ポケットモンスターHUNTER アルセウス   作:箱厨

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通常Ver.

依頼主
古龍観測所

依頼内容
遺跡平原にて、蛇王龍に匹敵するほどの超巨大なティガレックスが確認されました!
ハンターズギルドは非常事態宣言を宣告、全ギルド及びハンター諸氏による討伐作戦が展開される運びとなりました!!
我こそはというハンターは名乗りを上げ、この世界を守るためにお力添えをお願いします!!


イベクエVer.

依頼主
空前絶後の超絶怒涛のソロハンター

依頼内容
空前絶後のおぉぉ!超絶怒涛のモンスター!
ハンターを愛し、ハンターに愛された飛竜!
亜種、希少種、二つ名、全ての個体のその原種!!
なぜか超絶巨大個体となって爆誕し!世界全土をそのでっかい咆哮で震わせた!
そう、このモンスターこそはぁー!轟!竜!ティガ!レックス!!
イエエェェェイ!!
……あの、俺よりうるさいそうなので、なるべく早く狩猟お願いします。



緊急クエスト:超異常震域!超巨大轟竜!!

推奨BGM

【戦闘!ダイマックスポケモン】~ポケットモンスター Sw・Sh~

【金色の追憶 ~ ケチャワチャ】~モンスターハンター4~

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

巨大ティガレックス討伐作戦、その開戦の狼煙を上げたのは私たちだった。

 

「リオレウス、りゅうのはどう!」

 

「ライゼクス、チャージビーム!」

 

「グオオン!」

 

「ライィズ!」

 

「グアアオ!」

 

リオレイアもラスターカノンでティガレックスを攻撃する。三体の同時攻撃はティガレックスの鼻先に命中したが、ティガレックスは軽く頭を振ってこれをかき消した!

 

「な!?」

 

「怯まないで先輩!畳み掛けて!!」

 

「……!よしっ、おれが突っ込む!援護してくれ!!」

 

「はいっ!」

 

「ライゼクス、かみなりパンチ!!」

 

「ライザアァ!!」

 

「リオレウス、リオレイアも一緒に!エアスラッシュ!!」

 

「グオオオンッ!」

 

「グアアアンッ!」

 

ライゼクスが突撃し、その援護としてリオス夫婦のエアスラッシュが飛ぶ。

 

「ギガアアッ!!」

 

エアスラッシュを受けたティガレックスは初めて私たちの攻撃に反応した。……ひこうタイプに弱い……?くさタイプやむしタイプはありえないだろうから、かくとうタイプか!

続いてライゼクスがティガレックスの頭に電撃を纏った翼爪を叩きつけた。こちらの反応はまずまず、といったところ。ドラゴンタイプにも似たような反応だったし、いまいちタイプが読めないな……。

 

「……!!」

 

……ッ!ティガレックスが小さく左前足を持ち上げると、そのまま地面を強く叩いた。その直後、私とリオレウスたちの目の前に突如地面から巨大な岩盤が出現した!!

 

「んなぁっ!?」

 

「グオン!」

 

「グアン!」

 

私が驚いている間にも、リオレウスとリオレイアは急いで射程圏内から脱出を図る。巨大岩盤はそのまま私たちに向かって倒れ込んできて、こちらを押し潰そうとしている!!

 

ドガアアアァァンッ!!

 

な、なんとか脱出できた……。巨大な岩盤は倒れこむと同時に激しく炸裂し、木っ端微塵になった。

 

「ショウーッ!大丈夫かー!!」

 

「はいっ、なんとか……!?」

 

先輩の声掛けに反応しようとした、その時だ!突如、先程まで降り注いでいた雨が止み、激しい砂嵐が発生して私たちは身動きがとれなくなってしまった!!

 

「うっ、くっ……な、なに!?この砂嵐は!!」

 

「グウゥ……!」

 

これは、天候が変化している!?"すなあらし状態"はいわ・じめん・はがね以外の全てのポケモンに継続ダメージを与える厄介な天気だ。唯一ダメージを受けないのはウォロに預けたディノバルドだけ……とはいえ、この砂嵐は尋常じゃない!ほとんど視界が効かないなんて……!!

リオレウスだけでなく、ライゼクスとリオレイアもすなあらしのダメージに苦しんでいる……このままじゃ!

 

「……!!」

 

よく見ると、ティガレックスの口元に青い光が集まっている。マズイ、狙い撃ちにされる……!

 

「……ッ!グオンッ!!」

 

「えっ、リオレウス……きゃっ!?」

 

と、ここでリオレウスが突然体を激しく揺すると私を一度振り落としてから口に咥え、そのままリオレイアの方へめがけてぶん投げた……って、ちょっとぉ!?

 

「きゃあああぁっ!?」

 

「グアアオン!!」

 

リ、リオレイアが間一髪で私を背中に乗せてくれた……。いきなりのことに驚いてリオレウスの方を見た、その時だ。ティガレックスから膨大な水流が放たれ、リオレウスがまるまる飲み込まれてしまった!!

 

「リオレウスーッ!!」

 

「グアアアアンッ!?」

 

水流から押し出されたリオレウスはそのまま力なく墜落していく。まさか、気絶してる!?このままじゃ地面にぶつかる……!!

 

「ガムーッ!!」

 

「よしっ、ガムートナイスキャッチ!!」

 

よ、よかったぁ……リオレウスが地面に激突する前に、ガムートが背中で受け止めてくれた。それから、意識が戻ったらしいリオレウスが何度か頭を振ると、ゆっくりとガムートの背中から降りた。

……そして、天気は"すなあらし"から"あめ"へ。あのティガレックスの攻撃、一体どうなっているの……?天気を変えるというより、技の追加効果で天気が変わっているような……。

 

「……考えても仕方がない。リオレウスも直に戻ってくるし、私たちは戦線に復帰しよう」

 

「グアン」

 

「あっ……えっと、よろしくねリオレイア」

 

「グアアアンッ!!」

 

リオレイアはリオレウスが撃墜されたときはひどく動揺していたけど、今は落ち着きを取り戻したようだ。

乗り換えをしている暇はないので、このままリオレイアに騎乗することにした。先輩とライゼクスは……。

 

「いっけー!プラズマブラスターだ!!」

 

「ライザアアアァァッ!!」

 

先輩たちはティガレックスへ猛攻を仕掛けている。よく見るとライゼクスは怒っているようで、鶏冠や翼、尻尾といった器官をしきりに擦りあげている。ああやって電気を生み出して帯電しているんだよね……よっぽどリオレウスへの攻撃に腹が立ったみたいだ。

 

「私たちも負けてられないね……!リオレイア、ブレイブバード!!」

 

「グアアアオン!!」

 

翼を大きく広げたリオレイアが一気に突撃する。それに気づいたティガレックスは一度こちらへ振り向くと、すぐさま天に向かって吠え上げた。

 

「ギャアアアアアン!!」

 

すると、空から大量の星型弾が降ってきた!リオレイアは星の弾丸を次々と回避し、ティガレックスの横っ面に思い切りブレイブバードを叩きつけた!

 

「サマーソルト!」

 

「グアアオ!!」

 

「ギィッ……!」

 

続けてサマーソルトで追撃!……毒状態にはならなかったか。

シロちゃんから聞いたのだが、リオレイアの尻尾にある刺は猛毒が仕込まれているらしく、リオレイアはこれを巧みに使って狩りを行うらしい。リオレウスも足の爪に毒を有しているが、毒の出力はリオレイアに劣るらしい。

……っと、長考している場合じゃなかった!ティガレックスは大きく口を開けて私とリオレイアを噛み砕かんと迫ってきた!

 

「グオオオオン!」

 

「リオレウス!」

 

……と、ここでリオレウスが戻ってきた!リオレウスはライゼクスと並び立つと、二体同時にはかいこうせんを放った。攻撃は命中し、それによってティガレックスの注意がわずかにそれた。

 

「リオレイア!」

 

「グアンッ!」

 

その隙を逃さず、リオレイアはすぐさま距離をとった。さて、次の攻撃を……。

 

パァン!

 

破裂音、そして赤い煙。どうやら兵器の準備が整ったみたい!

 

「リオレイア!先輩!!」

 

「わかった!離れるぞ、ライゼクス!」

 

「ライッ!」

 

「グアアン!」

 

「グオオン!」

 

三体が大急ぎでティガレックスから距離をとった、その直後だ。

 

「撃てぇーっ!!」

 

ティガレックスを包囲するように組み上げられたバリスタ(でっかいボウガン)と配置された大砲から大量の弾が一斉に発射された。バリスタの弾はティガレックスの体に深々と突き刺さり、大砲は続々と爆破を起こしてティガレックスにダメージを与えている。

 

「いいぞ!効いている!!」

 

「次弾装填次第、随時放て!隙を与えるな!!」

 

巻き込まれないように地上へ降り、次々と放たれる弾丸の嵐を見上げる。絶えず放たれ続ける攻撃に対し、ティガレックスは身動きがとれない……いや、待って!

 

「グルルルル……!!」

 

「……轟竜、咆哮体勢に入りました!!」

 

「……!狩猟笛部隊は聴覚保護の旋律を奏でよ!!ランス、ガンランス、チャージアックスは前へ!!」

 

狩猟笛――バカでっかい笛――を持ったハンター達が、一斉に旋律を奏でる。それから、シズカさんをはじめとする大きな盾を持った武器のハンター達が整列し、盾を構えた。盾を持たない、もしくは盾が小さいハンター達は、彼らを壁にするようにすぐ背後に潜んで備えていた。

 

「……ネネ、腰を掴むな腰を」

 

「はぅん……姉さまの腰、スリスリ……」

 

「(#゚_゚)」

 

……アレは見なかったことにしよう。

 

「ギギャアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアンッ!!!!!」

 

上体を起こし、両腕をしっかりと地面についたティガレックスは瞬間、凄まじい咆哮を放った。……だというのに、私の耳の鼓膜が破れた様子はない。そういえば、さっき"聴覚保護"って言ってたけど、あれって文字通りの意味だったのかな。

音の方は問題ない……が、問題はその咆哮によって生み出された衝撃波だ。地面を抉りながら物凄い勢いで迫る衝撃波は、盾を持つハンター達によって受け止められた。それでも全てを受け止めきれるわけではなく、上へと突き抜けた衝撃波は雲や岩山を吹き飛ばし、周囲一帯に被害を齎した。

 

「ぐっ……!」

 

「ぐおお……!」

 

「くそったれぇ……!」

 

ハンター達は苦悶の表情を浮かべながらも、必死に衝撃波を受け止め続ける。やがてティガレックスが咆哮を止めると、盾持ちハンターの皆さんは一斉に膝をついた。相当な衝撃だったんだろう……皆が皆、肩で息をしている。

 

「くっ……被害報告!」

 

「組み立て式バリスタ、ならびに大砲は全滅です!」

 

「ハンターの被害人数はゼロ、全員無事です!」

 

後方で司令部が慌ただしくしている。ハンター達も自分が体勢を立て直すだけでかなり精一杯なようだ。

だが、その中でもいち早く動いたハンターがいる。シズカさんだ!

 

「……兵器は全損、まぁ予想通りか」

 

「姉様、如何されます?」

 

「イカもタコもオストガロアもない。兵器が失われた以上、残る戦力はハンターのみ。突撃する」

 

「お供しましょう、姉様。アタシはどこまでも姉様のお側に」

 

「勝手にして。……はやくなさい」

 

シズカさんとネネさんは同時に駆け出した。行動が早い……私たちも遅れるわけには行かないね!

 

「リオレウス、リオレイア。まだ行ける?」

 

「グオン!」

 

「グアン!」

 

「よしっ、行こう!リオレウス、今度は振り落とさないでね?」

 

「グオグオ」

 

私はもう一度リオレウスに騎乗すると、再び天を舞う。それと同時に、ハンター達も動き始めた。

 

「シズカ・ミズハシが先行したぞ!俺たちも続けー!!」

 

「ハンターの意地、見せてやらァ!!」

 

「フンッ!若いモンに遅れは取らんわ!」

 

「指示通りに隊列を組め!何が何でも、ここで狩るぞ!!」

 

各々が武器を構え、一斉に突撃を始めた。兵器が全損した場合は全ハンターで突撃する。その後は、剣士3ガンナー1のフォーマンセルに別れてそれぞれのグループが攻撃を開始する、という手筈になっている。シズカさんは誰よりも早く行動を起こすことで、他のハンター達を扇動しているんだ。

 

「シズカ!先走りすぎだ!!」

 

「まったく、煽るのだけは上手くなったよなぁお前!」

 

「ニールさん、エイデンさん、待ってましたよ」

 

「女を待たせる男はモテませんよ?」

 

「うぐっ……」

 

「こ、こんな時まで古傷を抉ってやんなって……」

 

先行したシズカさんの元には、シズカさんにフラレたというニールさんと、彼と一緒にいたエイデンさんが合流した。……っと、そうだ。その前に……。

私はリオレウスに指示を出して、セキさんの下へ向かった。セキさんはタマミツネの背に乗って移動中だ。

 

「セキさん!」

 

「おう、ショウ!どうした!」

 

「おそらくですが、ティガレックスはかくとうタイプの可能性が高いです!フェアリータイプに対する反応が見たいので、タマミツネで攻撃をお願いします!」

 

「わかった、任せろ!行くぜ、タマミツネ!!」

 

「クォン!」

 

タマミツネが泡で滑りながら猛烈な速度で突っ込んでいく。まわりを見れば、カイさんとガムート、ウォロとディノバルドもそれぞれ進軍を開始している。私も私で空からティガレックスを牽制して、ハンター達から意識を逸らさないと!

 

「リオレウス、大きく旋回して!後背を突きたいの!」

 

「グオォン!!」

 

リオレウスが高く飛び、ティガレックスの頭上を越えていく。その際、ティガレックスがかみなりのキバでこちらに噛み付いてこようとしたが、先輩が乗るライゼクスに鼻先をかみなりパンチで殴られて怯んでいた。

ティガレックスの前方は先輩が張ってくれている……なら、私が後ろから攻撃すればティガレックスは気が散ってしょうがないはず!

 

ティガレックスの後方からも、ハンター達が攻撃をしている。いろんな武器を持ったたくさんのハンター達がティガレックスの後ろ脚や尻尾に斬りかかったり弾丸を撃ち込んだり……壮観だ。

 

「……っと、見蕩れてる場合じゃなかった!リオレウス、ぼうふう!リオレイアもお願い!」

 

「グオオオオン!」

 

「グアアアアン!」

 

リオレウスとリオレイアの同時攻撃……と、同時にティガレックスが物凄い勢いでその場で回転した。ちょうど一回転半……即ち、前後反転したことでこちらに振り返ったティガレックスは、そのまま口から巨大な旋風を発射しこちらのぼうふうを打ち消した!

攻撃はなんとか回避したけど、ティガレックスはそのまま旋風で足元をなぎ払うように振り回した!

 

「うわあああ!?」

 

「きゃあああ!?」

 

ハンター達は盾で防いだり回避したり……回避!?こちらからはタイミングを合わせて転がっているようにしか見えないのに当たっていない、だと……?ただ、躱し損ねたハンターもいるようで、そういう人たちは旋風に煽られて宙高く放り上げられそのまま地面に叩きつけられていた。

それでも、ハンターの気勢を削ぐには及ばない。被害を免れたハンターは再び攻撃を再開し、逆に攻撃を食らったハンターはポーチから小瓶を取り出すとそれを一気に飲み干し立ち上がった。……あれが回復道具、なのかな。すごい回復量だ。

 

「ギギャアアア!!」

 

ティガレックスが咆哮すると、ティガレックスを中心に毒の海が広がっていく。さらにそこから毒の水柱が立ち上り、足元からハンター達を次々と狙い撃ちし始めた。

 

「……っ」

 

「……っと!姉様、大丈夫ですか!」

 

「人の身を案じるより、自分のことを優先して」

 

「もちろんです!アタシの中では『他人≦自分<姉様』、ですから!!」

 

「おっと……エイデン、無事か!」

 

「なんとかな!前から思ってたけど、本当に変な攻撃だな!」

 

すごい……シズカさんたちは攻撃を完璧に見切って回避している!反対側は大丈夫だろうか……。

 

「ふんっ!たしかに奇っ怪な攻撃だが、躱せんことはないわ!」

 

「おうよ!まったく、デカくなったってんだからどんなもんかと思えば、見たことのない攻撃をしてくるだけで所詮はただのティガレックス!たいしたことないな!!」

 

「俺たちを脅かしたけりゃ、おんなじのをもう数頭は連れてこいってんだ!これではデカイだけでラオシャンロン亜種には到底及ばんわ!」

 

「行くぞ、黒鬼!俺たちの力、ただデカくなるだけでは勝てんということを教えてやるぞ!」

 

「応よ、赤鬼!夢に出るほどには思い知らせてやるわ!」

 

「「ドハハハハハ!/バハハハハハ!」」

 

「……こ、これがヘルブラザーズ……!」

 

「つ、付いていくだけで精一杯だ……!」

 

こっち側もすごい!何人か突出した実力者がいるようで、その人たちが率先して前線を張るので自然と他のハンターも引っ張られる形で戦線を維持しているようだ。

 

「タマミツネ、ムーンフォース!」

 

「ガムート、ストーンエッジ!」

 

「ディノバルド、アイアンテール!」

 

地上にいるセキさんたちも、各々攻撃を開始している。ジンオウガも自身の判断で技選択をし、攻撃を繰り出しているようだ。

 

「ギギャン!?」

 

タマミツネのムーンフォースが直撃したティガレックスが、露骨に悲鳴を上げた。フェアリータイプは効果は抜群のようだ!かなりダメージがあるようだから、かくとうの他にドラゴンかあくを複合していそうだな……。

 

「リオレイア、きあいだまを撃って!」

 

「グアン!!」

 

確認のため、リオレイアにきあいだまを撃ってもらう。命中したが、ティガレックスの反応は普通……あくタイプじゃない、ドラゴンタイプだ!ドラゴンとかくとうの複合タイプ!

 

「ギャアアアンッ!!」

 

ティガレックスの体から電撃が走ったかと思うと、次の瞬間には辺りが曇り始め巨大な雷が降り注いできた!

 

「ふんっ!」

 

あれは、ニールさん!ニールさんは背中の大剣を抜刀し、その腹で電撃を受け流すと左腕から巨大な鉤爪を発射した。鉤爪はティガレックスの前脚を掴むと、ワイヤーを手繰り寄せてニールさんがティガレックスにしがみついた。そのまま鉤爪を外すと、ニールさんは勢いよくティガレックスの体を登り始めたではないか!

 

「やるなぁ、ニールのやつ!よぉし、俺も!」

 

エイデンさんも後に続き、二人揃ってティガレックスの背中に乗り込んだ。

 

「おぉらあぁ!」

 

「喰らいやがれ!」

 

ニールさんの大剣とエイデンさんの双剣が、ティガレックスの背中に攻撃を仕掛けていく。ティガレックスも、攻撃を受けて初めて自身の背中に敵がいることを認識したのか、一度目視してから、降り下ろそうと暴れ始めた!

 

「ぐっ、くそっ!」

 

「うおっとぉ!?」

 

ニールさんとエイデンさんが必死に背中に張り付いている。暴れるティガレックスは接近しづらいが、あの特殊な攻撃が飛んでこなくなったのはありがたい。この間に、ほかのハンター達は体勢を立て直――

 

「行くよ、ネネ」

 

「はいっ、姉様!」

 

――さない!?シズカさんとネネさんは暴れるティガレックスに突撃した!ネネさんは振り下ろされたティガレックスの前脚にタイミング良く飛び乗り、シズカさんはガンランスを使った移動技である"ブラストダッシュ"で飛んでいった。

最初の一発で前進しつつ、体が浮き上がったところで斜め下後方に向けて一発。さらに真下への一発で高さを稼ぐと滞空時間を利用して槍を振り回しリロード、その後、槍を仕舞いつつ手から何かを飛ばした。あれは……虫?何か糸を引いた虫を飛ばすとその虫に引っ張られている間に空中受身でさらに前進すると、再び槍を抜き真下に向けて一発、二発。

再び滞空時間の間に槍を仕舞いつつ虫を飛ばし、再び前進。この時点でティガレックスの頭上を取った。そして最後に槍を抜いて後方に一発……ここまでの手順で、ニールさんと同じティガレックスの背中に飛び乗ったのだ。そして槍をティガレックスの体に深々と突き刺すと、槍を支えに立っている。

 

「ふぅ」

 

「……あ、相変わらずぶっ飛んでるなぁ、お前……」

 

「流石にできないことはしませんよ。なので私はマトモです」

 

「…………」

 

「ニールさん、なにか?」

 

「イエ、ナンデモナイデス」

 

何を話しているんだろう……ここからだと遠すぎてよく聞こえない。……あ、ネネさんも合流した。けど、ティガレックスは未だに暴れている……そうだ!

名案が閃いた私は、すぐさま地上に降りていく。

 

「ジンオウガ!」

 

「ワオン!」

 

リオレウスからジンオウガへと乗り換えると、そのままセキさんの下へ走っていく。暴れるティガレックスを前に近づけないのか、離れたところで遠巻きに見ていた。

 

「セキさん!」

 

「ショウ?……!なにか閃いたんだな!」

 

「はい!泡です!タマミツネの泡で、ティガレックスを転ばせれば……!」

 

「そいつぁ、いい!!タマミツネ、妖泡だ!ティガレックスの足元にたっぷりばらまいてやれ!」

 

「コオォンッ!」

 

タマミツネが得意の泡攻撃をティガレックスに放っていく。それだけでなく、自身の分泌液から生まれた泡も、次々とティガレックスに向けて飛ばした。泡が密集しツルツルの足場が出来上がった。そこへティガレックスの前脚が滑り込み……。

 

「ギャアアンッ!?」

 

ツルン、と音が聞こえそうな勢いで前脚が滑り、巨大なティガレックスが派手に転倒した。

 

「ティガレックスがコケたぞ!」

 

「今だ!一斉攻撃!!」

 

「かかれぇ!」

 

「いくぞー!!」

 

ティガレックスの転倒によって、ハンター達は一気呵成に攻め立てた。私たちトレーナーチームも、それぞれ相棒のポケモンたちに指示を出して攻撃を仕掛ける!

 

「ディノバルド、サイコカッター!」

 

「タマミツネ、ムーンフォース!」

 

「ガムート、だいちのちから!」

 

「ライゼクス、プラズマブラスター!」

 

「ジンオウガ、らいこうだん!リオレウス!リオレイア!ぼうふう!!」

 

全方位からの一斉攻撃が、ティガレックスに襲いかかる!これは効いてるぞ……!

 

「……!ギィヤァァアアアアアアアアアアンッ!!」

 

と、その時だ!倒れた姿勢のまま、ティガレックスが口から凄まじい音波を放ったのだ。あれは、まさかばくおんぱ!?そのまま首を動かし、ばくおんぱで次々とハンター達を吹っ飛ばし始めた!

 

「くっ……コイツ、まだこんな力が……!!」

 

「ガムート!ハンター達の援護に行こう!」

 

「ガムア!」

 

ガムートがその巨体を活かしてハンター達を守る壁となり、ばくおんぱの衝撃を受け止める。はがねタイプのディノバルドも、ノーマル技のばくおんぱを受け止めてハンター達を守っている……!

 

「ちっ、マズイな……これ以上騒がれたら面倒だぜ……!」

 

「どうすれば……!」

 

なにか打つ手……せめて、あと一手あれば……!

 

 

ドン、ドン、ドン

 

 

「……?この音……」

 

後方から聞こえた炸裂音に、思わず振り返る。見れば、上空に赤、青、白の三色の信号弾が打ち上がっていた。

 

それとほぼ同じくして、車輪がついた巨大な大砲と形容すべしモノが、大勢の騎士たちによって運ばれてきた。なんだろう、あれ……。

 

「おぉ、やったぞ!『撃龍槍』だ!!」

 

「げきりゅうそう……?」

 

「あぁ、トレーナーの皆さんは知らないか……いわゆる"決戦兵器"ってやつさ!建造中とは聞いていたけど、完成したんだ!!」

 

そう言いながら、教えてくれたハンターさんは射線を開けるように退避していった。私たちもポケモンたちに合図を送り、同じく道を開ける。

 

「諸君、待たせたな」

 

そう言って姿を見せたのは将軍。一体何が起こるんだろうか……。

 

「……連装式撃龍槍、準備!」

 

「連装式撃龍槍準備!」

 

「連装式撃龍槍準備!」

 

将軍の声掛けに応じ、騎士たちが動き出した。まず、車輪の内側にある巨大な鉄杭をハンマーで叩き、勢いよく地面に突き立てることで固定。続いてハンドル操作で砲台の角度を調整し、まっすぐにティガレックスへと向けた。

だが、この時点でティガレックスもこちらの動向に気づいており、口元に巨大な豪火を蓄えている!

 

「……!」

 

「シズカ!?」

 

と、向こうでも動きが!ティガレックスの背中に乗っているシズカさんが、ティガレックスの頭部へと走り出したのだ。そのまま鼻先からブラストダッシュを一発、二発、三発と放ち、さらに虫を使って高く上へと移動すると、振り向きざまに何かを投げた!

 

一瞬の閃光とともに、光が弾けた。

 

「ギャアアア!?」

 

眩しっ!?

 

「閃光玉か!」

 

「ティガレックスの動きが封じられました!」

 

「将軍、今なら撃てます!」

 

「だが、シズカくんが……!」

 

「いや、撃て!!」

 

騎士たちが素早く状況を把握し将軍に促すも、将軍はティガレックスの目の前にいるシズカさんの身を案じて判断が下せない。……と、そこへ別の人間が割り込んできた。

全身が輝かんばかりの金とところどころにある紫のアクセント、なにより背中に翼を携えた胴防具を身に纏った男性声の人物だ。

 

「君は……!」

 

「アイツは当たらないとわかった上で(・・・・・・・・・・・・)やっている!無理も無茶もするし、無闇に無謀を犯すし、無益になるような無駄なことだって平然とする!

だが、シズカは俺が育てた弟子だ!!アイツは自分が絶対にできないことはしない!アイツが行動を取り、アクションを起こすってことは、それは絶対に出来ることだ!!」

 

「!!」

 

「だから、撃つんだ!将軍!!」

 

「……()えぇーッ!!」

 

男性の説得を受け、将軍が発射命令を出した。大きなレバーが倒され、大砲から回転する巨大な槍が発射された!!

巨大な槍は真っ直ぐにティガレックスへと向かって行き――自由落下するシズカさんの真横スレスレを通り過ぎ――その土手っ腹に突き刺さった!!

 

「ガァッ!?」

 

一瞬怯んだティガレックス……すると、撃龍槍の根元が光り始めると、連鎖爆発を起こしてティガレックスの懐で大爆発を起こした!

すぐ近くにいたシズカさんは咄嗟に盾を構えて爆風を受けると、その勢いを利用して一気に後退。あわや地面に激突、というタイミングで再び虫を取り出しその糸にぶら下がり、難を逃れた。

 

「ふぅ」

 

「姉様ー!!」

 

「シズカー!!」

 

「……ん」

 

ぐっ、と額を拭うシズカさんの元に、ティガレックスの背中から飛び降りていたネネさんとニールさん、エイデンさんが走ってきた。シズカさんは軽い調子で手を挙げる……。

 

「バカッ!なんて無茶をするんだ!!」

 

「そうですよ姉様!危うく姉様が撃龍槍で串刺しになるところでしたよ!?」

 

「……ならなかったし、よくない?」

 

「「よく!ないっ!!」」

 

「え~……」

 

「諦めろってシズカ。あればっかりはお前が悪いと思うぞ」

 

「エイデンさんまで……」

 

ネネさんとニールさんに責められ辟易とした様子のシズカさん……と、そこへ将軍へ進言した男性が近づき、シズカさんの後頭部に拳を振り下ろした。

 

「いだっ!?」

 

「ばかもん。自分だけわかってても周りが理解できなきゃ、どんな手段だって危険行為だ。二人の心配も最もだぞ」

 

「あっ、師匠」

 

「(えっ、あの人、シズカさんのお師匠さん!?……あ、そういえばさっき"俺の弟子"とか言ってたっけ!)」

 

シズカさんのお師匠さん……お師匠さんも、今回の作戦に参加してたんだ!

 

「久しぶりだね、エイデン」

 

「その声、その防具……シュラークか!懐かしいなぁ、"錆びたクシャルダオラ"の迎撃戦以来か?」

 

「あぁ、俺の弟子が世話になったね。君は……龍歴院のハンターだったね?たしか、名前はネネ……」

 

「はぁい、お師匠さま!アタシがネネです!貴方様のお弟子さんである姉様には大変お世話になってまぁす♪」

 

「ははっ!なんだ、義兄弟の契りでも交わしたのか?いい妹分ができたじゃないか」

 

「契りなんぞ交わしてなけりゃ妹と認めたこともありません」

 

「う~ん、姉さまは今日も辛辣ぅ!!」

 

「……癖がすごい子だな」

 

……ん?ちょっとまって。作戦開始前、ドンドルマ側にあんな目立つ防具を着た人は見当たらなかった……まさか、元々バルバレ側にいたのに戦闘中にわざわざこっちまで走ってきて合流したってこと!?……お弟子さん思いの、いいお師匠さんなんだなぁ。

 

ドオォォン!

 

……と、ここで突然、ティガレックスの方向から爆発音が聞こえてきた。見るとティガレックス自体が爆発しており、全身から赤い粒子をまき散らしながらどんどんそのサイズを小さくしていった。

やがて光が収束すると、元のサイズにまで縮小したティガレックスがそこにいた。

 

「おっ?戻ったぞ?」

 

「なんだ、形態変化的なやつだったのか……?」

 

ハンター達はティガレックスが元の大きさに戻ったことで肩の力を抜いている。……普通のティガレックスの前で肩の力が抜けるって、もしかして普通のティガレックスなら狩猟は簡単?一体彼らはどれほどの実力者なのだろうか……。

 

「……将軍、あれなら……」

 

「うむ……元のサイズにまで戻ったなら捕獲も可能だろう」

 

「……将軍。龍歴院所属のハンター、ネネです。龍歴院としましては、今回のティガレックスが捕獲可能であれば可能な限り捕獲し、生態の研究を行いたい旨をお伝えします」

 

「そうか……承知した、その旨に同意しよう。ティガレックスを捕獲せよ!」

 

将軍の指示に、シズカさん、ネネさん、ニールさん、エイデンさんの四人が動き出した。何かの弾を込めるネネさんと、罠を用意するエイデンさん。ティガレックスはゆっくりと体を起こそうとしているが、その動きは明らかに精彩を欠いている。弱っているのは一目瞭然だ。

 

「……?」

 

ん?ジンオウガ?急に空を見上げてどうし――

 

「ワオオオオオオオオオン!!」

 

「……!シズカさん、待ってください!!」

 

「え?」

 

ジンオウガの警告じみた咆哮に、私も思わずシズカさんに声をかけた。ちょうど声が届いたのか、シズカさんが振り返った……その直後だ!

 

バチバチバチィッ!!

 

激しく電撃が遥か上空で迸ると、そこへ時空の裂け目が開かれた!

 

「なにっ!?」

 

「あれは……シュレイドに現れたものと同じ……!!」

 

真っ先に反応したのはエイデンさんとニールさん。特にニールさんは悔しさとも憎しみとも取れる声色を発し、時空の裂け目を見上げている。そこから四本の光が伸びていき、やがてティガレックスと結びついた!

 

「ガッ、ガッ……!ギ、ギャアアアアアアッ!?」

 

「なっ……」

 

「なにが……」

 

光の帯がティガレックスの胸元まで伸びると、ティガレックスが光に包まれた!光の中でティガレックスの姿が変化していき……やがて、光が消滅するとその姿が露わになった。

 

全身の末端部に集まった血管。

青く染まっているように見える頭部や四肢。

特に翼膜を含めた全体が不気味な印象を与えるほど鮮やかに色付いた前脚。

並々ならぬ威圧感を放つ巨大な蒼爪。

 

「ギギャア"ア"ア"ア"ンッ!!」

 

「嘘……だろ……?」

 

「姿が、変わった……」

 

「【荒鉤爪】……!」

 

「……メガ……シンカ……?」

 

傷つき疲弊しながらも、姿を変えて再び立ち上がったティガレックスは、より強烈な殺意と敵意とともに咆哮を放った……。

 

 

 

 




まだまだ終わらない、轟竜討伐作戦……果たして、作戦の成否やいかに……!
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