ベールに包まれた超新星の秘密に迫る!!
「ハンターが注目するハンター」堂々の一位!
シズカ・ミズハシに迫る!!
シズカ・ミズハシ。
キャラバン隊『我らの団』に所属するガンランス使いのハンターだ。しかしその存在は神秘のベールに包まれており、未だ謎多きハンターである。
わかっていることだけでも
・歴代最年少となる15歳でハンターデビュー
→それまでの最年少デビュー年齢は19歳
・一般的なハンターの平均身長を10cm以上下回る小柄な体躯
→ハンターの平均身長はおよそ175cm
・巧みな戦術理論で作戦を構築する頭脳派ハンター
・デビューから5年でG級ハンターへと至った猛者
などなど、武勇伝には事欠かない。身長は162cmと小柄ながらも長大なガンランスを操る姿は強烈なギャップを感じさせる。強大なモンスターに対抗すべく、近接武器は一部を除くとハンターの身の丈を優に超えるものが多い。そんな中で「小さな体に大きな武器」という絵面はとにかく目立つこと請け合いである。
なんといっても凄まじいのは、一般的にハンターランクを一つ上げるのに最低5年は掛かるところ、彼女はなんとデビューからその5年間でG級ハンターへと至ったことだろう。ハンターランク(以下、HR)は一般的に3までが下位、4から8までが上位、それを超えるとG級と認められる。つまり、G級ハンターは最低でもHRが9でなければならない。HR1から始まりHR9へと至るための"緊急クエスト"を、約7ヶ月に一回は受けた上ですべて達成しているということになる。この早さは昇格時に20歳であることを考えると過去に例のないことであり、早さだけなら「歴代最速G級昇格ハンターランキング」の第4位に位置する早さであるが、『昇格時の年齢』は過去最若であり、彼女の異質さを際立たせている。
いま注目の
しかし、しかし!ベテランハンターならば誰もが注目するあのシズカ・ミズハシ……取材は叶わぬとも、一目見ぬことには諦めきれない!我々「狩りに生きる・取材班」は綿密な情報収集の末、彼女が受注したというクエストへ追跡調査を敢行した。そして奇跡的に狩猟を終えて帰還中の彼女と接触することに成功した取材班は、早速彼女に取材を申し込むことにした!
「狩場から拠点に戻るまで」という条件でシズカ氏は取材に応じてくれた。以下は彼女の取材の中から、編集部が抜粋した質疑応答の一部である。
Q.ハンターを目指すきっかけとは?
A.「別段、ハンターになろうと思ったことはなかったです。ただ、『我らの団』に拾ってもらった当時は、その……諸事情で自暴自棄になっていたので、若干ですが命を投げ捨てるつもりでいました。今はそんなことはないですけどね。
あれよあれよと流されるがままにハンターになりましたけど、今となっては"良かった"と言うべきでしょうね。こうして、誰かの為に力を振るう存在になれたのですから」
今でこそ凄腕ハンターとして名を連ねる彼女にもまた、未熟と呼ぶべき時期があったようだ。詳しくは語られなかったものの、断片的に拾い上げた情報を精査したところ、デビュー直前ころに親族を亡くしたらしくそれによって傷心を負っていたところを『我らの団』に保護され、心の傷を癒してもらったようだ。あくまで推測に過ぎないが、彼らへの恩返しの意味も含まれているのではなかろうか。
Q.手紙を出すのですか?宛先は?
A.「依頼主です。クエスト完了の報告を誰よりも心待ちにしているのは、ギルドではなく依頼主ですから。狩猟当時の状況や、狩猟後によって起こる環境や生態図の変化などをとりあえず伝えておけば、依頼主当人も何かしらの対策が立てられるんじゃないかなって。……まぁ、普通のハンターはここまでしないですよね。これは単純に私が気にしているだけなので、あまり深く考えないでくださいね」
Q.手紙の返事等は返ってくるのですか?
A.「……はい?手紙の返事?あぁ……いえ、あはは。実は、その……結構な頻度で返事はきます。内容は大体がお礼関係ですね。"ありがとう"、"助かった"、"感謝する"……いろんな言葉ではありましたが、そのほとんどがお礼の言葉でした。……ハンター冥利に尽きる、ってやつですかね……その言葉だけで、また次も頑張れるって思えるんですから、人間ってホント単純な生き物ですよ」
驚いた。どうやら彼女はクールな見た目や言動に反して、依頼主の心に寄り添う美しい精神の持ち主だったのだ。たしかに、我々が知りうる限りでは彼女ほど依頼主を強く意識してより距離を縮めようとするハンターは心当たりがない。これほどに心根が清廉潔白な彼女に依頼を受理してもらった依頼主は相当な果報者だろう。
身に纏うラギアXRシリーズの色とも相まって、彼女は幸せを運ぶ青い鳥なのかもしれない。
Q.シズカ氏といえば、「狗竜の恩返し」の噂が有名ですが、真相のほどは?
A.「げっ……その話、どこで……?……はぁ、わかりました。……バルバレまでまだ時間がありそうなので、話すとしましょうか。
そうですね、あれは……ちょうど二、三年ほど前。天空山で狩りを終えてキャンプに戻る途中で、傷ついたジャギィが一体、群れからはぐれて彷徨ってたんですよね。その姿が、少し前までの自分に似ていて無視できず……ついつい助けてしまったんですよ。たしか左後ろ脚が怪我してて、額に傷がついていましたね。
……え?あぁ、そりゃあ怒られましたよ。自然界において、勝手に命を助けたり奪ったりは無責任極まりない行為ですからね、ギルドからこてんぱんに叱られました。一応、それ以降はむやみに助けたりはしてないですけど」
以前からシズカ氏について噂になっていた「狗竜の恩返し」。
要約すると、シズカ氏が負傷したジャギィを助けた後、成長した個体が狩猟中に手助けをしてくれたという前代未聞の出来事である。
この噂については「真偽はともかく噂なら知っている」というハンターが実に大多数を占めている。そのため、我々取材班もこうして踏み込むことを決断したのだ。
「転機が訪れたのは、天空山でイビルジョーを狩猟している時ですね。結構強力な個体でして、少々手こずってたんですが……ちょうどその時、ドスジャギィが群れを率いて姿を現して、イビルジョーに襲いかかったんですよ。私にはまったく襲ってこなくてね。
どういうことかと考えてたら、ドスジャギィが近づいてきて……そう、額に傷が付いたドスジャギィでした。間違いなく、私が助けたあのジャギィだったんです。驚きましたよ……肉食の個体であるジャギィが私への恩を覚えていて、それを返すために古龍級生物に向かっていくなんて……普通は信じられないですよね」
どうやら噂は真実のようだ!シズカ氏はハンターズギルドからお叱りを受けたというが、一部界隈ではこの話は大変好評なようで、(やや誇張が見られるが)書籍化されたほどである。
この大陸の真反対には、"ライダー"と呼ばれる人々がモンスターをオトモのように連れ歩き狩猟したり共生している大陸が存在する、との噂があるが……シズカ氏とドスジャギィの関係を鑑みるに、ありえなくはない話だ。最近になって調査が進んだ"新大陸"に続いて、この噂の大陸の調査も始まるかもしれない。
この取材はバルバレに到着してしまったことで終了となった。まだまだ聞き足りないことが多いが、約束なのでシズカ氏の取材はここで終わりとする。もしまた会える機会があれば、聞き足りないことや一般に知られていないことなど、彼女についての質問をもっと重ねていく所存である。
以下はシズカ・ミズハシについてハンターやその関係者についての質問と回答である。残念ながらシズカ・ミズハシと最も密接な関係にある『我らの団』のメンバーからは聞き取りはできなかったことをここに留意する。
問:あなたにとって、シズカ・ミズハシとはどんなハンターですか?
回答者:モガの村在住の婦人
シズカ・ミズハシ?あぁ、あのハンターさんね。とっても親切な人よ?
ウチの村ってモガの森と隣接してるから、子供たちがハメを外して遊びに行ったりなんかしてねぇ。
迷ったり肉食のモンスターが出たりで帰ってこれなくなることがあるんだけどね、それでウチの坊やも森に出たっきり戻ってこれなくなったことがあってね……ギルドに依頼を出したんだけど、そのクエストを受けてくれたのがシズカさんだったのよ。
あの子ったらスゴイのよぉ、クエストの内容はジャギィとジャギィノスの討伐なのに、討伐を終えるとウチの坊やを探して、なんと見つけ出して連れて帰ってくれたのよ!最初見た時あんまり笑わない子かと思ったけど、アタシと坊やが抱き合ってるのを見て小さく微笑む様は、まるで年相応……いや、見た目よりずっと幼い女の子って感じだったわ。
……それにしても、あんな若い子がハンターなんて世知辛い世の中になったわねぇ。
回答者:年若い将軍
……む、あぁ失礼。つい質問の内容に、彼女のことを思い出していた。
……懐かしいな。ギルドから派遣されてきたハンターが、十代半ばの娘と知った時の心中は、それはもう穏やかではいられなかったさ。私よりも一回りも若く、それでいて小柄だったシズカくんが、今では立派なG級ハンターになったと彼女からの文で知ったときは、我が事のように喜んださ。
上官に悩まされ、部下に振り回され、情けない姿を晒し続ける私だが……彼女はそんな私を「上司を支え部下を思いやれる、立派な人だ」と言ってくれたんだ。……思わず涙ぐんでしまったよ。彼女のような若者が頑張っているんだ、私が根を上げるなどお笑い種だと一層己を鼓舞したものだ。
……む、質問の答えになっていないな。そうだな……良くも悪くも真面目、といったところか。真面目であるが故に間違いは犯さないが、困窮する者がいれば我が身を顧みぬところがある。……そんな彼女に助けられている身としては、安易に「やめろ」と強く言えないところが痛いところだ。
……その彼女から、「割とマジで、真面目に転職しませんか?」と言われたときは、流石に笑えなかったがね。……転職かぁ……。
回答者:ポッケ村の村長
ふむ、シズカ・ミズハシ……あの子について聞きたいと。そうさな……このオババの私見で構わないなら、ちょいとだけお話してあげようかね。
そうさな……あの子を最初に見たのは、『フルフル』の狩猟依頼を出した時かね。わざわざ村を訪れて律儀にオババに挨拶してからクエストに行くもんだから、真面目な子だとは思ったね。
ただ……危なっかしい、と感じたね。まるで強迫観念に駆られるように生き急ぐものだから、正直見ていられなかったよ。まぁ、当時はまだ二十歳にも満たぬ十六の頃だから、若気の至り、というやつなのかね。……ん?あぁ、迷惑だったとかそんなんじゃないよ。このオババにとっては、ちょいとヤンチャの過ぎる孫娘みたいなもんさ。
根は素直で優しい子でね、オババの話にはちゃんと耳を傾けてくれるし、無茶を指摘すれば正直に謝ってくれたからね。……いつかあの子がちゃんと笑える日が来るといいんだがね。
回答者:十代半ばの新人ハンター二人組
ウッス!自分たちはかのシズカ・ミズハシさんに憧れてハンターになった者ッス!自分もシズカさんをリスペクトしてガンランスを使ってるッス!でも、シズカさんみたいな動きは全然出来ないッス!!
なんせシズカさん、身長162cmの小柄な体に加えて体重もすごく軽いそうで、ブラストダッシュで飛ぶと体がめちゃめちゃ浮くらしいッス!だから他のハンターとは違ってブラストダッシュで"上に向かって飛ぶ"ことができるらしいッス!くぅ~、そこに痺れる!憧れるゥ!!自分も今から体重ガッツリ落としてくるッス!
何を言ってるのよこのアンポンタン……あ、すみません。熱くなったコイツに代わって回答します。シズカさんの狩り……端的に言えば"普通"じゃないです。元々センスが抜群に優れていたのか、積んだ経験が為す業か……。
なんたってシズカさん、モンスターの行動に対する『先読み』がめちゃめちゃすごいです。いわゆる、なんでしょう……予備動作、ですかね?それを見てからしっかりと自分も行動に移せるんだから大したものですよ。まるで合いの手を打つようにモンスターの攻撃に防御で応じたり、攻撃直後のモンスターに攻撃を差し込んだり、モンスターがより大きなアクションを取ればすかさず隙を見て回復したり……彼女の狩りを見学させてもらったんですけど、まるで別次元です。
とにかくシズカさんの狩りはマジヤバでちゃけパねぇんスよ!!
とにかくシズカさんの狩りは真似できるとは思えないんですよ。
他、複数の方々に回答をいただいたが、本誌においては割愛とさせていただく。次号以降に再びシズカ・ミズハシを取り上げた際に紹介させていただくこととする。
シズカ・ミズハシの台頭は、ハンター業界に新たな風を吹かせることとなった。よりハンターを志す者が増えたといえば聞こえはいいが、一方で懸念を示す者もいる。
ハンターズギルドの職員は「シズカ・ミズハシの台頭後、新人ハンターの低年齢化が一気に進んだ。十代半ばの若者たちがこぞってハンターになろうと各地の訓練所に駆け込む様子は、若い命を狩猟へ駆り出すことへの不安と、新世代のハンター達がこの業界に革新を齎してくれるだろうという期待に満ちている」とコメント。
我々、狩りに生きる編集部もまた、シズカ・ミズハシをはじめとする新世代のハンター達の今後の活躍に、ますます注目していく次第である。