上手く書けたか、ちゃんと伝わってるか怪しいですが、どうぞ!
ラギアクルスとジンオウガ
共に
果たして、勝者は……
注意! 技を4つ以上使います!……モンハンモンスターのスペックならむしろ普通か……?
紅蓮の湿地で岩を纏う竜「グラビモス」を仲間にして、霧の遺跡で一夜を明けた。
新しい仲間が増える、というのはいつだって嬉しいものだ。特にグラビモスはジンオウガとは浅からぬ仲であり、ひと目で仲間だとわかる関係だった。
ジンオウガも仲間に会えて嬉しかったろうし、私もジンオウガの仲間が手持ちに加わってくれたことがすごく嬉しかった。何気に手持ちを六匹以上持ち歩いているけど……ジンオウガとグラビモスは物分りが良く賢いから、むしろ「もっと手持ちに構ってやれ」とばかりに背中を押されることが多い。……時々、人間を相手にしているみたいに感じるのは内緒だ。
今日の朝ご飯は手持ちのみんなが採ってきてくれたきのみ……と、ガブリアスが狩ってきたオヤブンベロベルトだった。手持ちのみんなにも、私のポケ食が馴染んできたみたいで、なんだかなぁ……。でも、人間の私とポケモンの自分たちとでは食生活が異なるということを正しく理解してもらえていると思うと、良い意味でも悪い意味でもクルものがある。
……ベロベルトの舌のほうが歯応え凄い……でも、ほとんど筋肉みたいでちょっと硬い……。脂身……は、進化系の方が上。でも進化前の方がその分あっさりしてていいかも。
朝食を終えて、ボールからジンオウガを出す。……この瞬間って、いつもそうなんだけど嬉しさがすごく溢れるんだよなぁ……わかるかな?
「おはよう、ジンオウガ。今日はどこに行くの?」
「グルル……」
ジンオウガが顔を向けた方向にはリッシ湖がある。……いや、ジンオウガが見ているのは、もっと先……。
私はアルセウスフォンを取り出してマップを広げる。すると、ジンオウガが後ろからひょっこりと顔をのぞかせた。
「……?ジンオウガ、気になる?」
「ガウ」
ジンオウガがアルセウスフォンに興味津々だったから、思い切って見せてあげた。ふんふん、と頷く様子はとても人間味があってちょっと面白い。……というか、アルセウスフォンを理解できてる?……どれだけ賢いんだろう、彼は。
私は彼が示す次の目的地である群青の海岸を画面に映した。
「次はこの、群青の海岸ってところ?」
「ガウ!」
「そっか……それなら、早く移動しないとね」
彼が尻尾を下ろしたのを見て、私はすぐさま乗り込んだ。……最近、カミナギの笛を吹く機会が減ってきたな……。
群青の海岸には一日半で到着した。山も上り下りが比較的少なかったから、早く着くことができたのかな。
私たちがいる場所はエイパム山。すぐ麓にはススキさんの家があるけど……。
「ジンオウガ、あそこ」
「……?」
「人間の家があるの、あそこ。……避けて通ろう」
「ガウ」
ススキさんがジンオウガを見た日には、恐怖のあまり失神してしまうかもしれない。そうでなくともついこの間のセキさんの時みたく、知ってる誰かと遭遇するのは怖いし、なにより彼らを見られてしまうのは非常に良くない気がするから。
私はジンオウガに指示を出して、ススキさんの家を避けるルートを通ってもらうことにした。渡りのなぞえを経由して、ジンオウガはイチョウの浜辺へと向かっていった。なんとか人目を避けてイチョウの浜辺についた私たちだけど……
「……っ!?ショウさま……?それに、そちらのポケモンは……」
「……ガラナ、さん……」
なんと、たまたまそこにいたのかイチョウの浜辺にシンジュ団のキャプテンであるガラナさんがいた。
ガラナさんとはこの群青の海岸に住む島キングのウインディが荒ぶった際に一緒にシズメダマを作ったり、海に棲む30m級のポケモンのことを教えてもらったりした。私としても決して悪い印象のない人だ、ススキさんとも良い仲だし。
ただ、ちょっとマズイ事になった。見られないようにしたいと思っていた矢先に、ガラナさんにジンオウガを見られてしまった。どうしよう――
ポンッ
「ギシャアァァァオッ!!」
「あ」
「!!」
ちょ、グラビモス!?なんで急に出てきて……あ、ガラナさんを見て固まった。
バッシャーンッ!!
「グルオオオオオォォォォォォォォォッ!!」
グラビモスが勝手に出てきたと思ったら、今度は海から別のポケモンが!!
話に聞いていた通りの長大な体躯。
頭部後方に伸びる巨大な角。
美しく蒼く光る外殻。
背中に並ぶ赤色の突起。
ガラナさんの言うとおり、30mに届くであろう巨大なポケモンが姿を現した!
「こ、これが……!ガラナさんが言ってた30m級ポケモン……!!」
「あなた様……」
海から現れたポケモンは、ゆっくりとこちらに近づいてくる。その際、脇に避けたガラナさんに対して一瞥を投げると、すぐに私の方へと目を向けた。
しばらく固まったままだったグラビモスが、再起動と同時に私の方に顔を寄せてきた。心なしか、ボールを見ているような……。
「あ、戻るのね」
「ヴァー」
「じゃあ、はい」
ボールを突き出せば、グラビモスは自分からボールに戻っていった。……ちょっと、空気を読んで欲しいなと思ったら本当に読んでくれた。後でいっぱい遊ばせてあげるからね……。
「……ショウさま、そのポケモンは……?それに、先ほどのドラゴンらしきポケモンも……」
「……それは……」
「もしや、"彼の御方"と同郷のポケモンなのですか?そちらの狼ポケモン……どことなく、雰囲気が"彼の御方"と似通っています」
「えっと、後で話します。今は……」
「グルルルル……」
目の前のドラゴンポケモンが唸り声を上げると、どこからともなくアンノーンが三度飛来した。
ガラナさんが、不思議そうな顔でアンノーンを見つめていた。
「ポケモン……?」
「アンノーンって言います。ラベン博士が言うには、異国の文字を象っているのではないか、とのことですが……」
「文字?」
「はい。……私、少しは読めますので解読できますよ。……あ」
しばらくあたりを漂っていたアンノーンたちが、規則正しく並び始めた。首長ポケモンの前で整列したアンノーンたちの文字を、私は左から翻訳した
「『ラギアクルス』……それが、あなたの名前なんだね」
「グルララ」
「ラギアクルスさま……ようやく、あなた様の名前を知ることができましたね」
「グルァ」
見れば、ガラナさんも嬉しそうにしている。
それもそうだ……ガラナさんは、先代島キングのウインディを助けてもらってから、ずっとラギアクルスを追いかけていたから。名前も何も知らない存在を追い続けて……今、ようやくその名を知ることができたんだ。嬉しさも一入だろう。
自己紹介を終えたので、アンノーンは解散……と、思いきや。アンノーンはすぐさま飛んでいかず、なぜかラギアクルスの方を見ていた。ラギアクルスもアンノーンを見て小さく唸ると、アンノーンたちはウンウンと頷いている。
そうしてラギアクルスとアンノーンのコミュニケーションが終わると、アンノーンたちが再び並び始めた。私は並び始めたアンノーンたちの文字をすぐに解読した。
TOU
「……問う?」
どうやらラギアクルスは、私に聞きたいことがあるらしい。再びアンノーンたちが動き始めた。
NINGEN GA NIKUI KA?
「……っ!!」
どうして知って……いや、きっと彼にはお見通しなんだろう。ジンオウガだって、私の悲しみと苦しみを察知して、傍に寄り添ってくれたんだから。グラビモスやラギアクルスが同じことをできないなんて、誰が決めつけた?
「……たしかに、ムラのみんなが憎い、って気持ちはある、よ。でも、憎いばっかりじゃない……ムラの中には、優しかった人達もいる。
テル先輩、ラベン博士、それにシマボシ隊長……ちゃんと、優しい人もいるって、知ってるから」
「グル……」
ラギアクルスは、ひとつ頷いた。アンノーンたちは再び、せわしなく動き出す。
SEKAI WO
GISEI NI SURU
KAKUGO HA ARUKA?
「犠牲……」
今一度、改めて考えさせられる問いだった。私自身、元の世界に帰れさえすれば世界なんてどうなってもいいとさえ考えている。けど、助けられたはずなのに助けなかった、というのはなんとも後味の悪い結末を迎えそうで嫌になる。
……それ、でも。それでも、私は。
「……覚悟は、ある。私は、元の世界に帰りたい。たとえ、その過程で問題を解決できなかったとしても……私は、私の願いを成就する」
「ショウさま……」
ガラナさんの悲痛に満ちた視線を感じる。ごめんなさい、ガラナさん……でも、私はもう決めたので。後戻りするつもりはありません。
ラギアクルスは僅かに目を細めるも、すぐに小さく頷いた。そして、アンノーンがもう一度動き始めた。
SAIGO NI TOU
ZIBUN NO
ERANDA MICHINI
KOUKAI HA
SINAI NA?
「後悔……」
ラギアクルスの、最後の問い。私自身、まだこの選択が完全に正しいかどうかなんてわからない。歩みそのものはまだまだ途中だ……けれど、どこかでその選択を後悔する日が来るかも知れない。
確かに私はここに至るまでずっと助けられ、導かれるがままだった。……ジンオウガに、依存すらしているかもしれない。それでも……彼について行くと、共に行くと決めたのは私自身だ。
「後悔は、するかもしれない。けれど、その後悔をする道を選んだのも私自身だから……。
失敗するかもしれないし、取り返しのつかないことになったとしても……それでも、やり直したいとは思わないよ」
「……グルラ」
ラギアクルスは大きく頷くと、その顔には小さな微笑みが浮かんでいた。ジンオウガとちょっと笑い方が似てるかも。
そう考えていると、ラギアクルスがジンオウガの方へと向いて小さく吠えた。……なぜか、ジンオウガが酷く動揺しているような気がする。私がジンオウガに尋ねるよりも早く、ラギアクルスは動き始めた。
「グルオオォアァ!!」
ラギアクルスが一際大きく吠えたかと思うと、アンノーンたちがまたまた一斉に動き始めた。
KETSUI WO IDAKE
KAKUGO WO SHIMESE
CHIKARA WO MISERO
WARE HA
KISAMA TONO KETTOU WO NOZOMU
「け、決闘……それって、バトルってこと!?」
「グルラ」
まさか、ここでラギアクルスとバトルすることになるなんて……!ジンオウガとの稽古を通じて、ジンオウガの強さというのは恐ろしい程に目にしてきた。そのジンオウガの仲間であろうラギアクルスの実力は、きっと並大抵のポケモンは凌駕するに違いない。
そんなポケモンとバトルなんて、どうすれば……!
「ガルルル……」
「ジ、ジンオウガ……?」
私が動揺していると、ジンオウガが前に出てくれた。それから、私の方へと振り返り、そしてラギアクルスを睨みつけた。
「……戦って、くれるの?」
「ウオオォォォンッ!!」
私が尋ねれば、「任せろ」とばかりに吠えるジンオウガ。……そうだ、弱気になっちゃいけない。私にはジンオウガと、グラビモスがいる。二匹がいるのに、負けるわけにはいかないんだ!
「お願い、ジンオウガ!」
「ガオウッ!」
私がジンオウガを選出するのとほぼ同時に、ラギアクルスはガラナさんの方へと振り返った。ジッと見つめてくるラギアクルスに、ガラナさんはおおよそ何を言いたいのかを察したらしい。
「……まさか、あたくしに背中を預けて下さるのですか……?ラギアクルスさま」
「グラァ」
「……!!……分かりました。シンジュ団キャプテン、ガラナ。
不肖の身なれど、あなた様を全面的にサポートいたします!」
「…………」コクリ
どうやら、ラギアクルスは一時的にガラナさんを主人と定めたらしい。ガラナさんもガラナさんで、すっかりやる気に火がついている。目がガチだ。
お互いに距離をとり、バトルの用意に入る。近くにいたタマザラシたちは一斉に逃げ出し、夜になってもなお野生ポケモンが近づけない重々しい空気がイチョウの浜辺に広がっている。
……大丈夫。ジンオウガの技は、稽古の間に概ね把握している。あとは、指示を出す人間次第だ!
「……準備はいいですか、ショウさま?」
「もちろんです」
「ラギアクルスさまに頼られた以上、一切の手加減は致しません。覚悟はよろしいですね?」
「ここまで来た以上、逃げも隠れもしません。私は、私の願いを成就します!」
「……よろしい、良い覚悟です。それでは、参りましょう……ラギアクルス!」
「グルオオオオオォォォォォォォォォッ!!」
「やろう、ジンオウガ!私たちの力を、ラギアクルスに示すために!!」
「ウオオオオォォォォォォォーーーンッ!!」
勝負だ!!
※お好きな脳内BGMでお楽しみください
……音楽次第であなたがハンターかトレーナーかわかるかも……?
先手を取ったのはガラナさんだ!
「まずは小手調べです。ラギアクルス、スピードスター!」
「グララァ!」
ラギアクルスの口から、複数の星型弾が発射された。スピードスターは必ず命中する技……なら、撃ち落とすのみ!
「ジンオウガ!かみなり!!」
「ガオオォウ!!」
ジンオウガから放たれた強烈な雷撃はスピードスターを撃ち落として、ラギアクルスに直撃した!だけど……
「……フンッ」
「ラギアクルスに電撃は無意味ですよ」
まったく効いた様子がない!ジンオウガとの稽古中に気づいたことだけど、彼らはタイプ相性とは別にほのお・みず・でんき・こおり・ドラゴンの五つのタイプにのみ限り、別の相性を持っている。
ジンオウガのタイプは「でんき・かくとう」(稽古中に知った)だけど、じめんやフェアリーの他にこおりタイプにも弱い……といった風に。
でんき技を受けたラギアクルスが無傷であるところを見るに、ラギアクルスは間違いなくでんきタイプを持ってる!
「ラギアクルス、10万ボルト!」
「グララァ!!」
今度はラギアクルスの電撃が襲い来る。けれど、ジンオウガは全く堪えた様子はない。完全な無傷だ。
「ふむ、そちらもでんきタイプは効かない……と」
「確認のつもりですか」
「えぇ、お互いに得手不得手なタイプを把握できていないでしょうから。
けれど、これでお互いがでんきタイプで、それゆえでんき技は使えない……ということがわかりました」
ガラナさん、そこまで考えてわざとでんき技を……。
さすがはキングのお世話を任されているキャプテン……やっぱり一筋縄じゃ行かないな。
「ラギアクルス!アクアテール!!」
「ジンオウガ!アイアンテール!!」
ラギアクルスのアクアテールと、ジンオウガのアイアンテールが激突し、激しい衝撃を巻き起こす。ただでさえ大きな体の二匹が暴れまわるものだから、その威力は凄まじい。並のポケモンだと、一撃で瀕死になってしまいそうだ。
ぶつかり合う二匹が、同時に弾かれる。今度はこっちから攻める!
「素早く、きりさく!」
「ウオォンッ!!」
早業で一気に仕掛ける!一瞬で間合いを詰めたジンオウガの爪が、ラギアクルスを切り裂く。このまま一気に!!
「力強く!インファイト!!」
「ガウ!ガウ!ガウッ!!」
「グルオォァァ!!」
守りを捨てて一気に攻めるインファイトが、ラギアクルスへと一気にダメージを与える。
このまま押し切れば……!
「ラギアクルス!海へ!!」
「……ッ!!」
ガラナさんの指示を受けたラギアクルスが尻尾を振り回してジンオウガを弾き飛ばすと、そのまま身を翻して海へと飛び込んでいった。
速い……!あれだけの巨体なのに、あんな素早く動けるなんて……!
「気をつけて、ジンオウガ!」
「グルルルル……」
この勝負の最大の決め手は、如何に相手よりも早く相手の弱点を知るかだ。
ガラナさんはジンオウガがでんきタイプであることは知ったけど、かくとうタイプとの複合であることや体質的にこおりタイプに弱いことを知らない。
反対に私もラギアクルスがでんきタイプであること以外に複合タイプなのか単タイプなのか、どんなタイプに弱いかを把握できていない。だからこそ、ジンオウガが使える様々なタイプの技を、全部ぶつけていくしかない。
ラギアクルスが海に潜ってから、数分が経った。どこから来る?どんな技で来る?
ジンオウガともども、ラギアクルスが飛び出してくる時を待つ――
「……今です、こおりのキバ!!」
「グルオォォッ!!」
ジンオウガの目線が右へ向いた直後、向かって左側からラギアクルスが飛び出してきた。しかも、その牙には氷の力が宿っている……まずい!!
「ギャンッ!?」
「ジンオウガッ!!」
避けられなかった!ラギアクルスはジンオウガの左前脚に噛み付き、苦手なこおりタイプの激痛にジンオウガが悲鳴を上げる。
「負けないでっ!ほのおのキバ!!」
「……!」
ジンオウガの牙に灼熱の炎が溢れ、その牙でラギアクルスの首へと噛み付いた。流石にこれは効いたようで、ラギアクルスは口から前脚を離すとそのまま距離をとった。
「ジンオウガ、大丈夫?」
「ガルル……」
マズイな……しもやけ状態になってる。対して向こうはやけど状態にならなかったみたい……。
加えてあの反応……ダメージはあるけど弱点ではない、か。
「……先ほどの反応から察するに、そちらのジンオウガはこおりタイプが苦手のようですね」
「バレましたか……けれど、次からは当たりませんから!」
「ガオウッ!!」
「その意気です。あたくしとラギアクルスも、まだまだ全力ではありませんから!」
「グルラァ!!」
それにしても、ガラナさんとラギアクルスのコンビ……とてもさっき組んだとは思えないほどの連携だ。きっとガラナさんは、とても根気強くラギアクルスを観察していたに違いない。覚えられる技を把握できてしまうほどに……。
「今度はこちらからです。……素早く、ウェーブタックル!!」
「グルルル……グラァ!!」
水流を纏ったラギアクルスが、一気にこちらへ突撃してきた!それなら、こっちも!
「素早く、アイアンヘッド!!」
「ウオオオオォォォンッ!!」
同じように鋼の力を纏ったジンオウガが突撃し、両者共に激しく激突した。力は拮抗し、またもや弾かれた。
……いや、僅かにラギアクルスの体勢が崩れている!
「ライジングテール!」
「ウオォン!!」
ジンオウガが一気に接近し、攻勢に出る。
ライジングテールはジンオウガ専用の技で、内容としては体を捻ってから周辺を尻尾で素早く薙ぎ払い、その反動で空中に飛び上がる攻撃だ。稽古中も頻繁に使ってきていて、そのあとの空中からの追撃はわかっていても対応が難しかった。
尻尾攻撃がラギアクルスの顔を直撃し、ジンオウガは空中に躍り出た。このまま追撃をする!
「ジンオウガ!シャドークロー!!」
「……!ラギアクルス、かみくだく!!」
影の爪で強襲しようとしたジンオウガだけど、それよりも早くガラナさんの指示が飛んだ。ラギアクルスも素早く反応し、ジンオウガの首元へと思い切り噛み付いた!
「ガッ!?」
「ジンオウガ!!」
「そのまま叩きつけなさい!」
「グルルルラァ!!」
「ガアァァッ!!」
ラギアクルスが渾身の力でジンオウガを叩きつけた。背中から思い切り倒されたジンオウガは苦しみもがいている!
「ラギアクルス、れいとうビーム!」
「っ!?かみなりパンチ!!」
「……!ガウァ!!」
「グルァ!?」
咄嗟に指示をしたかみなりパンチが上手く決まった!ダメージこそはないけれど、ジンオウガの前脚はラギアクルスの顎を思い切りかち上げた……直後、はかいこうせんもかくやとばかりの極太のれいとうビームが空に向かって放たれた。
……あ、あんなの当たったら死んじゃう……。
ジンオウガはなんとか体勢を立て直して距離を取ることができた。ここは遠距離から牽制を!
「はどうだん!」
「力強く、シャドーボール!!」
ジンオウガのはどうだんと、力業で放たれたラギアクルスのシャドーボールがぶつかり合い、激しく爆発した。ここだ!!
「じゃれつく!!」
「ウオオォン!!」
「グルオォォ!?」
「ラギアクルス!?」
ジンオウガのじゃれつくが命中し、ラギアクルスが苦しそうに声を上げた。ガラナさんが驚愕に顔を歪めている。
フェアリーが弱点……見た目とも相まって、やっぱりドラゴンタイプか!
「みずのはどうで引き離すのです!」
「グルァ!!」
咄嗟に足元へみずのはどうを放ち、その衝撃でジンオウガは距離を取らざるを得なくなった。
けれど、収穫は十分にあった……!
「弱点、見つけましたよ」
「くっ……さすがはショウさま、バトルはお手の物ですね」
「ありがとうございます」
ジンオウガもラギアクルスも、お互いに息が上がっている。まして、ジンオウガはしもやけ状態のままだ……このままでは、先にこっちの体力が尽きてしまう。
体力が尽きる前に、一気呵成に攻めるしかない!!
「決着をつけます……!つるぎのまい!!」
「ウオオオオォォォォォォォンッ!!
激しく踊り、力を高めるつるぎのまいで攻撃力を上げて、一気に攻める!!
「させない……!ラギアクルス、りゅうのはどう!!」
「グルオオォォォォォ!!」
力を高めたポケモンに近づかず、しかし威力の高い技での攻撃。
……読んでいた!!
「でんこうせっか!!」
「ガオウ!」
りゅうのはどうを紙一重で回避し、一気に突撃!
「グラッ!?」
「そんな!」
こちらの読み通りの回避に、ラギアクルスとガラナさんが同時に驚き声を上げた。
その隙、もらった!
「ジンオウガ!メガホーン!!」
「ガアアアアッ!!」
ジンオウガ渾身の一撃が決まった!
「グルァッ!」
「しまった!?」
メガホーンを受けて怯んだ隙を逃さない!
「ジンオウガ!トドメの……はかいこうせん!!」
「ウオオオオォォォォォォォンッ!!」
これで、終わりっ!!
「グルアアァァァァァッ!?」
「ラギアクルスッ!!」
トドメの破壊光線も決まった!!爆煙が晴れると、そこには力なく体を横たえたラギアクルスの姿があった。
「あぁ!ラギアクルス!!」
「グルルル……」
ガラナさんが急いで駆け寄り、そっと傍に寄り添う。ラギアクルスは「問題ない」と言うように、ガラナさんの方へと視線を寄越していた。
「……ごめんなさい、ラギアクルスさま。あなた様の背中を預けられながら……」
「グルラ」
「……えぇ、ありがとうございました。あなた様とともに戦えたこと、一生の誇りですわ」
結果的に敗北ではあったけれど、ガラナさんは清々しい表情だ。そんなガラナさんを見てか、ラギアクルスもどこか満足気にしていた。
「ガラナさん、かいふくのくすりです。使ってあげてください」
「ありがとうございます、ショウさま」
私はジンオウガに、ガラナさんはラギアクルスにそれぞれ回復アイテムを使ってあげる。二匹の傷もすっかり治り、元気になってもらえた。
「どうだったかな、ラギアクルス。私はあなたのお眼鏡にかなったかな?」
「グルル」コクコク
「それじゃあ、改めて……私に力を貸して、ラギアクルス!」
「グルオォォア!!」
ラギアクルスの咆哮が、夜のイチョウの浜辺に木霊する。私はモンスターボールを取り出すと、それをラギアクルスに押し付けた。一瞬にしてラギアクルスがボールの中に収まり、捕獲の合図の花火が打ち上がった。
「これからよろしくね、ラギアクルス」
「……ショウさま」
三匹目となる、新たな仲間……ラギアクルスに思いを馳せていると、ガラナさんが声をかけてきた。
「……はい、ガラナさん」
「ラギアクルスさまのこと……どうかよろしくお願いしますね」
「もちろんです、任せてください」
「…………」
ガラナさんは、何かを言いたそうにしている。しばらく葛藤するように目を閉じていたガラナさんだったけど、小さく息を吐くと目を開けた。
「……ギンガ団追放の件、理不尽極まりなしとカイから伺っております。
尽くしてきたムラ、組織の突然の裏切り……。ショウさまがその胸に抱いた憤怒、憎悪、悲哀、艱苦……十代半ばにして一人、野に放たれたその心中、察するに余り有る……。
カイもまた、一組織の長としてあなたを助けられない事を嘆いておりました」
「カイさんが……」
「ショウさん。お辛いでしょうが、今は雌伏の時……耐え忍び、機を窺うのです。あるいは、この空をどうにかできれば……」
「……そのためにも、力が必要なんです。そのための、彼らなんです」
「……!なるほど……それでは、ショウさまは最初からラギアクルスさまを目的に?」
「いえ、その……それは、ジンオウガが連れてきてくれたといいますか……。私はただジンオウガの背に乗ってきただけなので……」
「ジンオウガ……?あの狼のポケモンが?」
「はい……」
思えば、ジンオウガの行き先は常にはっきりとしていた。深紅沼にいるグラビモスに会いに行く時も、イチョウの浜辺でラギアクルスと出会った時も……まるで、最初からそこで会うつもりだったかのようで。
私、まだまだジンオウガたちのことを知らないなぁ……今度、私なりにジンオウガたちのことをまとめたポケモン図鑑でも作ってみようかな?ラベン博士の図鑑作り、楽しそうでちょっと興味があったんだ。
「ジンオウガ……それに、岩のドラゴンポケモン……」
「あ、あの子はグラビモスって言います」
「そう、グラビモス……そして、ラギアクルスさま……どの方々も、不思議と浮世離れしたかのような、似通った雰囲気をお持ちですね。この世ならざるもの、とでも言いましょうか……見目にとどまらず、その力もまた過剰とも言うべきものです」
「…………」
ガラナさんの言葉を受けて、私の脳裏をよぎったのはラギアクルスのれいとうビームだ。あのれいとうビーム、かなり殺意が高かったな……。
それだけじゃない。ジンオウガの技も、ラギアクルスの技も、同じポケモンが使ったとは思えないほどに威力が高かった。体が大きいから、という理由だけではない。おそらく秘められた潜在能力が、普通のポケモンよりもずっと高いからだ。事実、今日のバトルで見たラギアクルスのアクアテールとダイケンキのアクアテールでは、威力にかなりの差があった。
「彼らはどこから来たのか、いつからこのヒスイの地にいるのか……疑問は尽きませんけれど、彼らがいてくれたからこそあたくしは先代の島キングを救われ……そして、ショウさまもまた、救われた。……そうでしょう?」
「はいっ」
あの時の蹄鉄ヶ原での出会いは、偶然かも知れない。けれど、その偶然があったからこそ、今の私がある。ジンオウガと初めて出会ったあの日のことを、私は一生忘れないだろう。
「ショウさま、忘れないでください。あなたを疑う者もいれば、あなたのことを信じている者もいることを」
「ガラナさん……」
「……おぉーい!」
「「?」」
ガラナさんの言葉を噛み締めていると、遠くから誰かが呼んでいた。揃って声の方へ振り向けば、見慣れたイチョウ商団の服を着た男性が走ってきていた。
「ウォロさん?」
「はぁ……はぁ……。いやぁ、やっと見つけましたよショウさん!ジブン、あなたをずっと探していたんですよ!お得意さまがいなくなると、ジブンも困りますからね」
「えぇ……?」
走ってきたのはウォロさんだった。若干、息が上がってる……どれだけ走り回ってたんだろう?
ウォロさんはイチョウ商会という組織に所属する人で、よく私に絡んでくる人だ。人差し指を立てて話す不思議な癖がある。
「えっと……なんだか探してもらってたみたいですみません」
「いえいえ!これくらいの労力なら大したことありませんよ。実は、ギンガ団、コンゴウ団、シンジュ団のいずれにも居場所がないショウさんのために、いい場所の情報を持ってきましたよ!」
「そうなんですか?」
「えぇ、それは――」
ポンッ
「――え」
「ガオウッ!!」
「のわぁっ!?」
ウォロさんが持ってきたという情報を話そうとした、その時だ。ボールからジンオウガが飛び出して、ウォロさんを咆哮の圧で軽く飛ばしてしまったのだ。
ゼロ距離で咆哮を浴びせられたウォロさんは、ジンオウガの威圧感もあって腰を抜かして倒れこんでしまった。
「ジ、ジンオウガ?」
「グルル……」
パクッ。
「へ……うひゃあっ!?」
ジンオウガの突然の行動に驚いていると、今度は私の服を口に咥えるとそのまま私を持ち上げてしまった。しかもジンオウガは私を宙に放り投げるとそのまま自身の背中に私を乗せて、一気に走り出してしまった。
「え、ちょ、ジンオウガ!?」
「あっ!?ちょっと!ショウさーんっ!?」
「ご、ごめんなさーい!!」
ジンオウガが止まってくれる様子もなく、せっかく私を見つけてくれたウォロさんを置いてけぼりにしてしまった。
ウォロさん、ごめんなさい……。この埋め合わせは……まぁ、いつかします。いつか。
「……行ってしまわれましたね」
「…………」
「本当に不思議なポケモン……ショウさんはどこへ向かわれるのでしょう」
「…………」
「それでは、あたくしも失礼しますね」
「…………」
「…………」
「……………………」
「……なんなんだ、あのポケモンは」
「いや……あれはポケモンというより、むしろ……」
「……クックック」
「これも、全なる神の思し召し……か」
バトルシーン、ちゃんと皆様に伝わったでしょうか?
モンハンの攻撃にポケモンぽい名前を付けるのがなにげに一番難しい……
ちなみに今回登場したライジングテールはいわゆるサマーソルトです
由来としては超帯電状態で雷属性を得るので「強化=ライジング」となります
あっ、アンケートの件、ありがとうございました!
みんな、ショウちゃんのこと好きすぎんか……?