そして前話の後書きのとおり、クロノのメガシンカパーティの紹介です。
夜中を照らす、残光が一つ
道を示す導きの灯は
闇を斬り裂く一筋の光明
目覚めよ、竜魂。眠りし竜の血よ
光竜 我、此処に在り
導きの灯 光竜 メガデンリュウ 特性:かたやぶり
りゅうのはどう/でんじほう/シグナルビーム/きあいだま
唱えや唱え。奏でるは聖歌
風に流るる雲の羽翼は
気の向くままに揺蕩うであろう
蒼天は澄み、白雲は泳ぐ
天よ聞け、地よ耳を傾けよ
轟き響くは自由への賛美歌
妖歌絶唱 唱竜 メガチルタリス 特性:フェアリースキン
りゅうのはどう/れいとうビーム/ハイパーボイス/ねっぷう
密林、影を踏まず
疾風すら置き去り彼奴は往く
縄張り荒らす不埒者よ
手向かい致さば、慈悲はない
一度抜かれた新緑の太刀は
咎人の血に濡れ、紅葉に染まるだろう
密林に忍ぶ絶影 翠竜 メガジュカイン 特性:ひらいしん
ハードプラント/リーフブレード/ドラゴンクロー/つばめがえし
燃る灼熱、天上を焼く
強き者よ。我を恐れよ
数多の姿に、恐れ震えよ
黒翼を携えし蒼炎は
我、炎竜の激昂と知るがいい
ブレイジングダークネス 炎竜 メガリザードンX 特性:てつのつめ
フレアドライブ/ドラゴンクロー/はがねのつばさ/かみなりパンチ
夢、幻か
蒼天を舞う真紅の翼は
歪み歪み狂える烈竜
空を裂き、天を割る、その姿
夜天を照らすは我が翼
血濡れ三日月の月光のみ
血濡れ三日月 烈竜 メガボーマンダ 特性:スカイスキン
ドラゴンダイブ/すてみタックル/かえんほうしゃ/アクアテール
苛烈暴走、憤怒の鮫竜
音速の羽は裂刃と化し
浅ましき成れの果てとなる
ああ無情、卑しき力よ
その激情、何人も触れるべからず
乱暴狼藉の暴走竜 鮫竜 メガガブリアス 特性:すなのちから
ドラゴンクロー/アイアンヘッド/ドラゴンダイブ/かみなりのキバ
クロノが率いるメガシンカ軍団との戦いに勝利した私の前に姿を現したイビルジョー……私とジンオウガの因縁の相手。前回戦った時は、その圧倒的なフィジカルの前に力押しで敗北を喫した……同じ轡は二度も踏まない!
「ジンオウガ!今度はパワーじゃなくてスピードで勝負よ!」
「ワオンッ!」
「よしっ、行けっ!」
「ウオオオォォンッ!」
「正面から行くぞイビルジョー!素のままのモンスター如き、小細工など不要!何も出来ぬまま終わらせてやろう……逃げ回りながら負けるがいい!!」
「グギャアアオッ!」
推奨BGM
【戦闘!ライバル】~ポケットモンスターHGSS~
まずはこちらから仕掛ける!
「でんじほう!!」
「ワオォンッ!」
「跳ね返せ!」
「ギャアアオッ!!」
走りながらジンオウガが放ったでんじほうは、イビルジョーの尻尾の一打で打ち返された!
「アイアンテール!」
「ワンッ!」
だけどこっちだって負けない!ジンオウガのアイアンテールで再びでんじほうを跳ね返す!
「噛み潰す!!」
「ガアアッ!!」
イビルジョーはその強靭な顎ででんじほうに噛み付くとそのまま潰してしまった!でも、僅かにだけど隙ができた!
「はどうだん!!」
「ワオオオンッ!!」
「ギャッ!?」
側面に回り込んだジンオウガのはどうだんは直撃!効果は抜群だ!……だが、イビルジョーの反応は苦手な技を受けた、というよりも意識外からの攻撃に驚いただけのようだ。やはり、攻撃面・耐久面ともに圧倒的だ……捕まらないように気を付けないと!
「ちっ、だいちのちからだ!」
「ギャオオオッ!」
イビルジョーが力強く大地を踏みしめ、その波動がだいちのちからとなって襲ってくる!
「躱して!」
「ワンッ!」
ジンオウガは縦横無尽に駆け回り、だいちのちからを次々と避けていく。よし、いい感じだ……!
「ぶち込めイビルジョー!ハイドロポンプ!!」
「グギャオオオッ!」
「ギャウッ!」
「……っ!ジンオウガ!」
「……ワオンッ!」
「よし……!」
ジンオウガが大きく跳ねた、その着地を狙ったハイドロポンプが直撃した!わずかに押し込まれるジンオウガだけど、頭を振ってすぐに持ち直すと、大きく吠えた!よく耐えたね、ジンオウガ!
「……どうなってやがる。前よりずっと強くなっているのか……?」
「私だって、物見遊山や解呪目的だけのためにこの世界にいるわけじゃないからね」
伊達に何日もこの世界にいるわけじゃない。特にバゼルギウスとメタモンを撃退してからの三日間はメゼポルタの復興とメタモン問題の解決の他に、ジンオウガの鍛錬に精を出していた。
その血の滲むような鍛錬の成果、存分に発揮する!
「ジンオウガ、かげぶんしん!!」
「ワオォン!」
「はぁ?」
クロノが呆れたような声を出すが、これも作戦の内。アカイさんとの話し合いの末に考えついた策なのだ。
「くだらねぇ……イビルジョー、ジェノサイドブラスターだ!」
「グギャアアアオッ!!」
イビルジョーは頭を高く上げると一気に振り下ろし、横へなぎ払うように龍属性ブレスを放った!分身たちは次々と姿を消していき、とうとうすべての分身が消滅した。
「いない?……いや、上か!」
クロノが気がついた!宙に躍り出たジンオウガを見つけると、ニヤリと口角を釣り上げた。
「バカが!そんなまる分かりな作戦、通じるわけねぇだろうが!イビルジョー、はかいこうせん!!」
「グォォォ……ギャオオオンッ!」
イビルジョーのはかいこうせんは、空中で身動きがとれないジンオウガに命中し……消滅!
「なにっ!あれも分身だと!?」
「いっけぇ、ジンオウガ!」
私の声に応じて、ジンオウガが姿を現した……地面からね!
「"あなをほる"だとぉ!?」
地上に分身を出せば、クロノの性格上一つ一つを潰すのではなく、大技で一気に潰そうとするはず。すると規模によっては自らの視界すら封じるほどの技を使うだろうから、その隙をついた!さらに保険を掛けるべく空中にもかげぶんしんを設置するように指示を出したけど、どうやら正解だったみたいだ。
あなをほる攻撃が命中し、イビルジョーは勝ち上げられて上体が大きくのけぞったような姿勢になった。一気に叩く!
「畳み掛けろぉ!」
「ワオン!」
隙だらけのイビルジョーの土手っ腹にかみなりパンチを叩き込む。その後、体勢を戻したイビルジョーが勢いで噛み付かんと口を開いたが、素早く反応したジンオウガがサッと身を翻しイビルジョーの顎を躱す。さらにそのままアクアテールをサマーソルトで繰り出し、イビルジョーを大きく後退させた!
「ええいっ、アクアテールだ!」
「躱して!」
イビルジョーはアクアテールでジンオウガに仕掛けてくる。ジンオウガはこれをジャンプして躱すが、イビルジョーはすかさず一回転してジンオウガに噛み付こうとしてきた。だが、それはこちらも読んでいた!
「エレキネット!」
「ワゥンッ!」
「ガグッ!?」
「なに!?」
「追撃のかわらわり!」
「ワオォンッ!」
ジンオウガはエレキネットでイビルジョーの口を塞ぐという芸当を披露し、動揺するイビルジョーに追い打ちのかわらわりを叩き込んだ。
「怯むな!アイアンヘッド!!」
「メガホーンで応戦!」
「グォアアアアッ!!」
「ワオォウン!」
頭から地面に沈むことになったイビルジョーだが、それでも負けじとアイアンヘッドを繰り出してくる。ジンオウガもメガホーンで対抗し、わずかに押し込まれたけど踏ん張りを効かせて持ちこたえた!
「「りゅうのはどう!/10まんボルト!」」
「「グギャアオオォッ!/ウオオオォンッ!」」
一度弾かれた両者はエレキネットが解けたイビルジョーがりゅうのはどう、ジンオウガが10まんボルトをぶつけ合い激しく爆発を起こしながらさらに大きく距離が開いた。
「……っ。ありえん!なぜこれほどまでに動きが良くなっている……!?」
「日々の鍛錬の賜物だよ。私とジンオウガだって、のんべんだらりと過ごしていたわけじゃないんだから!」
クロノはイビルジョーに対し、絶対的な自信と信頼を寄せている……それこそが、むしろクロノの弱点とも言える。バトル前の口上にも、その自信が如実に表れている。小細工……即ち、変化技を使ってこないだろうということも、容易に想像がつく。逆にこちらが変化技を用いれば、それを力技で強引に押し潰そうとしてくることも!
実際、イビルジョーの高い能力を活かせばそれも可能だろう。だからこそ、クロノは絶対にその手を打ってくるという、ある意味信用に似たものがあった。そして、案の定クロノは強力な一撃でジンオウガの分身を一掃してきた。だから、本体が地面に潜りさらに一体分身を空中に残したことに気づかなかった!
「……悔しいが、その努力は無駄ではなかったようだな。以前までなら、今頃は決着がついていたはずだ」
「膂力ではこちらが不利だからね、少しでも上手く工夫して戦う必要があった。……私たちはこれ以上、負けるわけにはいかないんだ。だから、ここで絶対に勝つ!」
「ワオォンッ!!」
この三日間、本当に血の滲むような鍛錬を繰り返してきた。
まず、肉体面。こちらはカイさんとガムートに協力してもらった。具体的にはガムートと押し相撲をしたり、荷車に積まれたガムートを引っ張ったりする、とにかく体を苛め抜く鍛錬だ。体を鍛えることで耐久力の向上も期待できる。
次に、機動力。最初にも言ったがフィジカル面では真正面からぶつかり合えば勝ち目はない。だから、攻撃は可能な限り避けることに集中する。こちらはセキさんとタマミツネ、ウォロとディノバルドに協力してもらった。素早い攻撃はタマミツネに、強力な一撃をディノバルドに頼むことで、とにかく徹底して回避し機動力の向上を図った。
最後に技の練度。これは先ほどのかげぶんしんで既に成長を実証済みだ。さらに得意なタイプであるでんき技に関しても、テル先輩とライゼクスに協力してもらい、お互いの電気エネルギーを用いて能力を高め合う訓練をした。
それと、アカイさんが知るトレーナーに技の使い方や戦術がぶっ飛んでいて、ガラル地方で開かれた巨大なポケモン大会で優勝した人がいるらしく、その人の話を色々と参考にさせてもらった。
……ピカチュウを相棒にしているなんて変わってるなぁ……ライチュウにするでもなく、しかしでんきだまを持たせるでもなく……けど、それで大会に優勝するんだから、きっと強い人なんだろうな。……どこかで聞いたことがあるような気がするのは、気のせいだろうか?
「ぬかせよ、さっきは意表を突かれただけだ。イビルジョーは、まだまだ戦える!」
「ギャアアォスッ!!」
「やれ!りゅうせいぐん!!」
「グギュアアアアッ!!」
イビルジョーが放ったりゅうせいぐんが、ジンオウガに迫って来る!だけど、私たちだってまだまだ上げていくぞ!
「ジンオウガ!」
「ワン!」
「我が心に応えよ、キーストーン!進化を超えろ……メガシンカ!!」
「ウオオオォォォンッ!」
ここでジンオウガをメガシンカ!さらにアカイさんから聞いた某トレーナーの戦術を試すとき!
「カウンターシールド!」
「ワンッ!」
「は?カウンター……なんて?」
メガジンオウガは勢いよく体を回転させつつ寝転がり、いわゆるバックスピンの態勢に入った。さらにそのまま回転しながら電撃を放つ!すると四方八方に入り乱れ飛び交う電撃が、迫り来るりゅうせいぐんを一つ残らず撃ち落とした!!
「おいこらまてぇ!そんな戦い方があるのかよぉ!?」
「可能性は無限大!!」
「ワオンッ!」
「だろうな!奥が深すぎて底が見えねぇよ!!」
起き上がったメガジンオウガも得意げな様子で吠えている。うんうん、上手くいって嬉しいんだよね。もうすっごく練習しまくってたからね、正直メガジンオウガの三半規管が心配になったよ。
「くそぅ、調子に乗るなよ……イビルジョーの力は、まだまだこんなものじゃないぞ!」
「……っ!やっぱり、そっちもメガシンカを……」
「え、いやいや、メガシンカはしないが?」
「……え?」
メガシンカ、しない……?どういうこと……?
「意外、って顔をしてるな?イビルジョーのメガシンカ……まあ、『怒り喰らうイビルジョー』は、ぶっちゃけ制御不能だ。あの個体は本来なら長生き出来たが故にたどり着く個体なんだよ。食欲のリミッターが外れてて、さらに共食いによる龍属性エネルギーの過度な蓄積と、それに伴う生命の危機によって齎される捕食本能の暴走……本来なら自然な流れでこの状態に至るのを、メガシンカで強制的に移行させたら……どうなるかなどもはや語るまい?」
「うっ……た、たしかに……」
シロちゃんから聞かされたことと、ほとんど同じだ……たしかにそんな危険な状態に無理やり変化させたら、それこそクロノの制御を外れて暴走する恐れがある。だからクロノはメガシンカさせないのか……。
「まぁ、メガシンカなんかせずとも、俺のイビルジョーは強い!それこそ、そっちがメガシンカしなければ歯が立たないくらいにはなっ!」
「くっ……言い返したいのに何も言えない……!」
実際、前回のバトルではメガシンカする暇もない猛攻で叩き伏せられたし……けど、今回は徹底的に鍛錬を重ねたから、簡単にやられたりはしない!むしろぶっ飛ばす!
「ジンオウガ!でんこうせっか!」
「ワオォンッ!」
「がんせきほうだ!」
「ギャオオウッ!」
メガジンオウガが突撃を開始すると同時に、イビルジョーが顎で地面を抉ると巨大な岩石を飛ばしてきた!
「躱して!」
「ワンッ!」
「ドラゴンダイブ!」
「ギャアオオオッ!」
「……!やや右前方にワイルドボルト!」
「ワオオオォンッ!!」
がんせきほうを右に跳ねて回避したけど、回避した先に迫って来るイビルジョーが!私の指示通り、真正面からではなくやや側面を狙ったワイルドボルトを繰り出したメガジンオウガ。それにより、ドラゴンオーラと電撃が擦れて滑り、真正面からのぶつかり合いを避けることができた!
「はどうだん!」
「ウオォンッ!」
「ドラゴンテール!」
「ギャオス!」
後方からのはどうだんは、ドラゴンテールで打ち消された……一筋縄ではいかないか……!
「あくのはどう!」
「ギャアアアンッ!」
「チャージビーム!」
「ワオンッ!」
あくのはどうとチャージビームがぶつかり合って爆発を起こした……ここで仕掛ける!
「突っ込め、ジンオウガ!」
「ワン!」
メガジンオウガは煙の中を突っ切り、一気にイビルジョーの前に躍り出た……ここだ!
「バカ正直に突っ込むか!もろはのずつき!」
「グギャアアスッ!」
「突撃ばかりが能じゃない!ジンオウガ、フラッシュ!」
「ワゥン!」
「ギャッ!?」
「なんだとっ!?」
目の前で閃光が瞬き、イビルジョーは眩しそうに目をつぶった!今だ!
「ジンオウガ!インファイト!!」
「ワオン!ワウッ、ワウッ!ウオォォンッ!!」
「ギャアアンッ!?」
「なっ……クソッ!」
視界が封じられたイビルジョーに、メガジンオウガの猛ラッシュが叩き込まれる!かくとうタイプのメガジンオウガのインファイトは、あくタイプのイビルジョーには効果抜群!さらにメガシンカしていることで火力も大幅にアップだ!
「負けるなイビルジョー!根性を出せ!!」
「……ッ!!」
メガジンオウガが爪でイビルジョーに一撃を叩き込もうとした、その時だ!ガチンッ!という音とともに、メガジンオウガの動きが止まった!イビルジョーが、メガジンオウガの爪を牙で受け止めている……もう目が見えるようになったのか……!
「今度はこっちの番だ……!イビルジョー!ぶんまわせ!!」
「グギャアアアアオオオッ!!」
「ギャウッ!?」
「ジンオウガ!」
イビルジョーは強引に体を捻るとメガジンオウガを引っ張り始め、さらにそのままぶんぶん振り回し始めた!なんてパワーなの……!
「叩きつけろ!!」
「ギャアアォスッ!!」
「ワギャウ……!」
「ジンオウガ!」
「そのままディストーションバイト!!」
「グルオオオオオオ!!」
メガジンオウガを地面に叩きつけたイビルジョーはそのまま引きずるように一回転し、一周したところでメガジンオウガを高く放り投げた!自身も龍属性エネルギーを収束させつつ跳躍してメガジンオウガに食らいつき、回転とともに落下してメガジンオウガを叩きつける!
「ギャアウゥッ!」
「負けないでジンオウガ!かみなり!!」
「……ッ!ワオオォォォンッ!!」
「ギャアアスッ!?」
以前ならそのままやられていたけど……今はメガシンカだってしてるんだ!メガジンオウガのかみなりの威力に怯んだイビルジョーは、思わずその口を離してしまった……チャンスだ!
「ライジングテール!」
「ワオォンッ!」
「グギャッ!」
起き上りと同時にライジングテールを繰り出しイビルジョーを突き放す!まだまだ!
「らいこうだん!!」
「ウォンッ!」
「ギャアァンッ!?」
ライジングテールの勢いで跳躍し、そこで体勢を変えると着地と同時に雷光弾を発射!イビルジョーに直接当ててみせた!かなり効いてる……これで終わりだ!!
「最大出力……全力の!はどうだんだ!!」
「ワオオオォォンッ!!」
「グギャアアァアァァンッ!!」
「イビルジョー……!」
全力のはどうだんを受けたイビルジョーは、とうとう崩れ落ちた。やった……!
「よしっ!」
「くっ……くっそおぉぉぉッ!どうしたイビルジョー!お前の力はこんなものか!?まだだ……まだやれるだろう、お前なら!?立て!立つんだ、イビルジョー!!」
「……グ、ギギ……!」
なっ……イビルジョーが、立ち上がった……!?流石は古龍級生物……簡単には勝たせてくれないか……。
「ギ……グギギ……グギャアアァァァッ!!」
と、その時だ!突然、イビルジョーが眩い光に包まれたかと思うと、徐々にその姿を変えていった!
「な、なんだっ!?」
「まさか、進化……?」
「え、進化!?メガシンカじゃなくてか!一体何になるって言うんだ……!」
イビルジョーの姿が完全に変化を終えると、包み込んでいた光が消えてその姿が顕になった。
深緑だった皮膚が金に近い明るい色に。
顎の刺は長く赤黒い色に変わり、さらに背中にも刺が生えている。
何より目立つのは、全身を覆うように纏われた金色のオーラ。
「グギャアアァオオオォッ!!」
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進化を果たしたイビルジョーは、全く別次元の生物へと変化した……!
「……は、はは……ははははははっ!!」
「クロノ……!」
「……あーあ、出会っちまったか」
「っ!!」
「ショウ、あまり回りくどく説明すんのもアレだから、さくっと説明してやろう。こいつの名前は……【極み喰らうイビルジョー】だ」
「き、極み……!?」
「そう!古龍級生物イビルジョー、その極み個体!!お前にとって、これ以上にない絶望の権化だ!!」
「ギャオォォン!!」
そ、そんな……こっちがメガシンカしてやっとイビルジョーと対等以上に渡り合えていたのに、このうえイビルジョーが進化して強くなるなんて……。
「ワオンッ!!」
「……ッ!ジンオウガ……」
私が呆然としていると、メガジンオウガの声に意識を呼び戻された。メガジンオウガはこちらに振り向いて頷いている……そうだ、ポケモンが、相棒が諦めていないのに、トレーナーの私が諦めてどうする!!私は大きく深呼吸をして気持ちを落ち着かせると、目の前のバトルに全神経を集中させる!
「……勝つよ、ジンオウガ!」
「ワォン!」
「ふんっ。口で説明するよりよっぽど早いか……教えてやるよ、極み個体の圧倒的な力を!」
「でんこうせっか!」
「ワオオォンッ!!」
メガジンオウガがでんこうせっかで縦横無尽に駆け回る。まずスピードで攪乱して、捕まらないように――。
「……捕えろ!」
「ギャオンッ!!」
メガジンオウガが極みイビルジョーの真横を駆け抜けようとした、その時だ!極みイビルジョーが半歩足を引いたかと思うと、次の瞬間には体の向きを変えて頭を振り下ろし、メガジンオウガの尻尾に噛み付いていた!
「ワウッ!?」
「まさか!?」
「言ったよな?極み個体の恐ろしさを教えると……イビルジョー!たたきつける攻撃!」
「ギャアアアオンッ!!」
「ギャウウウゥンッ!?」
極みイビルジョーはメガジンオウガを再び引っ張りまわし、何度も何度も地面に叩きつけてきた!叩きつけたまま地面を引きずったり、また叩きつけたり……一際高く持ち上げられたあと、さらに勢いよく叩きつけられた!
「ドラゴンクロー!踏み潰してやれ!!」
「ギャアアアアオッ!!」
「ギャウンッ!!」
「ジンオウガッ!」
ドラゴンクローを展開した足を持ち上げ、勢いよくメガジンオウガを踏みつけてきた!何度も何度も踏みつけられ、メガジンオウガにダメージが蓄積していく……!
「でも、この距離なら……!力強く、きあいだま!!」
「……ワウッ!ウオオォォンッ!!」
久々に使った力業、それも極みイビルジョーの弱点にしてメガジンオウガの得意タイプのかくとう技!力業きあいだまは顔面に直撃!効果は抜群だ……!
「……う……そ……」
「ワ、ウッ……!」
だが……煙が晴れた先には、びくともしていない極みイビルジョーの姿があった……!
「無駄無駄無駄ァ!!イビルジョー!はかいこうせんだぁ!!」
「グギャアアアオオォォォンッ!!」
イビルジョーのはかいこうせんが近距離から放たれ、メガジンオウガは岩壁にまで押し込まれ大爆発を起こした!!
「ジ、ジンオウガ……ッ!!」
「……フゥッ……フゥッ……フゥッ……!」
崩れた瓦礫の山……そこから出てきたメガジンオウガは、酷くボロボロに傷つき肩で息をしていた。くっ……メガジンオウガも、もう限界に近い……!!
「ジンオウガ」
「ワン」
「次の一撃に、全てを賭けるよ」
「ワウン」
「……奥義、装填……!!」
「グルルルルル……!!」
メガジンオウガは電力を限界までチャージし始めた。その間クロノは……なにもしてこない。
「いいぜ。真っ向から……受けて立ってやる」
「…………」
「仮に作戦があるんだとしても、そのジンオウガのダメージでは策を恙無く実行できるとも思えん。だから、愚策であろうが正面からの勝負に賭けた……その気概、まったく見事」
「……行くよ……ジンオウガ!」
「ワオンッ!」
「……だがな……」
この一撃に全てを賭けて!!
「せんしょうらいせん!!」
右角に電力が集中し、巨大な角を形成……一気に突撃する!!
「いけーっ!!」
「ウオオオオオォォォォンッ!!」
「止めろ」
「グギュアアアアアッ!!」
両者がぶつかり合い、激しい閃光が炸裂する!辺り一帯が煙に包まれ、視界が遮られる……!
「うっ、ぐっ……ジ、ジンオウガ……!」
「…………」
煙が徐々に晴れてきて……。
「……あ、あぁ……!」
「……グ、ウゥ……」
尖衝雷閃が……止められた……それも、技でも何でもない、ただの噛み付きで……。メガジンオウガの右角が、極みイビルジョーの牙にしっかりと止められている……!
「なぁ、ショウよ。ただのモンスターがなぁ……」
……ミシッ、ミシッ……
「古龍級生物の極み個体に……」
ミシッ、バキッ!
「勝てる訳ねぇだろうが……!!」
――ボキッ!!
「――――」
ジン、オウガの……角、が……折ら……れた……!
「りゅうせいぐん。直にぶち込め」
「ギャオオオンッ!!」
噛み切りへし折ったメガジンオウガの角を吐き捨て、極みイビルジョーはりゅうせいぐんを打ち上げるのではなく、直接メガジンオウガに叩き込んできた。爆発とともにメガジンオウガが宙を舞い、私の眼前に落下してきた。メガシンカは解除され、ジンオウガは動く気配がない……。
「ジ、ジンオウガ……!」
ズキッ!!
「うぐぁ……!」
し、しまった……こんな、時に……!バトルの前にシロちゃんのお祈りで呪いの発作を抑えていたけど、ここに来て限界が……!!
「ジン……オウ、ガ……」
ダメ、だ……痛みで、意識……が……。
ショウ
ショウ
ショウ
「……あ、れ……?」
ここは……見渡す限り、真っ白な空間……私、死んじゃったのかな……。
「ショウ」
「……っ!この声……」
わたしを呼ぶ声に反応して振り返れば……そこにいたのは……!
「お母さん!」
「ショウ」
長い黒髪を真っ直ぐに下ろした、私のお母さん……ヒカリ。相変わらずどこかおっとりとして抜けていそうな雰囲気に、その裏に隠された揺るぎない意思……うん、ちゃんとお母さんだ。
けど、今の私はお母さんを直視できず、俯いてしまう……。
「お母さん、私……ごめんなさい……」
「どうして謝るの?」
「だって、だって、私!……負けちゃった、バトルに……それに、ミラボレアス……黒龍の呪いで、余命だってあとわずかで……」
「……それじゃあ、諦めちゃうの?」
「……え……?」
諦める……そんな、そんなの……。
「……だよ……嫌だよ!諦めたくないよ!でも、でも……もう、どうしようもないよ……ジンオウガは私のせいで負けてしまった……私も呪いの痛みに耐えきれずに気絶……ううん、死んじゃったかもしれない……。
どうにもできない……私に出来ることなんて、もう……」
「ショウ……」
お母さんが、そっと私を抱きしめてくれた。……暖かい。お母さんの温もりだ……。
「このおばかちん」
「へっ?……あ痛っ!?」
いきなり罵倒されて驚きに顔を上げると、すかさずデコピンを食らった!?うぅ……す、すごく……痛いです……。
「私はあなたをそんな子に育てた覚えはありません。立ちなさい、ショウ。諦めることは許しません」
「で、でもっ……!」
「諦めていいのは、精一杯生き抜いてからよ。……ショウ。あなたは今、精一杯生き抜いているかしら?」
「わ、私は……」
私は、私は……!
「……まだ、生き抜いてない……まだ、生き足りない!まだ、まだ!諦めたくないっ!!」
「……うんうん、それでこそ私の子。偉いわね、ショウ~」
「わぷっ」
先程までの厳しい口調が嘘みたいになくなり、ふわふわした喋り方に戻った……頭を優しく撫でてくれるその手が、それを物語っている。
「……見て、ショウ」
「え……?」
お母さんが体の位置をずらすと、私の視線の先にジンオウガの姿が見えた。右の角が折られ、ボロボロに倒れ伏すジンオウガ……けど、その体は少しずつ、本当に少しずつ動き出そうとしていた!
「あの子はまだ、諦めていないわ。私、言ったよね?"ポケモンとトレーナー、双方の信頼が合わさって、初めてポケモンバトルが成立する"って。ショウも、あの子も、同じ"負けたくない"って想いをもっともっと重ねてみて?
"負けたくない"、"勝ちたい"って、ただ自分だけが考えるんじゃないの。その想いを、お互いに強くぶつけ合って、混ざり合って……そうすればあなたもあの子も、もっともっと強くなれる……上を目指せるわ」
「想いを重ねて……もっと強く……」
ジンオウガの想いと……私の想いを……。
「……もう、大丈夫みたいね?」
「……うん、大丈夫。ありがとう、お母さん」
「それは良かったわ~」
そう言って、やんわりと微笑むお母さん。……少しだけ、寂しいけど……行かなきゃ。
「お母さん、ごめんなさい。ちょっと弱気になっちゃってた。……もう大丈夫。私、行くね?」
「……うん、気をつけてね。……ショウ!」
「え?」
私の心がようやく立ち直ったところで、お母さんから声が掛かった。ちょうど歩き出したタイミングだったので振り返った私は、もう一度お母さんに抱きしめられた。
「……どんなときでも、なにがあっても……あなたは私の大切な子供……。どうか、無事で。生きて帰ってきてね……私は、それだけで十分だから……」
「お母さん……!」
「……いってらっしゃい」
「……行ってきます!!」
意識が浮上する感覚……大丈夫、私はもう迷わない。目の前に立ち塞がる者がいれば、これを打倒し前へ進む……ジンオウガとともに!!
コウちゃん……
ちくしょう……全身が悲鳴を上げてやがる……。角を折られたからか頭痛も半端じゃない。動け、動け、動けよ……!なんで動かねぇんだちくしょうが……!今起きなきゃダメだろうが……!なんのためにこの三日間、修行し続けたんだ……!焔だって頑張ってんじゃねぇか、俺が気張らねぇでどうするんだ!!
動け、動け、動け、動け!動け!!動けっ!動けっ!!うごけ――
「だ~め」
……え。
「そんなに無理しちゃダメだよ~?無理に動かそうとせず、まずは感じてみて?」
感じる……って……?
「全身に血を通わせるように、意識を集中させて……頭、体、前足、後足、尻尾……どう?」
……少しずつ、体が感覚を取り戻し始めた。体を起こせるようになったので、体を起こしてみる。
「ふふっ、偉い偉い~」
「……ワン」
俺の目の前にいたのは……ショウを大人にしたような女性。この見た目……まさか、ダイパ主人公のヒカリ?
……いや、違う。俺は知っている、彼女は……。
「こんにちは~、ショウの母です。娘が大変お世話になっております」
「ワワウ、ワウ(これはご丁寧にどうも……)」
「……ショウを、あの子を守ってくれてありがとう。あなたたち皆がいたから、あの子もここまで頑張ってこれた。……でも、ショウの歩みは止まらない。あの子は再び立ち上がったわ。……あなたは、どう?」
"どう?"だって?……言われるまでもない!!
「ワオワオワオーンッ!!(俺だって諦めるつもりはねぇ!ショウと一緒に強くなるって決めたんだ!!)」
「……うん、それなら大丈夫。今のあなたとショウの気持ちは一緒……その想いを、もっとお互いに感じ取ってみて?そうすれば、きっと道は拓かれるわ」
お互いに……って、そうか!アニポケのあの現象を参考にすれば……!!
「うんうん、さすが~!すぐに気付けるところは満点だよ~」
そう言って、朗らかに笑うヒカリ。……まったく、ガワが変わっても、笑い方は全く変わらねぇんだな。そういうところだぞ。
「……行くのね?」
「ワン(おう)」
「あなたたちに惜しみない幸福と武運の長久を……頑張ってね」
「ワオォンッ!(任せろー!)」バリバリ!
俺の中の電気が全身を駆け巡り、体が活性化していくのを感じる……今度は遅れを取らねぇ。ショウと一緒に、どこまでも上を目指してやる!
俺の意識が覚醒に近づいているのだろう……目の前の景色がぼやけてきた。完全に見えなくなるまで、俺はずっとヒカリの顔を見つめ続けた。彼女は……どこか寂しそうで、けれど嬉しそうな笑顔を見せている。そうしてやがて、ヒカリの顔が見えなくなっていった。
「ショウをお願いね、
「任せとけ、
「……ありがとう……!」
その会話を最後に、俺の意識は途絶えた。
ジンオウガが倒れ、ショウが倒れ、既に五分以上が経過している。止めを刺すでもなく状況を見守っていたクロノは、小さくため息をついた。
「(……結局、こんな結末か)」
クロノは内心で、ひとりごちた。
「(ハンターでないにもかかわらず、この俺様を追い詰めた人間。……なぜだ、俺様はこの展開を望んでいたはずだ、なのに……この胸の内に去来する空虚はなんだ?なぜ、俺様はこんなにも虚しさを感じている?なぜ、俺様はショウの死を惜しんでいる?)」
それは、クロノにとって初めての感情だった。
初めは、ただ殺すことだけを考えていた。シュレイド城から逃亡した先で、あのハンターと同じ目をした人間の少女と出会った。己を追い詰める巨剣と、それを振るうハンターの目……あの感覚を思い出した時には、既に少女に呪いをかけていた。
ただの人間の子供……そう思っていたが、呪いをかけてからなかなかにしぶとく長生きした。祖龍が送り込んだモンスターをすべて捕獲する頃になって、ようやく呪いの力が表れ始めた。呪いは進行していたにも関わらず、その効果が表沙汰になるまで随分と時間がかかったものだ。
そして、件の人間が仲間を引き連れてこちらと同じ次元にやって来ると聞いた。その瞬間から、遺跡平原に移動していたティガレックスを巨大化させたり、個人で手持ちポケモンを用意したりと、とにかく時間を稼ぐための準備を進めた。だが、少女はポケモンやモンスターを戦わせるのが上手く、あまり時間稼ぎにならなかった。
そこでカロス地方というメガシンカ発祥の地へ趣き、メガシンカ使いにバトルを挑んで己を鍛え上げた。その過程でチャンピオンともバトルをしたが……。
「(……俺様自身、意識が変わったのはその頃か)」
カロス地方のチャンピオン・カルネ。彼女は強くなるために選んだクロノの手段を非難しながらもその想いまでは否定せず、むしろ肯定した。決してクロノは弱くはないと、クロノを認めてくれたのだ。
「(正々堂々、真っ向勝負……そのために、俺様の生体エネルギーを使って、あいつらの極限状態を治してやったんだったな。……結局負けてしまったが、悔しいと思えど憎らしいとは思わなかった……)」
負けを認めることはすごく悔しいことだったが、それで勝者に対して憎悪が湧いたかといえばそうではなかった。ショウの言うとおり、次に勝つにはどうすればを、無意識に考えていたのだ。
「(……あぁ、そうか。俺様はアイツを……ショウを、好敵手だと思っていたのか)」
好敵手、ライバル。勝ちたいと、負けたくないと思える相手。クロノは己の知らぬうちにショウをそのような相手だと認識していたのだ。しかし、そのショウは倒れたまま動かない。失って初めて気づく、ということを、クロノは実感していた。
「……イビルジョー、丁重に葬ってやろう。死肉を漁られぬよう、骨も残すなよ」
「…………」
「……?イビルジョー?」
クロノはショウとジンオウガを始末するよう指示するが、イビルジョーは動かない。それどころか、倒れて動かないはずのショウたちを警戒しているようだった。
「どうした、イビルジョー……なにっ?」
クロノもイビルジョーの異変に気づいてショウたちをじっくりと観察し……そこで気がついた。
僅かにではあるが、一人と一頭の体が動き始めたのだ。
「なっ……ば、馬鹿な……!?」
「……うっ……ぐっ……!」
「グ……グウゥ……!」
ショウも、ジンオウガも、少しずつ体を起こし始め、長く長く時間をかけてようやく起き上がった。その間、クロノは何もせぬまま事態を見守っていた。
「なぜだ……心臓の痛みで気絶しただろ!なぜ立ち上がれる!?」
「……今、だって……痛い、よ……でもねぇ!!」
立ち上がり、顔を上げたショウ。呪いが進行したのか、顔の左半分にまでひび割れが及んでおり、呪いの影響か左目の瞳が紫に変色していた。それでも……その顔は、"諦め"という感情が皆無だった。
「ジンオウガが"勝ちたい"って……"負けたくない"って叫んでるんだ!そして、それは私も同じ……私だって"勝ちたい"!"負けたくない"!」
「ワオゥン!」
「……っ。愚かな……お前もジンオウガも、共に満身創痍!この状況で極み喰らうイビルジョーに勝とうなど、笑止!!」
ショウも呪いに冒され、ジンオウガも瀕死一歩手前。この状況で逆転するなど、普通に考えれば無理だろう。……だが、この一人と一頭は例外だった。
「それでも!私たちは勝つっ!!絶対に諦めない!!」
「なにを……」
「私たちは強くなる……!」
「(俺たちは強くなる……!)」
「私たちは負けない!」
「(俺たちは負けない!)」
「私たちは絶対に諦めない!」
「(俺たちは絶対に諦めない!)」
「私たちは……!」
「(俺たちは……!)」
「(「絶対に勝つ!!」)」
「「うおおおおっ!!/ウオオオオッ!!」」
推奨BGM
【XY&Z】~ポケットモンスター(アニメ)~
その時だった。ショウとジンオウガの姿が重なり合うと、ジンオウガが激しい閃光に包まれた。閃光は電撃となり、様々な色を経て最終的に蒼穹と呼べる鮮やかな色合いの電撃に変化した。
電撃に包まれているために姿は見えにくいが、明らかに本来のジンオウガとは逸脱した姿へと変化していた。この変化に、クロノは目を見開き驚愕に体を震わせた。
「な、なんだ……なんなんだ、その姿は……!?」
「私たちはどこまでも強くなる……どこまでも限界を超えてみせる!!」
「く、クソッ……イビルジョー!りゅうのはどうだ!!」
「ギャオオオンッ!!」
イビルジョーが放ったりゅうのはどうが、ジンオウガに迫って来る。この時、ショウは不思議なものを見ていた。
「(これって……)」
まるで自身にりゅうのはどうが迫ってくるような光景が、ショウの視界に映っていた。それを見て、ショウは今見えているものがなんなのかをすぐさま察した。
「(そうか、これはジンオウガの目線……ジンオウガが見ているものが、私にも見えている……!)躱せっ!!」
「ワオンッ!」
りゅうのはどうが届くよりも早く、ジンオウガの姿が掻き消えた。あまりの速さに、クロノも極みイビルジョーも思わず目を剥いた。
「なっ、はや――」
「きりさく!!」
「ワオオォンッ」
ショウはジンオウガに指示を出すと同時に、自身も左腕を引きながら構えを取る。それに合わせるように、ジンオウガも左前足を引きつつ極みイビルジョーに接近し、共に腕を突き出し極みイビルジョーを切り裂いた。
「グギャアッ!?」
「ばかな……なんだこれは!?何が起こっている!?」
「かみなり!!」
「ワオオオォンッ!!」
「ちぃ……!はかいこうせん!!」
「グギャアオオオンッ!!」
動揺するクロノをよそに、ジンオウガはかみなりを放った。クロノもイビルジョーにはかいこうせんを指示し対抗するが、かみなりとはかいこうせんはぶつかりあった瞬間に爆発を起こし消滅した。実力が完全に互角になっている証左だった。
「「げきりん!!」」
「「ウオオオオオッ!/ギャオオオオオッ!」」
ジンオウガと極みイビルジョーは、お互いにげきりんを発動し激しくぶつかり合う。ジンオウガが前足でイビルジョーを攻撃すれば、イビルジョーも反撃に顎の刺や尻尾を振り回す。
「グウッ……!」
「うぐっ……!」
ジンオウガがイビルジョーの攻撃を受けた時、ショウの体に痛みが走った。それは、ジンオウガがイビルジョーの攻撃を受けた箇所と、同じ場所からだった。
「(これは、ジンオウガの痛み!)」
「ジェノサイドブラスター!!」
「グギャアアアオオォッ!!」
「クロスハイボルト!!」
「ウオオオオオオンッ!!」
両者が距離を取ると、すかさず極みイビルジョーが龍属性ブレスをまっすぐ放てば、ジンオウガもクロスハイボルトで真っ向から対抗し、両者の間で激しい爆発が起こった。
「くっ……まさか、極み個体か……!?だが、その姿は見たことない!」
「もっとだ……もっと、もっと強く!らいそうしでん!!」
「ワオオオォンッ!!」
「だいちのちからだ!」
「ギャオオオォンッ!!」
極みイビルジョーのだいちのちからに対し、ジンオウガは素早い動きであっという間に距離を詰めると雷葬死電を叩き込んだ。空中で態勢を立て直したジンオウガにすかさずショウの指示が飛ぶ。
「そこから、ごうらいちょうだん!!」
「ワオオォンッ!!」
「グギャウッ!?」
「くっそおぉっ!ドラゴンダイブだ!!」
「……ッ!ギャオオオウッ!!」
雷葬死電のモーションから素早く別の技である轟雷跳弾に切り替え、背中から極みイビルジョーにダイブした。直撃をもらった極みイビルジョーだが、すぐさまドラゴンダイブを発動する。技の発動を察知したジンオウガは素早く極みイビルジョーから離れ、技に備えて構えを取った。
「こっちも迎え撃つ!ボルテッカーッ!!」
「ワウッ!ワオオオオオォォンッ」
ショウの、地面に手を付くような動作に合わせてジンオウガも動き、ボルテッカーで突撃し極みイビルジョーを迎え撃った。ドラゴンダイブとボルテッカーがぶつかり合い、激しく火花を散らした。
「ジンオウガッ!もっと、もっとよ!!私たちはどこまでも強くなるッ!!」
「ウオオオオオンッ!!」
「……ッ!?グギャアアッ!!」
「なんだと……!?」
技と技のぶつかり合いは、大爆発という現象を起こした。余裕を持って煙から飛び出したジンオウガに対し、極みイビルジョーは受身を取れずに地面を転がった。
「行くよっ、ジンオウガァッ!!」
「ワオォンッ!!」
「奥義っ!装填っ!!」
「ウオオオオォォォンッ!!」
ショウの言葉を合図に、ジンオウガが最大限まで充電を始めた。電力を限界まで溜めると、ショウの動きに合わせて両前足を引き、駆け出す構えを取った。
「いっけええええええっ!!」
「ウォンッ!!」
「……ッ!!イビルジョー!ギガインパクトだぁ!!」
「ギャオオオオオオッ!!」
ジンオウガが一気に駆け出し、数秒と立たずに最高速に達した。極みイビルジョーも、ギガインパクトでジンオウガを迎え撃つ。
「
「ウワオオオォォンッ!!」
ショウが両腕を前に突き出すと、ジンオウガも両前足を前に突き出し跳躍した。そのまままっすぐ、両前足の爪に集められた電気が巨大な刃を生成した。さらに刃はジンオウガの揃えられた前足を中心に合体して巨大な矢尻の形状を取り、ジンオウガはそのままの勢いで突撃した。
交差は一瞬……。
「……グギャオオオオオンッ!?」
「イビルジョーっ!?」
そして、決着も一瞬だった。数秒の硬直後、極みイビルジョーを激しい雷電が襲い、大爆発を起こした。その間、ジンオウガはショウの下まで戻り、イビルジョーの様子を警戒する。
「……グ、ギャオ~……」
煙が晴れた先では、目を回して気絶する極みイビルジョーの姿があった。
「……なん……だと……?」
「……ぁ、はぁ……はぁ……!か……勝った……!!」
「……だな。イビルジョーは戦闘不能……お前の勝ちだ、ショウ」
「は……はは……!やっ、と……勝て……」
「ワウンッ!?……ワ、ウ……!」
極みイビルジョーとのバトルに勝ったショウだったが、消耗は激しかったのかそのまま気絶してしまった。ジンオウガも異変に気づいて近寄るが、姿が戻ると同時にジンオウガもまた気を失ったのか倒れてしまった。
「……グルルルル……!」
「よせ、イビルジョー。……このバトル、俺たちの負けだ。それでいい」
「……ギャウ」
勝利しながらも倒れたショウたちにプライドが傷ついたと感じたのか、イビルジョーが攻勢の構えを取るがクロノに制された。そのことから、渋々といった様子で引き下がっていた。
「……まったく。大した人間だよ、お前は。……次は負けねぇぞ」
それから、クロノは空を見上げると虚空に向けて語りかけた。
「おい、そこで見てるんだろう……アカイ、否……バルカン」
「……やれやれ、気づいていたか」
近くの岩場から姿を見せたのはアカイ……もとい、ミラバルカン。彼はすぐにショウとジンオウガの状態を確認すると、クロノ……ミラボレアスの方へと振り返った。
「意外だったな」
「なにが」
「お前なら、ここぞとばかりにショウの息の根を止めようとすると思ったのだが?」
「……そんなことしねぇ。これ以上見損なうんじゃねぇよ」
「(随分と成長したものだ……この短期間で何があったやら)」
ミラバルカンは事実、ミラボレアスの急速な精神面での成長に驚いていた。どこの誰によるものかは定かではないが、頭を垂れて礼を述べたい気分になったのは久々だった。
「では、ショウとジンオウガは連れて帰らせてもらうぞ」
「……待てよ、俺様も行くぞ」
「……どういう心算だ?」
「別にどうということはない。……ただな」
クロノはニッ、と口角を上げる。そこには以前のような底意地の悪さは欠片もなく、まるで「しょうがねぇな」と言いたげな雰囲気だった。
「ショウとソイツに、
「……勘弁してくれ……」
またミラボレアスがいらんことをするのでは、と嫌な予感が脳裏をよぎったミラバルカンは頭痛がする思いだった。
様々な思いが絡む中、一行はメゼポルタへの帰路に着いた。
VSイビルジョー、無事に勝利!!最後に出てきたジンオウガは……皆さんご存知、アニポケオリジナルの、アレです。詳細の説明は、本編中に明らかになったタイミングで!
最後にアンケートを投下します。ついでにシングル63ルールで誰を選出するか、皆さんの意見も聞いてみたいですね。
――ショウとクロノのバトル中、同時刻――
「ソウヤ・ニシノ」
「おや、君は……」
「シズカ・ミズハシ……いえ、水橋静香」
「え?」
「西野颯也、トラック運転手、飲酒運転でファミリーレストランに突っ込み死亡、享年56歳……」
「……まさか、君は……!?」
「ようやく出会えた……兄さんの仇……!!」