモンも限界だよ!」

 

「まだだ……まだ堪えるんだよ!!」

 

ポケモン達が技をかけ続けるのも、もはや限界が近い……このままじゃ押し切られる!!

 

――さらばだぁ!!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「さばきのつぶてッ!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

天から降り注ぐ無数の光。その光が次々とミラボレアスの背中を撃ち抜いた!!

 

「今の技は……!」

 

――アルセウスッ!?

 

「アルセウス!!」

 

クロノの声と、私の声が同時に響く。ミラボレアスよりもはるかに高い位置から、アルセウスが姿を現した!

 

「シンオウさま……いや、アルセウスさま!」

 

「生きてた……生きてらっしゃった!!」

 

「そうでしょうそうでしょう!アルセウスがあの程度の輩に敗れるはずがない!!ワタクシは信じておりましたとも!!」

 

アルセウスの、あの巨体……間違いない、私をヒスイ地方に送り込み、最後に試練として一戦交えた、オリジナルのアルセウスだ!!そして、アルセウスの強烈な一撃に、ミラボレアスの意識が完全に逸れた!!

 

「今だァ!ポケモンども!フルパワーだァァァ!!」

 

ダメ押しとばかりにヒューイさんも自身のドータクンと【幻舞蝶】アゲハントを繰り出し、追加のサイコキネシスを加える。伝説のポケモンも含めた全てのポケモンたちによる全力のサイコキネシスで撃ち出された撃龍槍は、凄まじい回転を伴ってミラボレアスの劫火を突破!その土手っ腹に撃龍槍が思い切り突き刺さった!!

 

「ギャアアアアアアアアアッ!?」

 

ミラボレアスは絶叫とともに墜落。腹部に撃龍槍が刺さりっぱなしだというのにヨロヨロとだが立ち上がってみせた。その目には、まだ闘志が宿っている。

 

「っしゃあ!ハンター全員、こっからが勝負どころだァ!!一気に決めるぜ!!」

 

「あぁ、必ずやり遂げてみせる!」

 

「往生なさいな、ミラボレアス!」

 

「お前との因縁も、ここまでだ!」

 

ハンター達も気勢を上げ、各々がミラボレアスへ突撃していく。

 

「アルセウスさまが見てる前で、無様な戦いはできねぇな!行くぜ、ワサビ!」

 

「うん、セキさん!」

 

「ガラナさんの想いも一緒に……最後まで止まらないよ、兄さん!」

 

「飛べっ、ゼルレウス!空の王者は、お前以外にありえない!!」

 

セキさんにワサビちゃん、静香さんに先輩……モンスターと共に戦う人達も、ここぞとばかりに猛攻を仕掛けていく!

 

「叔父さん」

 

「ワン!」

 

「……行くぞぉぉぉぉ!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

推奨BGM

【最終決戦】~モンスターハンターシリーズ~

 

 

 

 

 

 

 

 

「押せ押せぇ!押しきれぇ!!出し惜しみもいらねぇ!後先なんて考えんな!今この瞬間にすべてを吐き出す勢いで!全力を出しきれぇ!!」

 

「うおおおおおおお!!」

 

「くたばれええぇぇ!!」

 

「そりゃあああああ!!」

 

ヒューイさんの気刃兜割り、ニールさんの震怒竜怨斬、ネネさんのラピッドヘブン、シュラークさんのトランスラッシュが、次々とミラボレアスへ襲いかかる。ミラボレアスもワイドブレイカーやねっぷうといった対多数技で反撃するが、攻撃を躱されたりいなされたりしている。完全に勢いが乗っているハンター達だ、止められるわけがない!

 

「いわなだれだ!」

 

「れいとうビーム!」

 

「りゅうのはどう!」

 

「はかいこうせん!」

 

モンスター達も果敢に攻め立てる!ミラボレアスは足元に群がるハンター達への対処に追われているため、モンスターの攻撃には反応しきれていない!

 

「ポケモンのみんな!もはや小細工なんていらない!全力で……はかいこうせんだ!」

 

シロちゃんが連れてきてくれたポケモン達も、野盗三姉妹のポケモン達も、みんながみんな一斉に攻撃を仕掛けてくれている。ミラボレアスもだいぶ苦しい!

 

「兄さん!」

 

「グルォア!」

 

ラギアステラがでんじほうを撃つと、前を走っていた静香さんを頭に乗せてさらに加速。勢いよく頭を振って静香さんを投げ飛ばす!静香さんはガンランスの穂先を構えると、その先にはでんじほうが飛んでいる。銃口から装填するというとんでもない荒業ででんじほうをガンランス内に収めると、そのまま竜の息吹で竜撃砲の熱量をガンランス内部に閉じ込める!

 

「フルバレットファイアァ!!」

 

ありったけを全てぶっ放す、と説明してくれたフルバレットファイアが炸裂した。さらに静香さんの後隙をなくすラギアステラのドラゴンダイブも命中!そのまま静香さんを回収しつつ距離をとった!

 

「「ショウ!」」

 

静香さん。ヒューイさん。

 

「「全ての元凶を!」」

 

ニールさん。ネネさん。

 

「「ミラボレアスを!」」

 

セキさん。カイさん。

 

「ぶっ倒せ!!」

 

先輩……!

 

『お前らがナンバーワンだ!』

 

この声は!……剣介さん!

 

『勝利は目の前だぜ!』

 

剛太さん……!

 

『後は、頼む』

 

流静さん……!

 

『いつも胸には、友情・努力・勝利だ!』『頑張って……負けないで!』

 

焔さん……!葵さん……!

 

『ショウ』

 

叔父さん。

 

『さぁ、仕上げと行こうか』

 

……うん!

 

「ワオオオオオオオオンッ!!(やぁってやるぜ!!)」

 

ジンオウガが駆け出し、その全身に雷電を纏う。グラビモス(剛太さん)から、ラギアステラ(流静さん)から、ベリオロス(剣介さん)から、ゼルレウス(焔さん)から、ラ・ロ(葵さん)から、竜気が流れ込んで、その雷電は色鮮やかな虹色へと変わっていく!

 

――ショウ……やっちゃえぇ!!

 

……!お母さん……!!

 

「ミラボレアス!私たちは!一人じゃないっ!!私たちは……一つだぁああああああっ!!」

 

「キシャアァオオオオオオッ!!」

 

ミラボレアスも苦し紛れの劫火!だが!それでもっ!!

 

「私たちは、止まらないっ!!ジンオウガ……!」

 

「ワオン!」

 

「らい……じいぃぃぃぃぃんっ!!」

 

「ウオオオオオオオッ!!」

 

雷迅と劫火。炎と雷。二つの大技が激突する。……熱い。とてつもなく熱い。まだこれほどの熱量を持つなんて……やっぱりすごいよ、ミラボレアス。……だけどぉ!!

 

「「うおおおおおおお!/ウオオオオオオオ!」」

 

勝つのは……私たちだぁーっ!!

 

 

――……見事。

 

 

最後に、そんな声が聞こえて――

 

「ギギャアアアアアアアッ!!」

 

劫火を突き抜けたジンオウガの雷迅が、ミラボレアスに直撃した。あまりの衝撃にジンオウガは吹っ飛び、私のすぐ目の前まで転がってきた。ミラボレアスはその巨体を横たえ、大地に沈んだ。

 

「……やっ……た……?」

 

「ショウ」

 

事実を確認する前に、アカイさんが声をかけてきた。彼はじっとミラボレアスの方を見たまま、私が振り返ったのを察して話を続けた。

 

「ショウ。最後は、どうする?」

 

「最後?」

 

「ミラボレアスを討伐するか……それとも」

 

アカイさんが、懐から何かを取り出して……って、え?

 

「捕獲するか、だ」

 

「マスターボール……けど、なんで……?」

 

「いつだかに、放牧場でグラビモスがじばくしただろう?その時に飛び散った鉱石の中に、滅龍石が混ざっていた。そのことに気づいたのは、我々ではなくヒスイのギンガ団員だったがね。このマスターボールは、その時に回収された滅龍石で作られたものだ」

 

「そんなことが……」

 

「そして……ここでミラボレアスを完全に仕留めるか、捕獲するかは君の自由だ。仮にも君の命を奪おうとした輩だ……情状酌量の余地はないと息の根を止められても、文句は言えまいよ。君がミラボレアスを捕獲するというのなら、私とシロから祖龍と紅龍に掛け合い、ミラボレアスが入ったボールを厳重に封印することを約束する。

奴の生殺与奪の権は、今、君が握っている。どうするかは……君に任せよう」

 

アカイさんからマスターボールを受け取り、考える。ミラボレアスを生かすか、殺すか……。

 

私は……。

 

「…………」

 

「あっ、ショウ……」

 

私はミラボレアスの下まで歩いていく。横倒しにされたミラボレアスの顔まで歩いていけば、気配を察したのか薄く目が開かれる。

 

「ミラボレアス」

 

「…………」

 

「正直、死ぬかと思ったよ。命がいくつあったって、全然足りない。おまけに私は呪いまでかけられるし……とんだ厄年だよ、ほんと」

 

「…………」

 

いや、これはマジでほんと。ぶっちゃけ、呪いまで掛けなくてもよかったくない?……と、思わないこともなかったり。いくらあの時の私とニールさんの目つきが似てたからって呪いとか、勘違いも甚だしいんですが。

 

「……でも、あなたが現れたことで、私は結果的に知らぬままで終わるはずだったいろんなことを知ることができた。お母さん達の前世、ハンターの世界……他にも、いっぱい。だから全部が全部、恨み節じゃない。100%怒りじゃない。……1%くらいは、感謝もある」

 

「…………」

 

これもほんと。ミラボレアスが現れたことでアルセウスがジンオウガ達を呼び寄せて、その肉体に叔父さんやみんなの魂が入り込んで……呪いをかけられたことでハンター達の世界へ訪れることができたから、静香さん達に出会えたしあのクソ野郎をぶっ飛ばしてお母さんの無念を晴らすことができた。

綺麗事みたいになるけど……悪いことばかりじゃないんだ。

 

「……だから、それらを加味した上で、私は……」

 

手に持ったマスターボールを、ミラボレアスにつき出す。

 

「あなたをこのボールに収めて、封印する。二度と日の目を拝めないかもしれないけど、まぁ……そこは、自業自得ってことで」

 

「…………」

 

「じゃあ、そういうことで。……お疲れ様。さようなら、クロノ(・・・)

 

「……!フッ……」

 

最後にそう言うと、ミラボレアスは一瞬だけ大きく目を見開いて……それから小さく鼻で笑うと、ゆっくりと目を閉じた。私はミラボレアスの鼻先にボールを押し当て、中へと収める。ミラボレアスが捕獲されたことで、突き刺さっていた撃龍槍だけがその場に残された。

 

「……それが、君の選択か」

 

「はい。……甘いですか?」

 

「いいや?如何な選択であろうと、私は君を尊重しよう」

 

「ありがとうございます」

 

「それはこちらのセリフさ。今回の騒動を引き起こした出涸らしであろうが、祖龍や紅龍にとって……いや、彼らだけでなく我々にとっても血を分けた半身のようなものだ。このような結果に終わったことを……そうだな、ホッとしているよ、今は」

 

アカイさんは私からマスターボールを受け取ると、過去一穏やかな表情でボールを見つめていた。その顔は、やんちゃな我が子を見守る、親の顔だ。

と、どこからともなく光が差し込んできた。

 

「みんな!見て!」

 

「空が!」

 

空を見上げれば、時空の裂け目とそこに映りこんでいたシュレイド城が消え失せ、満天の星空が広がっていた。ここは随分と高い場所にあるから、陽の傾きによる時間経過が把握できないんだよね……はやく地上に降りて、今がまだ昼なのか夜なのか、確認したい。

 

「……さぁて、いよいよ本当に最後の仕上げだ」

 

「え?ヒューイ殿、まだなにかすることが……?」

 

「はぁ?そんなの決まってんだろ!」

 

太刀を納刀しつつ振り返ったヒューイさんは、いきなりそんなことを言いだした。本当にいきなりだったからその場にいた全員が困惑顔。代表でニールさんが尋ねると、ヒューイさんはそれはそれはいい笑顔でこう言った。

 

 

 

 

「帰るんだよ!コトブキムラになっ!!」

 

全員が異口同音で返事をしたのは、言うまでもない。

帰ろう!みんなが待ってる、あの場所へ!!

 

 

 

 




クエストクリア!!




推奨BGMを見て「おや?」となったあなた、間違ってません。なんなら自分も同じことを考えてました。
【英雄の証】の一部をループさせてたあの曲、曲名は【英雄の証】じゃないんですね。サントラとか買わないから普通に驚きました。
だからタイトルに【英雄の証】を入れたのかと言われたらそれはそう。

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