先週は個人的な都合でお休みしてすみませんでした……!今ならわかる……お金稼いでいても余暇活動の時間がない人が人生に満足していない理由が!
というわけで、アルバトリオン戦、どうぞ!
ドンドルマで野暮用を済ませ、私たちは三日かけて神域へとたどり着いた。上空は雷雨と吹雪という両立すら不可能なはずの天気によって大荒れだったため、限界まで低空飛行を心がけて神域に設立された即席のベースキャンプへ降下した。
船から降りたニールさん達ハンター組は手早く荷物を広げたり焚き火を起こしたりして、小休止を挟む用意を整えてくれた。そんな中、ネネさんが青い箱を開けて中身を検めている。あれは確か、支給品ボックスだったっけ……狩猟に赴くハンターのために、回復道具とかが用意されてるんだよね。
「あら、これは……」
「どうした、ネネくん?」
「これを見てください」
そう言ってネネさんがボックスから取り出したのは……色紙?いや、よく見ると文字がたくさん書き込まれている……寄せ書きってやつか。ネネさんが寄せ書きに書かれた内容を読み上げた。
「頑張れ!」「呪いに負けるな!」「ファイトー!いっぱーつ!!」「最後まであきらめないで!」「俺のこの手が真っ赤に燃える」「これで勝つる」「
などなど……おそらく、ギルドから派遣されたハンター達が、私たちへと残してくれたのだろう。……後半、イロモノ系が増えているのは気のせいか?
「これって……」
「どうやらトレーナーのみなさん……特に、ショウさんへと宛てて書かれたもののようですわね」
「なんか途中、まったく関係なさそうな書き込みあったの気のせいか?」
「こういうのは気持ちが大事なのですわ。内容は問題じゃありません」
「そ、そう……か……?」
いや、ニールさん。そんなあっさり丸め込まれないでくださいよ、明らかにおかしかったでしょ!
「ハハッ!案外、面白おかしい事を書いてオレたちを和ませようとしたのかもな!」
「……確かに。ちょっとだけ、肩の力が抜けたかも」
「なるほど、緊張が高まった場においてこそ、ユーモアは欠かせないということですか」
なんかこっちもこっちで、妙な納得の仕方をしている。……あれ?これって私がおかしいの?私のツッコミが間違ってるの!?こうなったら、頼れるのは先輩だけ……!
「先輩……」
「……ちくわ大明神って、一体何の神様なんだ……?」
だめだこいつら早く何とかしないと……。
「みんな、来てくれ」
そんな時、アカイさんから呼び掛けがかかった。私はいの一番に反応し、すぐにアカイさんの下へ向かった。
「アカイさん!呼びましたか!」
「あぁ、呼んだが……急にどうした?」
「あの空気に耐えられなくなりました」
「……あ~……。……ゴホン!ショウ、あれを見ろ」
アカイさんから手渡された双眼鏡を構えて、示された方向へと見やる。そこには、人が通るには十分な小谷が見えた。
「あれは……?」
「ちょうど神域……その戦場となる場所に、あの小谷が見えた。ハンター達の報告書と照らし合わせた結果、アルバトリオンはあの小谷の先に滅龍石を安置していることがわかった」
「……アルバトリオンは、見えませんね」
「我々が戦場に立ち入るのを、どこかで待っているのだろう。あの場に向かえば、自ずと姿を見せるはずだ」
「なるほど……」
と、そこへちょうど同じように双眼鏡を構えたエイデンさんが近づいてきた。おそらく私と同じものを見ているのだろう、相槌を打ちながら話に加わってきた。
「なるほど、あそこに滅龍石があるんだな」
「あぁ。君とシロには、我々がアルバトリオンの気を引いている隙を突き、あの小谷に進入してもらう。滅龍石を確保できたら、ポケモンたちに運ばせてやってくれ」
「了解だ。問題はタイミングなんだが……」
「なに、すぐにでもわかるさ」
あ、ニールさん。ようやく寄せ書きから戻ってきてくれたか。
「すぐに、って……信号弾でも打つのか?アルバトリオンが察してきそうな気もするが……」
「俺が持っている隠れ身の装衣をシロちゃんに預ける。エイデンも同じ物を持ってるだろ?二人でそれを身につけて、それから小谷に向かってくれ」
「タイミングは?」
「神域がドンパチ賑やかになったらな」
「なるほど……あえて戦闘中に潜みつつ進行する、か。確かに、さしものアルバトリオンといえど、我々全員を相手にしつつ息を潜める者の探知は難しいか」
「でしたら、それで行きましょう!私も覚悟は出来ています……!」
よし、差し当たり小谷への進入方法はこれでいいだろう。あとは、戦場に足を踏み入れるのみ……!
「……フッ、気合十分のところ申し訳ないが、本来の予定を忘れたかね?ハンターならまだしも、ハンターほど強靭ではない君達トレーナーのことを考慮して、ひとまずここで一夜を明かすと言ったろう?」
「うぐっ……」
「逸るなよ、ショウ。アルバトリオンは逃げも隠れもしない。それに、覚醒した君のリオレウス単体なら、本来の予定よりも早く戻ることもできるのだ。焦りは禁物……時間が惜しい今だからこそ、尚の事だ。いいね?」
「……はい」
すぅー……はぁー……よしっ、落ち着いた。今は到着したばかりで気が昂ぶっているし、カイさんあたりは緊張もしていたようだし……。それに、現在時刻は夜……確かに一夜を明かしたほうが、途中で体調を崩すこともないだろう。
一夜明かせば、残りは三日……その三日でアルバトリオンを倒して滅龍石を取り戻し、さらにメゼポルタへ直帰する……言うは易く行うは難し、とはこのことか……。
「……あ、そうだ!俺、ショウ達がポケモンって呼んでるモンスターのこと、気になってたんスよ!ちょっと色々と教えてくれないか?」
「おぉ!気が利くなぁ、エイデン。俺もちょうど気になっていたところだ。ネネくんにも声をかけてみよう、きっと技巧種調査のヒントになるかもしれないしな」
「え、あの、ちょっと?」
エイデンさんがポケモンに対して興味を示すと、まるで示し合わせたかのようにニールさんも動き出した。なんか、計画性を感じるんですけど?
「フフッ、分かっていないな、ショウ。……君が無意識に力んでいたのを、二人はお見通しだよ。だから、君の得意分野であるポケモンの話をさせて、アイスブレイクをしようと考えたのだ」
「あっ……!」
「後で二人に礼を言っておくようにな」
「……えぇ、そうですね!」
アカイさんに指摘されてようやく気づいた……普段の私なら、他人の機敏の変化は割と気付けそうなもの……それに気づけなかったなんて、私も大概、いっぱいいっぱいだったようだ。
このあと、ポケットモンスターの話で大いに盛り上がった。特にポケモンにも【極み】や【二つ名】といった、こちら側と似た個体が確認されたことは、言うまでもなくハンターの皆から注目を集めた。特にネネさん……技巧種の技やタイプがポケモン由来と聞いて、ますますポケモンに強く興味を示したようだった。……ただ、技の物理・特殊・変化あたりでまた頭がパンクしそうになっていた。毎度、すみません……。
一夜明け、朝が来た。……しかし、神域の朝は空模様が空模様だけに朝を正しく朝と認識するのも難しい。来た当初よりもちょっと明るいかなー?程度の変化しかない。それでも規則正しく起床することができたのは、日頃の生活習慣の賜物だろう。朝起きた私は一番にネネさんが用意した即席の水置き場で洗顔し、目覚ましをする。それから、小谷を確認した崖上に立ち、遠くに見える戦場を俯瞰する。
……今日、全てが決まる。私の運命、ヒスイの運命……そして――。
「ショウ、ここにいたのか」
「先輩」
私の後ろから先輩が声をかけてきて、そのまま隣に並び立った。しばらくの間、お互いに何を話すでもなく佇む。そうして少しして、先輩から話しかけてきた。
「……いよいよ、だな」
「はい」
「絶対に勝とう、ショウ。おれもライゼクスも、全力を出して戦う……だから、ショウも一人で力んでないで、思いっきり頼っていいからな」
「もちろんです。それに……先輩にはずっと、頼りっぱなしですよ。それこそ、ヒスイにいた時からずっと……」
「ショウ……」
「私も、最後まで諦めるつもりはありません。だから、私からも言わせてください……絶対に勝ちましょう、先輩」
「……!ああ!!」
ニッ、と笑顔を見せて答えてくれる先輩……これから挑む相手がどれほどの脅威なのかわからないのに、変わらず私の身を案じてくれている……。
あぁ、まただ。胸の内から溢れてくる、先輩への「好き」の気持ち。いつかヒスイを離れ、シンオウへと帰ろうという私が抱いてはいけない気持ち。蓋をしなければならない、封印しなければならない……そう思っているのに、私の願いなどお構いなしに気持ちは溢れてきて、私の決意を簡単に飲み込もうとする。
ダメ……!ダメだとわかっているはずなのに……!
「……ショウ?」
「先輩、私……!」
「ショーウ、準備が出来たってー。……どうしたの?」
「シロちゃん……?」
シロちゃん……そっか、私と先輩がゆっくり話している間に、みんなの準備が……。良くも悪くも、助かった。もしこの想いを口にしてしまえば、もう……。ダメだね、私……死期が近づいているとわかっているから、不安になっていたんだ。この感情は、黒龍の呪いを悪化させる……だからこそ、表面化しないように別のことを考えないと。
「ありがとう、シロちゃん。そっちに行くね」
「うん、待ってるよー」
「ショウ、さっき――」
「先輩、先に行ってますね」
「あ、ちょ」
先輩の声に聞こえないふりをして、私はベースキャンプへと歩いていく。……もし振り返ってしまったら、今度こそ想いを抑えきれなくなりそうだから。
「来たか、ショウ。テル少年も、いつでも出られるか?」
「私は大丈夫です。先輩は……」
「おれも問題ないぞ」
「よろしい。では、ニール殿」
「あぁ。……これより滅龍石奪還及び、アルバトリオン討伐作戦を開始する!シロちゃんとエイデンは戦闘開始までベースで待機。機を見て神域奥に見える小谷へ向かい、滅龍石を確保、ベースへ移送してくれ」
「了解!」
「任せてね」
「その間、俺たちはアルバトリオンと戦闘する。二人の存在が気取られないように、全力で奴に攻撃を仕掛ける。この時、アルバトリオンの活性状態に応じてやつの属性を抑制できる攻撃をなるべく多く使用して欲しい」
「はい!」
「ネネくん、こちらで用意した『魂焔の龍弩・炎妃』の調子はどうかな?」
「素晴らしいですわ、ニールさん。このライトボウガンなら、みなさんのご期待に応えられます」
ネネさんはそれまで持っていた黒いボウガンではなく、新しいボウガンを背負っていた。
ニールさんが所属する団体である新大陸古龍調査団が、対アルバトリオン戦に有効な武器を持ち合わせていなかったネネさんのために用意してくれたらしい。アルバトリオンの属性を抑えるために必要な火属性と氷属性の弾丸をどちらも装填可能なすぐれものなんだとか。
エイデンさんが背負っているネネさんのボウガンよりも一回り以上大きいボウガン……ヘビィボウガンも、火属性と氷属性の弾丸を両方撃てる『レイ=ロゼッテス』という武器らしい。
「ところでニールさんの剣は……」
「あぁ、龍属性だ」
ちなみに、ニールさんの大剣は龍属性……属性を抑制できる火あるいは氷じゃない理由としては、基本的に一つの属性しか持てない剣士は属性を抑える役割はあまり向いていないとか。だから、自分以外に属性を抑制できる人がいるなら、無理に属性武器を担いでいく必要はないそうだ。
特にネネさんやエイデンさんのようにアルバトリオンが炎と氷どちらの活性状態になっても円滑に抑制することができるなら、剣士が抑制可能な属性武器を背負っていくのはかえって迷惑になりかねない。
「今回の相手は技巧種だ。アカイ殿が言うには、ドラゴンタイプは同じドラゴンタイプに弱いって話だ……本来、炎と氷どちらの活性状態でも龍属性は通りが悪いんだが、タイプ相性によって少しはマシなダメージを与えられるそうだ。
特に、龍活性状態……ドラゴンの力が一際強くなる龍活性状態なら、龍属性によって最高率でダメージを与えられる。だから今回、俺は龍属性武器を持っていくんだ」
「なるほど……でしたら、こちらからもドラゴンタイプの技を積極的に使ったほうがよさそうですね」
「あぁ、よろしく頼むよ」
私たちの方も、準備は整っている!
「では……行くとしよう!」
「はいっ!!」
私たちはハンター達が残してくれたであろう道を進み、ついに開けた空間へとたどり着いた。あちらこちらで結晶が突き出し、さらに燃えている……なるほど、人が踏み入るのは難しい、神域と呼ばれるにふさわしい場所だ。
周囲を見渡せば、バリスタが所々に点在している……モンスターの動きを抑制する拘束用バリスタだったか。あれを撃ち込んで、アルバトリオンの動きを封じることができるらしい。
私たちが狩場へと足を踏み入れて少しして……ソレは現れた。
「ギィギュオオオオォンッ!!」
咆哮と共に、上空から何かが飛翔してきて、私たちの前に着陸した。
31mには達するであろう巨体。
天を向いて生え揃った鋭利な刃の如き漆黒の逆鱗。
巨大な刺が生えた尻尾に、禍々しさを湛える翼。
事前の説明にもあった、天を貫くかのように伸びた二又の大角。
煌黒龍アルバトリオン……奴が姿を現したのだ。
「ギィギュオオオオォンッ!!」
アルバトリオンは再び咆哮を上げた。たったそれだけのことなのだが、私はまったくの無意識に足を半歩引いていた。むしろ足を引いて地に踏みしめた時点で、自分が後ずさりをしていたのだと気づいたくらいだ。
「こっ、こいつが……!アルバトリオン……!!」
「……っ、なんつー威圧感だ……!」
「こんな生き物が……本当に存在するなんて……!」
「これは……果たしてアルセウスとどちらが上か……!!」
私だけでなく、テル先輩たちもその威容に圧倒されていた……!これが禁忌のモンスター……まだ戦いは始まっていないのに、アルバトリオンは既に己の勝利を確信しているかのようだ……!
「やれやれ、そう二度も三度も戦いたいとは思ってないんだがな」
「煌黒龍!生憎ですけれど、あなたの道楽に付き合うつもりはありませんわ。とっとと滅龍石を返しなさい」
「……フンッ」
ニールさんもネネさんも、アルバトリオンの狩猟経験があるからかかなり余裕だ。ネネさんに至っては挑発までしてる……だが、アルバトリオンが堪えた様子はなく、むしろ鼻で笑っていた。
「行くよ、皆!」
「「「「ああ!/おう!/えぇ!/はい!」」」」
私の言葉を合図に、私たちは一斉にポケモンを繰り出した。ディノバルド、ガムート、タマミツネ、ライゼクス……そして、ジンオウガ。リオレウスはニールさんからの助言通り、温存する方向で決めた。アカイさんもリオレウス亜種を繰り出し、戦闘準備万端だ。
そして、ジンオウガ。以前、クロノとの戦いで不思議な姿になったジンオウガだが、今は【金雷公】の姿で落ち着いている。あの時は無我夢中だったからあまりはっきりとはしていないけど……私とジンオウガの気持ちが重要だというのは分かった。
お互いの気持ちを重ね合わせて……そうだよね、お母さん。
「勝負だ!アルバトリオン!!」
「グルルル……」
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【殷々たる煌鐘の音/アルバトリオン】~MHW:IB~
「……!アルバトリオンは炎活性状態だ!氷属性の攻撃を頼む!!」
「了承!」
ニールさんからの指示を受け、ネネさんが氷属性の弾丸である氷結弾を装填した。さらにこちらからも、こおりタイプの技が使えるタマミツネとガムートが前に出た。
炎活性……だから、心なしかアルバトリオンの体が赤みを帯びているのか。
「やるぜ、カイ。こおり技をありったけ喰らわせるんだ!」
「うん!私たちならできるよ、セキ!」
「先輩、ウォロ!私たちでセキさんたちのカバーを!」
「おれは上から攻めるぞ!」
「ならばジブンが前線で注意を逸らしましょう!ディノバルド、きりさく攻撃!」
「ディイイィバッ!!」
「ライゼクスはエアスラッシュだ!」
「ライザーッ!」
ディノバルドが突撃し、ライゼクスが飛翔する。ディノバルドが尻尾の剣をアルバトリオンに向けて振り下ろすが、アルバトリオンは翼を平行に広げると鋼の力を纏わせてその場で一回転、はがねのつばさでディノバルドのきりさくを弾き返した!さらに上空から迫るライゼクスのエアスラッシュは、口から複数の火球を生成するとそれを一斉に発射し、全て撃ち落としてしまった。やきつくすの技まで使えるのか……いや、まだ想定の範囲内だ!
「ガムート!だいちのちから!!」
「ガムァ!」
「タマミツネ!アルバトリオンに接近しろ!」
「コォンッ!」
ガムートがだいちのちからを放つと、タマミツネはその攻撃の隙間を縫うようにしてアルバトリオンに接近していく。アルバトリオンはだいちのちからを滞空することで回避したが、タマミツネの接近を許してしまったな!
「今だ!タマミツネ、れいとうビーム!」
「クオォォンッ!」
タマミツネは高く飛び上がりアルバトリオンの上を取ると、そのままれいとうビームを放つ!
「ギュオオオッ!」
「クォアッ!?」
だが、アルバトリオンは一瞬で全身を炎で包み込むと、そのままタマミツネに体当りしていった!フレアドライブだ!やはり使えるか……!れいとうビームを押し切ってフレアドライブを命中させて、タマミツネを吹っ飛ばしてしまった!
「ディノバルド!援護するのです!」
「続くんだ!ライゼクス!」
「ジンオウガ!タマミツネをカバー!」
「ディノ!」
「ライッ!」
「ワオン!」
ディノバルドがすかさずサイコカッターを放ち、追撃をかけようとするアルバトリオンの動きを封じる。そこへライゼクスがチャージビームを放ち、アルバトリオンの注意を逸らした。吹っ飛ばされたタマミツネはジンオウガが体で受け止めて、地面への激突を回避した。
「すまねぇ、ショウ。助かった」
「いえ、お構いなく!」
「タマミツネ、まだ行けるな?」
「コォン!」
よかった、タマミツネはまだまだ戦えそうだ。
「カイさん、射撃ポイントに移動したいのでなにかド派手な攻撃をお願いしますわ」
「ド派手な攻撃……わかった!ガムート、つららおとし!!」
「ガムーゥアァァ!!」
ネネさんがボウガンを構えて移動を始めたタイミングで、ガムートがつららおとしをアルバトリオンに見舞った。ただ、流石は禁忌のモンスター……あの巨体で、ガムートのつららおとしを回避したり、炎を吐いて迎撃している!
「ジンオウガ、はどうだん!」
「ワオォン!」
「ゴォアッ!?」
ガムートからの攻撃の対処に追われていたアルバトリオンは横合いから放たれたジンオウガの攻撃には対処できず直撃した!それによって体勢を崩し、そのままガムートのつららおとしも命中した!
「これでも喰らいなさいな!」
「ガムート、シルバースタンプ!」
そこへすかさずネネさんの氷結弾とガムートのシルバースタンプの追撃が襲い来る!対するアルバトリオンは、最初こそは被弾していたが咄嗟に体を高速回転させつつ炎を纏い、周囲を蹴散らすようにして動き回って攻撃を凌ぎ切った。かえんぐるまが使えるのか!それは想定外だった……!
「うおおおお!」
かえんぐるまが終わったタイミングを見計らって、ニールさんが斬り込んだ。斬撃と同時に赤黒い電撃が力強い剣圧と共に迸る。あれが、龍属性武器か!
「まだ抑制は十分じゃない!もっと撃ち込んでくれ!!……ぐあっ!」
「タマミツネ、ふぶきだ!」
「ガムート、こおりのつぶてで動きを!」
「ガムアァ!」
「クオオオォン!!」
ニールさんを前足で吹っ飛ばし、そのままこちらにも攻撃を仕掛けようとするアルバトリオンだったが、ガムートのこおりのつぶてに機先を制され動きが止まり、その隙を突く形でタマミツネのふぶきが直撃した!
「いいぞ!抑制が進んでいる!」
「リオレウス、ドラゴンダイブだ」
「おれからも行くぞアカイさん!ワイルドボルト!」
アカイさんのリオレウス亜種と、テル先輩のライゼクスがそれぞれ突撃していく。アルバトリオンは姿勢を限界まで低くしてリオレウス亜種のドラゴンダイブを回避すると、立ち上がりつつ角を突き上げて、ライゼクスの首を二又部分に差し込むとそのまま投げ倒してしまった!
「なんて動きを!?」
「これも技巧種に進化した影響か!」
「ディノバルド!ライゼクスの救助を!」
「ガムートも行って!」
およそアルバトリオンからは想像し得なかっただろう芸当に、ハンター達は舌を巻く。アルバトリオンは仰向けに倒されたライゼクスを前足で押さえつけて動きを封じつつ、振り下ろされたディノバルドのアイアンテールを角で弾き返し、さらにぶちかまし攻撃を仕掛けたガムートを角で受け止め、拮抗している間にかえんほうしゃを放ってガムートを押し返した!
どうすれば……!そうだ!
「ジンオウガ!ライゼクスにかみなり!!」
「ワオオオォンッ!!」
ジンオウガから放たれたかみなりがライゼクスに命中!ライゼクスの蓄電器官である鶏冠、翼、尻尾に電気が溜め込まれていき、擦り上げる速さも段違いに加速していく!
「先輩!」
「これならいける……!ライゼクス!全力でエアリアルスティングだ!!」
「……!ライィズッ!!」
「グウッ……!?」
ライゼクスが伸ばした尻尾はアルバトリオンの脇腹に突き刺さり、そこから高電圧の電撃が放たれた。たまらず怯んだアルバトリオンは飛び退り大きく後退したが、その隙は逃さない!
「タマミツネ!ようほうだ!」
「ジンオウガ!らいこうだん!!」
タマミツネの妖泡がアルバトリオンの周辺にばらまかれ、身動きを取れなくしたところへジンオウガの雷光弾が飛来する!
「トリオオォォンッ!!」
だが、アルバトリオンの対応も早い!マッドショットで雷光弾を全て撃ち落とすと、すぐさまほうでんを放って周囲に撒かれた妖泡を消し飛ばした!
「ライゼクス、ラスターカノン!」
「リオレウス、きあいだまだ!」
「うおおりゃあ!」
ライゼクスが接近しながらラスターカノンを放つ。これは同じはがね技であるスマートホーンによって受け止められ、直撃とはならなかったが……その後隙を突いたリオレウス亜種のきあいだまは直撃!直後のニールさんの斬撃もまともに入った!
「くらいなさい!」
「ギュギャアアァンッ!」
「タマミツネ!」
「ガムート!」
「「れいとうビーム!!」」
ニールさんにドラゴンクローを振り下ろすが回避され、その直後にネネさんの氷結弾が角に命中した。それを嫌がるように頭を動かし、ネネさんに向けてハイドロポンプが発射された。そこへタマミツネとガムートによるダブルれいとうビームが放たれ、ハイドロポンプは凍りつきそのままアルバトリオンに直撃した。
「ギュオオアアアッ!」
アルバトリオンが小さく咆哮を上げると、全身から赤黒い稲妻が駆け巡り始めた。さらにその光が炸裂すると、アルバトリオンの姿が紫がかった色合いへと変化した……!
「あれは……!」
「あれが龍活性状態だ。龍活性状態のアルバトリオンはドラゴンタイプに弱い……ドラゴン技が使える者は、積極的に攻勢をかけるぞ」
「俺の出番だな、今以上に斬り込で行く!」
「テル少年、我々もドラゴン技で援護しよう」
「了解だアカイさん!ライゼクス、りゅうのはどう!」
「リオレウスはたつまきだ、牽制しろ」
「グォアォン!!」
リオレウス亜種がたつまき攻撃でアルバトリオンを牽制する。アルバトリオンはたつまきをモロに喰らい、動けなくなったところをライゼクスのりゅうのはどうによる追撃を受けた。アルバトリオンはかなり苦しそうだ……よし、もっとドラゴン技で攻撃しよう!
「ディノバルド、ドラゴンテールです!」
「ジンオウガ!げきりん!!」
「ガムートもげきりんだよ!」
ディノバルドがドラゴンテールで果敢に斬りかかり、アルバトリオンはウェーブタックルで対抗した。尻尾の一撃を角で受け止め、そのまま体を回転させて尻尾を受け流しつつ自身の尻尾をぶつけるという芸当を見せつけ、アルバトリオンはディノバルドを押し返した。
「ワオオォンッ!」
「……!」
押し倒されたディノバルドを避けつつ、先にジンオウガがアルバトリオンに肉薄する!アルバトリオンに前脚による殴打、角による刺突を繰り出しダメージを与えるとアルバトリオンからも龍属性を纏った前脚による反撃を受けた。さらに青いオーラを角に纏わせると、そのままジンオウガを突き飛ばした!しねんのずつき……厄介な!
続けて仕掛けるのは遅れて接近したガムート。こちらはパワー同士の戦いとなり、ガムート力強い一撃とアルバトリオンの攻撃が激しくぶつかり合う!
「パオオオオオォンッ!!」
「グウゥッ……!」
激しく吠えたてるガムートがアルバトリオンにぶつかっていき、そのまま押し込んでいく!アルバトリオンも四肢を踏ん張って耐えると、そのまま拮抗状態に持ち込んだ。だが、ここでアルバトリオンが動いた!
アルバトリオンは翼を広げると、そのまま垂直に飛翔してガムートを躱したのだ!力の行き場を失ったガムートは前につんのめり、その隙を突くようにアルバトリオンがアイアンテールをサマーソルトで放ち大きく吹き飛ばした!
「リオレウス、ドラゴンダイブ!」
「ライゼクスもドラゴンダイブだ!」
「タマミツネ、ムーンフォース!!」
ここでリオレウス亜種とライゼクスによる二体同時のドラゴンダイブが迫る。対するアルバトリオンもドラゴンダイブで対抗した。……ただ、アルバトリオンのドラゴンダイブには龍属性エネルギーが用いられているためか非常に強力になっていた。その証拠に、アカイさんのリオレウス亜種も同時にぶつかっているにも関わらず僅かな拮抗の後、二体とも吹き飛ばしてしまったからだ。
その後、技が解除された直後を狙ったタマミツネのムーンフォースが直撃した……が、アルバトリオンは墜落することなく飛び続けている。かなりダメージを与えたはずだけど……!
「グルルル……」
突然、地上に着地したアルバトリオン……一体何をする気……?
「ギャオオォン!」
アルバトリオンが声を上げると……その姿が七つに増えた。あれって、かげぶんしん?けど、なぜこの状況で……。
「ギャオ」
「「「「「「ギャオ」」」」」」
中央のアルバトリオンが小さく鳴くと同時に、右足で左足を踏みつけた。……いや、違う、あれは踏むというより押す……?すると、他の六体の分身達も同じようにしている。
……?…………。……!……ヤバイッ!?
「ジンオウガ!今すぐアルバトリオンを止めて!!」
「ワオオオンッ!!」
私の声に呼応して、ジンオウガが突撃をしていく。その間、テル先輩とニールさんが私に近づいてきた。
「ショウ!一体どうしたんだ!?」
「アルバトリオンの考えがわかるのか?」
「アルバトリオンの行動……あれも技なんです!その技の名は……『つぼをつく』!」
「つぼを?」
「つく?」
「名前だけで侮らないでください……!つぼをつくは、自身の能力のうち攻撃、防御、素早さ、特攻、特防、命中、回避……七つの能力のうち一つをランダムに強化するんです!
それだけならまだしも、そこへきてかげぶんしん……!いつだか、かげぶんしんを吸収することで攻撃能力を高めるという戦い方をするトレーナーの話を聞いたことがあります……私の勘が正しければ、アルバトリオンの狙いは……!」
「「「「「「「ギィギュオオオオォンッ!!」」」」」」」
本物と思しき中央のアルバトリオンにワイルドボルトで突撃したジンオウガだが、七体のアルバトリオンによるかえんほうしゃ、ハイドロポンプ、ソーラービーム、れいとうビーム、ラスターカノン、りゅうのはどう、はかいこうせんの一斉攻撃を受け、壁に叩きつけられてしまった!
「ジンオウガッ!!」
「ショウ!アルバトリオンの狙いは……!」
「……つぼをつくを使った分身を吸収することで、能力上昇を引き継ぐことです!」
「ギュオオアアアアッ!」
アルバトリオンが咆哮を上げると、分身たちが次々と本体に近寄り体を重ね、吸収されるように消えていった!すべて吸収し終えたアルバトリオンは、その身から放たれる覇気が段違いに変化した。……これは、全ての能力がぐーんと上がったな……!
「厄介だな……!タマミツネ、バブルこうせんだ!」
「ガムート、つららおとし!」
「ディノバルド、サイコカッターです!」
「ライゼクス、かみなりだ!」
タマミツネのバブルこうせん、ガムートのつららおとし、ディノバルドのサイコカッター、ライゼクスのかみなり……四体同時の一斉攻撃だが、アルバトリオンはその全ての攻撃を回避してしまった!!
「なんだと!?」
「な、なんて動き……!?」
「信じられない……」
「クソッ、もう一度だ……!」
「ギュオギャアアンッ!!」
テル先輩たちがもう一度攻撃を仕掛けようとするが、それよりも速くアルバトリオンがはかいこうせんを一閃、四体それぞれに攻撃した!威力がかなり上がっているのか、攻撃を受けた四体は派手に転倒し倒れ込んだ!
「な、なんて威力だ……!」
「虚仮威しを!」
ネネさんが弾丸を撃ち込むが、それすらもアルバトリオンは軽快な動きで回避してしまった!
「そんな、バカなッ!?」
「クッ……うおおおぉぉっ!!」
ニールさんも突撃し、大剣を振り下ろす。だが、アルバトリオンはドラゴンクローで大剣を受け止めるとそのまま押し返してしまった!
「ぐあっ!」
「ニールさん!」
「……!マズイぞ!!」
アカイさんの声に反応し、アルバトリオンの方へと目を向ける。アルバトリオンの体から、一瞬だけ龍属性エネルギーが放たれると、アルバトリオンが神域の中央部へ移動した……その直後だ。
アルバトリオンを中心に膨大な熱が放たれると、周囲が龍属性エネルギーで満たされていく。アルバトリオンの全身から龍属性エネルギーが迸っているような……!?
「バカな、属性は抑制できていたはずだ!?」
「……おそらく、能力が上昇したことで抑制分を上回ったのだろう。自らを強化することで弱体化を解除した、といえばいいか……!」
「ニールさん、あれは……!」
「エスカトンジャッジメントが来るぞおおぉぉぉっ!!」
ニールさんとアカイさんの会話から察するに……攻撃か特攻が上昇したことで、抑制できていた属性が力を増してしまった、ということか……!
「ショウ!全てのモンスターを一箇所に集めるぞ!焼け石に水かもしれんが、全員でまもるを使う!!」
「わかりました!!」
「「「「「「まもる!!」」」」」」
ジンオウガをはじめとしたモンスターたちが一斉に集まり、全員でまもるの技を使う。私たちトレーナーやハンター達も、まもるの防御範囲内に避難した。
「来るぞっ……!!」
ニールさんの強ばった声が聞こえる。アルバトリオンが宙に飛び上がり、翼を大きく広げると同時に灼熱と龍光が炸裂して――
「……っ……」
……あ、れ……?私、なんで……っ!!
「いづっ……!!」
気がついたら……いや、気絶したという自覚すらないまま、私は意識を取り戻した。いつの間にか倒れていたらしく、起き上がろうとすると全身が激痛で悲鳴を上げた。なんとか痛みを堪えて、体を起こす。周囲を見渡せば、モンスター達も、トレーナー達も、ハンター達も全員が倒れこんでいた。……嘘でしょ、七体分のまもるすら貫通したの……!?
「グルルル……」
「あ――」
唸り声が聞こえ、そちらに顔を向けると……アルバトリオンがこっちを見ていた。ただ、襲って来る様子はない。むしろ……こちらの様子を窺っている、というところか。
「……グ、ウウゥ……!」
「ジ、ンオウ……ガ……」
ジンオウガも、私と同じように痛みを耐えながら体を起こした。私もジンオウガに負けじと、なんとか立ち上がってみせた。……けど、これ以上体が動きそうにない。それくらい、全身どこもかしこも痛くてたまらないからだ。せっかく巻いてくれていた包帯も吹き飛び、呪いの紋様が顕になっている……エスカトンジャッジメント……まさか、これほどとは……!
「……ショウ、無事か……?」
「アカイさん……」
私の次に起き上がったのはアカイさん……アカイさんも息も絶えだえといった様子で、ヨロヨロと立ち上がった。……なぜかアルバトリオンがそんなアカイさんを見て愉悦に満ちたような笑みを浮かべている。
「このクソリーゼント必ずぶち殺す……」
「アカイさん……?」
「んんっ、なんでもない。……さて、他の皆も直に起き上がるはずだ……だが……」
「……!?」
アカイさんの表情が苦悶に変わる。まさか、と思いアルバトリオンの法を見ると……。
「あ……あぁ……!」
「……『じこさいせい』、か」
なんと、アルバトリオンはじこさいせいの技で体力を回復していた。私たちが頑張って与えたダメージが、すべて消えてなくなっていく……そんな、ここまで苦労したのに……。
ズキッ!!
「うぐっ……!」
「ショウ!」
だめだ、不安を抱いてはいけない……!諦めるな、まだ手はあるはずだ……!この様子だと……少なくとも、アルバトリオンは全員が再起するまで待つはず……それなら、ハンターの二人が起き上がると同時に生命の粉塵を使ってもらえば、私たち全員のダメージも回復しきれるはず……。そうすれば、実質差し引きゼロに持ち込める。
アルバトリオンの姿は、青みがかった姿に変わっている。あれが、氷活性状態……?だとしたら、今度はほのお技を使わないと……。
「……うっ……ショ、ショウ……」
「先輩……!」
先輩が起き上がった……!それを皮切りに人間もモンスターも、ゆっくりとではあるが起き上がった。
「……まさか、あの不思議バリアーを突破するとはな……。ハンターの武器すら容易に受け止めたんだぞ……」
「これが、エスカトンジャッジメント……初めて受けましたけれど、とんでもない威力ですわ……」
「普通なら、ベースキャンプ送りになってもおかしくないんだが……あの不思議バリアーのおかげ、だな……」
「まさか技巧種に助けられるとは……」
「ギィギュオオオオォンッ!!」
アルバトリオンが再び咆哮を上げると、またしても龍活性状態へと移行し、そしてすぐにエスカトンジャッジメントの構えを取った!?
「おいおいおいおい、なんの冗談だ!間髪を容れずに二発目だと!?」
「回復……ダメ、間に合わない……!!」
エスカトンジャッジメントのチャージが最大になり、アルバトリオンが再び宙を舞った。
……その時だ!
「……!ギュアアァンッ!?」
突如、アルバトリオンの周辺に火柱が発生すると、一瞬でアルバトリオンを飲み込んだ!あれは、ブラストバーン!?まったくの意識外からの攻撃にエスカトンジャッジメントは中断され、さらに青い炎を纏った何かが高速で接近してきた!青い炎はVの字を作るとそのままアルバトリオンの顔面にぶち当たり、大角のうちの片方をへし折ってしまった!?
「な、なんだ!?」
「今の攻撃は……?」
私たちが困惑している間に、四つの大きな影が飛来してきた。
まず、四つの影のうちの二つ。それは、リオレウスとリオレイアのような、体に似通った部分が多く見られる赤と青の翼を持った四足獣……いや、龍。炎を纏っていることから、先ほどの炎攻撃はあの二体と思われる。二体はセキさんとカイさんの前に着地した。
もう一つは、テル先輩に近くに降りてきた。まるで胴長のカクレオンのようなそのモンスターは、紫の体表を持つ特徴的なモンスターだった。
そして、私の前に降りてきた四つ目の影は……メゼポルタ西にある洞窟で見た、あのモンスターだった。
そして、それぞれのモンスターから人影が降りてきた。
「……ふぅ。モンスターの、それも古龍の遊覧飛行はもう懲り懲りだぜ」
「今日はモガの森でガノトトス一本釣りをする予定だったのに……」
「そう言うな、若い命がかかってるんだからよ。……それに、古龍に乗るっていう貴重な体験も出来たんだ、むしろお釣りが来るぜ?」
「そんなお釣りよりガノトトスが食べたいわ」
「やれやれ……それじゃ」
「えぇ」
「ユクモ村専属ハンター、グレンだ。これより参戦する」
「モガ村専属ハンター、アシュリーよ。私も参戦するわ」
新しいハンターさんが二人……!?そして、紫のモンスターからは……あの金色の鎧は!
「シズカさんのお師匠さん!?」
「おや、ショウさんか。久しぶりだね」
「やっぱりシュラークさん!シュラークさんも参戦ですか!」
「無論だ。……それに、来たのは師匠だけじゃないぞ?」
「え……まさか!」
私の目の前……モンスターから降りてきたのは……!
「シズカさん!!」
「……ごめんね、ショウ。すっかり遅刻だね」
シズカさんだああぁぁぁ!!振り返ったシズカさんはやんわりと微笑んでいて、その微笑みを見ているだけで安心感がすごい!
「……ニールさん」
「シ、シズカ……もういいのか……?」
「えぇ、おかげさまで。しっかりと休ませてもらいました。……それと」
「え」
「なんで私に黙って出て行ったんでしょうね?」
「ヒェッ」
あぁ、ほらやっぱり……。黙って出て行ったこと、根に持ってるじゃないですか……だから私は言ったのに……。
「いや、あのなシズカ……」
「詳しく……」
「えーっと、だから……」
「説明してください」
「その……」
「今、私は冷静さを欠こうとしています」
「はい!すみませんでした!!」
シ、シズカさんの無表情の圧……ニールさんはシズカさんに気を遣って言葉を選ぼうとしたけれど、結局圧に負けて即謝罪していた。……あの時は一緒に謝るって言ったけど、流石にこの流れで一緒に謝るのはちょっと……。
「ね、姉様……これは、一体……?」
「ん?んー……"古龍の恩返し"?」
「誰が何をしたらこんなに集まるのですか!?
『テオ・テスカトル』!
『ナナ・テスカトリ』!
『オオナズチ』!
『クシャルダオラ』!
四体もの古龍が一堂に会するなど、天変地異が起きたってありえないことですよ!?」
ネネさんが一体一体を指して名前を語ってくれたおかげで、詳細がわかった。あれら全部が古龍なのか……!
新たにふたりのハンターを連れてきたそっくりさんのモンスター……赤い方がテオ・テスカトル、青い方がナナ・テスカトリというらしい。……ナナ・テスカトリの方が女性っぽく見えるのは気のせいじゃない、よね?
そして、紫色の胴長カクレオンはオオナズチ。さっきから落ち着きがない様子であたりをキョロキョロと見回している。……好奇心旺盛っぽく見えるな。
そして、シズカさんを乗せてきたのはクシャルダオラ……私が助けたモンスターだ。クシャルダオラも振り返ると、私にそっと頭を寄せてきた。
「クルクル」
「あっ……あなたは、あの時の……」
「シャン」
「……ありがとう、助けに来てくれたのね?」
「クシャァオッ!」
「私と師匠、そしてあちらの二人は、神域に向かう道中で古龍に拾われたらしい。私と師匠はともかく、あちらの二人はともにアルバトリオンの狩猟経験がある……期待していいよ」
「はい!」
なんかもう、体の痛みなんて全く気にならないくらい元気出てきた!これだけの助っ人が揃って、負けるわけにはいかないもんね!!
「師匠」
「おう」
シズカさんがシュラークさんに声をかけると、二人で同時に生命の粉塵を撒いた。……モンスターや私達の傷が、どんどん回復していく……!
「さて……アルバトリオン。あなたの道楽に付き合うつもりはないの。ショウのためにも、さっさと滅龍石を返してもらう」
「姉様……!」(((o(*゚▽゚*)o)))パァ…!
「え、ちょ、なに?キモいんだけど」
「いえ、シズカさんの道楽云々のセリフ、ネネさんとほとんど同じだったので……」
「オェッ」
「吐き気を催すほど嫌なの!?」
なんもそこまで露骨な反応をしなくても……。
「ギィギュオオオオォンッ!!」
一際大きな咆哮が聞こえ、アルバトリオンに注目が集まる。見ると、アルバトリオンは怒っているようだった。シズカさん達や四体の古龍達の参戦が不服なのか、激しい怒りを顕にしている。
「うるさいなぁ、こちとら時間がないんだっての。巻きで行くから、そのつもりで覚悟しなさい」
ガンランスをリロードしながら、シズカさんはアルバトリオンを煽る。うーん、この煽りがとてつもなく心強い!なぜならシズカさんの煽りは、自身への絶対的な自信の表れでもあるから!
「君がいてくれるなら、俺は無限に強くなれる……背中は預けるぞ、シズカ!」
「ニールさんこそ……私の背中、貴方に預けます。……守ってくださいね?」
「シズカ……!」
「おいこらそこてぇてぇすんじゃないわよ優男ォ!!」
「……話は、また後で」
「あ、あぁ!」
ネネさん……ほんと、こういうところは妙に目ざといというか……。
「ショウ!」
「アカイさん……」
「……思わぬ援軍が来てくれたな。これも、君が築いた絆のおかげだ」
「私が……」
「絶対に勝つぞ、ショウ。ここまできて、我々に敗北等ありえない」
「……はい!」
「私たちも……」
「忘れないでくれよ!」
この声……やっと来た!
「シロちゃん!エイデンさん!」
「エイデン!滅龍石は……」
「既にベースキャンプに運び込んだ!後は……」
「アルバトリオンを、討伐するのみ!!」
そうだ……私たちは勝つ!絶対に勝つ!なぜなら、私たちには七人のハンターに四体の古龍が力を貸してくれているんだ!
「負けない……負けられない!ジンオウガ!」
「ワオン!」
「勝つよ……ジンオウガ!私たちは勝つ!絶対に……負けない!!」
「ワオオオオォォンッ!!」
「「うおおおおっ!!/ウオオオオッ!!」」
この感覚……あの時と同じ!クロノとイビルジョーと戦った時と、同じ感覚!!ジンオウガは蒼穹のような澄んだ色の電撃に包まれた姿に変わり、私と同じようにアルバトリオンを見据える。
「なに!?ジンオウガが……」
「……あぁ、また技巧種のレポートに追加事項が……」
「(なにこれ、キズナ現象?サトシゲッコウガならぬショウジンオウガ?……語呂悪いな)」
ハンターたちの反応もそこそこに……アルバトリオンの怒りも、我慢の限界といったところだ!
「行くぞぉっ!!」
戦いは!これからだっ!!
書いててアレなんですけど、なんかアルバトリオンの前半戦、ちょっと物足りないような……みなさんはどうでしょうか?満足頂けましたか?
後半戦もお楽しみに!