ポケットモンスターHUNTER アルセウス   作:箱厨

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アカイとの勝負、第二戦です!


メイン任務:翠玉の閃電、群青を断つ ~OP-3.前門の怨虎竜、後門の雷狼竜~

群青の海岸にて、ライゼクスとの戦闘中にメガシンカしたメガライゼクスに追い詰められるも、ライチュウの身を挺した守りとメガシンカしたリオレウス……【黒炎王リオレウス】によって、逆にライゼクスを追い詰めた。一瞬の油断からライゼクスに隙を突かれたけど、アカイさんが連れている牙竜種のポケモン、マガイマガドの一撃によって窮地を脱することができた。

マガイマガド……見るだけでわかる、強者の風格だった。数々の修羅場をくぐり抜けてきたといっても過言ではない……そんな雰囲気が、全身を通して伝わってきた。あのポケモンは間違いなく強い……気を引き締めていかないと。

今、私は砂浜ベースに戻っている。テル先輩からライチュウの様子が変わったと聞き、その確認のためだ。キャンプについた私は、早速ライチュウと対面したんだけど……。

 

「……ライチュウ?」

 

「チュウ」

 

様子どころの問題じゃなくなっているんだけど?

頬の電気袋が真っ白になっている上に、そこから時折迸る電撃も真っ白になっている。耳や尻尾の先端は焼け焦げた様に真っ黒になっているし……一体何があったの?

 

「ライチュウ、大丈夫?どこか調子の悪いところとか、ない?」

 

「ライライ!チュウーウッ!」

 

私が心配して尋ねれば、ライチュウはむしろ「絶好調である!!」とばかりに腕をブンブン振り回し、ダンダダンと足踏みをしている。

……うん、どうやら頭のネジが一本どこかへ飛んでいってしまったらしい。このはしゃぎっぷりは、普段のライチュウからは想像もできないほどにはっちゃけている。

例えるなら、陰キャがパリピに覚醒したレベルの豹変っぷりだ。

 

「……よしっ、行こうライチュウ。その力、このあとのバトルでたくさん見せてね?」

 

「チュウウウウゥッ!!」

 

……テンション、高っ。

私は改めてライチュウを手持ちに加え、手持ちをダイケンキ、ガブリアス、ライチュウ、ミミロップを固定して、残りをハッサム、エンペルトにした。

残り二体の選出理由はズバリ、アカイさんの手持ち対策だ。私の予想が正しければ、アカイさんの手持ちポケモンは湖巡りの時に見たポケモンたちだ。確か、あの時はまだガバイト、ヌメイル、ナエトル、ズガイドス、タテトプスだった……けど、ガブリアス暴走事件の時、ヌメイルとナエトルは最終進化形態のヌメルゴンとドダイトスに進化していた。すると、残りのガバイト、ズガイドス、タテトプスもそれぞれガブリアス、ラムパルド、トリデプスに進化している可能性が高い。

そして、最大の鬼門であるマガイマガド……あのポケモンの実力が見ただけでは計り知れないところがなんとも恐ろしい。ジンオウガたち側の方も、選別をしておく必要があるだろう。

 

メンバーを選び終えた私は、早速イチョウの浜辺へ向かい、そこで待つアカイさんと合流した。

 

「あぁ、待っていたよショウ。それでは、早速始めるか?」

 

「はい」

 

私とアカイさんは距離を取り、お互いに向き合った。

 

「さあ、始めよう。君の力を、私に示してくれ!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

推奨BGM

【VSアカギ】~ポケットモンスター BD/SP~

【いにしえの死闘】~モンスターハンターフロンティア-G~

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「「行けっ、エンペルト!!/まずはこいつからだ」」

 

「エンペラー!」

 

「デプスッ」

 

私はエンペルト、アカイさんはトリデプスを繰り出した。よし、タイプ相性ではまず有利……トリデプスはでんき技を使えるから、そこだけは要注意だ。

 

「ハイドロポンプ!」

 

「ペルットオォ!」

 

「受けろ」

 

「デ」

 

ハイドロポンプがトリデプスに直撃!効果は抜群、だけど……トリデプスはまるで平気な顔をしている!?

 

「デプッ」

 

「なっ……受けきった……!?」

 

「ヤワな鍛え方はしていないのでね。弱点技の一つや二つ、体を張って受けて見せよう」

 

「……なら、限界まで撃ち込むのみ!力強く、ハイドロポンプ!」

 

「エェェン……ペルットオォ!!」

 

「ふっ……素早く、パワーシフト!そして、ストーンエッジ!!」

 

「トーデー!!」

 

……!パワーシフト!?攻撃と防御、特攻と特防を入れ替える技を、このタイミングで!トリデプスは防御能力が非常に高いポケモン……パワーシフトを使うことで、超攻撃的ポケモンへと変貌することができる。

パワーシフトを使ったトリデプスのストーンエッジは、エンペルトの力業ハイドロポンプを容易く受け止めただけでなく、そのまま突き進みエンペルトを宙に打ち上げた!

 

「ペルーッ!?」

 

「エンペルト!」

 

「10まんボルトだ」

 

「デープッ!」

 

「エンペルーッ!」

 

「あぁ……!」

 

さらに容赦のない10まんボルトの追い打ち……宙を舞うエンペルトに逃げ場があるはずもなく、なすすべなく直撃した……!

 

「エンペルト……!」

 

「エ……ペ、ル……!」

 

エンペルトはまだ戦うことはできる……けど、さっきの10まんボルトはかなり効いた。防御系の能力を限界まで鍛えることで、パワーシフトによる強化の恩恵を高めているんだ……考えたな、アカイさん……!

だけど、逆に言えば今のうちならトリデプスの防御能力が下がっているということ……ここで強気に攻めなくて、いつ攻める!

 

「エンペルト、アクアブレイク!」

 

「ペルトォ!」

 

「ストーンエッジで足止めだ」

 

「デップ!」

 

エンペルトはトリデプスに向かって突貫!トリデプスはストーンエッジでエンペルトの足を止めようとする……だが!

 

「無駄ァ!」

 

「トオォー!」

 

その程度で、エンペルトは止まらない!エンペルトはと眼前に突き立つ岩の刃を、次々と粉砕しながら前進する。その勢い、とどまるところを知らず!

 

「エンペルーッ!!」

 

「デーッ!!」

 

「ほぅ……」

 

ついにストーンエッジを突破したエンペルトが、アクアブレイクをトリデプスに叩き込む!多少吹き飛んだトリデプスだが……パワーシフトで防御能力が下がっているにも関わらず、ケロリとしている。

 

「……エンペルト、戻って」

 

「ペル」

 

「ふっ……戻れ、トリデプス」

 

「デプ」

 

私とアカイさんは、同時にポケモンを手元に戻す。……さて、ここで繰り出すべきは……。

 

「ミミロップ!!」

 

「ミミー!」

 

「行け」

 

「ランパァ!!」

 

私はミミロップ、アカイさんはラムパルド……大丈夫、ミミロップなら二つの波導技でラムパルドの弱点をしっかり突ける!

 

「みずのはどう!」

 

「ミミッ!」

 

「もろはのずつきだ」

 

「ラムッ、パアアアァァドッ!!」

 

ミミロップのみずのはどうに対し、ラムパルドはもろはのずつきで猛然と突っ込んでくる!その一撃は、みずのはどうを突破してミミロップに直撃した!な、なんて威力……!

 

「ミィッ……!」

 

「あくのはどう!」

 

「ミィ!」

 

「ほのおのパンチ」

 

「ラァム!」

 

少しでも動きを止めるため、あくのはどうを放つ!ラムパルドはほのおのパンチでこれを打ち落としたけど、その代わりに爆発による煙でラムパルドの視界は遮られた!

 

「はどうだん!」

 

「ミッミィ!!」

 

「正面だ、しねんのずつき!」

 

「ラムラァム!」

 

煙に視界を封じられようとも、アカイさんの指示は完璧だ。ラムパルドのしねんのずつきはエスパー技……かくとう技のはどうだんはあっさりと打ち消された……だけど!

 

「お代わり!」

 

「ミミィ!!」

 

「パドッ!?」

 

「……っ。一発目の死角に二発目を仕込むとは、やるな」

 

はどうだんは、なにも一発しか撃っていないわけじゃない!ラムパルドから見て、完全に重なるように二発目を放つことで、技を打ち消したラムパルドを油断させる作戦!作戦は見事に的中、ラムパルドにはどうだんを直撃させた!

 

「ククッ、そうでなくてはな……突っ込め、ラムパルド!」

 

「ラムパアァ!!」

 

「近づけないで!連続ではどうだん!!」

 

「ミミィー!ミィッ、ミィッ、ミィッ!!」

 

はどうだんの弾幕で、突撃してきたラムパルドに対抗する!だが、ラムパルドはギリギリまで引きつけて最小限の動きで回避するという、なかなかのテクニックを披露してみせた。さらに避けきれない時はほのおのパンチやしねんのずつきで次々と打ち落としている。あの速度で、あそこまで機敏に動けるなんて……素早さをかなり重点的に育てたのかもしれない。

 

「力強く、もろはのずつき!!」

 

「力強く、はどうだん!!」

 

「ラムパアァドオォォッ!!」

 

「ミミイイィィッ!!」

 

こうなったら確実に直撃できる距離で、強い一撃を叩き込む!力業で放たれたもろはのずつきを、力業はどうだんで迎撃する!技と技がぶつかり合い、激しい爆発を起こした!どうなった……!

 

「ミィ……ミミロ!」

 

「ラ……ムゥ~……」

 

ミミロップは膝をついているけれど、戦闘不能にはなっていない!逆にラムパルドは目を回して倒れている!

 

「まずは一体か……戻れ、ラムパルド」

 

「戻って、ミミロップ」

 

ミミロップにこれ以上の継戦は難しいな。私は一度ミミロップを戻し、次のポケモンを繰り出す。

 

「次は、ハッサム!」

 

「ハッサム!!」

 

「では、こちらはドダイトスで行こう」

 

「ドダァイ!!」

 

ドダイトス……タイプ相性としてはどっこいどっこいか。今度はこっちが先制する!

 

「ハッサム、つばめがえし!!」

 

「ハッサ!」

 

「受けろ」

 

「ドダ!」

 

ハッサムのつばめがえしは、寸分の狂いなくドダイトスに直撃!……いや、これは!

 

「トリデプスの時と、同じ……!」

 

「遅いな、ストーンエッジ!!」

 

「ドダアアァ!」

 

「サ、サムッ……!」

 

「ハッサム!?」

 

ドダイトスが放ったストーンエッジは、まるでハッサムを拘束するように全方位から突き立てられた!岩に挟まれたハッサムは、身動きがとれない……!

 

「だいちのちからだ」

 

「ドダアァイ!」

 

「サム……!」

 

だいちのちからで打ち上げられたハッサムだけど、羽を使ってすぐに体勢を立て直した。よしっ、攻めるぞ!

 

「シザークロス!!」

 

「ハッサアアム!」

 

「ドダァッ……!」

 

シザークロスはドダイトスに直撃!タイプ相性こそないもののハッサムの得意技だ、威力はお墨付きである。

 

「エナジーボールだ」

 

「ドダア!」

 

「……ッ」

 

エナジーボールで吹き飛ばされ、一時的とはいえ距離を置かれたか……でも、ハッサムならば関係ない。育て方次第では、はがねタイプの中でも随一の速度を得られるから!

 

「素早く、シザークロス!」

 

「ハッサムッ!!」

 

再びドダイトスに突撃するハッサム。だけど、アカイさんとドダイトスはかなり余裕が有る表情……何を企んでいる?

 

「知っているか、ショウ?……ストーンエッジには、こういう使い方もある!」

 

「え?」

 

「ドダイトス、ストーンエッジ……射出!!」

 

「ドッダアアァ!!」

 

ドダイトスが大きく叫ぶと、ドダイトスの周囲に尖った石が幾つも出現し、その石を発射してきた!

 

「!?ハッサ……!!」

 

「ハッサム!」

 

「力強く、はかいこうせん!!」

 

「ドダァ!ドオォォ……ダアアァァァッ!!」

 

「ハッサァ……!!」

 

「ハッサム……!」

 

まさかのストーンエッジによる遠距離攻撃に、ハッサムの足が完全に止まってしまった!そこへ追い打ちをかけるように放たれた力業はかいこうせんによって、ハッサムは戦闘不能になってしまった……!

 

「くっ……戻って、ハッサム」

 

「では、こちらも戻そう」

 

アカイさんも、再びポケモンをボールへ。……次に出すポケモンは……!

 

「ガブリアス!/トリデプス!」

 

「ガッブァアア!!」

 

「デプ!」

 

私はガブリアスを繰り出し、アカイさんは再びトリデプスを繰り出した。守りのトリデプス……だが、ガブリアスの攻撃能力は、鋼すら砂も同然!すぐに打ち砕いてみせる!

 

「ドラゴンクロー!!」

 

「ガバアアァ!」

 

「受けろ!」

 

「デプ!」

 

ガブリアスの渾身のドラゴンクローを、トリデプスは顔の盾で受け止める……だが!

 

「ぶっ飛ばせ!」

 

「ガブアアア!!」

 

「デープス……!?」

 

「なんだと……!」

 

ガブリアスは攻撃を受け止めたトリデプスを、力任せに腕を振り抜いて吹っ飛ばした!まだだ……ガブリアスの蹂躙は、始まったばかりだ!

 

「つばめがえし!!」

 

「ガブッ!!」

 

「ちっ……アイアンヘッド!」

 

「デープッ!」

 

ガブリアスのつばめがえしに対し、トリデプスはアイアンヘッドで受け止めるように対抗する。そんなんじゃ、ガブリアスは止まらない!止められない!!

 

「アクアテール!!」

 

「ガブゥッ!!」

 

「デッ……!」

 

流れるような動きでアクアテールを放ち、トリデプスをド派手に吹っ飛ばす!ガブリアスよりも重いトリデプスが、ゴロンゴロンと転がるほどといえばその威力は想像に難くないだろう。トリデプスは戦闘不能だ!

 

「なんというパワーだ……トリデプスの守りを、よもや上から力でねじ伏せるとはな。さすがは極み個体、大したものだ」

 

「ありがとうございます。これも、彼らの成長の成果ですから」

 

「そうでなくてはな。では、次はヌメルゴンだ!」

 

「ヌメェ」

 

ヒスイのヌメルゴン……そうだ、ここは……。

 

「戻って、ガブリアス。……よし、ここはライチュウで行こう」

 

「ほぉ、ライチュウか……そういえば、ライチュウの様子は――」

 

「行けぇ!」

 

私はライチュウが入ったボールを投げ、ライチュウを繰り出した!

 

「ラァァァララララライイィィィッ!!」

 

……そして、「最初からクライマックス」とばかりにテンション天元突破状態のライチュウが姿を現した。

……やっぱりおかしいって。私のライチュウは本来は自己顕示欲控えめの、いわば良妻賢母系ポケモンのはずなのに……。

 

「――……その、なんだ。随分と思い切ったイメチェンだな」

 

「……言わないでください」

 

これにはさしものアカイさんも引き気味だ、口元がひくついているもの。

なお、こうして話している間にもライチュウは全身から白い電撃を溢れ出させ、ヌメルゴンに対して「かかってこいやぁ!!щ(゚Д゚щ)」と挑発を繰り返している。ヌメルゴンは……無表情だ、逆にコワイ。

 

「……どうやらライゼクスの電撃を吸収したことで、さらなる成長を遂げたようだな。これは期待できそうだ」

 

「正直、この勝負が試運転になるので……どうなるかは私にもわかりませんよ」

 

「あぁ、ではその試運転に付き合うとしよう。遠慮はいらん、かかってくるといい」

 

「ヌメ」

 

「ではお言葉に甘えて……ライチュウ、10まんボルト!」

 

「ライライィ!ラアァァイ……チュウウウゥゥゥッ!!」

 

ライチュウが放った10まんボルト白い電撃となり、大地を破壊しながら突き進んでヌメルゴンに命中した!

 

「ヌメエェェ!?」

 

「む……これは……」

 

……あれ、おかしいぞ?ドラゴンタイプのヌメルゴンに、でんき技は効果はいまひとつのはず……なのに、まるで「タイプ相性なんてなかった」とばかりにダメージをたたき出している。

アカイさんもその違和感に気づいているのか、顎に手を当てて考えている。

 

「……単純に威力が上がった、というわけではなさそうだ。まるで、でんき技が効きにくいタイプに対して順応したかのような、この威力……違うな、電撃の性質が変化しているのか」

 

「性質ですか?」

 

「あぁ。本来、でんき技が効きにくいタイプに対して、これほどの威力が見込めるのだ。これは技の威力向上というより、電撃の性質変化と考えたほうが合点がいく。

その身に白い稲妻を纏い、血気盛んに敵対者へ挑む姿勢。まるで溢れ出る力を、誰彼構わず試したいと言わんばかりだな。限界を超えて力を得た姿、まさしく極み個体。新進気鋭の極み個体……

極み迸るライチュウ

……と、呼ぶべきだな」

 

まさかの極み個体……!その名も『極み迸るライチュウ』!!

……ただのテンションブチアゲ状態じゃなくてよかった。

 

「では、今度はこちらから行くとしよう。ヌメルゴン、りゅうのはどう!」

 

「ヌメェ……ラァ!」

 

「躱して!」

 

「ラアアアアイ!」

 

迫り来るヌメルゴンのりゅうのはどうに対し、バチィッ!と電気の音がしたかと思うと、ライチュウの姿がどこにもなかった。

 

「……いや、ちょっと待って、どこいった!?」

 

「りゅうのはどうを見ろ。必中技であるこの技が、ライチュウの居場所を教えてくれる」

 

私が慌てる中、アカイさんは冷静だった。見れば、りゅうのはどうがフラフラと内陸側に向かって飛んでいく。その行き先を見れば、ライチュウが岩の上に立っていた。速すぎじゃない!?

 

「よ、よし……ライチュウ、でんこうせっか!」

 

「ライイイィィィッ!!」

 

「ヌ"ッ」

 

またしても……まるでキリンの時みたいに、雷の音とともに姿が消えたかと思うと、ライチュウの頭がヌメルゴンの顔面にめり込んでいた。……なんだこれ、トレーナーの私がついていけないんですけど。

ついには追従しきれなくなったりゅうのはどうが力尽きて自然消滅した……。

 

「……速いな。この速度、ともすればキリンに勝るとも劣らぬやもしれんな」

 

「さすがに古龍種には勝てないと思います」

 

「フッ……それもそうだな」

 

ライチュウは私の目の前に戻ってきた。振り返ったその顔は、渾身のドヤ顔である。あぁ……あの奥ゆかしかったライチュウはいったいどこへ……。

 

「アイアンテール!」

 

「ララーイ!」

 

「たてこもる!」

 

「ヌメ」

 

ヌメルゴンは殻の中に入り込み、ライチュウのアイアンテールを受け止めた。たてこもる……殻の中に入ることで、技が直撃しない厄介な防御技だ。……だが、今のライチュウならその防御をぶち抜くことだってできる!

 

「ライチュウ!奥義装填!!」

 

「ライッ!!」

 

ライチュウは電撃を纏うと、ヌメルゴンに向かって体当たりをした!さらに素早く動き続け、全方位から電撃を纏った体当たりを連続でぶつける!

そして、尻尾で足元を掬い打ち上げると、ライチュウはその真下に潜り込む。ここだ!

 

「ボルテージスマッシャーッ!!」

 

「ラァァァララララライッ!!」

 

止めとばかりに、ライチュウは光の柱と見紛うほどの巨大な雷を叩きつけた!!激しく爆発を起こし、ヌメルゴンのカラがゴロゴロと転がる。

中からのそのそと姿を見せたヌメルゴンは、すっかり目を回して倒れている。戦闘不能だ!

 

「……見事。『極み迸るライチュウ』、さすがの力だ」

 

「ありがとうござ――」

 

「ラアアイ!ラァイライライライ、ライチュウウゥ!」

 

「……ちょっと黙っててライチュウ」

 

「チュウゥ!?」

 

私は問答無用でライチュウをボールに戻し、強引に黙らせる。まさか、こんなにも変わってしまうなんて……強くなってくれたのは嬉しいけど、性格までは変わって欲しくなかったなぁ……。

 

「はっはっは!なんだか、以前よりも随分と元気になったじゃないか」

 

「元気すぎて手に負えませんって……もう少し勝負の経験を積んで、慣れていこうと思います」

 

「それがいい。……さて、私の次のポケモンはドダイトスだ」

 

「それなら私は、エンペルト!」

 

「ドダァ!」

 

「ペルトォ!」

 

エンペルトとドダイトス。未来のシンオウ地方で、最初にもらうポケモンとしてナナカマド博士からもらった……んだっけ。まぁ、お母さんの場合は半ば成り行きでヒコザルをもらったそうだけど……。

 

「エンペルト、アクアブレイク!」

 

「エンッペル!」

 

「エナジーボールだ」

 

「ドダァイ!」

 

エンペルトのパワーなら、ドダイトスのパワーにだって引けを取らない!エンペルトはエナジーボールを避けたり打ち落としたりして、とにかくドダイトスに接近する。対するドダイトスも、エンペルトを近づけまいとエナジーボールの弾幕で応戦する!

迫り来るエナジーボールを、エンペルトは大きく跳躍して回避。ここで決める!

 

「エンペルト!れいとうビーム!!」

 

「ペール、トオォォ!!」

 

「ドダイトス、はかいこうせん!!」

 

「ドオォォ……ダアアァァァッ!!」

 

れいとうビームとはかいこうせんがぶつかりあい、大爆発を起こした!爆発は二体を巻き込み、一時的にその姿が見えなくなる。煙が晴れると……エンペルトとドダイトスは、そろって目を回していた。

 

「ふむ、両者ともに戦闘不能だな。戻れ、ドダイトス」

 

「戻って、エンペルト」

 

「さて……私の五体目は、ガブリアスだ!」

 

「ガッブガブ!」

 

「私はダイケンキで!」

 

「…………」

 

やっぱり、アカイさんはガブリアスで来たか。対するこちらもダイケンキ。負けるわけにはいかないね!

 

「つばめがえし!」

 

「げきりんだ!」

 

「……!」

 

「ガアァブッ!!」

 

ダイケンキはつばめがえしで、アカイさんのガブリアスはげきりんでお互いに激しくぶつかり合う。攻防戦は互角……いや、ガブリアスの方がわずかに上……!?

 

「私のガブリアスは、数多の死線を乗り越えてきた。君の極み個体ほどではないが、強くはなっているのだよ!」

 

「……!シェルブレード!」

 

「!!」

 

今回、私はダイケンキのシザークロスをシェルブレードに変更している。シザークロスを受け止められた場合、両手がふさがったダイケンキに反撃の手段がないことを考慮してのことだ。

得意技であるシェルブレードに切り替えてからは、互角に打ち合っている。ダイケンキがガブリアスからの攻撃を、アシガタナで受け流した……今だ!

 

「どくづき!」

 

「……!」

 

「フッ……ほのおのキバ!」

 

「ガバ!!」

 

ダイケンキがアシガタナを突き出すとガブリアスはそれを躱して、逆にほのおのキバでアシガタナに噛み付いた!マズイ、はやくアシガタナを捨てないと……!

 

「力強く、だいちのちから!」

 

「ガアァァブッ!!」

 

「ルッ……!」

 

「ダイケンキ!しっかり!!」

 

ダイケンキはだいちのちからで打ち上げられたが、私の呼びかけに応じてすぐに体勢を整えると着地を決めた。よし!

 

「極み個体を相手に、長期戦はこちらの不利だ……早々に、決着をつける!素早く、アイアンテール!」

 

「ガァブッ!」

 

「ひけん・ちえなみで応戦して!」

 

「……」

 

ガブリアスのアイアンテールに合わせるように、ひけん・ちえなみを放つ!無数の斬撃がアイアンテールの軌道を逸らし、攻撃はダイケンキの頭上を通り過ぎる!

 

「力強く、げきりん!!」

 

「力強く、シェルブレード!!」

 

「ガアァァブッ!!」

 

「!!」

 

今度は力業による、げきりんとシェルブレードのぶつかり合い!ただ、戦いを通してガブリアスの動きを見切り始めたダイケンキに、同じ手は通じない!ガブリアスの攻撃を読んだダイケンキが攻撃を避け始め、逆にガブリアスに攻撃を当て始めた。よしっ、ここはあの戦法で!

 

「ダイケンキ!どくづき、投擲!」

 

「!」

 

「ちっ、はじき飛ばせ!」

 

「ガブ!」

 

ガブリアスは、投げられたアシガタナを真上に弾き飛ばした。次!

 

「つばめがえし!」

 

「何をする気だ、ショウ?……ほのおのキバ!!」

 

「ガブァ!」

 

ダイケンキはつばめがえしを放つも、ガブリアスのほのおのキバによって受け止められた……完璧な、読み通り!!

 

「ガブリアスを支点に!跳べぇ!!」

 

「!!」

 

「ンガァ!?」

 

ガブリアスが噛み付いたアシガタナに思い切り力を入れて、ダイケンキは高く跳んだ!ガブリアスはダイケンキが跳んだために頭を押さえつけられ、思い切り前につんのめった。

そして、高く跳んだダイケンキは……最初にガブリアスが弾いたアシガタナを上手くキャッチ!ここだぁ!!

 

「力強く、シェルブレード!!」

 

「ルシャア!」

 

「ガバアァ!?」

 

「なんと……!」

 

力業シェルブレードが直撃!ガブリアスは大きく吹き飛び、仰向けに倒れ込んだ。戦闘不能だ!

 

「……フッ、ハハハハハッ!まさか、そのような曲芸じみた動きができるとはな……極み個体の力ばかりに注意が向いて、肝心の身体能力にまで目を向けられなかったか」

 

「……さぁ、アカイさん。残りは一体ですよ」

 

「そうだな。さて、貴様の出番だ……マガイマガド!!」

 

「グルオオアアアアアッ!!」

 

アカイさんは六個目のモンスターボールを天高く投げ、そこから繰り出されたマガイマガドは地面に着地すると同時に高らかに咆哮を上げた。くっ……凄まじい威圧感だ……。

 

「さあ、君は何を出してくる?」

 

「……よしっ、ディノバルド!!」

 

「ギャオオオォォォンッ!!」

 

私が繰り出したのはディノバルドだ。ジンオウガを例に見るなら、牙竜種は地上においては高速戦闘を得意としている可能性が高い。その高速戦闘に確実に反撃を繰り出し、なおかつ高いタフネスでしっかりと攻撃を受けられる獣竜種のディノバルドが適任と考えた。

……正直、ジンオウガと戦わせてみたかったと思わなかったことはない。むしろ戦わせたいまである。

 

「……修羅の妄執は鬼火となりて、哀れな竜に纏い付く。

鎧兜の禍威(まがい)を恐れず挑むというのならば……。

挑むがいい、この鬼気の餓竜に。

怨虎竜・マガイマガドに!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

推奨BGM

【悪逆無道】~モンスターハンターRise~

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

こちらから攻めていく!

 

「ディノバルド!きりさく攻撃!!」

 

「ディバー!」

 

「では、こちらもきりさく攻撃だ!」

 

「グルオアァ!」

 

ディノバルドが先制して縦に尻尾を振り下ろすと、マガイマガドはそれをサイドステップで回避。そのまま尻尾を大きく振り回してディノバルドに攻撃するが、ディノバルドも素早く尻尾を戻してこの一撃を受け止めた。

しばらく鍔迫り合いが続いたが、ディノバルドが均衡を崩した。マガイマガドの尻尾を振り払うように尻尾を振るい、そのまま横薙ぎに振り回す。マガイマガドは軽く跳躍してこれを回避すると、直後に体から何かが爆発する音が聞こえた。すると、マガイマガドの体勢がいつの間にか変わっていて、今にも尻尾を振り下ろそうとしていた。ディノバルドはバックステップでこれを回避し、一撃を浴びるということはなく済んだ。

 

「スゥーッ……!」

 

「フッ……!」

 

二体が一息つくとともに、私とアカイさんも小さく息をつく。やはりこの勝負、大迫力というだけあって見ているだけで呼吸を忘れてしまいそうになる。

 

「みだれづきだ!」

 

「グルオン!!」

 

「……!防いで!」

 

「ディバ!」

 

マガイマガドが尻尾を高速で突き出す……が、間一髪防御が間に合った!尻尾を盾にしたディノバルドの守りは、ちょっとやそっとでは抜けない!

 

「攻め立てろ、マガイマガド」

 

「グルオオオン!」

 

「……ッ!」

 

「耐えて、ディノバルド……!」

 

マガイマガドは尻尾による突きを連続で放ってくる。ディノバルドはなんとか攻撃を防いでいるが、いつまで保つか……いや、ここは待っているだけじゃダメだ!

 

「ディノバルド!尻尾を少しだけ寝かせて!」

 

「……!」

 

私の指示通り、ディノバルドがわずかに尻尾を寝かせた。すると、マガイマガドの攻撃はディノバルドの尻尾によって滑るように逸れた。これだ!

 

「尻尾にかみくだく!!」

 

「ディーバッ!!」

 

「グッ……」

 

マガイマガド最大の武器であろう尻尾に、かみくだくが命中!……ダメージはあまりなさそうだけど、これでマガイマガドの動きを封じた!

 

「そのままアイアンテール!」

 

「ディバァ!!」

 

「クック……甘いな」

 

「え?」

 

武器の一つを封じられたにも関わらず、アカイさんに余裕がある……?いったいどういう――

 

「マガイマガド!"きえんばっか"だ!!」

 

「グルオンッ!」

 

なんだ、マガイマガドの技か……?すると、マガイマガドの尻尾に、禍々しいと形容すべき紫の炎が灯った……?

 

ドカンッ!

 

「ディバァ!?」

 

「ディノバルド!?」

 

すると、突然尻尾の炎が爆発した!?その衝撃で尻尾を離してしまい、ディノバルドは倒れ込んだ!

 

「これはマガイマガドの得意技の一つ、『鬼炎爆華(きえんばっか)』だ。マガイマガドは、一般に知られる"おにび"の技とは異なるもう一つの鬼火を操ることが出来る。一見、炎に見えただろうこれはその実、特殊なガスでね。このガスは時間とともに爆発を起こすことができるのだ」

 

「くっ……」

 

そんな特技があったとは……しかも、その実態はガスときた。周囲に大量に巻かれたら、ディノバルドでは逃げ切れないかも知れない……。

 

「戻って、ディノバルド。……行けっ、リオレウス!」

 

「グオオオオオンッ!!」

 

空中で高機動を得意とするリオレウスなら、地上戦に特化したマガイマガドを相手に有利を取れる!

 

「かえんほうしゃ!」

 

「グオオオオ!」

 

「フッ」

 

リオレウスのかえんほうしゃが直撃……いや、これは!

 

「効いていない……!」

 

「悪いが、今回は決着までノーヒントで行かせてもらう。手探りでしっかりとマガイマガドの弱点を探り給え」

 

「それなら、りゅうのはどう!!」

 

「グオオオオン!」

 

……!?りゅうのはどうも、効かない!?ほのおとドラゴンに耐性があるタイプ……いや、これは体質か!

 

「だったらエアスラッシュだ!」

 

「グオオン!」

 

「グルオアアア!?」

 

……!ひこうタイプは効いている!見た目からしてかくとうタイプは確定!

 

「こちらもエアスラッシュ!」

 

「グルオオン!!」

 

マガイマガドが大きく尻尾を振るうと……でっかい空気の刃が放たれた!一般的なエアスラッシュが弾幕系なら、マガイマガドは大砲系か!

 

「空へ!!」

 

「グオン!」

 

リオレウスは素早く空を飛び空へ退避する。よしっ、これでしばらくは……。

 

「逃がすな」

 

「グルオン!」

 

「グオアァッ!!」

 

「なんっ……!?」

 

マガイマガドが、リオレウスに飛びかかった!?リオレウスはなんとか高度を稼ごうと必死に羽ばたきつつ、マガイマガドを振り落とそうと体を揺らしている!ある程度まで高度を稼いだところで、リオレウスはやっとマガイマガドを振り落とした。ふぅ……これで一安心――。

 

「逃がさないと言ったろう?"えんえんく"だ!!」

 

「グルオオオン!!」

 

「グオア!!」

 

「なっ、なんですって!?」

 

なんと!振り落とされたマガイマガドは鬼火を爆発させ、爆風を利用した空中跳躍で再びリオレウスに飛びかかったのだ!さらに組み付かれたことでリオレウスが体勢を崩してしまい、隙を晒してしまった。その隙を突こうとするマガイマガドだが、間一髪リオレウスは身を翻して回避した。

ほっとしたのも束の間、またもマガイマガドは跳躍しリオレウスに組み付いた。

 

「鬼火爆破による爆風を利用した高速移動……『怨炎駆(えんえんく)』だ。さあどうする?これでは空の王者も形無しだが?」

 

「くっ……」

 

ダメージはなくとも、押し返すくらいなら……!

 

「かえんほうしゃ!押し返して!!」

 

「グオオオ!」

 

「無駄だ」

 

「グルオオオオオンッ!!」

 

一度は押し返すことに成功するも、マガイマガドは鬼火爆破で一気に跳躍するとリオレウスめがけて突撃を仕掛けた!二体は取っ組み合ったまま地面に激突。衝突と同時に盛大な鬼火爆破でリオレウスが吹っ飛ばされた!!

 

「リオレウス……!!」

 

「グウゥ……!」

 

リオレウス……かなりのダメージを負ってる……!これ以上の継戦は危険だ……!

 

「戻って!リオレウス!!」

 

「グッ……」

 

「……お願い、ジンオウガ!!」

 

「ウオオオオォォンッ!!」

 

私にとっての、もう一つの切り札……ジンオウガに全てを託す!

 

「最初からフルパワーで行く……!」

 

「ウオン!」

 

「我が心に応えよ、キーストーン!進化を超えろ……!

ジンオウガ!メガシンカ!!」

 

「ウ"オ"オ"オ"オ"オ"オ"ンッ!!」

 

私はすぐにジンオウガをメガシンカさせた。リオレウスとのあの戦い……下手に様子見なんてしていたら、狩られるのはこちら側だ……!だから、最初っから全力を出す!

 

「あぁ、そうだ。全力で来い。マガイマガドは、慈悲とは無縁のポケモンでね……全身全霊で抵抗してくれ。さもなくば、うっかり殺ってしまいかねないのでね」

 

「かみなり!!」

 

「ウオオオン!」

 

「躱せ」

 

「グルオオア!」

 

メガジンオウガのかみなりを、マガイマガドはステップと怨炎駆を駆使して自在に駆け回り回避する。動きが素早い……!なんとかして止めないと……!!

 

「はどうだん!」

 

「ウオオン!!」

 

「グアッ!!」

 

……っ!はどうだんがかなり効いている!怨虎竜の別名から察するに、マガイマガドのタイプは!

 

「あくとかくとうの複合タイプ!!」

 

「正解だ!」

 

あく・かくとう……!フェアリー技なら、一気に四倍の弱点を突ける……だけど、マガイマガドが素早いために、下手な近接攻撃はかえってこちらの隙を生んでしまう恐れがある……どうする!

 

「さぁ行くぞ!えんさづきだ!」

 

「グルオオア!」

 

「躱して、かみなりパンチ!!」

 

「ウオオン!」

 

メガジンオウガは突撃しつつ、突き出されたマガイマガドの尻尾を回避!そのままかみなりパンチを叩き込んだ!

 

「グルアァ!!」

 

「どうやらでんきタイプにも弱いようですね!」

 

「ハッ!弱点を知られた程度で敗れるほど、マガイマガドは弱くない!!」

 

アカイさんはニヤリと口角を釣り上げると、大仰に腕を広げつつマガイマガドに指示を出した。

 

「臨界を超えろ……マガイマガド!きえんばんじょう!!」

 

「グルオオオオオンッ!!」

 

アカイさんの指示とともに、マガイマガドが大きく吠えると、激しい鬼火爆破が発生した。すると、マガイマガドの腕や背中といった全身の甲殻が展開され、全く違う姿へと変貌していた!

 

「クックック……これこそが『鬼火臨界状態』のマガイマガドだ。『鬼炎万丈(きえんばんじょう)』を使うことで、マガイマガドはこの形態へと移行することができる。

さらに、『怨嗟突(えんさづ)き』の技が『尾槍(おやり)鬼火螺旋突(おにびらせんづ)き』へと強化される。簡単に倒れてくれるなよ?」

 

「こ、これが……!」

 

「では、早速受けてもらおうか。……おやり・おにびらせんづき!!」

 

「グルルルル……グルオオン!!」

 

マガイマガドが尻尾を高く持ち上げると、先端を素早くくるくると回している。そのまま一気に突き出すと、螺旋状の鬼火が放たれてメガジンオウガが吹っ飛ばされてしまった!

 

「ジ、ジンオウガッ!!」

 

「グッ……グルルル……!!」

 

「ほほぅ……さすがは二つ名個体。あの一撃を直撃してなお立ち上がれるとは」

 

な、なんて威力なの……!?メガジンオウガが、宙を舞うだなんて……!

 

「だけど、マガイマガドはでんきタイプが苦手……ここは、大技に賭ける!ジンオウガ、奥義装填!!」

 

「ウオオオオオンッ!」

 

「フッ……いいだろう。マガイマガド、奥義装填」

 

「グルオオオオンッ!」

 

メガジンオウガは右角に電力を集め、マガイマガドは大きく咆哮すると、全身の鬼火の色が鮮やかな桃色へと変化した。マガイマガドが突進すると、ジンオウガの周囲を鬼火を巻きながら旋回し、一気に跳躍。そのまま突撃してきた!

 

「せんしょうらいせん!!」

 

「だいおにびうらみがえし!!」

 

「ウオオオオオオオンッ!!」

 

「グルオオオオオオンッ!!」

 

メガジンオウガの尖衝雷閃と、マガイマガドの『大鬼火(だいおにび)(うら)(がえ)し』がぶつかり合う!!激しいぶつかり合いの行く末は、鬼火による大爆発によってわからなくなってしまった……!

 

「ジンオウガ……!」

 

「…………」

 

煙が晴れていく……そこには、ボロボロになりながらも立ち続けるジンオウガと、ダメージを負って傷つきながらも多少の余裕が有るマガイマガドの姿があった。

 

「流石だな」

 

「…………」

 

「よもや、マガイマガドとこれほどに渡り合うとは……いやはや、感服する他ない」

 

「……嫌味ですか?こちらは既に満身創痍で、そちらは負傷しながらも健在……勝敗は付いたも同然ですが、勝った気になるのも早すぎますよ」

 

「それもそうか。……では、そんな君らに敬意を評し、マガイマガドのもうひとつの姿をお見せしよう」

 

そう言いつつ、アカイさんは手袋を外した。右手の手袋が外され、露わになった右手……その、薬指には……!

 

「……まさか、キーストーン……!」

 

「メガシンカは、なにも君らの専売特許ではないよ。さあ、やるか。マガイマガドよ」

 

「グルオン」

 

よく見ると、マガイマガドには額あてが付けられている。……メガストーンが埋め込まれた、額あてが。

 

「儚くも食らいつくされしものたちの炎よ。

怨虎に集い 使いとなるにすぎし妄執の炎よ。

かすかにつなぎし念はか弱く……いずれほどなく、消えゆくさだめ

煉獄の道程を辿る前に、しかと見届けよ

汝の魂魄がより強く、苛烈なる禍威となるところを。

 

マガイマガド、メガシンカ!!」

 

「グルオアアアアッ!!」

 

アカイさんのキーストーンと、マガイマガドのメガストーンが激しく共鳴している!やがて光に包まれたマガイマガドの姿が、少しずつ変化していく……そして――

 

全身に赤く光る文様のような傷。

「鎧」と見紛うほどの堅牢な甲殻。

目を惹くほどに非常に大きく発達した腕刃と、より鋭さを増した背中の刀殻。

幾重にも甲殻が重なり合い、7つの刃を備えた豪槍の如き刃尾。

根元から折れた右角に対し、異常発達した左角。

 

「グルオ"オ"ア"ア"ア"ア"っ!!」

 

右目が潰れて隻眼となった、その名のとおり禍々しい姿へと変貌したマガイマガドの姿があった。

 

「そ、んな……!」

 

「恐れ慄け、震えて眠れ。これこそがメガマガイマガド……またの名を『怨嗟響めくマガイマガド』なり!マガイマガドは牙竜種最強だ!コイツがその気になれば、古龍種だってぶっ飛ばせる!!」

 

「くっ……ジンオウガ!」

 

「マガイマガド!!」

 

「「きりさく!!」」

 

二体が同時に駆け出す。交差は一瞬、そして……決着も。

 

「古龍級生物を舐めんじゃねえ!」

 

「あっ……」

 

ジンオウガの、体が――

 

「グ……ア……」

 

――倒れた。

 

「ジンオウガ……ッ!!」

 

「……ふぅ。ジンオウガ、戦闘不能だ。さあ、次はどうする?ディノバルドか?リオレウスか?」

 

「……いえ。私の……負けです……」

 

「……おや?」

 

私は急いでジンオウガの傍に駆け寄る。メガシンカが解除されたジンオウガは、薄く目を開いて私を見た。

 

「クゥン……」

 

「……いいんだよ、ジンオウガ。ありがとう、よく頑張ったね」

 

「ワン……」

 

「……いいのか?君はまだポケモンが残っているだろうに……」

 

アカイさんがそう尋ねてくるけれど……これは、私なりのこだわりなのでうまく説明できるだろうか……。

 

「いいんです。……ただでさえ強力なジンオウガたちを、複数体も連れ歩いているんです。どこかで自制をかけなければいけない。

それに……それこそ、ジンオウガたちによる数の暴力なんて、ただの卑怯者じゃないですか」

 

「ふむ……君がそういうのなら、受け入れよう。今回は私の勝ちだ」

 

「はい、私の負けです」

 

ジンオウガをボールに戻しつつ、立ち上がる。あぁ……でも、これでベリオナイトは貰えないんだよな……。いつかまた、再戦を……。

 

「それでは、これを君に譲るとしよう」

 

「あ、ありがとうございます」

 

あ、ベリオナイトだ。よかった、ベリオナイトは貰え――

 

「……って、ちょっと待ってください!!」

 

「ん?どうかしたかね?」

 

「いやいやいや、なんで普通にベリオナイトを渡すんですか!?私、勝負に負けたんですけど!」

 

「……今の君にこんな事を言うのは、大変、大変に酷なのだが……」

 

「な、なんですか……」

 

「……私は勝負に勝ったらベリオナイトを譲るとは一言も言ってないがね」

 

「…………」

 

え?いや、待って、そんなはずは……

 

 

『どうだろう?ライチュウの様子を見るついでに、勝負をするというのは』

 

『君は気になっているんじゃないか?……君の大のお気に入りである、ジンオウガと同種のポケモンの力が』

 

 

「……言ってなかったです」

 

「だろう?」

 

じゃあ、なにか……私が勝手に勝敗で決まるものだと、勘違いしたということ!?

 

「……ッ!!」

 

「ははは、八つ当たりに殴るのはやめたまえ。地味に痛いぞ」

 

くそうっ、くそうっ、くそうっ!勝負には負けるし勘違いはするしで、なんか悔しいことばかりなんだけど!!

 

「……帰って特訓します。次は、次こそは勝ってみせますから!!」

 

「あぁ、期待しているよ」

 

絶対、絶対に勝ってみせる!今に見てろ……!

 

「……それにしても、ジンオウガの根性には度肝を抜かれたな。主であるショウの期待に応えたいが故か……はたまた、同じ牙竜種としての、雷狼竜(・・・)の意地故か」

 

「……!!」

 

またでた、らいろうりゅう……しかも、ジンオウガのことを指して言ってるってことは……。

 

「……あの、アカイさん」

 

「ん?」

 

「らいろうりゅうって、ジンオウガの別名ですか?」

 

「……おや、説明していなかったか。君が最初に捕まえたポケモンたちの別名だが、ベリオロスは氷の牙と書いて氷牙竜、リオレウスは文字通りの火の竜で火竜、ラギアクルスもまた文字通りの海の竜で海竜、グラビモスは鎧の一文字を当てられた鎧竜……そして、ジンオウガ。雷の狼と書いて、雷狼竜という。

……それがどうかしたかね?」

 

「……実は」

 

私は、おばあちゃんたちが代々詠い継いできた詩の話をした。すると、アカイさんは面白いことを聞いたとばかりに笑みを浮かべた。

 

「ほほぅ、それは面白い。詩の中に出てくる『蒼光纏う雷狼』とは、どう考えてもジンオウガをおいてほかにない。そして、『古の国』……君の一族が詠い継いできたということは、『古の国』とはここヒスイ地方を指すのだろう。……ん?すると妙だな。

この詩を最初に詠った君の祖先とは、いったい誰のことだろうな?」

 

ドクン、と胸が大きく音を鳴らした。

 

「少なくとも、ヒスイよりも後の時代にもジンオウガたちが活動をしていたとは到底思えない。もし活動していたのなら、その詩を知っている時点で君の一族はジンオウガの名を知っているはずだからだ。

……と、なると……ジンオウガたちの情報は、このヒスイ時代から失伝してしまっているということになるのか。あるいは……後の世のために、故意に情報を処分したか。

なんにせよ、君が知っているその詩が、この時代にしか存在しなかっただろうジンオウガを指していることは明白だ。そして、その者はジンオウガの背に乗り大地を駆けるほど、ジンオウガと親密な仲ということになる。

そして、ジンオウガに騎乗しなおかつ親密な者は……現状、君だけだ」

 

さらにドクン、と大きくなった。

 

「……私もシロも、君が何者なのかはあえて詮索しないでいたが……その詩が出てきた以上、いつまでも無視するわけにはいかないな。なんせ、君の出自に関わることかも知れないからね。

すべてはムラに戻ってからにするとしよう。……君の正体、そして君という存在の解明のためにも」

 

「……はい」

 

私がシンオウ時代にいた頃、この詩はあったけどジンオウガの存在は誰にも知られていなかった。だけど、ジンオウガはこのヒスイ地方に生きている。明らかに普通のポケモンとは異なるポケモン……いつからいたのかわからない、正体不明のポケモン。

帰路に着く間、ずっとそのことを考えていた。考えることを放棄するのは、すごく怖かったから……。

 

 

 

 




最後の最後で謎の爆弾をぶち込む悪の所業よ。

アカイの手持ち(2回目)

ヒスイヌメルゴン
たてこもる/かみなりパンチ/りゅうのはどう/アイアンヘッド

ドダイトス
エナジーボール/だいちのちから/はかいこうせん/ストーンエッジ

ラムパルド
もろはのずつき/しねんのずつき/かみなりパンチ/ほのおのパンチ

トリデプス
アイアンヘッド/ストーンエッジ/10まんボルト/パワーシフト

ガブリアス
げきりん/ほのおのキバ/アイアンテール/だいちのちから

マガイマガド あく・かくとう
弱点 火:× 水:○ 雷:○ 氷:△ 龍:×
四倍:フェアリー
二倍:みず、でんき、かくとう、ひこう
半減以下:こおり、いわ、ゴースト、あく
無効:ほのお、エスパー、ドラゴン

実質、アカイの旅パ。やはり古龍級生物は強いですねぇ……。
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