ポケットモンスターHUNTER アルセウス   作:箱厨

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ちょっとポケモン成分が不足してきたので、ここらで充電タイムと行きましょう


這い寄る悪意は狂える竜と共に

巨大化とメガシンカ、二つの力を使いこなすティガレックスを撃破・捕獲し、夜通し宴会でどんちゃん騒ぎとなったドンドルマ。宴は深夜を周り、日付をまたいでも衰え知らずとばかりに盛り上がり、お開きとなったのは日付が替わって二時間ほどしてからだった。

ハンター達は宿でそれぞれ眠りにつき、私たちも同じく眠りについていた。現在、ヒスイ女子部屋には私たちの他にシズカさんとネネさんも部屋で寝ている。これには理由があり、どうやらメガティガレックスとの戦闘中、シズカさんの介抱をしていて参戦を渋っていたネネさんをやる気にさせるため、シズカさんがネネさんに同衾を申し出たそうだ。……それでネネさん、あんなにやる気満々だったのか。

ただ、そこはシズカさん。寝る直前になって私たちとの同室を申し出てきたのであった。これにはネネさんも不平不満を垂らすも、「別に"二人きりで"とは一言も言っていない」と自身の発言すら逆手に取るように発したシズカさんの言葉にはぐうの寝も出ず、ネネさんも渋々了承した。……汚いな、流石シズカさん汚い。さらにダメ押しとばかりにシズカさんはシロちゃんを抱き枕にするようにして眠ってしまったのだ。私が思わずそこまでするのか、と尋ねると……

 

『二人きりで寝た日には私が喰われる』

 

と、死んだコイキングのような目でボソリと呟かれた。……本当にご苦労様です。

結果、ただでさえ三人でも持て余していた広さのベッドに五人で並んで寝ることに。……シロちゃんを抱き枕にするシズカさんを抱き枕にして寝るネネさん……いや、あなたもそこまでするか。

そうして眠っていたのだが、私はいまいち寝付けなかった。ふと、目が覚めては心臓にそっと手を当てる。こちらの世界に来てからは、心臓が痛みを訴えることは減っている……だが逆に言えば、いつまたあの痛みが襲って来るのかわからない。そのことが潜在的な恐怖心となって、私を不眠状態にしているのかもしれない。

 

「……外の空気でも吸おう」

 

私は隣で寝るカイさんとシロちゃんを起こさないようにそっとベッドから降りた。そのまま静かに部屋を出て、宿の廊下を歩く。呪いを解くための鍵は、歌姫と滅龍石とシロちゃん。三つのうち二つの鍵は揃っている。あとはどこで滅龍石を確保するか……。

 

「ままならないな……」

 

ぼんやりと考えながら、一旦宿の外へ出る。見上げれば星空が広がっており、数多の星たちが輝きを放ち自らの存在を主張している。

 

「(綺麗……そういえば宇宙からやってきた、なんてポケモンもいるって言ってたっけ)」

 

他愛のないことを考えながら、少しばかり心が落ち着いてきたので宿へ引き返す。するとちょうど私と同じように宿から出てきた人がいた。

背丈は私と同じくらいで、その顔はどこかアカイさんに似ている。ただ、アカイさんと違って全身真っ黒な衣装に身を包んでいる。

宿泊客かな……シロちゃんやアカイさんの親族だろうか。そう思いながら会釈とともにすれ違った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「終活は順調かい?ポケモントレーナー」

 

「!?!?!?!?」

 

すれ違いざまに呟かれたその言葉に、思わず振り返った。すると相手側も同じく振り返っており、その口元には滲み出る悪意を隠そうともしない邪悪な笑みが浮かんでいる。どういうことだ、とこちらが尋ねる前に、少年はその場から走り出した!

 

「待てっ!!」

 

私は迷わず追いかけた。少年はそのままドンドルマの門を抜けていき、森の中へと走っていく。ティガレックス討伐作戦成功直後ともあって、警備は最小限にされている。そのため、誰も少年を止める者がいないのだ。

私は少年を見失った。しかし、直後にポケモンの鳴き声が聞こえそちらへ顔を向けると、森丘で見たイャンクックそっくりの紫のポケモンに乗って飛んでいく姿が見えた。

 

「ガブリアス!!」

 

「ガブッ!」

 

私はすぐにガブリアスを繰り出し、その背に乗り込み追いかけた。少年の行く先には、先程まで狩場であった遺跡平原が見える。

しばらく逃避行を続ける少年だったが、遺跡平原に近づいたあたりでポケモンの背から飛び降りた。かなりの高所だったにも関わらずなんなく着地を決めると、悠々とした様子でこちらを見上げている。……降りてこいってことか。私はガブリアスに合図を出し、地上へと降りていった。

 

「よぉ」

 

「どうも」

 

私がガブリアスの背から降りるのを待ってから、少年は声をかけてきた。私は最後まで警戒心を解かず、少年の呼びかけに応えた。

 

「いやぁ、驚いたね。まさかこれほど素直についてくるとは思わなかったぜ。無謀にも程があんだろ、冷静に見えてその実、熱血系だったのか?」

 

「うるさい。さっきの言葉はどういう意味?どうして私がポケモントレーナーだと?」

 

「はっは、そう急くなよ。まぁ、そっちは悠長になんてしてらんねぇだろうし、寛大な俺様が貴様の問いに答えてやろう」

 

まるで役者のような気取った言い回しをする少年。一体何者……?

 

「さっきの言葉か……まあ、言葉通りだよ。余命幾ばくもない可哀想な貴様が、死の直前までどのように生きるのだろうかと気になってね。何をするかと思えば無駄なことばかりするものだから、ちょっとしたお手伝いをしてやろうかと思ったのだ」

 

「お手伝い……?」

 

「そうそう、お手伝い。……俺様が、今すぐ、貴様を楽にしてやろう

 

ぶわっ!と音が聞こえそうな勢いで、殺気を叩きつけられた。こいつは、一体……!

 

「俺様は……そうだなぁ、貴様の傍にシロって女がいるだろう?それと同類だと思え」

 

「シロちゃんの同類……?」

 

ブフッ!し、シロちゃん……ゴホンッ!まぁ、そうだ。シロという女と通じている龍がミラルーツなら……俺様が通じているのは、黒龍ミラボレアスだ」

 

「!!」

 

「そうだ!貴様に呪いをかけ、貴様の死を今か今かと首を長くして待ち望む、あの黒き龍だ!待ちくたびれたので直接殺しに来てやったぞ!!」

 

ミラボレアス……!私の呪いをかけた龍!!そのミラボレアスと繋がっている人間が、私を直接消しに来たってこと!?

 

「(たしかアイツらそう言ってたよな……?なんでこんな面倒くさい設定を……わざわざ人間に扮してまで……)」

 

「……つまり、あなたは黒龍ミラボレアスの代弁者、というわけね」

 

「……ん?あぁ、そうだ。そんなとこだ」

 

「だったらミラボレアスに伝えなさい。……私は絶対に死なない。生きて生きて、最後の最後まで生き足掻いてみせると!!」

 

「……後悔するぞ」

 

そう言うと、代弁者は懐から何かを取り出した。あれは、金属製のモンスターボール……!!

 

「さて、紹介がまだだったな。特に名乗る気もないので、俺様のことは適当に『クロノ』とでも呼べ。あのアカイと似たような理由だ、察しろ。

黒龍の意思の代弁者として、黒龍の望みを代行する。黒龍の望みは貴様の死。貴様が最も得意とするものでかかってこい。俺様も貴様と同じ土俵に立ち、その上で完膚なきまでに叩き潰して貴様の命を摘み取ってやる!」

 

「ならば、ポケモンバトルで!!」

 

「いいだろう!!今ならば古龍観測隊の気球も飛んでいない、一切の遠慮なくかかってくるがいい!!」

 

私もモンスターボールを取り出し構える。クロノも同じようにボールを構え、同時にポケモンを繰り出した!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

推奨BGM

【戦闘!四天王】~ポケットモンスターB/W~

【戦闘!四天王】~ポケットモンスターOR/AS~

【戦闘!四天王】~ポケットモンスターS/M~

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「お願い!ミミロップ!!」

 

「撃ち抜け!ブロスター!!」

 

「ミッミィー!」

 

「ショットー!」

 

私はミミロップを繰り出し、クロノはブロスターを繰り出した!

 

「臨機応変、縦横無尽の狙撃手。千変万化の弾丸が活路を開く。時に地に座し、攻防の拠点と化す。不動の巨砲は天の竜をも撃ち落とす。俺様のブロスターを、そこらのブロスターと一緒にするなよ」

 

「ブロロ……!」

 

ブロスター……特性の力ではどう技が強いんだっけ。お父さんのメガカメックスと同じだ。けど、はどう技が強いのは、私のミミロップだって同じ!!

 

「あくのはどう!」

 

「ミミィ!!」

 

「アクアジェットで回避だ!」

 

「ショット!」

 

ミミロップが放ったあくのはどうは、ギリギリまで引きつけてからのアクアジェットで回避された!ブロスター、意外と速い……!

 

「りゅうのはどう!」

 

「こっちもりゅうのはどう!」

 

「ロスター!!」

 

「ミミミー!!」

 

ブロスターのりゅうのはどうと、ミミロップのりゅうのはどう……力は互角だ!爆煙で一瞬だが視界が失われる……。

 

「突っ込め!アクアジェット!!」

 

「ブロロロ!」

 

「ミミロップ、波導探知!」

 

「ミミ!」

 

爆煙に紛れて接近するつもりだろうけど……こっちは波導に長けたミミロップ!波導を探れば、そっちの動きはお見通しだ!

 

「はどうだん!!」

 

「……!ミミロー!!」

 

「ッ!?ブローッ!!」

 

「なんとぉ!?」

 

ブロスターの動きを完璧に見切ったミミロップ!タイミングを合わせてはどうだんを直接ブロスターの土手っ腹に叩き込んだ!吹っ飛びつつも体勢を立て直し、ブロスターは腕のハサミを構えている!

 

「みずのはどう!」

 

「シュート!」

 

「ミッ!」

 

これは当たってしまったが、ミミロップはまだまだ元気だ!さぁ、次は……。

 

「……ッ。ブ、ロロロ……」

 

と、次の技を考えている最中に、突然ブロスターが倒れ込んでしまった!まさか、戦闘不能?けど、一撃だなんておかしい……さっきのブロスターは、まだまだ余裕がありそうだったのに……。

 

「クックック……遂に来たか」

 

「来た……って、なにが?」

 

「まぁ、見てなって」

 

クロノがブロスターを示すと……ブロスターの様子がおかしくなっている!口元から紫色の瘴気のようなものが溢れ始めたかと思うと、次の瞬間には紫色の光を発して立ち上がった!

 

「b……b……brrrrooooooo!!

 

ブロスターは全身が紫がかった色合いに変化し、さらに目は赤く光り血走っていて口元から紫の霧が吐息として吐き出されている……な、なにあれ……!?

 

「なに、これ……!?」

 

「ミ、ミミ……?」

 

私もミミロップも戸惑いが隠せず固まってしまった。対してクロノは歓喜に満ちた笑みを浮かべていた。

 

「ハッハッハッハッハ!!見たか!これが『狂竜化』だ!!」

 

「きょ、きょうりゅうか……?」

 

「クックック……貴様に教えてやる義理などないが、無知のまま死んでは可哀想だ、冥土の土産に教えてやろう。

狂竜化とは、とある龍が放つ特殊な鱗粉、『狂竜ウイルス』を摂取した生物が発する特殊な病『狂竜症』……その狂竜症の症状がさらに進行したモンスターが見せる形態変化!己の命を削りながらも力を高め、さらに他の状態異常になることがない!

さらに接触した相手に狂竜症を発症させることができる!接触によって狂竜症を発症した生物は攻撃を当て続けなければその症状を克服することができず、攻撃しなければ力を失う!克服すれば絶大な力を瞬間的に得られるが、ボールに引っ込めても直すことができるぞ」

 

状態異常の狂竜症……さらに狂竜症が深刻化した狂竜化!クロノのブロスターは狂竜化状態になっている……ブロスター、あんなにも苦しそうなのにクロノのやつは嗤っている……なんてやつだ!

 

「ブロスター、苦しそうじゃない!早くボールに……!」

 

「無駄だ!俺様のポケモンたちは全員が狂竜化済みだ。そして!狂竜化は狂竜症とは違い瀕死になるまで治ることはない!残りはブロスターだけだったのだが……戦闘中に狂竜化すれば御の字だったが、間に合ったようだ。ティガレックスもいい時間稼ぎをしてくれたよ」

 

「……!!まさか、あの巨大なティガレックスは……!」

 

「そのとおり!俺様の狂竜化チーム構築のための時間稼ぎのため、黒龍がその力で変化させたのだ!ありがたい話だよなぁ!」

 

「ふざけるなっ!!命をなんだと思っているんだ!!」

 

「命なんてどうせいつかは死ぬのだ、遅いか早いかの違いになにをそこまで憤る?」

 

「狂ってる……!!」

 

こいつは……ウォロ以上にタチが悪い!!こいつを、クロノをこのままにしておくわけには行かない!!

 

「あなたは……お前は、私が止める!」

 

「ミッミー!!」

 

「やれるものならやってみろ!ブロスター、アクアジェットォ!!」

 

「ブロオオオォォッ!!」

 

ブロスターのアクアジェット……さっきまでよりもずっと速くなってる!?

 

「ミミロップ近づけないで!はどうだん!!」

 

「ミミロォ!」

 

ミミロップもはどうだんを放つが、物凄い速さで動くブロスターははどうだんを次々と避けていく……必中技のはどうだんが追いつけないなんて……!!

 

「りゅうのはどう!」

 

「ショットォッ!!」

 

「受け止めろ!」

 

「ミッ!」

 

いつかのシロちゃんとの勝負のように、ブロスターの波導を受け止める!……なにっ!

 

「ミ……ミミィッ……!」

 

ジリジリと、ミミロップが押し込まれている……な、なんて火力とパワーなの、これは!?

 

「ダメ、ミミロップ!受け流して!!」

 

「ミミッ!」

 

「隙ありぃ!アクアジェット!!」

 

「ブロロロ!!」

 

「ミッ……!!」

 

なんとかりゅうのはどうを受け流せたけど、その後隙を突かれてアクアジェットをぶつけられた!アクアジェットを受けたミミロップは、体が紫の霧に包まれている……あれが狂竜症!

たしか、攻撃を当て続けて克服すると、状態異常が回復するだけでなく強化にも繋がるって説明してたっけ……それなら!

 

「攻撃を続けてミミロップ!あくのはどう!!」

 

「ミミミィ!」

 

「そう簡単に当てさせるものかよ!はどうだん!!」

 

「ショット!!」

 

ミミロップが放ったあくのはどうは、しかしブロスターのはどうだんに打ち消された!しまった、あく技とかくとう技、タイプ相性の差が出たか!

 

「こっちもはどうだんだ!」

 

「ミィ!!」

 

「フハハ!アクアジェット!!」

 

「ブロロー!!」

 

なんとかはどうだんで相殺したけど、ブロスターがまたアクアジェットで突っ込んでくる!

でも大丈夫……ミミロップにはミミロップにしかできない戦いがある!

 

「ミミロップ、波導探知!!(引きつけて、あくのはどうで目くらましするよ)」

 

「……!ミィ!!」

 

「ハッ、馬鹿の一つ覚えか?もうその手は見切っている!ブロスター!!」

 

「ブロロロロ!!」

 

ブロスターが先程よりも速く複雑な動きをする。あれはフェイント……おそらく、攻撃のタイミングをずらしてくるはず。波導はブロスターの動きや居場所を探知できても、行動までは予測できない。だから最接近したタイミングで別の動きをするはずだ。

でもね……それくらい、私だって予測できてるよ!!ブロスターがミミロップに近づいてきた……今だ!!

 

「ブロスター!みずのはどうだ!!」

 

「ショット!」

 

ミミロップに接近してきたその時、ブロスターは足元にみずのはどうを撃ってその勢いで飛び上がり、ミミロップの頭上を取った。だが甘い!

 

「ミミロップ!!」

 

「ミミィ!!」

 

事前に波導を通じて指示したとおり、ミミロップは足元にあくのはどうを放った!地面に衝突して爆発したことで煙が広がり、ブロスターの視界を遮る!!

 

「なにっ!?」

 

「今だ!はどう技、フルコース!!全弾叩き込めぇ!!」

 

「ミミロオォー!!」

 

「ブ、ブロロー!?」

 

「ブロスター!!」

 

みずのはどう、あくのはどう、りゅうのはどう、はどうだん。すべてのはどう技を連続で放つ!その全てがブロスターに直撃し、ブロスターは戦闘不能になった!!

 

「チッ、やってくれたな……戻れ」

 

「ミミロップ、一旦戻って」

 

「ミ」

 

狂竜症は手持ちに戻しても治るそうだから、一度ミミロップをボールに戻す。さて、次は……。

 

「ライチュウ!」

 

「ラアアアアァイッ!チュウウウウゥッ!!」

 

私の二番手はライチュウ!極み個体となったライチュウなら、誰が相手だろうと対等に戦える!!

 

「フンッ、例の極み個体か。面白い、その力存分に見せてもらうとしよう。俺様の二番手はコイツだ!!」

 

そう言ってクロノが繰り出したのは……白いカモネギ?

 

「ネギガナイト!」

 

「ギャモゥッ!!」

 

「ねぎがないと」

 

ネギガナイト……?いや、待って、聞いたことないんだけど?カモネギに進化系なんていたっけ!?

 

「クックック……どうやら初見のようだな?残念だが俺様が自分の手持ちについて貴様に教えてやることは何一つとしてない!」

 

くそっ……私がわかるポケモンは、大体お父さんが捕まえたというポケモンだ。全国津々浦々を巡るお父さんは、当然だが別地方にしかいないポケモンを捕まえて連れて帰ってくることが多い。……私がアルセウスに呼ばれる前は、アローラ地方を旅してる途中だったっけ。

おっといけない、話が逸れた。よくよく見ればネギガナイトもどこか紫っぽい体色をしており、目は赤く輝き口からはブロスターと同じく紫の霧が漏れている。

 

「見たことないポケモンだけど、気を引き締めていこう、ライチュウ」

 

「ラアアアアアアアイ!!」

 

「ふん、意気込みは良し。だが相手が――」

 

「でんこうせっか!!」

 

「ラァイ!!」

 

「オイ!」

 

相手がなんか喋ってるけど、こちとらアンタのような人間相手に気遣えるほど出来た人間じゃないんで!容赦なくでんこうせっかを叩き込む!!

光の速さでカッ飛んでいったライチュウ……だが、ネギガナイトは左手に持つ盾で冷静にライチュウを受け止めた!?

 

「クックックック……堅固なる大盾に守られし、天を衝く巨槍。強撃を退け、反撃の牙を突き立てる!ネギガナイト、じごくづき!!」

 

「ギャアモッ!!」

 

「ラ"ッ!?」

 

ネギガナイトは盾でライチュウを弾くと、喉元に鋭く突きを放った!喉を思い切り槍のように長大なネギでどつかれたライチュウは、喉元を抑えてえずいている!

 

「ライッ……ライッ……!」

 

「ライチュウ……!」

 

「ぶっ飛ばせ!スターアサルト!!」

 

「ギャアアアモオゥ!!」

 

「ラァーイ……!!」

 

「ライチュウ!?」

 

ネギを真っ直ぐに構えたネギガナイトは、そのまま猛然とライチュウ目掛けてネギを突き立てた!ライチュウは派手に吹っ飛ばされたけど、なんとか受身を取って地面で跳ねるとそのまま着地を決めた!

 

「ライチュウ、大丈夫?」

 

「ライライライ!!」

 

ライチュウは平気そうだけど、ネギガナイトに接触されたことで狂竜症を発症している……なんとか克服して、体勢を立て直さないと!!

 

「ライチュウ、10まんボルト!!」

 

「ラアアァイ、チュウウゥ!!」

 

「ネギガナイト、ぶんまわせ!!」

 

「ギャモッ!」

 

……?スターアサルトを放った直後のネギガナイト、動きが鈍ってた……まさか、反動で動けなくなる技か?だとしたら、反撃の手が遅れたのは痛い。ライチュウの10まんボルトは、ネギをぶんまわした勢いで次々と撃ち落とされている……だが!

 

「アイアンテール!!」

 

「ラアァイチュウウ!!」

 

ライチュウは勢いよく突撃し、ネギガナイトを攪乱するように動き回る!ネギガナイトもライチュウの動きを追いかけようと必死になっている。

途中、すれ違い様にしっぽをぶつけていくライチュウだが、これはネギガナイトの反射神経がいいのか上手いこと盾で受け流されている。強い……これも、狂竜化による影響なの……?

 

「ぶんまわす!」

 

「ギャモォ!!」

 

「ライッ……!」

 

何度目かのタイミングでクロノから指示が飛んだ!タイミングよくネギをぶんまわしたことで、ライチュウがネギにぶつかってしまった。ただ、ライチュウもネギにしがみつくことで吹っ飛ばされないようにしている!

 

「ライチュウ!ネギの上に!」

 

「ライライ!」

 

「……っ!!」

 

ライチュウは体勢を立て直してネギの上に乗り移った!ネギガナイトも思わず動きを止めてしまう……今だ!

 

「10まんボルト!!」

 

「ラアアァイ、チュウウゥ!!」

 

「ギャモッ……!!」

 

ネギガナイトは咄嗟に盾を構えるが、電気は盾を通してネギガナイト本人に直撃!これは効いている!!

 

「えぇい、スターアサルトだ!!」

 

「ギャアモオォォウ!!」

 

再びあの突進が迫って来る……けど!

 

「ライチュウ、でんこうせっか!!」

 

「ラァイ!」

 

「バカめが、真っ向から挑むつもりか!!」

 

クロノがなにか叫んでいるけど……残念ながら、私たちは脳筋じゃないんでね!ライチュウとネギガナイトの距離が詰まってきた……今!!

 

「今だ!アイアンテール!!」

 

「ラァイチュウ!!」

 

ライチュウはその場で小さく跳ねつつ前転し、尻尾を縦に振り回す。その結果!

 

「なにぃっ!?」

 

「ギャモッ!?」

 

ライチュウのアイアンテールはネギガナイトのネギの穂先を叩き、ネギは地面に突き刺さった!かなり深く刺さったのか、ネギガナイトが抜こうと必死になっている!!

 

「これなら……!」

 

「ラララァイ!」

 

と、ここで突然、ライチュウの全身から青いオーラが立ち上り始めた。これは……。

 

「チッ!克服されたか!」

 

「……ッ!!ライチュウ、ボルテッカー!!」

 

「ラァイ!ラァイライライライライ……チュウウゥ!!」

 

「ギャモォッ……!!」

 

ネギガナイトが盾で攻撃を防ごうとするが、ライチュウは防御の上からネギガナイトを吹っ飛ばした!!

仰向けに倒れ込んだネギガナイトは動かない……戦闘不能だ!

 

「……ふん、どうやらそこそこやるようだ。準備運動にはちょうどいいってことか」

 

「降参するなら、今のうちだけど?」

 

「抜かせ、ボケが。降参という名の命乞いをするのはそちらのほうだ。さぁ、でてこい!」

 

クロノ、三体目のポケモン……え?

 

「ポ、ポケモン……?」

 

「ポケモンだ、どう見てもポケモンだろうが」

 

「カモネギやネギガナイトもそうだけど、本体とは別に武装するって最近じゃ流行りなの?」

 

「デカヌチャンのなにが気に入らんのだ!!」

 

「カヌ……」

 

「(そして名前よ)」

 

クロノの三体目のポケモンは、全体的にピンク色で、ふわっふわの髪にむっちりした肌質、極めつけは自身よりも巨大なでっかいハンマーである。名前はデカヌチャン……らしい。

 

「(あの見た目ではがねタイプじゃなかったら詐欺だよね……)」

 

「さぁて、覚悟はいいか?こちらは出来ている!」

 

「カヌァ!!」

 

「いくよ、ライチュウ!でんこうせっか!!」

 

「ラァイ!」

 

あれだけデカいハンマーを持ってるんだ、きっと動きは鈍いはず――

 

「デカハンマー」

 

「カンヌゥウアアアァァァッ!!」

 

「ラ"」

 

クロノが指示を出すと、デカヌチャンは咆哮と共にハンマーを振り上げ、突っ込んできたライチュウにタイミングを合わせて的確に振り下ろしてきた!!その衝撃で地面がひび割れ隆起し、ちいさなクレーターが出来上がった……!

 

「ら、ライチュウ……!!」

 

「……らぁ~い……」

 

ライチュウはうつ伏せで倒れており、動ける様子ではない……戦闘不能にされちゃった……。

 

「戻って、ライチュウ……!」

 

「ハァーッハッハッハ!どうだ!見たか!?これがデカヌチャンのみに許された最強のはがね技、デカハンマーだ!!」

 

「フゥー……フゥー……」

 

「……まぁ、かなりパワーを使うのでな、連発できないのが欠点だ」

 

たしかにデカハンマー使用直後のデカヌチャンはそれだけで肩で息をしている。相当全力で振ってるんだろうな……。

だが、語るに落ちたなクロノ。はがね技が専用技ということは、デカヌチャンのタイプがはがねタイプであることはほとんど確定のようなものだ!

 

「地を砕く一撃は魂すらも揺るがし震わす。デカハンマーは全てを巻き込み粉砕する。この一撃に耐えられるポケモンが、貴様の手持ちにはいるかな?」

 

「なんの、まだ一体やられただけだ!ガブリアス!!」

 

「ガブアァ!!」

 

向こうがはがねタイプなら、こっちはじめんタイプで戦う!最近のガブリアスは極み化した影響なのか、それまでは覚えられなかったいろんな技をたくさん覚えるようになった。今もベストな技の組み合わせを模索中……このバトルも、その糧にさせてもらう!

 

「ドラゴンクロー!!」

 

「ガブァ!」

 

「フッ……」

 

ガブリアスが一気に突撃し、ドラゴンクローを叩き込む!……だが、デカヌチャンはまるで動じない……これは……!!

 

「まさか、効いてない!?」

 

「アイスハンマー!!」

 

「カンヌィ!!」

 

「ガバアァ!?」

 

「ガブリアス!!」

 

反撃のアイスハンマーが直撃!ガブリアスには四倍で、効果は抜群だ!さらに直接攻撃を受けたことで狂竜症に……くそっ、厄介だなぁ……!!

あのドラゴンクローに対する反応……ダメージは全くなさそうだったし、まさかフェアリータイプ……?はがねとフェアリーの複合だなんて、なんて面倒な……!

 

「ガブリアス、じしんだ!」

 

「ガアアァブッ!!」

 

「カ、カヌゥ……!」

 

ガブリアスのじしん攻撃!はがねタイプのデカヌチャンには効果は抜群だ!

 

「デカヌチャン!ジャンプだ!!」

 

「カンナァ!」

 

「跳んだ!?」

 

なんと、デカヌチャンは力いっぱい地面をハンマーで叩くと、その衝撃を利用して飛び上がった!まさか、そんな回避方法があるとは!!

 

「デカハンマー!!」

 

「カンヌゥウアアアァァァッ!!」

 

「ドラゴンクローで迎え撃て!!」

 

「ガッブアアアアァッ!!」

 

高所からの重みが乗ったデカハンマーの一撃と、龍属性を纏わせたドラゴンクローがぶつかり合う!実力は……完全に拮抗している!

 

「カヌヌヌヌ……!!」

 

「ガブブブブ……!!」

 

「アイスハンマー!」

 

「メタルクロー!」

 

一度弾かれ、地面に着地したデカヌチャンは氷を纏わせたハンマーでガブリアスにもう攻撃を仕掛けてきた!対するガブリアスも、タイプ相性で有利なはがね技で、こおり技を迎撃する!

激しく打ち合う両者……それにしても、自分よりも明らかに大きく重そうなハンマーをあんなにも軽々と扱うなんて、デカヌチャンって結構パワータイプなのだろうか。

激しい打ち合いの末、一度距離を取る両者。さて、次の手は……!

 

「デカヌチャン、ストーンエッジだ!」

 

「カヌゥ!」

 

突然、デカヌチャンは自身の周りにストーンエッジを放ち始めた。何をする気……?

 

「よしっ、ぶんまわす攻撃!岩の刃を、片っ端から打ち飛ばせ!!」

 

「カヌア!!」

 

デカヌチャンがハンマーをぶん回すと、ハンマーは次々とストーンエッジを破壊し、その破片をガブリアスに向けて飛ばしてきた。咄嗟に顔を守るガブリアス……マズイ、あれは明確な隙になる!

 

「今だ!デカハンマーを叩き込め!!」

 

「カンヌゥウアアアァァァッ!!」

 

……だが、そちらがデカハンマーを決め技にしていることは、こっちもとっくに理解している!

 

「ガブリアス!解き放て、龍風圧!!」

 

「ガブアアアアア!!」

 

ガブリアスの全身から、激しい暴風が吹き荒れる!その暴風は接近してきたデカヌチャンを抑えるどころか、そのまま押し返し始めた!デカヌチャンはハンマーを使って体を支えているけれど……こんどはそちらが隙だらけだ!!

 

「いっけぇ!アクアブレイク!!」

 

「ガアァブッ!!」

 

「チィィィィッ!デカハンマーだ!かならずぶち込め!!」

 

「カヌアアアア!!」

 

デカハンマーとアクアブレイクがぶつかり合い、大爆発が起きた!!ガブリアスは……!

 

「ガブッ……!」

 

よかった……かなりダメージを受けたようだけど、なんとか無事だ。デカヌチャンは……。

 

「カ……カナァ……」

 

よっし!戦闘不能!!

 

「ほぉ……ここまでやるとはな。存外、楽しくなってきたぜ。そうだ、物はひとつ相談と行こう」

 

「相談……?」

 

「あぁ、そうだ。……俺様に勝てたら、黒龍に貴様の呪いについて話をつけてやろう。どうだ?」

 

「はぁ?」

 

何を、今更……そんな話、信じられるか!

 

「フッ、信じられないって顔だな?無論、俺様は黒龍の代弁者……黒龍の願いは我が願い、成就するのは当然よ。だが、このポケモンバトル……なかなかに楽しいではないか。

貴様以外が相手では、これほど盛り上がれるとも思えん。叶うならば、俺様は今後も貴様とバトルをしてみたいと思っている。……どうだ?」

 

「…………」

 

奴の言葉が真実であれ嘘であれ、黒龍と直接相対する機会がもらえるのはありがたい。ここはひとまず、乗っかっておくことにするか……。

 

「……わかったわ」

 

「よしっ、交渉成立だな。さぁ、俺様の四体目を出すぞ!オノノクスだ!!」

 

「オノオオォウッ!!」

 

オノノクス……!たしか、以前シロちゃんも使っていたポケモンだ。あの時は、一撃必殺技の不意打ちを食らってガブリアスが倒されちゃったんだっけ……。

 

「グルルル……」

 

ほら、ガブリアスもあの時の敗北を思い出して頭に血が上っている。……デカヌチャン戦でのダメージも大きいし、ここはひとまず下げておこう。狂竜症も回復するしね。

 

「ガブリアス、戻って」

 

「ガブ……」

 

「よしっ……ミミロップ!!」

 

「ミミィ!!」

 

ガブリアスを引っ込めて、ミミロップに交代!ミミロップのはどう技なら、オノノクスの弱点もしっかり突くことができる!

 

「時に進撃の重斧となり、時に必殺の鋭剣となる。鋭き剣圧を威力に換え、重斧をもってこれを放つ。柔剛併せ持つ我がオノノクスの斬撃の前にひれ伏すがいい!!」

 

「行くよ、ミミロップ。私たちは、絶対に勝つ!!」

 

「オノオォ!!」

 

「ミミミィ!!」

 

勝負はまだまだこれからだ!!

 

 

 

 




ひとまずはここまで。
次回後半で一気に決着まで行きます!

さて、ここで登場した狂竜症をポケモン風に解説!

状態異常:きょうりゅうしょう(狂竜症)
説明:味方と相手で効果が変わる
味方:いのちのたま+他の状態異常にならない
敵:接触すると狂竜症に罹る。
攻撃できなかった場合、次のターンの間だけ"効果は抜群"の威力が下がる(2倍、4倍にかかわらず全て等倍になる)。攻撃を当てると威力が戻る。
攻撃を当てると確率で回復+次のターン急所確定。当て続けることで確立上昇。

クロノの手持ちは次回の後書きにて。……ただ、使用ポケモンについてはクロノのセリフにあるとおりモンハンのアレがモチーフになっています。すると残り二体も絞り込めるかも?

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