轟竜討伐作戦、後半戦に突入です!
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【牙を剥く轟竜/ティガレックス】~モンスターハンターP2/4/W/R~
【決意を胸に灯して】~モンスターハンターX~
超巨大化したティガレックスを倒し、元の大きさへと戻すことができたのもつかぬ間……今度はメガシンカしたティガレックスが立ちはだかった。
突然、目の前で姿を変えたティガレックスを前に、ハンター達は動揺を隠しきれていない。以前、アカイさんから『野生のメガシンカ個体がいる』という話は聞いたことあるけど、ここまで動揺しているってことはティガレックスとメガティガレックスは彼らの中では完全に別個体という扱いなのだろう。
思考停止といってもいいほどにハンター達の動きが止まった……だが、その中でもやはりいち早くシズカさんが再起動し、メガティガレックスに向けて走り出した!
「あ、シズカ!!」
「……っ!!」
シズカさんは上空へ向けて虫を飛ばし、その糸を手繰って飛び上がると槍を抜き、ブラストダッシュでさらに高度を稼ぎつつ前進した。そのままメガティガレックスの頭上を取ると、大きく槍を振り上げた。
だが、メガティガレックスもただ黙っているだけではなかった。一瞬、俯いたと思った次の瞬間、顔を上げると同時にシズカさんに向けてはかいこうせんを発射した!
「な――」
ドオオオオオンッ!!
シズカさんは咄嗟に盾を構えたけど、間に合ったのかはこちらからではわからない……!はかいこうせんが命中し、爆煙によってシズカさんの姿が見えなくなってしまった!
「シズカーッ!!」
「姉様ぁーっ!?」
「ど、どうなってんだ?ティガレックスに、あんな攻撃ってあったか!?」
ハンター達の動揺がより激しくなった頃、シズカさんが爆煙の中から吹っ飛ばされてきた!
「ぐはっ!……うっ、ぐぁ……」
吹っ飛んだシズカさんは受身を取れずに地面に叩きつけられ、そのまま転がってうつ伏せに倒れた。シズカさんの槍も、シズカさんよりもずっと後方に飛んで行き地面に突き刺さった。
「姉様!!」
「行くぞ、エイデン!!」
「あぁ!」
すぐさまネネさんが飛んで行き、シズカさんを助け起こした。それから遅れてニールさんとエイデンさんが走っていく。
「姉様!しっかり!!」
「……ぐっ……。く、る……!」
「っ」
シズカさんがメガティガレックスを指さすと、メガティガレックスはドラゴンのオーラを纏って突撃を開始した!あれは、ドラゴンダイブ!?
「止まれええぇぇぇッ!!」
ネネさんはシズカさんの前に躍り出た。ボウガンの弾を入れ替えて腰だめに構えると、すかさず弾丸を連射する……だが、弾丸はドラゴンオーラに阻まれてメガティガレックスに届かない……!
「……!弾が、届かない……!?」
「ギャアアアアンッ!!」
メガティガレックスが大きく口を開けると、身に纏ったドラゴンオーラも大口を開けた。このままじゃ……!
「ふんぬぅっ!!」
と、後方から走り込んできたニールさんがネネさんよりもさらに前に出ると、メガティガレックスの口に自身の大剣を挟み込んだ!そのまま大剣を押し込み、メガティガレックスと力比べにもつれ込んだ!
「ぐっ……ぐぐぐ……!うおおおおおおおおおおっ!!」
はじめは押し込まれていたニールさんだったが、やがて勢いがなくなると完全に動きが止まった……かと思えば、今度はニールさんがメガティガレックスを押し返し始めた!?
「彼女には!一切!!手出しは……させないっ!!」
……愛の力ってスゲー。
「ギガッ!」
「ぐっ!!」
どんどんと押し返していったが、メガティガレックスも両前脚で踏ん張ってニールさんの快進撃を止めた!そのまま両者拮抗する……押しも押されもしない、完全な互角状態だ……!
けど、このまま膠着し続けたら、先に体力が尽きるのはニールさんかも知れない……その前に、なにか手を打たないと!
「そのまま抑えていろ!!」
「……っ!!」
と、そこへ誰かが飛び込んだ!あの金色の防具……シズカのお師匠さん!エイデンさんは……シズカさんを介抱している。
お師匠さんはニールさんの背中を踏み台にしてさらに高く跳躍すると、背中に背負った武器を抜いた。
ジンオウガを彷彿とさせるその武器は抜いてすぐは斧のような形状をしていたが、斧の刃がスライドすると畳み込まれた剣状の刃が姿を現し、一本の片刃の大剣になった!?
「はああぁっ!!」
「ギギャアッ!?」
お師匠さんはその剣をメガティガレックスの背中に思い切り突き立てた!痛みに悶絶するメガティガレックスはニールさんの大剣を口から離すと思い切り暴れ始めた!
「……っ。ネネ、あなたも行って……!」
「で、でも!姉様を置いて行くなんて、アタシには……!」
「……今夜同衾していいから」
「やってやろうじゃねえかよおおおおおおおお!!」
エイデンさんと一緒にシズカさんの傍にいたネネさんも、シズカさんに促されて戦線に加わった!
「くっ!!」
「そぉりゃあ!!」
「くたばれぇ!!」
メガティガレックスの背中で堪えるお師匠さん、暴れるメガティガレックスのわずかな隙も逃さず前脚に大剣を振るうニールさんに、狙った場所へ的確に弾丸を撃ち込むネネさん……すごい、これがハンターの力!!
「シズカ、大丈夫か?」
「……ふぅ。はい、なんとか。エイデンさん、すみません」
「気にすんなって。ほら、お前のガンランスだ」
「ありがとうございます。……では、行ってきます」
「おう!」
シズカさんも立ち上がり、一気に駆け出した。ちょうど、お師匠さんがメガティガレックスの背中から振り落とされる前に自ら飛び降り、武器を斧形態に戻した直後だ。
「ギャギャアン!」
メガティガレックスが両前脚を力強く地面に叩きつけると、四人に向かって岩の刃が突き立てられていった!ストーンエッジだ!!
「どりゃあ!」
「はぁ!」
「ズェア!」
「ふっ……!」
四人ともすごい!初見の技のはずなのに、ニールさんは大剣のひと振りでストーンエッジを破壊し、ネネさんは後退しつつ足元に打ち込んだ弾丸を爆発させて大きく後退しながらストーンエッジを破壊、お師匠さんも斧形態のひと振りでストーンエッジを破壊し、シズカさんは地面に槍を突き差した後、タイミングよく砲撃を撃ち込んで同じくストーンエッジを破壊した!
……いや、誰も避けないどころか普通に迎撃しちゃってるんだけど!?
「おおぉっ!!」
お師匠さんが仕掛けた!メガティガレックスの背後から尻尾を狙って突撃した。メガティガレックスは尻尾に水の力を纏わせたアクアテールでお師匠さんへ攻撃したが、お師匠さんは難なくアクアテールを回避し、そのまま尻尾めがけて斧を振り下ろし斬りつけた!
メガティガレックスは振り返りながら地面を豪快に抉り、岩盤と見紛うほどの平らな巨岩をお師匠さんに向けて弾き飛ばした!お師匠さんは斧を剣へと変形させると、刀身になにかエネルギーを集め始めた。その力が限界になったタイミングで飛んできた巨岩に突き込み爆発させ、巨岩を木っ端微塵に破壊した!
「スッゲー!」
「"属性解放突き"に、こんな使い方があるのか……」
周りのハンター達が、えらく感動した様子で話しているのが聞こえた。多分だけど、本来の用途とはかなりかけ離れた使い方、なのかな?剣は強制的に斧へと変形し、お師匠さんも武器から何かを取り出すと入れ替えて装着するような動作をとっている。
「こっちを忘れるな!」
「よそ見ばかりしてぇ!」
「……っ!!」
ニールさん、ネネさん、シズカさんも積極的にメガティガレックスへ攻撃を仕掛ける。
メガティガレックスはニールさんにメタルクローを放つが、ニールさんは力を溜めて大剣を振るうことでこれを相殺した。続いて反対の爪でブレイククローを放つが、ニールさんはこれも力を溜めた斬撃で相殺した。さらにメガティガレックスはシャドークローで畳み掛けるが、ニールさんは再び力を溜めた斬撃で相殺するばかりか、一撃目を振り下ろした勢いで一回転すると攻撃直後で動けないメガティガレックスの顔面に、思い切り斬撃を叩きつけた!!
「ギギャアンッ!?」
「これは、シズカの分だ!!」
メガティガレックスの顔面に傷が入り、大きく怯んだ。そこへネネさんが弾丸を撃ち込むと、メガティガレックスは突然動かなくなった!
「ありったけの麻痺弾、喰らっときなさい!姉様!!」
「!!」
麻痺で痺れて動けなくなったメガティガレックスに、シズカさんが迫る!メガティガレックスの右側面に回り込んでいたシズカさんは、一度槍を根元から地面に突き立てると先端が中折れして勢いよく蒸気を吹き出した。その後、虫を前方に飛ばして引き寄せられると同時にブラストダッシュで一気にメガティガレックスの右前脚に接近すると、そこへ槍を突き立てて装填されている砲弾をすべて放出した!爆発と同時にメガティガレックスの右前脚は爪が折れ翼膜にも傷が入りかなりダメージを負っていることが分かる。
「フルバレットファイア!決まったぞ!」
「調査団の青き星、ドンドルマを救った英雄、"蒼の銃槍"と"紅の軽弩"の『蒼紅姉妹』……」
「勝ったな、ガハハ」
「おいばかやめろ」
戦いを遠目から見守るハンター達のそんな会話が聞こえてくる。……シズカさんとネネさんって、通称がつくくらいの名コンビなんだ……すごいなぁ。
「グギギ……ガアアア!!」
メガティガレックスが力強く両前脚を地面に叩きつけると、地面が激しく揺れ始めた!これは、じしんの技だ!
「なにっ!?ぐっ……!」
「うおっとぉ……!?」
「きゃっ!地震……!?」
「……っ!」
激しく揺れる地面に、シズカさんたちは踏ん張りを利かせて耐えることしかできない。そこへメガティガレックスからの容赦ない追撃が迫る!
まず、メガティガレックスはネネさんに向かって走り出した。
「なっ――」
「ガアアアッ!!」
「ぐふっ……!」
地震の余波が残っているうちに突撃したメガティガレックスは、かみなりのキバでネネさんに噛み付くと、そのまま宙に放り投げて水を纏った爪で地面に思い切り叩きつけた。アクアブレイクまで使えるのか……!
「ネネッ!!」
すかさずシズカさんが動く。ブラストダッシュでティガレックスの背後に回り込み、槍を構えた。
「こいつを!もってけぇ!!」
砲弾をリロードしつつ槍を突き上げ全弾放つ。その後、火を噴き始めた槍をそのまま突き上げ激しい爆発が起こった!あれはかなり効いただろう……!
「ガギャアアアンッ!!」
「……!まだっ……あぁっ!?」
だが、メガティガレックスは未だ健在で、ばくおんぱでシズカさんを攻撃した!シズカさんも縦でガードして耐えていたが、足元の地面が削られて踏ん張りが利かなくなり、やがて吹っ飛ばされた。
「シズカ!!」
吹っ飛んだシズカさんを、回り込んだニールさんが受け止めた。そのまま手早くシズカさんを下ろすと、突っ込んでくるメガティガレックスの前に立ちはだかった。
「いつまでもやらせるとでも……!!」
ニールさんが大剣を構え、力を溜め始めた。タイミングを合わせて、ニールさんが大剣を振り下ろす……!
ガチンッ!
「なにっ!?」
だが、大剣はメガティガレックスに届かなかった。メガティガレックスの前方には、バリアーのようなものが張られている……まさか、まもる……?
「なんだこのバリアーは!?うわあぁっ!!」
「ぐうぅ……!」
「ガアアッ!!」
まさか攻撃を防がれるとは思いもよらなかったニールさんは完全に隙だらけで、メガティガレックスのだいちのちからで打ち上げられた後、アイアンヘッドで吹っ飛ばされた。その後、ついでとばかりにしねんのずつきでシズカさんも吹っ飛ばし、二人に向かってりゅうのはどうを放った!
「ズェエアァッ!!」
だが、そこへ割って入ったお師匠さん、斧のひと振りでりゅうのはどうを一刀両断すると、懐から小袋を取り出した。
「エイデンッ!!」
「おうさ!!」
同じように、反対側……ネネさんの近くにいるエイデンさんも同じように小袋を取り出すと、二人同時に中身をばらまいた。緑色の、健康に良さそうな粉塵が辺り一帯を包み込む……。
「……うぐぅ」
「くっ……」
「……師匠、助かりました……」
「気にするな」
どうやらあれは回復アイテムのようだ。シズカさん達がゆっくりと起き上がる。……あっ、マズイ!?
「グルルル……」
「……?なぁっ!?ティガレックスが!!」
「傷が……治っていく……!?」
はねやすめだ!!メガティガレックスがはねやすめで体力を回復している!!これでは、いくらダメージを与えてもキリがない……!
「……厄介だな。こんなティガレックスは初めてだ」
「妙な攻撃を使う、眠らずに体力を回復できる、デカくなったり二つ名個体に変身する……もうわけわからないな……」
「おや、調査団の青き星が弱音かな?現大陸では各地を飛び回る凄腕ハンターと聞いていたが……」
「まさか、冗談でしょう。……現大陸でも新大陸でも、見たことも聞いたこともない個体を前に、武者震いが止まらないんですよ。
次はどんな手を打ってくる?次は何をしてくる?なぜ大きくなる?なぜ変身する?調査団としての性が身に付いたみたいで、ワクワクが止まらないんです」
「ハッハッハ!それは、聞くのは野暮というものだったね。謝罪しよう」
「……あぁ、武者震いの理由はもう一つ」
「おや?」
「シズカの師匠である貴方と、こうして肩を並べている今この瞬間にも震えています。貴方のことは、彼女からよく聞いているので」
「それはそれは」
「"スパルタで弟子を狩りに連れ回し大型モンスターとタイマンさせる、パンツ一丁で古龍に挑んだまつ毛バサバサのサディスティックハンター"って」
「……シ~ズ~カ~?」
「事実じゃないですか!何も間違ったことは言ってませんけど!?」
「うん、嘘をつかないことは美徳ではあるけれど、それと言って良いことと悪いことの判断は別だからね?あと、俺のまつ毛はバサバサじゃない」
「とんだ理不尽だ!訴えてやる!!」
「ハンターズギルドは裁判所じゃないからねー」
「うがー!」
おぉ……あ、あのシズカさんがコロコロと表情を変えている。てっきりお兄さんの前だけだと思ってたけど、お師匠さんの前でも顔の表情が変わるんだ。
「…………」(#^ω^)ビキビキ
「……あの、ネネさん?殺意滾らせてるところ悪いけど、戦線に戻りません?」
「……戻りましょう」
一方、ネネさんは憎しみで人を殺せたら死人が出ている、と言える程の殺意でお師匠さんを凝視している。これにはエイデンさんも、年下の女性とはいえ敬語になってしまっている。
「おうおう、ヒヨッコ共!苦戦しているな!!」
「まったく、小さくなっても変な攻撃は変わらんのか」
と、そこへシズカさんたちへ近づく人たちがいた。あの二人……バルバレ方面部隊で特に活躍していた二人組だ!
「赤鬼さん、黒鬼さん」
「おう、ヒヨッコシズカ!そろそろ青鬼を名乗る気にはなったか?」
「いやです」
「バハハハ!俺たちに教えを乞うたその瞬間から、お前は俺たちヘルブラザーズの弟子!お前の相方と揃って"ヘヴンシスターズ"と裏で呼ばれているのを知ってるか?」
「いや、知りませんしネネは相方ちゃいますけど……誰ですかそれを広めたのは。竜撃砲でぶっ飛ばします」
「ドハハハ!俺だ!!」
「……オマエノシワザダタノカー」
「ヘルブラザーズ……お二人も、手を貸して下さるので?」
「お前がヒヨッコシズカの師匠か。あぁ、あれはどう見たって普通のティガレックスじゃねぇ。寝る以外に能動的に回復手段を持っているだけではなく、見たことのない攻撃に形態変化……若い者の活躍を眺めるのもまた、先達の役割かと思って遠巻きに見ていたが、もはや見ているだけでは我慢ならんくてな!」
「赤鬼がすっかりこんな調子でな……かくいう俺も、あのティガレックスと一戦交えたくてウズウズしていたのだ!狩りの際には四人までが鉄則だが……この際だ!四の五の言ってる場合じゃあねえだろう!」
「ありがたい……かの有名なヘルブラザーズのお力、存分に頼らせていただきますよ」
あの二人も参戦するのか……よしっ!
「ギギャアアアッ!!」
「……っと!奴さんはもう我慢の限界みたいだぜ!!」
「赤鬼殿は片手剣、黒鬼殿はハンマーか……それぞれ役割を果たすとしましょう!」
「前線は私が張ります」
「ドハハハ!ヒヨッコシズカだけに任せられんわ!」
「赤鬼さん、よろしくお願いします」
「ガアアアア!!」
メガティガレックスが、ドラゴンダイブで再び突撃する……させるか!!
「ジンオウガ!」
「ワオン!」
私とジンオウガも、事前にメガティガレックスの前に回り込んでいたのだ!ジンオウガから飛び降りるとともに、私はメガリングに手を当てた!
「目には目を、歯に歯を……ポケモンにはポケモンを、メガシンカにはメガシンカを!!」
「ワン!」
「ジンオウガ、メガシンカ!!」
「ウ"オ"オ"オ"オ"オ"オ"ンッ!!」
私もジンオウガを【金雷公】へとメガシンカさせ、メガティガレックスに対抗する!
「へぇ……」
「ジ、ジンオウガまで姿が変わった!?」
「(やっべメガシンカできるとかなんも聞いとらんかった。……あとで説教ね)」
「ほぅ……あの腕輪に何かあるのだな?」
「間違いないな、黒鬼。あの腕輪から光が伸びて、ジンオウガの姿が変わったぞ!」
メガシンカを見られるのはマズイかと思ったけど、メガティガレックスが思ったよりもずっと強敵だったから、ここは私たちも力を貸さないと!!
「ワイルドボルト!!」
「ウオオォンッ!!」
メガティガレックスのドラゴンダイブとメガジンオウガのワイルドボルトがぶつかり合い、激しくせめぎ合う!やがて激しい爆発が起こり、爆煙から二体が同時に飛び出した。
「大丈夫?ジンオウガ」
「ワン!」
「よし……シズカさん、私も参戦します!!」
「……よろしいですね、師匠?」
「あぁ。……見せて貰おうか。モンスターの頭脳たるトレーナーの実力とやらを!」
良かった、私たちの参戦も認めてもらえたみたいだ!
「まぁ見せてもらうだけだと情けないので、このまま戦線に加わります」
「モンスターとの共闘か……上手くやれるか?」
「自信ないならやめますか?ニールさん?」
「まさか!君が行くと言うのに、俺が行かないわけにはいかないだろ?」
「心強いです」
「弟子にばかり見せ場と取られちゃ、師匠としてかっこ悪いな」
「姉様姉様!ネネ、ただ今合流しましたー!!」
「シュラーク!やっとこっちまで来れたぜ」
ネネさんとエイデンさんも加わった!これでハンター七人+ジンオウガという強力チームの完成だ!
「先手はいただく!」
「俺たちに任せとけ!」
「「ドハハハハハ!/バハハハハハ!」」
先に突撃を始めたのは、お互いに色違いの防具を着た二人組だ。……あの二人、私の両親よりも歳上に見えるけど、大丈夫かな……?
「心配しているなら、無用だとだけ伝えておく」
「シズカさん?」
「あの二人は黒鬼と赤鬼……通称、ヘルブラザーズ。たしかに四十路に入った古参ハンターだけど、あの年齢でそれぞれが古龍を単騎で討伐できるほどの実力者よ」
「すごい……!」
「それはそれとしてメガシンカの件だけど……後で覚えてろよ?」
「アッハイ」
し、しまった……メガシンカが出来るって話、し忘れてたか……。なんか、すっかり話したつもりになってしまっていたようで、シズカさんから恨めしげな目を向けられた……コワイ。
「ガギャアアアアッ!!」
メガティガレックスが空に向かって大きく吠えた……その直後、空から大量の星が降ってきた!りゅうせいぐんか!そうはさせない……!!」
「ジンオウガ!10まんボルト!!」
「ウオオオンッ!!」
メガジンオウガが全身から電撃を放ち、突撃するヘルブラザーズの二人に直撃しそうな流星だけを撃ち落とす!
「やるなぁ!ありがたいぜ!!」
「いくぞおおおおっ!!」
まず赤鬼さんが仕掛けた!大きく回転しながら周囲を薙ぎ払うように、片手剣を振るいメガティガレックスを斬りつけた。さらにそこからすかさず片手剣で斬りつけると、盾でメガティガレックスの顔面目掛けて盾を突き上げた!
「ギギャッ!?」
「まだまだぁ!」
「こちらからも行くぞ!!」
突き上げた勢いで飛び上がった赤鬼さんはそのまま落下の勢いを利用してメガティガレックスを切り裂く!
続けてハンマーを構えた黒鬼さんが攻撃を仕掛ける。赤鬼さんが避けた後にその穴を埋めるように突撃した黒鬼さんはハンマーを横方向へすごい勢いで体ごと回転し、メガティガレックスの顔面を連続で殴ったあと、その勢いのままアッパーのように振り上げた一撃でメガティガレックスが大きく転倒した!
「せっかくだ、もう片方の爪もお揃いにしてやろう!!」
そう言うやいなや、黒鬼さんは未だ健在の方の爪へ回り込むとハンマーを縦回転させながら連続で叩き、遠心力で強力になった一撃を最後に振り下ろして反対側の爪も破壊した!
あ、あの人たち本当に四十路なの!?
「続くぞ!」
「了解!」
「よっしゃ!」
「!!」
「援護します!」
シズカさんたちも一気に突撃し、メガティガレックスへ肉薄する!なんとか起き上がったメガティガレックスは……ギガインパクトを使うつもりか!その前に、こちらからも仕掛ける!
「ジンオウガ、はどうだん!!」
「ワオン!」
「ギギャ!?」
今まさにギガインパクトを発動しようとしたメガティガレックスだったが、直前にはどうだんを受けたことで技が中断された。さらに攻める!
「畳み掛けろ!ごうらいちょうだん!!」
「ウオオオオンッ!!」
メガティガレックスが体勢を立て直す前に!走り出したメガジンオウガはハンター達を飛び越えるほどの大跳躍でメガティガレックスの上を取ると、そのまま体勢を入れ替えて背中からメガティガレックスを押しつぶす!!
「ギャアアアアンッ!?」
「同時に仕掛けるぞ、ニールくん!」
「いいですとも!」
メガジンオウガが飛び退くと同時に、左右からニールさんとお師匠さんが同時攻撃を仕掛けた!
「行くぞ……【獣宿し】!!」
「仕掛ける……!」
ニールさんはメガティガレックスを斬りつけると、自身はそのまま赤いオーラを纏った。お師匠さんは斧を激しく振り回すと、立て続けにメガティガレックスを斬りつけていく!
「合わせろ!」
「応っ!」
「剣鬼形態、起動!!」
お師匠さんが声掛けをすると、ニールさんは大剣を構えて力を溜め始める。一方でお師匠さんは斧を振り回しながら形態を剣へ変形すると、剣が激しく蒸気を吹き出し始めた!かと思えば、蒸気が収まると同時に剣が激しく閃光を纏い始め、先程よりもかなり強力化した印象へと変わった!
さらにお師匠さんが連続で斬りつけると、そのまま刃をメガティガレックスへと突き込んだ!
「ありったけの!属性解放突きだ!!」
「一撃両断!震怒竜怨斬ッ!!」
「ギギャアアア!?」
お師匠さんの一撃と、ニールさんの一撃が同時に決まった!!大きく怯んだメガティガレックス……そこへエイデンさんがさらに斬り込む!!
「そらっ!そらっ!そらぁっ!!」
まるで独楽のように回転しつつも方向転換し、メガティガレックスの全身をくまなく傷つけていく!
「エイデン!」
「おうさっ!」
ニールさんが声掛けすると同時に大剣を地面に斜めに突き刺し体で支えると、エイデンさんはその大剣を足場に飛び上がると回転しながらメガティガレックスを斬りつけた!
「おらあぁっ!天翔空破断っ!!」
エイデンさんの強力な追撃に、メガティガレックスはたまらずバックステップで退避した。そのまま体をゆっくりと、伏せるような姿勢に持っていく。はねやすめか!そうはさせない!!
「ジンオウガ!かみなり!!」
「ウオオオオッ!!」
「ガアアッ!?」
休む体勢になったメガティガレックスが避けられるはずもなく、かみなりは直撃!!はねやすめは中断された!!
「ラピッドヘブン!今のアタシはトリガーハッピーよ!!」
そこへすかさず、ネネさんが弾丸を高速連射する!すごい……射線がまったくブレない!!全く同じ箇所へ、何発も弾丸を撃ち込み続けている!
「叩き潰す……!!」
シズカさんがなにか準備をしている……!
勢いよく地面を掻くように槍を擦り付けると、砲身が熱されたのか赤く染まっている。さらにシズカさんはあの青い炎をやり先から灯すと、その炎を内部に封じ込めるように力強くリロードした。
「……!」
「……!」
一瞬、私とシズカさんの目が合った。それだけで、私自身何をすればいいのか、シズカさんが何をしたいのか、わかったような気がする。
ならば、その勘に従うのみ!!
「ジンオウガ!奥義装填!!」
「ワオン!」
「せんしょうらいせん!!」
「ウオオオオオオオオオンッ!!」
「……!!ギャアアアンッ!?」
ネネさんの高速連射に気を取られたメガティガレックスが、こちらに気付いて振り返るが……もう遅い!尖衝雷閃によって角を突き込まれたメガティガレックスは、そのままシズカさんの下まで一気に運ばれていく!!
「……覇山竜撃砲ッ!!」
目と鼻の先にまで迫ったタイミングで、シズカさんが球体と見紛うほどの獄炎を纏う砲撃を放った!!メガジンオウガの奥義とシズカさんの砲撃に挟まれる形になったメガティガレックスには大ダメージだ!!
「ギギャアアアアアッ!?」
ドカアアアァァァンッ!!
激しい大爆発が起こり、爆煙からメガジンオウガとシズカさんが同時に飛び出した。もくもくと上がる煙が晴れると、そこにはしっかりと両足で立つメガティガレックスの姿があった。
「……!!」
「まだ……!」
「グルルル……ギャアアアンッ!!」
メガティガレックスが口元にエネルギーを集め始めた。まだはかいこうせんを撃つだけの元気が……!
「……ガ、ガ……ァ……」
ズゥン……
……と、思ったら。エネルギーは消滅し、メガティガレックスは倒れ伏した。メガシンカも解除され、元のティガレックスへと姿が戻った。さらに上空に発生していた時空の裂け目も閉じられ、マゼンタ色の空も元の青空へと戻った。
「…………」
ジンオウガがゆっくりとティガレックスに近づき、鼻先でティガレックスの顔を小突いた。だが、ティガレックスに反応はない。ジンオウガがこちらに振り返り頷いたので、私も近づいていった。ちょうどシズカさんも近づいてきたので、一緒に確認をする。
「……気絶してるだけ、ですね。瀕死状態です」
「そっか……ネネ!」
「はいっ!!」
シズカさんもティガレックスの様子を確認すると、ネネさんを呼びつけた。呼ばれたネネさんは、土煙を巻き上げるほどの爆速でこちらに来た。……人間ってあんな速さで走れるのか。
「ティガレックスは瀕死状態で気絶してる。麻酔弾を」
「はいっ」
ネネさんが弾を込めると、私はシズカさんに促されて距離を取る。ネネさんがティガレックスの顔面に弾を二発ほど撃ち込むと赤っぽい粉塵が炸裂し、ティガレックスの呼吸が寝息のそれに変化した。
麻酔……それじゃあ、ティガレックスは……!
「姉様、完了です」
「ん。……ティガレックス、捕獲しました!!」
シズカさんが声を張り上げると、一瞬の静寂。そして――
――ウオオオオオオオッ!!
歓声の大爆発が巻き起こった!
「やったぜニール!」
「あぁ!」
「ドハハハハ!俺達にかかればこんなもんよ!!」
「バハハハハ!所詮はティガレックス、やはり大したことはなかったな!」
「……やれやれ、弟子の成長を見るだけのつもりだったんだがなぁ」
ハンター達は互いに互いの健闘を称え合い、作戦完了を改めて実感している。複数の騎士とともに大きな荷台を引き連れ、将軍もこちらまで来てくれた。
「シズカくん、ネネくん。ご苦労であった」
「将軍も、お疲れ様でした」
「約定通り、捕獲したティガレックスは龍歴院に引き渡そう。荷台はこちらで用意した、使ってほしい」
「龍歴院を代表して、将軍に感謝を」
「此度のティガレックスは、まこと奇っ怪な技を多用することから特殊個体として認定されるだろう。多種多様な属性や技を駆使する姿……さしずめ、"ティガレックス技巧種"といったところか」
「技巧……たしかに、"技"の扱いは"巧"かったですね」
「ふふっ……龍歴院の皆が、血眼になって究明する様が目に浮かびますわ」
将軍はしばらくシズカさんとネネさんと話したあと、私の方へと振り返った。
「ショウくん。今回の作戦、君たちトレーナー諸君の力添えもあってこそ成し得たことだ。作戦総責任者として、礼を言わせて欲しい」
「あ、頭を上げてください!むしろハンターの皆さんが頑張ったというか……」
「たしかにハンター諸君の頑張りも当然、評価されてしかるべきだ。だが、我々は誰もがこう考えている。"トレーナーが力を貸してくれてよかった"、と。
だからこそ、こうして礼を述べているのだ。謙遜する必要はない。君たちの助力は、間違いなく無駄ではなかった」
「あ……あ、ありがとうございます……!」
将軍は穏やかな笑みを浮かべて私たちトレーナーを賞賛してくれた。……うん、素直に嬉しい。私たちもちゃんと、力になれたんだな……!
「さぁ、諸君!帰還するとしようっ!!」
将軍の言葉に全員が一層大きな歓声を上げ、バルバレが近い人たちはバルバレ側へ、私たちはドンドルマ側へと帰還していった。
巨大化とメガシンカ……二つの形態を見せたティガレックスの討伐作戦が無事に終了し、その日はハンターズギルドが奮発して大宴会となった。ドンドルマ、バルバレでそれぞれ開催されているらしく、ドンドルマ側に帰還した私たちももれなく宴会の中心人物となった。
私たちは宴会が始まるやいなや、それはもうたくさんのハンター達にもみくちゃにされた。「すごかった」「助かった」「ありがとう」などなど、たくさんの言葉をもらいながら私やテル先輩は子供ということもあって頭を撫で繰り回され、セキさんたち大人組はがっちり握手をして対応していた。
なお、会場の外ではジンオウガたちも労われており、それぞれ好物となるお肉や魚、植物などを与えられてご満悦の様子だった。……唯一、メス二体に挟まれて口移しを強要されていたリオレウスは今にも死にそうな顔で食事が進んでなかったけど、大丈夫かな。
ハンター達からの称賛の嵐が一段落したところで、私たちは丸テーブルに集まって座っていた。もちろん、シズカさんも一緒だ。シズカさんも一緒ということは当然ネネさんも一緒で、シズカさんのお師匠さんのシュラークさん、ニールさんとエイデンさんも同席している。
「さて……トレーナーの皆には俺の弟子がお世話になったみたいだね」
「いえいえ!むしろこちらがお世話してもらってばかりで、シズカさんには頭が上がらないです」
「あははあ、随分と礼儀正しい子だなぁ。同じくらいの頃のシズカは……丁寧というか、慇懃無礼って感じかな?言葉も態度も丁寧だけど妙に壁を作っててね、今くらいに懐いてもらうまですっかり時間がかかったもんだ」
「しっ、師匠っ!昔の話はしないでください!あの頃の私は……そう、自棄になってただけなんです!」
「その自棄糞な死にたがりを、真っ当なハンターになるまで育てたのは俺だぞ?」
「その節は大変お世話になりました本当にありがとうございます!」
おぉ……シズカさんが顔を真っ赤にして照れてる。……ポケモンの進化と同じで、シズカさんも懐くと表情がコロコロ変わって進化するのだろうか。
「そうそう、昔のシズカって本当に無茶ばかりしてたんだ。怪我で動けなくなったケルビをナルガクルガから守るために、終日耐えきろうとしていたんだから。その頃のシズカはまだ下位ハンターで、防具もボロボロで全身傷だらけなのに一歩も退こうとしないでさ」
「あっ、その話、俺も聞いたぜ!ニールがたまたま通りがからなかったら、マジで危なかったって話だろ?」
「あぁ。そして、俺とシズカの初めての出会いが、その時のことだったんだ」
「うぅ、ニールさんまで私の昔語りを……!」
ニールさんとシズカさんの馴れ初め……どうやら小型の草食種を大型の飛竜種から守るために身を呈していたところ、通りすがりのニールさんが助けに入ったことで事なきを得たらしい。
「あの時は酷いこと言って、ごめんな」
「いえ、お気になさらず。傍から見れば事実でしょうし」
「姉様!この男になにか言われたんですか!?」
「え?いや、『君にはハンター向いてないよ』って言われただけだけど」
「はぁ!?」
「いや、誤解!誤解だから!!」
どうやらニールさんは言葉足らずなことがたまにあるらしく、正確には「"モンスターの命を見捨てられないくらい優しい"君にはハンター向いてないよ」と言おうとしたらしい。
ただ、シズカさんも結構ギリギリで切羽詰っていた状況だったために、言葉足らずで伝えてしまったらしい。そして、シズカさんも売り言葉に買い言葉というか、「知っとるわボケ(意訳)」と返してしまい、初対面はお互い険悪な印象しか残らなかったんだとか。
「けど、それから度々クエストを一緒することがあってね」
「お互いへの誤解も解けましたし、今だって文通するくらいには友人同士ですよ」
「ゆ、友人……うん、そうだな!」
……ニールさん、強く生きて……。
「えっと……ネネさんはシズカさんとどうやって知り――」
「よくぞ聞いてくださいました!」
まだ喋ってる途中なんだけど……。
「アタシが姉様と知り合う前に、アタシのことを軽く話しとかないとね」
そう言って、ネネさんは自分語りを始めた。
「自分で言うのもなんだけど……ハンターになりたてのアタシって、結構最低な部類に入るハンターだったのよね」
昔のネネさんは他人に便乗してクエストの報酬をもらう……所謂『寄生ハンター』というやつで、あざとい性格や可憐な容姿を利用してそれはもう楽なことしかしてこなかったらしい。
当然、何もしなかったらしなかったで批難殺到は必至……なので、当時『操虫棍』という武器を使っていたネネさんは猟虫を的確な位置に飛ばしてモンスターの気を逸らす囮役をやっていたらしい。
そうして楽に楽を重ねて上位ハンターになったネネさんは、男性二人組に便乗してババコンガというモンスターの亜種を狩猟するクエストに臨んだ。
「いやぁ、もしも今のアタシがその場にいたら、当時の自分をぶん殴ってたかもしれないわ。今となっては姉様と出会えるきっかけになったから、良かったけどね」
そのクエストの最中、突然"怒り喰らうイビルジョー"が乱入してきてババコンガ亜種を殺害してしまったらしい。さらにイビルジョーの標的がネネさんたちに向くやいなや、男二人組はネネさんを置いて我先に逃げ出したそうだ。置いて行かれたネネさんは恐怖で動けなくなり、イビルジョーはネネさんに襲いかかろうとした、その時だ。
「その時だったわ。……姉様がブラストダッシュで、イビルジョーの横っ面に体当りしたのよ」
当時のシズカさんの状況は、ニールさんとの出会いの時より凄惨だったらしい。全身の傷はもとより、盾は四分の一が欠けた状態で槍も罅割れ今にも折れそうな状態だったらしい。それでも、シズカさんはネネさんを守るために体を張ってイビルジョーに攻撃した。
それからは、シズカさんとイビルジョーの一騎打ちへ。……あれ?そういえば……。
「シズカさん、リュウセイくんを逃がすために戦ったイビルジョーって……」
「あー……うん、実は今話に出てるソイツ。いきなりエリア移動したから何事かと思って、嫌な予感に従って追撃したら、ネネがいたってわけ」
「姉様……アタシの危機を察知して……!これはもう、運命――」
「偶然」
「あぅ……姉様、手厳しい……」
ネネさんの語りはまだまだ続く。シズカさんはいつ倒れてもおかしくないくらい疲労困憊だったし、武器も防具もボロボロで勝ち目はない。それでも、シズカさんはネネさんに逃げるよう促しつつ、イビルジョーと戦い続けていた。
「でもね、アタシ思ったのよ。……『ここで逃げたら、ハンター辞めるなんて比じゃないくらい後悔する』って。だから、アタシは姉様を援護することにしたの」
猟虫を飛ばし、イビルジョーの気を逸らすネネさん。その隙を突いて、的確に攻撃を放つシズカさん……初めて出会うばかりか、会話すらしていないのに息ピッタリの連携を見せるふたりに、イビルジョーはかなり苛立ったらしく……龍属性のブレスを構えたのだ。
しかし、そこでシズカさんも賭けに出た。イビルジョーの懐に飛び込むと、今日の狩りの最中に見せた大技『覇山竜撃砲』でイビルジョーが放つ龍属性ブレスと相殺してみせたのだ。
激しい爆発とともに派手に吹っ飛ぶ両者。この時点でシズカさんは重症で、盾は木っ端微塵に吹き飛び槍は半ばから折れてしまったらしい。先に立ち上がったイビルジョーに、ネネさんがすかさず閃光玉を投げて目くらましをすると、すぐさまシズカさんを抱き上げてベースキャンプへ逃げ帰ったそうな。
「いやぁ、あの時は死ぬかと思ったわ。……主に姉様が」
「半日もぶっ続けで"怒り喰らうイビルジョー"と戦い続けるからだ、誰がそんな無茶をしろなんて教えた?」
「シズカ……命がいくつあっても足りないぞ?いや、真面目に」
「……ごめんなさい」
ベースキャンプへ戻ったネネさんだったが、同行者の男性二人に責められたらしい。というのも、クエストを受注したのはネネさんで、その時に受付嬢さんから説明を受けていたはずなのだが……どうやらネネさんは話を聞き流していたようで、"怒り喰らうイビルジョー"の情報が抜けていたらしい。
だが、そこでシズカさんが動いた。ババコンガ亜種が"怒り喰らうイビルジョー"によって殺害済み……即ち、「狩猟自体は完了したのだからとっとと帰れ」と男性二人を先に帰し、自身はそのままベースキャンプでネネさんにお説教を始めた。
「アタシね、本当にバカだった。そのお説教の時にね、アタシと姉様が同じハンターランクの上位ハンターだって知ったの。
……何もかも違ったわ。身奇麗なままのアタシと、武器も防具も何もかもボロボロで血と泥で汚れた姉様……同じランクのハンターなのに、こんなにも違った。しかも他力本願で上位に上がったアタシと違って、姉様はずっとソロだった。
自分が情けなかったわ。恥ずかしすぎて、"死んでしまいたい"って思った。でもね、ハンターを諦めそうになったアタシに、姉様は言ったの」
――……待ってるから――
「『あなたが一端のハンターとして、ちゃんと私と比肩出来るようになるまで待ってるから』……姉様はそう言ってくれたの。まぁ、その直後に限界が来てぶっ倒れちゃったんだけど。
けど、おかげで目が覚めたの!それからアタシは本気でハンターの道を目指したわ。下位クエストでモンスターの動きをおさらいして、上位クエストで再びリベンジしたわ。その前に姉様から『AIM力が凄いし、ボウガン持てば?』って言われてたから武器を変えたんだけど、もうアタシにぴったりだったのよ!!
ハンターズギルドからの頼みで龍歴院に派遣ってなったときは、正直驚いたけどね。まぁ、当時のアタシの実力なんて新人に毛が生えた程度だったし、実際のランクなんてどうでもよかったのかもね」
「シズカさん……」
「スゲェやシズカさん」
「やっぱアンタは最高だな、シズカ」
「シズカさんかっこいい!同じ女性として憧れるよ!」
「他者からこのように語られるというのは、本当にすごいことですよ」
「や、やめてよもう……!」
すっかり顔を赤くしたシズカさんは、目の前にあるスープをぐいっ、と煽る。
「あちっ」
直後、器を戻して舌を出すシズカさん。猫舌……あれ、なんか急にこの人が可愛く思えてきた。
「ほら、猫舌なんだから無理に飲もうとするなって。はい、氷」
「ひゃい……」
出された舌の上にそっ、と氷を乗せてあげるシュラークさん……師弟というより、まるで親子……?
「<●><●>」
「ネネさん、顔顔」
ネネさんが、女性がしてはいけないような顔でガン見してる……コワイ!
夜は更けていき、時間とともに宴会は賑やかさを増す。私たちも最後まで、この宴会を楽しむのでした。
ティガレックス狩猟完了、クエストクリアです!