ポケットモンスターHUNTER アルセウス   作:箱厨

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いよいよバゼルギウス戦!
ショウは初の古龍級生物撃破なるか……!!


メゼポルタを守れ!爆鱗警報発令中!!

バゼルギウス。

"爆鱗竜"の別名を持つ大型の飛竜種であり、極めて獰猛な性格と非常に危険な特性を持ち合わせており、出現時には最大限の警戒を要する特級の危険生物として知られている。

「爆腺」と呼ばれる器官から分泌される体液が、空気に触れて表面が冷え固まる事で形成され、刺激を与えると強烈な爆発を引き起こす性質を持つ「爆鱗」は、別名にあるとおりバゼルギウスをバゼルギウス足らしめている象徴とも言えるものだ。戦闘だけでなく狩りにさえこの爆鱗を用いるため、辺り一帯を火の海に変えてしまうことはザラにある。

その余りにも危険極まりない習性や生態から、古龍級生物に認定されている。

 

そこまで説明を受けて、私は顰め面を抑えられなかった。

古龍級生物……私に立ちはだかる、現段階における最大の壁。マガイマガド、ラージャン、イビルジョー……古龍級生物との戦いに尽く負け続けている私の前に立ちはだかったのは、またしても古龍級生物だった。一瞬だけ、不安がよぎる……でも、それも一瞬だ。

今度こそ勝つ。むしろ今の私の心は、早く戦わせろとばかりに震えている。今度こそ勝つ、勝ってやる。相手は飛竜種だから、同じ飛竜種のリオレウスで戦う事になるだろう。そのリオレウスは、こちらの大陸では強力な個体として知られる二つ名個体……大丈夫、勝ちの要素は十分にある。

 

「……以上で、バゼルギウスに関する報告を終わります」

 

「うむ、ご苦労じゃ」

 

受付嬢の説明が終わり、隣に立つ赤と白の和装に太刀を二本背負った竜人族の女性が労った。どうやらこの女性がギルドマスターのようだ。要職に就く女性……私が元いた時代で言うと、ジムリーダーや四天王、チャンピオンみたいな人かな。

 

「シュレイドに出現した謎の裂け目……。黒龍ミラボレアスが自在に操ると、ドンドルマからの速達で聞き及んでいたが……いざ現実を目の当たりにしてもなお信じられん。あれが、古龍の力によって引き起こされたものとは……」

 

それからギルドマスターさんは私の方を見た。

 

「ただでさえその事実に混乱しているというのに、そこへ来てさらに黒龍に呪われた少女と来た。……まったく、情報量の暴力じゃな。ちと整理する時間くらいよこさぬか」

 

「その、すみません……なんだか、押しかけちゃったみたいで……」

 

「よい。むしろ押しかけて来てもらわねば、今頃メゼポルタは爆鱗竜の争いで地図から消えておったかもしれぬ。その事を思えば、むしろこちらからは感謝しかないのじゃ」

 

そう言って、ギルドマスターさんはやんわりと微笑んだ。……うわぁ、すっごい美人。元いた場所でも、あんな超絶美人はそう見ないなぁ。

……え、ウチの地元のチャンピオン?それよりカロスのチャンピオンさんの方が美人さんでしょ?ほら、ウチの地元の人って片付けられない人だーってお母さんが愚痴ってたから……。

 

「……さて、既に物見から報告を受けておるだろうが、改めてこの場にいる全員に通達する。

……さんざっぱらに暴れてくれた爆鱗竜共が、再びこのメゼポルタに集結しようとしておる。やれやれ……奴らめ、存外にこの地が気に入ったようじゃな……。モンスターすら居着きたくなるとあっては自慢にもなろうが、今となっては迷惑千万。これ以上、彼奴らにこのメゼポルタの地を荒らさせるわけにはいかぬ!爆鱗竜共は、メゼポルタを中心に東西南北の四方より迫ってきておる。奴らがメゼポルタに侵入する前に、メゼポルタの外で迎撃するのじゃ!

……じゃが、メゼポルタが有する飛行船は先の襲撃にて全滅……メゼポルタが有する航空戦力はゼロに等しい。しかし!諦めるにはまだ早い。我々にはまだ希望がある。その希望こそが、こちらに控えるモンスタートレーナーの諸君じゃ!」

 

ギルドマスターさんに紹介され、軽く会釈をする。その後、ギルドマスターさんの説明の続きが始まった。

 

「彼らはモンスターと絆を結び、共に生きる者達じゃ。亜大陸にいるライダーとは異なりともに戦ったりはせぬそうじゃが……その分、頭脳戦においてはライダーの上を行く。彼らは先ほど爆鱗竜共を追い払った飛竜種……黒炎王、蒼火竜、電竜、雌火竜を相棒としておる。空から飛来する爆鱗竜を彼らの力で墜とし、その後地上で待機するハンター達と共闘し、爆鱗竜を狩る!必ずや、メゼポルタを守るのじゃ!!」

 

おぉーーーーっ!!

 

その場にいる誰もが歓声を上げる中、ギルドマスターさんがゆっくりとこちらへ振り返った。

 

「……すまぬ、トレーナー達よ。他力本願とは情けない話じゃが、ほかに手がないこともまた事実……そなたらの力、頼りにしても良いじゃろうか……?」

 

「無論だ、ギルドマスター殿。この地の龍脈を、あのような無礼を地で行く爆弾魔共に荒らさせるわけには行かん。それに、こちらは仲間の命が掛かっている。一切の加減はしない。君たちもいいね?」

 

「もちろんだ!バゼルギウスを追い払って、祈樹の泉を守って、ショウの呪いを解くんだからな!」

 

「ショウ、リオレイアのことは私に任せてね。あの子のことは、私が一番よくわかってるから」

 

「先輩、ありがとうございます。シロちゃんも、リオレイアのこと、お願いね」

 

「うんっ!」

 

「ギルドマスターさん、私たちは必ず成し遂げてみせます。ハンター達と一緒に、この地を守ってみせます!」

 

「忝ない……!感謝するぞ、トレーナー達よ!さぁ、皆の者!祈樹の泉へ行こう!作戦に赴く戦士たちのために、歌姫が一曲披露してくれるそうだぞ!」

 

その後、私たちは祈樹の泉へと向かった。とても神秘的な場所で、こう……ごめん、上手く言葉にできない。なんだかどんな言葉も陳腐に感じてしまうくらい、そこは素晴らしい場所だった。

 

「ハンターの……トレーナーの皆様の勝利を祈り、歌います。……~~~♪」

 

その後、泉の中心地である舞台に姿を見せたラウラさんが歌い始めた。歌を歌っているラウラさんは、祈樹の泉の雰囲気とも相まってまるで別次元に住む人間のようだ。

 

「~~♪……皆さんに、勝利を!」

 

歌い終わると同時に、ラウラさんはその言葉で締めた。そのまま祈樹の泉を出た私たちだけど……。

 

「……シズカちゃん、ちょっといい?」

 

「フローラさん……」

 

なぜかフローラさんがシズカさんを呼び出し、そのまま一団から抜けてしまった。少し離れた場所で、二人で何かを話し合ってるみたいだけど……。

フローラさんがなにか話して……シズカさんが首を横に振っている。フローラさんは諦める様子はなく話し続けているけど、シズカさんの反応は芳しくない。何を話しているんだろう……。

 

「うーん、やっぱりシズカちゃんは乗り気じゃないっぽいね」

 

「チルカさん?乗り気じゃないって、何の話ですか?」

 

「あー……これ、言って大丈夫かな……まぁいっか!実はね、シズカちゃんには前々から"レジェンドラスタにならないか"ってメゼポルタからの打診があったんだ」

 

「レジェンドラスタに……」

 

レジェンドラスタ……元々、ラスタ、と呼ばれるハンター版オトモと呼ぶべきシステムがあり、その中でも各武器種に精通した実力者たちをレジェンドラスタ、と呼ぶらしい。また、レジェンドラスタ達は得意武器一辺倒というわけではなく、ある程度はほかの武器種も扱えるそうだ。

 

「今、ガンランスのレジェンドラスタにはタイゾウって男の人がその地位についてるんだけど……二、三年前に、ちょっと大怪我しちゃって。今は怪我から復帰してるんだけど、流石に怪我が響いてるのか前よりも動きに精彩を欠いてて、クエストを失敗することが増えちゃったの。

けど、タイゾウさんと対等以上のガンランス使いって全然見つからなくて……そんな時に、風の噂で聞いたのがシズカちゃんのことだったの!全国津々浦々、世界中の教官を訪ねては教えを受けて、いろんな狩猟技術を身につけたシズカちゃんはハンターならぬスーパーハンター!狩技と鉄蟲糸技の両方を駆使して狩猟に挑む姿は"誰にも真似できない"って話題になったほどなんだから!」

 

「……?使えるものは何でも使えばいいのでは……」

 

「使おうと思って使えるわけじゃないしね~。だって相手は生きたモンスター……こっちがあれこれ考えてる間、モンスターだって黙って待ってくれるわけじゃないです。モンスターの動向の観察と攻撃予測、さらにこっちは周囲の状況把握に行動の取捨選択……このマルチタスクを判断が寸分遅れることなく完璧にこなせるのはシズカちゃんくらいです。

特にシズカちゃんが魅せる『先読み』!あれね、ホントすごい!チルカも思わず目ん玉飛び出しそうになっちゃったくらいびっくりした!」

 

シズカさんの狩りって普通じゃなかったのか……。ティガレックス戦のこともあって、ハンターはみんなシズカさんみたくぶっ飛んだ実力者ばかりかと思ったけど、以外と普通の人もいたんだな……。

 

「それが今となっては、誰もが知る有名人!ギルドからも一目置かれてるって言うし、シズカちゃんがマスターランクになってからは新人ハンターがすごく増えたって話だし!」

 

「へぇ~……」

 

「そうだ、全てはシズカが現れてから始まったことだ」

 

私とチルカさんの会話に混ざったのはクロエさん。随分と誇らしげな表情だ。

 

「クロちゃん!」

 

「クロちゃん言うなっ!……ゴホンッ!ショウさん、私も会話に混ざって構わないか?」

 

「もちろんです。あと、私のことは呼び捨てで結構ですよ、クロエさん達の方が年上ですし」

 

「わかったよ。……さて、話を続きだったな。実際、シズカが現れるまでは皆が皆、己が持つ狩猟技術を維持、あるいは成長させることで精一杯でな……かくいう私も、己の剣斧術を、今ある手札でどうにか伸ばせないかと悩んでいたものだ。

そこへ一石を投じたのがシズカだ。彼女のやり方は……"手札が足りないなら増やせばいい"、だ」

 

「その心は?」

 

「ここ、メゼポルタで狩猟をするハンター達には、シズカが扱うような狩技も無ければ翔蟲を使った移動や鉄蟲糸技といった技術もない。無い物に対して『無い物ねだりはできない』と諦めるか、『無ければ用意すればいい』と諦めないかの二択を迫られた時、シズカは迷わず後者を選んだ。それが、彼女が全国の教官達を訪ねて回った理由だ」

 

「えーっ!?チルカ、その話知らなかったんですけど!?」

 

「ふふんっ、シズカが『クロエさんにだけですよ?』と教えてくれたんだ!」

 

ドヤァ!と胸を張るクロエさんに対し、チルカさんは本当に悔しいとばかりに地団駄を踏んでいる。うーん、シズカさんの性格上、ネネさんっぽい雰囲気のチルカさんは苦手で、逆にクロエさんのようなタイプだと付き合いやすいのかもしれないな。

 

「ちょうどメゼポルタの教官を訪ねていた頃だったからな、その時に私のことも訪ねてくれたんだ。スラッシュアックスとスラッシュアックスFの違いについて聞かれたな」

 

「何が違うんですか?」

 

「よくぞ聞いてくれたなショウ!スラッシュアックスとスラッシュアックスFの違いはズバリ、環境適応のために改変が加えられたことだ!

私の故郷や、ここメゼポルタでの狩猟環境に適応するべく、既存のスラッシュアックスを色々と改造しているうちに、"従来のスラッシュアックスを引き継ぎながらも、全く新しいスラッシュアックス"として、Fの名を冠したスラッシュアックスFが誕生したんだ!」

 

「成長とともに変化していった……というわけですね、人間と同じように」

 

「……!アッハハハハ!!その感想、シズカとまったく一緒だぞ?」

 

「え」

 

「そして、Fとは『フロンティア』という意味だそうだ。シズカの故郷でよく使われる言葉で、"開拓"という意味があるらしい。

……かつて、ここメゼポルタは何もない土地だった。そこへ人が集まり、モンスターの脅威を退けながらも開拓と発展を続け、今がある。そういう意味で、メゼポルタと縁深い私の剣斧にはFの名が送られたのではないか……と、シズカが話してくれたんだ。とても深い言葉だった……啓蒙を与えられた気分だったよ。

モンスターハンターフロンティア……ここ、メゼポルタで活動するハンター達を、シズカはそう呼んだんだ。まったく、あの時ほど"コイツはどこまで先を見ているんだ"と思ったことはない。シズカはきっと、私たちが想像もつかないようなところを見据えているのかもしれないな」

 

「おぉ……クロちゃん、頭良さそうに見える!」

 

「……おい、それは私が普段は"バカだ"とでも言いたいのか?」

 

「……え?」

 

「おぉいっ!?」

 

そう語るクロエさんに、茶々を入れるように拍手をするチルカさん。……確かにしゃべっている間のクロエさんは頭が良さそうに見えたけど、普段は違うのかな?

案の定、余計な一言でクロエさんを怒らせてしまったチルカさん……この二人のやり取り、まるでお約束みたいな……。

 

「と、とにかく!シズカが台頭し始めてから、我々ハンターの世界も変化し始めている。

シズカに続けとばかりに新人ハンターが増え、以前よりも教官の元を訪れるハンターが増え、さらにベルナやカムラといった、独自の狩猟技術を持つ地方との文化交流も盛んになった。この道何十年というベテランハンター達も同様だ。

皆、誰もがシズカを指標にしている……誰も成し得ない、あるいは成そうともしなかったことを率先して成し遂げるシズカに、ハンターとしての血が騒いだのだろうな。シズカは、ハンターの誇りだ」

 

「大袈裟な」

 

ますます自慢げに語るクロエさんの会話に水を差したのは、ほかならぬシズカさん自身だった。……フローラさんがちょっと元気なさげな様子からして、交渉は失敗に終わったのだろう。

 

「フローラちゃん、またダメだったんだね~」

 

「うぅ……だって、シズカちゃんが頑固すぎて……」

 

「私は頑固じゃないですし、みんなに誇れるような立派なハンターでもないです。流されるままにハンターになった死にたがりの自暴自棄女ですし」

 

「だが、今は違うのだろう?なら、それだけで十分だよ」

 

「うぐっ……そ、それは……そう、ですけど……」

 

シズカさんはバツが悪そうにそっぽを向いた。……確かに昔はそうだったとしても、今のシズカさんは誰に対しても自慢できる素晴らしいハンターだ。これには草葉の陰のお兄さんもニッコリ……の、はずだ。

 

「……そ、それより!作戦内容は頭に入ってますよね!?」

 

「(強引に話題を変えてきた……)はい、もちろんです」

 

「東西南北……それぞれの方向から迫って来るバゼルギウスを追い返すんですよね?モンスタートレーナーは各方角に一人ずつ配置するとして、チルカたちハンターの配置は……」

 

「歌姫様の護衛としてついてきてくれたシズカちゃん達……そして、レジェンドラスタが各一人ずつ、だね」

 

「そもそも、残ったレジェンドラスタが少ないのも問題だ……。今メゼポルタに残っててすぐに動けるのはフローラ、フラウ、チルカ、私、マリオ、クライスさんの六人のみ……他のレジェンドラスタはメゼポルタ復旧のための資材集めのため、遠征中だからな……」

 

そうなのか……と、いうことは、レジェンドラスタの人数分だけ、ハンターが扱う武器が存在するってことでもあるんだ。レジェンドラスタはあと何人いるんだろう?

 

「北はトレーナーのテル、ハンターはエイデンさんとチルカさん。東はトレーナーのシロ、ハンターはネネとクライスさん。南はトレーナーのアカイさん、ハンターはニールさんとフラウさん。そして、西はトレーナーのショウ、ハンターは私シズカとマリオさん。

フローラさんとクロエさんは、防衛網突破に備えてメゼポルタで待機……必要に応じて、各方面への支援に派遣する、という内容です。……ショウは、もう全部覚えてるよね?」

 

「もちろんです」

 

「むぅ……私も前線で戦いたかったのだが、お上からの指示ならば従うしかない……残念だ」

 

「(クロエさんの場合は十中八九、方向音痴が原因だろうけど……)」

 

「……何か言いたげだな、シズカ?」

 

「なんでもありません」

 

ハンターとの共闘戦線……そして、何よりも古龍級生物が相手だ、気を引き締めないと……!

その時、私の両肩にポン、と手が乗せられた。フローラさんだ。

 

「ショウちゃん、力んでるよ。リラックスリラックスです!」

 

「あ……ありがとうございます」

 

「ふむ、確かにショウの気合の入り様は一味違うな、なにかあるのか?」

 

「……これ以上、古龍級生物に負けるわけにはいきませんから」

 

「おぉ……これは闇が深そうな予感……」

 

「チルカさんが言うほど深くはないですよ」

 

私はアカイさんやムフェトさん、そしてクロノとのポケモン勝負について簡単に説明した。……といっても、繰り出された古龍級生物相手に負け続けているということだけなんだけど。

 

「いや、待て。一番ヤバイのはそんな連中を従えているアカイさんたちだろ。クロノとかいう少年に至ってはイビルジョーだぞ?どうやったらラージャンやイビルジョーといった古龍級生物共が人間に従うんだ……?」

 

「すごいよねー!チルカ、ラージャンの背中に乗ってみたいかも!」

 

ここで私はあえてノーコメント。沈黙は金 雄弁は銀とも言うしね。

 

「……さて、お喋りはここまでにして配置につきましょう。お互いに健闘を祈って」

 

「そうだね!アタシとクロエちゃんはお留守番だけど……ギルドマスターからの指示があれば、いつでもみんなを助けに行くからね!」

 

「まぁ、私たちの支援が必要ないならそれに越したことはない……が、無理だけはするなよ」

 

「わかってるよ!私の笛で、みんなを元気づけちゃうんだから!」

 

「私もトレーナーとして、出来ることをします!」

 

「では、解散しましょう。次に会うときは、祝宴ですね」

 

シズカさんのその言葉で、私たちは解散した。それぞれ配置につくために移動する。私とシズカさんの場合、マリオさんとも合流しないといけないからね。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

メゼポルタの門を出て、西の方角へ向かう。途中でマリオさんとも合流し、馬車で移動中に私たちは作戦について話し合うこととなった。

 

「……まず大前提として、バゼルギウスは空襲をかけてくる。それを、ショウのリオレウスに叩き落としてもらう。バゼルギウスは肉質は柔らかいほうだから、私たちハンターの土俵である地上戦にもつれ込ませれば、十分に勝機はある」

 

「リオレウス……確か、【黒炎王】だったよな?スゲェぜ、ショウ!二つ名個体を従えるとか、やばすぎるんだぜ!」

 

「いやぁ、あはは……」

 

「……あの個体を従えるなんて普通じゃないぜ!ショウがこれだけ凄かったら、ご両親はもっと凄いんじゃないか?」

 

「え"っ!?」

 

「フフッ……子は親に似るとも言うし、そうかもね」

 

うわ、シズカさん今思いっきり悪乗りしてきた!……うぅ~ん、お母さんとお父さんか……。

 

「いやいや、まぁ……お父さんは凄いですけど、お母さんはもっとヤバイですね。いろんなハメコンボ使ってくるし……」

 

「どんなのがあったの?」

 

「えぇっと、通じるかは怪しいですけど……【まもみがムラっけ】とか、【ポイヒみがローほうし】とか、【まもみがポイヒギロチン】とか……」

 

「まもみが……?ポイヒ……?」

 

マリオさんはチンプンカンプンだ……当然だ、これらの言葉は全てお母さんが考えた造語だからね。そのポケモンができる戦法を、技名や特性名からとったものだし、私たちの地方のポケモンを知らないと絶対に出てこない言葉だ。

 

「あぁ、やっぱりわからな――」

 

「まもるとみがわりに特性ムラっけ……オニゴーリか。特性ポイズンヒールにみがわりとローキック、極めつけにキノコのほうしとくればキノガッサかな。あとはグライオンか……単純だけどクッソ強いんだよね、あの害悪どもめ……」

 

「えっ!?シズカさん、わかるんですか!!」

 

「いや、わかるけど……むしろこの害悪戦法を知ってるショウのお母さんって何者?」

 

「害悪戦法って言葉も知ってるんですか!?」

 

凄い凄い!お父さんもお母さんからこの言葉を教えてもらったって言ってたし、お母さん以外にこの戦法を考えた人なんていなかったのに!シズカさんも知ってるなんて……シズカさんって、元はどんな世界で生きてたんだろう?

 

「(ありえない……そもそも害悪戦法という概念すら、ゲームにもアニメにも存在していない!なのに、ショウの母親はそれを知っている……)ねぇ、ショウのお母さんってどんな人?」

 

「え?お母さんですか?お母さんは……まぁ、普通ですよ普通。至ってどこにでもいる、普通の人です。……バトルはちょっと鬼畜ですけど」

 

「そんな説明じゃ納得できない。人相とか性格とか、もっと内面的な部分を教えて」

 

「オレも知りたいぜ!」

 

「えぇ?」

 

本当に普通の人なんだけどなぁ……バトル以外は。

 

「えぇっと……さきほど言ったとおり、バトルに関しては本当に厳しい人です。あと鬼畜です。普段は見ていてこっちが心配になるくらいのんびりぽやぽや~ってしてる人なんですけど……一度、集中力のスイッチが入ったら別人レベルで変わります。そうなったら、普段のふにゃふにゃ具合は何処へやら……ビシッとしてて、すごくかっこよくなりますね」

 

「なるほど、仕事モードってやつか。デキる女って感じでかっこいいぜ!」

 

「…………。……普段は結構だらしないの?」

 

「いえ、だらしないというか……とにかく心配になるんです。世話を焼きたくなるというか……そんな感じです」

 

「…………。……そう」

 

シズカさんは私のお母さんの話を聞いて、なにやら考え込んでいる。……自分のお母さんと比較してるのかな。

 

「……そのお母さん、得意なこととかは?」

 

「え、特技?いえ、特には……あ、よく怪我をした時とか、人を手当するときは物凄く手際がいいですね。反面、ポケ……モンスターの手当は苦手みたいでしたけど。包帯とか消毒剤とか、人間用の道具の扱いは完璧なんですけど、傷薬とかモンスター用の回復道具の使い方には四苦八苦してました」

 

「…………。ところで、お父さんの名前は?」

 

「え、急にお父さん……えっと、『コウキ』、ですけど?」

 

「…………。………。……」

 

「シズカさん……?」

 

な、なんだろう……?シズカさんが、さらに考え込み始めちゃった……。

 

「……ねぇ、ショウ」

 

「はい?」

 

「お母さんはお父さんのこと、『コウちゃん』って呼んでたことは?」

 

「昔はあったみたいですね」

 

「……お父さんは、お母さんのことをなんて?」

 

「いえ、普通に名前で……あ」

 

そういえば……お父さんとお母さんのことで、一つだけ気になることがあるんだった。

 

「そういえば、一つだけ……お母さんの名前は『ヒカリ』っていうんですけど、昔、お父さんがお母さんのことを別の名前で呼んでたような……」

 

「……ッ!!な、なんて呼んでたの!!」

 

「えぇっと……」

 

しまった……お父さんがお母さんのことを『ヒカリ』じゃない別の名前で呼んでたのって、小さい頃にたまたま偶然、一度だけ聞いただけだから全然覚えてない!えっと確か……。

 

「……『ミ』……」

 

「ミ?」

 

「……すみません、覚えてないです」

 

うん、やっぱり思い出せない。正直に謝ったけれど、シズカさんはむしろ納得した、というか……すごく複雑そうな表情をしている。

 

「……そっ……かぁ……。あぁ……そっかぁ……」

 

「あの、シズカさん……」

 

「ごめん、なんでもない。…………」

 

突然、シズカさんが黙り込んでしまった。……ど、どうしたんだろう?私、何かやらかした……?

 

「(害悪戦法、コウちゃん、ヒカリの読み方……そんなことって……)ショウ」

 

「はい」

 

「貴女は私が、命に代えても守ってみせる」

 

「は、はい?」

 

し、シズカさんが物凄く覚悟が極まった表情でそう言ってきた。な、なんだろう急に……そういうことを言われるなんて思ってもみなかったんだけど……。

 

「おぉう……シズカお前、そんな顔できるのか……」

 

「ごめんなさい、マリオさん。私には何が何でも守らなければならないものができました」

 

「ハッ!別に悪いことじゃねぇぜ?むしろ、いい変化だとオレは思うぜ」

 

「マリオさんも、もっと変化できるといいですね。……友達増やすとか」

 

「と、友達くらいいるわぁ!」

 

「例えば?」

 

「た、例えば……エルガドの受付嬢(チッチェ)とか、火の国の姫(フレア)とか、わがままな第三王女(アーシェ)とか……」

 

「マリオさん、せめて友達の言葉の前に"一般人の"が付くような友人を作りましょうよ」

 

「し、仕方ないじゃんかぁ!お父様は交友関係に厳しいし、パーティーで会った子ぐらいしか知り合いはいないし!独り立ちしたくてハンター目指したのにこっそりクライスをつけてくるし!きっとお父様は子供の背伸びだと私のことを笑っているんですわ!」

 

「ほら、マリオさん。口調口調」

 

「……ハッ!?あばばばば……!!」

 

慌てて口を塞ぐマリオさん……うん、申し訳ないがこれはもうバレバレである。

 

「マリオさん、女の人だったんですね?」

 

「いや、ちが――」

 

「あれだけ喋っててまだ誤魔化せるとでも?」

 

「うぐぐ……そ、そうよ。その通りです……私は女で、本当はマリアと言いますの」

 

急にお淑やかになった……やっぱり、あの男性口調は演技だったんだ。やたら語尾に"ぜ"をつけてたし、ちょっと違和感があったんだよな。

 

「ショウ、彼女はかつて滅亡し、今は東西に分断されたシュレイド国のお姫様なの。西シュレイドだよね?」

 

「そうですわ」

 

「シュレイドの……それじゃあ、ミラボレアスは……」

 

「まぁ、祖先の敵ということになりますわね。私自身はあまり気にしていませんが……けど、機会があればその無念、晴らして差し上げたいと思っておりますわ」

 

マリオさん……いや、マリアさんは決意に満ちた表情でそう言った。……私もミラボレアスに落とし前をつけたいし、時が来れば一緒にミラボレアスを殴りましょう。

 

「ですが、今ここにいるのはただのレジェンドラスタ、マリオです。……そういうわけだから、ショウもこれまでどおりにマリオとして、オレに接して欲しいぜ!」

 

「分かりました、マリオさん。……あと、なんでも語尾に"ぜ"をつければ男っぽくなるとは限りませんからね?」

 

「そうなんだぜ!?」

 

「そういうところですよ」

 

……後で先輩に事情を話して、男口調講座でも開いてもらおうかな。

 

「……!!前方、爆鱗竜確認!!」

 

その時だ。御者さんから大声が聞こえた私たちは、すぐに前方を確認する。……かなり高い位置に、バゼルギウスの姿が見える。

 

「ここで降ります!」

 

「おう!トレーナーさんもハンターさんも、どうかお気をつけて!!」

 

私たちが同時に馬車から飛び降りると、御者さんはすぐさま反転しこの場を去った。それを見送ってから、私はボールを取り出してリオレウスを繰り出した!

 

「リオレウス!バゼルギウスを叩き落とすよ!!」

 

「グオオオオオオンッ!!」

 

リオレウスの背中に乗り込み、一気に飛翔する。あっという間にバゼルギウスと同じ高度まで飛び上がると、そのまま突撃!

バゼルギウスもこちらに気づいたようで、移動を中断してこちらに威嚇してきた。

 

「ヴオオオオオオォォンッ!!」

 

「行くよ、リオレウス!!」

 

「グオオオオオオオンッ!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

推奨BGM

【戦闘!伝説のポケモン】~ポケットモンスター LEGENDS アルセウス~

【4つ首の守り神:ランディア】~星のカービィWii~

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

バゼルギウスはほのお・ひこうの複合タイプで、でんきとこおりとドラゴンに弱いが、みずに強く、ほのおが全く効かない体質をしている。……ほのおタイプといえばみずタイプがすぐに連想できるのに、バゼルギウスはみず技が効きにくいのか……。加えて、リオレウスが覚える技にドラゴン以外の弱点タイプは少ない……厄介だな。

 

「エアスラッシュ!!」

 

「グオオン!グオオン!!」

 

「ゼルァアアアッ!!」

 

リオレウスのエアスラッシュに対して、バゼルギウスはハイパーボイスを放ってきた!両者の技がぶつかり合い、爆発とともに煙が発生する。だが、煙の向こうから何かが高く打ち上げられ、それが炸裂すると一斉に降り注いできた。りゅうせいぐんか!!

 

「避けて!」

 

「グオオオンッ!!」

 

「ヴオオオオオ!!」

 

「なにっ!?」

 

リオレウスは持ち前の機動力でりゅうせいぐんを回避したけど、煙の中を突っ切って姿を現したバゼルギウスのドラゴンダイブには直撃してしまった!!

 

「グオアッ!?」

 

「うぐっ……りゅうのはどう!!」

 

「グオオオオオッ!!」

 

「ゼルァッ」

 

体勢を崩しかけたけど、なんとか持ち直してりゅうのはどうを発射!攻撃は命中した……が、バゼルギウスはまだまだ元気だ。もっと攻撃を仕掛けて、墜落させないと!

 

「よしっ、メガトンキック!」

 

「グオン!」

 

とにかく、バゼルギウスの上を取らないことには話にならない!バゼルギウスもこちらの意図を読んだのか、さらに上を取るべく高度を上げ始めた。……いや、待てよ?これはどうだ?

 

「リオレウス、バゼルギウスの爆鱗にかえんほうしゃ!」

 

「グオオオオン!!」

 

バゼルギウスの爆鱗は、僅かな衝撃でも爆発すると聞いた。さらにバゼルギウスが怒るなどして赤熱化すると、ほとんど待たずに爆発するとか。……では、現在バゼルギウスにぶら下がっている爆鱗を、高熱で急速に熱したらどうなる?

私の読みは……当たった!リオレウスのかえんほうしゃを受けたバゼルギウスはびくともしていない……が、爆鱗は一瞬で真っ赤に染まり、そのままの勢いで次々と爆発が起こった!予想外の衝撃にバゼルギウスの体勢が崩れる……やはり、自発的に爆発させる分には衝撃をものともしないが、外部から無理やり爆発させられれば驚くか!今ならチャンス!!

 

「ゼラァ!?」

 

「今度はこっちがドラゴンダイブ!!」

 

「グオオオオオッ!!」

 

「ヴアアアアッ!?」

 

「このまま地上に引きずり下ろす!!」

 

「グオン!!」

 

ドラゴンダイブでバゼルギウスに体当たりしたリオレウスは、そのままの勢いで急降下!バゼルギウスごと地面に向かって真っ逆さまに降下する!!ある程度地上に近づいたところで……!

 

「ダメ押しのメガトンキック!!」

 

「グオオン!」

 

「バゼラアアアッ!!」

 

体勢を素早く変えて強烈な蹴りを放つ!!蹴られたバゼルギウスは思い切り地上に叩きつけられた!!

 

「よっし!降りよう、リオレウス!」

 

「グオン」

 

私たちも、急いで地上に降下する。リオレウスの着地と同時に私は飛び降り、後ろから走ってきたシズカさんたちに合流した。

 

「流石だね、ショウ」

 

「すっげぇぜショウ!まさか、バゼルギウスの爆鱗をこっちから爆発させるなんてな!」

 

「えぇ、賭けてみたんですけど、上手くいってよかったです」

 

「地上に墜ちればこっちのもんだぜ!後はオレたちに任せな!!」

 

「いえ、私とリオレウスもこのまま戦線に参加します。見てるだけってのは性に合わないので」

 

「……!へへっ、そうか!よぉし、モンスターとの初共闘だ!気合入れていくぜ!!」

 

「ショウ、地上からは私たちハンターが攻撃する。リオレウスには、空対地攻撃をお願い」

 

「任せてください!!」

 

私の返事とともに、リオレウスが飛び上がった。タイミングを見て、攻撃を仕掛けるべく下準備をする。ガンランスと操虫棍を構えたシズカさんとマリオさんが前に出て、起き上がったバゼルギウスと相対した。

 

「……フッ」

 

「どうした、シズカ?」

 

「いえ。……なんか世間では私の相棒だとかなんだとか言われているネネは、最初は操虫棍を使ってたんですよ。猟虫が可愛いって理由で」

 

「なんだそれ」

 

「けど、あの子のAIM力……猟虫を飛ばす技術は、私が知る限り世界一のハンターでした。……マリオさんにも、同じだけ期待してもいいですか?」

 

「ハハハッ!……抜かせよ、シズカ。オレは猟虫飛ばしだけじゃなく、棒術だって世界一だぜ?じゃねぇとレジェンドラスタになんてなれるもんかよ!」

 

「フフッ……それもそうです、ね!」

 

「いっくぜぇ!マグナムソニック!!」

 

「(その猟虫の名前(ミニ四駆)はなんとかならなかったのか)」

 

シズカさんとマリオさんが同時に走り出した!バゼルギウスがかえんほうしゃを構えるが、それと同時にシズカさんが翔蟲で飛び上がり、さらにブラストダッシュで高く飛ぶ!標的が二手に分かれたことで一瞬だけ動きが硬直したバゼルギウスだが、すぐにマリオさんに向けてかえんほうしゃを放った!

 

「おっと、これが見たことない攻撃……か!」

 

マリオさんは棍を地面に突き立てると、そのまま高くジャンプして回避した!さらに棍を振ると猟虫が飛んでいき、バゼルギウスの翼にぶつかって再びマリオさんの元に戻っていく!

 

「っしゃあ!!」

 

着地すると同時に走り出すと……さっきとは比にならない速さで走り出した!マリオさんの元に帰るとき、猟虫がなにかを運んでいた……あれが、マリオさんに力を与えているのかな?

 

「頭上がお留守だ!」

 

マリオさんを追いかけるバゼルギウスだが、その隙を逃すシズカさんじゃない!頭上から顔面に砲撃を二発浴びせると、そのままブラストダッシュでバゼルギウスの後方までひとっ飛びし、着地同時にリロードした!バゼルギウスは尻尾を振りあげて叩きつけようとしている……させるか!

 

「リオレウス、エアカッター!」

 

「グオグオン!!」

 

「ゼラッ!?」

 

「ナイスだよ、ショウ!AAフレア!!」

 

リオレウスの横槍に怯んだバゼルギウスに、シズカさんの攻撃が直撃!そこへさらにマリオさんが畳み掛ける!

 

「そらそらそらぁ!頭、いただき!」

 

側面から足に斬りかかったあと、一度後退して頭に向かって猟虫を飛ばした。ちょうどバゼルギウスが振り返ろうとしていたところで、猟虫はバゼルギウスの顔面にぶつかってから戻ってきた。

マリオさんは止まらない!再び棍でジャンプすると空中で何度も棍を振るい、流れるようにバゼルギウスの背面を攻撃しつつ反対側へと移動した!さらに振り向きざまに再び猟虫を飛ばして翼にぶつけると、また白い色の何かを回収した!

 

「流石はレジェンドラスタ!」

 

「伊達にレスタは張ってねえよ!!」

 

「ヴオオオオオ!!」

 

バゼルギウスが振り向きざまに力強く羽ばたくと、強烈な竜巻を発生させた!あれは、ぼうふうの技!直撃すると混乱状態になるから厄介な技だ!

 

「ぐあっ!とんでもねぇ風だぜ……!!」

 

「マリオさん、私の背後に!」

 

「リオレウス!バゼルギウスを止めて!!りゅうのいぶき!!」

 

「グオオオッ!!」

 

「ゼッ……ルッ……!?」

 

バゼルギウスにありったけのりゅうのいぶきを浴びせる!りゅうのいぶきを受けたバゼルギウスは完全に動きを止めた……やった!麻痺状態だ!!

 

「動きが止まった……今だ!!」

 

「行くぜ!シズカに教えてもらった技!!四連印斬!飛円斬り!!」

 

「ではこちらも、爆杭砲!からの……フルバースト!!」

 

マリオさんとシズカさんの技も決まった!これはかなりのダメージが見込めるぞ!バゼルギウスは体ごと尻尾を振り回してシズカさん達を攻撃するが、二人はこれを軽々と回避している。……ハンターの回避能力って一体どうなってるんだ?

二人は一度バゼルギウスから距離をとり、態勢を整える。このまま押し切れば……いや!

 

「そうは問屋が卸さないか……!!」

 

「……!マリオさん、離れて!!」

 

「へっ?……うわぁ!なんだあれ!?」

 

空を見上げた私の視線の先には、時空の裂け目……やはり来るか、ミラボレアス!!

時空の裂け目から光が伸びてきて、それがバゼルギウスの心臓部と結びつくと、あっという間にバゼルギウスが光に包まれた!

 

「ヴ……オ……オオォアアアアアッ!!」

 

光の中から姿を見せたバゼルギウスは、その姿を大きく変化させていた。

 

焼け焦げたかのような青みがかった黒銀色に染まっている上面。

溶岩のような赤い光が節々から漏れて見える甲殻。

赤熱状態と化したまま、戻る様子のない爆鱗。

 

メガシンカしたメガバゼルギウス……確かアカイさんは、【紅蓮滾るバゼルギウス】って言ってたっけ……!

 

「……遺跡平原で捕獲されたティガレックスが、戦闘中に姿を変えたって話は聞いたことあったが……クソッタレめ、こんなのインチキだろうが……!」

 

「ズルでもインチキでも、なんでもしてきますよ。向こうも必死でしょうからね……!」

 

「リオレウス!!」

 

「グオン!」

 

私の声に応じて、リオレウスが地上に降りてくる。こうなれば、シズカさんたちだけじゃない……リオレウスも援護だけでなく、積極的に攻撃に出なければならない!!

 

「ヴオオオオオオオアアアアァァァッ!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

推奨BGM

【飛来せし気高き非道】~モンスターハンターWorld~

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

メガバゼルギウスは勢いよく飛び上がると、そのまま一気に高度を上げていく。さらにそのまま滑空を始めると体を揺らして爆鱗を次々と降り注いできた!

 

「……!!」

 

「リオレウス!?」

 

リオレウスは咄嗟に翼を広げると私の体を覆い尽くした。そして、自身はそのまま降り注ぐ爆鱗による爆撃を喰らい続ける!しまった、私の存在がリオレウスの足を引っ張っている……!!

 

「リオレウス!私のことより……!!」

 

「グオオンッ!グアオン!!」

 

爆撃を受けながらも、リオレウスは私の言葉を拒否する。くっ……せめて、私がどこかに隠れさえすれば……!!

 

「ヴオオオォォォォォォォッ!!」

 

マズイ……!メガバゼルギウスがこっちに向かって突っ込んでくる……!

 

「……今だ!」

 

「ヴオア!?」

 

シズカさんのその声が聞こえた直後、メガバゼルギウスの驚いたような声が聞こえた。そして、メガバゼルギウスはそのまま私たちの上空を通過していった。……なにが?

 

「忍ばせておいて正解だったね」

 

「よっしゃ!上手くいって良かったぜ!」

 

旋回するメガバゼルギウスをよく見ると……なんとそれぞれ右目にシズカさんのオトモのリュウセイくんが、左目にマリオさんの猟虫が捕まって目隠しをしている!

……マリオさんの猟虫の名前、覚えにくいんだよね……。

メガバゼルギウスは目隠しを鬱陶しそうにしていて、振り落とそうとめちゃくちゃな機動で飛びまくっている。……今なら行ける!

 

「リオレウス!ドラゴンクロー!!」

 

「グオオオオオオオンッ!!」

 

リオレウスはすぐさま飛翔すると、あっという間にメガバゼルギウスの上を取った!そのまま両足の爪にドラゴンクローを展開すると、思い切りメガバゼルギウスを蹴りつけた!墜落するメガバゼルギウス……リュウセイくんと猟虫はリオレウスの尻尾に捕まっているので一緒に墜落しないで済みそうだ。

リオレウスはそのまま降下しバゼルギウスを追う。このまま追い打ちをかける!

 

「はかいこうせん!」

 

「グオオオオオオ!!」

 

……よかった、思いっきり叫んでみたけど、ちゃんと声は届いたみたい。リオレウスははかいこうせんを撃ったけど、なんとか持ち直したメガバゼルギウスは羽ばたいたことで地上スレスレを飛び、はかいこうせんを回避した。地上まで近づいたタイミングでリュウセイくんと猟虫が離れたのを確認して、リオレウスはメガバゼルギウスを猛追し始める。

 

「りゅうのはどう!!」

 

「グオオン!グオオオオン!!」

 

リオレウスはりゅうのはどうを連発するが、メガバゼルギウスはこれを何度も回避してみせた。クッ、メガシンカしたことで機動力も上がっているのか……?

と、その時だ。突然メガバゼルギウスが急停止すると、そのまま跳ねるようにして羽ばたき僅かに浮いた。突然のことだったためリオレウスは止まることができず、メガバゼルギウスの下に潜り込んでしまった!あの位置はまずい!!

 

「ヴオオオオアアアアアアッ!!」

 

「グオアアアアアアアッ!?」

 

「リオレウスッ!!」

 

使った技はのしかかり……だが、メガバゼルギウスが使うとなると、その威力は通常よりも桁違いになる!!胴から尻尾まで、全ての爆鱗がリオレウスとの接触により爆発し、のしかかりによる押し潰し攻撃もあって、リオレウスはそのままメガバゼルギウスに地上まで運ばれ叩きつけられてしまった!!

 

「ありゃあ、マズイぜ!?」

 

「マリオさん、【黒炎王】を助けに行きますよ!」

 

「よしきたっ!こいっ、マグナムソニック!!」

 

「リュウセイ、回復笛を用意して!!」

 

「了解ですニャ!」

 

シズカさん達が、すぐさま動いてくれた!煙が晴れた先では、ほとんど動けないほどにダメージを負ったリオレウスと、そんなリオレウスに止めを刺さんとはかいこうせんを構えるメガバゼルギウスがいた!

 

「撃たせるかよ!行け!」

 

マリオさんが猟虫を飛ばし、猛烈な勢いでメガバゼルギウスの顎をかち上げた!一瞬だけ動きが止まったメガバゼルギウスだが、それでも構わず発射した!

 

「一瞬あれば、十分!!」

 

だが、シズカさんが既に間に合っている!シズカさんははかいこうせんの射線上に強引に割り込むと、盾を僅かに傾けてはかいこうせんを上空に逸らした!!

 

「ぐうぅぅぅぅっ……!!」

 

「保ってくれシズカ!!」

 

走り込みながら再び猟虫を飛ばし、何かを回収するマリオさん。今のところは赤、白、白といった具合だ。さらに素早くなったマリオさんは、メガバゼルギウスの後方に回り込み跳躍。背面を攻撃しそのまま背中に飛び乗った!

 

「ヴオァ!?」

 

「おらっ!大人しくしやがれっ!!」

 

暴れるメガバゼルギウスに対して、マリオさんは小さなナイフで何度も背中を切りつけていく……が、途中で振り落とされた。だがおかげでメガバゼルギウスのヘイトがマリオさんに集中している!

一方、シズカさんの方ではリュウセイくんは笛を吹いていて、その音色を聴いていたリオレウスの傷が見る見るうちに回復していった!

 

「……リオレウス、立てる?」

 

「……!グオオンッ!!」

 

「よかった。……私たちの援護、よろしくね」

 

「グオン!」

 

任せろ!と力強く頷くリオレウス。そんな姿に、なぜかシズカさんは小さく吹き出した。……どうしたんだろう?

 

「フフッ……まるで焔さんみたい」

 

「(;゚□゚)ギク!」

 

「行くよ、リュウセイ」

 

「ハイですニャ!」

 

「ε-(´∀`*)ホッ」

 

あっ、行ってしまった。……リオレウス?なんだか冷や汗をかいているような……気のせいかな……。

 

「うおっ、うおっ!!うわあぁ!?」

 

「マリオさん、下がって!!」

 

すぐ近くで爆発した爆鱗に吹っ飛ばされ、マリオさんが地面を転がった。そこへ畳み掛けるようにきあいだまを放つメガバゼルギウスだが、ブラストダッシュと翔蟲を駆使したシズカさんが間に合い、フルバーストできあいだまを相殺した!

 

「ヴオオオアアアアアッ!!」

 

すると今度は、メガバゼルギウスが翼を羽ばたき猛烈な勢いで風塵を起こし始めた。……あれ、あの技ってどこかで……。

 

「うわ、なんだこれ……ってぇ!?熱!あっつぅ!?」

 

「うっ……これは、ねっさのだいちか……!!」

 

そうだ!ねっさのだいち!!シズカさんなんで知って……いや、それはもう後だ!熱く焼けた砂をぶっかけられて、二人とも苦しそうだ!助けに行くしかない!!

 

「リオレウス!突撃!!」

 

「グオン!!」

 

リオレウスは高く舞い上がるとそのままメガバゼルギウスの頭上から急襲!メガバゼルギウスの翼を掴んで、強引に技を中断させた!

 

「ゼル!?」

 

「そのまま岩壁に叩きつけろ!!」

 

「グオオオオオン!!」

 

「バゼラァ!!」

 

「ダメ押しのりゅうのはどう!!」

 

「グオオオン!!」

 

リオレウスはパワー全開!そのままメガバゼルギウスを岩壁に叩きつけると、追撃のりゅうのはどうをぶつける!!だが、技を受けていたメガバゼルギウスは強引にりゅうのはどうを突っ切ってリオレウスに体当たりをぶちかました!

 

「リオレウス!!」

 

そして、体勢を崩したリオレウスに、またあの爆鱗を用いた突進攻撃を仕掛けて大爆発を起こした!!リオレウスはあえなく墜落し、再びダウンしてしまった……!

 

「リオレウス……!」

 

「リュウセイ!」

 

「ニャ!!」

 

「マリオさん!」

 

「あぁ、行くぜシズカ!!」

 

シズカさんとマリオさんが突撃し、リュウセイくんが笛を吹く。私も急いでリオレウスの元に駆けつけ様子を伺った。

 

「リオレウス、しっかり……!」

 

「……グ、ルル……ル……」

 

薄らと目を開けるリオレウス。おそらくその視線の先には、メガバゼルギウスの姿。

 

「……グ、ギギ、ギ……!」

 

「……!まだ動いちゃダメですニャ!」

 

「リオレウス、落ち着いて……!」

 

「グルルルル……グオオオオオオオオアアアアアアアアアアアアアアアアアアッ!!」

 

リオレウスが一際大きな声で咆哮を上げると、その衝撃で私とリュウセイくんを吹っ飛ばしてしまった!

 

「きゃっ!?」

 

「ニャア!?」

 

起き上がった私はすぐにリオレウスの様子を確認する。リオレウスは立ち上がってはいるが、動けるほど回復は出来ていない……!

 

「リオレウス!無理をしちゃ――」

 

「グオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオッ!!」

 

と、その時だ。一瞬、リオレウスの姿が狂竜化よりもさらに禍々しい黒いオーラに包まれると、物凄い速度と勢いでメガバゼルギウスに体当たりし、そのまま岩壁に突っ込んでしまった!!

 

「な、なんだ!?」

 

「……!今のオーラは……!!」

 

突然のことに、私だけでなくシズカさんとマリオさんも対応できていない。煙の中から姿を現したリオレウスとメガバゼルギウス……メガバゼルギウスはそのまま崩れ落ちると、メガシンカが解除された。そして……リオレウスもまた、そのまま倒れ込んでしまった。

 

「リオレウス!!」

 

倒れたリオレウスから、あのドス黒いオーラが消えた。私はすぐにリオレウスの状態を確認する。そして――

 

「……!つ、翼が……」

 

なぜかリオレウスの翼が青くなり、小さく折りたたまれてしまっていた。……どうしよう、こんなに小さくなったら、空だって飛べないよ……!!

 

「リオレウス、どうして……!?」

 

「ショウ!【黒炎王】は大丈夫なのか!?」

 

「マリオさん、シズカさん……リ、リオレウスの翼が小さく青く……!!」

 

「(まさか、この翼……いや、だとしたらいろんな意味でタチが悪い……!!)ショウ、リオレウスをボールに戻して、今すぐ!!」

 

「あ、はい!戻って、リオレウス……」

 

私はシズカさんの言うとおり、すぐにリオレウスをボールに戻した。……一体、リオレウスの身に何が起こっているの?それに、狂竜化以上に禍々しいあのオーラ……なにか、良くないことが起こっていないといいけれど……。

 

「……ともあれ、あの一撃が決め手になったみてぇだな」

 

「えぇ。……捕獲用麻酔玉を使いましょう。おそらくこのバゼルギウスも、ティガレックスと同じく技巧種でしょうから」

 

「だな」

 

シズカさんとマリオさんが麻酔玉を使い、バゼルギウスは気絶状態から眠りについた。……これで、なんとか任務完了――

 

バチバチバチィッ!!

 

「……!?な、なにっ……」

 

「お、おい!あの裂け目が……!!」

 

なんと、空では再び時空の裂け目が開いていた。そこから姿を現したのは……!

 

「……お、い……ウソ、だろ……」

 

「……っ!真打登場……ってわけ……!!」

 

「ミラボレアス!!」

 

黒龍、ミラボレアスだった!!

 

「グルルル……ギシャアアアアアアアンッ!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

崖上に立ち、眼下を見下ろす。黒龍を前に相対する人間は、伝説を前にしても気勢を削がれることなく、果敢に立ち向かっていった。

 

「ふんっ!……精々、抗え」

 

その言葉を残し、少年――クロノはその場を立ち去った。

 

 

 

 




バゼルギウス撃破!&リオレウスに異変!?
さらに黒龍登場!……って、クロノ?なぜそこに?

バゼルギウスののしかかりって、ポケモン風だと一撃必殺とかでもおかしくなさそう。
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