ポケットモンスターHUNTER アルセウス   作:箱厨

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だいぶ遅くなって申し訳ありません!
それではお楽しみください!


メイン任務:純白を往く峨々たる巨獣~VS金獅子!赤の王と金の狂王!!~

シンジュ集落へと侵攻を開始したガムート。我が子のように可愛がっていたウリムーがヒスイニューラに傷つけられた報復にヒスイニューラ殲滅を目的とした侵攻は、なんとか食い止めることができた。

メガシンカしたメガガムートこと【銀嶺ガムート】との戦闘は、ガラナさんとラギアクルス、ワサビちゃんとベリオロスの二人と二体の協力でもってしても、殆ど互角のまま戦況は膠着し、苦戦を強いられた。……そこへ起死回生の一手を投じてくれたのが、ハマレンゲさんだった。

ハマレンゲさんが「誰か」から預かったというメガストーン……グラビナイトで【鎧砦】へとメガシンカしたメガグラビモスのおかげで形成は一気に逆転した。ガムートは最後まで抵抗しようとしたが、ウリムーたちの懇願に根負けしてついには膝を折り捕獲と相成った。

 

ガムートを捕獲した私たちは一度、クレベース氷塊まで戻ってきた。そこにはガムートとの戦闘に先立って退避した両団長とキャプテン達が集まっていた。

 

「ショウさん!ガムートは……」

 

「はいっ!無事に捕獲、完了しました!」

 

「ははっ……!さすがはショウだぜ!おめえならぜってぇに出来るって信じてたぜ!」

 

「あぁ、よかった……!ハマ先生も無事だったし、集落も守ってもらえて……もう、ショウさんには返しきれないほどの恩でいっぱいだよ……!」

 

「はぁ……我々がどれだけ攻撃してもびくともしなかったあのでっかいポケモンを捕まえてしまうとはね……。ポケモンもさる事ながら、ショウさんも大した人だね」

 

「わたくしを拾ってくださったシンジュ団の皆様……そして、そんな皆様を守ってくださったショウさま……。縁という名のレールは、様々なところで繋がり広がっていく……まさにそのことを実感しております。ショウさま、この度は誠にありがとうございました」

 

「いやはや、本当に見事だよおまえさん。雪原キングですら打倒できなかったあのポケモンを見事鎮めてみせるとは!ははは……わたしももっと、筋肉を鍛えて精進しなければ!」

 

「鍛錬の前に、ハマ先生は休んでください!」

 

「おっと、こりゃいかん」

 

どっ、と笑いが起こった。それから、一緒に戦ってくれたガラナさんとワサビちゃんからも言葉をもらった。

 

「ショウさまには、何度も何度も助けてもらってばかりですわね。……もしもショウさまの身に何かあったときは、必ず力になりますわ。約束いたします」

 

「集落も守れてガムートも捕まえられて、万々歳だね!野生の巨大ポケモンとの勝負、すっごく為になったよ。それに、メガシンカって進化のこととか……ポケモンって、本当に不思議な生き物だよね!」

 

それから、先輩たちからも。

 

「ショウ、本当にすごいよ!流石はおれの、自慢の後輩だぜ!

 

「ショウくん、本当にお疲れ様なのです!」

 

「……見事だったよ、ショウ。やはり、君こそが……む、空が……」

 

アカイさんの言葉につられて空を見上げると、時空の歪みが消滅していっていた。吹雪も止み、快晴が広がる空を見上げて思わず笑みが浮かんだ。

 

「……さあ、みんな!集落へ帰ろう!!」

 

カイさんの言葉を音頭に、私たちはシンジュ集落へと戻っていった。集落では、時空の歪みが解除されたことで様子を窺いに来たのか、シンジュ団員たちが集まっていた。

私とカイさんはお互いに顔を見合わせたあと、頷き合う。それから、私がガムートが格納されたモンスターボールを掲げると、カイさんが声を張り上げた。

 

「皆、聞けっ!我が集落を脅かさんとする憤怒の巨獣ガムートは、ギンガ団のショウ殿、コンゴウ団キャプテンのワサビ殿、そして我らがシンジュ団キャプテンのガラナにより鎮められた!時空の歪みは消え、集落に迫る脅威は取り除かれた!!

消息を絶ち安否が不明であったキャプテン・ハマレンゲも無事に帰還した!勝ち鬨を上げろ!今宵は宴だ!無礼講故に、好きに騒げ!!」

 

――わあああああぁぁぁぁぁ……!!

 

老人から子供まで、全員が声を張り上げて喜びを顕にしている。特に私なんかはガムートを鎮めた活躍もあって、シンジュ団全員からもみくちゃにされた。同じくらいもみくちゃになっているのはガラナさんとワサビちゃんだ。二人も巨大ポケモンを操り協力して事態に当たったとして、多大な賞賛の言葉を投げかけられていた。

なにより……ギンガ団とコンゴウ団とシンジュ団、三つの組織が力を合わせて一丸となったことが大きいだろう。中には「後世まで語り継ぐ!」と息巻いている団員さんもいるくらいだ。……それはちょっと勘弁してもらえませんかね?

その夜は、シンジュ集落での大宴会となった。純白の凍土の寒さなどまるで感じさせないほどの熱気に、宴会は夜が更けるまで続いた。……私も体感ではあるが実に久しぶりに、純粋に笑えたような気がする。

 

「ショウさん、楽しんでる?」

 

「カイさん……はい、もちろんです」

 

「……今日は、本当にありがとう。集落は襲われそうになるし、ハマ先生は行方不明になるし……あの時は、どうすればいいのかわからなくなってしまったけど、セキとショウさんがいてくれて本当に良かった。二人がいてくれたから、私は最後まで立ち上がれたんだ」

 

「カイさん……」

 

あなたという人は、本当に……。

 

「……それ、セキさんには直接言わないんですか?」

 

えっ!?いやっ、あのっ……!それは、そう、ちゃんと本人には言う、つもり……。で、でも私ってば結構情けない姿見せちゃったし、それでセキには叱責されるしで、『カイは相変わらず成長しねぇな』なんて思われてたら……。

いや、そもそも私とセキを比較するなんてそんな……最近は『ちょっとは追いつけたかな?』って思い始めてたんだけど実際はそんな全然……やっぱり団長としての経験値差はセキの方がずっと上で、やっぱりセキはすごいなぁと思う反面、私なんてちっともで……

 

「(いつまで聞いてりゃいいんだこれ)」

 

そろそろ本格的に砂を吐きそうなんだけど……。

 

「おーう、ショウ、カイ。女二人で顔を突き合わせて、内緒話か?」

 

……と、ここでセキさんがやってきた。カイさんもセキさんに気づいたようで、ハッとした様子でそちらへ振り返っていた。

 

「セッ!!セキ……!」

 

「あ、セキさん。楽しんでますか?」

 

「おうっ!そりゃあな!……さて、それはそれとしてショウよ」

 

「はい?」

 

……なんだろう、猛烈に嫌な予感がする……!!

 

「大人を揶揄おうなんざ百年早いんだよ!」

 

「いだだだだだだ!?」

 

セキさんがいきなりこめかみに拳を当てるとグリグリしてきた!?うっわ、これ思った以上に痛い!!

 

「ごめんなさいセキさん!もうしませんっ!!」

 

「……ふぅ。分かればいいんだよ、分かれば」

 

「……?セキ、ショウさんにいったい何を言われたの?」

 

「いっ!?あ、いや……お、おめえが気にすることじゃねえよ……」

 

「ふぅん……?」

 

「(なんでこいつら付き合ってないんだ……)」

 

私は一体何を見せられているんだろうか……。

 

「……それにしても、すっかり人気者になったな、アイツ」

 

「……そうだね。私としては嬉しい誤算、かな。"おや"としてはどう?ショウさん」

 

「……まぁ、嬉しいは嬉しいですよ。受け入れてもらえたこと自体は、"おや"としてもありがたいですし」

 

「だなぁ……しかし……」

 

「うん……でも……」

 

「はい……」

 

「「「まさかベリオロスがねぇ……」」」

 

そして、今回の1件を経て……なぜかベリオロスの株が爆上がりしていた。子供たちが頻りに強請るので仕方なくボールから出すと、子供たちは我先にとベリオロスへと駆け寄りその体に触れていた。突然のことに私もそうだが、ベリオロス自身が特に驚いたようで……子供達と私を交互に見る姿は「なんで?え?なんで?」という声が聞こえてきそうで思わず笑いそうになった。……ボールの中のグラビモスが不貞腐れていたので、後でしっかり慰めておこう。

こうなった理由についてはカイさんが教えてくれた。

 

「……前々から、ベリオロスのことは集落内で周知させていたんだけど……今回のガムート戦で、一気に火が付いたみたい。特に子供たちからすれば、自分たちと同年代のワサビちゃんがモンスターボールを使ってベリオロスと一緒に戦う姿は結構鮮烈に映ったらしくてね。まぁ、こっちとしてはベリオロスの調査が楽になると思えば、本当にラッキーって感じだけど」

 

「……ボールの中のグラビモスは、すっかり拗ねちゃってますけどね」

 

「メガシンカって派手な進化をしてガムートに勝利したってのに、目先の人気すら奪われちゃあな……」

 

セキさんもカイさんも、モンスターボールに同情的な視線を送っている。……よし、ムラに帰ったら、グラビモスの体をうんと磨いてやろう。テッカテカのピッカピカになるくらい磨こう。それくらいの労いは必要だ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

翌朝。宴会後ということもあって、みんな揃って朝が遅い。私もノロノロと朝を向かえ、うんと背伸びをする……と、なぜか集落の入口が騒がしい。

私もそこへ向かってみると……。

 

「御免」

 

「……何者だ。このシンジュ集落に、如何な用があって来た?」

 

「知り合いがちょうど、この集落にいると聞いたのでな。たしか、貴殿らにはアカイ、と名乗っていたと思うが」

 

「なるほど、アカイ殿の……では、そちらのポケモンは……」

 

「ウホッ?」

 

「あぁ、気にしないでくれたまえ。私の相棒だ、害はないよ」

 

「いや、まぁ……うん、そうなんだろうが……」

 

カイさんが対応しているけど……相手はアカイさんと同じように赤い色の衣服を身に纏った若い男性だった。

ただ、アカイさんと比べると赤の度合いが違う。アカイさんの赤は深い色をした"深紅"とも言うべき色で、目の前の男性はそれよりも明るい"鮮赤"とも言うべき色だ。

……ただ、それ以上に目を引くのは、彼の背後に佇むポケモンだ。

 

漆黒の体毛と側頭部から真横に伸びる一対の巨大な角。

怪力を優に想像させる剛腕と、反対に細い足。

 

まるで猿の上半身と獅子の下半身を合体させたかのような、威圧感たっぷりの強面のポケモンがいる。カイさんは、そのポケモンに圧倒されているようだ。

 

「カイさん、どうしたんですか?」

 

「あっ、ショウさん……」

 

「ショウ……?」

 

カイさんがこちらへ振り返り、同時に男性も私に気がついた。……なんだか、品定めされてる……?

 

「君が、ショウか。噂はかねがね」

 

「私のこと、知ってるんですか?」

 

「それはもう。我が友から、心ゆくまで聞かされたからな」

 

「来たか」

 

そうして話していると、アカイさんがやってきた。男性は「やあ」と手を挙げている。

 

「久しいな、バルカン。こちらにはもう馴染んだのか?」

 

「……()をその名で呼ぶな。ここではアカイと名乗っているから、呼ぶならそっちで呼べ」

 

「おっと、これは失礼。馴染み深い呼び名を呼ぶなと言われては、些か慣れに時間がかかる故な、今しばらくは大目に見てくれ」

 

「はぁ……だったらとっとと慣れてくれ。連中が取ってつけたような呼び名など、不愉快極まりない」

 

「はっはっは、怒らせたか?」

 

「そんなことで腹を立てるほど狭量ではない」

 

……アカイさんのタメ口、なに気に初めて聞いた……すごい貴重だ。というか、あのアカイさんがタメ口で話しているこの人は一体何者?あと、バルカンってアカイさんの本名?色々と聞きたいことができたけど、今は男性のことだ。

 

「あの、貴方は?」

 

「おぉ、すまぬな。自己紹介をしようか……私は『ムフェト』。そこのアカイとは知り合いだ。

そしてコイツは私の相棒ポケモンで、名は『ラージャン』という。よろしく頼むよ、青い星」

 

「あ、青い星?」

 

「おう、そうだ。私の地元では将来有望な若者を『青い星』と呼ぶのだよ。君は最近起こっている事件を次々と解決していると聞く。だから、習慣に準えて『青い星』と呼ばせてもらった」

 

「はぁ……」

 

……この人も、アカイさんと同じ違和感を覚えた。それに、若い見た目に反して随分と年を食ったような話し方……これがギャップというやつか?

 

「実はバル……アカイから相談を受けてね。是非君を鍛えて欲しいと言われたのだよ。私としても、若人が育つのを見届けるのは嫌いではないのでね、引き受けたのだ」

 

「いえ、そんな……流石に今日会ったばかりの人にそんな不躾な……」

 

「それに、ラージャンは世界で最初に発見された古龍級生物――」

 

「やります」

 

「おぉ!そうか!」

 

「(……やはり、マガイマガドに敗北したことが相当堪えたようだな)」

 

古龍級生物。そのワードは、今の私にとっては地雷に等しい。かつて敗北したマガイマガドを思い出させる言葉だ。そして、目の前のポケモン……ラージャンもまた、古龍級生物だという。ならばその提案、受けないわけには行かない。

 

「では、極寒の荒地で勝負と行こうか。あそこは広いからな、我が手持ちたちが暴れるにもちょうど良い」

 

「そんなに強力なポケモンがいるんですか?」

 

「ははは。私の手持ちポケモンは、全て地元に生息するポケモンで統一している……言ってしまえば、手持ち全てが君らの言う巨大ポケモンで構成されているのだよ」

 

「……!!」

 

なん……だと……?だったらこの勝負、尚の事受けなければならない!

 

「早速行きましょう時間が惜しいです早く早く!」

 

「はっはっは、青い星は血の気が多いな!」

 

「いや、巨大ポケモンとの勝負が楽しみなだけだぞ」

 

こうして、私たちは移動を始めた。……それはいいんだけど、離れたところで見守っているシンジュ団の皆さんはどういうつもりなのだろうか……。

 

「ごめんね、ショウさん……巨大ポケモン同士のポケモン勝負と聞いて、みんな黙っていられなかったみたいで……」

 

「まぁ、見られて減るものでもないよ。構わんかね?青い星よ」

 

「……えぇ。こちらとしても、巨大ポケモンたちのことをもっとよく知ってもらういい機会だと思います」

 

「私も、ショウさんの勝負を見守らせてもらうね」

 

こうして、現在シンジュ集落に滞在中のメンバー+シンジュ団全団員が見守る中で、ポケモン勝負が始まった。

 

「使用ポケモンは6体。言っておくが、ラージャンは最後の一体まで出すつもりはないよ」

 

「大丈夫ですよ。……何が何でも、絶対に引きずり出してやりますので」

 

「フッ……それはそれは、楽しみだ……」

 

私は改めて、現在手持ちにいる巨大ポケモンを確認する。

手持ちの巨大ポケモンはジンオウガ、グラビモス、ラギアクルス、リオレウス、ベリオロス……そして、昨日捕まえたばかりのガムートの6体。このうちメガシンカ出来るのはラギアクルスを除く5体だ。誰をメガシンカさせるか……それは、対ラージャンを想定しながらの選択となるだろう。

さあ、勝負開始だ!!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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「では、お互いに一体目のポケモンを出そうか」

 

「わかりました……行きます!」

 

「「グラビモス!/さぁ、参るぞ!」」

 

「ヴラアアアア!!」

 

「ギュアアアン!!」

 

私が初手に選んだのはグラビモス!高耐久で様子を見るのに最適だからね。対して、ムフェトさんが繰り出したのはグラビモスよりも小さなポケモンだ。

 

全身を覆う緑色の甲殻や鱗、そして首元や翼に見られる羽毛。

黄緑や紫などの様々な色が縞模様になっている細い尻尾。

カクレオンというポケモンを彷彿とさせる顔。

 

「"毒妖鳥"、『プケプケ』だ」

 

「プケプケ……」

 

「ムフェト」

 

私がその名前を反芻していると、後ろからアカイさんが近づいてきていた。

 

「どうした、アカイ?」

 

「今回、私はショウの傍に付き助言をする。今回、お前が連れてきたポケモンは全てショウにとっては初見ばかりだ。タイプ相性くらい教えても構わないだろう?」

 

「あぁ、一向に構わんぞ!それで釣り合いが取れるなら、むしろ都合が良い!」

 

「……だ、そうだ。さて、それではプケプケについてタイプ相性のみではあるが説明しよう。

プケプケは"毒妖鳥"の別名のとおり、どくタイプを有するひこうタイプのポケモンだ。さらにプケプケはほのおとドラゴンに強く、でんきとこおりに弱い。そしてみずタイプが一切効かない体質をしている。初手にグラビモスを選択したのは、ある意味正解だな」

 

「……ですね」

 

グラビモスはいわタイプを持つドラゴンポケモン。いわタイプなら、プケプケ相手にも有利に立ち回れる!

 

「ははは!タイプ相性だけでは勝てないのが、ポケモン勝負の醍醐味だろう!?さあ行くぞプケプケ!ヘドロばくだん!!」

 

「プケー!」

 

「それならこっちは、どろばくだん!」

 

「ヴアァ!!」

 

プケプケは口から無数のヘドロばくだんを放ってきた。こちらも対抗するようにタイプ相性でも有利なじめん技のどろばくだんを指示する!ただ、プケプケのヘドロばくだんによる弾幕が思ったよりも分厚い……!

完全にすべてを撃ち落とすことはできず、数発はもらってしまった。タイプ相性では効果は今ひとつだけど、毒状態になったら厄介だ……。

 

「……よしっ、いわなだれ!!」

 

「ヴルア!」

 

「プケッ……!」

 

「動きを封じる気か……プケプケ、足元にたつまきだ!」

 

「プケーッ!」

 

毒状態にはなっていない!相手の動きを制限するためにいわなだれで拘束する!……ただ、ムフェトさんもその意図に気づいたのか、プケプケにたつまきの技を指示していた。

なにを……?そう思っていると、たつまきは外から襲い来る岩を弾きつつ翼を広げたプケプケを持ち上げた!

 

「防御しつつ退避……!」

 

「はっは!グラビモスは翼が退化しているために空を飛ぶことが不得手……対してプケプケは鳥竜種!翼を有する彼なら、これくらいは造作もない!」

 

しまった……!なんとかして、プケプケを撃ち落とさないと……!!

 

「さあ行け、プケプケ!ヴェノムショットだ!!」

 

「プケッケー!!」

 

「ヴラッ……!?」

 

「グラビモス!」

 

空へ飛んだプケプケは、その口からヘドロばくだんよりもより毒々しく巨大な塊を口から吐き出した!その一発をもらったグラビモス……すると、グラビモスはあっという間に毒状態になった!?

 

「プケプケの得意技であるどく技は、相手を確定で毒状態にする。さあ、じわじわと追い詰めようぞ!プケプケ、みずのはどう!!」

 

「ケケケップー!」

 

「ヴァアアアァッ!!」

 

「マズイ……!」

 

ただでさえ毒状態でじわじわと体力が削られる中で、苦手なみずタイプでの追撃……!ムフェトさんはグラビモスの弱点や特性を完全に把握している!

 

「負けるなグラビモス!かえんほうしゃ!!」

 

「ヴルアアァ!」

 

「躱せ!」

 

「プケー!」

 

グラビモスはかえんほうしゃを連発するけど、空を飛び回るプケプケには掠りもしない……加えて、グラビモスは毒状態で体力が減っていっている……早いところ、決着をつけないと!けど、どうすれば……はっ、そうだ!

 

「グラビモス、ステルスロック!」

 

「ヴルア」

 

「……?何をする気だ?」

 

私はまず、グラビモスにステルスロックを指示する。不可視の岩石を周囲にばらまくグラビモス。プケプケは旋回しながら様子を見ているようだ……だが、ここで何もしないとは愚策極まりなし!

 

「よし、もう一度ステルスロック!」

 

「ヴラ!」

 

「かぜおこしで全部吹っ飛ばせ!!」

 

「ヴルアアア!!」

 

「……!?プケッ!プケー!?」

 

「なんと!?」

 

さらにステルスロックの数を増やし……それら全部を、かぜおこしで吹っ飛ばす!いきなり飛んできた不可視の岩石を躱せるはずがなく、プケプケはステルスロックに次々と被弾した……今だ!

 

「ストーンエッジを、プケプケの足元に!」

 

「ヴルア!」

 

「それを、だいちのちからで打ち上げろ!!」

 

「ヴラアアア!!」

 

「プゲーッ!!」

 

「まさか、こんな手があるとは……!」

 

そして、ガムート戦でも使った戦術……ストーンエッジをだいちのちからで打ち上げて上から攻撃する作戦をここでも使う!ストーンエッジに撃ち落とされたプケプケは墜落した!

 

「くっ!ヴェノムブラスターだ!!」

 

「プケケケーッ!!」

 

プケプケはこちらに背を向けると、その長い尻尾を急速に膨らませて大量の毒を吹き出してきた!!グラビモスは真正面からモロに受けてしまい、さらに毒状態が進行する……!

 

「グラビモス!はかいこうせん!!」

 

「ヴルアアアアアアッ!!」

 

「プゲッ……!!」

 

咄嗟のはかいこうせんの指示が功を奏した!はかいこうせんはプケプケに直撃し、吹っ飛ばされたプケプケは目を回している!

 

「プケプケ、戦闘不能。グラビモスの勝ちだな」

 

「よしっ……毒で辛い中、ありがとうグラビモス」

 

「ヴ……」

 

「戻って休んでて」

 

「ヴァ」

 

これ以上の継戦は厳しいので、グラビモスを一旦戻す。毒でかなり体力を削られたので、仮に出せても一撃がせいぜいだろう。一方、ムフェトさんもプケプケをボールに戻し、健闘を称えているようだった。

 

「うむ、飛竜種を相手によく戦った。存分に休むがよい」

 

「まずは一勝、もらいましたよ」

 

「あぁ、流石の手並みだ。アカイや彼の祖が、君を見込むだけはある。さあ、次を出すぞ!」

 

「はい!」

 

「「ラギアクルス!/ブラントドス!」」

 

「グルオォアアアアッ!!」

 

「ブロアアァァッ!!」

 

次に私が繰り出したのはラギアクルス!そして、ムフェトさんはブラントドス、というポケモンを繰り出した。

 

体の左右と腰部付近にある一対の金色のヒレ。

炭にも似た黒色の体色に金色の腹部。

全身に付着した雪と、特徴的な尖った頭部。

 

見るからに魚然としたポケモンがそこにいた。

 

「ブラントドス……渡りの凍て地からも連れてきたのか、お前」

 

「ちょうど君らが寒冷地にいると聞いたのでね、都合が良いと思って連れてきた」

 

「そうかよ……」

 

「アカイさん、あのポケモンは?」

 

「おっと、失礼。あのポケモンは『ブラントドス』、"凍魚竜"の別名を持つ、魚竜種に分類されるポケモンだ。

みずとこおりの複合タイプで、みずに強く、ほのおとでんきに弱く、氷とドラゴンが効かない体質をしている。まぁ、体質も通常のタイプ相性とそう変わらないから、気にすることはないだろう。ドラゴンタイプが効かないことだけは気をつけたまえ」

 

「わかりました」

 

みずとこおりの複合タイプ……けど、体質の相性が元のタイプ相性とほぼ変わらなくてよかった。それどころか、みずとの複合タイプなのに体質の問題でほのおタイプが弱点になっているとは……巨大ポケモンたちって、こういうところも不思議な要素なんだよね。

 

「行くよ、ラギアクルス!10まんボルト!!」

 

「グルオオア!」

 

「潜れ!!」

 

「トドォーッ!」

 

早速弱点のでんき技で攻撃しようとしたけど……ブラントドスは、なんと凍土の中に潜ることで攻撃を回避してしまった!?

 

「い、一体どこに……?」

 

「グルルル……」

 

「さぁ、突撃だ!スノウダイブ!!」

 

「ブラトォ!!

 

「グルア!?」

 

完全にブラントドスを見失った……そうして気配を探っていると、凍土の中から現れたブラントドスがその尖った頭でラギアクルスの顎を打ち上げた!大きく怯んだラギアクルスに、ブラントドスの追撃が迫る!

 

「れいとうビームだ!」

 

「ブラアァーッ!」

 

「グルアアアァッ!!」

 

「ラギアクルス!?」

 

凍土から飛び出した状態から体勢を立て直し、そのまま空中かられいとうビームを放ってきた!れいとうビームはラギアクルスに直撃し、さらにダメージが重なる……!

 

「もろはのずつきだ!」

 

「トドォース!!」

 

「……!躱してほのおのキバ!!」

 

「グルオア!」

 

そのまま空中から突撃してくるブラントドスだったが、ラギアクルスは間一髪反応して頭を避けるとそのまま首を動かしてブラントドスの首にほのおのキバを突き立てた!よしっ、捕まえたぞ!!

 

「ブラァ!?」

 

「なんだと!」

 

「そのままかみなり!!」

 

「グルオアアアアッ!!」

 

「トドォオアアァッ!!」

 

「ちっ……あくのはどうだ!」

 

「ブラットォ!」

 

「グルァ……!」

 

このまま押しきれるかと思ったけど……必中技であるあくのはどうを喰らったラギアクルスはブラントドスを解放してしまった。

再び凍土に潜り逃げるブラントドス……厄介だな、あなをほる技とはまた違う戦術とは……。どうにかして、凍土を潜行するブラントドスを地上に引っ張り出さないと……。

 

「(……そういえば)」

 

以前、アカイさんから聞いたことがある……ラギアクルスの最大出力の放電は、水すら蒸発する程の高い電力と熱量を誇るという話だ。雪も元をたどれば水……上手くすれば、雪を溶かして水分を蒸発させ、雪に覆われた地表を露にすることができるかも知れない。やってみる価値はある……!

 

「ラギアクルス!奥義装填!!」

 

「!!グルルルル……」

 

「(フッ……また何か妙案を思いついたな?)」

 

私がラギアクルスへ指示を出すと、彼は瞬時に対応し充電を始めた。ムフェトさんは薄く笑みを浮かべ、事の成り行きを見守っている。

……ラギアクルスの背電殻が、限界まで輝きを増した……今だ!!

 

「せんらんばんらい!」

 

「グルオオオォアアァァァァ!!」

 

ラギアクルス最大の技、旋嵐万雷が発動!その広大かつ高威力の放電は、周囲の雪を一瞬で溶かし、さらに蒸発させた。バトルフィールドは雪が完全に溶けきっていて、地面がはっきりと見えている。

 

「……!いた!!」

 

私が戦場を広く見渡していると、地面が僅かにボコボコと盛り上がっている場所があった。あそこをブラントドスが移動しているんだ!

 

「ラギアクルス!あそこに向けてはかいこうせん!!」

 

「グルオアアア!」

 

「ブラアァ!?」

 

「ブラントドス!」

 

私が指示を出した場所へ的確にはかいこうせんを放つラギアクルス!着弾時の爆音に驚いたのか、ブラントドスが凍土から飛び出してきた!

 

「ちょうでんじほう、発射!!」

 

「グルアアアア!!」

 

「トドォ……!」

 

そのまま得意技の超電磁砲が直撃!爆発し、爆煙の中から落下してきたブラントドスはすっかり目を回している!

 

「ブラントドス、戦闘不能。ラギアクルスの勝ちだ」

 

「やった!流石だよ、ラギアクルス!」

 

「グルララ」

 

「ふむぅ……戻れ、ブラントドス」

 

ムフェトさんがブラントドスをボールに戻すのに合わせて、私もラギアクルスを一度ボールに戻す。

ここまで二連勝……これは順調な滑り出しといってもいいだろう。未知の巨大ポケモンが相手でも、みんなと一緒なら勝てる!

 

「では、次のポケモンを出そう」

 

「いいですよ」

 

「「ジンオウガ!/アンジャナフ!」」

 

「「ウオオオオオン!/ギャオオオオオン!」」

 

私はジンオウガを繰り出し、ムフェトさんはアンジャナフと呼ばれるポケモンを繰り出した。

 

くすんだ桃色の鱗と、背中から尻尾にかけて生えている黒い体毛。

下顎を覆うように生え揃った大きな刺。

 

ディノバルドよりもガチゴラスによく似た体型のポケモンだ。

 

「ほほぉ、"蛮顎竜"『アンジャナフ』か。これはなかなかの強敵だぞ」

 

「そうなんですか?」

 

「あぁ。アンジャナフは『森の暴れん坊』とも通称されているほどに獰猛な性質で、その顎を使った攻撃は非常に強力だ。

リオレウスと同じほのお・ドラゴンの複合タイプで、でんき、こおり、ドラゴンに強く、みずに弱く、ほのおが一切効かない体質をしている」

 

「ふむ……」

 

リオレウスと同じく、体質のおかげでこおりタイプを半減で受けられるドラゴンタイプか……。そして、ドラゴンだけどドラゴンに強いと……これは、ドラゴンタイプの弱点は意味がないな、ほのおタイプの弱点を突くように戦わないと。ただ、ジンオウガはほのおの弱点タイプであるみず、いわ、じめんタイプの技を使うことができない……。

……ハッ!それがどうした。

 

「たとえ相手が誰であろうと、ジンオウガと一緒に乗り越えます!」

 

「……まったく、すっかり信頼されているなジンオウガ。これは期待を裏切るわけには行かないぞ?」

 

「…………」(^_^;)

 

ジンオウガと一緒に戦うことは、私にとってとても特別なことだ!だから、ラージャンと戦う前から、負けるつもりは毛頭ない!そう意気込んでいると、アカイさんもまたジンオウガに発破をかけていた。

……心なしか、ジンオウガが冷や汗をかいているような……?いや、私のジンオウガに限ってプレッシャーで緊張しているなんてありえない。気のせいだな、うん。

 

「さあ、盛り上がっていこうじゃあないか!アンジャナフ、かえんぐるまだ!」

 

「ジャンナァーッ!!」

 

「……っ!それならこっちはスパークだ!!」

 

「ワオォンッ!!」

 

アンジャナフのかえんぐるまと、ジンオウガのスパークが互いにぶつかり合い激しく火花を散らす!……というか、あの巨体でかえんぐるまって質量からして既に凶器レベルだ。二体はお互いに弾かれた!

 

「10まんボルト!」

 

「ワン!」

 

「かえんほうしゃ!」

 

「ジャナァ!」

 

こんどは10まんボルトとかえんほうしゃがぶつかり合う。激しい爆発を起こしたことで、煙幕がお互いの姿を見えなくした……ここだ!

 

「でんこうせっか!」

 

「ワン!」

 

「ンジャア!?」

 

「怯むな、アンジャナフ!こおりのキバだ!!」

 

「ンジャナァ!!」

 

「ギャンッ!?」

 

「ジンオウガ!!」

 

嘘でしょ、ほのお・ドラゴンなのにこおり技が使えるの!?でんこうせっかを叩き込んだジンオウガだけど、背中にこおりのキバによる反撃を喰らってしまった!こおりのパワーが炸裂し、ジンオウガが僅かによろけてしまった。

 

「追撃だ!しねんのずつき!!」

 

「アンジャアァー!!」

 

「負けるな、ジンオウガ!かみくだく!!」

 

「……!ワオォン!!」

 

「ンギャッ!?」

 

「なんと!」

 

アンジャナフがしねんのずつきを構えてきたが、ジンオウガは咄嗟にアンジャナフの鼻先にかみくだくを食らわせることで技を中断させた!

 

「よしっ、つばめがえし!!」

 

「ウオオォンッ!」

 

「ジャアァ!」

 

「アンジャナフ!アイアンテール!!」

 

「……ッ!アンジャアアァ!!」

 

「ワウッ……!」

 

「そのままアッパーファングだ!」

 

「ンジャナアアァァッ!!」

 

つばめがえしの追撃は決まったが、そのあとすぐにアイアンテールによる反撃を食らわされた。くっ、立ち直りが早い……!さらに、アンジャナフは口元に炎を滾らせながら、下顎を地面にめり込ませながらジンオウガに向かって迫ってきた!

そのまま掬い上げるように噛み付かれたジンオウガは、勢いそのままに地面に叩きつけられてしまった!

 

「ギャウゥン!!」

 

「ジンオウガッ!!」

 

「さぁ、上げていくぞアンジャナフ!ヒートアップだ!!」

 

「ンジャアアナアァッ!!」

 

知らない技か……!そう思っていると、いきなりアンジャナフの背中から翼が姿を現し、鼻先も異様に隆起した。どこに隠していたんだとツッコミを入れたくなるような変化に、私は思わず口をあんぐりと開けてしまっていた。

 

「えぇ……嘘でしょ……」

 

「アンジャナフのフォルムチェンジ、『炎熱蓄積状態』だ。燃え上がる蛮顎、受けきれるかな?」

 

「……受けて立ちます!ジンオウガ、きりさく!」

 

「躱してかみくだく!」

 

「ワオオォンッ!」

 

「ジャナァフッ!」

 

ジンオウガがきりさくを放とうと前脚を上げたその時!脚を振り下ろされるよりも先にカウンターのようにかみくだくを食らわされてしまった!

 

「そのままぶんまわせ!」

 

「ジンオウガ……!」

 

一度叩きつけられた後、持ち上げられて再度叩きつけられたジンオウガ……このまま好きにやらせるか!

 

「シャドークローで脱出して!」

 

「ウォン!」

 

「グッ……」

 

「振り切ったか……!」

 

「ジンオウガ、アイアンテールだ!」

 

「ワオオォン!」

 

「ンジャッ!?」

 

シャドークローで顔を押しのけるようにして脱出したジンオウガは、素早く起き上がりアイアンテールでアンジャナフを吹っ飛ばした。

 

「次で終わらせてやろう……アンジャナフ、ジャナフディレイル!!」

 

「ジャナアアァフッ!!」

 

「ジンオウガ!クロスハイボルト!!」

 

「ウオオオォォンッ!!」

 

この数週間の間に、ジンオウガも新しい技を習得した……それを披露する時だ!

アンジャナフは先程よりもより苛烈になった火炎の力を顎に集中させると、再び地面を抉りながらジンオウガに迫って来る。対するジンオウガも、より強力に電撃を溜めると跳躍、自らが落雷と化すほど勢いで、足に集めた電撃の力を全力で叩きつけた!

ジンオウガとアンジャナフの技がぶつかり合い、再び大爆発を起こした。……煙が晴れると、しっかりと四肢で立つジンオウガと、倒れ伏すアンジャナフの姿があった。

 

「……アンジャナフ、戦闘不能。ジンオウガの勝ちだ」

 

「よしっ!お疲れ、ジンオウガ!」

 

「ワン!」

 

「はは!いやぁ、参った参った。これほどとはな……すまんなぁ、アンジャナフ。無理をさせたな、戻ってくれ」

 

「(寒冷地が苦手なのになんで蛮顎竜にしたんだよ……)」

 

「アカイさん?」

 

「いや、なんでもない。さぁ、次のポケモンを選ぶんだ」

 

「次は当然、決まっています」

 

「あぁ、私もだ」

 

「お願い、ガムート!!」

 

「舞い駆けよ、トビカガチ!!」

 

「パオオオォォンッ!!」

 

「キャオオォォンッ!!」

 

私が選んだのはガムート……そして、ムフェトさんはトビカガチというポケモンだ。

 

所々に黒が入り混じる青白い鱗や皮。

背面の首から尻尾にかけてを包み込む純白の体毛。

その身体の配色から一際目立って見える赤い眼。

 

その体つきは、どことなくオドガロンを彷彿とさせるけど……まさか、同じ種族なのかな?

 

「トビカガチか……機動力では完全敗北だから、それ以外でどうにかせねばな。トビカガチは"飛雷竜"の別名を持つ牙竜種のポケモンだ」

 

「牙竜種……それって、ジンオウガの仲間!?」

 

「そうだ。ついでに言えば、オドガロンも同じ牙竜種だ。……さて、話を戻そう。

トビカガチは別名にあるとおりでんきタイプのポケモンだ。さらに、ジンオウガと同じかくとうタイプとの複合タイプでもある。やつはこおりとドラゴンに強く、ほのおとみずに弱く、でんきが一切効かない体質だ。タイプ相性とも合わせて、ガムートではやや不利だが……」

 

「でも、パワーとタフネスならこちらが有利です。機動力で翻弄してこようとも、しっかりと対処すればいいだけ……!」

 

「フッ……そうだな、それでこそショウだ。頑張ってくれたまえ」

 

「もちろん!」

 

「話は終いか?では行くぞ!トビカガチ、でんこうせっか!!」

 

「トガーッ!!」

 

トビカガチは目にも止まらない速さでガムートに接近すると、でんこうせっかを食らわせてきた。……ガムートはビクともしていないけど、トビカガチは絶えず攻撃を繰り返してきている。塵も積もればなんとやら……このまま攻撃を続けさせるわけには行かない!

 

「ガムート!だいちのちから!!」

 

「ガムアアァー!!」

 

「躱せ!」

 

「カガッチ!」

 

ガムートが周囲一帯をだいちのちからで攻撃するが、トビカガチは軽やかな動きでだいちのちからを次々と回避している。想像以上に素早さが高い……ならば!

 

「ストーンエッジ!!」

 

「ガムゥー!!」

 

「フッ……」

 

動きを封じるべく、ストーンエッジでトビカガチを追い込む!だが……。

 

「なっ!?」

 

トビカガチはあろうことか、突き出てきたストーンエッジに飛びつくと、そのまま岩から岩へと飛び移ってこちらに急接近してきた!?しまった、これは悪手だったのか!!

 

「さあ受けよ、らいでんぐるま!!」

 

「トビガー!!」

 

「ガムアアァ!?」

 

「ガムート!!」

 

限界ギリギリまで接近すると、トビカガチは一気に跳躍。腕や足を広げると、なんと皮膜がついている!?その飛膜を使って滑空し、ガムートの頭上を取ると体を丸めて電撃を纏い、そのまま回転しながらガムートに叩きつけてきた!

まるでかえんぐるまのでんきタイプバージョンみたいだ……!

 

「ガムートはでんきに弱いからな、弱点はしっかり突かせてもらったぞ」

 

「くっ……だが!!」

 

「ガムアッ!!」

 

「トガッ!?」

 

一撃を加えて地上へ着地しようとするトビカガチ……だが、ガムートが素早く鼻を伸ばしたことでしっかりと捕まえた!!

 

「捕まえた!!」

 

「しまった……!」

 

「これで逃げられない……!力強く、だいちのちから!!」

 

「パオオオオッ!!」

 

ガムートは捕らえたトビカガチを地面に放り投げ叩きつけたあと、起き上がる前に力業だいちのちからをトビカガチに直撃させた!

 

「カギャアアァー!?」

 

「マズイな……トビカガチ、ハイボルテージだ!」

 

「トガアアアァァチッ!!」

 

攻撃から抜け出したトビカガチが、激しく体を震わせると体毛が電光を放ちながら一気に逆立った!?アンジャナフのような、形態変化が存在するのか!

 

「さぁ、攻め立てろ!素早く、スパーク!!」

 

「トガアアァッ!!」

 

「ガムア!?」

 

「速いっ!?」

 

最初のでんこうせっかなんて目じゃない速度でトビカガチが攻めてきた!?ダメだ……ガムートは全然反応できていない……!

スパークの連続攻撃……早業で威力が落ちるとはいえ、こうも立て続けに喰らい続けたら流石にマズイ……!!

 

「まだまだ!カガチぐるまだ!!」

 

「トビガアァ!」

 

トビカガチは再び跳躍すると、そのままガムートの足元に滑り込み、足払いのように電撃を纏う尻尾を薙ぎ払った!僅かに体勢が崩れるガムート……いや、ここだ、ここしかない!

 

「ガムート!シルバースタンプ!!」

 

「ガムアアアアァァッ!!」

 

「!!トカガアアァァァッ!!」

 

「……迂闊!近づきすぎたか……!」

 

こおり技は効果は今ひとつといえど、これだけの大振動に加えて連続攻撃を浴びせられたら、流石のトビカガチでも逃げられない!

 

「トビカガチ、距離を取れ!カガチのいかづちで仕留めろ!!」

 

「トビガッ!!」

 

トビカガチはなんとか技から抜け出すと、一気に距離を取る。そのままガムートの周辺を素早く駆け回りつつ、体を震わせて頻りに体毛を摺りあわせている……なるほど、ああやって電力を溜めているのか!そしてそのまま高く跳躍し、らいでんぐるまの時のように大回転しながらガムート目掛けて落下してきた!

 

「ガムート!しっかり引きつけて……」

 

「ガムッ!」

 

「……今だ!力強く、ハイドロポンプッ!!」

 

「ガムアアアァァッ!!」

 

「……!!みずタイプの技だと!?」

 

ムフェトさんが驚いている……もしかして、ガムートがみず技を使えることを知らなかったのかな?

 

「あいつの地元にはガムートが生息していないのでな……知らぬのも無理はない」

 

「アカイさんは教えなかったんですか?」

 

「青二才の分際で王だなんだと持て囃されてイキってたんでな、腹が立つから黙ってた」

 

「あっ、そう……」

 

アカイさん、結構子供っぽいところがあるんだ……やっぱり知り合いの前だと色々と肩の力が抜けるのかな?シロちゃんとは……うん、忘れよう。主に本人の名誉のために。

さて、バトルに意識を戻さないと……と、そちらへ意識を向けるとちょうど爆発が起きていた。ガムートが目の前まで吹っ飛ばされるも、四肢を踏ん張ってなんとか立ち止まった。

 

「ガムート!大丈夫?」

 

「ガムア!」

 

「トビカガチは……」

 

煙の中から落下してきたトビカガチは……目を回している!戦闘不能だ!!

 

「トビカガチ、戦闘不能。ガムートの勝ちだ」

 

「いやはや、見事だ!さすがは寒冷地においても群を抜く強さを持つ牙獣種最大種だ。……ところで、アカイ?」

 

「あ?」

 

「ガムートがみず技を使えるとか知らなかったんだが?」

 

「誰が教えるかバカタレが!調子に乗った罰だ、猛省しろ!」

 

「大人げないやつだなぁ」

 

「黙れガキが……!」

 

……なんだろう、うん。見ていてすんごいほっこりする。あのアカイさんが体裁を気にせず会話をしているってだけでも、思わず笑みが浮かんでしまう。

 

「さて……私の手持ちも残すところ二体。次の一体を倒せば、その次はラージャンだ」

 

「ウホウホ」

 

「えぇ、絶対に勝ちます。勝って、ラージャンに挑みます!」

 

「その意気だ!行け、レイギエナ!!」

 

「戻ってガムート!お願い、リオレウス!!」

 

「ケエエェェェェンッ!!」

 

「グオオォォォォオッ!!」

 

私が繰り出したのはリオレウス!対してムフェトさんはレイギエナを繰り出した。

 

蝶か花を思わせるような美しくなめらかな翼。

端々にヒレのようなものがついた鋭角的なフォルム。

青い上面と、象牙色の下面という変わった体色。

 

リオレウスとはまた違った、力強い風格を漂わせるポケモンだ……!

 

「レイギエナ……なるほど、コイツが本命か」

 

「やはり……強いですか」

 

「あぁ……とある地域では生態系の主とまで称されるほどの傑物だ。

"風漂竜"の別名を持つレイギエナのタイプはこおり・ひこう。みずとドラゴンに強く、ほのおとでんきに弱く、こおりが一切効かない体質をしている。

リオレウスならばタイプ相性上有利に立ち回れるだろうが……レイギエナの空戦能力はリオレウス以上に特化している。確実に優勢を維持するなら、積極的に墜落させることを推奨する」

 

「了解です……!」

 

リオレウス以上の空戦能力……どれほどのものか……。

 

「では行くぞ!飛べ、レイギエナ!」

 

「レェナアァ!!」

 

「追って、リオレウス!!」

 

「グオン!!」

 

レイギエナは早速空へと飛び上がり、リオレウスもすぐに後を追う。両者ともに空へ舞い、空中で対峙した。

 

「リオレウス、エアスラッシュ!!」

 

「グオオオ!グオオオ!!」

 

「躱せ!」

 

「レァ!」

 

リオレウスがエアスラッシュの弾幕でレイギエナを攻め立てる。……だが、レイギエナは上下左右、自由自在な空中機動を披露し弾幕をすべて躱しきった!?

 

「嘘っ……!?」

 

「さあ、反撃するぞ!コールドブラスト!!」

 

「ケエエエェンッ!!」

 

「グオォアッ!」

 

レイギエナの体や翼、果ては尻尾にまで一瞬で霜がびっしりと生えたかと思うと、レイギエナが大きく翼を羽ばたくように動かした。その直後、こおりのつぶてよりも大きく鋭い氷の破片が弾幕のように大量にリオレウスに降り注いだ!

リオレウスも最初は回避していたが……徐々に当たり始めて、ついには避けきれなくなってしまった……!

 

「くっ……リオレウス、かえんほうしゃ!!」

 

「グオオオォア!!」

 

「突っ込め!」

 

「レェエナッ!」

 

リオレウスがかえんほうしゃで反撃を仕掛けるが、レイギエナはバレルロールしながら、かえんほうしゃを紙一重で回避しながら一気に接近してきた!

 

「リベンジアイスドリル!!」

 

「ケエエェェェェンッ!!」

 

「グオアッ!?」

 

「頑張って、リオレウス!サマーソルト!!」

 

「……!グオオオッ!!」

 

「ギエッ!!」

 

氷を纏ったバレルロールによる体当たりに、リオレウスは大きく吹っ飛ばされた。しかし、そこは空の王者。すぐさま体勢を整えると、なおも接近してくるレイギエナにサマーソルトを叩きつけた!

追撃態勢に入っていたレイギエナは回避できず、この一撃が直撃した……だが、すぐさま体勢を立て直すあたり、リオレウス以上の空中特化は伊達ではないということか……。

 

「りゅうのはどう!」

 

「ケエエェンッ!!」

 

「かえんほうしゃ!」

 

「グオオォオッ!!」

 

「……!リオレウス、突撃!!」

 

レイギエナのりゅうのはどうとリオレウスのかえんほうしゃが僅かに拮抗する。……このまま押し切ってもいいけど、それだと直撃前に逃げられる可能性がある。だから、こっちから先に突っ込んでやる!

リオレウスは指示通りに突撃を開始。拮抗地点まで徐々に近づき……。

 

「……今だ、ブレイブバード!!」

 

「……!グオオオオオンッ!!」

 

そこでかえんほうしゃを中断して急上昇!そのままブレイブバードで一気に突撃した!この急制動にレイギエナも面食らい、りゅうのはどうを中断してしまったほどだ。当然、ブレイブバードは直撃!そのままレイギエナを押し込んで、一気に地上へ叩き落としてみせた!

 

「よしっ……そのままフレアドライブ!!」

 

「グオオオオンッ!!」

 

「ギエエエェェア!?」

 

本当に空中戦に特化しているんだ……。地上に降りたったレイギエナはリオレウスの突撃を満足に回避できず、そのまま直撃をもらった。このまま一気に押し込む……!

 

「レイギエナ」

 

「……!!」

 

「見せてやれ……凍て刺す貴様の寒冷なる力を!」

 

ムフェトさんがそう言うと、懐から横笛を取り出した。……!あの笛、キーストーンが埋め込まれている!?

 

「レイギエナ、メガシンカ!!」

 

「レエェナアアァ!」

 

笛に埋め込まれたキーストーンと、レイギエナの尻尾についているメガストーンが共鳴している……!キーストーンと、メガストーンから光が伸びて結びつき、レイギエナが光に包まれた。

光は一瞬のうちにレイギエナの姿を変え、メガシンカ姿へと変化させた。

 

青み掛かった黒銀色に染まった体の一部。

体に纏われた氷柱のように鋭く尖った霜。

先程よりも一回り大きくなった体格。

 

「ケエ"エ"ェ"ェ"ェ"ェ"ン"ッ!!」

 

「メガシンカ、完了……」

 

レイギエナ……メガシンカするのか……!!

 

「……【凍て刺すレイギエナ】か。メガシンカまで用意するとは……鍛錬だとつくづく言い含めていたのにあの野郎……」

 

……どうやらアカイさんとの間に、情報の行き違いがあったみたい。

 

「さあ、参るぞレイギエナ!アイステール!!」

 

「レェエエエナ!!」

 

「……!躱して!!」

 

「グオンッ!……グアッ!?」

 

地上から接近してきたメガレイギエナが、横へ薙ぎ払うように尻尾を振るった!リオレウスは大きくバックステップをとることでこれを回避した……だが、尻尾が振るわれた場所から氷の刺が大量に生えてきて、その刺がリオレウスを襲った!

 

「リオレウス!?」

 

「畳み掛けろ、エアリアルテール!!」

 

「レエエェナ!!」

 

「グオアアアッ!!」

 

攻撃の流れでそのまま宙へ舞ったメガレイギエナは、空中からも尻尾を横に振り回しリオレウスへ猛攻を続ける!マズイ、こうなったら……!

 

「リオレウス――」

 

「グオアアアッ!グオオオオオンッ!!」

 

私がリオレウスへ声をかけると、リオレウスはこちらへ振り返り頻りに首を横に振っている……私が何をしようとしているのか、わかっているの……?その上で、「それはダメだ」って……そう言っているの……?

 

「……わかっ、た。でも、どうすれば……」

 

私がなにか作戦を考えていると……リオレウスは突然尻尾を動かし体の側面に持ってくると、次は首を伸ばしてその尻尾に噛み付いた。……って、あそこはたしかメガストーンが……。

 

ガリガリガリッ!!

 

「……って、ちょっと待って!?食べてる?もしかしなくてもメガストーン食べてる!?」

 

バキッ!!

 

何かが壊れる音……それと同時に、地面に落ちるメガストーンとそのデバイス。リオレウスはレウスナイトをヒョイ、と咥えるとそれをそのままゴクン、と飲み込んでしまった。

……って、えええええぇぇぇっ!?

 

「ダメよリオレウス!ペッしなさい!ペッ!!」

 

「グオ?」

 

「……ダメだこの火竜早く何とかしないと」

 

「……いや、待て。これは……!」

 

アカイさんが何か言っている……私が抱えていた頭を離して前を見ると、リオレウスを中心に強い力が激しく渦巻いている……!!待って、この現象、まさか……!!

 

「グオオオアアアアアアアアアッ!!」

 

「リオレウス……!」

 

「まさか……そんなことが……!?」

 

アカイさんもひどく驚いている……どうやら、アカイさんですらまるで予想ができなかったことが、目の前で起こっているみたいだ……!!

渦がより激しさを増し、その力の奔流が稲妻という形になって表れる。やがてその力が溢れ、大きく炸裂したとき……!!

 

「グオ"オ"オ"オ"オ"オ"ッ!!」

 

リオレウスが……進化、した!?……って、あれ?

 

「……進化、だよ、ね……?」

 

「……あぁ、進化だ。紛うことなき、な」

 

「じゃあなんで姿が"メガリオレウス"なんですか!?」

 

そう、リオレウスは進化した。……ただ、その姿はメガシンカしたメガリオレウス、即ち【黒炎王】のものだったからだ。どういうこと……進化とメガシンカは別物なんじゃ……?

 

「ショウ」

 

「ア、アカイさん……?」

 

「ヒスイ地方では珍しいことなのかもしれないが……我が地元ではメガシンカ個体が野生個体として跋扈していることはざらにある。だから、我々としては別段珍しいものではなかったのだが……そんなにおかしいことか?」

 

「お、おかしいですよ!ラベン博士も、進化とメガシンカは別物だって……」

 

「ふむ……ということは、地域ごとに成長過程に変化が生じているのかもしれんな。こちらの地方では起こらない現象なのかもしれん」

 

「…………」

 

そういうものか……?いや、アカイさんやシロちゃんの地元のことだ、彼らの方が知見は広いし……進化先がメガシンカ個体という可能性も、決してないとは限らない。

 

きっとそういうものだろう。

 

「……なるほど、わかりました。ひとまず納得します」

 

「あぁ、そうしてくれ。……そのほうが、後々楽なのでね」

 

「え?」

 

「気にするな。……それよりも、リオレウスに指示を出さなくていいのかね?」

 

あ、そうだった。まさかのメガシンカ個体への通常進化というありえない光景を目の当たりにして、ちょっと呆けてしまった。

 

「行ける?リオレウス」

 

「グオグオンッ!!」

 

「よぉし……リオレウス、かえんほうしゃだ!!」

 

「グオオオオオオッ!!」

 

メガリオレウス……いや、リオレウスの口から放たれたかえんほうしゃは、炎というよりも炎のビームというレベルになっていた!……流石にグラビモスのマグマライザーには劣るけど、それでもかなりの火力が見込める!

 

「躱せ!!」

 

「レエェイ!!」

 

「厄介な……アイシクルリージョンで仕留めるぞ!」

 

「レイナアアァァッ!!」

 

メガレイギエナは低空飛行で一気に接近すると、片翼を地面にこすりながら、リオレウスを中心に円を描くように飛んだ。そうして飛ぶと、地面から生えた霜がやがて氷の刃となりリオレウスを包囲してしまった。

さらにレイギエナは高く空へ舞い上がると、一瞬で大量の氷の刃を生成し、それを一斉にリオレウスめがけて叩きつけてきた!

 

「どうだ……!」

 

「リオレウス……!」

 

氷の刃を断続的に叩きつけられるリオレウス……だが!

 

「リオレウス!フレアドライブ!!」

 

「グオオオオオオオオッ!!」

 

その身に爆炎を纏ったリオレウスは一気に飛翔!氷の刃などものともせず、一直線にメガレイギエナの元へ飛んでいく!

 

「ギエエエナッ!?」

 

「なんだと!?」

 

「そのまま地面へ!」

 

リオレウスはメガレイギエナを伴って地面に向かって一直線!そのまま衝突し、激しい爆発を起こした!

煙の中からリオレウスが姿を現し……レイギエナは、メガシンカが解除されている!

 

「レイギエナ、戦闘不能。リオレウスの勝ちだ」

 

「やった!」

 

「……は、はは。参ったな……いや、本当に」

 

ムフェトさんは苦笑いを浮かべながら、レイギエナをボールに戻す。すると、のそのそと背後に控えていたラージャンが前に出てきた。

 

「すまんな、金獅子よ。結局、お前を当てにすることになってしまったな」

 

「ウホ」

 

「……あぁ、そうだな。……ここですべてを倒してしまえば、問題はない」

 

「グルルル……」

 

うっ……凄まじい威圧感だ。ここは一旦、リオレウスを戻そう。

 

「戻って、リオレウス」

 

「グオ」

 

「……グラビモス!!」

 

「ヴァーッ!!」

 

グラビモス……毒でかなり体力が減っているから、ラージャンの動きを見るためにもここは盾になってもらうしかない……ごめんね、グラビモス……。

 

「さぁ、いよいよ最後だな。

相手は金獅子、破壊の権化。

荒ぶる獣、猛き狂王、黄金の暴風雨……あらゆる異名で恐れられる最強の牙獣種。

森羅万象を滅殺する厄災を前に……君は、生き残れるか!?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

推奨BGM

【黄金の鬣/ラージャン】~モンスターハンターシリーズ~

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「マッハパンチ」

 

「ヴオォア!!」

 

「!?」

 

ズドンッ、と鈍い音が響いた。……え、待って、何が起きたの?私が混乱していると、いつの間にかグラビモスに肉薄していたラージャンが、ゆっくりと拳を離した。その直後、グラビモスの体がゆっくりと横たえた。

 

「――え」

 

「グラビモス、戦闘不能。ラージャンの勝ちだ」

 

「……ッ!!」

 

そんな……!!いくら毒で弱っていたとはいえ、物理技の、それも比較的低威力のマッハパンチを一発食らっただけで……!?

 

「ラージャンはかくとう単タイプのポケモンで、みずに強くこおりに弱く、さらにほのお、でんき、ドラゴンが効かない体質だ。ご覧の通りのかくとうタイプだ、単純明快だろう?」

 

「かくとう単タイプで三タイプ無効は複雑怪奇です」

 

なんでかくとうタイプがほのおとでんきとドラゴンを無効化できるんだまるで意味がわからんぞ!

 

「戻ってグラビモス……。こおりタイプなら……ガムート!!」

 

「ガムアアアアァァッ!!」

 

ガムートも耐久力のあるポケモンだ!多少の攻撃ではびくともしない!!

 

「ホワイトブラスター!!」

 

「パオオオオンッ!!」

 

「躱してインファイト!!」

 

「ウオオオォアッ!!」

 

ガムートのホワイトブラスターを左右へステップするような動きで前進しつつ回避、高く跳躍し空中から猛撃の連打で急襲してきた!!

ラージャンの猛攻が終わり、距離を取ると……ガムートは膝から崩れ落ちてしまった……!?

 

「ガムート、戦闘不能。ラージャンの勝ちだ」

 

「くっ……戻って、ガムート……」

 

「このラージャン強いなぁ!さすがは元祖古龍級生物!!」

 

ムフェトさんも興奮気味だ。……ここまで、私が連続で勝利してきたのに、こんどはムフェトさんとラージャンが連勝を始めた。まずい、この流れを断ち切らないと……!

 

「ラギアクルス!」

 

「グルオオオアアアアッ!!」

 

こおりタイプの技なら、ラギアクルスだっている!まだ負けたわけじゃない……!!

 

「ラギアクルス!れいとうビーム!!」

 

「グルアアアアッ!!」

 

「かえんほうしゃだ」

 

「ヴオオオォォ!!」

 

かえんほうしゃ……!?れいとうビームだと相性が悪い!

 

「躱して!!」

 

「グルオア!」

 

かえんほうしゃは回避……っ!!

 

「ラギアクルス!上っ!!」

 

「……!!」

 

「ラージャン、ほのおのパンチ」

 

「ウオオオオオォッ!!」

 

くっ……ここは、少しでもダメージを稼ぐ!!

 

「こおりのキバで迎え撃って!!」

 

「グルオアアアッ!!」

 

振り抜かれたラージャンの右拳を避け、なんとか体に噛み付いたラギアクルス。だが、ラージャンは左腕でラギアクルスの角を掴むと、そのままほのおを纏う右拳をラギアクルスの顎に叩きつけてきた!

ほのおとこおりのぶつかり合いに爆発が起き……ラージャンはラギアクルスの顎から脱出。ラギアクルスは……。

 

「グ……ル……」

 

「ラギアクルス、戦闘不能。ラージャンの勝ちだ」

 

「くっ……!!」

 

強すぎる……!いくら私のポケモンたちが先程までのダメージを引きずっているとはいえ、こうも尽く一撃で沈められるなんて……!!

 

「フゥー……戻って、ラギアクルス」

 

落ち着け……こういう時こそ冷静に、だ。ムキになって視野が狭まれば、その分苦労するのはポケモンの方だ。トレーナーの私が冷静でなければ、まともな指示なんて出せやしない……!!

 

「ジンオウガ!!」

 

「ウオオオォォォンッ!!」

 

この三連戦で、最後まで温存すべきポケモンは決まった。だから、私はここでジンオウガを投入する!

 

「ジンオウガ、きりさく!!」

 

「ラージャン、ドレインパンチだ」

 

「ウオオォォンッ!!」

 

「ヴオオォォアッ!!」

 

ジンオウガが積極的に攻め立て、ラージャンもカウンター気味に反撃をする。ただ、こちらはきりさくだが、向こうはドレインパンチ……攻撃を当てられたら、回復されてしまう……!

ジンオウガが前脚を振り下ろすと、ラージャンは片腕で受け止めると、空いた片腕でジンオウガの顎を殴りつけた!ジンオウガが怯んだ隙を突いてラージャンが背中に飛び乗ると、そのまま角を掴んで背中側に思い切り引っ張って仰向けにジンオウガをひっくり返してしまった!ラージャンが腕を振り上げている……だが、ジンオウガは素早く体を起こすとその勢いそのままにライジングテールを繰り出し、ラージャンを吹っ飛ばした!

 

「(いける……!)しねんのずつき!!」

 

「ウオオオォォンッ!!」

 

起き上がろうとしているラージャンに、ジンオウガが追撃を――。

 

「力強く、れいとうパンチ!」

 

「ヴオアアアァァッ!!」

 

「ギャッ!!」

 

「ジンオウガ……!!」

 

ジンオウガの頭突きは躱され、カウンターにれいとうパンチが顔面に叩き込まれた!吹っ飛ばされ、ゴロゴロと転がるジンオウガ……なんとか起き上がろうとするが……力なく倒れてしまった。

 

「ジンオウガ、戦闘不能。ラージャンの勝ちだ」

 

「……戻って、ジンオウガ」

 

とうとうジンオウガまで……。六対一から、あっという間に二対一……さすがは古龍級生物、強すぎるよ……!

 

「リオレウス!!」

 

「グオオオオオンッ!!」

 

五体目はリオレウス……!なんとかして、少しでもダメージを稼がないと……!!

 

「リオレウス!エアカッター!!」

 

「グオオ!グオオ!グオオ!」

 

「回避だ!」

 

ラージャンは変わらない身のこなしでリオレウスの攻撃を次々と回避する……それなら」

 

「リオレウス、たつまき!!」

 

「グオオン!」

 

「何?ドラゴン技がラージャンには……なんだと?」

 

初めは訝しげにしていたムフェトさんだが……私の意図に気づいてからは、すぐに驚いた表情へと変わった。

リオレウスはたつまきの技を、かなり広範囲に放っていた。それにより、ラギアクルスの大放電の範囲から逃れた雪を巻き上げて、ラージャンの視界を遮ったのだ。

 

「目的は目潰しか!」

 

「リオレウス!力強く、エアスラッシュ!!」

 

「グオオオオアッ!!」

 

「グウウウゥゥゥッ!!」

 

よしっ!!力業エアスラッシュが直撃!!ラージャンには効果は抜群だ!

 

「そのままポイズンクロー!!」

 

「グオオオオオッ!」

 

さらに上空から強襲し、足の爪でラージャンを毒状態にできた!そのままラージャンの背後に回ろうとするリオレウスだったが……。

 

「逃がすな」

 

「ヴオアアアッ!!」

 

なんとラージャンは素早く飛びかかり、リオレウスの尻尾を掴むとそのまま引きずり倒して背負い投げしてしまった!さらにもう一度背負い投げを食らわせると、一気に攻勢をかけてきた!

 

「ラージャン、げきりんだ!!」

 

「ヴオオオアアアアァァッ!!」

 

「グオオアアアァァァッ……!!」

 

「リオレウス……!!」

 

ラージャンのげきりんによる猛攻に耐えきれず、リオレウスはそのまま倒れ込んでしまった……。

 

「リオレウス、戦闘不能。ラージャンの勝ちだ」

 

「……戻って、リオレウス……」

 

「……さて、すっかり逆転したな、ショウ」

 

「えぇ……さすがはラージャン、古龍級生物……でも、私は絶対に諦めませんよ」

 

「あぁ……あぁ!そうでなくてはな!!」

 

泣いても笑っても、これが最後だ……!

 

「ベリオロスッ!!」

 

「ガオオオオオンッ!!」

 

私がベリオロスを繰り出すと、遠くから歓声が聞こえてきた。……ふふっ、これはますます負けられなくなっちゃったな。

 

「絶対に勝とう、ベリオロス!」

 

「ガオガオ!」

 

「さぁて……そう上手くいくかな?」

 

「行きます……絶対に行かせる!!だから……!」

 

私はメガリングを構える。ベリオロスに額あてのようにしてつけてあげたメガストーンが光を放つ!

 

「我が心に応えよ、キーストーン!進化を超えろ……!

ベリオロス!メガシンカ!!

 

ベリオロスともに、強い決意を抱く。負けない……決して負けはしないと!私のキーストーンと、ベリオロスのメガストーンから光が伸びて結びつき、ベリオロスが光に包まれた!!

体に変化が現れ始め、光の中でベリオロスの姿が変わっていく……!やがて光が消え、その姿が顕になった!

 

頬や下顎などに、まるで口髭のように生え揃った体毛。

全身に付着した氷の結晶によって白から青白い色味に変化した体。

鋭い氷の結晶に覆われたことで寒々しい色と化した牙。

さらにその全身にはダイヤモンドダストのような氷のオーラが纏われている。

 

「ガオ"オ"オ"オ"オ"オ"ッ!!」

 

メガベリオロス……グラビモスと同じく、二つ名個体が存在しないポケモン。

名付けよう!貴方の名は……【凍氷刃(とうひょうじん)】!【凍氷刃(とうひょうじん)ベリオロス】!!

 

あまり時間をかけたくはない……一気に勝負をつけてやる!!

 

「はっはっは、面白い!ならばラージャン、我々も遠慮する必要はなさそうだ!」

 

「ウホゥ!」

 

「行くぞ、ラージャン!はしゃけんげん!!」

 

「ヴオオォォアアアァ!!」

 

ムフェトさんが指示を出すと、突然ラージャンが後ろ足で立ち上がると、そのまま全身の毛という毛が金色に変化した……って、変身した!?

 

「き、金色になった……」

 

「覇者顕現……"金獅子"の別名は、決して嘘ではないさ」

 

「……それでも、退くわけには行かない!!ベリオロス、素早く、こおりのつぶて!」

 

「ガオオンッ!!」

 

「ウグッ……!」

 

「畳み掛けて!こごえるかぜ!!」

 

「ガオオ!」

 

こおりのつぶてで先手を取り、こごえるかぜで相手の動きに遅れを生じさせる!!そこから本命の……!

 

「ひょうらんほう!!」

 

「ガオオオオオオッ!!」

 

「ウギャアァッ!?」

 

「強気だな!だが、それでもラージャンは倒せんぞ!ラージャン、ほのおのパンチ!!」

 

「ヴオオオッ!!」

 

氷嵐砲による氷の嵐に囚われながらも、ラージャンは怯まない……!氷の嵐を強引に抜けると、そのままほのおのパンチをベリオロスに叩き込んできた!

 

「ガアッ!!」

 

「怯むなベリオロス!こおりのキバ!!」

 

「ガオオオン!」

 

「グウゥッ!」

 

このままこおり技で攻めきる!!

 

「ふぶき!!」

 

「げっこうほう!!」

 

「ガオオオオオ!!」

 

「ヴオオオオオ!!」

 

ベリオロスのふぶきに対し、ラージャンも金色のビームを口から放ってきた!!両者は完全に拮抗し、爆発を起こして二体とも吹っ飛ばした!!

 

「ここで決める……ベリオロス、奥義装填!!」

 

「フッ……ラージャン、奥義装填」

 

「ガオオオン!」

 

「ウホホゥ!!」

 

「グラウンドサイクロン!!」

 

「ギガンティックメテオ!!」

 

宙へと舞ったベリオロスが、氷のビームを口から発射する!それにより次々と氷塊が生えてきて……それらが一瞬で砕けると、巨大な氷の竜巻となった!!

だが、氷の竜巻が発生する直前、ラージャンもまた地面に両拳を叩きつけ大地を割ると、大量の岩石を発生させた!

氷の竜巻により、姿が見えなくなったラージャン……いや!!

 

「あれは!」

 

竜巻の中を、何かが物凄い勢いで登っていく!やがて竜巻から飛び出したその影……ラージャンは一番高く打ち上げられていた超巨大岩石を掴むと、そこへ自身の力を送り込む。すると、巨大岩石は黄金色に輝き始め、ラージャンはそれをベリオロスめがけてぶん投げてきた!?

 

「ガアアアアアアッ!?」

 

「ベリオロスーッ!!」

 

岩石もろとも地面に叩きつけられたベリオロス……岩石が大爆発を起こし、煙が晴れると……。

 

「ガオォ……」

 

「……ベリオロス、戦闘不能。ラージャンの勝ちだ。よって勝者、ムフェト」

 

「……っ」

 

負け、た……また負けた……。

……ちくしょう。ちくしょう、ちくしょう、畜生畜生畜生!!

 

「あ"ぁ"ー!!悔しいぃーっ!!」

 

こういう時は、思い切り叫ぶ!!思いが負の感情になる前に、叫び散らして吐き出すんだ!

 

「いけると思った!勝てると思った!勝算だって十分にあったはずなのに!!」

 

「私の時にも言っただろう?"古龍級生物を舐めんじゃねえ"……とな」

 

「うぅ……舐めてたわけじゃないですけど、勝つ自信はあったんですよぅ……」

 

私はベリオロスをボールに戻しながらぼやく。……とんでもない大どんでん返しだった。まさかあそこから全タテして勝つなんて……。

 

「次元が違うんですねぇ……」

 

「だが、収穫はあった……だろう?ショウ」

 

「ムフェトさん……」

 

穏やかな笑みを浮かべたムフェトさんがこちらに近寄ってきた。ラージャンは……かなりボロボロだ。あとひと押しあれば、勝てたかもしれない……。

 

「いやはや、いい仕事をしたら、腹が減ったな。アカイ、なにか美味いものを知らないか?」

 

「木の実なら腐るほどあるぞ」

 

「肉をくれ、肉を」

 

「……あの、ムフェトさんもうちのムラに来ますか?アカイさんは私が拠点としているムラでもかなり信頼の厚い人で、その人の知人とあれば無下にはされないかと……」

 

「おぉ、いいのか?まぁ、一泊くらいはしていきたいと思っていたんだよ。せっかくの未知の地なのでね、観光がてら見て回りたかったんだ」

 

「寄り道してないでとっとと帰れ」

 

「辛辣だなぁ」

 

……この二人、いつも漫才みたいなやり取りをしているなぁ……。

今日のバトル……決して無駄ではなかったはずだ。結果的には負けてしまったけど、これも一つの経験だ。もっともっと勝負をして、もっともっと腕を磨かなくては!

 

「ムフェトさん、ありがとうございました」

 

「あぁ、こちらこそ……楽しかったよ、青い星」

 

私とムフェトさんは、がっちりと握手をする。この握手に私は誓おう……今まで以上の研鑽と、更なる精進を!

 

 

 

 




ド派手に遅刻しておいてこのクオリティ……時間が、時間がないぃ……!

赤龍、ゲスト参戦!そして手持ちはこちら
プケプケ(原種)
どく・ひこう
弱点 火:△ 水:× 雷:◎ 氷:〇 龍:△
四倍:でんき、こおり
二倍:エスパー、いわ
半減以下:ほのお、くさ、かくとう、どく、むし、ドラゴン、フェアリー
こうかなし:みず、じめん
等倍:上記以外全部


アンジャナフ(原種)
ほのお・ドラゴン
弱点 火:× 水:〇 雷:△ 氷:△ 龍:△
四倍:なし
二倍:みず、じめん、いわ
半減以下:でんき、くさ、こおり、むし、はがね
こうかなし:ほのお
等倍:上記以外全部


ブラントドス
みず・こおり
弱点 火:◎ 水:△ 雷:〇 氷:× 龍:×
四倍:でんき
二倍:ほのお、くさ、かくとう、いわ
半減以下:みず
こうかなし:こおり、ドラゴン
等倍:上記以外全部


トビカガチ(原種)
でんき・かくとう
弱点 火:〇 水:◎ 雷:× 氷:△ 龍:△
四倍:なし
二倍:ほのお、みず、じめん、エスパー、フェアリー
半減以下:こおり、むし、いわ、ドラゴン、あく、はがね
こうかなし:でんき
等倍:上記以外全部


レイギエナ
こおり・ひこう
弱点 火:〇 水:△ 雷:〇 氷:× 龍:△
四倍:ほのお、でんき、いわ
二倍:はがね
半減以下:みず、くさ、むし、ドラゴン
こうかなし:こおり、じめん
等倍:上記以外全部

メガレイギエナ(凍て刺す)
こおり・ひこう
弱点 火:〇 水:△ 雷:〇 氷:× 龍:△
四倍:ほのお、でんき、いわ
二倍:はがね
半減以下:みず、くさ、むし、ドラゴン
こうかなし:こおり、じめん
等倍:上記以外全部


ラージャン かくとう
弱点 火:× 水:△ 雷:× 氷:◎ 龍:×
四倍:なし
二倍:こおり、ひこう、エスパー、フェアリー
半減以下:みず、むし、いわ、あく
効果なし:ほのお、でんき、ドラゴン
等倍:上記以外全て

やっぱりラージャンが強すぎるんよ……なんだ、かくとう単タイプで無効タイプ三つって……。
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