ポケットモンスターHUNTER アルセウス   作:箱厨

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大変遅れて申し訳ない……!
三匹分の戦闘描写を考えたり寝落ちしたりしてたらすっかりこんな時間……!!

ここから一週間まるまる使って、次のモンスターとの戦闘をしっかり書いていくぜ……!


メイン任務:紅蓮に咲く妖艶なる舞 第一演目~鳥竜・三竜・簒奪者~

黒曜の原野、紅蓮の湿地、群青の海岸、純白の凍土……四ヶ所同時に出現した時空の歪みは、徐々に広域化するという現象を起こし始めた。これらの事態を解決するため、一先ず黒曜の原野に出現した時空の歪みを調査・解決するために行動を起こした。私とテル先輩とラベン博士は、向かった先で出会ったアカイさんから歪み内部に出現したポケモン……ディノバルドの情報を貰い、実際に戦闘した。

……強かった。正直、ベリオロス一体で勝てる可能性はとても低かったかもしれない。タイプ相性で不利なことは言わずもがな、ディノバルドがメガシンカしてメガディノバルド……燼滅刃ディノバルドへ変化したことも大きかった。けど、そこは耳を負傷して戦線離脱していたミミロップが波導を獲得した【舞兎ミミロップ】へと成長して駆けつけてくれたおかげで無事に勝利!ディノバルドを捕獲することに成功した!

それと、もう一つ朗報がある。それは、黒曜の原野の時空の歪みが消滅すると同時に、他の地域の時空の歪みの広域化現象が収まったというものだ。……といっても、各組織の団長たちは、「おそらくは一時的なものだろう」という共通の認識であり、再び広域化が進むようなら早急に解決しなければならなくなるだろうと結論づけた。

ただ、セキさんの提案で広域化現象が停滞している間は私にも休みが与えられたのはありがたい話だ。時空の歪みと、その内部に出現した巨大ポケモンの調査……めちゃくちゃしんどいことは言うまでもない。普通のポケモン調査は一旦お預け……そして、これから連続して遭遇することになる巨大ポケモンたちの調査……事態が悪化しない限りは、私も休めるうちに休んでおけ、とのことらしい。

 

そして、今は放牧場にてディノバルドの調査中である。ラベン博士が尻尾に含まれているという鉄分を採取しようと奮闘していて、私がポケモンを使ってそのお手伝いをしている、というわけだ。ディノバルドが意外にも大人しくしてくれているおかげで、調査は進んでいるみたいだ。

 

「やあ、ショウ」

 

「アカイさん」

 

私がラベン博士の作業をぼんやりと眺めていると、背後からアカイさんが声をかけてくれた。私は座った姿勢のまま上体を逸らしてアカイさんの顔を下から覗き込むと、アカイさんも上から見下ろすように私の顔を覗き込んだ。

 

「ディノバルドの調査は順調かね?」

 

「えぇ、おかげさまで。アカイさんが情報提供をしてくれるからですね」

 

「ははっ、私程度の知識でよければいくらでも。……しかし、意外と見物人が多いな」

 

「やっぱり普通のポケモンよりずっと大きいですし、何より珍しいですから」

 

そう、アカイさんの言うとおり最近は巨大ポケモンを見に来る人が増えたのだ。特にディノバルドが加わってからは大人の人が見に来る頻度が増えてきていて、大人も子供もディノバルドの尻尾を見て驚きと興奮冷めやらぬといった反応を見せてくれる。

 

「まぁ、ディノバルドの尻尾は一種の芸術品とも言える代物だ。無理もないな」

 

「ですね」

 

ディノバルドが尻尾を研ぐために噛み付くと、周囲からはどよめきが上がった。うーん、この反応……やっぱり生態が他のポケモンと一線を画しているから、しょうがないんだけどね。

 

「次は何処へ行くのかね」

 

「それが、まだ決めあぐねていて……。どこの地域も、みんな等しく危機的状況であるので、逆にどこから行けば良いのやら……と」

 

「ああ、なるほどな。……ただ、最終的に決定を下すのは君自身だ。しっかりと考えてから、決断したまえ」

 

「はい」

 

……そういえば、アカイさんに歪みの中で拾った人のことを相談したほうが良いだろうか。

ディノバルドを捕獲したあと、時空の歪みの中に人が倒れているのを発見した。幸いにして大きな怪我はなく(むしろ無傷)、ベリオロスに頼んで運んでもらったあとはデンボク団長とシマボシ隊長に相談をした。その結果、一先ずは私が宿泊している寮の空き部屋に放り込んでおくこととなった。部屋に運んだあとはテル先輩、ヒナツさん、ノボリさんに協力してもらいながらその人の鎧を脱がせて、今は布団に寝かせて安静にしている。

鎧を脱がせたところ、男性だった。歳のほどは、見た目はセキさんと同じか、少し上くらいの印象。というか、身長が175cmもあったので体格だけで年齢の判断がすごい難しかったというのもある。そして、その人が持っていた武器……明らかに男性よりも全長が大きい刀。まるで自身よりも巨大な生物を相手取ることを前提にしたような作りとサイズ……私たちがよく知るポケモンが相手では、あの大きさは過剰威力だ。

むしろ……そう、それこそ……ジンオウガたちのような巨大ポケモンを相手にするような……。

 

「おーい、ショウ!」

 

「あ、先輩」

 

「む?」

 

遠くから声をかけられ振り返ると、先輩が走ってきていた。こっちに近づいてきた先輩は……なぜか一瞬、アカイさんに対して微妙そうな表情を向けたあと、私の方へ顔を向けた。

 

「ショウ、大変だ!また時空の歪みの広域化が始まったんだ!」

 

「……!では、すぐにでも?」

 

「あぁ、緊急会議が始まる!もうセキさんもカイさんも集まってるよ」

 

「わかりました、すぐに行きます」

 

「俺はラベン博士に声をかけてから行くから、ショウは先に行っててくれ!」

 

「はい!アカイさん、私はこれにて……」

 

「まて、ショウ。可能ならばその会議、私も出席して構わないだろうか」

 

「え?」

 

突然の提案に、私もテル先輩も足を止めてアカイさんの方へと見やる。

 

「知ってのとおり、私は歪みの内部に出現した巨大ポケモンの情報を持っている。多少なりとも、役に立つとは自負しているよ」

 

「……それは、ありがたいんですが……いいんですか?」

 

「あぁ。……ただ、そちらの上層部が認めてくれるか否かは、また話が変わってくるがね。少なくとも、私自身には協力の意思があるということを理解して欲しい」

 

……そういえば、黒曜の原野の歪みの後、アカイさんとシロちゃんはほかの地域の歪みを見に行ったんだっけか。もしかしたら、私が次に向かうと定めた場所を、あらかじめ見に行ってくれているかもしれない。

 

「……私が掛け合ってみます。まぁ、嫌とは言わせませんけど」

 

「クク……君は時々、恐ろしいくらいに頑固になるな」

 

絶対に嫌とは言わせない。だって、私たちにとって未知の存在とも言えるポケモンたちの情報を唯一持っているんだから。それも、本人の地元に生息するポケモンとくれば、尚更だ。私は一足先に本部に向かい、アカイさんのことを団長や隊長たちに話すことした。

 

 

 

 

 

 

 

 

「……あの」

 

「うん?」

 

「ショウに変なことしてないですよね?」

 

「(おやおや……)フッ……さて、君はどう思うかね?」

 

「なっ!」

 

「彼女は英雄となるだろう。その時、隣に立つのは凡夫か、はたまた勇者か……君はどちらだろうね?」

 

「……っ!!」

 

「では、失礼するよ。博士に一言、よろしく」

 

「……クソッ」

 

 

 

 

 

 

 

 

本部に到着して、早速アカイさんのことを団長と隊長に話した。隊長は以前にも話したので問題なかったが、問題は団長。受け入れてもらえるか、はたまた難癖つけてくるか……色々と危惧していたけど、あっさりと受け入れてもらえたのは意外だった。まぁ、それだけデンボク団長も、ジンオウガたちと同格のポケモンが複数現れる事態を重く見ているということだろう。

しばらくしてテル先輩と、テル先輩に呼ばれたラベン博士、そしてアカイさんが調査隊室に姿を現した。

 

「貴殿がアカイ殿か」

 

「お初にお目にかかる。ギンガ団団長、デンボク殿とお見受けする。我が名はアカイ。本日はお招きに預かり恐悦至極」

 

「うむ。我がギンガ団団長、デンボクである。アカイ殿の話は、こちらの調査隊隊員のショウより伺っている。なんでも、時空の歪み内部に出現したポケモンについて一日之長があるのだとか」

 

「アレらは全て、我が故郷にて広く知られているポケモン故。当然だが、私もまたよく知るところにある。それが他の地方に現れるばかりか、そこに住む者たちを脅かしているとあっては、看過できぬ。団長殿、微力ながら我が知識、活用していただきたい」

 

「ありがたい、アカイ殿。是非に協力を申し込みたいところだ。アカイ殿にはこちらのショウにお力添えを願いたい。何卒宜しく頼む」

 

「承知した」

 

……なんとか丸く収まったようだ。

しかし、なんというか、こう……アカイさんってシロちゃんに振り回されたり圧を掛けられたり、今までちょっと情けないところしか見てなかったから、こうしてちゃんと大人な会話をしている所を見ると「やっぱり大人なんだなぁ」と思う。……ん?あれ?

 

「あれ……アカイさん、シロちゃんは?」

 

「彼女か?今は別行動を取っているが……彼女には優秀なボディガードいるのでね。私は今回、子守はお役御免というわけだ」

 

それはわかるんですが……なんでそんなにイキイキとしてるんですか。むしろそこは、シロちゃんの身を案じるところでは……?

 

「あんたが、カイが言ってたアカイの旦那か。俺はセキ!コンゴウ団の団長だ」

 

「あぁ、よろしく頼むよセキ殿」

 

「アカイ殿、今回もよろしく頼む」

 

「カイ殿も、な」

 

「私がシマボシだ。アカイ殿には、我が隊のショウが世話になった」

 

「いやいや、彼女には我が故郷のポケモンたちを捕獲・保護してもらっているのでね。世話になっているのはこちらのほうさ」

 

セキさんとカイさん、そしてシマボシ隊長との挨拶も終わり、議題は次の目的地となった。当然、選ぶのは私。私が選ぶ行き先は……。

 

「……私は、紅蓮の湿地の調査に向かいたいと思います」

 

「……!ショウ、いいのか?」

 

セキさんは驚いているようだ。……それもそうだろう。

だって、状況だけ見れば比較的安全なのはコンゴウ集落だからだ。紅蓮の湿地の時空の歪みは試練の中洲に発生している。試練の中洲はコンゴウ集落からはかなり離れていて、集落が飲み込まれるのはだいぶ先のことになる。反面、群青の海岸はほか二つよりも大規模で、純白の凍土に至っては集落が既に飲み込まれている。

それなのに、私は紅蓮の湿地を選んだ。もちろん、理由だってある。

 

「……セキさん。私が初めてグラビモスと会った時のこと、覚えてますか?」

 

「あ?あぁ、あの時か……」

 

「その時セキさん、言ってくれましたよね?"何かあったら必ず駆けつけてやる"って。私、あの時の言葉を今も覚えていますし、なにより……嬉しかったですから。だから、今度は私が言う番です」

 

「おまえ……」

 

セキさん個人としては、他の二箇所を優先して欲しいんだろうけど……私としては、人を信じていたいと思うきっかけを与えてくれたセキさんに恩返しがしたい。だから、紅蓮の湿地を選んだんだ。

 

「いいじゃん、セキ。頼っちゃおうよ」

 

「カイ……だがよ……」

 

「大丈夫。純白の凍土のポケモン、かなり大人しいみたいでさ。あれからじっとしたまま動かないんだ。群青の海岸の方も規模は大きいけど……あの地域全体が飲み込まれるにはまだ余裕がある。だから、一つずつ確実に解決していこう」

 

「……そう、か。おめえがそう言うなら、お言葉に甘えさせてもらうぜ、カイ」

 

「うん!」

 

初めは渋っていたセキさんだけど、カイさんの後押しで調査を決意してくれたようだ。私の方へ振り向くと、そのまま頭を下げてきた。

 

「頼む、ショウ。紅蓮の湿地の時空の歪みを解決してくれ。……うちの集落を、守ってくれ」

 

「お任せ下さい」

 

「決まったようだな。では、早速出で立て!」

 

団長の言葉とともに私とテル先輩、ラベン博士、セキさん、アカイさんの五人で紅蓮の湿地へ向かった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

紅蓮の湿地に到着した私たちは現在、大口の沼と試練の中洲の境目に立っていた。ちょうどオヤブンパチリスがいたので退治して、そこで作戦会議中である。

 

「さて。早速ポケモンの情報を開示しよう」

 

「アカイさん、お願いするのです」

 

「了解した、博士。

……さて、試練の中洲にいるポケモン……泡、刷毛の尻尾、キツネ顔。これらの特徴が当てはまるポケモンは、『タマミツネ』をおいて他にあるまい。"泡狐竜"の別名を持つ海竜種の一種だ。ショウ、海竜種とはすなわち、ラギアクルスの仲間なのだ」

 

「ラギアクルスの仲間……」

 

「ラギアクルスが流体中を遊泳・潜行することに特化しているのに対し、タマミツネは純粋に地上で動き回ることが得意だ。地上での運動能力は極めて高く、跳躍によって獲物の頭上から奇襲を仕掛けたり、大きく回り込むようにしながら外敵の攻撃を回避するなど、非常に俊敏且つ柔軟な身のこなしもできる」

 

「……それ、本当にラギアクルスの仲間なのかよ?完全に別のポケモンじゃん……」

 

「……話を続けよう。タマミツネは口内の上顎に高水圧の水を放つ器官を持ち、さらに全身から分泌する特殊な体液と体毛を擦り合せる事で大量の泡を作り出す能力を保有している。……そうだ、報告にあった泡の正体だ。

タマミツネの体液によって生み出された泡は非常によく滑り、大量に浴びるとほとんどの摩擦を奪われ、最早まともに動く事さえできなくなってしまうのだ。さらに厄介なことにな、タマミツネ自身もこの泡の特性を熟知しているのだ。相手に付着させて行動の自由を奪い、自身は地面との摩擦を大幅に減らす事でより素早くしなやかな動きを可能とする。その機動力は、雷狼竜(・・・)の連続攻撃をも寄せ付けないほどになるのだ。

その動きは我が故郷にて『妖艶なる舞』とも評されている」

 

「……らいろうりゅう……?」

 

アカイさんの口から、聞いたような言葉が出てきた。らいろうりゅう、らいろう(・・・・)……お婆ちゃんたちが詠い継いできた詩に出てきた言葉と同じ単語……まさか……?

 

「長々と話したが、タマミツネの戦法は"回避重視で敵の消耗を待ち、真正面からの衝突を避けつつ外敵を排除する"戦い方を取る。調査に乗り出したコンゴウ団員がタマミツネに気取られていたが、あれは泡を利用したセンサーなのだ。周囲に展開された泡が割れる際に発生する大気中の振動をヒレで感じ取る事で縄張りへの侵入者を察知し、威嚇や牽制で外敵を追い払う。この段階で逃げ出したのならそれ以上の追撃はないが、立ち退かないとあっては本格的に暴れ始める。そして面倒なことにな……タマミツネは分が悪いと判断すれば、逃走することも吝かではない質のポケモンなのだ」

 

「えっ!逃げるのですか!?」

 

「あぁ。……だから、ショウがここを選んだのはあながち間違いではない。歪みが広がるということはすなわち、タマミツネの逃走範囲を広げるということ。それが大きくなる前に対処を選んだというのは、タマミツネを知らなかったことを加味しても良い判断だったと言えるだろう」

 

「あ、ありがとうございます」

 

タマミツネ、逃げるんだ……。今のところ、時空の歪みはクマの稽古場とヘドロ台地に差し掛かっていて、荒地ベースが飲み込まれるのも時間の問題……。これが広がるということは、タマミツネの行動範囲及び逃走範囲を広げることになる……。たまたまとはいえ、運が良かったのか、私は。

 

「そして、最後に。現在、タマミツネが居座っている場所には、ヌメラやヌメイルといったドラゴンポケモンが生息していたのは知っているな?実は、タマミツネの泡を受けたこれらの個体が極端に弱った様子で発見されたのだ。ドラゴンが苦手とするタイプ……まぁ、君たちなら直ぐにわかったろう。

これらの観点から、タマミツネは『みず・フェアリー』の複合タイプではないかと推測している。また、タマミツネはほのおとこおりに強く、でんきとドラゴンに弱く、みずが一切効かない体質をしている。

さて、タマミツネに関する話はこれくらいか。あとは……実際に対峙してみて、君の肌で感じてくれ」

 

「わかりました。行きましょう!」

 

私がポケモンの選定を終えるのに合わせて、大口の沼方面から時空の歪みに突入した。本来ならオヤブンドクロッグが縄張りとしている場所……そこには、見たことのないポケモンがいた。

 

「グオオォン!」

 

「ウオオォン!」

 

「ガオオォン!」

 

おんなじような体型……いや、骨格か?とにかくどこかよく似た姿の三体のポケモンがお互いに睨み合い、牽制しあっている場面に出くわした。

三体とも、見た感じ11m半以上はありそう。一匹は襟巻きが特徴のピンク色、一匹は嘴と喉の袋が特徴の橙色、最後の一匹は鶏冠が特徴の青色のポケモンだ。

 

「む……ドスジャギィ、ドスフロギィ、ドスバギィか」

 

「ドス?」

 

「各個体のボス……いや、最終進化形態につけられる名だ。それぞれジャギィ、フロギィ、バギィという個体だ」

 

「どんなポケモンなのです?」

 

「ドスジャギィは襟巻きにも見える耳が特徴のポケモンだ。体色はピンク。フロギィは橙色のポケモンで、紫の喉が特徴だな。最後がバギィ。青いポケモンで、トサカが特徴だ」

 

「どれもこれも、似たり寄ったりな見た目をしてんな。アカイの旦那に説明されなきゃ、どいつがどいつなのかさっぱりわからねぇ」

 

アカイさんの説明を受けて、セキさんがそうぼやいた。アカイさんは一目瞭然とばかりに説明してたけど、まったく知らない私たちからすればどれも同じに見えそうになってしまう。

そして、睨み合う三匹の向こう側には、泡が至る所に点在している。あれがタマミツネの泡……よく見ると、私たちの周囲にも数は少ないが泡が浮いて――。

 

パチンッ

 

「わぁ!?」

 

「え、博士?」

 

突然、背後から破裂音とともにラベン博士の驚きの声が聞こえた。私たちは思わず振り返った。

 

「す、すみません。死角から泡が近づいてきたことに気づかず、気づいたときには……」

 

「あー……確かに、いろんなところに浮いてるもんな……」

 

「……だが、面倒なことになったぞ」

 

「面倒?」

 

「あれを」

 

そう言ってアカイさんが指した方……それを見て、私は思い出した。ここには私たち以外の者もいて……当然、さっきの音に気づいたであろうということも。

 

「ウッ?」

 

「オウ?」

 

「バウ?」

 

ドスジャギィたちもこちらに振り返ってしまい、私たちの存在に気がついてしまった。三匹はお互いへの睨み合いを一時中断し、新たに現れた私たちに警戒心を向けてきた。

 

「さて、面倒だな。ドスジャギィにはこれといった特徴はないが、フロギィはどく、バギィはねむけの状態異常を得意としている。これら三匹を同時に相手取るのは骨が折れるぞ?」

 

「だったら、おれたちも戦うよ。ショウ一人に、三匹全部を相手なんてさせられない」

 

「……だな。オレも腹を括るぜ。アカイの旦那、あの三匹のことを教えてくれ!」

 

「テル先輩!セキさんも……!」

 

二人が一緒に戦ってくれるのは嬉しいけど……二人共、巨大ポケモンとの勝負は初めてだろうに。テル先輩は二対一とは言えリオレウス戦を経験しているからともかく、セキさんは完全に初勝負だ。

しばらくして、アカイさんが筆と紙を取り出すと、何かをサラサラと書き記し、それを私たちに渡してくれた。

 

「三匹がそれぞれ、苦手としているタイプを記しておいた。目を通してくれ」

 

私たちは集まって、アカイさんのメモに目を通した。

ふむふむ……ドスジャギィはノーマルタイプ、ドスフロギィはどくタイプ、ドスバギィはあくタイプ、と。

ドスジャギィはほのお、みず、でんき、こおりに弱いがドラゴンが一切効かない体質で、ドスフロギィはみずとこおりに弱いがでんきに強く、ほのおとドラゴンが一切効かない体質、ドスバギィはほのおとみずとでんきに弱いが、こおりとドラゴンが一切効かない体質と……三匹とも、ドラゴンタイプに対して強いけど、共通してみずタイプに弱いんだ。タマミツネはみずタイプと予測されているし……だからこんな離れた場所でにらみ合いをしていたのか。

 

「こいつは……」

 

「セキさん。巨大ポケモンは通常のタイプ相性の他に、ほのお・みず・でんき・こおり・ドラゴンの五タイプに対して特殊な相性を持っているんです。いつものタイプ相性で戦うと、かえって不利になることもあります」

 

「ドスジャギィには特徴といえる特徴はないものの、ノーマルタイプ故に技のタイプ範囲は広いだろう。まぁ、特殊攻撃技は得意ではないようだが。他の二匹、ドスフロギィとドスバギィ……とりわけ、ドスフロギィが厄介になるだろう。

ヤツが扱う毒は霧状にして広範囲に吐き出されるのだ。下手に密集すれば、巻き込まれることは必至……すなわち、ドスフロギィと相対する者はここからなるべく離れなければならないだろう。

ドスバギィは、あの三匹の中ではとりわけ高い頭脳と鋭い洞察力を持ち合わせている。隙を晒せば、猛攻に晒されるは必定。また、ドスバギィは元々寒冷地に生息するポケモン……もしかすると、こおり技が使えるかもしれない。こちらも警戒しながら戦うこととなるだろう」

 

……なるほど、それなら。

 

「それじゃあ、私がドスフロギィを請け負います。先輩はドスバギィを、セキさんはドスジャギィをお願いします」

 

「任せろ!」

 

「……だな、オレのリーフィアはドスフロギィは元より、ドスバギィにも不利かもしれねえ」

 

「決まったようだな。さて、向こうもそろそろ我慢が効かなくなるだろう……見境がなくなる前に、行動開始だ!」

 

「「「はい/わかった!/おう!」」」

 

私はねばりだまを取り出すと、一気に三匹に向けて走り出す。すれ違い様に振り返り、ドスフロギィにねばりだまをぶつけた!

 

「こっちだよ、ドスフロギィ!」

 

「……!!ヴオオォウ!」

 

ねばりだまをぶつけられて怒った様子のドスフロギィは、私の後を追ってきた。私はアヤシシにライドすると、みんなから離れるべく一気に駆け出した。ドスフロギィにつられるようにドスジャギィ、ドスバギィも私の後を追いかけてこようとしたけど……。

 

「ジュナイパー!」

 

「ジュッパー!」

 

ドスジャギィとドスバギィの足元に羽の矢が撃ち込まれたことで足を止めた。明らかな攻撃行動によって、二匹の敵意が下手人達の方へと向けられる。

 

「よしっ、こっちに気づいたな!」

 

「んじゃ……予定通りにやるぞ、テル!」

 

「はい!」

 

テル先輩とセキさんは、それぞれが相手にするポケモン側に回り込むように移動を始める。ドスジャギィとドスバギィは、それぞれが近い側にいる人間を目標に定めたようで、ドスジャギィはセキさんを、ドスバギィはテル先輩を追いかけ始めた。よし、私も移動しよう!

こうして、私たちはそれぞれの戦場に立った。セキさんとドスジャギィは、元はオヤブンドダイトスが居た場所で対峙し、テル先輩はオヤブンドクロッグが居た場所、私はオヤブンドダイトスの場所から少しだけオヤブンヌメイル側に寄った場所で。というのも、オヤブンヌメイルの生息場所に近づけば近づくほど周囲を漂う泡が増えてきていて、動きづらかったからだ。

 

「……さて、と」

 

アヤシシから降りると、私はすぐに振り返る。まるで獲物を追い詰めたとばかりにゆっくりとこちらに近寄ってくるドスフロギィ……甘いよ!

 

「追い詰められたのは、どっちかな!サーナイト!」

 

「サーナッ!」

 

私が繰り出したのはサーナイト。タイプ相性的には相互有利といったところだけど、技の範囲ならサーナイトの方が広く弱点をつけられる!ドスフロギィはどく単体タイプだから、エスパー技の通りも良い!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

推奨BGM

【孤島の簒奪者たち】~モンスターハンター3~

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「サーナイト!技変更!!めいそう、シャドーボール、れいとうビーム!」

 

「サナッ!」

 

今のサーナイトはサイコキネシス、ムーンフォース、エナジーボール、10まんボルトを覚えている。だから、サイコキネシス以外の技三つをたった今指示した技へと変更させる。サーナイトも私の指示をしっかりと把握していて、自分が覚えている技の中から指示された技をしっかりと思い出してくれた!

 

「ヴオオッ!」

 

すると、ドスフロギィの喉袋が一瞬にして大きく膨らむと、一気に毒が吐き出された!アカイさんの言うとおり、それは霧状になって大きく広がり始めた。しかも、毒煙として留まっている……大量にばらまかれると、こっちが動けなくなる!

 

「サーナイト!シャドーボール!!」

 

「サナッ!」

 

サーナイトが放ったシャドーボールはこちらに迫る毒霧を突き破ってドスフロギィに……なにっ!

 

「いない……上か!」

 

「ヴアオオオォッ!」

 

シャドーボールが毒霧を吹き飛ばすも、そこにドスフロギィはいなかった。私はこれまでの経験から、ドスフロギィの居場所を特定するとそちらに顔を向けた。ドスフロギィは確かにそこにいて、跳躍した勢いで上空からシャドークローで強襲をかけようとしていた!

 

「サーナイト!回避!!」

 

「サァナッ!」

 

「よしっ、れいとうビーム!!」

 

「サアナアアアアッ!!」

 

「フギイイィッ!?」

 

サーナイトはバックステップしつつこれを回避し、反撃のれいとうビームを確実に当てる!こおりタイプに弱いドスフロギィには効果は抜群だ!!

 

「ヴオオォォォッ!!」

 

「サナァッ……!」

 

「サーナイト!」

 

ドスフロギィから反撃のどくばり攻撃……って、とんでもない量!まるで弾幕だ!!一撃一撃が弱くてもこうも断続的に浴びせられたら、どくタイプに弱いサーナイトはすぐに倒れてしまう!

 

「サーナイト!めいそう!!

 

「サァ……」

 

「続けてシャドーボール!」

 

「サナア!!」

 

「ヴオオオォ!」

 

めいそうで攻めと守りの力を高めたあと、シャドーボールで一気に押し返す!だが、ドスフロギィも負けじと尻尾を振るってシャドーボールをかき消した。……ポイズンテールも使えるのか、ディノバルドと同じく……。

 

「ヴウゥ……ヴアオゥ!」

 

「ヘドロばくだん……躱して!」

 

「サナッ!……っ!?サアァナアァッ!!」

 

「えっ、サーナイト!?」

 

ドスフロギィの喉袋が再び膨らみ、今度はヘドロばくだんが発射された。すぐに回避を指示して、サーナイトもそれに従った。

……そこまでは良かった。問題は、着弾したヘドロばくだんが霧状に炸裂したことだ。わずかなステップでしか回避していなかったサーナイトは球状のヘドロばくだんは回避できたものの、直後に炸裂したことで広がった毒煙からは逃れられず、思い切り巻き込まれてしまった……!

……いや、あれはヘドロばくだんとは違う技かも知れない。多分、ドスフロギィの毒霧攻撃の発展技だ……!

 

「ヴウウゥオオオオ!!」

 

「サナッ……!」

 

「サーナイト!大丈夫!?」

 

「サ、サーナッ!!」

 

続いて繰り出されたドスフロギィのすてみタックルを回避できず直撃!サーナイトは……よかった、まだ戦える。めいそう、積んでて良かった……けど、毒状態は結構きついな……!

 

「ヴアアオォ!」

 

……!かえんほうしゃ!!

 

「力強く、シャドーボール!!」

 

「サアアナッ!」

 

サーナイトの力業シャドーボールとドスフロギィのかえんほうしゃがぶつかり合い、激しく爆発した。今のうちに……!

 

「サーナイト!めいそう!!」

 

「サァ……」

 

「ここから勝つよ、サーナイト!!」

 

「サアァナッ!!」

 

勝負は一瞬……私が勝つには、力業サイコキネシスを確実に当てるしかない!!

 

「ヴオオア!」

 

今度はシャドーボールか!かえんほうしゃといい、タイプ補完もばっちりってわけだ……だけど!

 

「地面にれいとうビーム!!」

 

「サナアァ!!」

 

サーナイトは地面にれいとうビームを放ち、氷の壁を作り上げた。氷の壁はシャドーボールを受け止めてなお崩れず、ひび割れはしたもののしっかりと残っている!

 

「ヴオオオ!!」

 

続いて放ってきたのはアイアンテール!氷の壁を破壊する気だ!ドスフロギィのアイアンテールが命中し、一瞬で瓦解する氷壁……だが、そこにサーナイトはいない!

ドスフロギィがアイアンテールを放つべく体を回した瞬間……そのタイミングを狙って私はサーナイトにジャンプさせていたのだ!だから、体が一周した頃には氷の壁の向こうにいるはずのサーナイトが姿を消していて、ドスフロギィは驚くはず!!

 

「フギッ!?」

 

「サーナイト!力強く、サイコキネシス!!

 

「サアアアナアアア!!」

 

「フッ……!ロギィ!?」

 

「そのまま叩きつけて!!」

 

「サナァアアア!!」

 

「ヴアアアオッ!!」

 

よしっ!力業サイコキネシスが直撃!!ドスフロギィは目を回して倒れている!

 

「モンスターボール!」

 

私はすかさずモンスターボールを投げて、ドスフロギィを捕獲する!ボールが揺れるがそれもほんの僅かで、すぐに捕獲の花火が打ち上がった。

 

「ドスフロギィ、捕獲完了!」

 

こっちはなんとか決着がついた。あとは、テル先輩とセキさん……少し、様子を見に行こう!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

Side:セキ

 

現在このオレ、セキと相対しているのはドスジャギィと呼ばれるポケモン。アカイの旦那曰く「特徴らしい特徴はない」とのことだが……油断はできねぇな。

 

「頼むぜ、リーフィア!」

 

「フィー!」

 

オレの一番の相棒であるリーフィアを繰り出す。小さい頃からずっと一緒だった相棒だ、こいつと一緒なら、未知の巨大ポケモンだろうが恐るるに足らずだ!

 

「ギャオッ!ギャアオッ!」

 

ドスジャギィは甲高い咆哮を放つと、一気に接近してきた。かなり足が速いな……体のデカさも、それを助けてるってわけか!

 

「アイアンテールだ!」

 

「フィッフィー!」

 

「ギャオウ!オウッ!!」

 

アイアンテールはドスジャギィの頭に直撃したが……僅かに拮抗しただけで、あっさりと押し返してきやがった!あの感じ……アイアンヘッドか!

 

「素早く、めいそう!そしてリーフブレードだ!!」

 

「フィーア!フィイイイィィ!!」

 

「ガウルル……ギャオオウッ!!」

 

めいそうで能力を高めてから、得意技のリーフブレードを叩き込む!だが、ドスジャギィも同時に動き出した。やつの尻尾が鋼鉄の力を纏っている……アイアンテールか!さらに、ドスジャギィの尻尾についた刺が同じように鋼の力を纏って巨大化しやがった!!

リーフブレードとアイアンテールのぶつかり合いは一瞬。あの野郎……めいそうで能力を高めたってのに、鍔迫り合いすら許さずリーフィアを一方的に吹っ飛ばしやがった!

 

「フィッ!リーア……!!」

 

「大丈夫か、リーフィア!」

 

「リフィーア!」

 

一度地面に叩きつけられたが、リーフィアはなんとか受身を取って体勢を立て直した。……こいつ、ヤベェな。想像の云十倍は強えぇ……!体格差もあって、正面からでは不利か!

 

「アオォォォウッ!!」

 

ドスジャギィが牙を剥き出しにしてリーフィアに迫っていく。かみくだく攻撃か!

 

「躱せ!リーフィア!!」

 

「フィア!!」

 

ドスジャギィはリーフィアを噛み砕いてやろうと何度も牙で襲いかかる。一方、リーフィアは小柄な体躯と素早い動きでドスジャギィの攻撃から逃れ続ける。

奴らの咬合力はもはや想像すらつかねぇ……ショウのミミロップが、オドガロンとかいうポケモンに耳を食い潰されて失聴したという話は、カイから聞かされているから知っている。ミミロップでさえ耳が潰されたんだ……ドスジャギィの体長の十分の一程度しかないリーフィアではあの牙で捕まったが最後、そのままお陀仏、という可能性もある……。なおさら、あいつの牙に捕まるわけには行かねえ!!

攻撃を躱し続けているうちに、リーフィアのすぐ後ろに水たまりが……コレだ!

 

「リーフィア!後ろの水を巻き上げろ!!」

 

「……!フィア!!」

 

「ギャウッ!?」

 

リーフィアがバックステップで牙を回避した直後、尻尾を振るって水を巻き上げてドスジャギィの顔面にぶっかけた!目に水が入ったのか、ドスジャギィは目を閉じたまま頻りに首を振ってやがる……今だ!

 

「力強く、リーフブレードだ!!」

 

「フイイィアッ!!」

 

「ギャウウッ……!」

 

よしっ、手応えアリだ!間違いなく急所に命中したことだろう、かなりダメージを与えたぜ!

 

「アオオォウッ!オウッ!オウッ!オウッ!オウッ!!」

 

ドスジャギィが、さっきよりもデカい声で咆哮しやがった!さては、キレたか?怒りは冷静さを失わせるが、どうもそれだけじゃない気がするぜ……!

 

「グアアアオウッ!!」

 

……!奴の爪が……ドラゴンクローだと!?

 

「っ!シザークロス!!」

 

咄嗟に指示が間に合い、リーフィアはシザークロスでドスジャギィのドラゴンクローを逸らすことに成功した……いや、待て!

 

「避けろ!リーフィア!!」

 

「ガアアアッ!!」

 

「フィッ!?フィイイィッ!!」

 

「リーフィア!?」

 

あんにゃろう、ドラゴンクローを繰り出した勢いのまま、10まんばりきを放ってきやがった!前足を振り抜いた姿勢から即座に体の側面を晒すとそのままタックルを放ってリーフィアを吹っ飛ばした!くさタイプのリーフィアにじめん技は効果はいまひとつだが、ドスジャギィの能力が高いのかリーフィアはかなりのダメージを貰っちまった……!

 

「ギャオウッ!ギャオウッ!!アオオォォン!!」

 

次はげきりんか……!コイツも食らったらヤバい……!!

 

「躱せ!リーフィア!!」

 

「……ッ!フィーアッ!!」

 

リーフィアも即座に起き上がり、ドスジャギィのげきりんを回避した!あっぶねぇ……あやうく直撃するところだったぜ……!

 

「グルルル……!」

 

次はアクアテール……クソッ!どんだけ技が使えるんだよ!!だが、みず技ならまだ対処はできる!

 

「リーフブレードで迎え撃て!!」

 

「フィッ!フィイィアァッ!!」

 

「アオオウッ!!」

 

再び尻尾の刺にも力を纏わせて巨大化させたドスジャギィだが……みずとくさのタイプ相性なら、こっちが有利だ!リーフブレードとアクアテールがぶつかり合い、激しい鍔迫り合いに持ち込まれるが……それでも、リーフィアが押し切ったぜ!

リーフブレードはドスジャギィに命中!いいぞ、効いている!!

 

「……!ギャアオウッ!!」

 

「フィッ……!!」

 

「なっ、リーフィア!?」

 

ドスジャギィは鍔迫り合いに敗れて吹っ飛んだ……が、空中で体勢を立て直すとそのまま着地し、さらに着地と同時に踏み込んで一気に突撃。リーフィアを頭突きで吹っ飛ばした!あの攻撃は、もろはのずつきか……!今のはかなり効いたぜ……!!

リーフィアも立ち上がろうとしているが……クッ、かなりダメージを負っちまった……!今回はもしもに備えてリーフィアしか連れてきていない……ここで負けるわけにはいかねぇんだ!

 

「ギャオオオオオウッ!!」

 

ドスジャギィに凄まじい力が集まっている……まさか、ギガインパクトを使うつもりか!!あれが直撃したら、リーフィアは瀕死になっちまう!!

 

「リーフィア!!」

 

「……!!」

 

オレが呼びかけると同時にドスジャギィが物凄い速度で突撃して、リーフィアがいる場所で凄まじいエネルギーが炸裂した。リーフィア……!

ドスジャギィがゆっくりと上体を起こして足元を見やるが……そこにいるはずのリーフィアは、どこにもいなかった!

 

「アァッ!?」

 

いきなり敵がいなくなって驚いているようだな……残念だが、リーフィアは……上だぜ!!

種明かしをすると、ギガインパクトが直撃するギリギリまで引きつけてから……リーフィアは自身の尻尾をバネにして跳躍した、というわけだ!攻撃が空振ったギガインパクトは地面を穿ち煙を巻き上げ、同時にドスジャギィの視界も封じたってわけよ!

 

「リーフィア!素早く、アイアンテールだ!!」

 

「リフィーアッ!」

 

「ギャウッ!ガッ、ギャウウッ!!」

 

リーフィアはアイアンテールでまずはドスジャギィの頭を上から叩きつける!そのまま横に振り抜き、二撃目!リーフィアに噛み付こうと顔の位置を元に戻したドスジャギィに、顎を勝ち上げる三撃目を食らわせる!アイアンテール三連撃を受けたドスジャギィは大きく仰け反った!

 

「行けぇ、リーフィア!力強く、リーフブレードだ!!」

 

「フィイイイィィ!アアァァァァッ!!」

 

「ギャオオオウッ!?」

 

ドスジャギィは派手に転倒!すっかり目を回している……今がチャンスか!

 

「……よしっ、行け!」

 

オレは移動の際にすれ違ったショウから事前に手渡されていたモンスターボールをドスジャギィに投げた。ボールはドスジャギィを捕らえると、しばらく揺れてからポンッ、という音とともに花火が打ち上がった。

 

「ふぅー……」

 

……やっとこさ、やっとこさ捕獲できたか……。今まで戦ってきたポケモンとは、一つも二つも桁違いだ。こんなポケモンがうじゃうじゃいるっていうアカイの旦那の地元って、一体どうなってんだよ……。

リーフィアもすっかりクタクタだな……無事に捕獲できたとわかると、すぐさまその場に倒れこんだくらいだ。オレはリーフィアを抱き上げて労うとともに、ドスジャギィが格納されたボールを拾う。

 

「……ショウたちは、こうやってポケモンを捕獲してんだな」

 

暴れ狂うポケモンを鎮めるためにボールを使う……なかなかにない、貴重な体験だな。

さて、ショウはオレなんかよりも早く終わっていたみたいだな。こっちに向かって来ている。テルの方も、ちょうど終わった頃だろうかね。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

Side:テル

 

おれは今、ドスバギィと呼ばれるポケモンと戦っている。アカイさんのメモから、ドスバギィがほのおに弱いあく単タイプと分かってからは、ジュナイパーをゴウカザルに変えて戦っている。

タイプ相性では圧倒的に有利……だけど……!

 

「(強い……!)」

 

強い、本当に強い!三匹の中で一番頭がいいとは言っていたけど……ゴウカザルが自身に強い近接タイプとわかってからは、特殊攻撃ばかりで攻撃してきている!

今もゴウカザルがマッハパンチで距離を詰めようとしたけど、足元に放たれたみずのはどうのせいで近寄れないでいる……。

 

「やりづらいなぁ!どくづき!!」

 

「ウッキャキャア!」

 

「ガウガオッ!」

 

再びゴウカザルが突撃するが、ドスバギィがバックステップをしつつこごえるかぜを放ってきたことで、距離を取られるばかりかこごえるかぜのせいでこちらの行動が遅らされる……!

 

「マッハパンチだ!」

 

「ウキキィ!」

 

遅らされた行動は、技で取り返す!マッハパンチで一気に接近したゴウカザルは、ドスバギィに技を命中させた!ドスバギィは大きく仰け反っ――

 

「フッ……ウ"アアオウッ!」

 

「ウギャッ!?」

 

「ゴウカザル!」

 

――た、かに見えたが。ドスバギィはマッハパンチを食らった勢いを利用して素早く体を回転させると、その勢いでアクアテールを放ってきた!拳を振り抜いた姿勢のゴウカザルは回避できず、技が直撃してしまった……!

 

「ゴウカザル!大丈夫か!?」

 

「キッキッ……!ゴウカァ!!」

 

ふぅ、持ちこたえたようだ。

 

「グオオオウッ!!」

 

続いて放ってきたのはれいとうビーム!ゴウカザルにこおり技は効かないぞ!

 

「フレアドライブ!!」

 

「ウキャキャキャキャ!ゴウカアアッ!!」

 

ドスバギィのれいとうビームを弾きながら、ゴウカザルは一直線に突っ切っていく!このまま一気に!

 

「……(ニヤッ)」

 

ドスバギィは突然、それまでゴウカザルに向けて放ってきていた冷凍ビームを足元へと照準を変更した?あっという間に氷の壁が形成されるが、ゴウカザルの前では無意味だ!

 

「突っ込め!ゴウカザル!!」

 

「ウッキャアアアアアッ!!」

 

ゴウカザルが氷の壁にぶちあたり、そのまま破壊した!……な、なにっ!?

 

「グルル」

 

「ウキッ!?」

 

氷壁の向こうでは、すでにドスバギィがみずのはどうを構えていた!?

 

「ゴオオウッ!!」

 

「ウギャアアァッ!!」

 

「ゴ、ゴウカザル!?」

 

ドスバギィのみずのはどうが直撃し、ゴウカザルが吹っ飛ばされてしまった!な、なんてやつだ……ここまで正確な判断で技を選ぶなんて……。おまけに、おれの思考まで誘導してきたのか!?

ゴウカザルはさっきの一撃がかなり響いたようだ……もう、かなり限界に近い……!

 

「負けるな!ゴウカザル!!素早く、マッハパンチ!」

 

「ウッキャア!」

 

「ガウッ……!」

 

よしっ!ドスバギィは早業マッハパンチに反応できていない!このまま攻めてやる!

 

「どくづきだ!」

 

「ウキキャ!」

 

「グゥッ……!」

 

「続けてかみなりパンチ!」

 

「ウキャキャ!」

 

「ゴアッ!」

 

どくづき、かみなりパンチと連続攻撃を決めれた!よしっ、止めだ……!

 

「力強く、フレアドライブ!!」

 

「ウッキャアアアアアッ!!」

 

フレアドライブで一気にケリをつける!!

 

「……!!」

 

……!?ドスバギィの様子が……!

 

「ガオオォン!」

 

正面から突っ込んでくるゴウカザルに向かって、頭を勢いよく突き出してきた!青い淡い光が鶏冠に……しまった、しねんのずつき……!!

フレアドライブとしねんのずつきのぶつかり合いは……かなりダメージを与えられたけど、ゴウカザルが戦闘不能になってしまった……!

 

「も、戻れゴウカザル!行けっ、ジュナイパー!」

 

「ジュナ!」

 

ゴウカザルを戻して、すかさずジュナイパーを繰り出す。まさか、タイプ相性では完全に有利だったはずなのに、倒されるなんて……!

 

 

 

 

――彼女は英雄となるだろう。――

 

 

――その時、隣に立つのは凡夫か、はたまた勇者か……――

 

 

――君はどちらだろうね?――

 

 

 

 

博士を呼びに行く直前にアカイさんに言われた言葉が脳裏をよぎる。まるで、おれを試すような物言いに思わず何かを言おうとして……結局、何も言えなかった。

確かに、ショウは凄い。それこそ、アカイさんが言うように英雄とも呼べるほどに。ディアルガやパルキアをはじめとするヒスイ地方の伝説ポケモンをすべて捕まえたり、ジンオウガたちのような強力な巨大ポケモンたちを次々と仲間にしたり……今だって、急に発生した時空の歪みを解決するために戦っている。……ディノバルドとの勝負だって、命を落としていてもおかしくなかった。けど、ショウは無事に黒曜の原野の時空の歪みを解決することができた。

おれは……ショウにとってのおれは、ちゃんと役に立てているのだろうか。ショウならきっと、おれと同じ状況でも負けはしなかっただろう。それなのに、おれは……!

 

「ジュッパー!!」

 

「……!ジュナイパー……」

 

ジュナイパー……ショウが選ばなかった二匹のうちの一匹、モクローをおれが博士から貰い受けて以来、ずっと育てていたポケモン。そのジュナイパーが、おれの方をじっと見つめている。……そうだな。

 

「おれは、おれらしくやってみせる!凡夫でも勇者でもない!おれはおれだ!!」

 

「ジュナッ!」

 

「ガオオン!」

 

ドスバギィが口から水色の液体が吐き出された!まさか、あれがねむけの元か!

 

「躱せジュナイパー!」

 

「ジュパァ!」

 

「よし……!3ぼんのや!」

 

「ジュナッ!パーッ!!」

 

「ガウウッ!?」

 

一気に接近するジュナイパーに対して、ドスバギィはゴウカザルの時のように引きつけてから攻撃を当てようとしてくる。だが、ジュナイパー冷静にドスバギィの攻撃を見極めると、直前で放たれたれいとうビームを回避してかかと落としを叩き込んだ!さらに距離を取るとともに羽矢を三本放ち、ドスバギィにダメージを与える!!

 

「シャドークロー!!」

 

「ジュッパァ!」

 

「ガウ……!」

 

シャドークローも命中した!3ぼんのやによって急所に当たりやすい今なら、一気に攻められる!!

 

「リーフブレード!」

 

「ジュナッパァー!!」

 

「……!ガオオ!!」

 

ジュナイパーがリーフブレードを振り下ろした、その時だ!まるでその時を待っていたとばかりの反応速度でドスバギィが動き出し、こおりのキバでリーフブレードを受け止めてしまった!

 

「ジュナ!?」

 

「なにっ!?」

 

その反応速度の速さにおれもジュナイパーも驚いていると、ドスバギィはリーフブレードを破壊し、その勢いでジュナイパーにまで噛み付き地面に叩きつけてしまった!

 

「ジュナァ……!」

 

「ジュナイパー!」

 

「グルルル」

 

ドスバギィはジュナイパーを押さえつけたまま睡眠液をゼロ距離で浴びせると宙に放り投げ、アイアンテールでジュナイパーを吹き飛ばした!ゴロゴロと転がり、立ち上がるジュナイパーだが……ねむけの状態異常のせいか、フラフラとしていて足元が覚束無い!

 

「ゴオオアアァ!!」

 

ドスバギィがげきりんの技で一気に突撃してくる!ジュナイパーは……ダメだ、動けそうにない!

 

「ジュゥナッ……!!」

 

「ジュナイパー!」

 

派手に吹っ飛ばされたジュナイパー……!かなりダメージを受けている……これ以上食らったらマズイ……!!

 

「グオオ!」

 

ドスバギィがあくのはどうを撃ってきた!

 

「切り払え!」

 

「ジュパ!」

 

「つばめがえしだ!」

 

「ジュナアァ!」

 

ジュナイパーが突撃をかけ、ドスバギィに接近していく。ドスバギィは近づけまいとれいとうビームを乱射するが、そのどれもが当たらない。順当に行けば攻撃が当たる……だが、嫌な予感がする!

 

「バギィャアア!」

 

「高く飛べ!ジュナイパー!!」

 

「ジュッパアァ!!」

 

「バッ!?」

 

おれが指示を出した直後、ドスバギィがシャドーボールを構えていた!高く飛んだことでシャドーボールが外れ、ドスバギィは驚きで硬直している!……一気に仕掛けてやる!

 

「チャンスだジュナイパー!3ぼんのや!!」

 

「ジュパァ!」

 

「ガゴッ!?」

 

「今だ!!力強く、リーフブレードォ!!」

 

「ジュウゥゥッパアアァァッ!!」

 

「バギャアアァ!?」

 

力業リーフブレードが急所に当たった!ドスバギィは大きく吹き飛ばされると、そのまま倒れ込んだ!目を回している……今なら!

 

「いっけぇ!モンスターボール!!」

 

おれが投げたボールはドスバギィを捕らえ、なんとか格納できた!一度、二度、三度と揺れた後、ボールから花火が打ち上がった!

 

「よしっ……ドスバギィ、捕獲完了!」

 

苦戦した……ドスバギィは知能が高く、搦手をかなり多用してきた……。誰を相手にしても苦戦しただろうけど、ドスバギィとの勝負は勉強になることが多かったな。

 

「……ショウとセキさんと合流しなきゃな。……おっ」

 

足音が聞こえたのでそちらに顔を向けると、ショウとセキさんがともに歩いてきていた。……次の相手はタマミツネか……なら、おれはおれにできることをする。そうしてショウを助けるんだ!

おれは一つ、決意を抱くとショウたちの方へと歩いて行った。

 

 

 

 




実際に戦闘BGMを流しながら書いてたら、キャラごとになんかBGMの強敵感が変わっていく……。
というわけで、ジャギィ系ドス鳥竜をドン!

ドスジャギィ
タイプ:ノーマル
弱点 火:◎ 水:○ 雷:○ 氷:○ 龍:×
四倍:なし
二倍:ほのお、みず、でんき、こおり、かくとう
半減以下:なし
効果なし:ゴースト、ドラゴン


ドスフロギィ
タイプ:どく
弱点 火:× 水:○ 雷:△ 氷:◎ 龍:×
四倍:なし
二倍:みず、こおり、じめん、エスパー
半減以下:でんき、くさ、かくとう、どく、むし、フェアリー
効果なし:ほのお、ドラゴン


ドスバギィ
タイプ:あく
弱点 火:◎ 水:○ 雷:○ 氷:× 龍:×
四倍:なし
二倍:ほのお、みず、でんき、かくとう、むし、フェアリー
半減以下:ゴースト、あく
効果なし:こおり、エスパー、ドラゴン

全員ドラゴンに強いやんけ……そしてみずに弱い。

次はタマミツネ戦です!皆さんが勝てるかどうかは、このタイプ相性を見てから決めてくだせェ

タマミツネ
みず/フェアリー
弱点 火:△ 水:× 雷:◎ 氷:△ 龍:○
四倍:でんき
二倍:くさ、どく
半減以下:ほのお、こおり、かくとう、あく
効果なし:みず、ドラゴン
等倍:上記以外全て

龍属性がフェアリーで無効化……この仕様が現実に適用されなくてよかったw
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