ポケットモンスターHUNTER アルセウス   作:箱厨

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なんだか皆様、ショウちゃんの圧勝を想像していらっしゃるが……ご存知ですか?

怒りとは時に、正常な判断力を狂わせることがあることを……

そんなわけで、ウォロ戦です!どうぞ!


第三の反物質神・反骨竜(ギラティナ) VS 無双の狩人・雷狼竜(ジンオウガ)

ウォロさん……いや、ウォロが先手で繰り出してきたのはミカルゲ!フェアリータイプが発見されるまでは弱点なしと言われたゴースト・あくの複合タイプ。対して私はトゲキッスを繰り出した。初手の対面はこちらの有利……このまま潰してやる!

 

「ムーンフォース!」

 

「戻れミカルゲ!ウインディ!!」

 

トゲキッスにムーンフォースを指示したけど、わずかに遅かったか!ウォロは素早くミカルゲを戻すとウインディを繰り出してきた。ウインディにムーンフォースが直撃するも、ダメージはない……効果は今ひとつだ。

 

「ちっ……」

 

「いわなだれだ!」

 

「サイコキネシスで止めろ!」

 

「わおおん!」

 

「キッスゥ!」

 

ウインディがいわなだれを放ってきたけど、トゲキッスのサイコキネシスがすべての岩を受け止めた。

 

「そのまま投げ返せ!」

 

「だいふんげきで突破しろ!」

 

「キスキッス!」

 

「わおん!」

 

トゲキッスが次々と受け止めた岩を投げ返すが、炎を纏ったウインディの突進はいわなだれを掻い潜ってきた……!

 

「キス……ッ!」

 

「エアスラッシュで距離を取れ!」

 

「キィーッス!」

 

「わう……!」

 

だいふんげきを受けたトゲキッスだが、僅かに体を引くことで衝撃を緩和、さらに飛ばされながらもエアスラッシュを引き撃ちしてウインディを押し返す!

 

「「戻れ!」」

 

ウォロと同時にポケモンを戻す。繰り出すのは……

 

「「ルカリオ!!」」

 

「「クオォン!/グアオン!」」

 

お互いにルカリオを繰り出す。相手のルカリオが物理なのか特殊なのかはわからないが、ミラーで負けるわけにはいかない……!

 

「ルカリオ、素早く、ビルドアップだ!」

 

「グオォ……!」

 

「(……っ!バフか、面倒な……!)はどうだん!!」

 

「クオオァ!!」

 

早業のバフか!変化技は大半が技の出が速く、早業で繰り出せば連続行動すら可能な技すらある……強化して、一気にケリをつけてくる気だな!?

 

「インファイトだ!」

 

「グアオオ!」

 

「クアァッ!!」

 

「……っ!ルカリオ!!」

 

ウォロのルカリオはインファイトでこちらのはどうだんを打ち消すと、そのままの勢いで私のルカリオに猛攻を繰り出してきた!……だが!!

 

ガシッ!

 

「ウァ!?」

 

「フッ……」

 

「な、なに!?」

 

一瞬の隙……それこそ、針の穴に糸を通すような小さな隙……その隙を持ち前の波導で見抜いたルカリオが、ウォロのルカリオの両肩を押さえつけた!

 

「捕まえた……!しねんのずつき!!」

 

「クオオオ!」

 

「グアッ……!」

 

「なっ、ルカリオ!」

 

しねんのずつきが直撃したウォロのルカリオが、大きく体勢を崩す……ここで畳み掛けてやる!

 

「逃がさない!素早く、バレットパンチ!」

 

「クォア!」

 

「グアアッ!」

 

「持ち堪えろルカリオ!かみくだくだ!」

 

「……!グォア!!」

 

「クゥッ……!」

 

バレットパンチで一気に押し込むルカリオだったが、ウォロのとっさの指示が功を奏したのか、ウォロのルカリオがかみくだくでルカリオのバレットパンチを受け止めた。噛み付かれた痛みで顔をしかめるルカリオ……だが、甘いな!

 

「今度はこっちが捕まえましたよ……インファイト!」

 

「舐めるなぁ!ルカリオ!力強く、はどうだん!!」

 

「クオオオオアアアッ!!」

 

「グッ……!?」

 

噛み付かれている腕とは逆の腕にはどうだんを形成し、それをウォロのルカリオの土手っ腹に直に叩き込む!!はどうだんはウォロのルカリオを一気に押し返し、そのまま爆発。ウォロのルカリオを戦闘不能にした!

 

「ちっ……戻れ、ルカリオ」

 

「戻って、ルカリオ」

 

まずは一匹……けど、ビルドアップからのインファイトがかなり効いていて、ルカリオもかなりしんどそうだ……なので、私は一度ルカリオをボールに戻した。

 

「ライチュウ!/ミカルゲ!」

 

「「チュチュー!/ミーラァ……」」

 

私が繰り出したのはライチュウ、ウォロが繰り出したのはミカルゲ……弱点を突く技はちゃんと覚えている、問題はない!

 

「ライチュウ、ボルテッカー!」

 

「チュウ!ラーイライライライライライ!」

 

ライチュウがボルテッカーで猛然とミカルゲに突っ込んでいく……が、ウォロからの指示がない?嫌な予感がする……!

 

「……今です、さいみんじゅつ!」

 

「ミーカァ!」

 

「チュ……!?」

 

ボルテッカー直撃まで秒読みという距離で、ミカルゲがさいみんじゅつを放ってきた!?当然、ライチュウは避けられるはずもなく命中……急激に訪れた眠気によってその場で転倒してしまった!

 

「ライチュウ!」

 

「素早く、あくのはどう!続けて力強く、シャドーボール!」

 

「ミルゲェー!」

 

「チュッ……!」

 

「あぁ……!!」

 

早業で放たれたあくのはどうに続いて、力業のシャドーボールがライチュウに直撃してしまった……!怯ませて行動を遅らせるあくのはどうを早業で放つことで、ミカルゲのような鈍足のポケモンさえも連続行動させたのか……!立て続けの連続攻撃に加えて、ねむけによりる被ダメージの増加によって、ライチュウは戦闘不能になってしまった……。

 

「くっ……戻って、ライチュウ……!」

 

「ふっ……随分と冷静さを欠いているようですね?」

 

「うるさいっ!!」

 

黙れ、黙れ!こんな奴に、こんな奴に私は……!

 

「ロズレイド!!」

 

「ローズレー!」

 

「シャドーボール!」

 

「ならばこちらもシャドーボール!」

 

「ローゼ!」

 

「ミカーァ!」

 

シャドーボール同士の撃ち合い……ぶつかりあったシャドーボールはしばらく拮抗するも、こちらのシャドーボールが打ち破られた……!シャドーボールはロズレイドに命中……僅かに後退させられた……!

 

「ロゼッ……」

 

「ちっ……!エナジーボールだ!!」

 

「ローゼー!!」

 

「あくのはどう!」

 

「カゲェー!」

 

エナジーボールとあくのはどうの撃ち合いは、互角という結果になった……ならば!

 

「もう一度エナジーボール!」

 

「ロゼロゼ!」

 

「ん……?」

 

今度はエナジーボールをミカルゲの周辺に撃ち込む!爆風で煙が舞い上がり、ミカルゲの周辺は見えなくなる……けど、これでいい!

 

「マジカルシャイン!」

 

「ロゼー!」

 

広い範囲を攻撃できるマジカルシャインなら、直接狙わずとも余波だけで攻撃することができる!空中へと躍り出たロズレイドが、ミカルゲがいる地点へ目掛けて突撃しつつ、技の準備に入った……!

 

「視界を塞ぎつつ広い範囲の攻撃か……悪くはない、が!ミカルゲ、じんつうりき!」

 

「ミィー……カァー……!」

 

「レッ!?」

 

「なっ……!」

 

ロズレイドが技を放とうとした直前、ミカルゲのじんつうりきがロズレイドに命中した!ロズレイドは撃ち落とされて地面へ落下……目潰しの煙も晴れてしまった……!

 

「力強く、シャドーボール」

 

「ミィーゲェー!」

 

「ロゼーッ!!」

 

「ロズレイドッ!!」

 

ダメ押しの力業シャドーボールに吹っ飛ばされ、ロズレイドは戦闘不能……くっ!

 

「アナタの力はこんなものですか!ワタクシが許せないのでしょう?」

 

「お前っ……!!行け!ルカリオッ!!」

 

「クォン!」

 

ふざけるな……さっきから調子に乗って、絶対に許すものか……!私がルカリオを繰り出すと、ルカリオは何故かそのまま踵を返して私の下まで走ってくると、手のひらを私の胸元に押し付けてきた。

 

「クア」

 

「ルカリオ……?」

 

ルカリオの手が青白い光を帯び、その光は私の体に少しずつ浸透していく……。これは、ルカリオの波導……「落ち着け」「大丈夫」「絶対に勝つ」……そんなルカリオの想いが、波動を通じて伝わって来る……。

 

「……ルカリオ、ごめん。私、怒りでどうかしてた……ライチュウとロズレイドにも、申し訳ないことしちゃった……」

 

「クゥア」

 

冷静に考えれば、ミカルゲを相手に弱点をつけるというだけでライチュウとロズレイドを繰り出すのは悪手極まりない。トゲキッスを繰り出せばそれでよかったのに、目の前のポケモンを倒すことに躍起になっていた……不甲斐なし!しっかりしろ、私!

パンッ!と自分の頬を両手で打つ。……つぅ、効いた。この痛み……ゴウカザルのデコピンや、ジンオウガに鼻先で小突かれた時を思い出す。大丈夫、あの痛みとともに、私は気持ちを切り替えてこれた……今度だって!

 

「……もう大丈夫。絶対に勝つよ、ルカリオ」

 

「クォア!!」

 

「お話は終わりましたか?」

 

「えぇ、もちろん。……どうやってあなたをぶっ飛ばしてやろうか、相談してたんですよ」

 

「おぉ、怖い怖い……では、ぶっ飛ばされないようにアナタを倒してしまうとしましょう!」

 

ふぅ……だいぶ冷静になれた、ルカリオのおかげだ。

さて、考えよう。相手はミカルゲ、こちらはルカリオ。あちらの手持ちは見えているウインディを含めて五匹、こちらは二匹倒されて残り四匹。私がもう少し冷静だったなら、まだ状況は分からなかったが……過ぎてしまったことは仕方がない、ここからどうするかが重要だ。ルカリオはみずのはどうとバレットパンチしか使えないが……いや、問題はない。冷静に、そして確実に攻める!

 

「素早く、バレットパンチ!」

 

「クオ!」

 

早業バレットパンチで、再びミカルゲへ接近していく。……まだだ、まだ……!

 

「同じことを……ミカルゲ、さいみんじゅつ!」

 

「ミー……」

 

「今だ、ルカリオ!」

 

「クォア!」

 

ミカルゲがさいみんじゅつの体勢に入った、その時を狙う!ルカリオは標的をミカルゲから足元へと切り替えて、地面を思い切り殴りつけた!その衝撃で土煙が舞い上がり、標的を見失ったミカルゲが、右へ左へとルカリオを探している……だが!

 

「みずのはどう!」

 

「クオオア!」

 

ルカリオは上だ!煙を起こすとほぼ同時に、ルカリオは高速で跳び上がっていたのだ!煙に気を取られていたミカルゲは、当然ルカリオが煙の中にいるものだと思い込んでいた……それこそが、致命的な隙となる!

 

「ゲェ!?」

 

「なに!?」

 

「続けてバレットパンチ!」

 

「クオン!」

 

「ルゲッ……!」

 

「くっ……あくのはどう!!」

 

「押しきれルカリオ!力強く、みずのはどう!!」

 

「ミカァー……!」

 

「クオアア!!」

 

バレットパンチの乱打に晒され、ミカルゲはかなりダメージを受けている!ウォロがあくのはどうを指示したが……もう遅い!ミカルゲが口元に集め始めた波導エネルギーごと、みずのはどうでその口内に押し込んでやった!みずとあくの両波導が、ミカルゲの体内で炸裂!ミカルゲはそのまま目を回して倒れこんだ!

 

「なんだと……!?」

 

「ナイス、ルカリオ!」

 

「クオッ!」

 

「ちぃっ……ウインディ!」

 

「わおん!」

 

次に繰り出してきたのはウインディ……相手はほのおタイプだが、今の私とルカリオなら、やれる!

 

「だいふんげき!」

 

「わおおおん!!」

 

「力強く、はどうだん!!」

 

「クオオオァア!!」

 

炎を纏ったウインディの突撃を、力業はどうだんで迎撃する!だいふんげきとはどうだんがぶつかり、激しい爆発を起こした!……煙が晴れた先では、ウインディが倒れている。戦闘不能だ!

 

「どうだ!」

 

「クア!」

 

「……なかなかやる。ならば、ロズレイド!」

 

「ロゼーア!」

 

向こうもロズレイドか……なら、やるべきことは一つだけ!確実に弱点を突く!

 

「はどうだん!」

 

「クオォア!」

 

「シャドーボールです!」

 

「ロゼー!」

 

はどうだんとシャドーボールの撃ち合い……この隙に、次の戦術を考える!

 

「しねんのずつき!」

 

「まきびしです!」

 

「……!みずのはどうで押し流せ!」

 

とにかく接近を試みる!すると、ウォロのロズレイドはまきびしを放ってこちらの進行を阻止してこようとした。当たると面倒なので、ルカリオは走りながらみずのはどうを放って周囲一帯に散蒔かれたまきびしをすべて流してみせた。さすがはルカリオ!

 

「はなびらのまいで迎撃です!」

 

「ローズレーア!」

 

「足元にはどうだん!」

 

「クオ!」

 

「ゼッ!?」

 

ルカリオが放ったはどうだんは、はなびらのまいを舞い始めたロズレイドの足元に着弾し、見事バランスを崩すことに成功した!よしっ……ここは即興で考えた連続攻撃だ!

 

「まずはバレットパンチ!打ち上げろ!!」

 

「クゥア!」

 

「ロゼァ!!」

 

「ロズレイド!?」

 

バレットパンチで宙に打ち上げられたロズレイド。まだまだ!

 

「追え、ルカリオ!はどうだん!!」

 

「クォオオアッ!!」

 

跳び上がり、ロズレイドの上を取ったルカリオが、今度ははどうだんでロズレイドを地面に叩き落とした!これで止め!

 

「そのまま全体重込めて……力強く、しねんのずつき!!」

 

「クアアアァァァァッ!!」

 

「ロ!ゼーっ!?」

 

頭突きの態勢に入ったルカリオが、たった今起き上がろうとしているロズレイド目掛けて突撃!!技は見事に命中!即興とはいえ、上手く行って良かった!ロズレイドは戦闘不能……ルカリオで、一気に三匹もポケモンを倒した!

 

「……まさか、たったの一匹に三匹も倒されるとは……」

 

「ルカリオの波導が、私を冷静にさせてくれた……もう、あんな情けない勝負はしませんよ」

 

「フッ……いずれにせよ、ワタクシはすべてのプレートを手に入れる!せいぜい足掻いてご覧なさい……行け、トゲキッス!」

 

「チョッキース!」

 

ウォロの五匹目はトゲキッス……は?ちょっとまって。

なんで私こいつと半数もポケモン被ってんの冗談でしょ鳥肌立った寒気もしたうわやだ気持ちわる」

 

「途中から声に出てますが?」

 

「事実なんで」

 

「……身も蓋もありませんね」

 

「戻って、ルカリオ。お願い、トゲキッス!!」

 

「キィーッス!」

 

私もトゲキッスを繰り出す。有効打ならルカリオでも行けるけど……物理技である以上、トゲキッスが使える強力な特殊攻撃で近寄れないままやられる、という可能性もある。三匹と連戦しているので体力も多少は消耗しているかもだし……同じ空中戦を得意とするトゲキッスで対抗するのがベタだろう。

 

「じんつうりきです!」

 

「サイコキネシス!!」

 

「キス、キィッス!」

 

「チョギッ!!」

 

ウォロのトゲキッスはじんつうりきだが、私のトゲキッスはサイコキネシス!同タイプ技同士でも、威力は圧倒的にこちらが上だ!!じんつうりきによる思念を跳ね返し、逆にこちらのサイコキネシスに捕まった!

 

「叩き潰せ!!」

 

「キッスーー!!

 

「キィ……ッ!」

 

「ちっ、トゲキッス!ムーンフォース!」

 

「チョキーッス!!」

 

「キスッ……!」

 

サイコキネシスで地面に叩きつけられたウォロのトゲキッスだが、ムーンフォースでこちらを迎撃してくるだけの力は残っているか!私のトゲキッスは迎撃のムーンフォースを喰らってしまい、僅かによろけるが問題はなさそうだ……!

 

「トゲキッス、素早く、めいそうです!」

 

「キィスゥー……」

 

「……!トゲキッス、エアスラッシュ!!」

 

「キッスー!」

 

「こちらもエアスラッシュ!」

 

「チョゲ!キーッス!!」

 

エアスラッシュとエアスラッシュの撃ち合いになるが、ウォロのトゲキッスは直前にめいそうを使っていたために威力が上がっている……!わずかに競り負けて、二、三発ほど私のトゲキッスが攻撃を受けてしまった……!

 

「ムーンフォース!!」

 

「チョゲキーッス!!」

 

「……!かえんほうしゃ!!」

 

「キスキスキース!」

 

なら、技タイプの相性で勝負!フェアリー技はほのおタイプには通じにくい……その性質を利用すれば、かえんほうしゃでまともに戦えるはず!……!!やった、強化されたムーンフォースを破って技を命中させた!!

 

「スゥ、キッスゥ……!」

 

ウォロのトゲキッスはわずかに息が上がっている……めいそうの効果が切れたか!早業で出したバフは、継続時間が短い!

 

「今だ……!力強く、ムーンフォース!!」

 

「キィー……ッスー!!」

 

「チョギイィッ!?」

 

「なに……!」

 

ウォロもめいそうの効果が切れていることに気づいたようだが、もう遅い!私のトゲキッスが放ったムーンフォースはウォロのトゲキッスに直撃!そのまま戦闘不能にしてみせた!

 

「戻れ、トゲキッス」

 

「お疲れ、トゲキッス。一旦戻ってて……行って、ルカリオ!」

 

「クォア!」

 

私もトゲキッスを戻して、ルカリオを繰り出す。次に何が来るかわからない以上、なるべく体力が残っているポケモンを温存しないと……ウォロが繰り出す最後の一匹は……。

 

「これが最後の一匹です……ガブリアス!!」

 

「ガバアァッ!!」

 

「…………」

 

……もうヤダこいつほんとなんなの……?

 

「スゥー……しばく」

 

「露骨に嫌そうな顔をするのはやめません?」

 

「やめません。……あなたが相手なら、なおさら」

 

「さいですか……ガブリアス、だいちのちから!」

 

「跳べ、ルカリオ!はどうだん!!」

 

「ガッババア!」

 

「ハッ!クオォン!!」

 

ウォロのガブリアスが放つだいちのちからを跳躍で回避しつつはどうだんを撃つ!はどうだんはガブリアスに命中したものの、しっかりと耐えられている……!

 

「バレットパンチ!」

 

「アイアンヘッドです!」

 

鋼の拳と鋼の頭突きがぶつかり合う!……いや、わずかにルカリオが不利か!ルカリオは宙に浮いている状態……踏ん張りが効かない以上、押し切られるのは自明の理!

 

「ドラゴンクロー!」

 

「ガバァ!!」

 

「グォア……!」

 

「ルカリオ!」

 

押し切られて体勢を崩したところを、ドラゴンクローで決められてしまった……。

 

「戻って、ルカリオ。……ガブリアス!!」

 

「ガッブアァッ!!」

 

ならばこちらもガブリアス!あちらは通常個体だけど、こちらはオヤブン個体……そのプライドもあって、なおのこと負けるわけにはいかない!

 

「ガブリアス、きりさく!」

 

「ガバアァ!」

 

「それなら、こっちはストーンエッジ!!」

 

「ガブガブアァ!!」

 

突撃してくるウォロのガブリアスを、ストーンエッジで迎え撃つ!あちらのガブリアスはうまいこと岩の刃を避けつつ、徐々に距離を詰めてくる……だが!

 

「ガバァ!」

 

「引きつけて……アクアテール!!」

 

「ガブァ!」

 

相手のガブリアスの攻撃をギリギリまで引きつけて……回避と同時にアクアテールをぶち当てる!吹っ飛んだ相手のガブリアスは吹っ飛んだけど、体勢を立て直してうまいこと着地を決めた……なかなかしぶとい。

 

「だいちのちからだ!」

 

「ガババブァ!」

 

「躱せ!!」

 

「ガブッ!!」

 

次々と放ってくるだいちのちからを、しっかりと回避していくガブリアス。ガブリアスが大きく跳んで回避した、その時だ!

 

「アイアンヘッドです!!」

 

「ガッバァ!!」

 

「こっちもアイアンヘッド!!」

 

「ガッブァ!!」

 

着地のタイミングを狙ってか、ウォロのガブリアスがアイアンヘッドで突撃してきた!ならばとこっちもアイアンヘッドで迎え撃つ!頭突き同士のぶつかり合い……体格差でこちらのほうが僅かに有利!

何度かぶつかり続けているうちに、私はわずかばかり違和感を覚えた。……なんだ、この感覚、前にも……。

 

「……今です!」

 

「ガバッ!」

 

再び頭突き同士がぶつかった直後……ウォロのガブリアスが、頭の位置をずらしてきた!それによってウォロのガブリアスは、私のガブリアスの懐に飛び込む形となってしまった……!

 

「力強く、ドラゴンクロー!!」

 

「ガッバァ!!」

 

「ガブッ……!」

 

「ガブリアス!!」

 

「そのまま追撃をしなさい!!」

 

ガブリアスが大きく後退し、体勢を崩す……そこへ追撃に来るウォロのガブリアス……いや、待て。この状況……使える!!

 

「ガブリアス!すぐ目の前にストーンエッジ!!」

 

「……!ガブガブ!!」

 

私の意図を察したガブリアスが小さく頷くと、自分の目の前にストーンエッジを岩壁のように展開した。

 

「無駄なことを!」

 

「ガッババァ!!」

 

ウォロのガブリアスが、岩壁を破壊する……だが!

 

「……!いない!?」

 

「ガバッ!?」

 

岩を破壊した時には、既にガブリアスはその場にはいない!岩が破壊された際に発生した土煙に紛れたガブリアスが、一体どこに行ったのかというと……!

 

「……!上か!?」

 

「いっけええ!!力強く、ドラゴンクロー!!」

 

「ガッブアアアァァッ!!」

 

「ガッバァ!?」

 

上空からの強襲!力業ドラゴンクローはウォロのガブリアスを吹っ飛ばし、そのまま戦闘不能!

私の、勝ちだ!!

 

「なぜ、なぜ……アナタごときが!アルセウスの加護を得ているのだ!?」

 

ポケモン勝負に勝利すると、ウォロは突然そんなことを叫び始めた。……んなこたぁどうでもいいんだ、こちとらやらなきゃならないことがある……!

 

「なぜだ!なぜなのだ!世界を創った存在として、大いなる好奇心の対象として……神話を調べ上げ、これほどまでにアルセウスに心酔しているというのに!……余所者め!時空の裂け目から落ちてきたのはこの時のためか!?」

 

「ウォロッ!!」

 

「グッ……!」

 

私は一目散にウォロに駆け寄ると、その横っ面に拳を叩き込んだ!ウォロはわずかによろめくが、二、三歩ほど後退すると私が殴った場所を拭い、不敵に微笑んだ。

 

「あなたにポケモンはもういない……これまでのこと、全部ムラで吐いてもらう……!」

 

「いいえ……まだ終わりではありません!」

 

「なにを……!」

 

「感じませんか?心胆を寒からしめる異様な気配を!」

 

「ほざくな……!!」

 

 

――ビシャーンッ!!――

 

 

世迷言を言い始めたのかと思ったその時、どこからかポケモンの鳴き声が聞こえた……!?マズイ、今はウォロを止めないと!

 

「くっ……!!」

 

突如空間が揺れ始め、ウォロのすぐ背後の空間に異変が生じ始めた……!私はウォロに向かって駆け出すが、空間から現れた一枚の羽に弾き飛ばされてしまった!

 

「キャアッ!!」

 

「ガブゥ!!」

 

「……っ。ありがとう、ガブリアス」

 

「ガブア」

 

咄嗟にガブリアスが受け止めてくれたおかげで事なきを得たけど……黒い空間からさらにもう一枚の羽が出現し、とうとうその姿が顕になった。

影の様なボロボロの羽にムカデじみた六本脚……どことなく、ディアルガとパルキアに雰囲気が似ている、ポケモン……まさか、これが……!

 

「ギラティナ、打破せよ!」

 

「(ギラティナ……!!)」

 

コイツがギラティナ……私がヒスイ地方に来る要因、時空の裂け目を開いた元凶……!ウォロと揃って、私にとって許しがたい存在……!!

 

「……戻って、ガブリアス。トゲキッス!!」

 

「キィーッス!!」

 

ならば、パルキアの時と同様に完封する!!あかいくさりによって暴走状態が解け、やや本領とは言い難い状態だったとはいえ、同格であるパルキアを一方的に倒すことができたんだ……相手がギラティナだろうが、どうということはない!!

 

「ビシャーンッ!!……ギラララ!!」

 

くっ……!ギラティナは凄まじい力に満ち溢れている……これは、一筋縄では行かないかもしれない……!!

 

「トゲキッス!ムーンフォース!!」

 

「キスキッス!」

 

「ギラァ……」

 

トゲキッスのムーンフォースが直撃しそうになった……その時だった。突如、ギラティナの姿が消えてしまった!?

 

「なにっ!?」

 

「キスっ!?」

 

完全に見失った!一体どこに……?

 

――ピシッ、ピシッ。

 

「……っ!?トゲキッス、上!!」

 

「キッス?」

 

「ギラアアァ!!」

 

「キッ――」

 

これまた突然、空間が裂けたかと思うと、トゲキッスの真上からギラティナが急襲してきた!完全な不意打ち反応すらできず、トゲキッスは叩き潰されてしまった……!トゲキッスは……戦闘不能、か……!

 

「トゲキッス……!戻って、トゲキッス!お願い、ガブリアス!!」

 

「ガブアァ!!」

 

私の残りポケモンはガブリアスとダイケンキ……ダイケンキは本当に奥の手中の奥の手……出すのはギリギリまで粘ってからだ!

 

「ガブリアス!ギラティナは姿を消す技を使う!気をつけて!!」

 

「ガブッ!」

 

「ギラララ!!」

 

ギラティナが、爪に力を込めて飛びかかってきた!あれはドラゴンクロー……!

 

「ガブリアス!ドラゴンクロー!!」

 

「ガブァ!」

 

ガブリアスとギラティナのドラゴンクローがぶつかり合う!……僅かに押されている……このまま競り合うのは危険だ!

 

「アクアテール!」

 

「……!ガブ!!」

 

「グララ……」

 

なんとかギラティナを吹っ飛ばせたけど……まるで手応えがない!やっぱりドラゴンタイプか!ディアルガやパルキアと同じ!

 

「ストーンエッジ!!」

 

「ガッブアアァッ!!」

 

「……!ギラアァ!!」

 

ストーンエッジをギラティナに向けて放つも、ギラティナは口から……あれははどうだん!はどうだんで次々と岩の刃を破壊していく!

 

「打ち消せ!」

 

「ガブッ!!」

 

「よしっ、アイアンヘッド!!」

 

「ガッブゥア!」

 

なんとかドラゴンクローではどうだんを打ち落とし、そのままアイアンヘッドで突撃!……だけど、ギラティナは再び姿を消した!

 

「なんて技……!」

 

「ギラティナが使える固有技、シャドーダイブ!そう簡単に対処できるなどと思わぬことです」

 

「ちっ……」

 

ウォロ……!それにしてもシャドーダイブ……なんて厄介な技だ!一度姿を見失うというのが特に痛い……一体どこから……!

すると、ガブリアスが目線を正面からずらした時だ!ガブリアスの正面の空間に、ひび割れが生じた!

 

「ガブリアス、前!!」

 

「ギラアアァ!!」

 

「ガブァ!?」

 

「ガブリアスッ!!」

 

咄嗟に気づいて声をかけたが……遅かったか!ガブリアスがギラティナのシャドーダイブを受けて大きく吹き飛ばされてしまった……!けど、ガブリアスはまだ立ち上がれるみたい……よし!

 

「素早く、ストーンエッジ!」

 

「ガブガブァ!」

 

「ギラッ」

 

早業で繰り出されたストーンエッジはギラティナに命中!動きが止まった……今だ!

 

「力強く、ドラゴンクロー!!」

 

「ガブァアアアァァ!!」

 

一気に突撃するガブリアス……シャドーダイブで逃げられる前に、ここで……!

 

「ギラアアアッ!!」

 

「……!ガブリアス!避けて!!」

 

「ガブ……!?ガッ!!」

 

まさか、だいちのちから……!!それも力業で撃ってきた!まんまと直撃してしまったガブリアスは宙を舞い、私の目の前に倒れた。……戦闘不能……くっ、逸ってしまったか!

 

「おやおや、もう後一匹ですか。後がないのはお互い様のようですね!」

 

「……うるさい。ここで仕留める!ダイケンキ!!」

 

「…………」

 

私の、正真正銘の切り札!極み断ち斬るダイケンキ!!ダイケンキを出した以上、これ以上の負けは認められない!

 

「ギラアアア!」

 

「来るっ……!ダイケンキ!つばめがえし!!」

 

「……!」

 

ギラティナは小手調べとばかりにはどうだんを放ってきた……けど、ダイケンキはつばめがえしではどうだんを一瞬で真っ二つにしてみせた!

 

「ギラ!?」

 

「ひけん・ちえなみ!!」

 

「……!!」

 

「ギララ」

 

……!また、シャドーダイブ!ギラティナが姿を消したことで、こちらの攻撃は空振りに終わった……今度はどこから来る……!

 

「……ダイケンキ、右!!」

 

「……!」

 

「ギラアァ!」

 

私の声掛けにも、ダイケンキは一瞬で反応してくれた!宣言通り、ギラティナはダイケンキの右側から急襲してきたが、ダイケンキはアシガタナで受け止めることができた!

……!!ギラティナがはどうだんを!

 

「ギラアアァ!!」

 

「ルッ……!」

 

「ダイケンキ……!」

 

はどうだんの直撃を受けたダイケンキ……まだまだ戦えそうだけど、あまり被弾しすぎるのも良くない……いや、あれは!

 

「ギラァ……!」

 

ダイケンキの意地とも言うべきか、ギラティナの足にアシガタナが一本刺さっている!しかもあれは、どくづきの技!こちらが指示をしなくとも、ダイケンキは自らの判断で動いてくれたということ……?なんてすごいの、ダイケンキ!

ギラティナが足を軽く振ってアシガタナを落とした。そのまま何かを仕掛けようと構えを取るギラティナ……まさか!

 

「ダイケンキ!走れ!!」

 

「……!」

 

ダイケンキがその場からダッシュした直後、だいちのちからが放たれた!危ない……あやうく直撃するところだった!

ダイケンキはダッシュしつつギラティナが落としたアシガタナを回収した……よしっ!

 

「シザークロス!」

 

「…………」

 

「ギラッ……!」

 

「よしっ!ひけん・ちえなみ!!」

 

「!!」

 

「ギラアァ!?」

 

シザークロス、ひけん・ちえなみもともにギラティナに直撃!たとえ伝説のポケモンだろうと、確定急所技が相当効いたはず……!

 

「ギララアアァ!!」

 

「ルシッ……!」

 

「……っ、ダイケンキ!」

 

だが、ギラティナも負けていない……反撃にドラゴンクローを喰らわされ、ダイケンキもまたこちらまで吹き飛ばされてきた!そして、ギラティナは再び姿を消す。……ここだ、ここで使うしかない!

 

「ダイケンキ!奥義!!」

 

「……!!」

 

ダイケンキが第三のカタナを抜刀し、水の力を収束する。この一撃なら、確実に仕留めることができる……!水の力を集めつつ、その時を待つ。やがて、ダイケンキの正面上空……斜め前の空間にヒビが入った!

 

「ダイケンキ!正面上空!!」

 

「……!」

 

「ぜっけん・はとう!!」

 

「ギラアアアアァァ!!」

 

「ルッシャアアアアアアアッ!!」

 

「……!?ビシャーンッ!?」

 

ダイケンキの巨剣の一振りが、ギラティナをシャドーダイブの技ごと叩き斬った!!

 

「勝った……!」

 

ギラティナは地面に落ちていき、そのまま墜落――

 

「ギラァ!!」

 

――しない!?なんと空中でギリギリ体勢を立て直すと、その姿が影のような闇に包まれて……

 

「ビシャアァァーーーンッ!!」

 

六本足が突起状になり、二枚の翼も六本の触手のような形状に変化した……!?

 

「う、そ……」

 

「ギララララ!!」

 

「ルシャア……!!」

 

「……あ!ダ、ダイケンキ!?」

 

想定外の変貌……フォルムチェンジに、私が呆然としている隙を突かれた!ギラティナのはどうだんがダイケンキに直撃し、ダイケンキはそのまま倒れ伏してしまった……!!

 

「ダ、ダイケンキ……」

 

ダイケンキは、戦闘不能、に……。そんな、私の……負け……。

 

「…………」

 

「……何を呆けているのですか?アナタにはまだポケモンが残っているでしょう?」

 

「えっ……?」

 

「アレを出しなさい……あのポケモンを!ジンオウガを!!今のギラティナならば、たとえ未知の巨大ポケモンだろうとものの数にならぬ!何するものぞ、ジンオウガ!!アナタの最後の希望であるジンオウガを倒してこそ、我々の真の勝利と言えるのです!」

 

「……!!」

 

……それは、私がずっと考えないようにしていたこと……。普通のポケモンとの勝負に、ジンオウガたち未知の巨大ポケモンを使うということ……。彼らの勝負を知っている身としては、たとえ相手が伝説と謳われるポケモンであろうと、戦わせることには気が引けていた。

私が迷っていると、一個のボールが大きく揺れた。……ジンオウガが入っているボール……「俺を使え!」と、そう言っているの……?

大きく深呼吸をする。この先の勝負は、私にとっても完全に未知の領域。ヒスイ地方に伝わる伝説のポケモンを相手に、ジンオウガがどこまで戦えるか……。

 

「……行け!勝利を狩り獲れっ!ジンオウガッ!!」

 

「ウオオオオォォォォォォンッ!!」

 

ボールから繰り出されると、ジンオウガは天高く雄叫びをあげ、同時にウォロたちを威嚇するように全身から放電を繰り返す。そのまま眼前の敵……ギラティナに向けて鋭い視線を向けた。

 

「……!出たな、ジンオウガ!おまえのこともとことんまで調べ上げたぞ!……その結果、何もわからなかった!このヒスイ地方のあらゆる遺跡や文献等を紐解き、神話を徹底的に調べ尽くしたというのに……なのに!おまえのことはアルセウス以上に何もわからなかった!!

答えろジンオウガ!貴様は一体何者だ!いや、そもそも貴様はポケモンなのか!?貴様は何処から来て、何処へ行くのだ!貴様という存在は、時にアルセウス以上にワタクシの好奇心を刺激してくる!!ショウ……アナタに勝利した暁には、是非ともそのジンオウガも貰い受けるとしよう!!ワタクシの好奇心を満たすために!!」

 

「……!!ふざけるなっ!!私から何もかもを奪っておいて、今度はジンオウガまで奪う気かっ!!そんなことはさせない……ジンオウガも、ヒスイの未来も!お前なんかに奪われてたまるかっ!!」

 

「ガウッ!!」

 

私が激昂すると、ジンオウガの鋭い鳴き声が耳を打った。見れば、ジンオウガがこちらへ顔だけ振り返っていて、まるでその目は「落ち着け」と語っているようだった……。それから、小さく頷くジンオウガ……そう、だったね。

怒りに飲まれてもいいことなんてない……ライチュウとロズレイドを思い出せ!私の判断ミスで倒された二匹のことを忘れちゃいけない……冷静に、冷静にだ。体はファイヤーのように熱く、頭はフリーザーのように冷たく……お父さんの受け売りだけど、しっかりそれを意識する!

 

「……大丈夫だよ、ジンオウガ。絶対に勝とう!」

 

「ワオンッ!!」

 

「ギラアアア!!」

 

ギラティナが使ってきたのははどうだん!そんなもの!!

 

「叩き潰せ!!」

 

「ウオオオォォォォォォンッ!!」

 

「ギラッ!?」

 

「ばかなっ!?」

 

迫り来るはどうだんを、ダイケンキの時のように一瞬でかき消した。それも、攻撃ではなく咆哮……すなわち、ただの気合で。これにはギラティナだけでなく、ウォロも目を剥いていた。

 

「そんな猪口才な技、ジンオウガに効くものか!!ジンオウガ!しねんのずつき!!」

 

「グルル……!ワオオン!!」

 

「……ッ!!」

 

ギラティナはまたしてもシャドーダイブで姿を消した!本当に厄介だなぁその技!!ジンオウガも、キョロキョロとギラティナを探している。……っ!!

 

「ジンオウガ!後ろ!!かみなりパンチ!」

 

「……ッ!!」

 

「ギララララ!!」

 

私の指示が間に合い、ジンオウガは後ろから姿を現したギラティナにかみなりパンチを振るった!……が、攻撃は回避されてしまい、逆にシャドーダイブの一撃を受けてしまった!

 

「……!ふ、ふはは!勝てる、勝てるぞ!ジンオウガ、恐るるに足らず!アルセウスに生み出されし神の子たるギラティナには到底及ばない!!」

 

「ギラアアアア!!」

 

「……!ギャウウゥゥッ!!」

 

「ジンオウガ!!」

 

力業のだいちのちから……!ジンオウガには効果は抜群だ!!だいちのちからの連続攻撃によって、ジンオウガに確実にダメージが重なる……!

 

「ジンオウガ!10まんボルト!!」

 

「……!ウオオォン!!」

 

「ギッ……!」

 

なんとか技の隙間に差込ができた!ギラティナの技は中断され、ジンオウガも大きく呼吸をしている……。

 

「フッ……如何に強力なポケモンであろうと、所詮は生き物……生物としての格が違うのですよ」

 

「……それは、どうかな?」

 

「なに?」

 

ジンオウガ……あなたが今まで、どんな気持ちでその力を使わずにいたのか、私には分からなかった……リオレウスでの移動中に聞いた、あなたのこと。あなたが持つ、もうひとつの姿……フォルムチェンジ。

アカイさんはあなたのフォルムチェンジを、「戦う(殺す)ための力だ」と言っていた。あなたが今までその姿を見せなかったのも、あなたが真の意味で「戦う=殺す」必要性を感じる敵に出会えなかったということ……ラギアクルスやリオレウスとの戦闘だって、元々顔見知りだったから本気を出す必要がなかったんだよね。

けど……だけど!アカイさんの地元で、「無双の狩人」と呼ばれるほどの力を持つあなたに、私は遠慮なんてして欲しくない!

 

「……ジンオウガ、本気を出そう」

 

「……!」

 

「遠慮なんていらない。遠慮して、それで負けるなんて、絶対に嫌。なにより……無双の狩人であるあなたに、敗北なんて味わわせたくない!だから、ジンオウガ……!!」

 

「…………」

 

ジンオウガはしばし沈黙……そして――

 

「……ッ」コクリッ

 

――小さく、頷いた。

 

「……ウオォン……!」

 

ジンオウガが小さく吠えると同時に、その体に電気が溜まり始めた。じっとしたまま動かないジンオウガを訝しげに見るウォロ……けど、ギラティナは違う!

 

「ギラララララ!!」

 

「グルッ……!」

 

嫌な予感でも察知したのか、ギラティナはだいちのちからをジンオウガにぶつけてくる!けど、ジンオウガは電力のチャージをやめない、やめるわけにはいかない……!!

 

そして……!!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ウオオオオオンッッッ!!!!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

【推奨BGM】

閃烈なる蒼光

~モンスターハンターポータブル3rd~

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その力が、解き放たれた!!

ジンオウガ……『超帯電状態』!!

 

天高く吠えると同時に激しく放電し、ジンオウガの姿が変化した!

 

毛に隠れている2本の鉤爪が展開された攻撃的な形態。

普段は畳まれている帯電毛が逆立ち、上向きに展開された角や蓄電殻。

全身から青白い電光を迸らせる姿。

 

……文句なしに超絶かっこいいこの姿こそ、ジンオウガのフォルムチェンジ……『超帯電状態』の姿だ!!

この状態のジンオウガの放電能力はラギアクルスと同等らしく、かみなりの技以上の電力を放出することができるんだとか!さらに!纏う電気による刺激で筋肉が変化し、攻撃力や俊敏性が飛躍的に上昇!疲れを見せる事無く矢継ぎ早に攻撃を仕掛けることができる!!

ここまでの説明、全部アカイさんの受け売り!!

 

「なっ……姿が変わっただと!?ますます興味深い……!」

 

「ウォロさん、あなたに素敵な言葉を教えてあげます」

 

「ほう?」

 

「"好奇心はニャースを殺す"、です。……ここから先は命獲り、興味本位で近づきすぎると、死にますよ」

 

「……!!」

 

「ジンオウガッ!!」

 

「ヴオオオオオンッ!!」

 

「……ッ!!ギララ……!!」

 

ギラティナも、超帯電状態になったジンオウガを前に臆している!

 

「ジンオウガ、らいこうだん!!」

 

「ウオォンッ!ウオォンッ!!」

 

「!!」

 

カーブを描いて迫り来る雷光弾(らいこうだん)を、ギラティナは再びシャドーダイブで退避する。……無駄だ、二度も同じ技を立て続けに喰らうほど、ジンオウガは甘くはない!

 

「ジンオウガ!」

 

「……!」

 

ジンオウガが私の声に反応して、わずかに振り向いたその時!ジンオウガの正面からギラティナが姿を現すが……こっちはとっくに気づいている!

 

「ライジングテール!!」

 

「ウワオォンッ!!」

 

「ギラァッ!?」

 

ジンオウガはその場で体を捻り、ライジングテールで周囲を薙ぎ払う!当然、ジンオウガに迫っていたギラティナには命中!ジンオウガは飛び上がった勢いのまま、既に攻撃態勢に入っている!!

 

「シャドークロー!!」

 

「ワオン!!」

 

「ギラアアァ!!」

 

シャドークローを受けたギラティナは大きく後退!そのままだいちのちからを使おうとしているが……遅い!!

 

「ジンオウガ!ごうらいちょうだん!!」

 

「ウオオォォォンッ!!」

 

ジンオウガは後方に少し走ってだいちのちからを躱すと、そのまま大きくジャンプ!!ギラティナを下敷きにするように背中から落下して押しつぶす!!これが豪雷跳弾(ごうらいちょうだん)!!仮に躱されたとしても、着地時に周囲に雷光弾(らいこうだん)を飛ばしたり落雷を発生させたりするので後隙はない!!

 

 

 

 

ドガアァァンッ!!!!!

 

 

 

 

その爆音には、聞き覚えがあった。ジンオウガと初めて出会った、あの日。あの日に聞いた落雷の音と、まったく同じ音……あの落雷は、オヤブンギャロップを仕留めるために豪雷跳弾(ごうらいちょうだん)を仕掛けた、ジンオウガの音だったんだ。

 

「(運命、なのかな……)」

 

あの日の出会いがあるから、今がある。この音を聞くたびに、きっと私は何度も思い出すだろう。ジンオウガと初めて出会った、あの雨の日を。

 

「ギ、ララ……!」

 

「グルル……!」

 

ギラティナはかなりのダメージを負っている……ここで一気に止めを刺す!!

 

「ジンオウガ!らいそうしでんだ!!」

 

「ウオオオオォォォォンッ!!」

 

雷葬死電(らいそうしでん)。ジンオウガが放つ最大の技。後方宙返りの要領で跳躍しつつ尻尾で相手を打った後、空中で体勢を立て直してそのまま雷を纏った前脚を叩きつける!!攻撃はギラティナに見事直撃!ギラティナの姿は元の六本足に戻った!!

 

「ビシャアンッ……!」

 

あ、逃げた。……え、逃げちゃった!?びっくりするくらい鮮やかな逃走!私じゃなきゃ見逃しちゃうね!……何を言っているんだ、私は。

 

「逃げるとはなんと不甲斐のない!オマエがアルセウスに挑むというから、力を貸してやったというのに!時間、空間の神をトチ狂わせ、創造神を引きずり出すために時空の裂け目を開けるきっかけをつくってやったというのに!

なぜだ……なぜなのだ。アルセウスよ、心あらば教えてくれ……古代シンオウ人の血を引くワタクシの何がダメだというのか!」

 

まずそのストーカー気質をなんとかしろ。

……いや、それよりもっ!!

 

「そもそもこの世界は創造しなおす必要などないのか?」

 

「ウォロオオオオォォォォッ!!」

 

「なに……ぐっ!」

 

私は勢いよくウォロに突進した!こちらに振り返った直後に体当りし、そのままウォロを押し倒すとその首に両手をかけた。

 

「お前の……お前のせいで、私は……!!」

 

「……フッ、いいでしょう。ならば殺してみなさい。私の物語は、あの敗北で全て終わったのですから」

 

「お前があああああっ!!」

 

徐々に力を込めていく……このまま首をへし折ってしまえば、私は……!!

許さない、許さない……死ね、死ねっ!ウォロッ!!

 

「死んで償え……!このクズやろおおおぉッ!!」

 

「……ッ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

カプッ。

 

「……!!」

 

誰かが、私の頭を甘噛みしている……。ウォロの首から手を離して振り返ると……

 

「……ジンオウガ……」

 

「クゥン……」

 

超帯電状態を解除したジンオウガが、すぐそこにいた。初めて出会った時と同じ……悲しみと優しさに満ちた目で、私を見ている……。

 

「…………」

 

私は、一気に全身の力が抜けていくのを感じた。ジンオウガが私の服を咥えて立ち上がらせると、ついでにウォロも立ち上がらせた。

 

「……ジンオウガは、ウォロを許せというの?そんなの、私は……」

 

「クン……」

 

しかし、ジンオウガは首を横に振る。許せとは言わないが、殺すなと言いたいのか……ジンオウガは、本当に優しい子だ。私が手を汚してしまうのを、本気で嫌がっているのが伝わって来る……。

 

「……つくづく、面白いポケモンだ、ジンオウガ……。ますます好奇心をくすぐられる……」

 

「グルルル……!!」

 

「おっと。ショウさん……アナタには夢があるのか?」

 

「夢……」

 

夢、私の夢……私の夢、というより目標は……元の世界へ帰ること……復讐じゃ、ない。

 

「……ある」

 

「そうか、あるのか。アナタの夢はきっと、ワタクシとは相容れない……。ワタクシはポケモン使い、アナタはポケモンと共に戦う者。私は結局一人でしたが、アナタは違う……ポケモンとともに夢を叶えるのでしょう!」

 

「……!」

 

そうだ……お母さんも、お父さんも、二人揃って必ず同じ事を言っていた……それは、「ポケモンがいれば、なんだってできる」ということ……。

 

「ワタクシの物語の始まり……ギラティナから受け取ったプレートも、くれてやりますよ」

 

私はウォロから最後のプレートである「もののけプレート」をもらった。……これで、すべてのプレートが集まったわけだけど……って、なに!?カミナギのふえが!!

カミナギのふえが変化して……なんか、フジツボのような、お父さんが冒険してきたという旅先の写真で見たナマコブシやバチンウニみたいな変な見た目の笛になってしまった。……戻して。

 

「それは、それは……まさか、まさか、てんかいのふえ……。アルセウスはアナタなんかと会うというのか。そのためにアナタを招いたというのか?」

 

これが、てんかいのふえ……ウォロの言うことが真実なら、この笛を吹けばアルセウスに会えるのか!

 

「クッ!見たくないのですよ、アルセウスとアナタの邂逅など!ましてやアナタがアルセウスに勝利するなど、認めるわけには行かない……」

 

知らんがな。

 

「いつか、いつの日か、ヒスイ地方のポケモンすべての神話、その謎を解き明かし、アルセウスに会ってみせる!いや、従えてみせる!!何年、何十年、何百年かかったとしても!!」

 

人間もポケモンも、ストーカーはお断りだと思うけどな。

最後にそれだけを言い残して、ウォロは立ち去ろうとした……いや、待て。

 

「最後にひとつだけ」

 

「……?」

 

「もしも、アルセウスに出会ってなお、私が元の世界に戻れなかったら……地獄の果てでも追いかけて、事の顛末をすべてこのヒスイ中に流布して回る。あなたをジンオウガで引き回しながらね。ジンオウガはあなたの匂いを覚えた……逃げられると思うな」

 

「……フフッ、それはそれは……ならばアルセウスに期待するほかありませんね」

 

最後に小さく笑うと、今度こそウォロは立ち去っていった……。

 

「……帰ろう、ジンオウガ。多分だけど……まだ、全てのポケモンに出会えたとは思えないんだ」

 

「ワウ」コクコク

 

私はジンオウガの背に乗ると、岩の間を飛び越えてそのままテンガン山を下山した。……待っていろ、アルセウス。次は……お前の番だ。

 

 

 

 




はいっ!!お疲れ様でした!無事にウォロ戦、終了です!!
今回、ウォロは原作同様神殿でサヨナラとなりましたが……まぁ、今回は陸はジンオウガ、空はリオレウス、海はラギアクルスがいるのでショウちゃんの言葉通り「地獄の果てでも」追いかけられますw

次はトルネボルトランドラブトのロス勢を捕えてアルセウス戦……かぁーっ!なげぇわ!
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