ポケットモンスターHUNTER アルセウス   作:箱厨

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白いドレスの少女こと、シロちゃんとポケモンバトル!
レジェアル未実装ドラゴンパという縛りプレイ……むしろめっちゃ数多くて自由度高そう。レジェアルのドラゴン枠はヌメルゴン族とガブリアス族の二種だけだし。


白いドレスの少女

「はぁ……」

 

もう何度目になるのかわからない溜息をつく。分かってはいるが、どうしても溜息をつくのを抑えられない。

 

「ワウ……」

 

「……ありがとう、ジンオウガ。ごめんね、心配ばかりかけちゃって……」

 

「ワンワン」

 

今だって、毛づくろいの途中だったジンオウガに顔を覗きこまれたりと気を遣わせてしまった。一度、溜息とは別に大きく息をついて、放牧場全体を見渡す。

ポケモン達に混じって……いや、混ざると嫌でも目立つ巨体郡……ジンオウガたち巨大ポケモンは、放牧場にいてなおその異質さを隠しきれていない。与えられたエサを食べるオドガロンとリオレウス、体を横たえるグラビモスとホロロホルル、お互いに冷気をかけ合っているベリオロスとゴシャハギ、ラベン博士に背電殻を調べられているラギアクルス……そして、そんな彼らを遠巻きに見るポケモンたち。

……え?体長5m程度のホロロホルルが、どうして巨大ポケモン扱いかって?……さっき言ったとおりホロロホルルはジンオウガたちと同様、他のポケモンたちから敬遠されているので、体の大きさと関係なくこちらに区分されているの。

 

「……平和、なんだよね……」

 

「ガウ?」

 

「うん……平和だなって思ってたんだ。世界は救われた……それ自体は、いいことのはずだから……」

 

「…………」

 

言いながらも、そんな事を言う自分が嫌になる……心の底から、本気でそう思いきれていないくせに。

 

 

 

 

ディアルガを捕獲したことで、赤い空が元通りになった。……ただ、私にとって唯一の帰還の術である時空の裂け目まで、消えてなくなってしまった。……その直後から、私の記憶はぷっつりと消えていた。次に気がついたのは、自分の部屋の中だった。テル先輩曰く、空が元に戻った直後、私はその場で倒れてしまったらしい。「長く気を張ってたんだろう、お疲れ様」……そう言われてから、また頭の中が真っ白になった。それからのことは、ちょっとだけ曖昧。なにか、世界が平和になった証にギンガ・コンゴウ・シンジュの三組織合同のお祭り「シンワ祭り」を開催したそうだけど、その辺の記憶もあまりない。ただ、はっきりと覚えていることは……私は、帰る手段を失ってしまったという事実だけ。

 

祭りの間は、ちゃんと笑えていたような気がする。ただ、祭りが終わって自室に戻ると、一気に現実が押し寄せてきた。もう帰れない、戻れない……そんな事実に私の心は散々に打ちのめされてしまい、日が昇るまで延々と泣いた。泣いて、泣いて、泣き続けて……涙が枯れた頃には、もう何もかもがどうでもよくなっていた。朝になって目が覚めて、けれど何をするにも気力が沸かなくて、ボーッと布団の上で一日が過ぎるのを待つだけ……こんな私を、テル先輩は献身的に支えてくれた。それだけじゃない。普段からムラに滞在しているヒナツさんとノボリさんも、私のお世話を積極的に買って出てくれた。本当に、申し訳ない……。

 

そうやってお世話されるだけの日々が一週間続いてから、ようやく私は心の整理を少しずつつけられるようになった。完全に元通り、とはいかないけれど……自分の足でしっかり立って、行動することができるくらいには精神的にも安定してきた。一応、シマボシ隊長をはじめ、ラベン博士とテル先輩には、私の本当の気持ちを知ってもらいたくて全てを話した。すると、あのシマボシ隊長が私のことを抱きしめて「ここは既にキミの居場所だ」と……そう言ってくれたのだ。余りにも嬉しくて、驚いて……また泣いてしまった。

それから、私も調査隊の仕事に復帰する事を言おうとしたんだけど……先んじて隊長から「体調を考慮して、当分は野外調査は自粛せよ」との命令を受けてしまった。……その代わりと言ってはあれだけど「巨大ポケモンの綿密な調査」を命令という形で受けた。あえて命令という形にしたのは、私が行動する上での目的意識を与えるためかも知れない……そう思うと、改めて隊長に強い感謝の念を抱いた。

 

それからしばらくの間は放牧場でジンオウガたちのお世話をしていた。その間に、ディアルガとパルキアに私を元の世界に返すことができないかを聞いてみた。答えは、NO。けれど、それで憤ったりはしない。時間と空間を司るディアルガとパルキアの二匹でもってしても、私を元の時代・世界には返すことができないと分かってからは、私はもうひとつの可能性を頼ることにした。

それは、アルセウス。私をヒスイ地方へと呼び寄せた存在……おそらくは、真のシンオウさま。よくよく考えれば、私を連れてきたのはディアルガでもパルキアでもなくアルセウスなので、最初からアルセウスに頼れば良かった話だったんだ。アルセウスは「全てのポケモンに出会え」と言っていた……出会うって、厳密にどうすればいいのだろうか?見つける?捕らえる?……なんにせよ、ポケモンを片っ端から捕まえれば、変化の一つや二つはあるだろう。

 

今後の展望についてあれこれ考えていると、ラベン博士がこちらに戻ってきた。博士は私がシマボシ隊長から命令を受けた時から「ボクも一緒に調べるのです!」とやけに気合たっぷりに私に付き合ってくれている。

 

「お疲れ様です、博士。進捗はどうですか?」

 

「ショウくん、お疲れ様なのです!いやあ、どのポケモンたちも他のポケモンたちとは一線を画していますね。Never seen or heard……見たことも聞いたこともないのです」

 

「…………」

 

ラベン博士は、これまで捕まえた巨大ポケモンたちのことは一匹も知らない。ポケモン博士として様々な地方を尋ねて回ったことのある博士が……。私自身も彼らの普段の行動を見ていて、それをメモのように走り書きしているだけなので図鑑としては成り立っていない。

 

「もっと彼らについて詳しい人がいればいいのですが……」

 

「(詳しい人……)」

 

そういえば……エイチ湖でアカイさんが「ゴシャハギについてわからないことがあれば訪ねてこい」と言っていた。たしか、場所はフェアリーの泉だったっけ……。一応、提案するだけしてみるか……。

 

「あの、ラベン博士。私、詳しい人を知ってます」

 

「ほ、本当ですか!?」

 

「は、はい……ただ、その人は予定さえなければフェアリーの泉にいる、とのことで……天冠の山麓まで行かなくちゃならないんですが……」

 

「むむむ……ショウくんはその人と知り合いなんですね?それなら、ショウくんにも同伴してもらった方が話がスムーズに進むと思うんですが……」

 

「隊長に確認を取りましょう」

 

「そうですね!」

 

私たちはすぐに調査隊室へ向かい、シマボシ隊長に事情を説明する。しばらく悩むように目を閉じる隊長だけど、私の目をしっかりと見据えてこう言った。

 

「……人に会いにいくだけならば、特別に許可する。ただし、野外調査は原則禁止だ。いいな?」

 

「了解です」

 

「なら、よし」

 

と、こんな感じで許可が下りた。ラベン博士は、それはもう嬉しそうにしている。私は再び放牧場に戻り、ジンオウガ、グラビモス、ラギアクルス、リオレウス、ベリオロスのいつもの五匹をボールに戻して、手持ちポケモンのダイケンキたちも一緒に連れていく。その途中、放牧場のすぐそばで子供たちが集まって何かをしていた。何をしているんだろう……気になった私が近づくと……。

 

「ぼくはグラビモスだぞー!ずしーん!ずしーん!」

 

「わたしはラギアクルス!びりびりびりびり、どっかーん!!」

 

「シュッシュッ!シュッシュッ!ベリオロスのでんこうせっかだ!」

 

なんと、子供たちがジンオウガたちのまねっこをして遊んでいた。強い、大きい、優しい、カッコイイ……この四つが揃えば、子供たちの前では無敵のヒーローになれるようだ。

事の発端は、子供たちが数名ほど無断でムラを飛び出してしまったことに起因する。私はすぐさまリオレウスを空に飛ばして、子供たちを探してもらったのだ。そして、雄々しく翼を広げて飛翔するリオレウスの姿の、実に目立つこと……ムラの外に居た子供たちは空を飛ぶリオレウスを見つけるや否や、「かっこいいドラゴンポケモンが飛んでる!」と夢中になって追いかけ始めたのだ。そうしてムラに引き返していったリオレウスに誘導されて、子供たちも無事にムラへ帰ってきた……という話だ。

それからというもの、大人やポケモンたちが敬遠しがちな巨大ポケモンたちに、子供たちは積極的に関わっていった。その結果、子供たちの間で多大な人気を獲得するに至ったのである。

 

「じゃあおれ、ジンオウガ!うおおぉーん!!」

 

「あっ!ずるいぞ!おまえ、さっきもジンオウガだったじゃんか!こんどはぼくの番!」

 

「ぐおおおぉん!リオレウスだぞー!!」

 

「おれのほうが似てるもんねー!ぐあおおおぉんっ!」

 

「えー、リオレウスの声はそんなんじゃないよ。もっと激しかった気がする!」

 

「じゃあ、こうかな?ぎゃおおおお!!」

 

「それじゃあ今日は、リオレウスの声に一番似てた人がリオレウス役!ごぁおおおん!」

 

特に子供たちの中でも男の子に人気なのは、ジンオウガとリオレウスのようだ。狼というかっこいい生き物のフォルムを形取るジンオウガと、大きく翼を広げた姿が実にわかりやすい竜の姿を持つリオレウス……男の子達は、みんなカッコイイポケモンが好きなのかな。

 

「ふーん、男の子ってわかってないわね。カッコイイっていうのは、ベリオロスみたいなポケモンを言うのよ」

 

「それに、ホロロホルル!みんなおっきいのに一匹だけちっちゃくて、可愛いよね!」

 

「ねー!」

 

逆に女の子に人気なのはベリオロスとホロロホルル。ベリオロスの背中は硬い甲殻の上に、その甲殻の硬さがわからないくらいにふっさふさの雪のような白い毛が生えていて、琥珀色の牙とも相まって美しいフォルムをしている。そしてホロロホルルは……ほかの巨大ポケモンと比べても5m程度しかない大きさが、こじんまりとしていて愛らしいんだとか。今だって、女の子達がホロロホルルをスケッチしながら雑談に興じている。

 

なんだか、こうして見ると彼らを捕らえて良かったと思う。アカイさんの言うとおり、倒すという手段もないことはないけど……なんとなくだけど、捕らえたほうがいいという私自身の直感に従ってよかったと、今ならそう思える。

 

「お待たせしました、博士。それじゃあ、行きましょうか」

 

「もちろんです!」

 

私は門の外でリオレウスを繰り出し、その背中に乗り込む。リオレウスが翼を羽ばたかせて一気に上昇すると、下の方から子供たちの歓声が聞こえた。そんな無邪気な子供たちの声に心を癒されながら、私はリオレウスに指示を出して一路天冠の山麓へと向かった。

出発時は夕方だったこともあって、移動中に日が沈みきってしまった。私一人なら構わず飛び続けるけど……今回は同伴者である博士がいる。リオレウスが気にするようにこちらへ振り返るので、さすがに夜間の飛行は控えたほうがいいだろうと博士と相談した結果、今夜は紅蓮の湿地と天冠の山麓の境界地点で野宿をして、一夜を明かすこととなった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ふと、目を開けると真っ白な空間の中にいた。上下左右、天地の向きでさえおぼつかないその空間の中で、私はふわふわと雲のように揺蕩っている。

これは、もしかして夢?

 

「……?」

 

考えに没頭していると、視線を感じた。

ゆっくりと後ろを振り返ると、白いドレスを着た女の子が立っていた。歳のほどはパッと見、私と同じか少し下……といったところか。

 

「あの……?」

 

『…………』

 

声をかけるも、女の子は淡く微笑むだけで何も言わない。浮世離れ、と言っていいのか……ただ向き合っているだけなのに、頭の中がふわふわしてくる。

服も、髪も、肌の色さえ色白で、この真っ白な空間に溶けてしまいそうなのに……唯一色を持った真っ赤な瞳から目が離せない。

 

「あなたは……?」

 

『……きずな』

 

「え?」

 

『きずなを……つむいで……』

 

「"きずな"……?」

 

『…………』

 

女の子が、そっと右手を差し出した。その手のひらが淡く輝いたかと思うと、光の玉となって私の方へと飛んできた。やがて光が収まると、私の手の中には遺伝子のような模様の浮かんだ石があった。

 

『ひとと……りゅう……。きたる……うんめい……』

 

「ま、待って!いきなりなに?何を言ってるの!?」

 

『…………』

 

「待って!待ってってば!!」

 

意識が急速に引き上げられるような感覚。この夢が覚めてしまう証左であった。まだ……まだ聞きたいこととか、山ほどあるのに……!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「……はっ!」

 

目が覚めた。……なんだか変な夢を見たような気がする……けど、イマイチ内容を思い出せない。

 

「……ん?」

 

ふと、右手に違和感を覚えて、握られていた右手を開いてみた。そこには遺伝子のような模様の浮かんだ石があって、石は模様が碧色、周りが黄色の見たことのない配色をしている。

 

「なんだろう、これ……?」

 

よくわからないけど、取っておいて損はないと思う。私はその石をポーチの中にしまいこんでから、博士が起きるのを待つ。……しばらく待ってから、博士が起きてきた。

 

「おはようございます、ショウくん」

 

「おはようございます、博士。それじゃあ、行きましょうか」

 

再びリオレウスを繰り出して騎乗し、天冠の山麓の山頂ベースへひとっ飛びする。やっぱりリオレウスの飛行速度は凄い……ここからそう離れていないとはいえ、夜明け前から飛んでほぼ夜明け直後に到着できるなんて。

ポケモンたちに護衛を頼んで列石峠、ゴロゴロ坂を下っていく。坂を下りきったところで橋の上でラギアクルスを川に放つ。ラギアクルスは大あくびをすると、ゆっくりと顔を橋に接岸させた。

 

「それじゃあ、乗りましょう」

 

「はいなのです!」

 

ラギアクルスの角を支えにして乗り込むと、私たちが落ちないようにゆっくりと移動を開始した。すぐそこに見えるフェアリーの泉に到着すると、向かって右側の川岸にアカイさんがいた。

……あれ?知らない女の子がいる……?あと、心なしかラギアクルスが怯えているような気もする……一体どうしたんだろう……?

私たちが陸に上がると、アカイさんと女の子が気がついたように同時に顔を上げた。女の子は白いドレスを着ていて、毛髪から肌色まで真っ白の色白なのに、瞳だけが真っ赤な色をしている……どこかで見たような、見たことないような……?

 

「おや……これはこれは、ショウではないか。ここに来たということは、何かわからないことでもあるのかな?」

 

「えっと、はい。あ、アカイさん。こちら、ポケモン博士のラベンさんです。今回、ゴシャハギたちのことでわからないことがあったので、こうしてお話を伺いに来ました」

 

「ほう、それはそれは……ご足労をおかけしたようで、申し訳ない」

 

「いえいえ、そんなことはないのです!あなたがショウくんが仰っていたアカイさん、ですね?ボクはラベンと言います!あなたはショウくんが捕獲してきた巨大なポケモンたちについてよくご存知と聞いたので、ぜひお話をお聞かせして欲しいのです!」

 

「ふむ……そういうことなら、協力しないわけにはいかないな。元より、分からなければ聞きに来いといったのはこちらのほうだ。情報が欲しいのならば、いくらでも聞かせよう」

 

「おぉ、ありがたいのです!」

 

よかった、アカイさんはとても協力的だ。これなら、ジンオウガたちの調査も捗るかも……。

 

「……あぁ、そうだ。ショウ、私はこちらの博士と話をしてくるので、彼女の相手をしてやってくれないか?」

 

そう言ってアカイさんが示したのは、さっきから私も気になっていた白いドレスの少女だ。川に顔を覗き込んで、そこから顔を出してるバスラオとにらめっこをしている。……といっても、お互いにじっと顔を見合って、全く動いていないだけなんだけど。

 

「えっと……アカイさんのお知り合いですか?」

 

「……まぁ、親類の子だよ。最近になって預かってくれと言われ、一方的に押し付けられたようなものだ。不快ではないのだが、こちらとしても年が離れているせいで扱いに困っていてね……それならば、程よく年の近い君に面倒を見てもらったほうが良さそうだと判断したのだよ」

 

「……わかりました」

 

「ありがとう。……さて、ラベン博士。こちらへどうぞ」

 

「ありがとうございます」

 

そうして、アカイさんとラベン博士が奥に歩いて行ってしまったので、私は白いドレスの少女の方へと歩みを寄せた。

 

「こんにちは」

 

「……!こんにちは!」

 

ファーストコミュニケーションは成功したみたい。私が挨拶をすると、女の子も笑顔で挨拶を返してくれた。……バスラオは逃げてしまったけど。

 

「あ……お魚さん、逃げちゃった……」

 

「あー……ごめんね、お姉ちゃんが話しかけちゃったからだね」

 

「ううん、気にしてないよ!ねえねえ、お姉ちゃんのお名前なんていうの?」

 

「私はショウだよ。あなたは?」

 

「シロ!」

 

……この子の親はどういうネーミングセンスをしているんだ。見たまんまの名前を付けるなんて、親の情がいまいち感じられないんだけど……。

 

「ねえねえ、お姉ちゃんってポケモン使うの上手なの?」

 

「えと……使う、というより協力する、かな?ポケモンは道具じゃなくて生き物だから、使うというよりも助け合う~みたいな言い方が好きだな」

 

「あ、そっか……えへへ、ごめんなさい」

 

「いいよ」

 

うーん、この。いっそあざとさを感じるほどの可愛らしさ……見た目もすごく綺麗だし、地元だとさぞかし人気者なんだろうな……。

 

「私もね、私もポケモン上手だよ!ねえねえ、バトルしようよ!」

 

「……!」

 

バトル、という言い回しに懐かしさを覚える……と同時に、シロちゃんの正体がなんとなく見えた気がする。アカイさんはヌメイルとガバイトを「この世界の竜種」と呼んだ。そして、勝負という言い回しが基本のヒスイ地方で、バトルという言い方を使うシロちゃん。ひょっとしたら、シロちゃんもアカイさんと同じ……私と同じ、異世界から来た人なのかもしれない。実際にバトルしてみれば、わかるだろうか。

 

「……うん、いいよ。ここはちょっと狭いから、反対側に行こうか」

 

「うん♪」

 

しばらく辺りを遊泳していたラギアクルスを呼び戻して、二人揃って乗せてもらってから反対岸へ移動する。まだ夜明け直後だからか、夜行性のピッピが近くをうろついている。

 

「ピ?」

 

すると、普段はこちらを見るなり一目散に逃げるはずのピッピが一匹こちらに……というよりシロちゃんに近づいてきた。私のことなど一切無視してシロちゃんに近づくと、そのまま彼女に頭を撫でられた。

 

「ピッピィ♪」

 

「えへへ、可愛いね」

 

なんで?ピッピは結構臆病なポケモンで、人間に対しては本当にすぐ逃げ出してしまうはずなのに……今はシロちゃんに撫で回されて、嬉しそうに声を上げている。しばらく撫でられて満足したのか、ピッピは私たちから離れていった。

 

「人懐っこい子なんだね」

 

「……いや、普段はそうじゃないんだけど……」

 

「そうなの?だとしたらなおさら嬉しいなぁ」

 

「ああ、うん……」

 

シロちゃんには臆病なポケモンさえ一目で懐くような魅力があるのだろうか……いや、確かにシロちゃんは控え目に言っても将来が楽しみなすんごい美少女だ。なんなら彼女が大人になった姿を見てみたいまである。

 

対岸の奥まった場所で、一定の距離をとって向き合う。さて、シロちゃんはいったいどんなポケモンを……。

 

「ねえねえ、お姉ちゃん。お姉ちゃんはポケモンを何匹出すの?」

 

「え?えっと……六匹、だけど」

 

「ふぅーん……じゃあ、私も六匹出すね!」

 

「え!?」

 

じゃあ、ってなんだ、じゃあ、って。私が一匹って言ったら、一匹だけにしたのかな……?

 

「それじゃあ……始めましょう」

 

瞬間、シロちゃんの雰囲気がガラリと変わった。幼い体から、見た目からは想像もつかないような強いプレッシャーを感じる……こ、この子は一体……?

シロちゃんが、徐に右手のひらを上に向けた……その時だ。シロちゃんの手の上で、よくわからない渦のようなものが発生した!中心が黒、周りが青の渦は、やがて中からモンスターボールをぽとりと落とした。……っ!?あ、あのモンスターボール……!!

 

「(金属製の……モンスターボール……!?)」

 

ど、どういうこと……何が起きてるの!?あの変な渦は何?あの金属製のモンスターボールはどこから?どうしてシロちゃんにそんなことができるの!?

 

「うふふふ……」

 

妖艶な雰囲気を纏う笑みを浮かべながら、シロちゃんがボールを投げた。

 

「いっくよー……ガチゴラス!」

 

「ガッゴラアアァ!!」

 

出てきたのは、見たことのないポケモン!ガチゴラスと呼ばれたポケモンは、鋭い雄叫びをあげて私を睨みつけてきた。

 

「貴女の力、見せてちょうだい?私と、私のドラゴン軍団に!」

 

「ど、ドラゴン……」

 

「そうだよ。……先に言っておくと、私のポケモンはみんなドラゴンポケモン。だから、遠慮なんてしないで、全力でかかってきてね?」

 

ドラゴン統一……そういえば、別地方のチャンピオンにそんな使い手がいるってお母さんが言ってたっけ……。相手がドラゴンポケモンなら、弱点はわかっている。ドラゴンに弱いのはこおりとドラゴン、そしてフェアリー!ガチゴラスは初めて見るポケモンだけど、ただのドラゴンタイプじゃない気がする……複合タイプの可能性だって考慮しなければならない。そういう意味でも、まずは牽制が必要だ!

 

「お願い、ロズレイド!」

 

「ロゼー!」

 

私が繰り出したのはロズレイド。フェアリー技を持っているし、様子を見る上では最適解だと考えている。

 

「……新星が瞬いているわ。あの子を制する者が現れた兆しかも知れない。貴女の力、存分に振るって見せて。決して退屈なんてさせないでね……?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

推奨BGM

【戦闘!チャンピオン】~ポケットモンスター B2/W2~

【戦闘!チャンピオン】~ポケットモンスター X/Y~

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「……っ、ロズレイド!エナジーボール!!」

 

「ローズレー!!」

 

一瞬、シロちゃんから放たれる圧に気圧されたけど、すぐに気を取り直してロズレイドへ指示を出す。

 

「ガチゴラス、ほのおのキバ」

 

「ゴラァス!」

 

ロズレイドが放ったエナジーボールは、ほのおのキバに噛み潰されて爆発した。煙幕で、視界が……!

 

「もろはのずつき♪」

 

「ゴラララァスッ!」

 

「素早く、マジカルシャインで迎撃!」

 

「ロゼッ!」

 

「ガッ、ゴッ……!」

 

煙幕を突き破って突撃してくるガチゴラス……けど、こちらの指示も間に合った!マジカルシャインの輝きが、突進してくるガチゴラスの動きを完全に止めたからだ。この反応……効果は抜群みたいだ!

 

「……あら?」

 

「ロズレイド!シャドーボール!!」

 

「ドラゴンクロー」

 

「ロズレィ!」

 

「ガチゴラァ!」

 

追撃のシャドーボールを放つも、こちらはシロちゃんの指示が間に合ってドラゴンクローでかき消されてしまった……けど、こっちは目くらまし!

 

「力強く、マジカルシャイン!!」

 

「ロー……ゼーッ!!」

 

「ゴラアァッ!?」

 

「あっ、ガチゴラス……」

 

力業マジカルシャインの直撃を受けて、ガチゴラスは大きく吹っ飛んだ!……けど、しっかりと足で立っている……なんて頑丈な……。

 

「戻っていいよ、ガチゴラス」

 

ここでシロちゃんがガチゴラスをボールに戻す。そして、再びあの謎の渦からボールを取り出した。

 

「じゃあ、ジュラルドン!レッツゴー♪」

 

「ジュラア!」

 

ま、また見たことのないポケモン!?ドラゴンタイプは確定として、これも複合タイプな予感……。

 

「ロズレイド、ヘドロばくだん!!」

 

「ロゼー!」

 

ロズレイドが放ったヘドロばくだんが、ジュラルドンに命中……え、そんなっ!

 

「き、効いてない……!?」

 

「ロ、ロゼ……?」

 

「うふふふふ……ジュラルドン、ボディプレス!!」

 

「ジュッラア!!」

 

ジュラルドンはその見た目からは想像もつかないような跳躍力で飛び上がると、そのままロズレイドを押しつぶしてしまった!

 

「ロゼェッ!?」

 

「ロズレイド!」

 

「逃げられないね♪……力強く、ラスターカノン!!」

 

「ジュラララ……ラァ!!」

 

ジュラルドンが放ったラスターカノンは、押しつぶされて動けないロズレイドに直撃した!そのまま吹っ飛ばされて、私の前まで転がるロズレイド……くっ、戦闘不能だ……。

 

「あはっ♪まずは一匹だね!」

 

「くっ……」

 

ジュラルドン……一体何タイプの複合なんだ……?ジュラルドンの見た目……そして、はがね技であるラスターカノンの使用……なにより、どくタイプ技が効果がない……まさか、はがねタイプ?はがね・ドラゴンなんて、そんなポケモンがいるの!?

まずい、私の手持ちでジュラルドンの弱点を付けるポケモンは……。

 

「ルカリオ!」

 

「クオォン!」

 

かくとう技を持つライチュウと、ルカリオしかいない!しかもライチュウのいわくだきは牽制目的で威力は期待できないから、実質ルカリオに頼るしかない。

……こんな時、ゴウカザルがいてくれたら……なんて、野暮なことは考えない。今、私の手持ちにいるのはルカリオだ……だから私は、ルカリオを信じる!

 

「ルカリオ!はどうだん!!」

 

「クオオア!!」

 

「あはは!まもる!!」

 

「ジュラ!」

 

ま、まもる!?まもるが使えるの!?ジュラルドンのまもる技によって、ルカリオのはどうだんはジュラルドンには届かなかった……!防御技を覚えているなんて、想定外だ……!!

 

「ジュラルドン、りゅうのはどう!」

 

「ジュラア!」

 

「ルカリオ!みずのはどう!」

 

「クルル、オアッ!」

 

ジュラルドンのりゅうのはどうと、ルカリオのみずのはどうがぶつかり合って大きく爆発した……っ!まずい、この流れは!!

 

「ボディプレス!」

 

「ジュッララ!」

 

「グオオアッ!!」

 

「ル、ルカリオ!!」

 

ロズレイドに放ったものと同じ技を受けたルカリオ……だけど、ロズレイドよりも明らかに苦しそうだ!ロズレイドには効きにくくて、ルカリオにはよく効く……まさか、ボディプレスはかくとう技!?

 

「りゅうのはどう!」

 

「ジュッラー……!」

 

「負けないでルカリオ!しねんのずつき!!」

 

「……ッ!!クォアッ!」

 

「ラッ!?」

 

ゼロ距離で技を放つために顔を近づけていたのが、運の尽きだ!ルカリオが振るった頭はちょうどジュラルドンの顔面を強打し、大きくふらつきながら後ずさりした……しめた、怯んでいる!

 

「えっ?ジュラルドン!?」

 

「ルカリオ!はどうだん!!」

 

「クオォア!!」

 

「ジュラアッ!!」

 

「あっ、ジュラルドン!」

 

すぐさま立ち上がったルカリオが放ったはどうだんは、ジュラルドンに命中した!大きな爆発とともに倒れこむジュラルドン……よしっ、戦闘不能だ!

 

「えっとー……それじゃあ、この子!」

 

そう言って再び渦からボールを取り出したシロちゃんが繰り出したのは……え"っ!?

 

「……あの、シロちゃん?」

 

「んぅ?なぁに?」

 

「……えっと、大変失礼なことを言っちゃうんだけど……その子、ポケモン?」

 

「む!失礼しちゃうわ!この子にはパッチラゴンって立派な名前があるのよ?」

 

「パッチラー」

 

いやいやいやいや、その造形でポケモンは無理がありすぎる!繰り出されたのはパッチラゴンと呼ばれたポケモン……というか、鳥のような上半身に対して恐竜のような下半身が異様に大きすぎる!下半身に至っては明らかに断面が見えちゃってるし!?

 

「……ルカリオ、怯まずに行こう」

 

「クオン」

 

「えへえへ、それじゃあいっくよー!素早く、つばめがえし!!」

 

「パッチ!!」

 

「!?」

 

は、速――!

 

「グオア!」

 

「ルカリオ!」

 

「続けてほのおのキバ!!」

 

「パッチャア!」

 

「クオオアァ!!」

 

「ルカリオ!?」

 

な、何あのポケモン!?見た目以上に足が速い!立て続けの連続攻撃に耐え切れず、ルカリオは戦闘不能になってしまった。

 

「やったやったやった♪」

 

「パッチパッチパッチ♪」

 

「……っ」

 

あのポケモンは……だめだ、まるでタイプの予想がつかない……!見た目の色合いで言えばでんきの複合タイプに見えるけど、憶測で決めつけるのは危険すぎる……。

 

「戻っていいよ、パッチラゴン」

 

「パッチパチ~」

 

パッチラゴンをボールに戻すシロちゃん……よかった、正直あのままパッチラゴンとバトルとなったら、こっちは何を繰り出せばいいのかわからないままだったから。

さて、次に私が繰り出すべきは……。

 

「行って、ライチュウ!」

 

「チュッチュー!」

 

「それじゃあ、私はウオノラゴン!」

 

「ウノラ~」

 

……ってぇ!?さっきのパッチラゴンとよく似たポケモン!と、というか……パッチラゴンの下半身になってた恐竜の尻尾の先端に魚の頭が付いているだけのように見えるのは気のせい……じゃ、ないよね……。

 

「…………」

 

「この子もポケモンだよ?」

 

「まだ何も言ってないんだけど……」

 

「だって顔に『お前のようなポケモンがいてたまるか』って書いてあるもん」

 

「ウオノラ~!」

 

「…………」

 

否定できなかった。

 

「頑張るよー、ウオノラゴン!エラがみ!!」

 

「ウオォノラー!」

 

ウオノラゴンの下顎が輝き、一気に突進してくる!あの技……このまま先手で食らったらヤバイ予感……!

 

「ライチュウ!いわくだき!!」

 

「チュチュウ!」

 

「ノラァ……!」

 

ライチュウのいわくだきによる牽制で、ウオノラゴンの勢いが弱くなった!相手よりも素早く当てられたら、強い技なのかな……とにかく、このまま攻勢に出る!

 

「アイアンテール!」

 

「チュッチュー!」

 

「受け止めて!」

 

「ウノラ!」

 

一気に畳み掛けたかったけど、ウオノラゴンにアイアンテールを受け止められてしまった!ダメージもそれほどなさそう……はがねタイプに耐性があるのかもしれない。

 

「こおりのキバ!」

 

「ノラノラァ」

 

「チュウ……ッ!」

 

「っ!振り切って!!」

 

冷気を纏った牙の力で、ライチュウの尻尾が少しずつ凍りついていく……!ライチュウはなんとか抜け出そうとしているけど……ウオノラゴンの咬合力が強いのか、一向に逃げられない……!

 

「あはは!ウオノラゴンはね、硬い鰓骨のおかげで顎の力がすっごい強いんだよ!ちょっとやそっとじゃ逃げられないんだから!」

 

「くっ……戻って、ライチュウ!!」

 

私は咄嗟にライチュウをボールに戻した。あのままじゃあジリ貧……最悪、ライチュウが倒されていたかもしれない。なんとか一息つく……どうしよう、シロちゃん凄く強い。私が知らないポケモンを使っていることを抜きにしても、バトルの腕がすごく上手い。

 

「良い判断。うーん、強いなぁ……」

 

「いやいや、シロちゃんだって強いよ。こっちなんてほとんど一方的にやられちゃってるし」

 

「えへへ、ありがとうお姉ちゃん♪」

 

さて、考えよう。パッチラゴンとウオノラゴン……見た目はともかく、持ちうるステータスは非常に高い。この二匹を突破しなければ、勝機は見えないだろう。……ダイケンキを出すべきか、否か。凄まじく強い力を得たダイケンキなら、あの二匹を突破することもできるかも知れない……けど!

 

「(まだ、その時じゃない!)トゲキッス!」

 

「キィーッス!」

 

「あ、飛んでるポケモン……じゃあ、こっちも変えよっかな。ガチゴラス!」

 

「ゴラァス!」

 

私がトゲキッスを出すと同時に、シロちゃんもポケモンをガチゴラスに変更した。もろはのずつきを覚えているから、そこだけは注意しないと……!

 

「トゲキッス、エアスラッシュ!!」

 

「キスキィッス!」

 

「ガチゴラス、とっつげ~き!」

 

「ゴラアアァス!

 

トゲキッスのエアスラッシュの弾幕を、なんとガチゴラスは強引に突破してきた!?しかもエアスラッシュがあまり効いた様子がない……!ひこうタイプに強い複合タイプか!

 

「どくどくのキバ!」

 

「うそっ!?」

 

「ゴラアス!!」

 

「キィッ!?」

 

ど、どくどくのキバだって!?フェアリータイプのトゲキッスには効果は抜群だ……!翼に噛み付かれたまま地面に引きずり倒され、トゲキッスはそのまま押さえつけられてしまった……!!

 

「トゲキッス!ムーンフォース!!」

 

「キィ……キィーッス!!」

 

「ガゴッ!?」

 

「……!強引に抜け出した……?」

 

よかった、かろうじて技の発動には成功した!ムーンフォースの直撃を受けたガチゴラスは大きく後退した。……だいぶ息が上がっているけれど、まだまだ倒れる様子はない……。

 

「うーん……戻って、ガチゴラス」

 

ま、またポケモンチェンジ……結構頻繁だね、シロちゃん。でも、それだけ状況をよく見ているということ……ガチゴラスではトゲキッスに勝てないと判断したんだろう。

 

「フライゴン!」

 

「フラァ!!」

 

再び渦から取り出したボールから出てきたのは、フライゴン!流石にフライゴンは知っている……じめん・ドラゴンの複合タイプ!

 

「突撃しつつかえんほうしゃ!」

 

「フラァゴォ!」

 

「なら、こっちもかえんほうしゃ!」

 

「キッスー!」

 

フライゴンが接近しつつかえんほうしゃを撃ってくる。こちらも迎撃にかえんほうしゃを選択し、炎と炎が激突する……っ!フライゴンが突撃をやめない……!?

 

「……っ、トゲキッス!空へ!!」

 

「キスッ……!」

 

「逃がさないで」

 

「フララァ!!」

 

かえんほうしゃの鍔迫り合いから一旦離脱し、空へと逃げるトゲキッス……けど、そのあとをフライゴンが猛追してくる!

 

「かえんほうしゃだよ!」

 

「フラァゴォ!!」

 

「躱して!」

 

「キッス!」

 

よしっ、回避成功!ここで反撃に出る!

 

「ムーンフォース!!」

 

「キィーッス!!」

 

「ふふっ……はがねのつばさ!!」

 

「なんですって!?」

 

「フララゴォ!」

 

は、はがねのつばさ!?フェアリー対策は万全だったのか!!鋼鉄の翼を得たフライゴンは、迫り来るムーンフォースをバレルロールで駆使してはがねのつばさで打ち落とした!

 

「キッスーッ!!」

 

「トゲキッス!?」

 

そのままトゲキッス目掛けて突撃!トゲキッスは力なく地面へと墜落し、そのまま戦闘不能になってしまった……。

 

「も、戻ってトゲキッス……!」

 

「あはは!楽しいなぁ……♪もっともっと楽しみましょ?」

 

「……っ!」

 

ヤバイ……いろんな意味で本当にヤバイ。この緊張感は、ワサビちゃんとのバトル以来だ。こちらは既に手持ちポケモンを半分も減らされている……そして、シロちゃんの手持ちはジュラルドン一匹が倒されただけ……。こちらは半壊状態にも関わらず、シロちゃんは無傷のパッチラゴンとウオノラゴンとフライゴン、かなりダメージを負っているガチゴラスに未だ明かされていない六匹目……こんなにも苦戦を強いられるなんて。

……ワクワクするじゃん!!

 

「ふ……ふふふ……」

 

「……?お姉ちゃん?」

 

「……あ、ううん。なんでもないよ。さて……」

 

次に誰を出すべきか。といっても……既に決まっているようなものだけどね!

 

「お願い、ガブリアス!!」

 

「ガッブァア!!」

 

このガブリアスで、シロちゃんの残り五匹のうち何匹まで減らせるか……少なくとも、フライゴンが健在のうちはライチュウを繰り出す展開は非常に厳しいと言わざるを得ない。せめて、フライゴンだけでもここで落とす!

 

「フライゴン、じしん攻撃!」

 

「フッラアアァッ!!」

 

フライゴンが勢いよく地面に着地すると、その衝撃で地面が大きく揺れる!じしん攻撃だなんて……これはまた、とんでもない技を繰り出してきたな……!

けどね……甘いよ、シロちゃん!

 

「飛べ!ガブリアス!!」

 

「ガブアア!!」

 

見た目からしてあまり印象は薄いけど、ガブリアスは空を音速で飛べるんだ!一瞬で上空へと飛び上がったガブリアスはじしんを回避!そのままの勢いでフライゴンめがけて突撃する!!

 

「力強く!ドラゴンクロー!!」

 

「それならこっちは力強く、ドラゴンダイブだよ!!」

 

「ガッブゥァアアッ!!」

 

「フウゥラアアァァ!!」

 

ドラゴンクローとドラゴンダイブがぶつかり合い、激しく爆発した!煙の中からガブリアスが飛び出してきて着地を決め……フライゴンは地面へと墜落!かなりダメージを負ってるみたい!

 

「グッ……」

 

「フライゴン、大丈夫?」

 

「フラアアゴォン!!」

 

「ふふっ、よしよし……それじゃあ、はがねのつばさ!」

 

「フラァ!」

 

フライゴンは力強く吠えると、再びはがねのつばさを展開して向かって来た!

 

「ガブリアス!ストーンエッジ!!」

 

「ガブアアァ!!」

 

フライゴンの進行を妨げるように、ガブリアスのストーンエッジが迫る。フライゴンは勢いを止めることなく岩の刃を次々と避けていき、ガブリアスとの距離を詰めてくる!……フライゴンが、ストーンエッジをくぐり抜けた!

 

「突破した……!」

 

「ドラゴンダイブだよ!」

 

「迎え撃って!アクアテール!!」

 

「フラァゴ!!」

 

「ガブアァ!!」

 

フライゴンのドラゴンダイブが迫って来るが、ガブリアスは回避しつつ尻尾を振り回し、アクアテールをフライゴンの土手っ腹に叩きつけた!その勢いのまま尻尾を振り抜き、フライゴンはシロちゃんの目の前まで吹っ飛んで倒れ込んだ。よし、戦闘不能だ!

 

「あちゃあ……フライゴン、負けちゃった。戻って、フライゴン」

 

「……ふぅ」

 

正直、ここでフライゴンを仕留められて安心している。これでようやく二匹目……ここはガブリアスを戻そう。

 

「戻って、ガブリアス」

 

「うーん……よしっ」

 

「「行って、ライチュウ!/ゴー、ガチゴラス!」」

 

「「チュウー!/ゴラァス!」」

 

私はライチュウを繰り出し、シロちゃんはガチゴラスを繰り出した。ライチュウはウオノラゴンのこおりのキバで尻尾が凍りついていて、ガチゴラスはこれまでの継戦でかなりのダメージを負っている。ライチュウなら、確実に仕留めきれる!

 

「ガチゴラス!もろはのずつきだよ!!」

 

「ゴラアア!!」

 

「ライチュウ!その凍った尻尾をガチゴラスに叩きつけて!」

 

「チュウ!」

 

もろはのずつきを構えて突進してくるガチゴラスの頭に、ジャンプしたライチュウが尻尾を叩きつける!

 

「ガッ!?」

 

「嘘!?」

 

「よしっ!」

 

尻尾の氷が砕けた!よぉし、このまま……!

 

「アイアンテールだ!!」

 

「チュッチュウ、ラァイ!」

 

「ガァッ!!」

 

「ガチゴラス!」

 

空中でさらにもう一回転!ライチュウのアイアンテールがガチゴラスの頭を強く打ち付けて、ガチゴラスは地に伏した!

 

「うー……戦闘不能かぁ。戻って、ガチゴラス」

 

「そっちもようやく半分だね」

 

「……うん、そうだね!やっぱりポケモンバトルは楽しいな!」

 

シロちゃんは変わらずニコニコと笑顔だ。……そうだね、シロちゃんの言うとおりだ。ポケモンバトルは、凄く楽しい!!

 

「それじゃあ、私の六匹目のポケモンだよ!いっけぇ!オノノクス!!」

 

「オォーノォオォォ!!」

 

シロちゃんの六匹目……!斧のような形の牙を持ったドラゴンポケモン、オノノクス……!!

 

「ライチュウ!ボルテッカー!!」

 

「チュウ!ラーイライライライライライ……!!」

 

「迎え撃ってオノノクス!ドラゴンクロー!」

 

「オノーッス!!」

 

「チュウゥッ!!」

 

ライチュウのボルテッカーとオノノクスのドラゴンクローが激突!力は拮抗している……いや、わずかに不利か!

 

「チュウッ……!」

 

ライチュウが押し切られた……!けど、体勢はそれほど崩れていない!

 

「じゃれつく!!」

 

「チュチュウー!」

 

「ばかぢからだ!!」

 

「オノークスッ!!」

 

「ヂュッ……!」

 

「ライチュウ……!?」

 

ライチュウがじゃれつこうと突進したけど、紙一重で躱されて逆に攻撃を叩き込まれてしまった!宙に打ち上げられたライチュウ……地面に叩きつけられたライチュウは、そのまま戦闘不能になってしまった……。

 

「戻ってライチュウ!行けっ、ガブリアス!!」

 

「ガブァア!!」

 

シロちゃんが誇る最強のドラゴンがオノノクスなら……私も、私が誇る最強のドラゴンポケモンのガブリアスで挑む!!

 

「「ドラゴンクロー!!」」

 

「「ガッブァアッ!!/オオォノオオッ!!」」

 

ガブリアスとオノノクスのドラゴンクローが、激しくぶつかり合う!何度も何度も交差し合う竜の爪……何十とぶつかり合いの末に、ついに均衡が崩れた!

ガブリアスがオノノクスの爪とぶつかった際に滑らせるようにして攻撃を逸らしたのだ。一瞬だけ顔に迫ったドラゴンクローにオノノクスが反応した隙を狙い、反対の爪でオノノクスの顔にドラゴンクローをぶち当てた!!

 

「オノッ!!」

 

「(行ける……!!)そのまま、力業で!!」

 

「ガッブアアアァッ!!」

 

獲った……!

 

「ふふふ……ハサミギロチン!!」

 

「……ッ!!オノォォアアア!!」

 

「なっ……にっ……!?」

 

ハサミ、ギロチン……!一撃必殺技!?オノノクスの斧状の牙が光輝き、一瞬の間にガブリアスと交差した。しばし動かぬ両者……だが……。

 

「……ガ……ブ……」

 

ガブリアスが、倒れてしまった……。

 

「ガブリアス……!!」

 

「オノノクス、お疲れ様。ウオノラゴン、お願いね」

 

私はすぐにガブリアスを戻す。シロちゃんもオノノクスを戻して、ウオノラゴンを繰り出してきた。……状況は三体一でこちらが不利。シロちゃんはウオノラゴン、パッチラゴン、オノノクス……対してこちらに残されたのはダイケンキのみ……だけど。

 

「(ダイケンキなら、負ける気がしない!)ダイケンキ!!」

 

「……!」

 

ボールから飛び出したダイケンキは、無言でアシガタナを構える。強く研ぎ澄まされたダイケンキなら、きっと勝てる!

 

「……!すごい……そのダイケンキ、極地へと至ってるね」

 

「極地……?」

 

「そう。極希にそういった個体が誕生するの。それは、己と向き合い強い覚悟と決意を抱いた姿であったり、あるいは外部から何かしらの干渉を受けた結果だったり……そういった個体を、私たちは『極み個体』と呼び、固有の名前をつけてあげるの。

お姉ちゃんのダイケンキは……そうだね、そのカタナにちなんで"極み断ち斬るダイケンキ"、なんてどうかな?呼び方は普段通りでいいからね」

 

「極み、断ち斬る、ダイケンキ……」

 

なにそれカッコイイ。

……ん?ということは、アカイさんの地元のポケモンだというゴシャハギたちにも、極み個体というものが存在するのかな?だとしたら、それはそれで見てみたいかも……!

 

「あはっ!気に入ってくれたみたいだね!……それじゃあ、続きと行こうよ。極みの域に達したダイケンキの力、たくさん見せてね!ウオノラゴン、こおりのキバ!!」

 

「ウノラ~!」

 

「……ダイケンキ、つばめがえし!」

 

「!」

 

「ウオッ!?」

 

こおりのキバを展開して突っ込んでくるウオノラゴン……けど、私のダイケンキの方が速い!ダイケンキは素早く距離を詰めると、一瞬の間につばめがえしを放った!顎を打ち上げられたウオノラゴンは大きく仰け反り、体勢を崩している!

 

「あ、まずっ……!」

 

「シザークロス!」

 

「……!!」

 

「ウノラァ……!」

 

「ウオノラゴン!!」

 

極み個体となったダイケンキは、およそ全ての攻撃を相手の急所に叩き込むことができる!そのため、ウオノラゴンはわずか二撃で倒れた。

 

「……なるほど、急所への鋭い一撃……それが、極みダイケンキの特徴なんだね。パッチラゴン!!」

 

「パッチラァ!」

 

もう負けない……極み化したダイケンキ、極みダイケンキを繰り出すことはすなわち、不退転の決意!!

 

「でんげきくちばし!」

 

「パチラアア!!」

 

「ひけん・ちえなみ!」

 

「!!」

 

パッチラゴンの嘴が、電気を纏っている!見た目とも相まって、でんきタイプとの複合か!けど、今のダイケンキなら負けない!ダイケンキは目にも止まらない速さでパッチラゴンとすれ違い、納刀と同時に無数の斬撃がパッチラゴンを襲う!

 

「パチラ!?」

 

「速い……!」

 

「パッチラゴンをぶん投げろ!」

 

「……ッ!!」

 

すぐさま反転したダイケンキはパッチラゴンの尻尾を咥えると、そのまま引きずり回して空中へと放り投げた!

 

「よしっ、どくづき!!」

 

「!」

 

「パチィ!!」

 

「パッチラゴン!」

 

自身も空中へ飛び上がり、そのままどくづきで追撃をする!地面に叩きつけられたパッチラゴンは目を回しており、地面に降り立ったダイケンキは無言のままパッチラゴンを見下ろしている。

 

「パッチラゴンまでもが……!さすがは極み個体……!!」

 

「ようやく追いついたよ……」

 

「うんうん……けど、ここまで来たらもう負けられないよね!オノノクス!!」

 

「オノークス!!」

 

シロちゃん最後のポケモンのオノノクス……一撃必殺技があるから、迂闊に攻め入ろうものならカウンターをされてしまう……!

 

「オノノクス!ドラゴンクロー!!」

 

「オオォォノオォー!!」

 

「ダイケンキ!つばめがえし!!」

 

「……!」

 

ダイケンキのアシガタナと、オノノクスの竜爪が激しくぶつかり合う!時に躱し、時に受け流し、何度も何度もぶつけ合っては鍔迫り合う。……流石はシロちゃんの最後のポケモン……ダイケンキと互角以上に戦っている……!

……それにしても、極度の集中状態にあるからか、ダイケンキは終始無言のままだ。……いや、バトルしていないときは普通に鳴いてくれるし、カッコイイからいいんだけど。

 

「ダイケンキ!素早く、どくづき!!」

 

「…………」

 

「ノッ……!」

 

ダイケンキは早業でどくづきを繰り出し、オノノクスに命中させた!よし、次は……っ!?

 

「えへっ、捕まえた♪」

 

「なっ……」

 

オノノクスが、どくづきを繰り出したダイケンキの前脚を掴んでいる!?マズイ……あれじゃ離れられない!!

 

「力強く、ばかぢから!!」

 

「オオオオオオノッ!!」

 

「ル"ッ……!!」

 

「ダイケンキ!!」

 

力業ばかぢからを受けたダイケンキは大きく吹っ飛ばされた!なんとか空中で体勢を立て直しつつ、私の目の前で着地を決めるダイケンキ……けど、さっきのダメージはかなり痛い……!

 

「さぁ、終わらせちゃうよ!オノノクス、ハサミギロチン!!」

 

「オオオオオォノオオオオォッ!!」

 

再びオノノクスの牙が光り輝き、ダイケンキにめがけて突撃してくる!……大丈夫、ダイケンキは絶対に負けない。

ダイケンキ……いや、極みダイケンキには"奥の手"とも呼べる五つ目の技がある。ただ、一度この技を使うとベースキャンプとかでしっかりと休ませる必要があるのだ。そのため、おいそれと使うことはできないが……今使わずして、いつ使うというのか!

 

「ダイケンキ!」

 

「!」

 

「奥義!ぜっけん・はとう!!」

 

「……!!」

 

ダイケンキが、腹部に固定されている第三の鞘から三本目のカタナを抜いた。アシガタナ以上に歪な形だが、刃を持つ剣としての形状を決して損なわないダイケンキの新しい武器……。

このカタナは、ディアルガ捕獲後に私が気絶している間に、テル先輩がクラフトしてくれたものだ。なんでも、ダイケンキが自分の折れた角を咥えてテル先輩の下まで持ってきたんだとか。それで、ダイケンキの意を汲んだテル先輩が鉄の欠片を中心に、時空の歪み内で拾える三色の欠片を均等な配合で混ぜ合わせ、鍛冶の要領で打ち直してクラフトしてくれた。素人目に見ても至高の一振り、と言える立派なカタナだ。

解き放たれたカタナの刀身に、膨大な水の力が集まる。ダイケンキがカタナを高く翳すと、集まった水の力は巨大な刃を形成した。自身の身の丈を優に超える巨大な水の刃は万物万象、一切合切を両断する最強の一太刀!

これこそが、極みダイケンキの大技……『絶剣・波濤』だ!!

 

「いっけええええええ!!」

 

「ルッシャアアアアッ!!」

 

「……!?オノァッ!!」

 

「オノノクス……ッ!!」

 

私の雄叫びに答え、ダイケンキも刀を両手で構えて一気に振り下ろした!オノノクスのハサミギロチンとぶつかり……拮抗は、一瞬!オノノクスのハサミギロチンを真正面から打ち破り、一刀両断にした!!

刃が叩きつけられた衝撃で、大量の水飛沫が弾け飛んだ。その影響で周囲が小雨状態になり、薄く霧がかかる。……霧が晴れた先では、オノノクスが仰向けに倒れて目を回していた!

 

「あーあ……負けちゃった……」

 

「(よしっ!)」

 

オノノクスをボールに戻したシロちゃんが小さくぼやいている。……それから、ボールは再びあの謎の渦の中に吸い込まれて消えていった……。

 

「お姉ちゃん、やっぱり強いね!赤い空もお姉ちゃんが何とかしたんでしょ?もしそうなら、きっとすっごく強いんだろうなぁって思ってたんだけど……私の思ったとおりだった!」

 

「あ、ありがとう」

 

バトル中に感じていたプレッシャーは一瞬で霧散し、いつもの可愛らしい女の子のシロちゃんに戻っていた。……いやいや、そうじゃなくて。

 

「それじゃあ、戻ろう?アカイも博士さんも、お話が終わってるかも!」

 

「あっ、ちょっとまって!」

 

てててー、と駆け出したシロちゃんを慌てて追いかける。こっちは聞きたいことが山ほどできたっていうのに、このまま聞きそびれるわけには……!

 

「あ!あの、シロちゃん!さっきの変な渦は何!?それにさっきのモンスターボールも、私が使ってるのとは全然違うやつだったよね!一体どうやったの?シロちゃんはどうしてそんなことができるの!?」

 

「えー?ん~……ふふ、えへへ♪」

 

なんとか矢継ぎ早に質問をぶつけてみたけど……ダメだ、シロちゃんはニコニコと笑顔を浮かべたままで、答えてくれる様子がない。なんとしても聞き出さないと……!

 

「あっ、アカイー!」

 

岸までたどり着くと、対岸にはアカイさんとラベン博士が立っていた。どうやら話は終わっていたようで、シロちゃんが大声で呼びかけて手を振ると二人とも手を振り返してくれた。

 

「ほらほら、お姉ちゃん!早く行こっ?」

 

「……うん」

 

……ひとまずは諦めるしかなさそうだ……。ラギアクルスを出して、反対岸まで運んでもらう。……ラベン博士はかなり満足気な表情だ。よっぽど有意義な話が聞けたのだろう。

 

「ラベン博士、お話はどうでした?」

 

「いやぁ、とても面白い話ばかりなのです!本当はもっと話をしていたかったのですが、シロちゃんが退屈していないか心配だとアカイさんが仰るので、一旦お話を切り上げてきたのです」

 

「……まぁ、この様子だと退屈……は、していないようだな。楽しかったか、シロ?」

 

「うん!お姉ちゃんね、ポケモンを戦わせるのすっごく上手なの!私、負けちゃった」

 

「そうか……なら、次は勝てばいい。命ある限り何度でも挑めるのだ、狩りと同じでな」

 

「そうだね」

 

……それにしてもアカイさんとシロちゃんが並ぶとすごくめでたい色合いだな。紅白がいい塩梅で揃うなんてこと、滅多にないだろうに。

 

「おぉ、そうなのでした。ショウくん、アカイさんの地元では人間がポケモンを狩猟するのだそうです」

 

「人間が、ポケモンを……?」

 

「はい。ポケモンから得た鱗や骨といった物を素材として防具を加工し、それを身に纏って狩猟に赴くのだそうです。武器なども同じように、ポケモンから得た素材を用いて作るそうですよ。大変興味深い話でした!」

 

「……へぇ……」

 

防具や武器にするだけでなく、食べるにも結構イケますよ……と、口を突いて出そうになった言葉をなんとか飲み込む。……あ、やばっ。ベロリンガのタンを思い出したら、ヨダレが……。……よしっ、気づかれてない!

 

「アカイさん、ありがとうございました!また機会があれば、是非ともお話を伺いたいのです!」

 

「こちらとしても、ヒスイ地方のポケモンをよく知る良い機会になった。お互い、得る物を得られた良い対談になったことだろう」

 

「……ねえ、アカイ。私、コトブキムラに行ってみたいな」

 

え"っ

 

……アカイさん?今、なんか普段は絶対に出さないような変な声が出ましたよ?

 

「……スッー……。いや、シロ……?本気か……?」

 

「うん。行ってみたいなぁ……だめ?」

 

「いや、ダメというわけでは……」

 

だめ?

 

「……あぁ、うむ……わかった……」

 

アカイさん……わかりますよ、その気持ち。小さい子のおねだりって、妙に断りにくいところがありますよね……その気持ち、わかります。

 

「……すまない、シロがそちらのコトブキムラに行きたいとのことだが……可能だろうか?無論、保護者同伴として私もついていくが」

 

「歓迎するのですよ、アカイさん!あなたが居てくれれば、ジンオウガたちの調査も一層捗るのです!」

 

「……そうですね。現状、私とラベン博士はジンオウガたちの調査を命令されていますので……その一助となるなら、きっと受け入れてもらえると思いますよ」

 

「そうか。……そうかぁ

 

アカイさん、頭を抱えて……多分、シロちゃんのことを心配しているのかな。シロちゃんは普通の人から見たら……いや、この時代の人たちから見たらかなり異質な見た目をしている。赤い空の一件からまだまだ外部からの干渉に排他的な人も少なくないので、シロちゃんが迫害を受ける可能性は決して少なくはない。

 

「大丈夫ですよアカイさん。シロちゃんのことなら、私たちもちゃんとフォローするので」

 

「……そうか。すまないな」

 

「お気になさらず」

 

さあ、あとは帰るだけだ。私はリオレウスを繰り出して、全員を背中に乗せてもらう。……リオレウス?なんか、やたら緊張してない?いや、飛んでいく分には大丈夫そうだけど……一体どうしたんだろうか……。

リオレウスの背に乗って、私たちはコトブキムラに帰ってきた。アカイさんとシロちゃんは門で待ってもらい、ラベン博士が事の一部始終をシマボシ隊長、そしてデンボク団長へ報告に行くそうな。

 

「お待たせしました!無事に許可が下りたのです!ささ、どうぞ中へ!」

 

「……コホン。ようこそ、コトブキムラへ。歓迎しますよ、アカイさん、シロちゃん」

 

「おじゃましまーす!」

 

「失礼する」

 

詳しく話を聞くと、アカイさんには是非ともジンオウガたち巨大ポケモンの調査に協力して欲しいとのこと。その間の滞在費用等も、ギンガ団が請け負ってくれるのだとか。部屋も私の隣の家を貸してくれるそうで、至れり尽くせりだ。

……実は、私もちょっとワクワクしている。だって、ジンオウガたちのことをもっともっとよく知りたいと誰よりも思っているのは、ほかならぬ私なのだから。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

アカイさんとシロちゃんがムラに滞在して、一週間が経った。その間、ジンオウガたちの調査が頗る捗ったことをここに報告する。といっても、何がわかったのかを一から全部挙げていくとキリがないので、ここでは割愛させていただくが。

さて、巨大ポケモン郡の調査がひと段落したところで、私は改めて野外調査に復帰することとなった。調査隊室で復帰命令を受理したので、早速調査を始めたいところ……だけど、一部調査が難しいポケモンがいるとのこと。それは、ディアルガやパルキアのように、ヒスイ地方に伝わる伝説でのみ存在を確認できるポケモンのことだ。ヒスイ地方に来て日が浅いと言えるギンガ団では、確かに手に余る問題だ。

どうするか……と思案していたところへ、ウォロさんが現れて助け舟を出してくれるそうな。仕事の合間に遺跡を巡り、伝承や伝説を調べていたジブンなら力になれるだろう、と。今回はそのお言葉に甘えることにした。隊長から改めてウォロさんから話を聞き、必要ならば共に行動するように、と命令を受けた。

一先ずは黒曜の原野、高台ベースで待ち合わせ、とのこと。ウォロさんが先に向かったのを見送ってから、私もポケモンたちを準備して向かうことにした。ダイケンキたちに、ジンオウガたち……いつもの11匹を用意して、私はムラを発った。

 

 

 

 




というわけで、シロちゃんのパーティは以下の通りです!

ガチゴラス いわ/ドラゴン
もろはのずつき/どくどくのキバ/ほのおのキバ/ドラゴンクロー

フライゴン じめん/ドラゴン
かえんほうしゃ/ドラゴンダイブ/じしん/はがねのつばさ

パッチラゴン でんき/ドラゴン
でんげきくちばし/ほのおのキバ/つばめがえし/げきりん

ウオノラゴン みず/ドラゴン
エラがみ/かみくだく/こおりのキバ/ドラゴンダイブ

ジュラルドン はがね/ドラゴン
ラスターカノン/りゅうのはどう/ボディプレス/まもる

オノノクス ドラゴン
ドラゴンクロー/ばかぢから/どくづき/ハサミギロチン

レジェアル環境下でまもる系と一撃必殺系はもはやインチキですねww
さすが祖龍様は格が違った。(ハイ!復唱!!)

ぶっちゃけ黒龍相手に今の面子ってどうよ?

  • 五匹に勝てるわけないだろ!!
  • バカが……!足りんわ……!まるでっ……!
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