激闘の末にリオレウスを新たな仲間として加えた私は、早速そのリオレウスの背中に乗って空を飛んでいた……これ、すごい!
「(ウォーグルより速い!)」
リオレウスの飛行速度は、私の想像を超えていた。ライドポケモンとして力を貸してくれるウォーグルは、飛ぶというよりも滑空する、という表現が正しい。果たして、リオレウスはどうか。
その大きな翼で力強く羽ばたき空へと舞い上がり、一路純白の凍土へと向かうまでの一連の流れは完璧で淀みなく、私を背に乗せてもものともしていない。陸路ではジンオウガだけど、空路なら間違いなくリオレウス一択だ。
そしてなんと、ほぼ丸一日飛び続けてもリオレウスはへっちゃらで、しかもそのまま純白の凍土に到着してしまったのだから大したものだ。
「ありがとう、リオレウス。ゆっくり休んでね」
「グオン」
リオレウスをボールに戻し、辺りを見渡す。
今、私がいるのは豪雪谷と極寒の荒地のちょうど中間地点、その東側にある崖の上だ。ここなら、ベースキャンプが手前の崖で死角になっているから安全に着陸できるのだ。
……セキさんは、ここに私が求める五匹目のポケモンがいるって言ってた。そのポケモンはワサビちゃんとハマレンゲさんの現地キャプテンの二人、そしてシンジュ団の長であるカイさんと大変良好な関係を築いているんだとか。
うーん……ワサビちゃんはキッサキ神殿にいることが多いし、ハマレンゲさんといえばクレベース氷塊にある一番大きな氷塊の近くだろう。カイさんは……きっと、集落だ。接触はできない。
「……よしっ」
オオニューラにライドして崖を降りて、極寒の荒地に到着。とりあえず、ハマレンゲさんを訪ねにクレベース氷塊へ……。
「来たのね」
「……っ!?」
……っと、そちらへ足を向けた直後、背後から声をかけられて心底ビックリした!多分、ビクッ!ってなったと思う。それくらいには驚いたから。
恐る恐る振り返ると、そこにはワサビちゃんがいた。……ただ……。
「ワサビちゃん……?」
「……っ」
あれは、本当に私が知るワサビちゃん……?
私が知るワサビちゃんは千里眼を持ってて(本当かはちょっと曖昧)、二択を迫るような独特な言い回しをするちょっと不思議ちゃん……そんな印象だった。
けれど……今、目の前にいるワサビちゃんはそんなかつての印象を霧散させるほどの気配を身に纏っている。幼い顔には似合わないくらいに眉間にシワを寄せていて、まるで何かに耐えているような、泣きたいのを堪えているような……そんな印象がある。
「ワサビちゃん、どうしたの?」
「……ショウさん、あなたのこと、聞いたよ。ギンガ団、追い出されちゃったね……あたしはとっくに千里眼で視えてたけれど」
「……うん、そうなんだ。でも……追い出されちゃったおかげで、素敵な仲間に出会えたんだ。今度、ワサビちゃんにも紹介してあげるね」
「ううん、必要ないよ。だって、全部、視えたから」
そういうと、ワサビちゃんは目を閉じて何かを思い出すように何度か首を傾げていた。
「雷の狼の子、岩の竜の子、海の竜の子、そしてここに来るまでに乗ってきた炎の竜の子……みんな、ショウさんの新しい仲間なんだよね?」
「……うん、そうだよ」
「あのね、あたしも新しいお友達ができたんだ。……今、呼んであげるね」
「え」
呼ぶ……?新しく仲間になったポケモンかな……?
「おいで!ベリオロス!!」
「ガオオォッ!!」
ワサビちゃんが片腕を上げながら呼びかけると、どこからともなく鳴き声が聞こえた。どこから聞こえたのか、声の主を探していると突然空から何かが降ってきて地面に激突、それと同時に私たちの周りを氷の渦がたくさん巻き起こった。
その暴風に耐えているとワサビちゃんの後ろから何かが姿を現した。ゆっくりと近づくそれは、ワサビちゃんのすぐ真後ろで足を止めた。
「ガオオオオオオオォォォォォォォォッ!!」
竜巻が消え、吹雪が止むと同時に聞こえた咆哮。そこには一匹のポケモンがいた。
雪原に溶け込む白銀の体躯。
いくつもの鋭い刺が生えた腕。
先端が二股に割れている長い刺付きの尻尾。
口外にまで伸びるほど巨大に発達した一対の琥珀色の牙。
セキさんから聞いていた、特徴……琥珀色の牙が話の内容と一致する。あれが、五匹目のポケモン……!
アンノーンたちが飛来して、すぐさま整列した。
「お疲れ様」
ワサビちゃんがアンノーンを労うと、彼らはニコニコと笑顔を浮かべて飛んでいった。ワサビちゃんは、既に名前を知っていた……。ベリオロス……あのポケモンの名前を。
「ベリオロス……」
「そうだよ。この子の名前はベリオロス、あたしの大切な友達」
「友達……」
「千里眼で視えちゃった。ショウさん、この子の力を貸して欲しいんだよね。ウォーグルの時と一緒」
「うん、そうなの。だから、私にベリオロスと話をさせてもらえないかな?」
さすがはワサビちゃん……千里眼で全部視えているんだ。これなら、話も早くて済むかも……。
「……今はダメ」
「えっ!?」
え、ちょ、まさかのノー!?
「ど、どうして!?」
「……それよりさ、あたしとまた勝負しましょ!あたしに勝てたら、ベリオロスとお話をさせてあげる!どう?」
「ど、どうって……」
そりゃあ、勝負して勝ったら話をさせてもらえるなら、別に……。いいか、受けてたとう。ワサビちゃんとは一度勝負して勝っているし、彼女が連れているポケモンも把握している。油断しなければ負けないはずだ。
「いいよ、勝負しよう」
「ふふっ!それじゃあ、まずは競争ね!」
「きょ、競争!?」
「そう、競争!準備していいよ、待っててあげるから」
「あ、うん。えっと……リオレウス!」
「グオオォン!!」
競争するといきなり言われたら慌てるでしょ!こっちはポケモンバトルだと思ってたのに!私は慌ててリオレウスをボールから出した。
リオレウスは出てきてすぐに私の方を見て、それからワサビちゃん、ベリオロスの順に顔を向けた。そして、ベリオロスを見るやいなや戦闘態勢に移った。
「落ち着いて、リオレウス。競争するだけだから」
「グオ?」
「ふふっ、リオレウスってばせっかちさん!見た目はごついのに、可愛いね」
「…………」
なんとなく、可愛いと言われたリオレウスが不服そう……。まぁ、リオレウスは「かっこいい」が似合うポケモンだからね……。
「それでワサビちゃん、競争って?」
「うん。……内容は、ルール無用の鬼ごっこ兼追いかけっこ!」
「る、ルール無用……」
「ここ、極寒の荒地からスタートして鬼氷滝を経由して雪崩坂、氷山の戦場、氷河の段丘に向かうの。そこからエイチ湖方面に向かってシンジュ集落を飛び越えて心形岩山に着いたら、クレベース氷塊にある一番大きな氷塊の上を目指す……そこがゴールだよ。
そこに着くまでにショウさんがあたしを捕まえるか、あたしより先に氷塊の上に着いたら勝ち。簡単でしょ?」
「……まぁ、うん。聞く分にはね……」
「……あたしはショウさんとの競争を楽しみにしてる?してない?さて、どっち?」
「少なくとも、ワサビちゃんは楽しそうだよね」
「…………。……うん!」
さてさて、ワサビちゃんはウォーグルに乗るのかな。だとしたら、私もリオレウスを戻さないとフェアじゃな――
「行こっ!ベリオロス」
「ガオ」
「――へっ?」
私が呆気にとられている間に、ワサビちゃんは軽快な足取りでベリオロスの背中に乗った……って、えぇ!?
「べ、ベリオロスに乗るの!?」
「……?うん、そうだよ。だから、ショウさんもリオレウスに乗っていいよ」
「ああ、うん、ありがとう……じゃなくて!私が想像しているよりもずっと仲良しだね……?」
「そりゃあもう。ショウさんが来るずっと前から、あたしとベリオロスは一緒だもん」
私がジンオウガや他のみんなと会ってる間に、絆を深めたんだ……。これは、手強そうだ……!
私がリオレウスに乗り込んでから、ワサビちゃんは続けた。
「さっきも言ったけどルール無用……いくらでも妨害していいよ。……けど、妨害程度で、あたしとベリオロスを止められるとは思わないでね」
「ガオ」
「……もちろん、思ってないよ。けど、私だって負けるつもりはないから」
「……そうこなくっちゃ。ブーバーン!合図をお願い」
「ブバ」
ワサビちゃんの相棒であるブーバーンが、片腕を上げた。あそこから炎が出たら、それが合図みたい。
スタートの時を、今か今かと待つ。そして――
「……ブーバー!」
ブーバーンの腕から、炎が放たれた!!
「ベリオロス!」
「ガオォン!」
「リオレウス!」
「グオォオ!」
それぞれ乗り手の声に応え、二匹は一斉にスタートした!
リオレウスは空を飛び、ベリオロスは地を駆ける。……ベリオロスの移動速度、思った以上に速い!鬼氷滝への道を曲がり、そのまま滝に向かって走っていくベリオロス。あの両腕の刺、武器じゃなくてスパイク……滑り止めの役割があるのか!
このままじゃまずい……ワサビちゃんには悪いけど、早速妨害だ!
「リオレウス、ひのこ!!」
「グオォ!」
さすがにリオレウスの特技である豪火球は過剰威力……だからひのこを選んだけど、それでも直撃したらタダじゃ済まないので牽制の意味も込めてベリオロスの移動先に撃ち込んでみる。
「……っ!くるよ、ベリオロス!右!!」
「ガオッ!」
「次は左!」
「ガオガオッ!」
「そこで一時停止!」
「ガオン!」
「走り抜けて!」
「ガオオン!」
けど、尽く躱されてしまった!ワサビちゃんはこっちを見ながらベリオロスに指示を出して、ベリオロスはワサビちゃんを完全に信頼しているようでこっちに振り向くことなく指示通りに動いてみせた。
なんて連携だ!群青の海岸で即席の連携でバトルしたガラナさんとラギアクルスもすごかったけど、ワサビちゃんとベリオロスはもっとすごい!!
「そんなんじゃ妨害にならないよー!」
「うっ……言ったなー!」
当てるにはもっと接近しなければ。そう思って近づけば、ワサビちゃんから挑発されてしまった。まぁ、当てるつもりのない攻撃じゃ妨害にならないのは事実なので、簡単に言い返すだけにして競争に集中する。
ベリオロスの身体能力……想像以上だ。オオニューラと同じように崖登りをするのだけれど、まるで跳ねるように軽快にジャンプしながら登っていくのだ。ジンオウガは飛び越えるといったイメージだけど、ベリオロスは文字通り登るのだ。
鬼氷滝をあっという間に登りきったベリオロスは進路を西へと変更し、雪崩坂の方へと走っていく。リオレウスも負けじと飛ぶが、今はわずかに向こうの方が速い……!
崖からジャンプして雪崩坂に降り立ったベリオロス。そのまま勢いを落とすことなく方向転換して、一気に北上を開始した。このままじゃまずい……こうなったら!
「リオレウス!ブレイブバード!!」
「グオオオオオォ!!」
ひこうタイプ技の中でも屈指の威力を誇る突進技、ブレイブバード。その勢いを利用して、一気に加速を狙う!……よしっ、ベリオロスを抜いた!!
「むむっ、それならこっちは……でんこうせっかだよ!」
「ガオン!」
ワサビちゃんも判断が早い!でんこうせっかならかなりの加速が乗る……けど、この先には氷山の戦場がある……つまり、崖がある!でんこうせっかの勢いだと、崖にぶつかるかもしれ……って、えぇ!?
「ベリオロス!ジャンプ!!」
「ガオ!」
ワサビちゃんの指示を受けたベリオロスは、でんこうせっかの勢いを落とすことなく跳躍し、氷山の戦場の崖を乗り越えてしまった!嘘でしょ、そんなの……!
「止まらないよっ!あたしも!ベリオロスも!!」
「ガオオン!!」
「……っ。リオレウス、もう少しだけ頑張って!」
「グオオン!!」
競争はまだまだ続く。現在のところ、ワサビちゃんとベリオロスが若干の優勢。度々こちらかもひのこによる妨害攻撃を仕掛けているけど、まったく当たる気がしない……!
ベリオロスはエイチ湖の滝口を跳躍して乗り越えると、そのまま翼を広げて飛翔し始めた。……しめた!飛行速度ならリオレウスの方が速い!ベリオロスもウォーグルと同じで、滑空する飛び方をしている!
「リオレウス!」
「グオンッ!」
私の言葉に応えたリオレウスが、ここまで温存していた体力を使いきらんとばかりに一気に飛行速度を上げた。最悪、私のことは度外視して全力で飛んで!
「……っ。やっぱり、速いね!」
「雪原ではベリオロスの方が速くても、空の上ならリオレウスの方が速いよ!」
「勝負はまだついてない!」
シンジュ集落の上空を通過すると、ベリオロスは素早く降下して着地すると、すぐに走り出した。やっぱり地上での移動速度はベリオロスの方が上……でも!
「リオレウス!ブレイブバード!!」
「グオオオオオオオ!!」
「あっ……!」
心形岩山を越えたタイミングで、ブレイブバードで一気に突っ込む!!リオレウスはぐんぐん加速すると、一番大きい氷塊の真上に到着した。そのままゆっくり降下していき、最後は静かに着地した。……少し遅れてから、ワサビちゃんとベリオロスも到着した。
「……負けちゃった。やっぱり飛ぶのはリオレウスの方が速いね」
「でも、ベリオロスも速かったよ。走る速さなんてこっちの想像以上で、焦っちゃった」
「そっか……それじゃあ、二回戦だね。氷山の戦場で待ってるよ」
ま、まだあるのか……。
「……この子を連れて行かないで……」
「えっ」
「……ううん、なんでもない。行こっ、ベリオロス」
「ガオガオ」
再びベリオロスに乗り込んだワサビちゃんが、そのまま氷山の戦場へと飛んでいった。……二回戦……か。いよいよバトルの時が来た、ってわけね。
それにしても、「連れて行かないで」……か。仲のいいポケモンが連れて行かれるのが嫌……ってわけじゃなさそう。いったい、どんな理由が……。
「負けないぞ……」
私もリオレウスに乗り込み、氷塊から降りた。すると……。
「やあやあ、おまえさん!お久しぶりですね」
「ハマレンゲさん!」
「おぉ、これはまた大きなドラゴンポケモンですな。もしや、ノボリさんが言っていたドラゴンポケモンとは……?」
「はい、このリオレウスのことです」
「グオグオ」
氷塊から降りた先に、ハマレンゲさんがいた。後ろには相棒のオニゴーリにユキメノコ……あと、クレベース!新しい仲間が増えたんだ……。
「ハマレンゲさん、どうしてここに?」
「ふむ……説明するのも吝かではないですが……とりあえず」
「……とりあえず」
「「ポケモン、だしますか/ポケモン、だそうや」」
なんとなくわかってたよ……会話の流れからして、バトルになるだろうなぁって。
あぁ、リオレウスってばあくびなんてしちゃって……ごめんね、ちょっとだけ待たせちゃうね。
「ルールを決めましょう。……ルールは一体一の決闘方式!よろしいか!」
「望むところです」
「「行って!ミミロップ!/先手はユキメノコ!お願いします!」」
「ミミ~!」
「メーノ!」
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「先手必勝!ミミロップ、ほのおのパンチ!!」
「後手必殺!ユキメノコ、こおりのキバです!」
ミミロップで的確に弱点を突く技を指示したけど、ユキメノコは軽やかな動きでこれを回避すると反撃にこおりのキバを放ってきた。耳を噛まれたミミロップは頭を振って強引にこれを振りほどいた。
……おかしい。初めて戦った時よりも明らかに素早さが上がっている!
「驚いているな?わたしもポケモンたちも、ただただ無為に時間を過ごしていたわけではない!おまえさんに敗れてからというもの、彼の白騎士と常日頃より一手交え、己を鍛え上げてきたのだ!」
「白騎士?……!ベリオロスと!?」
「その通り!白騎士はこの雪原においても身のこなしは実に軽やか!故にわたしは白騎士に対抗すべく、オニゴーリやユキメノコの素早さを徹底的に鍛え上げた!その成果、おまえさんにも味わってもらうとするかぁ!」
「くっ……ミミロップ、戻って!……お願い、ゴウカザル!!」
「ウッキャア!!」
ベリオロスの速さに対応するために特訓したなら、技構成の都合上、ユキメノコ相手にほのおのパンチしか出せないミミロップは不利だ!ここは戻して、ゴウカザルで行く!
「やはり出したな、ゴウカザル!ユキメノコ、みずのはどう!!」
「メー……ノー!」
「シャドークローで打ち消して!」
「ウキャキャア!」
ほのおタイプ対策のみずのはどうが迫って来るけど、シャドークローで相殺できた!
「ゴウカザル!フレアドライブ!!」
「ウゥキャキャキャキャキャアアアァァッ!!」
炎を纏ったゴウカザルが、ユキメノコに突進していく。これで……!
「フッ……ユキメノコ、足元に向かってシャドーボール!!」
「メノォ!!」
「ウキャ!?」
ハマレンゲさんの指示で、ユキメノコが足元にシャドーボールを放った!その衝撃によってあたりに雪による粉塵が舞い上がり、視界が完全に封じられてしまった。ゴウカザルも驚いて足を止めてしまった……まずい、術中にハマる前に抜け出さないと!
「ゴウカザル!直ぐにそこから離れて!!」
「遅い、遅いなぁ!ユキメノコ、みずのはどう!!」
「メノー!」
「ギャウ!?」
粉塵に紛れたユキメノコが物凄い速さで動いているのか、全方位からみずのはどうが飛んできていてゴウカザルは完全に逃げ場を失っている……!防御力が高くないゴウカザルじゃ、この状況は長くは持たない……!
「これも、対白騎士対策に考案した戦術!……当の白騎士には通用しませんでしたが、おまえさん相手には効果覿面だな!」
「くっ……」
この粉塵をなんとかしないと……でも、どうすれば!?……そうだ!
「ゴウカザル!その場で回転しながらフレアドライブ!!」
「ウキャアアアアアァァァァ!!」
「なんと!?」
ゴウカザルがすごい勢いで回転しながら、フレアドライブを発動する。すると、回転と高熱によって上昇気流が生まれ、氷の粉塵が見る見るうちに空に向かって吸い込まれていった!それによって、動き回っているユキメノコの姿も見えた!
「見えた……そこだよ!力強く、シャドークロー!!」
「ウキャア!!」
「メノォー!?」
「っ!ユキメノコ!!」
シャドークローが決まった!元々、防御力の高くないユキメノコに力業シャドークローの一撃は痛すぎたようで、一撃で倒れた。ユキメノコ、戦闘不能だ。
「しまった……ユキメノコ、下がりなさい」
「まずは一匹……戻って、ゴウカザル」
ハマレンゲさんはユキメノコを後方に下げ、私もゴウカザルを一旦戻した。あのみずのはどうの連撃がかなり効いていて、フレアドライブでも使おうものなら反動でそのまま倒れてしまいそうだ。……ということで、初戦の汚名返上!
「「ミミロップ!/クレベース!」」
私は最初に出したミミロップを再び出し、ハマレンゲさんはクレベースを選択した。……雪原キングと同じ、ヒスイ地方のクレベース。油断はできないな……けど、ここはセオリー通りに!
「ドレインパンチ!」
「力強く、てっぺきで受けるのです!」
「ミミー!」
「レベースッ!!」
ミミロップのドレインパンチ!かくとう技ならこおり・いわのクレベースには効果は抜群!……いや、これは……!?
「ミィッ!?」
「レベ」
「効かん効かん!かくとうタイプでもないミミロップのかくとう技なんぞ、わたしのクレベースの前では無力!伊達に白騎士に殴られ続けていないのでな!!」
手応えが、ない……!?弱点としては四倍の威力になっているはずなのに……!
「反撃だ、ひょうざんおろし!!」
「レベースー!!」
「ミミィッ!!」
「ミミロップッ!」
一瞬で作られた巨大な氷塊が叩きつけられ、ミミロップは吹っ飛んでしまった。ミミロップは……ダメだ、完全に目を回している。まさか、一撃で倒されちゃうなんて……。
「戻って、ミミロップ!……強い、ですね」
「無論!これも全て、いずれは白騎士に勝利するため!
氷塊を登りきる目標は達成されてしまったので、少々手持ち無沙汰になっていたところ……かの白騎士と出会い勝負を仕掛け……まぁ、ものの見事に返り討ちに遭ってしまってな!」
「はぁ……」
「しかし、おかげでわたしには新たな目標ができた……そう、白騎士に勝利すること!わたしのクレベースは白騎士の物理攻撃に打たれ続けた結果、尋常ならざる防御力を獲得したのです!」
「レベー!!」
「……物理に強いなら」
ベリオロスの物理攻撃を受け続けた結果、タイプ不一致とはいえ弱点のかくとう技を受け切れるほどの防御力を獲得した、というのなら……!
「特殊で攻める!お願い、ロズレイド!!」
「ロゼ!」
私が繰り出したのはロズレイド。お互いにくさとこおりが弱点同士、火力と速さ……なにより、技を当てた方が、勝つ!!
「クレベース、いわなだれ!」
「ベース!!」
「マジカルシャインで全部撃ち落として!!」
「ローゼー!」
迫り来る岩の群れを、マジカルシャインの輝きがひとつ残らず打ち落とす。まだまだ……!
「ひょうざんおろし!」
「足元に素早く、シャドーボール!!」
「なにっ!?」
「ロゼー!」
先ほどの意趣返し!ロズレイドは足元にシャドーボールを放ち、粉塵に紛れた。標的を見失ったクレベースのひょうざんおろしは空振りに終わり、クレベースは敵を探しに必死で顔を動かしている……けど!
「……!!クレベース、上です!」
「遅いです!エナジーボール!!」
「ロー……ゼッ!!」
ロズレイドは一瞬のうちに、クレベースの頭上をとっていた。気づいたハマレンゲさんがクレベースに知らせるけど……もう遅い!ロズレイドの放ったエナジーボールが、クレベースに直撃した!!
「レベーッ!?」
「クレベース!!」
粉塵が晴れると、そこには目を回して倒れるクレベースの姿があった。
「うむぅ……下がるのです、クレベース」
「レベー……」
……やっと、二体。初めて戦った時は、二対一という状況下ではあったけどここまで苦戦することはなかった。私もポケモンを相当鍛えていたし、当時主力だったオニゴーリを下してからは楽に戦闘を運ぶことができた。
それが、今はどうだ?ベリオロスとの戦闘を経て強くなったハマレンゲさんのポケモンたちを相手に、一匹は追い詰められ、もう一匹は倒されてしまった。ジンオウガたちと訓練をして、私自身も強くなったと実感した矢先に、これじゃあ……いや、違う。ただ単に強くなっているのは私だけじゃない、ってことだ。自惚れるな、私!
「あれだよ、あれ。おまえさんも随分と強くなったようですね。白騎士との戦いで鍛えられ、わたしも強くなったつもりでいたが……おまえさんはそのさらに上を行く!」
「まさか、それはこちらのセリフですよハマレンゲさん。正直に言いますと、苦戦はしても数を減らされるとは思ってもみなかったです。ハマレンゲさんこそ、こっちの想定の範疇を超えて強くなっていますよ」
「はっはっは!一度は己を負かしたおまえさんにそう言われたなら、一層自信がつくというもの!さて、次のわたしの一手は……おまえだ!」
ハマレンゲさんがそう言うと同時に、ハマレンゲさんの背後から何かが飛び出した!
三本の鋭い鉤爪、頭部や首回りの鳥の羽根のような扇状の飾り……あれは……!
「マニューラ!」
「マニュ」
「マニューラ!?」
どうしてマニューラが!?マニューラは黒曜の原野で発生する時空の歪みの中でしか出現しないポケモン……どうしてハマレンゲさんが……?
「どうして……?」
「どうしても何もなぁ……ある日突然、白騎士がわたしの前に引きずってきたんだよ。まるでわたしとマニューラを引き合わせようとしたかのようにな」
「…………」
それってつまり、純白の凍土にいたベリオロスが黒曜の原野の時空の歪みの中に出現するマニューラをハマレンゲさんと引き合わせるためにわざわざ黒曜の原野まで来てマニューラをとっ捕まえてきた……ってコトォ!?
……いや、黒曜の原野にはジンオウガがもともと生息していた。すると、ジンオウガがマニューラを捕えて、途中でベリオロスに引き渡し、そのままハマレンゲさんの元へ?
時空の歪み内に出現したポケモンは、時空の歪みが消滅すると一緒にいなくなるけれど……このマニューラは時空の歪みから離れすぎて消えなかったのかな?いや、考察は後だ、後。マニューラは素早さ、物理攻撃ともに高水準の高速アタッカーだ。これに対抗するには……。
「ライチュウ!」
「チューウ!」
マニューラの素早さについていけるのは、私の手持ちではゴウカザルとミミロップ、そしてライチュウくらいだ。ミミロップは倒れ、ゴウカザルはユキメノコ戦で弱ってしまったから、ライチュウで行くしかない!
「いわくだき!」
「躱して、れいとうパンチ!」
「チュ、チュウ!」
「マニュマ!!」
ライチュウのいわくだきによる礫がマニューラに降り注ぐけれど、マニューラは持ち前の速度ですべて回避してみせた。そのままマニューラのれいとうパンチがライチュウに繰り出された……けど!
「じゃれつく!」
「チュウ~!」
「マ、マニュ!?」
素早いポケモンとの戦いにおけるセオリーは、無理に相手を追うことをせずに出方を伺うことだ。そして、相手が近接タイプなら攻撃のために必ず接近する必要がある……つまり、攻撃の瞬間こそが最大の隙!
れいとうパンチを受けてしまったものの、こっちのじゃれつくもヒットした!あくタイプのマニューラには効果は抜群だ!
「なるほど……肉を切らせて骨を断つ、ときましたか」
「高速近接型のマニューラは、攻撃のためにどうしても相手に接近する必要があります。……けれど、それこそがマニューラの弱点。如何に素早くとも、攻撃のためには足を止める必要がありますから」
「はっはっはっ!なるほど、いや、お見事!あれだよ、あれ。おまえさんは勝負の天才だな、ワサビさんと同じように!!しかししかし!こちらとて黙ってやられるだけではない!」
じゃれついてくるライチュウを、強引に引き離したマニューラが攻撃の構えを取った。なにを……?
「マニューラ、力強く、どくづき!」
「マニュマニュマニュ!!」
「チュ、チュウッ!」
「ライチュウ!」
マニューラのどくづきが直撃してしまった!どうする……一度距離を置く?いや……でも!
「この距離なら、いわくだき!!」
「チュチュウー!!」
「マッ、ニュッ……!」
「ぬぅ、それは痛い!だが……つじぎりだ!!」
「ニューラッ!!」
「チュウッ!!」
咄嗟に選んだいわくだきは正解だった!ほとんどの礫を回避できず、マニューラはかなりのダメージを負った。けど、こっちも反撃のつじぎりを受けてしまった。……ライチュウもマニューラも、お互いに息が上がっている。おそらくは、次で最後……お互いに後一撃でも受けてしまえば、終わりだ。
ライチュウが、こっちに振り返って小さく頷いた。……わかった、ライチュウ。あなたの意を汲むよ!
「マニューラ!力強く、れいとうパンチ!!」
「ニュラー!」
「ライチュウ!ボルテッカー!!」
「チュウ!ラーイライライライライ……ヂュウ!!」
マニューラが両手を合わせて放ったれいとうパンチと、ライチュウのボルテッカーが激突し、激しい爆発を起こした。
煙が晴れ、二匹の様子は……どちらも倒れている。両者戦闘不能だ。
「なんと……引き分けに持ち込むために確実に当てられる技を選ぶとは、見事だよ!」
「いえ……本当は勝ち越すつもりでいたんですけど、なかなか思い通りにはいきませんね」
「そう簡単に負けてしまっては、白騎士に顔向けができない!だからこそ……オニゴーリ!ここで、勝つ!!」
「オニー!」
「それならこちらは……ガブリアス!!」
「ガブァ!!」
ハマレンゲさん最後の一体はオニゴーリ。対してこちらはガブリアス……タイプ相性の上では不利だけど、そこは技を駆使して乗り越えるしかない!
「さあさあさあ!決着としよう!オニゴーリ、ふぶき!!」
「オニイィーッ!!」
「ガブリアス!ストーンエッジで壁を張って!!」
「ガブガブア!」
槍型の岩を次々と地面から生やし、それを何十にも重ねて分厚い壁とする!目論見は成功、ストーンエッジによる岩の壁は、オニゴーリの吹雪を防ぎ切った!
「なんと!?」
「力強く、アイアンヘッド!!」
「ガアブアァ!!」
「ならばこちらも、力強く、アイアンヘッド!!」
「ゴリイィ!!」
アイアンヘッド同士による頭突き合い……オニゴーリにとっては効果抜群のはずなのに、ほとんど互角に打ち合ってる!
「かみくだく!」
「オニィ!!」
何度目かの衝突のタイミングで、指示が変わった!ガブリアスの頭突きが空振り、逆にオニゴーリに噛み付かれてしまった!あのオニゴーリも、初戦に比べて素早い!
「ストーンエッジ!」
「ガブッ!!」
咄嗟に自身の周囲にストーンエッジを放つことで、オニゴーリを吹き飛ばすことに成功した。これも効果抜群……一気にとどめを刺す!!
「ふぶきだ!」
「力強く、ドラゴンクロー!!」
「オニイイィィ!!」
「ガブァアア!!」
打ち上げられたオニゴーリが体勢を整えて、すぐさまふぶきを放ってきたけど……ガブリアスはすんでのところで回避して懐に飛び込み、オニゴーリにドラゴンクローを叩きつけた!!
「オニゴーリッ!!」
地面に叩きつけられたオニゴーリの姿が見え始めて……目を回して倒れている!戦闘不能だ!
「ふぅ……ご苦労さん、オニゴーリ」
「ガブリアス、ありがとう」
お互いにバトルに出したポケモンたちを回復させてから、ハマレンゲさんが声をかけてきた。
「あれだよ、あれ。相も変わらずお見事だよ!一度ならず二度までも……硬いだけでなく、鋭さを増した氷を砕きやがったな!」
「私にも、負けられない理由がありますから。……ところで、ハマレンゲさん?」
「うん?なんですかな?」
「どうして私に勝負を?たまたま偶然……にしては、ちょっと準備が良すぎな気がするんですが……」
「ほう……お見通しですか」
そう言うと、ハマレンゲさんは腕を組み目を閉じた。
「おまえさんは、あの白騎士……否、ベリオロスを仲間に加えようというのですね?」
「えぇ、はい」
ハマレンゲさんも、ベリオロスの名前を……ワサビちゃんから聞いたのかな。
「……あのポケモンは、強すぎる。その気になれば、この純白の凍土の生態系を破壊してしまいかねないほどに、です。ほかならぬベリオロスがそうしないが故に雪原キングもまた動かないだけで、この地に棲むポケモンたちの大半がベリオロスを脅威に感じています。現に、かつてベリオロスはわずか一夜にしてこの地に棲むすべてのオヤブンポケモンを倒してしまいました。
わたし自身、何度もベリオロスと戦っているからこそ、かの者の強さ、そして恐ろしさを身を持って痛感しています。そして……おまえさんは、そんなベリオロスを仲間にしようとしている。ポケモン達にとっても、人間達にとっても、強大極まりない力を持つベリオロスを」
「…………」
目を開いたハマレンゲさんが、まっすぐにこっちを見つめてくる。
そうだった……ベリオロスは、普通のポケモンたちからすると強すぎる生き物なんだ。それは、ジンオウガたちにも同じ事が言える。
「おまえさんの境遇はよくよく把握しています。そこへ来て、ベリオロスを求める……なにか、良からぬことが起こるのではないかと懸念しているのです。おまえさんが、復讐の道に走るのではないか、と。
もしもそうならば、わたしは意地でもおまえさんをここで食い止めねばならん!そう思い、おまえさんに勝負を仕掛けたんだよ。勝負は正直だ。人間の心とポケモンの心、その両方がわかりやすく表に出やすい」
「では、勝負を通じてハマレンゲさんは、私に何を見出しましたか?」
「うむ……勝負の間、おまえさんからは怒りや憎しみといった、負の感情は感じられなかった。それどころか、わたしとの勝負を楽しんですらいたなぁ!ポケモンたちも特に悪感情を抱いている様子もなかったし……おまえさんになら、むしろベリオロスを託しても良いとさえ感じたぞ!」
「だって……ハマレンゲさん、想像以上に強くなってますもん。私は元々、バトルは好きな方ですし……やっぱり、実力の近い者同士のバトルって手に汗握るし緊張でドキドキするんですけど……その分、やっぱり楽しくなるんですよ」
「はっはっはっ!やっぱりおまえさん、そのあたりは正直だよなぁ!」
豪快に笑うハマレンゲさんに釣られて、私も思わず笑みが浮かぶ。確かに、バトルの間って気持ちがすごく表れやすいと思う。楽しんだり、怒ったり、喜んだり、焦ったり……そういった感情が、戦っているポケモンにも伝わっていってバトルに大きく影響したり……やっぱりポケモンバトルって、最高のコミュニケーションツールだ。
「……実はおまえさんに勝負を仕掛けたのは、ワサビさんたってのお願いだったんだよ」
「ワサビちゃんが?」
「うむ。……なにやら良くないことでもあったのか、最近は特に曇った表情を見せることが多くなりましてな。それに伴って、ここ最近は毎日のようにベリオロスと一日ともに行動するようになりましたぞ。
ポケモンたちとも、よく鍛錬をするようになりましたな。……あの鬼気迫る表情、はたして何者と戦うつもりでいるのか……」
「…………」
「ワサビさんはたしか、キング場で待つ、とのことでしたな。ワサビさんとベリオロスによろしく!私も寸暇を惜しまず、再び己とポケモンたちと向き合いますので!!」
「はい……ハマレンゲさん、ありがとうございました」
ハマレンゲさんにお礼を言って、リオレウスとともに氷山の戦場に向けて移動を始める。セキさんからは日がな一日一緒にいる、という話は聞いていたけど……ワサビちゃんが元気がないって話は初めて聞いた。
ワサビちゃんは嘘か真か、千里眼の持ち主だ。未来を見通す力を持った人が、元気をなくすということは……なにか、良くない未来でも視えてしまったのだろうか……。
氷山の戦場へ繋がる戦場への道に差し掛かったところで、意外な人物がそこにいた。
「あれ……カイさん?」
「ショウさん」
坂道の一番手前にいたのは、シンジュ団の長であるカイさんだ。ちょっと自分の自信がなくて、けれど仲間への思いが一番強い人だ。
メン――いや、何でもない。
「カイさん、どうしてここに?」
「……とりあえず、キング場に行こっか」
「え、はい」
カイさんは踵を返して歩きだし、私も慌てて後を追った。そのまま二人で横並びに歩いて、氷山の戦場へと向かう。
「……ショウさん、ごめんね」
「え?……あぁ、気にしないでください。カイさんも長としての責任があるでしょうし……大丈夫、ちゃんとわかってますから」
「ありがとう……」
開口一番、謝罪されてしまった。一瞬なんのことかと考えたけれど、ガラナさんの言葉を思い出して、私を助けられないことを謝ったんだと察した。
「……ワサビちゃんから聞いたよ。彼を……ベリオロスを捕獲しに来たんだよね」
「えぇ、はい。……ひょっとして、なにかマズイ理由でも?」
「まさか、とんでもない。彼がショウさんの力になってくれるなら、どれだけ心強いことか……けど、ワサビちゃんが……」
「……ワサビちゃん、なにか良くないものでも視えたんですか?」
「ううん、わからない。ワサビちゃん、何も教えてくれなくて……でも、最近は一日中ベリオロスと一緒にいるの。まるで、ベリオロスを守ろうとしているかのよう……」
「…………」
ベリオロスを、守る?ベリオロスの強さならむしろ守るというよりこっちが守られるのほうが正しいのでは……。少なくとも、この純白の凍土でベリオロスを脅かすようなポケモンなんていないだろうし、まともに対抗できるのはそれこそ雪原キングくらいだろう。
しばらく歩き続けて、氷山の戦場に到着した。キングの好物を納める台座の前で、カイさんは私の方へと振り返った。
「ショウさん、どうかワサビちゃんとベリオロスのことをお願い。ワサビちゃんとはベリオロスを通じて友達になれた仲……最近のワサビちゃんは何かに追い詰められているみたいで、見ていられないの。どうか、お願い。同じ友達であるあなたにしか頼めないの」
「カイさん……!」
あなたという人は……!
「……私たち、いつの間にか友達だったんですね」
「……え。え、あれ?うそっ、ちょっとまって。あれっ、嘘でしょ?友達だと思ってたのわたしだけだったの!?ねぇショウさん!ねぇ!!友達だよねわたしたち!?ねぇっ!?
……そうだよね、友達一人の悩み一つ解決できないんだもん……こんなわたしなんかが友達じゃ嫌だよね……。友達が苦しんだり悩んだりしているのになんの力にもなれないわたしなんて……」
「嘘です嘘です、私もカイさんとは友達だと思ってましたよ。ただ、『友達だよね?』って確認するのが気恥ずかしくって」
「~~~~っ!!はぁ~……もう、心臓に悪いことを言わないでよ……」
「ごめんなさい」
やっぱりカイさんってメン――いや、何でもない。
「……わかりました。ワサビちゃんのこと、任せてください」
「……お願いね、ショウさん」
カイさんに見送られて、私とリオレウスは戦場へと足を踏み入れた。……かつて、雪原キングを鎮めるために立ち回った高台から降りた先、戦場の一番端っこの方に、ワサビちゃんが立っていた。私が近づくと、察知したのか振り返った。
「……ハマレンゲさんにも勝っちゃったんだね。あの人、ベリオロスとの戦いですごく強くなったのに」
「いや、実際ものすごく強くなってたよ。私の手持ちも二体倒されちゃったし……。
負けるかも、って思ったの本当に久しぶりだった」
「そっか。……あたしはショウさんがここにたどり着くのを期待してた?してなかった?さて、どっち?」
「えっと……してた、かな?」
「ふふ……」
……あれ?そういえばベリオロスは?どこを見てもベリオロスの姿が見当たらない……どこかに隠れてる?それとも、もうバトルは始まってる?
リオレウスもキョロキョロと首を動かしているけれど……リオレウスが存在を察知できないところを見るに、この辺りにベリオロスはいないみたい……。
「ベリオロスを探してる?やっぱり彼に会いたいんだ」
「まぁ、うん。そのためにここに来たんだし……」
「そっかぁ……それじゃあ、今度はあたしと勝負だよ!」
「えぇ!?」
「みんな、おいで!!」
ワサビちゃんの呼び声に応じて、ポケモンたちが姿を現した。
ドサイドン、ブーバーン、エレキブル……えっ、クロバットにフーディンにルカリオ!?
まさかのフルメンバー!?
「えっ……ワサビちゃん、本気モード?」
「うん、もう本気も本気。……全力で叩き潰してあげるから、覚悟してね?」
ヤバイ……ワサビちゃん、本気モードだ。最初の三体に加えて後半の三体……なんか殺意が高すぎない?大丈夫?
「ふふふ……かかってくる……?」
心なしか、ワサビちゃんの圧もすごい!?……いや、せっかくここまで来たんだ。今更逃げも隠れもしない!リオレウスはそこで見ててね!
「わかった……ワサビちゃんに、挑むよ!」
「そうこなくっちゃ……!」
最初の一匹目を吟味しつつ、ワサビちゃんの様子を観察する。……たしかにカイさんの言う通り、今のワサビちゃんからは焦りのようなものを感じられる。きっと、ワサビちゃんが視たかもしれない未来に原因があるかもしれない……それを確かめるためにも、ここで勝つ!
「「行けっ!ゴウカザル!!/お願い、クロバット!!」」
「「ウキャア!/バット!」」
勝負だ、ワサビちゃん……!!
カイを揶揄って不安にさせたあとでドロドロに甘やかしたいだけの人生であった……。
はい、ということで今回バトルしたハマレンゲニキの手持ちはこちら
ハマレンゲ 手持ち一覧(対ベリオロス戦用強化版)
※レベルはみなさんのご想像におまかせします!
オニゴーリ ♂
がんばレベル
攻撃:3
特攻:3
素早さ:6
わざ
ふぶき/かみくだく/じならし/アイアンヘッド
ユキメノコ ♀
がんばレベル
攻撃:3
特攻:3
素早さ:6
わざ
こおりのキバ/シャドーボール/10まんボルト/みずのはどう
クレベース ♂
がんばレベル
攻撃:3
防御:10
わざ
かみくだく/てっぺき/ひょうざんおろし/いわなだれ
マニューラ ♀
がんばレベル
全ステ:3
わざ
れいとうパンチ/つじぎり/どくづき/つばめがえし
なんで戦闘描写って書いてるだけで文字数が勝手に増えるんだろうか……。
ワサビちゃんの手持ちの詳細は次回の前書きにて!
全員集合、五人組!あなたのお気に入りは? (理由もあると嬉しい……嬉しい……)
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ジンオウガ (稲妻 光輝)
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グラビモス (岩木 剛太)
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ラギアクルス (水橋 流静)
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リオレウス (赤羽 焔)
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ベリオロス (氷室 剣介)