内容:黒曜の原野の時空の歪み内部に出現した巨大ポケモンを調査する
お気に入り登録数2000人突破ァ!?やべぇ、続き書かなきゃ(使命感)
推奨BGM
【VSアカギ】~ポケットモンスター US/UM~
【古代の息吹】~モンスターハンターX~
「さあ……始めるとしよう」
アカイさんは不敵な笑みを浮かべ、手に持ったボールを投げた。それと同時に、私もボールを取り出して投げる。
「お願い!エルレイド!!」
「クック……」
「エレッ!!」
「ノッズ」
私が初手に繰り出したのはエルレイド……アカイさんはダイノーズだ。よしっ、一先ず対面は有利を取れた。
実はラベン博士たちから目撃情報を聞いてから、私は連れて行くポケモンをよく選ぶようにした。今回、黒曜の原野ではラベン博士が聞いたという「刃を研ぐような音」から、対象がはがねタイプであると想定してダイケンキ、ライチュウ、ガブリアス以外の三匹を対はがねタイプ対策として選び直したのだ。
今回連れてきたのはグライオン、エルレイド、そしてキュウコンで、いずれもはがねタイプに強く出ることができるポケモンだ。
ダイノーズははがねといわの複合タイプ……かくとう技で、一気に倒す!
「ドレインパンチ!」
「エルレイッ!」
「パワージェム。弾幕を張れ」
「ダーイノー!」
すぐさまエルレイドにドレインパンチを指示したけど、アカイさんの判断も早い!ダイノーズはパワージェムをばらまくように放ち、エルレイドを近づけないようにしている。かくとうタイプであるエルレイドにいわ技は効果は今ひとつだけど、エルレイドはだいぶ進みにくそうにしている……!
「かくとうタイプなんぞ大半が近接型だ、近づけさせなければどうということはない」
「それなら……!エルレイド、サイコカッター!!」
「エルッ!エルレッ!!」
近づけないなら、遠くからでも攻める!エルレイドはサイコカッターを放つ……が、はがねタイプであるダイノーズにはあまり効果がない……。というよりか、もともと防御寄りの能力を持つダイノーズはほとんど無傷だ……!
「足を止めたな?だいちのちから」
「ダイッ、ノー!」
「エルッ……!!」
「エルレイド!」
それどころか、サイコカッターを放つために足を止めたことが仇となった!ダイノーズのだいちのちからが命中し、エルレイドが宙に打ち上げられた……!
「フッ……ラスターカノン」
「ダー……ノーズ!!」
「エ、ル……!」
「え、エルレイド!?」
止めとばかりにラスターカノンで撃ち落とされ、エルレイドはそのまま戦闘不能に……つ、強い……!
「おや、どうかしたかな?こちらはあくまで小手調べのつもりなのだが……君には小手調べですら厳しいかな?」
「……言ってくれますね。タイプ相性で有利が取れたので、少々油断しただけです。ここから勝ちに行きます」
「クックック……そうでなくてはな」
「グライオン!!」
「グライオーン!」
私が次に繰り出したのはグライオン。じめん技を扱えるグライオンなら、不利にはならないはずだ……!
「まきびし!」
「ライオ!」
「ノズッ……」
「ほぅ……ラスターカノン」
「ノーッズ!!」
「躱して!」
「グライッ!」
まずはまきびしで先制!まきびしがダイノーズの体に突き刺さり、その痛みでダイノーズは動きにくそうにしている。反撃にラスターカノンが飛んでくるが、なんなく回避できた!
「グライオン!力強く、だいちのちから!!」
「グラーイ!オーンッ!!」
「ノッ……!!」
「おっと……」
まきびしでかなりのダメージが見込めた……一気に仕掛けるため、力業だいちのちからで攻める!……だが、そこはさすがはダイノーズ。グライオンの特攻が元々高くないのも相まって、耐え切った!けど、もうほとんど虫の息の状態……ここで止めを!
「素早く、つばめがえし!!」
「グライ、オンッ!!」
「ノ、ズー……!」
「ふむ……戦闘不能か」
ダメ押しの早業つばめがえしで、なんとか止めを刺せた……まずは一匹だ!
「ふむふむ……では、これはどうかな?」
「ドン、カーッ!!」
アカイさんの二番手はドンカラス……!さっきのダイノーズとは明らかに違ったタイプのポケモン……グライオンで倒しきれるかな。
「グライオン、ストーンエッジ!!」
「グラーイオーン!!」
「躱せ」
「カァー!!」
迫り来る岩の刃を、ドンカラスは軽快な動きで回避する!かなりすばやさが鍛えられている……!!
「素早く、こごえるかぜ」
「カ、カァー!」
「グラァ!?」
「しまった、こおり技……!!」
そうだった、ドンカラスはこごえるかぜを覚えるんだった!どうして失念していた、私!じめんとひこうの複合タイプであるグライオンにはかなり痛いダメージだ……加えて、こごえるかぜにはこちらの行動を遅らせる効果がある……それを早業で打たれたとなっては、連続行動で攻めてきてもおかしくない!
「あくのはどうだ」
「ストーンエッジで壁を作れ!」
「カアアァァー!!」
「グラーイ!」
よしっ、指示が間に合った!ストーンエッジで岩の壁を作り、グライオンはそこへ避難した。あくのはどうはまっすぐグライオンに向かってきていたので、岩の壁を破壊するだけにとどまった。
「ふむ、悪くない。だが、勝負はまだ始まったばかりだ」
「わかっています」
「ドンカラス」
「グライオン!」
「「つばめがえし!」」
「グライッ!」
「ドンカァー!」
グライオンとドンカラスが縦横無尽に飛び交い、つばめがえしの応酬が始まる。能力的に見ればドンカラスの方が攻撃力は上だが、素早さならグライオンの方が上!スピード勝負ならまだ負けない……!
高速で何度も激しくぶつかり合うグライオンとドンカラス……よしっ、グライオンがドンカラスの上を取った!そのままグライオンが一撃を加え……!ドンカラスが急停止して攻撃を躱した!?空振ったグライオンはわずかに体勢を崩して……。
「ドン、カァ!!」
「グラッ……!?」
その隙を突いて、ドンカラスが攻撃を当てた!くっ……スピードだけじゃ、アカイさんのドンカラスには勝てないってこと……!?
「グライオン!!」
「……ッ!!」
そのまま墜落していくグライオンだったが、私の呼びかけに応えて体勢を立て直してなんとか地上に着地した。
「ドンカラス、サイコキネシス」
「カァーッ!!」
「飛べ!グライオン!!」
「グライ!オンッ!!」
だけど、安心はできない!空から迫って来るドンカラスが、サイコキネシスでグライオンを捕らえようとする……間一髪、空を飛ぶことでサイコキネシスの攻撃範囲から脱出できた!
「戻って、グライオン!」
技構成を考えて、これ以上グライオンで継戦するのは難しいと判断して、ボールに戻す。タイプ相性を考えて、ここは……!
「ライチュウ!」
「チュウー!」
ライチュウで行く!
「あくのはどうだ」
「10まんボルト!」
「カァー!カアァー!!」
「ラーイ……チュウゥー!」
今回、私はライチュウの使う技のうちボルテッカーを10まんボルトに変更した。これまでの戦闘経験から、近接一辺倒の技構成は危険と判断したからだ。幸いにして、ライチュウは物理攻撃も特殊攻撃も均等に高い能力を持っているので、どちらかに偏るということはなかった。だから、威力は下がるけど特殊タイプだからという理由で10まんボルトが火力不足になるということはない!
ドンカラスが放つあくのはどうを打ち破って、ライチュウの10まんボルトがドンカラスに命中した!
「カアアァーッ!?」
「む……」
よしっ……!グライオンとのつばめがえし対決でもダメージが蓄積していたようで、ドンカラスはそのままライチュウの10まんボルトで沈んだ。……しかし、アカイさんは冷静にポケモンをボールに戻している。まだまだ余裕があるのか、それとも勝ち負けにこだわりがないのか……アカイさんの性格上、後者かな……。
「では……こんなのはどうかな?」
「ジバルrrrr……」
「ジバコイル……!」
ジバコイルとは、またクセの強いポケモンを……。このヒスイ時代のジバコイルは覚えられる技範囲が3タイプしかなく、能力は高いけど戦いにくいポケモンだ。
「ライチュウ、10まんボルト!」
「ラーイ……チュウゥー!」
「はかいこうせん」
「ジバババ……バrrrrrrr!!」
ライチュウの10まんボルトとジバコイルのはかいこうせんがぶつかって……ほとんど拮抗することなくこっちが撃ち負けた!ただ、僅かに軌道を逸らすことには成功したようで、はかいこうせんはライチュウには直撃せず足元に着弾して爆発を起こした。
「チュウゥ……!!」
「くっ……戻って、ライチュウ!」
けど、爆破の余波だけでライチュウはかなりのダメージを負って吹っ飛ばされた……!あのジバコイル……相当特殊攻撃を強化されている……!私は吹っ飛ぶライチュウをボールに戻し、即座に次のポケモンを繰り出した。
「行けっ、キュウコン!」
「コーン!!」
ほのおタイプのキュウコン!この子なら、ジバコイルが相手でも撃ち合いに持ち込めるはず!
「なるほど、ほのおタイプならはがねタイプに勝てると」
「キュウコン!力強く、かえんほうしゃ!」
「コォーン!」
「……認識が甘いな、てっていこうせん」
「ジバルrrrrrr!!」
キュウコンの力業かえんほうしゃと、ジバコイルのてっていこうせんがぶつかり合う……!?こ、こっちが押されてる……!?
「コーンッ……!」
「キュウコン!」
「ジバコイル、はかいこうせん」
「バrrrrrrr!!」
力業かえんほうしゃとてっていこうせんの撃ち合いに負け、そのままの勢いで放たれたはかいこうせんも直撃して、キュウコンはあっさりと戦闘不能に……そ、そんな……!?
「タイプ相性だけで敗北するような、ヤワな鍛え方はしていない。時には火力でゴリ押す必要性もある……それこそ、タイプ相性さえもひっくり返してしまえるような火力で、な」
「くっ……!」
認識が甘かった……アカイさんはそれほどまでに本気でポケモンを鍛え上げているんだ!だったら、じめんタイプだからと安易にグライオンを繰り出すのは悪手……ここは同じじめんタイプでもより強いポケモンで挑む!
「ガブリアス!!」
「ガッブアァ!!」
今回、技を見直したのはライチュウだけじゃない。ガブリアスもストーンエッジを一時捨ててほのおのキバを覚えさせてみたりしたけど、まさかここで刺さるとは……。未知のポケモンのはがね対策を考慮してほのお技を覚えさせておいて良かった。
「ドラゴンクロー!」
「ラスターカノン」
「ガブアッ!」
「バrrrr!」
ガブリアスが突貫し、ジバコイルが迎撃のラスターカノンを放ってくるけど、ガブリアスはそれを回避したりドラゴンクローで叩き落としたりして猛然とした勢いでジバコイルに接近していく!
「そこだぁ!ほのおのキバ!!」
「ガブガッブ!!」
「バルrr……!?」
高い物理攻撃力から繰り出される弱点技は、ジバコイルにかなりのダメージを与えた!
「力強く、てっていこうせん」
「撃たせるな!素早く、アイアンヘッド!!」
「バrr――」
「ガッブゥァ!!」
「バッ!?」
自滅覚悟のてっていこうせん!撃たれたらかなりのダメージを受けることは必至……!かなり接近しているせいで回避も難しい……だから、阻止に動く!早業アイアンヘッドはジバコイルに命中、ジバコイルは体勢を崩している!間に合った!!
「力強く、アクアテール!!」
「ガブ、アァッ!!」
「バrrrr……」
「ふむ……ここで倒れるか」
最後にアクアテールでフィニッシュ!吹っ飛んだジバコイルはそのままアカイさんの目の前に転がり、目を回している。なんとか戦闘不能にできた!
これで私はエルレイド、キュウコンの二匹が倒れ、アカイさんはダイノーズ、ドンカラス、ジバコイルの三匹が倒れた。……アカイさん、かなり強いな……これで小手調べというのだから、本気だとどんなバトルをするのか……。
「では、次だ」
「ババット!」
アカイさんの四匹目はクロバット!これは……ワサビちゃんのクロバットよりも手強そうな雰囲気……!
「行けるよね、ガブリアス」
「ガブッ!」
「よし……アイアンヘッド!!」
「ガッブゥアァ!!」
「エアスラッシュで近づけさせるな」
「クロバッ!」
クロバットがエアスラッシュを放ってくるけど、その程度で私のガブリアスは止まらない!
「止まらないか……では、目くらましだ」
「バット」
アカイさんがそう指示を出すと、クロバットはガブリアスを十分に引きつけた上で足元にシャドーボールを撃った!この戦法は……!
「進化前のズバットは目が見えずとも超音波のみで周囲を探り、十全に移動することが可能であった。……よもや、目が発達した進化系には同じことができないなどと考えてはいないな?」
「くっ……」
やってくれた……!シャドーボールによる土煙の煙幕によってガブリアスはクロバットを見失った……けど、クロバットはズバットの頃の習性を利用すれば、ガブリアスの位置を正確に把握することができる!アカイさん、ポケモン図鑑をかなり読み込んでるな……!
「さあ、追い詰めてやれ。素早く、エアスラッシュだ」
「ババ、バット!」
「ガブッ……!」
「ガブリアス……!」
煙の中だというのに、クロバットは高速で動いて全方位からのエアスラッシュをガブリアスに浴びせてくる!幸いにして、特攻が低いクロバットによる早業なので、ダメージそのものは大したことはない……だが、見えない相手による全方位からの攻撃そのものが、やられる側にはかなりのプレッシャーとなる……!
「ガッ……ブアァァッ!!」
「クロバッ……!?」
どうやって抜け出すか……と、私が思考を巡らせていた、その時だった。突然、ガブリアスが大きく吠えたかと思うと、次の瞬間にはガブリアスを中心に強烈な突風が発生し、煙を晴らすばかりか周囲を飛び回っていたクロバットすら吹っ飛ばしてしまった!
「なにっ……」
「えっ……?なに、今の……ガブリアス……?」
「ガブガブッ!!」
「ばかな、龍風圧だと……?なぜこの世界の竜種が……」
「アカイさん?」
「……いや、なんでもない。凄まじい気迫だな、煙を晴らすどころか、攻撃を遮ってしまうとは」
「……どーも」
なんだったの、今の風は……?明らかに普通じゃなかった。ガブリアスにあんな能力があるなんて、知らなかった……。アカイさんも驚いているようだし、本当に何なんだろう……。
「……さて、気を取り直していこう。クロバット、まだやれるな?」
「バット!」
「行ける?ガブリアス」
「ガッブァ!」
「では、クロスポイズン!」
「こっちはドラゴンクロー!」
「クロバッ!トォッ!!」
「ガブガッブアァ!!」
クロバットが高速で飛び回り、ガブリアスに向けてクロスポイズンを放ってくる。しかし、ガブリアスも冷静にクロバットの動きを見切ってドラゴンクローでクロスポイズンと打ち合っている。
だけど……単純な能力差なら、ガブリアスの方が圧倒的に上だ!!
「ガブッ!!」
「バットォ……」
何度目かの打ち合いにて、ついに決着がついた。ガブリアスがクロスポイズンを押し切って、クロバットに強引にドラゴンクローをぶち当てたのだ。これにより、クロバットは戦闘不能……アカイさんのポケモンは残り二匹だ!
「ほぅ……では、このポケモンで行こう」
「マニュラ!」
アカイさんの五匹目はマニューラか……ここまで高速アタッカーと高火力アタッカーがいい具合に半々に分かれているパーティだ、こっちとしてはやりづらいったらない。
「戻って、ガブリアス」
「ガブッ」
「……ダイケンキ!」
「…………」
普通に戦う分なら、ダイケンキで十分だ。マニューラを倒して、最後の一匹もダイケンキで一息に仕留めていこう。
「こおりタイプのマニューラを相手に押し切るのではなく、みずタイプのダイケンキに入れ替える……いい判断だ、流石だな」
「……どーも、です」
「……やはり、君は英雄たる器の持ち主かもしれんな。ますます興味深い……」
……アカイさんが度々口にする"英雄"という言葉……単に私を評価している、というわけではなさそうだ。
だって、彼がその言葉を口にする度に、底知れぬプレッシャーを感じるから。アカイさんは、"英雄"と呼ばれうる存在に、なにか強い感情を抱いているようだ……それがどんな感情なのかは、まだわからないけれど……。
「さあ、私にもっと示してくれ。君が、英雄の器たりうる証を」
「……頑張ります」
「マニューラ、素早く、こおりのつぶて!」
「マッニュ!」
「切り払って!ひけん・ちえなみ!」
「……!」
マニューラが放ってきたのは早業こおりのつぶて。これは目くらましだ!私はダイケンキに指示をしてこおりのつぶてを切り払い、次の攻撃のためにすぐさま指示を出す!
「「どくづき!」」
「……!」
「ニュラァ!!」
ダイケンキのアシガタナとマニューラの爪がぶつかり合う……が、敵の急所へ確実に攻撃を当てられるダイケンキの方が、もっと早く攻撃できる!
「シザークロス!」
「躱せ!」
「!」
「ニュッ……!」
ダイケンキのシザークロス……掠めたか!
「今度はこちらがシザークロスだ」
「ニューラッ!」
「シッ……!」
「まだまだ!つばめがえし!!」
「つじぎりだ!」
「……!!」
「マニュ!!」
相手のシザークロスを当てられたけど、つばめがえしですぐさま反撃に出る!向こうもつじぎりで応戦するが、ダイケンキのほうが一歩早い!つじぎりのまえにつばめがえしを差し込んで攻撃を当てる!
「なにっ?」
「力強く、シザークロス!!」
「……!」
「マニュラッ!?」
「……ふむ……」
力業シザークロスが直撃!マニューラを戦闘不能にした!
「……見事だな」
「終わりですか?」
「いや、まだだ。私にはあと一匹、ポケモンが残っている。……来い!」
アカイさんが放り投げた、最後のボール……そこから出てきたのは、見たことのないポケモンだった。
パッと見の全長はおよそ11mほど。
桃色の外殻としゃくれた大きな嘴。
扇状に開かれた大きな耳のような器官。
大きく広げられた青色の翼膜を持つ翼。
「クエエェン」
……そして、ちょっとマヌケっぽくも見える顔。……なんか、可愛い。
「……それが、最後の一匹ですか」
「あぁ、そうだ。名は『イャンクック』。"怪鳥"の別名を持つ鳥竜種に属する者だ。そうだな……君の知るところでは、あのホロロホルルの同種といったところか」
「ホロロホルルと……?」
「鳥竜の名のとおり、見目が鳥に似通ったものからそうでないものまで、幅広く属するのでな。……が、初見では早々に信じられんだろう」
イャンクック……アカイさんの話を聞いている間ものんびりとあくびをしたり翼の毛づくろいをしたりと、まるで戦闘意欲を感じない……。けど、普通のポケモンにはない脅威的な強さはひしひしと感じる。
「さあ、始めるとしよう。イャンクックは比較的小柄で臆病であるがゆえに戦闘は好まないが……我が地元では、登竜門の一つとして位置づけられている竜だ。油断はしてくれるなよ?」
「えぇ、もちろん。戻って、ダイケンキ。……よし、ガブリアス!」
「ガッブァ!」
「クェ?」
私はダイケンキを戻してガブリアスを繰り出した。ガブリアスは気合充分!対してイャンクックは……ガブリアスを見るなり小首を傾げている。……あのポケモン、オヤブン個体のガブリアスを脅威に感じていない……!?
「……っ。ドラゴンクロー!!」
「ガッブウゥアアァ!!」
ガブリアスも首を傾げるイャンクックにイラッとしたのか、かなりの勢いで突撃して爪を振り下ろした!
「躱せ」
「クェ」
……が。アカイさんが一言告げると、イャンクックは軽くバックステップをしてドラゴンクローを回避してしまった……!?
「りゅうのはどう」
「クエエエ!!」
「ガブアァッ!」
「ガブリアス!」
「……ガブッ!」
反撃のりゅうのはどうで押し込まれ、ガブリアスは膝をついた……が、直ぐに立ち上がると再び構えを取った。
「よしっ……素早く、アイアンヘッド!」
「ガッブ!」
「では、こちらはエアスラッシュだ」
「クエッ、クエッ!」
突撃するガブリアスに対して、イャンクックはエアスラッシュを放った。クロバットよりも威力の高いエアスラッシュを前に、それでもガブリアスはどんどん突っ切っていく!
「アクアテール!」
「ガッブガブアッ!!」
「グエエエッ!?」
ついに距離を詰めたガブリアスのアクアテールが決まった!イャンクックはかなり苦しそう……みずタイプに弱いのか!
「ドラゴンクロー!」
「ガブガッブァ!」
畳み掛けるようにドラゴンクローを放つが……こちらは嘴で受け止められただけでなく、ほとんど、いや、全くダメージを受けていない!
「おっと失礼、実はイャンクックにドラゴン技は効果がないのだ」
「……!あの回避はブラフ……!!」
「そういうことだ」
「ガブッ……!」
……っ!?イャンクックの嘴と接触したガブリアスが顔を歪めている……!ガブリアスの体を炎が走っている……まさか、やけど状態!?
「準備は整ったな。ではイャンクック、くちばしキャノン!」
「クックエエエェェッ!!」
「ガブアアアァァッ!?」
「ガ、ガブリアス!」
イャンクックが嘴を開いた瞬間、そこから強烈な勢いで砲弾が放たれた!直撃したガブリアスは大きく吹っ飛ばされ……そのまま戦闘不能になってしまった。
「さて、君の竜は戦闘不能となったな」
「くっ……戻って、ガブリアス。行って!ライチュウ!!」
「チュチュウ!」
まさか、ガブリアスが負けるなんて……いや、油断していたのはガブリアスだけじゃない、私もだ。イャンクックの雰囲気に、すっかり騙されてしまった……。
でも、もう油断はしない。そのためにライチュウを繰り出したんだから!
「ライチュウ、アイアンテール!」
「チュウ!」
「イャンクック、かえんほうしゃだ」
「クエエェンッ!!」
ライチュウが一気に駆け出し、イャンクックへ接近する。対するイャンクックもかえんほうしゃでライチュウを近づけまいとするが、ライチュウは持ち前の素早さで攻撃を次々と躱していく!
「ふむ……では、かえんえきだ!」
「クエエエエッ!!」
次にイャンクックが吐き出したのは、なにかの液体の塊……?だが、それはライチュウの眼前に着弾すると激しく爆発を起こした!名前からして、可燃性の液体……それで、火炎液か!
ライチュウは既のところで回避したからいいものの、火炎液は放物線を描いて向かってくるので、発射から着弾までの間をしっかり見極めないと危険だ!
イャンクックが大きく体を引いた……今だ!
「突撃!」
「チュ!」
私の掛け声に合わせて、ライチュウが突っ込む!吐き出された火炎液の下を潜り、イャンクックの懐に飛び込んだ!
「クエッ!?」
「ほう」
「ライチュウ!力強く、10まんボルト!!」
「ラーイ……チュウウゥゥー!!」
「グエエエエエンッ!?」
力業10まんボルトが炸裂!!イャンクックは右へ左へと体を揺らしながら……その場に倒れこんだ!よしっ、戦闘不能!!
「ふむ……私の負けだな」
アカイさんがイャンクックをボールに戻し、小さく呟いた。
……か、勝てた。一時はどうなるかと思ったし、なによりアカイさんは本気じゃないし……今度勝負する時が、本番かも知れない。
「見事な手並みだ……ヒスイのポケモンとこれだけ心を通わせられるなら、我が地のポケモンたちとの連携も問題はないだろう。よろしい、先へと進み、この事態を解決して見せろ」
「わかりました」
「お姉ちゃん!はいこれ、お守り!」
「え?」
勝負が終わったあと、シロちゃんが駆けてきて私の手に何かを握りこませてきた。手のひらを開くと……それは以前、野宿をした際に気づいたら手の中にあった、あの小さく奇妙な石と同じ石だった。
「あの、これ……」
「んぅ?お守りだよ!」
「あぁ、うん。ありがとう」
……ただ、以前の石が遺伝子のような模様が碧色、周りが黄色なのに対し、今回シロちゃんから渡された石は模様が黒色、周りが赤色と配色が異なっていた。
勝負を終えたので近づいてきたラベン博士が、私が手に持っている石を見て大きく目を見開いた。
「……!?しょ、ショウくん!その石は!?」
「え……あの、さっきシロちゃんから……」
「シロさん、この石をどこで!」
「んー?知らない、ずぅっと前から持ってた」
「あの、博士。この石が何か知ってるんですか?」
「知ってるもなにも……この石は『メガストーン』ですよ!カロス地方に伝わるとされる現象、『メガシンカ』を引き起こすのに必要な道具なのです!」
「メガシンカ……」
カロス地方……あぁ、そうだった。博士はポケモン博士だから、他の地方に行ったことがあるんだった。その時にでも、知ったのかな。でも、シロちゃんがメガシンカに必要な道具を持っているなんて……なんで?
私がポーチから色違いのメガストーンを取り出すと、ラベン博士は大袈裟に驚いた様子を見せてくれた。
「メガシンカには、それぞれ対応したメガストーンと、キーストーンと呼ばれる道具が必要なのです」
「キーストーン……それって、これ?」
「お……?おぉ!まさにこれなのです!!シロさん、これも一体……」
「んー?……ふふっ♪」
……シロちゃん、相変わらず笑って誤魔化すの上手だね……。私が二つのメガストーンを見比べていると、アカイさんが興味深そうにメガストーンを覗き込んだ。
「ほぅ……この色合い、まるでジンオウガとリオレウスだな。ラベン博士、メガストーンの色は対応するポケモンに近い色合いをしているのかな?」
「メガシンカはぼくの専門ではないのでなんとも……ただ、アカイさんの言うとおりこの二つのメガストーンは、色合いがジンオウガとリオレウスに似ているのです。もしかすると、二匹に対応したメガストーンかもしれませんね」
言われてみれば……碧色と黄色のメガストーンはジンオウガ、黒色と赤色のメガストーンはリオレウスの色に似ている。調べてみたいけど……一先ず、黒曜の原野の時空の歪みを解決してからになるだろう。
「……さて、通すと決めたならば、歪み内部のポケモンの情報も伝えるべきだな。……我々も同行しよう、情報は道すがら伝える」
「ありがとうございます。……あの、シロちゃんは……」
「え?ついていくよ?」
「ですよねー……」
アカイさんも付いてきてくれるそうな。ありがたい……けど、流石にシロちゃんまでついてくるのはどうなんだろう。
アカイさんは……あぁ、もう遠くを見つめて諦めてる……苦労しているんだな……。
歪みの内部に突入した私たち。しばらく進みつつ、アカイさんからポケモンの情報をもらった。
「この歪みの内部に出現したのは、"斬竜"の別名をもつ獣竜種……名は『ディノバルド』。別名にあるとおり、斬ることに特化した巨大な尻尾を持っている。後脚が非常に発達しているため、重厚な見た目からは想像もつかないほどに俊敏に動く。時には我々の頭上を越えるほどの跳躍を見せることもある。そして、剣の如き尻尾……その一振りは防具や武具ごと人間を叩き斬った、などの報告が上がるほどに強力だ」
「に、人間を武具ごと……!?」
「……やはりあの時、近づかなくて正解だったのです……」
ディノバルドを見たというラベン博士と、その護衛として付き添ったというテル先輩が驚いている。……かくいう私も驚いている。そんなポケモンが黒曜の原野を闊歩していて、さらに時間が経てばムラにまで入り込む恐れがあるなんて……。
「それだけではない。尻尾には発火性の強い鉄分が含まれており、摩擦熱を蓄積することで尻尾全体が赤熱化し、一撃の威力がさらに増強されるのだ。使い続ければ煤などが付着していき、徐々に切れ味を落とすのだが……ディノバルド自身もその特性を理解している。その際は自らの牙を用いて尻尾を研ぎ、切れ味の回復を図るのだ。ラベン博士が聞いたという"鉄と鉄が擦れる音"とは、ディノバルドが自身の尻尾を研いでいる時の音だろう」
「なるほど……武器の手入れは常に欠かさない。ディノバルドというのは、恐ろしさとは裏腹に意外と几帳面なポケモンなのですね」
「クックッ……あぁ、そうだな」
尻尾を自ら研ぐ……なるほど、そうして常に最高の状態を維持し続けることで、いつ戦闘に身をおいてもいいようにしているのか。
「これらの特性を鑑みて、我々が推測するディノバルドのタイプは『ほのお・はがね』の複合タイプ。加えてディノバルドの体質はみず、こおりには弱いがでんき、ドラゴンに強く、ほのおは全く効かない。……覚えたな?」
「えぇ、ばっちりです」
ここまで情報を貰ったら、下手に負けるわけにはいかないな。……そうして歩き続けていると、ついにその姿が見えてきた。
体長は……およそ31m強。
濃赤色の鱗と外殻。
逆巻く炎を想わせる独特な形状の蒼い突起が立ち並ぶ背部。
そして何より……全長の半分近くを占めるほどに長く巨大に、そして攻撃的に発達した剣状の尻尾。
斬竜、ディノバルド……こいつが……!
「ギャオオオォォォンッ!!」
ディノバルドはこちらを見るなり、尻尾を地面に擦り上げながら大きく咆吼した……!なるほど、戦意は十分、やる気満々ってわけか……!
「ベリオロス!!」
「ガオオオオォォォンッ!!」
アカイさんの話を聞く限り、ディノバルドは素早さの高いポケモンだ!なら、タイプ相性は不利だけど機動力と瞬発力に優れたベリオロスでなら対処できるはず!
「ショウ、ヒスイの地の神も、我らが地の神々も、その全てが君の動向を、行く末を注視している。これから先の戦い、何か一つでも敗北すればすべてが終焉へとつながるだろう。
……いよいよ試練の幕開けだ。
最初の試練、この地を終焉へと導かんとする者の尖兵の名はディノバルド。
斬竜の剣が希望を断ち切るか、君という刃が絶望を切り裂くか。
さあ、存分に力を振るってくれたまえ!」
アカイさんの言葉を合図に、ディノバルドは大きく尻尾を振り上げた!
次回、斬竜ディノバルド戦
……掲示板回はもうちょっとだけ待ってください。
アカイの手持ち(1回目)
ダイノーズ
パワージェム/ラスターカノン/だいちのちから/10まんボルト
クロバット
エアスラッシュ/クロスポイズン/きゅうけつ/シャドーボール
ジバコイル
10まんボルト/ラスターカノン/てっていこうせん/はかいこうせん
ドンカラス
こごえるかぜ/あくのはどう/つばめがえし/サイコキネシス
マニューラ
こおりのつぶて/つじぎり/どくづき/シザークロス
イャンクック ほのお・ひこう
弱点
四倍:いわ、みず、でんき
二倍:こおり
半減以下:くさ、かくとう、むし、はがね、フェアリー
無効:ほのお、じめん、ドラゴン
等倍:上記以外全て
まさか手持ちモンハンモンスターにクック先生が来るとは誰も思うまいて……。