それは、覚醒を意味する言葉。
その目覚めは、誰のものか……。
前世でお母さんを辱めた大罪人ことユージを、ゴウカザルによる渾身のラッシュでノックアウトさせてから迎えた朝。ボコボコにされた上に拘束されているユージの姿を見て、ツバサさんは大層驚いた様子だった。……逆にエナさんとナビルーは「とうとうやらかしたか」とばかりに呆れた様子でため息をついている。
一応、名目は私へのセクハラ行為に対する制裁、ということにしている。……ただソウヤさん曰く、ユージは亜大陸の方でもセクハラをはじめとする迷惑行為が目立っていたらしい。……ただ、問題を起こす以上に成果を出すので、ユージを逮捕することによる戦力低下の損失が相当なものだったらしい……それで、ユージを超える逸材がある程度発掘されるまでは事実上黙認されていたようだ。
……残念だがここは亜大陸ではないので、亜大陸のルールは通じないらしい。そうでなくとも元々目をつけられていたのだから、こちらで起こした問題はこちらで処理して構わない、とは亜大陸のハンターズギルドである『ギルデカラン』からの言伝である。
「……それにしても、ソウヤさんってギルドの事情に明るいんですね」
「あれ、言ってなかったか……。自己紹介の時、"行商人の真似事をしてる"って言ったのは覚えてるかい?」
「はい」
「実は、あれは言葉通りの意味でね。行商人ソウヤ・ニシノは仮の姿で、本当の僕は『ギルドナイト』と呼ばれる特殊部隊の一員なのさ」
「へえ~。……え、へぇ!?」
私は思わず声を上げてしまった。ギルドナイト……その名前は、シズカさんからある程度は耳にしているからだ。
ギルドナイトとは表向きはギルド専属のハンター……しかしその実態は対ハンター用ハンターという、いわゆる暗部のような役割を担っている組織だからだ。ハンターとしての実力は言わずもがな、対人戦に特化した彼らは密猟者やモンスターを殺しすぎるハンターを秘密裏に抹殺することが仕事らしい。私たちの世界で例えると、ポケモンハンターを殺すポケモントレーナー……といった感じか。
「…………」
「……あれ?信じてない?」
「いや、だって、ソウヤさんってもう大分中年……」
「まぁ、若かりし頃はブイブイ言わせてたんだけどね……歳を取ってお腹が出てきたから、ハンターは引退したよ。ただ、僕は前世で営業マンを勤めててね、その関係で人を見る洞察力や観察力はずば抜けてたんだ。……まぁ、だからハンターは引退したのにギルドナイトは辞めさせてくれなくてね……こうして、ユージくんのような犯罪者予備軍を捜索・監視の役割を仰せつかっているのさ」
いやあ、参った参った。なんて言って笑うソウヤさん……いや、『人は見かけによらぬもの』という言葉の意味がめちゃくちゃわかる。ぽっちゃりな中年がギルドナイトとか誰もわからんて。
余談だが、シズカさんもギルドナイトの勧誘を受けたことがあるらしい。しかし「対人戦はNG」と断ったんだとか。
「諸君、おはよう」
あ、アカイさんが来た。私はソウヤさんに断りを入れてから、先輩たちが集まっているテーブルに戻っていった。
これからこの宿の食堂で行われるのは、今後の予定についての話し合いだ。
「さて、早朝から集まってもらい申し訳ない。だが、ことは急を要する故、皆に集まってもらった次第だ。
昨夜話を聞いていた者は理解しているだろうが……ショウの呪いを解くための滅龍石が、煌黒龍アルバトリオンによって強奪された。やつの狙いは、どうやらショウの力を試すことらしい。ショウをおびき寄せるための布石として、滅龍石を強奪したのだ。
よって、我々はすぐにでもアルバトリオンの根城である『神域』へと向かわなければならない。……諸々、問題が生じているようなので一先ずはそちらを片付けよう」
アカイさんがそう言うと、ツバサさんが立ち上がって私の方へ振り向き、物凄い勢いで頭を下げた。
「ショウさん!状況はすべてテルさんとソウヤさんから聞きました……こちら側の人間があなた方に迷惑をかけてしまい、申し訳ありませんでした!!」
「頭を上げてください、ツバサさん。むしろいい機会だったんです。自分の愚かしさを理解して、しっかりと反省してもらえれば十分です」
「ショウさん……!ありがとうございます!!」
まぁ、私のポケモンたちは不完全燃焼みたいだったけど。特にジンオウガ。
「ライダー諸君は馬車で来たのだったな……ならば、その犯罪者をドンドルマへ預けるついでに、飛行船で神域へ向かおう。シロ、リオレイアに牽引を任せても大丈夫か?」
「もちろん、リオレイアには私から相談しておくね」
「頼む。……それで、クロノ。お前はどうする?」
「どうもない、俺様は帰る」
「さよけ」
言うが早いか、クロノは踵を返して食堂の出口へ歩いて行った。
「クロノ!」
「……頑張れよ、ショウ。次に会う時は、俺様のとっておきのモンスターたちで相手してやるぜ」
「……こっちだって、今よりももっと強くなってやるんだから」
「ハハッ、その前にさっさと呪いを解いちまえよ」
「言われずとも!」
振り返ったクロノはニッ、と笑みを見せると、そのまま食堂から出て行った。……最初に会った時よりも、随分と丸くなったなぁ。
「……ショウ。クロノから聞いたが、ミラボレアスはどうやら君を直接潰すことにしたらしい。クロノとバトルするとすれば、おそらく次で最後になるだろう」
「はい」
「呪いの発作もあるだろうが、すくなくともミラボレアスが呪いに干渉してくることはなくなった……つまり、我々の敵はアルバトリオンと、君の残り時間のみとなったわけだ。慌てず、焦らず……しかし、迅速にすべてを終わらせよう」
「はいっ!」
その後は、色々と確認作業だったり計画立案だったりとやることがある。特に、私が気絶していた三日間の間、リオレウスの面倒を見てくれていたツバサさん達に色々と話を聞かないと!
「ツバサさん!」
「ショウさん!……ひょっとして、リオレウスのことですか?」
「はい。私が眠ってた三日間、リオレウスのお世話をしてくださったそうで……」
「君のリオレウス、本当にすごいね!技巧種っていう新種なんだっけ?ボク、初めて戦ったんだけど本当に強いね!リオレウスが炎だけじゃなくていろんな属性を使って攻撃してくるなんて驚いたよ!」
「貴女たちの故郷、ヒスイの影響を受けたモンスターたち……モンスターが持つ本来の属性だけじゃなく、苦手な属性まで"技"として扱えるなんて、確かに驚いたわ」
「リオレウスは雷属性が苦手なのに"かみなりのキバ"って雷属性の技が使えるって聞いたときは信じられなかったぞ!」
本来なら私がやるべきことなのに、ツバサさんたちは私の事情を汲んでリオレウスの特訓を代わりに実施してくれたのだ。
「リオレウスは……どうでした……?」
「うーん……戦ってない時は力を抑えるのに必死なんだけど、いざ戦闘が始まると、時折こっちの制御を離れて暴走しそうになったんだ。普段から力を抑えていた分を、爆発させるみたいに。
けど、力を使いたくて使う……って感じには思えないんだよな。なんというか、"使わなきゃいけない"、みたいな……うーん、説明が難しいな……」
「……恐らくだけど、リオレウスは自身の暴走の可能性を自覚しているんじゃないかしら?」
「え?そんなこと、わかるのか?」
エナさんの意見に、ナビルーが首を傾げる。私も揃って首を傾げた。
「あの子は、『今のままでは自分は暴走してしまう』ということを自覚しているのよ。だから、普段は暴走しないように無理してでも理性で力で抑えているの。……けど、戦闘になると力を抑える必要がないから、理性で抑えていた力が本能によって解き放たれる……だから、暴走しそうになると思う」
「「……?」」
「……要するに、トイレを我慢するのと同じ」
「「なるほどー!!」」
ツバサさんとナビルーが揃って手を叩いた。……いや、今の例えで理解できたのか。ちょっと可愛いところもあるんですね。
「戦闘の方は難しいですか?」
「いや、戦うことはできるんだけど……まぁ、時間制限付きになっちまうな」
「やっぱり暴走……ですか」
「あ、でも!この三日で随分と長く戦えるようになったんだぜ!最初の一日なんて、3分戦えたら長いほうだったんだぞ。それが今なら2時間も戦えるようになったんだ!リオレウス、すっげぇ頑張ってたんだぜ!」
「そうなんですか!リオレウス……!」
ナビルーが胸を張って自慢げに教えてくれた。そうか……リオレウス、頑張ったんだね。すると今度は、顎に手を当てていたツバサさんが話し始めた。
「……実力の方に関してはだいぶ強くなれたと思う。理性を失わずに戦える時間が伸びたこともそうだけど、元々の強さもかなりのものだったんじゃないかな。……そうなると、残る問題は一つ」
「ええ……ショウさんと、リオレウスの絆ね」
「私と、リオレウスの……」
リオレウスとの絆……自信はあるかと聞かれれば、胸を張って「ある」と言えるくらいには強い絆で結ばれている自負がある。そうでなければ、メガシンカだって出来なかったはずだから。リオレウスが【黒炎王】に進化してくれたのも、私とリオレウスの絆が成せた業……そう信じたい。
「大丈夫だよ、ショウさん。リオレウスはショウさんの事を必要としているし、すごく信頼しているのがよくわかる。見ず知らずのボクらのことだって信じてくれたのも、全部ショウさんを通していたからなんだ。信頼するパートナーが信じた人だから、信じる……君のリオレウスからは、そんな想いが伝わってきたよ」
リオレウスは、それはもうたくさんのモンスターと戦ったらしい。甲虫種、甲殻種、牙獣種、鳥竜種、飛竜種、海竜種、獣竜種、牙竜種、両生種、鋏角種、蛇竜種……古龍種を除く大型モンスターが確認されているほとんどの種族と戦ったそうだ。
……ただ、およそ予想通りというか。闘技場の使用許可をもらうためにギルドと交渉した際に、龍歴院がネネさんを介して「リオレウス技巧種の戦闘記録を取りたい」と言い出したそうだ。私のリオレウスは技巧種というだけでなく、「破滅の翼」を持つリオレウス……即ち、この世界のこちら側の大陸の人達にとってはレア中のレアで、龍歴院としても最重要調査対象……とのこと。それだけは龍歴院が頑として譲らなかったので、仕方なくネネさんを含めた龍歴院の調査員立会いのもと、リオレウスの訓練は実施されたそうだ。
「まぁ、あのネネっていうハンターさんが目を光らせてくれたおかげで、見世物にはならずに済んでよかったよ。なんか、一部のハンターさんがリオレウスの訓練を見たがってたからな」
ネネさんが……それはお礼を言わないといけないね。私は一度ツバサさん達と別れて、ネネさんを探すことにした。ツバサさんから、龍歴院は大衆酒場で情報精査をしていると聞いたので、早速そちらへ向かってみた。
丸テーブルに白衣を着た三人と、レウスXRシリーズ(シズカさんから聞いた。リオレウスの防具らしい)を身に纏う女性ハンター……あれだ。
「ネネさん」
「あら、ショウさん?」
振り返ったネネさんは、私を見て一瞬だけ悲痛な表情になるが、すぐに平静を装った。……目線的に、私の包帯を見てたかな?まぁ、私もここまで呪いが目立つとは思わなかったので、それも仕方ないか。
「昨夜は災難でしたわね。よもや、ナンパ男に捕まるとは」
「まったくです……でも、手を出す相手を間違えたんですよ。自業自得です」
「フフッ……あなたも言うではありませんか」
私の返しに楽しげな風に笑みを浮かべるネネさん。……シズカさんが関わらなかったら、普通にマトモでいい人なんだけどなぁ……。
「なにか悩み事ですか?なにやら顔を突き合わせて、頭を悩ませているように見えましたが……」
「あぁ……せっかくですし、ショウさんからも意見を聞きましょうか」
「なんなりと」
「ズバリ、タイプ相性とは何か、ですよ!」
ネネさんの対面に座っている男性が、ガバッ、と顔を上げると同時にそう言った。……へ?タイプ相性?なんでそんなこと……あっ、そうか。
元々こちら側には属性……私たちで言うタイプは火、水、雷、氷、龍の五つしかないんだったっけ。こっち側ではさっきの五つの他に後13種類のタイプがあるから、こっち側の人にとっては複雑すぎるのか……。
「ショウさんはご存知でしょうけど、こちら側には火、水、雷、氷、龍の五つしか属性が存在しません。……ですが、ヒスイ地方で影響を受けたり時空の裂け目が開いてからは、これら五つの属性による相性に囚われない特殊な個体が出現するようになりましたわ。……要するに、技巧種のことですわ」
「ティガレックスを例に挙げますと、本来ティガレックスは雷属性に弱いのですが、ティガレックス技巧種に対してだとあまり効果がなかったんです。効くには効くが、原種と比べると効きが悪い……といったところでしょうか。逆に効くにくいはずの龍属性が、原種に比べて効果がありました」
「ショウさん以外のトレーナーの皆様にお話をうかがったところ、『タイプ相性』なるものが存在すると……さらにそのタイプ相性には、先の五属性の他に後13種類もの属性が存在するとか……そこで、改めて技巧種モンスターの弱点について早見表を作ろうとしているのですが……何分、複雑で……」
「タイプ相性には苦手な属性と得意な属性があり、双方の関係次第では攻撃時にダメージ量が変動する、とここまでは良かったんですけど……この『タイプ』と呼ばれる属性を二つも持つモンスターがいると聞いて余計に混乱しているところなんです……」
「「「はあ……」」」
「もう!皆さん、なんなんですかその体たらくは!龍歴院が誇る研究員が、たかだか18属性171通りの属性を前に根を上げるなど、らしくありませんわ!しっかりなさいまし!!」
「……え、計算したんですか!?タイプを全部!?」
「無論です。中には属性を一つしか持たないモンスターもいると聞いたので、すぐにその数を計算しましたわ。単属性は18種類、複合属性は153通り、合計で171通りです」
ネネさん……貴女、頭良かったんですね!……絶対に言わないでおこう。
それにしても、単タイプ含めて171通りかぁ。複合タイプだけでも153通り……ポケモンって何種類いたっけ?もしかしたら、私の知らないところで153通りすべての複合タイプが見つかっているかもしれない。
「無理ですよぉ!大体なんですか、"ノーマル"とか"フェアリー"とかって!"ゴースト"って普通に幽霊じゃないですか!"あく"ってどんな定義のもとでの"あく"なんですか!"エスパー"に至っては理解不能です!超能力とかぶっ飛びすぎですよ技巧種モンスター!!」
「"くさ"とか"どく"とか"むし"とか"ひこう"とか"はがね"とか、名前通りの属性はすぐにわかるんだけどねぇ……」
「あと、"いわ"とか"じめん"もわかりやすいんだが……"かくとう"って……」
発破を掛けるネネさんだが、研究員のひとりである女性研究員が思わず弱音を吐いた。それに続くように、男性研究員たちも思わずポロリと愚痴が溢れる。モンスターの研究に情熱を注ぐ彼らでも、技巧種に関してはお手上げに近いようだ。
ちなみにティガレックス技巧種はドラゴン・かくとうの複合タイプで、みずとドラゴンに強く、でんきに弱く、ほのおとこおりが効かない体質をしている。なので、ティガレックス技巧種はフェアリーに滅法弱く、次点でひこうとエスパーに弱い。みず、くさ、むし、いわ、あくに強く、先ほど言ったほのおとこおりは効果がない。
私がそのことを彼らに説明すると、ネネさんを除く研究員さんが揃って目を輝かせた。
「ショウさん……龍歴院に来ませんか?主に技巧種専門の研究員として!」
「いえ、あの……私、トレーナーなので……」
「そこをなんとか助けてください!!」
「ああ!すがりつかないで!?」
やばい、このままだと龍歴院に引きずり込まれる!どうやって説明すれば……あ、そうだ!
お母さんからの受け売りだけど、タイプ相性を分かりやすく説明する方法がある!!
「あ、あの!し、自然現象!自然の法則に例えたらわかりやすいかと!!」
「自然の、法則……!?……その話、kwsk」
「えぇっと……私の地元では、冒険に出る子供たちにそれぞれほのお、みず、くさの属性を持つ三匹のモンスターのうち一匹を選んで譲ってもらう風習があるんです。これら三匹は互いに強弱の関係を持つ……いわば、三竦みの関係にあります」
「ほう」
私はお母さんから聞いた話をそっくりそのまま説明した。ほのおタイプは草を燃やしてしまうからくさタイプに強く、くさタイプは水を吸い取ってしまうから水タイプに強く、みずタイプは炎を消してしまうからほのおタイプに強い……つまり、誰もが知っている当たり前の自然法則に則って考えれば簡単にタイプ相性を覚えられる、というわけだ。
そうだな……ヒスイで捕まえた巨大ポケモン……こちらでは"四天王"と呼ばれているディノバルドで説明してみよう。……うおおぉ、思い出せ私の記憶!甦れ母との会話!!
「例えば、ディノバルドはほのおとはがねの複合属性です。ほのおがみずといわとじめんに弱いのは、水や土、砂利をかければ消化できてしまうからです。逆にくさやむしは炎で燃えてしまい、氷は溶けます。はがねも高温により変形するので、ほのおはくさとむしとこおりとはがねに強いです。ほのお同士は言わずもがな、ですね。
次にはがね。はがねは硬度の高さから同じく硬いものでもいわやこおりに強いです。フェアリー……については、伝承や創作物等では妖精は鉄製品が苦手という描写が見られます。フェアリー属性のタイプ相性は、おそらくそこから来ているのでしょう。あとはノーマル、くさ、ひこう、むし、ドラゴン、はがね……鉱物に対して有効打を持たない属性の攻撃も、はがねは耐性があります。そして、はがねはどく属性を無効化します。これはどく属性が鉄を溶かす酸性ではなく、動植物が持つ毒物と同じだからだと思われます。弱点ですが、ほのおの時に説明したとおり、金属は熱で変形するのでほのおに弱いです。あと、強い衝撃を加えると変形するのでそういった技を扱うかくとう属性にも弱いです。なんだったっけ……あ、それと地中の圧力で変成するのでじめんにも弱い、です。
……ええっと、それでは先ほどの説明を踏まえて、ディノバルドのタイプ相性を見ていきます。ほのおとはがね、二つのタイプ相性を比較してみますとほのおはいわに弱いですが、はがねがいわに強いので苦手を補えていますね。あと、二属性共こおりに強いのも共通していますね。反面、ほのおもはがねもじめんに弱いので、じめん属性には滅法弱いですね。加えてディノバルドはみずとこおりに弱く、でんきとドラゴンに強くほのおは一切効きません。……えっと、紙に書いたほうが早いですかね?」
「お願いしますわ」
頑張った!私、結構説明頑張ったよ!!お母さん!アカイさん!褒めて!!
ネネさんから紙とペンを受け取り、ディノバルドのタイプ相性を書き出す。……こうして見ると、ディノバルド……というより、ほのお・はがねの複合って耐性範囲が広いんだな……だからお母さんのヒードランはあんなに強かったのか。
「えーっと……?ひい、ふう、みい……うわっ、耐性属性が10個に無効2個!?なのに弱点は3個しかない上に原種が苦手な氷属性を半減にするって……」
「加えて、技巧種は繰り出す技にも多くの属性を持っている……これは、技巧種を発見した場合は慎重に狩猟に望まなければなりませんね」
「それに、技巧種は絶対数が少ないのでなるべく捕獲してもらわないと……まぁ、今後とも技巧種が増えるとも限らないのですが……」
「増えますわ。……すくなくとも、シュレイド城のアレが開いているうちは」
「ネネさん……」
ネネさんの言うとおりかも知れない……。時空の裂け目によってこちら側とあちら側が繋がってからというもの、技巧種モンスターは増えるばかり……間違いなく、影響を受けているとしか思えない。
「ご協力、ありがとうございましたわ。後はアタシ達にお任せを」
「「「え"っ!?」」」
「……えっと、大丈夫ですか?」
「元よりこれは我々龍歴院の勤め。アタシも、名目上の業務はしっかりとこなさせていただきます」
「えーっと……」
いや、そうは言っても他の研究員さんは真っ青なんですが……。
「「「……!!」」」←行かないで!!という訴えの目
「……頑張ってください」
「「「神は死んだ……!」」」
ごめんなさい、研究員の皆さん……けど、私にはまだやるべきことがあるので……。というより、シンプルにこの場から逃げたい。
「ほら、弱音を吐かない!!アカイさんから頂いたモンスターの属性の情報と、先ほどショウさんから伺ったタイプ相性の理屈も併せて、もう一度整理しますわよ!!」
「「「鬼!悪魔!!ネネ!!」」」
「鬼でも悪魔でも邪龍でも結構っ!仕事は仕事、キリキリ働きますわよ!!」
「「「うわ~~~~!!」」」
私は黙って背を向けて歩き出した。背後に研究員さんたちの断末魔を聞きながら……気持ち早足で大衆酒場から出て行った。
大衆酒場から出た私は、その足でメゼポルタの外へ出た。それからボールを取り出し、中にいるリオレウスを繰り出した。
「グオン……?」
「リオレウス、ありがとう」
「????」
リオレウスの頭に"?"が浮かんで見える。まぁ、なんの脈絡もなく感謝されたら誰だって首をかしげるよね。
「私が気を失ってる間、ツバサさんたちと一緒に強くなるために鍛えてたんだよね?私を信じて待ち続けて、その間もかかさず強くなってくれて……ありがとう」
「……グオグオ♪」
体を横たえていたリオレウスは立ち上がると、そのまま私に頬ずりをしてきた。私もリオレウスの頬を撫でてあげる。
「たとえ空を飛べなくったって、リオレウスはリオレウスだよ……」
「グオ……」
「……なんて、そんな甘ったれた言葉は欲しくないよね?」
「グオン!」
「だから、あえて言うね。……私は、絶対にリオレウスは飛べるようになると信じている。どうか、私の期待に応えて欲しい、信頼に応えて欲しい。……いいね?」
「グオォン!!」
「任せろ!」と力強く頷くリオレウス……そうだよね。今のリオレウスに必要な……というより、欲しがっている言葉は慰めでなく激励だ。だから、厳しいと言われようと私はリオレウスに発破を掛けた。プレッシャーは百も承知……けど、リオレウスはその言葉にむしろ嬉しそうだ。
きちんと伝えたいことは伝えられたので、リオレウスをボールに戻してメゼポルタに戻る。すると、ちょうど門のところで待っていたのかアカイさんが立っていた。
「おかえり、ショウ」
「ただいまです、アカイさん」
「少しいいかな?今後の予定について方針が定まったので、報告させてもらいたい」
「わかりました」
私とアカイさんは歩きながら話を続けた。
アルバトリオンの生息地である神域には、本日正午から出発して目指すそうだ。現在時刻は9時前後……随分と急だ。……まぁ、その理由はユージにあるのだが。奴をこちら側の大陸の法で裁くため、一度ドンドルマを経由する予定らしい。メゼポルタからドンドルマへ半日、ユージを移送した後は神域まで三日かかるらしい。到着予想時刻が時刻なので、ハンターはともかくトレーナーの体調を考慮して神域にあるベースキャンプで一夜を明かす。翌日にアルバトリオンを討伐し滅龍石を確保したら、すかさずドンドルマ・メゼポルタへとんぼ返り……時間的にギリギリだが、かろうじて間に合うそうだ。
「モンスターに頼んでもいいのだが……あの距離を休まず飛び続けることが出来るのは……」
「……リオレウス、ですね」
「ああ。普通に飛ぶなら私の蒼火竜も可能だが、君を気遣いつつ滅龍石の輸送を行うというのはかなりの神経を使う。そのような多芸ができるとすれば、君のリオレウスくらいだろう」
「大丈夫ですよ、アカイさん。……リオレウスは飛びます。絶対の、絶対に」
「……フッ、そうか。信じているのだな……君のリオレウスを」
「もちろん」
「それは頼もしい。私も、期待するとしよう」
アカイさんも小さく微笑み、私も自信たっぷりな笑みで返した。大丈夫、私のリオレウスだもの。絶対に飛べる……私はリオレウスを信じている。
約束の時間である正午になり、飛行船が飛び立った。……前々からこの飛行船、やたらでかいなとは思っていたけど……まさかオトモンも一緒に乗れるとは思わなかったな。それまでは、リオレウスやリオレイアが引っ張っても耐えられるほどの耐久性を持った船、としか思ってなかったから、これは意外だった。
「……ところで、ツバサさん。ユージのオトモンのモノブロスはどうするんですか?」
「あぁ、それなら大丈夫。ソウヤさんが責任を持って預かるってさ。ソウヤさんは乗り物……というより、操縦恐怖症だからライダーにはなれないけど、モンスターを育てる技量は一級品さ!だから安心していいよ」
「そっか……だ、そうですよ?」
「うぐぐ……」
私は後ろ手に振り返り、ちょっと意識して嫌味っぽく言ってみる。すぐ背後にはロープで縛られたユージが膝をついている。高所を行くので体調を考慮して、インナーの上に私服を着せているがそれだけだ。
「ユージさん……本当に、なんてことを……」
「いつかはやらかすと思ってたけど、まさか本当にやらかしちまうなんてな!」
「……最低」
「クッソ……!」
ツバサさんは悲しそうに、ナビルーは怒ったようにそれぞれ言葉をかけ、エナさんに至ってはまるで養豚場のブタでもみるかのように冷たい目でユージを見下している。あれはもはや軽蔑を通り越して無関心まである……。
「日頃の行いが祟ったんだ、しっかりと悔いるといい」
「オッサン、テメェ……よくも全部バラしやがったな!!」
「おや、僕は特に口止めされていなかったからね。それに、君は随分と自慢げに話していたじゃないか。せめて関係者であるショウさんには知っておいてもらおうと思ってね」
「このクソ野郎が!!」
「君に言われたくはないな……!」
ユージはギャンギャンと吠えるばかりで、まるで反省の様子がない。……拳だけじゃなくて、剣による制裁も必要だったかな。
「とにかく」
未だにうるさいユージを黙らせるべく、私はユージの真正面に立ち足を踏み鳴らす。足を振り上げれば蹴りとなり、持ち上げ下ろせば膝を踏み砕ける位置だ。それに気づいているのか、ユージは身じろぎ一つしなくなった。
「あなたは悪いことをした。元々悪いことを積み重ねていたところへ来て、もはや看過できなくなった。あちらの大陸ではあなたは重宝されていたのでしょうけど、こちらの大陸ではそうはいかない。
亜大陸にあるギルドも、あなたの処分はこちらの大陸の法律に則って構わないときた。それが意味するところを、わからないあなたじゃないと思うけど」
「クッ……」
「大人しくしていなさい。これ以上無駄に騒いで、余計に罪を重くする気?そんな馬鹿な真似をするほど、人間として落ちぶれちゃいないでしょ」
「このクソアマァ……!!」
……はぁ、本当に反省の色なし、ね。自分の行いに正義や善良さがあるとでも思ってるのかな。まぁ、そんなことはどうでもいいか。
「とにかく時間はあるんだから、悔い改めて生きることね。この先のあなたの生涯がどうなろうが、知ったことではないけれど」
いい加減、コイツと話をするのも嫌になってきたな……私はテル先輩と合流するために踵を返して歩き――
「……調子のんなよテメェッ!!」
「!?」
……!?いきなり羽交い締めに!!く、首が絞まる……!
「ユージさん!?」
「おいっ!何してんだお前!!」
「あなたは……!!」
「全員、動くなぁ!!」
ユージが私の首にナイフを突きつけてきた!形状的にバタフライナイフ……まさか、私服に着替えた時に仕込んだのか!?
「ショウ!?」
「おいあんた!何を考えてやがる!!」
「ショウさんを離して!!」
「それ以上罪を犯せば、本気で身を滅ぼしますよ」
「うるせぇ!動くなっつってんだろ!!」
くっ……!まさか、こんなことになるなんて……!!油断していたわけじゃないけど、想定できていなかった……!!ユージは私を拘束したまま一歩ずつ下がり、船の縁まで近づいていく。
「おかしな真似をしたら、こいつごと飛び降りてやる……!」
「ユージさん!どうして!?」
「どうしてだぁ?俺はこんなところで終わる男じゃねぇからだよ!!あのクソ女のせいでロクな目に遭わなかったっつーのに、運良く降って沸いた人生二週目まで台無しにされてたまるか!!」
「自業自得だろう……!うっ……!!」
「黙れテメェ!あのクソ女に似て、正論だけは一丁前に小煩ぇガキが!!」
「……!お母さんを侮辱するな!!」
こいつ……!まだお母さんを貶める気か!!ふざけんな……自分で蒔いた種だろうに!!
「このやろう!ショウを離せぇー!!」
「あ、おい!テル!!」
……!テル先輩が突っ込んできた!?
「……っ!テメェ、ふざけんじゃねぇ!!」
「ぐあっ!?」
ユージがナイフを振って、先輩を斬った!先輩はかろうじて両腕をクロスして直撃は免れたけど、右腕に大きな切り傷が……!
「お、まえええぇっ!ふざけるなぁっ!!」
「ぐあっ!?」
怒り心頭に達した私は、限界まで頭を下げたあと思い切り振り上げて奴の顎に頭突きをしてやった!フラフラと後退するユージだが、私を離す気配は一向にない……!
フラッ……。
「あ――」
「……!」
欄干に体が引っかかる……が、ユージはそのまま船から落下した。……私ごと抱えて。
「ショ、ショウーーーーっ!!」
テル先輩が船から身を乗り出している姿が見える……私は物凄い勢いで地上へと真っ逆さまだ。
「チクショーがああぁぁっ!!なんでてめぇら親子揃って俺の人生めちゃくちゃにしやがるんだあああぁっ!?」
「自業自得よ……!お前はこのまま、私とともに死ね……!!」
「このクソガキィーッ!!」
……ごめんなさい、お母さん、お父さん……。
――ポン。
「グオオオオオンッ!!」
「……っ!リオレウス!?」
私が思わず生きることを諦めかけた、その時だ。ボールが開き、中からリオレウスが飛び出してきた!?
「ダメ!戻ってリオレウス!!あなたの翼はまだ……!!」
「グオオオオン!グオオオオオアアアアアッ!!」
リオレウスは「絶対に諦めない!」とばかりに首を振り、必死に私を追いかける。けど、翼は閉じられたままで、開く気配がない……!
「リオレウス……」
私は、私は……!
「リオレウス……!」
私は、あなたを……!!
「助けて!リオレウス!!」
あなたを信じるっ!!
「グオオオオオッ!!」
推奨BGM
【風の絆】~モンスターハンターストーリーズ/MHST2~
リオレウスが大きく目を見開いてさらに大きく咆吼した、その時だ!リオレウスの体がの中心部が、虹色の輝きを放っている……まさか、あれって、メガストーン!?消化されることなく残っているんだ!それと同時に、私のキーストーンも輝きを増し始めた……!
「こ、これって……!」
「グオオオオオオンッ!!」
リオレウスの体から、黒い瘴気が溢れ出る……けれど、それは次第に色合いが変わり始め、青くなった翼が光を放ち始めた……!!
私は大きく息を吸い、あらん限りの大声で、叫んだ!!
「飛べーっ!リオレウスーーっ!!」
「グオオオオオオッ!!」
次の瞬間、リオレウスの翼から光が弾け、閉じられていた翼が大きく広げられた!!
「リオレウス!!」
「グオンッ!」
リオレウスはたった一度の羽ばたきで私たちを追い越すと、そのまま背中で受け止めてくれた!リオレウスが一度大きく宙返りをすると、ユージが私の拘束を解いてそのまま背中から落下してしまった。
「あ、あ、うわああああっ!?」
「リオレウス!」
「グオッ」
リオレウスの背中にしがみつき難を逃れた私は、すぐにリオレウスへ指示を出す。リオレウスはすぐさま反転して急降下、ユージをその足で捕まえて確保した。私たちはそのまま急速上昇し、船を同じ高度にまで戻ってきた!
「あれは……覚醒したんだ!」
「すげーよショウ!すげーよリオレウス!」
「よかった……!!」
ツバサさん、ナビルー、エナさんが安心したように言葉を漏らしている。
「ショーウ!」
「は、はは……まったく、大したやつだぜ!」
「さすがはショウさんだよ!」
「いやはや、改めてお見逸れいたしました」
先輩たちも……!アカイさんとシロちゃんも、信じていたとばかりに頷いてくれている……!
リオレウスはそのまま船に頭をつけて私を降ろしたあと、思い切りユージをぶん投げて船に降ろした。「ぶべっ」と情けない声を出しつつ船に戻ってきたユージ……顔を上げたやつを出迎えたのは、私たちのポケモンたちだ。
「さぁて、あんた……覚悟は出来てんだろうな?」
「よくもショウさんを危険な目に合わせてくれたね……?」
「ジブン、言ったはずですよ?……本気で身を滅ぼすことになると」
「お前だけは絶対に許さないぞ……!!」
「お前は二度も母を貶めた……その報い、受けてもらう」
「あばばばばば……!」
「「「「「ぶっ潰れろぉ!!」」」」」
「ぎゃああああああああっ!?」
セキさんのリーフィア、カイさんのグレイシア、ウォロのトゲキッス、テル先輩の極みジュナイパー、そして私の極みダイケンキ……計五体のポケモンの一斉攻撃に、ユージは情けない悲鳴を上げて気絶した。大丈夫大丈夫、どこかのトレーナーはポケモンの技を受けたり高所から飛び降りたりしても平気へっちゃらだったし生きてる生きてる。
……さて、これだけは腹の底から言っておかなくちゃあならないね。
……スッキリしたぁ!!
これは、ショウ達が神域へ出発するよりも前……遺跡平原にて巨大ティガレックスと相対していた頃のこと。
――コトブキムラにて――
コトブキムラの中を、一匹のポケモンが歩いていく。そのポケモンの名は、ヒノアラシ。ポケモン博士であるラベンが、ヒスイの環境調査を目的として外部から持ち込んだポケモンの一匹。他に二匹いたが、彼らは既に調査団員に引き取られてここにはいない。
ヒノアラシはラベンの研究室を抜け出して、毎日ある場所を訪れていた。調査団員が宿舎として使っている部屋の一室、その扉を小さい体でせっせこせっせこと開けると、そのまま中に入っていた。
部屋の中には、一人の男性が寝かされている。ショウとベリオロスが、黒曜の原野で発見したフルプレートを身に纏った人間だ。彼が身につけていた防具は部屋の隅に置かれ、持っていた武器は属性研究のためギンガ団が預かっている。ヒノアラシは布団で寝ている男の上に乗ると、そのまま小さな手で男の顔をペチペチと叩き始めた。
これが毎日の習慣である。たまたま扉が開いていて、中にいる人間の姿を見てからというもの、なぜかヒノアラシはこの習慣を絶やさなかった。毎日毎日、ペチペチペチペチと頬を叩き、起きるか起きないかと様子を見る。かれこれ数ヶ月は続いたこの習慣、もはや終は見えないのではないか。
「……ヒノ」
今日も今日とて起きやせぬ。ヒノアラシは諦めたようにため息つき、その場から降りようとした。
「……ぐ、ぅ……」
男から、うめき声が聞こえた。
「ヒノ!?」
すわ、起きたか。ヒノアラシは再びペチペチと頬を叩き始めた。
「……ぬ、うぐ……。……な、んだ、ぁ……?」
男はやおら目を開き、ヒノアラシと目があった。はじめこそはぱちくりとめを丸くしていた男だったが、まるで小動物を見るような微笑ましい笑みを浮かべると、ヒノアラシを抱き上げつつ体を起こした。
「なんだぁ、お前さん?お前さんはなんていうモンスターなんだ?」
「ヒノ」
「"ひの"?……うーん、知らんなぁ。しっかしお前さん、なかなか可愛い顔をしている。メスかこりゃ」
「ヒノヒノ」コクコク
「おぉ?人間の言葉がわかるのか。お前さんは賢いなぁ、撫でてやろう」
「ヒノノ~♪」
出会って数秒でこれである。元々ヒノアラシの方に気があったのか、それとも男のヒノアラシへの扱いが上手だったのか、ヒノアラシはすっかり男に懐いているようだった。
「……お!俺の防具、無事だったか。……太刀がねぇな、どこいった?」
「ヒノノ」
「おぉ、お前さん案内してくれるのか?そりゃあいい、是非に連れて行ってくれ」
「ヒノ!」
男は傍に安置されていた防具――クシャナシリーズ――を頭以外を身に付け、外に出た。外の空気を目一杯吸い込み大きく伸びをする。
「んあー、シャバの空気がうめぇぜ。……おう、お前さん、案内頼むわ」
「ヒノ~」
ヒノアラシの後を追い、男はムラを練り歩く。……ムラ中から注目を浴びているにも関わらず、男の歩みは堂々たるもので一切迷いがない。初見であるヒノアラシに対して、既に一定の信頼を寄せていた。
赤レンガ造りの庁舎――ギンガ団本部――の前で、特徴的な帽子をかぶった白衣の男性……ラベンが、ちょうど誰かと話を終えて振り返ったところで、男と目があった。
「おぉ、ヒノアラシ!ここにいたんですね」
「ヒノノ」
「おや、お前さんはヒノアラシってーのか。うーむ、聞いたことのないモンスターの名前だ……」
「おや……?おぉ、あなたは!目が覚めたのですね!!」
「うん?」
ラベンは男に、彼の周辺で起こった出来事についてある程度の説明を試みた。男はとても理解力のある人間で、すぐに事情を飲み込めたようだ。
「ふーん、俺が、ねぇ……しっかし"ポケモン"とは聞いたことねぇモンスターだ。このヒノアラシも、初めて見る」
「ヒノ」
「ふむ……ということは、やはりあなたは時空の裂け目の向こう側の……」
「お、何か知ってそうだな?できれば教えてもらえるとありがてぇが……」
「もちろんです!ぼくに答えられることでよければ、なんでも答えましょう!」
「はっはっは、気前がいいねぇあんたは。……っと、そういえばまだ名乗ってなかったな」
「そうでした!ぼくはラベンといいます。ポケモンの研究をする、いわば博士をしております」
「へへぇ、龍歴院みたいなやつかね。……おしっ、名乗られたからには、名乗り返さねぇとな」
「俺の名前は、ヒューイ」
「ただのしがないハンターさ」
というわけで、一頭の飛竜と一人のハンターの目覚めでした。
次回は……そうですね、せっかくなのでこのハンターのヒスイ生活でも覗いてみましょうか。