デンボク団長の初手はウォーグルか……ダイケンキなら余裕で勝てる。
「……角の折れたダイケンキか。ただならぬ覇気……否、鬼気であるな」
「ダイケンキは、私に勝利を齎すために自らの象徴である角を折った。……その覚悟は、決して他者には量れない。知りたいというのなら、アシガタナの錆になってもらいますよ」
「……よかろう、それもこの勝負でわかることだ!ウォーグル、マジカルシャイン!」
「クルウォー!」
「どくづき」
「!」
ウォーグルが放つマジカルシャインを、ダイケンキのどくづきが容易く吹き飛ばす。今のダイケンキに断てぬものはない。このまま押し切ってやる。
「ひけん・ちえなみ」
「……!」
「ウォガ!?」
「ウォーグル!」
デンボク団長のウォーグルはダイケンキのアシガタナに斬り伏せられ、一撃で倒れた。
……ダイケンキは、本当に強くなった。けど、何がトリガーとなって今の強さを手にしたのかはまだはっきりとはしていない……が、間違いなくダイケンキの覚悟が強く影響しているのではないかと考えている。
覚悟……それは、ポケモンを本来の姿から一つ上の強さへと導き、通常種では決して得られない力を与えるほどのものなのか……。ポケモンとは、まだまだわからないことだらけだ。
「くっ……ピクシー!」
「ピピィーッ!」
「力強く、ムーンフォースだ!!」
「ピクシィー!!」
「突撃」
「!!」
一言。短く命じるだけで、ダイケンキは私の望む通りの動きをしてくれる。再びどくづきを構えたダイケンキは、迫り来る力業ムーンフォースを前にしても怯まずに突撃し、真正面からこれを打ち破った。さらにそのまま突っ込んでいき、ピクシーにどくづきを命中させた。さらに押し込んでピクシーを吹っ飛ばすと、壁に激突したピクシーはそのまま目を回して倒れた。
「い、一撃だと……!?」
「……これが、ダイケンキの覚悟です。私に勝利を捧ぐべく、立ち塞ぐものをすべて撫で斬りにする……今のダイケンキを止められるのは、貴方の言う未知の巨大ポケモンたちぐらいですよ」
「むぅ……!だが、わたしにはまだポケモンが残っている!カビゴン!!」
「カビッ」
カビゴンか……耐久力はピカイチの厄介なポケモンだ。……ここは、新戦力を試すべきだろうな。
「戻って、ダイケンキ。出番だよ、ルカリオ」
「クオォアッ!!」
私が出したのは、ルカリオ。ゴウカザルが抜けたあとのかくとうタイプを埋めるためでもあり、ワサビちゃんのルカリオとのバトルを経て改めてルカリオの強さを知ったから、というのが採用理由だ。
「ルカリオ。あなたの力を、私に示して見せて!」
「クンッ!!」
……なにより、このルカリオ。ゴウカザルへのライバル意識が非常に強いのだ。ゴウカザルが重傷を負って一時戦線離脱となった旨を伝えた際の、愕然とした表情は今も忘れられない。いつかは己が打ち破り、手持ちの座から引きずり下ろす……そう考えていたルカリオにとって、今回の採用は青天の霹靂も同然。ルカリオ自身もこの採用にはあまり納得がいっていないのか、ゴウカザルの早期復帰を願っているそうな。
「……件の巨大ポケモンは出さぬつもりか」
「デンボク団長は屍山血河がお望みで?彼らの力は普通のポケモンに対して威力過剰……その爪牙はポケモンの肉体を容易く引き裂き挽肉にできるんですよ。私だってそんな残酷なことはしたくありません」
「……そうか」
実際、ミミロップとゴウカザルの負傷を目の当たりにした私には、彼らの力が如何に恐ろしく強すぎるのかがよくわかる。……だから、それを加味してもグラビモスだけは絶対に出せない。出したら最後、ポケモンごとトレーナーを消し炭にしてしまいそうだから。
さて、デンボク団長はどう動くかな。まぁ、カビゴンが覚える技には10まんばりきがあるから、十中八九弱点を突いてくることだろう。
「10まんばりきだ!」
「カンビィッ!!」
ほらね。
「素早く、バレットパンチ!!」
「クオッ!!」
先制技を早業で繰り出すゴリ押し先手術!一瞬で接近してきたルカリオに、カビゴンは目を丸くして驚いている。その隙を突き、ルカリオはバレットパンチをカビゴンの鼻先に叩き込んだ!
「しねんのずつき!」
「クォアッ!」
「ンビッ!?」
さらに追撃としてしねんのずつき!ルカリオは接近した勢いをそのままにカビゴンの顔を両手で固定し、そのままずつきをかました。
「怯むなカビゴン!こちらもしねんのずつきだ!」
「カビカビ!」
「グッ……」
今度はこちらがしねんのずつきを食らわされた……が、はがねタイプを併せ持つルカリオには威力は等倍。大したダメージにはなっていないようで、ルカリオは僅かに後退した程度ですぐに体勢を立て直した。
「カビゴン!10まんばりき!」
「カンビ!!」
再び勢いよく突撃してくるカビゴン……だが、残念。もう既に見切っている!
「ルカリオ!力強く、はどうだん!!」
「クオォア!!」
突撃してくるカビゴンをギリギリまで引きつけ、インパクトの瞬間に回避したルカリオ。さらに、攻撃を避けてすれ違い際にはどうだんを置いていくことで、カビゴンが接触した瞬間に爆発を起こした!煙が晴れれば、目を回して倒れるカビゴンの姿があった。
さすがはルカリオ、攻撃技しか指示していないのに、こっちがしてほしい動きを完璧に再現してくれた。これが、波導の力なのかな?
「な、なんと……!」
「団長……私、負けるわけにはいかないんですよ。世界のためにも……なにより、私自身のためにも」
「……そうだろうな。だが、わたしとて譲れないものがある!わたしたちの……生活を脅かすなら、ポケモンは排除せねばならぬのだ!ゴローニャ!」
「ゴロー!!」
最後の一匹はゴローニャか……ルカリオなら、余裕で対処できる。
「ストーンエッジだ!」
「ゴローァ!!」
「はどうだん!」
「クルルオ!」
地面からせり上がりながら迫って来るストーンエッジを、アンダースローで放たれたはどうだんが地面を抉りながら吹き飛ばしていき、そのままゴローニャに直撃した。
「とどめ……力強く、みずのはどう!!」
「クルル、オア!」
「ロニャアッ!?」
「ゴローニャ……!」
いわ・じめんタイプのゴローニャにみず技はとびきり効く。たとえ使ったのがみずタイプでなくとも、かなりのダメージが見込めるだろう。事実、ルカリオのみずのはどうの一撃でゴローニャは戦闘不能になった。この勝負、私の勝ちだ。
「……真の強者よな……」
デンボク団長は小さく呟くと、その場で膝をつき頭を下げた……要するに、土下座をしたのだ。
「ショウよ……申し訳なかった、このとおりだ。衷心よりお詫びする……!」
「デンボクさん……」
「今更だがギンガ団のため……いや、カミナギの民のため、ヒスイのポケモンのため力を貸してくれ……」
「大丈夫だ、旦那。あかいくさりがある!」
カイさんが痛ましい表情でデンボク団長を見やり、セキさんは改めてあかいくさりの存在を伝える。
それにしても……まさか、土下座をするとは。デンボク団長もそれだけ本気だということか。そこまで誠意を見せるなら、こちらとしても謝罪を受け入れてもいいんだけど……デンボク団長が土下座をしたあたりから、グラビモスが入ったボールがさっきよりもずっと激しく動き続けているんだよね。今にも飛び出して、デンボク団長を踏みつけにしてしまいそうだ。
だから、ここはグラビモスに納得してもらえるような終わらせ方をするべきだ。それに……グラビモスの怒りは、私の怒りも同然。彼が怒ってくれるから、私自身も怒りの感情を流されずにしっかりと保ていられる。ボールにそっと手を添えて、グラビモスを落ち着かせる。私の想いが伝わったのか、ボールはゆっくりと動きを止めていった。ありがとう、グラビモス。大丈夫だよ……私なりにけじめをつけるから、そこから見ててね。
「……わかりました。ただし……一発だけ、全力でぶん殴らせてください」
「……それでお前の気が済むのなら、いくらでも受けよう」
「では……」
デンボク団長が顔を上げたところで、私は拳を握り締める。
「破ァッ!!」
そのまま私は……デンボク団長の眉間に拳を振り下ろした。下手したら鼻骨に当たって私もめちゃくちゃ痛い思いをする場所だが、かろうじて鼻骨との接触は避けられた。女子供の一発とはいえかなりの威力が出たようで、デンボク団長はそのまま仰け反り尻餅をついた。
「……今は、これで済ませます。ですが、私を使うだけ使って捨てたこと……私の信用を裏切ったこと、一生許しませんから」
「……あいわかった」
「ふぅ……ヒヤヒヤしたぜ、ショウ。なにはともあれ、次はシンオウさまだな!」
セキさんの言う通りだ、けじめはつけたがまだ事態は収束していない。私たちはシンオウ神殿の一番奥へ向かう。ここであかいくさりを使う必要があると思うんだけど……。
「応っ、さっそくあかいくさりを使おうや!」
「待って……え?なにこれ……!!」
「カイさん……?」
なんだろう、カイさんの様子がおかしい……?
「なにかがわたしの頭に……ううん、心に話しかけてきてる!?」
……!?カイさんに何かが干渉しているというの?
「"アカいクサリ……ヨクきたナ、ワれヲツカまエろ!"」
「おい、カイ、何を言い出してやがる!?捕まえろ、だと?」
「シンオウさま?シンオウさまが語りかけてくる……。"アカいクサリ……ヨクきたナ、ワれヲツカまエろ!キタるべキタタカいニソナえテ!"」
カイさんの口からは不思議な口調で言葉が紡がれる。特に気になったのが、「来るべき戦い」の部分……いったい、何が起こるというのか……。
やがて、シンオウ神殿の奥から異質な空間の裂け目が出現し、そこから一匹のポケモンが姿を現した。真珠のような核が納まった肩アーマーが特徴の、力強い気配を携えた一匹のポケモン……まさか、これがシンオウさま?
そのポケモンからは禍々しいオーラが放たれていたが、私が持っていたあかいくさりがひとりでに飛び出すと、そのポケモンを囲い込み力を押さえつけてしまった。あかいくさりは砕け散ってしまったけど……目の前のポケモンからはオーラが消え失せ、落ち着きを取り戻したように見えた。
「パルルルルアアアァッ!!」
なるほど、コイツと戦って捕まえろってことね……!
「トゲキッス、お願い!」
「キッスッス!」
私が繰り出したのはトゲキッス……ルカリオとともに採用した新しいメンバーだ。なぜかは分からないけど……私の直感が訴えているんだ。……あれは、竜だと。竜ということはドラゴンタイプ……ならば、フェアリーで対抗するのが定石!
「パルルゥッ!!」
いきなりハイドロポンプか……!
「躱して!」
「キッス!」
「反撃だ!ムーンフォース!!」
「キイィッス!」
ハイドロポンプを回避し、反撃にムーンフォースを放つ!攻撃は命中し、ドラゴンポケモンにかなりのダメージを与えたみたい……やはり、私の勘のとおりドラゴンタイプだ!
「パルアァ!」
ドラゴンポケモンは翼を広げて飛翔すると、そのまま接近してきた。……!尻尾が水を纏っている……アクアテールだ!
「エアスラッシュで弾幕を張って!」
「キッス!」
エアスラッシュによる弾幕で、ドラゴンポケモンの勢いを削ぐ。僅かに速度が緩んだ……その隙は逃さない!
「サイコキネシス!」
「キスキス!」
「パルッ!?」
「叩きつけて!追撃に力強く、ムーンフォース!!」
「チョッゲ!キイイィィッスッ!!」
「ルアアァァァッ!!」
……よしっ、たとえ相手がシンオウさまだろうが、ほとんど一方的に試合運びができている!……もしかしてシンオウさまって、トゲキッス……というより、フェアリー・ひこうの複合タイプに対して打てる技が少ない?だとすれば、トゲキッスを採用したのは正解だったかもしれない。
シンオウさまはだいぶ弱っている……今なら!!
「いっけぇ!モンスターボール!!」
ボールを投げて、シンオウさまがその中に格納される。しばらく抵抗するように暴れていたけど……捕獲の花火が上がった!!
「よしっ……!」
やった……シンオウさまを捕まえた!確かに見た目からして手強そうなポケモンだったけど……私の身近にはもっと危険なポケモンたちがいるからか、あまり恐ろしいとは思えなかったな……。
事の一部始終を見守ってくれていたカイさんたちも、我が事のように喜んでくれている……あ、博士と先輩、いつのまに。戦いに夢中になってて、全然気がつかなかった……。
「シンオウさま……いや、パルキアさまが心に話しかけてくるよ……!?」
あ、パルキアっていうんだあのポケモン。……んん?パルキア?あれ……なんかお母さんのポケモンにそんな名前のポケモンがいたような……それに、パルキアの姿もどこかで見たような記憶が……。
「ジクウ、ミダレ……クズれタ、チカラカんケイ……。アラぶるイッピキ……ヤッてクル!ワれ、ソノタめニオリタッたゾ!」
「もう一匹やと?だが、あかいくさりは砕けた……いかにショウといえど、もう1匹と相対するのは無理やろ!」
びっくりした!デンボク団長、コガネ弁を話せるんですか!?もしかしてジョウト地方出身?
もう一匹……いや、そうか。時間と空間……パルキアがどっちかはわからないけど、司るものが二つある以上、もう一匹存在するのは必然……!ジンオウガたちを使えば戦えないことはないけど……この問題に、ジンオウガたちを使うつもりはない。これは、ここまで私を支えてきてくれた彼らへ示す……私自身の覚悟だ!
そうこうしているうちに、先ほどパルキアが出現した穴が再び開き、そこからもう一匹……青い色の四足ポケモンが現れた。……あれ、は。あれも、竜だ。わかる、あれもドラゴンポケモン……パルキアに比べて、だいぶ鋭利的な姿をしている……。
「グギュグババァグアア!!」
もう一体のシンオウさまの咆哮とともに、得も知れぬ力が溢れ出した!
デンボク団長は撤退するよう叫んでいる……戦うだけならなんとかなるかもしれないけど、あかいくさりが無い以上はあのポケモンを鎮める手段はない……。ここは素直に退却するほうがいいだろう……そう判断して、私たちは山頂ベースまで撤退した。
さて、山頂ベースまで戻ってきたはいいものの……あのシンオウさまをどうすればいいのかは見当がつかない。シンオウさま出現時に裂け目から溢れていた凄まじいエネルギー……ラベン博士は、あのエネルギーが雷という形であふれてキングたちを荒ぶらせていたのではないか?と仮説を立てている。私もその通りだと思う。
デンボク団長からは改めて謝罪を受けた。私を信じてくれたセキさんとカイさんが正しかったことを認め、己の一存で団を追われながらも、これまでヒスイ地方の人々を助けたことへの感謝の言葉も……。ここは素直に受け取らないとダメだ。その気持ちは紛うことなく本心だろうから。セキさんとカイさんも、デンボク団長の暴走を一応は許すみたい。……私は一生許さないけど。
あかいくさりが砕けてしまったことも含めて、今後のことをきちんと話し合わないと……そう考えていると、カイさんがすでにパルキアから事態の解決法を聞いていたみたい。その内容は「宇宙始まりの石。あかいくさり。人が造りし器。それらを合わせ、乱れし時間を収めよ」とのこと。さらにはパルキアも同伴させる必要があるんだとか。……留守番はライチュウに頼もう。
パルキアの言葉を、色々と考えてみる。あかいくさりは砕けた破片をセキさんが回収していたみたい。人が造りし器……ラベン博士が思うに、モンスターボールのことだろうとのこと。そして、宇宙始まりの石……キクイさんなら何かわかるかも知れないとのことで、カイさんがキクイさんを呼ぶこととなった。そして……ラベン博士はアヤシシたちから貰ったプレートにヒントがあるとのことで、今は私が今まで貰ってきたプレートを見ている。なんでもプレートにはメッセージが刻まれているらしく、そこにヒントが書かれているのではないか、とのこと。ウォロさんから聞いたらしい……プレートにも詳しいのか、あの人。ますます何者なのか気になるな……。
「……これです!」
あっ、どうやらラベン博士が発見したみたい。大地のプレートに書かれた「宇宙生まれし時 その欠片、プレートとする」……これがヒントになるみたい。曰く、プレートに似た性質の石を探せばいいみたい。さらにキクイさんはウォロさんの依頼でそうした石に心当たりがあるそうな。……いや、ウォロさんあなた何をやってるんですか。そして、博士が名付けた「オリジン鉱石」を探すこととなった。
……商人として働く傍らで、プレートやオリジン鉱石について聞きまわっていた、と。まさか、今回の事態にウォロさんも一枚噛んでるんじゃ……?いや、たかだか一商人に過ぎないウォロさんに、一体何ができるというのか。詮無きことだと考えを捨てて、目の前のことに集中することにした。
キクイさんを待っている間、暇を持て余したのかツバキさんが絡んできた。セキさんに「役目をくれ」と強請れば、「応援してろ」と言われる始末。いや、それでいいのかキャプテン。しかもヨネさんをはじめとする他のキャプテンたちはキングの世話や集落の人々を落ち着かせるために東奔西走しているとか。それなのにツバキさんときたら、団長のセキさんをバカ呼ばわりした挙句「人には向き不向きがある」なんて抜かしおる。……この人、なんでキャプテンになれたんだろうか。セキさんの人選ミスが疑われる……。
そして私はツバキ賞としてスイートトリュフを貰った。……後でヨクアタラーヌとクリティカッターにクラフトしよう。
そして、カイさんに連れられてキクイさんが合流した……その矢先にツバキさんがキクイさんに難癖をつけ始めた。……少なくともツバキさんの云百倍は役に立ちますので気に入らなくても受け入れてもらいますからね。一方でキクイさんも負けじと反撃をする。終いにはお互いのキング同士でバトルするか?なんて完全に喧嘩腰になっている。
……対面有利はマルマインかな?タイプ相性ならバサギリが有利だけど、すばやさはマルマインが上だし。初手に力業のかみなりを命中させれば、特防値が高くないバサギリでは受けきるのは難しいだろう……けどそこで仕留め損なったら反撃のむし技が怖いところ。シザークロスは急所に当たりやすいし、力業で放てばさらに急所率が上がる。ワンチャン命中安定で力業クロロブラストなら威力等倍で落ちるかな……っと、いけないいけない。バトルのことになるとつい熟考してしまう……こういうところ、お母さんに似てるってよくお父さんに言われたな。
ふと気が付くと、私がヒスイマルマインVSバサギリをシミュレートしている間に話はとんとん拍子に進んでいたらしくこれから太古の洞穴へと向かうところだったらしい。ヤバイヤバイ、すぐに移動しないと……。
「何をぼーっとしてんだ、ショウ」
「すばやさで上を取れて尚且つ命中安定の力業クロロブラストならバサギリの特防をぶち抜いて初手確一で落とせるのではないかと」
「めっちゃ早口で何言ってんだおめえ」
しまった!まだシミュレートから抜けきれていなかった……。私の言葉が聞こえてしまったようで、ツバキさんが上機嫌に、キクイさんが不機嫌になってしまった……ほんと、スミマセン。以降、頑張って自重します。……多分。
太古の洞穴……以前訪れた時は、ポケモンの化石っぽいのと、よくわからない力を感じる石がある、位の印象しかなかったけど……。改めて訪れると、その力強さがよくわかる。キクイさんの採石の知識と技術、そしてヌメイルの技が合わさればきっと可能だ、任せてくれと意気込むキクイさんは本当に頼もしい。……ただ、やけに気合が入っているように見えるのは、私のバトルシミュレートのせいだとは思いたくない……。
「ちょいと待っていただこうか」
さあ採石開始……というタイミングで、どこからともなく野盗三姉妹が現れた!どうやら私たちの後をつけてきたようで、今までの話を聞いていたらしい。すわ、立ちはだかるかと身構えるセキさんとカイさん……けど、私は構えすら取らない。だって、野盗三姉妹からは明らかに敵意を感じられないから。
「本当ならここいらで宝を横取りしようかとするところだけれど……あたくしたちはショウに借りがあるからね、そっちに手出しはしないよ」
オマツ……どうやら、リオレウスの炎から助けたことをちゃんと覚えていてくれたみたい。確かに言っていた……「いずれ必ず返す」と。
「ショウ……あの巨大なドラゴンポケモンを従えるあなたなら、テンガン山にやってきたというバケモノだってなんとかできるでしょう」
「まぁ、あんなバカでっかいポケモンをどうにかできるんなら、なんとかなるんだろうけどね!」
「お宝は見逃してやるから真っ赤な空、なんとかしろよな!」
「今回は何もしないでおいてあげるけど、次にあったらタダじゃおかない……覚えておきな!」
野盗三姉妹はそれぞれに言いたいことだけ言って、まためかくしだまでどこかへ消えていった。……セキさん、「何しに来たんだよ」って……多分だけど、激励?
野盗三姉妹が去ったので、改めてキクイさんが採石を始めた……うん、無事にオリジン鉱石が採れたみたい。手に取ってみると、確かに力を感じる……これなら、きっとどうにかできるはず!一度オリジン鉱石をベースで待つラベン博士に見せてみると……うん、いい反応が返ってきた!これで良かったみたいだ!
その後、コトブキムラに戻った私たちはギンガ団本部で合流し、オリジン鉱石とあかいくさりをクラフト名人のテル先輩に預けて、部屋の外で待機。しばらくして、ラベン博士がオリジンボールと名付けられたボールを手に戻ってきた。……このボールで、もう一匹のシンオウさまを捕らえる……難しいかもしれないが、必ずやってみせる。
そして、それが終われば私は――。
「ショウくん。オリジンボールを携え、パルキアとともにシンオウ神殿に急ぐのです!」
「はいっ……」
いや、今はよそう。まずは目の前のことをすべて終える……それからだ。
門の前まで移動すると、そこにはコギトさんがいた。コギトさん曰く、時間と空間は切り離せないもの……。シンオウ神殿に現れたもう一匹のシンオウさまは時間を司るポケモン……名はディアルガ。荒ぶるディアルガを鎮めれば、私が捕らえたパルキアの力を合わせることで時間と空間がともに釣り合い、世界は正しく存在することができる……らしい。
あと、私たちが事態の収拾に取り掛かっている間、コギトさんはムラで買い物を楽しむんだとか。ちゃっかりしてるなぁ、この人。
場所を再び移してシンオウ神殿へ。カイさんから「為すべきことがある人には、輝ける舞台がある」という意味のことわざ「場が迎えに来た」という言葉をいただいた。……うん、いい言葉だ。
実は誰にも言っていないけど、私には小さな頃からお母さん、お婆ちゃん、そのまたお婆ちゃん……もう何代も前のお婆ちゃんから聞かされ続けた
いざゆかん
そうこうまとう
らいろうの
ほうこうひびく
いにしえのくに
私の何代も前のお婆ちゃんたちが詠い継いできた
待ち構えるディアルガを前に、私はパルキアが入っているボールを構える。すると、ディアルガの胸の部分……ダイヤモンドのような形状の核から光が生まれ、ディアルガが包まれていった!私は反射的にパルキアを繰り出し――
瞬間、爆発が起こった。
……幸いにして間に合ったようで、パルキアが光の爆発から私達を守ってくれた。けれど、ディアルガは光の渦に包まれたままで、姿すら見えない。パルキアが口から光線を放つと、ディアルガを包む光が消えて行き……ついにその姿があらわになった。
先程よりもより鋭角的に、そして神々しく変化したディアルガ……ともすれば、いびつにも見えるその変化に、私は警戒を一層強める。
その時、パルキアがゆっくりとこちらを見た。パルキアが小さく頷くと、私の手の中にはシズメダマが用意されていた。……ありがとう、パルキア。あなたもディアルガが心配なんだよね。大丈夫……私に任せて!
キング・クイーンとの戦いの要領で、ディアルガに次々とシズメダマを当てていく。空から降らせてくるりゅうせいぐんや地面に沿ってくる衝撃波など、回避するのも一苦労な攻撃ばかり……けど、冷静に見極めて、攻撃のギリギリのタイミングまでシズメダマを当てて当てて当てまくる!!ディアルガが大技を仕掛けてくる前に、なんとしても終わらせてみせる!!
「こんのぉ!」
「……!!」
投げて投げて投げまくって……もう何十回と投げ続けて、ついにディアルガが体勢を崩した!今なら!!
「いけっ!オリジンボール!!」
私が投げたオリジンボールが激しい光とともにディアルガを捕らえた!一度……二度……三度と暴れるボールだけど……淡い光とともに、ついにボールが動きを止めた!ディアルガを、捕獲できた……!
その直後、ボールの直上から光が差すと、赤く変化した空が元の色へと戻り始めた。よかった、ひとまずは解決――。
……あれ?
ちょっと……待って、よ……?
なんで、時空の裂け目が……消えているの……?
わたしは めのまえが まっくらに なった……
最後の方、完全に駆け足になってて書いてて草不可避。
さて、アンケートですが、実施日数は活動報告の方に書いときます。
とりあえずは皆様のためにぃ……一夜漬けで考えた極みポケモンの設定を……(「・ω・)「ホイ
極みポケモン
強い覚悟を秘めたり外部からの強力な干渉を受けたポケモンが、極稀に極地へと達することで変化した姿。個体によっては進化のように姿が変わることがある。
全てのポケモンに共通して、通常覚える4つの技に加えて「大技」と呼ばれる第5の技を使用できる。ただしこの「大技」は一度使用した場合、再使用にはポケモンをしっかりと休ませる(ベースキャンプで休む)必要がある。
極み個体の一覧
初めて観測されたダイケンキの極み個体。オドガロン亜種との戦いで、自ら角を折ってでも勝利に貢献するほどの強い覚悟を示した姿。全身にオドガロン亜種戦での傷痕が残っており(当人の希望でわざと残している)、前述したように角が折れているのが特徴。
角が折れたことで技「メガホーン」が使用できなくなった代わりに、より神経を研ぎ澄ませることで敵の急所を見極められるようになったことで全ての技を急所に当てられるようになっている。
大技は「
ダイケンキに続けて観測されたライチュウの極み個体。
非常に高い電圧の電撃を操っている影響で頬袋が白く染まっており、耳や尻尾の先端が電撃で常に焦げている。放たれる電撃も白くなっているのが特徴。
単純にでんき技が強化されており、でんきタイプを半減するでんき、くさ、ドラゴンタイプに対して等倍以上のダメージを与えられるほどになっている。ただしじめんタイプに対しては変わらず無効のまま。
大技は「ボルテージスマッシャー」。電撃を纏った後、敵に連続体当たりを仕掛け、最後に打ち上げた後に真下に回り込み、止めに光の柱と見紛うほどの巨大な雷を相手に叩きつけるでんき技。
ダイケンキに続けて観測されたロズレイドの極み個体。
両手の花束が色とりどりに変化した他、くさタイプを失った代わりにフェアリータイプを得た。しかし、くさ技の威力は通常時と遜色がないことから、くさ技を高い威力のまま繰り出せることが判明した。また、ノーマルタイプの技がくさタイプに変化するという現象も観測された。両手の花は、右手が赤・白・黄色、左手が青・黒・ピンクとなっている。
大技は「
ダイケンキに続けて観測されたガブリアスの極み個体。
背びれが巨大化・二つに裂けたことで空を飛ぶ翼となり、より機動力に特化した姿となった。爪も一本から二本に増えたことでより攻撃性の増した形状となり、物理攻撃能力が極端に増大した。
大技は「アブソリュートドラゴンストーム」。龍属性エネルギーを纏った超速体当たりで敵を薙ぎ倒す。また、体当たりを回避しても遅れて発生する龍風圧による「ぼうふう」レベルの追撃があるため、事実上回避不可の必中ドラゴン技。
ライチュウ、ロズレイド、ガブリアスの三体が極み化するストーリーも、概ね考えが纏まりつつあるので乞うご期待!