夜の黒曜の原野に呼び出された私を待っていたのはシロちゃんと、シロちゃんの白さと対照的に真っ黒になったリオレイア……刻竜ラ・ロだった。ラ・ロの力は凄まじく、リオレウスの攻撃がほとんど通用しない……それどころか、膂力でも完全に押し負けてしまうほどに差がついてしまっている……!
「リオレウス!メタルクロー!!」
「つばさでうつ」
「グオオオオ!」
「グアオオッ!」
場所は変わって現在、蹄鉄ヶ原上空。リオレウスが足の爪でメタルクローを放つが、ラ・ロは翼爪で受け止めるとそのまま体を反転させてその勢いでリオレウスを投げてしまった。
「りゅうのはどう」
「グアアアアアオッ!」
「グオオッ!?」
「リオレウス!」
りゅうのはどうが直撃したリオレウスはそのまま落下。そこをラ・ロが追撃してきた。
「「ドラゴンクロー!」」
「グアアアオ!」
「グオオオン!」
リオレウスは素早く体を反転させて翼爪を振るい、ラ・ロは足の爪でそのままリオレウスに蹴りかかった。二頭はもつれ合ったまま地上へ落下し、激しく土煙を巻き上げた。
「リオレウス……!」
「…………」
状況を見守る中、少しずつ煙が晴れていく。晴れた先ではダメージを負って肩で息をするリオレウスと、余裕綽々といった様子のラ・ロがいた。
「……はぁ。こんなものなの?」
「くっ……!」
「破滅レウスへ覚醒した根性は認めてあげてもいいけれど、精神論だけじゃ強くなれないわ。理性を捨てて、本能を解き放ちなさい。そうやって押さえつけたりするから、肝心なところで力を発揮できないのよ。
破滅レウスが最強ですって?その思い込みが既に間違いよ。破滅レウスは確かに強いけど、それは現状の貴方が最強であることの証明にはならないわ。足りないのよ、自らの中に描く最強の己が。貴方の最強とは、理想とは、こんなに浅いものだったの?」
「グルルル……!!」
「私に苛立つのは結構だけれど、今の貴方に彼女の覚悟をどうこう言う権利はないことを忘れないでちょうだいね」
「…………」
……ちょっと何言ってるかわからないけど……シロちゃんの言い分を解釈すると、現状でも十分強いけどそれで満足するな、ってことかな?最終進化まで進化したからといって、そこで満足することなくさらに進化するつもりで強くなれ……ってことで合ってるかな?
そして、リオレウスは無茶の末にたどり着いた現状に満足してしまっているから、さらに強くなる可能性……ゼルレウスに進化できないということ。
そして、リオレイアはリオレウスの無茶を目の当たりにして、今のままではダメだと一念発起。もしかしたら、リオレウス以上の無茶をして今の姿であるラ・ロに行き着いたのかもしれない。
ただ無茶や無理をすればいいというものでもないと思う。リオレイアは、一体どんな覚悟で、何を想ってラ・ロへ進化したのか……それさえわかれば、なにかヒントが見えてくるかもしれない。
「リオレウス、まだやれるね?」
「……!グオン!!」
「よし、ぼうふう!!」
「グオオオオッ!!」
リオレウスが放ったぼうふうは、あっという間にラ・ロを包み込んだ。ラ・ロは翼爪を地面に突き立てて耐えているようだが、このままじっとするつもりはない!
「ドラゴンダイブ!」
「グオン!」
「避けて」
「グアン!」
ぼうふうの中心にいるラ・ロに向かって、リオレウスが上空からドラゴンダイブで突っ込んでいく。シロちゃんは冷静に回避を指示して、ラ・ロも空中へ飛び上がった。リオレウスはそのまま地面に突っ込んだけど、これも狙いの一つ!
「……!リオレウスの姿が……」
そう、ドラゴンダイブで地面に突っ込んだ勢いで巻き上げられた土煙が、リオレウスの姿を包み隠す!まだまだ!
「りゅうせいぐん!!」
「グオオオオオンッ!!」
ラ・ロに向かって放たれたエネルギーは顔の真横スレスレを通り過ぎて行き、はるか上空で炸裂した。
「ラ・ロ、回避を――」
「逃がすなっ!インファイト!!」
シロちゃんの指示でりゅうせいぐんを避けるべく振り返ろうとした、その一瞬!そのひと呼吸があれば充分だ!あっという間にラ・ロに肉薄したリオレウスが、ラ・ロにインファイトを叩き込む!体当たり、翼爪による斬撃、そのまま上をとって蹴り!りゅうせいぐんが避けきれない距離に近づくまでひたすらに攻撃を叩き込み、タイミングを見て一気に離脱!りゅうせいぐんが次々とラ・ロに直撃し、たまらずラ・ロは墜落した!
「へぇ……」
「どう?シロちゃん」
「悪くないね。ショウの戦わせる才能に彼らの力が加われば、さもありなんってところか。まぁ……それでも及第点だね」
「なにを……!」
ほとんど完璧に決まったといってもいい連続攻撃だったのに、シロちゃんからは及第点……!?どういうことかと疑問を抱くも、その答えはすぐにわかった。
「そんな……!?」
「ラ・ロにはまだ届かないかな。ゲーム風に言えば体力は減ったけど自動回復量以下ってところだね」
煙の中から姿を見せたラ・ロはほとんど無傷だった。ダメージは負ってるのだろうけど、外傷に表れるほどではないということか……!
「さあ、どんどん行くよ。エアスラッシュ」
「躱して!」
「グアアアァァオッ!」
「グオン!」
ラ・ロが放つエアスラッシュを、リオレウスは空中へ躍り出て次々と回避していく。けど、完全には躱しきれていない……所々を攻撃が掠めている……!
「ばくおんぱ」
「グアオオオオオォォォンッ!!」
「グオオッ!!」
回避を続けていたリオレウスだったが、ラ・ロに先回りされてばくおんぱを直撃させられてしまった!
「立て直して!ドラゴンダイブ!!」
「ドラゴンクロー」
「グオンッ!グオオオオオォッ!!」
「グアオオッ!!」
持ち前の空中制御で体勢を立て直し、すぐさまドラゴンダイブで突っ込む!ラ・ロは翼爪によるドラゴンクローでリオレウスを抑えにかかるが、それでもリオレウスが強引に突き破ろうとしたところで爆発。両者は大きく距離をとった。
「ラ・ロ」
「グアン」
「ふふっ、そうこなくっちゃ」
「リオレウス、まだ大丈夫?」
「グオン!」
リオレウスは「まだまだやれる!」と意気込んでいる……は、いいものの、戦局的に見ればこちらが不利だ。
シンプルに、力の差が大きすぎる。ラ・ロは私がこれまでに遭遇したモンスターの中でも一線を画してヤバい。アルバトリオンやミラボレアスは「古龍だから」とその強さに説明がつくものの、ラ・ロはそれが一切当てはまらない。一見するとリオレイア、だがその中身は全く別の生物……なるほど、『UNKNOWN』と呼ばれるわけである。
さっきからリオレウスの攻撃を何度も受けているはずなのに、ケロリとしている。いや、ダメージは確実に積み重なっているんだろうけど、それも微々たるもの……塵も積もればなんとやらとは言うが、一度に積もる塵の量によっては途方もなく時間がかかる。
……やはり、たどり着くしかないのか。ゼルレウスに。
「ほらほら、ぼーっとしてないでいくよ。ラ・ロにはこんな戦い方もできる……ミサイルばり!」
「グアォン!」
ラ・ロの背中……リオレイアの時からの特徴である背中の刺が赤く輝き逆立つと、猛烈な勢いでミサイルばりが発射された!?
「避けて!」
「グオン!」
リオレウスは大きく羽撃き、すぐに高速で移動を始めた。だが、ミサイルばりもリオレウスに負けない速度で追従している。リオレウスは時折振り返ってかえんほうしゃを放ちミサイルばりを撃ち落としたり、バレルロールで振り切ったりしている。
「サイコカッター」
「グアアン!」
と、ここでサイコカッター!?ラ・ロの尻尾にサイコパワーが集まると、それをサマーソルトで一閃、サイコカッターを発射した!いや、まだだ!
「フレアドライブ!」
咄嗟の指示が間に合い、リオレウスはその身に炎を纏った。フレアドライブの炎はこの瞬間だけはリオレウスの身を守る鎧となり、サイコカッターとミサイルばりを阻んだ。
「へぇ、やるぅ!それじゃあ、こんなのはどうかな?りゅうせいぐん!」
シロちゃんは次の指示を飛ばした!ラ・ロはまず、りゅうせいぐんを打ち上げた。大きな隕石の塊が天高く登り砕けた、その直後!
「りゅうせいぐんを、ぼうふうで全て飲み込んで!」
「なにを……?」
続いて出された指示はぼうふう。ぼうふうの技で発生した巨大竜巻はりゅうせいぐんを次々と飲み込み、荒れ狂う嵐の中に隕石が飛び交う危険な竜巻と化した。
「まさか、その竜巻を……!?」
「ふふ、気づいた?でももう遅い!ラ・ロ、その竜巻をリオレウスにぶつけなさい!」
「グアアアオオォン!」
ラ・ロが翼を力強く羽ばたかせると、竜巻がリオレウスに迫って来る。
「リオレウス、躱し――」
「グオオオオオオオオオンッ!!」
「あっ、リオレウス!?」
私が回避を指示しようとしたところ、リオレウスは私の声を無視してギガインパクトで竜巻に突っ込んでしまった!?竜巻の中で、何かが激しくぶつかる音がする……リオレウス……!
竜巻を突き破って、リオレウスが姿を現した。だが、翼爪は折れ、背中の甲殻が剥がれ、全身に余すことなく傷をつけた姿がそこにあった。
「リオレウス……!!」
「うーん……埒が明かないわね、ちょっとギアを上げてみようか(意地張っちゃって……なまじ前世が人間だったから、理性が強すぎるわね)」
「……!ま、まだ何かあるの……!?」
「うん。覚悟なさいな、リオレウス。……貴様の理性、完膚なきまでに破壊する」
シロちゃんは両腕を大きく広げると、高らかに叫んだ!
「さぁ、刻竜よ。その龍魂を目覚めさせなさい」
「グアアアアオオオオオッ!!」
ラ・ロが大きく咆哮を上げると、全身から燃えるようなオーラが溢れ出した!?咆哮を終えるとオーラは消えてしまったが、今のは……?
「ふふ、まずは一つ」
「……っ!リオレウス、アイアンヘッド!!」
「グオオン!!」
「デス・ディストーション」
ラ・ロが状態を持ち上げ、口元にブレスをチャージし始めた。リオレウスが頭を突き出し頭突きしようとした直後……飛び上がったラ・ロが足元にブレスを発射し、リオレウスをまるまる飲み込むほどの大爆発を起こした!?
「グオオオオッ!!」
「リオレウスッ!!」
リオレウスがゴロゴロと転がり、シシの高台を挟んだ川に落下してしまった!
「
続いてラ・ロは翼爪を勢いよく地面に突き刺し体を固定すると、まるでマグマライザーのような光線を放った。その光線はタイミングよく川から上がったリオレウスに直撃、そのまま押し込み崖に叩きつけると、射線をずらしてリオレウスを持ち上げて崖の向こうまで吹っ飛ばしてしまった!!
「行こっか」
「ッ!!」
「大丈夫、殺しはしないよ。それこそ、そんなことしたら私がラ・ロに殺されちゃう――」
「それは……」
「――か・も・ね?」
「…………」
今ばかりはシロちゃんが何を考えているのかわからない……けど、リオレウスを追いかけなくちゃいけないのは確かだ。
久しぶりにカミナギの笛でアヤシシを呼び出した。ムラを追放されて、ジンオウガと出会ってからはなるべく彼らに頼らないようにしていたけど、せっかくだから頼んでみることにした。……正直、ずっと呼んでなかったから拗ねてるかなと危惧していたけど、そんなことはなかったよ。
ただ、アヤシシがシロちゃんを見るなり彼女の目の前で傅くものだから、物凄く驚いた。彼らは所謂『土地神』みたいなものだから、そんな彼らがシロちゃんに頭を下げる光景は異常だった。ヨネさんが見たら、ひっくり返りそうだなこれ。
一方でシロちゃんはというと……動揺することなく「構うな、楽にせよ」とか、「今は一度、この身を預けよう」とか、これまたすごく荘厳な言葉遣いでアヤシシに話しかけていた。それに対してアヤシシも、最大限の礼儀を尽くさんとばかりにシロちゃんを騎乗させていた。
「ほら、行こう?」
「……シロちゃん」
「なに?」
「キリンにもそれくらいの態度で接してあげても良いのでは?古龍種、なんだよね?」
「あの子はいーの、だってマゾだし」
「…………」
……どこかから『心外だー!!』とばかりに嘶きが聞こえた……気がした。
リオレウスを追ってアヤシシが駆ける。向かった先はオヤブンオドシシがいる高台の一部だ。ここはリオレウスくらいのサイズだとかなり狭いけど……。
「リオレウス!」
「グルルルル……!」
高台はラ・ロが陣取っていて、リオレウスは坂道に立っている。こういう時、高所を陣取ったほうが有利って聞くけど、確かにそうかもしれない。リオレウスやラ・ロは首が長い……あの長い首を持ち上げてまで上を見上げようと思ったら、かなりの負担になるんじゃなかろうか。
「解き放て」
「グアアアアオオオオオッ!!」
シロちゃんの指示。再びオーラを放つ咆哮を上げるラ・ロ。……これは直感だけど、あの咆哮を打たせるのはまずいかも知れない……!
「リオレウス!ハイパーボイス!!」
「グオオオオオオオオオオオッ!!」
「エアカッター」
「グアアアオ!」
リオレウスがハイパーボイスを放つも、エアカッターでかき消された……!?
「目覚めよ」
「グアアアアオオオオオッ!!」
さっきよりもラ・ロの能力が上がっている……やっぱり、さっきのオーラの咆哮がラ・ロを強くしているんだ!
「あの咆哮を止めなきゃ……!飛んで、リオレウス!!」
「グオン!」
坂道ではやりづらい!リオレウスの得意分野である空中へひとまず移動し、動きやすい状態にしないと。……心なしか、ラ・ロの目が赤くなっているような……いや、口元も火炎が激っていて明らかに様子が変わっている!
「ラスターカノン!」
「グオオオン!」
「飛べ」
「グアン!」
リオレウスのラスターカノンを躱し、ラ・ロはあっという間にリオレウスよりも高く飛んだ。
「ソーラービーム」
「躱して!」
ソーラービームをノーチャージで!?けど、これは躱すことができた!
「ギガインパクト!!」
「
渾身の力で突撃をするリオレウスに対し、ラ・ロは大きく羽ばたくとリオレウスの接近に合わせていきなり爆発を起こした!その衝撃でそのまま押し返され、リオレウスは凹んだ谷間へ墜落した。あそこは確か、オヤブンパラセクトが居た場所……リオレウスはなんとか起き上がったけど、かなりダメージが積み重なっている……!
「叫べ」
「グアアアアオオオオオッ!!」
……っ!また、あのオーラの咆哮……今度はナルガクルガみたいに目から赤い線が引いている……!
「どうした、もう終わりか?」
「まだ、まだ……!リオレウス!!」
「グオオン!」
リオレウスは再び飛び立った。その様子に、シロちゃんは目を見開いていた……ん?
「……なぜ生きている」
「え?」
「かなりダメージを負ってるはずなのに、まだ飛べることに驚いて……すごい根性だね」
「そこがリオレウスの強みだからね」
まぁ……確かに今や翼も甲殻も余さずボロボロだし、飛べる方が不思議と言われても不思議じゃない……待って、翼ボロボロどころか翼膜が穴ボコだらけだよ!なんで飛べるの!?
「まぁ、戦えるならなんでもいいよ。さ、かかっておいで」
「よし……りゅうのはどう!」
「グオオン!!」
リオレウスが放ったりゅうのはどうはラ・ロにまっすぐ直撃した。おかしい、なぜ避けるような動きを見せなかった……?
「な……!?」
「ふふふ」
煙が晴れていくと……まったく微動だにしていないラ・ロの姿が!ど、どういうこと……!?
「オーラの咆哮」
「……!!」
「あれは、ラ・ロの力の解放。その力を解放することで強化するだけでなく、五属性に対する抵抗力を高める。既に四段階開放した……今のラ・ロには火・水・雷・氷・龍の属性は通用しない」
「そんな……」
まずいことになった。リオレウスの強力な技はほのおタイプとドラゴンタイプに寄っている……自分が得意とするタイプの技を封じられたも同然だ!どうすれば……!?
「グオン!」
「……!リオレウス……」
「( ̄▽ ̄)」
呼びかけられ、振り向けばリオレウスが口角を釣り上げている……まるで「大丈夫!」「楽しめ!」と、そう言っているかのように……。
「……いくよ、リオレウス!きあいだま!!」
「グオオオ!」
「サイコカッター」
「グアアオ!」
「まだだ!バークアウト!!」
「グオン!!」
リオレウスが放ったきあいだまはエスパー技のサイコカッターでかき消された……けど、こっちだってバークアウトでサイコカッターを吹き飛ばしてやった!バークアウトはそのままラ・ロに命中!ラ・ロの特攻を下げることができた!
「あら……弱体化?」
「突っ込め!はがねのつばさ!!」
「グオオオオオッ!!」
「ばくおんぱ」
「グアオオオオオォォォンッ!!」
「上昇!!」
「グオッ!」
ラ・ロがばくおんぱを放ってきたけど……読み通り!私の指示を受けたリオレウスがその場で力強く羽ばたき跳ねるように上昇!ばくおんぱを紙一重で回避した!!
「む……」
「アイアンヘッド!」
「グオオオン!」
「グアッ……!」
「続けてポイズンテール!!」
「グオオオ!」
アイアンヘッドがラ・ロの顔面に命中!これにはさすがのラ・ロも怯んだようで隙を晒した!すかさずポイズンテールでラ・ロを叩き落とし、今度はこっちが撃墜できた!!
「やった!」
「(成長しているのか!だとしてもありえない、早すぎる……!)猛ろ」
「グアアアアオオオオオッ!!」
撃墜したラ・ロだが、オーラの咆哮でさらに力を高めたようだ。翼膜が赤く光り模様が浮かんでいる他、目元も亀裂のような模様が浮かんで赤い目の光がその模様にまで及んでいる。……どんどん禍々しくなっているような……!
「スケイルショット」
「グアアアン!」
「避けて!!」
「グオン!」
ラ・ロのスケイルショットが次々と飛んでくる中、リオレウスも攻撃を的確に回避している!前よりも動きが良くなってる!
「エアスラッシュ!」
「こっちもエアスラッシュ!」
「「グオオオン!/グアオオン!」」
……?今一瞬、リオレウスから青い色のオーラが出てきたような……いや、それよりもラ・ロのエアスラッシュと互角の撃ち合いができてる!どんどん強くなってるよ!
「(これは……マズイ、葵と焔の精神が繋がろうとしている!?葵を介して、焔自身も成長しているのか!!)破壊せよ!」
「グアアアアオオオオオッ!!」
ラ・ロが何度か足踏みをしてから咆哮を上げると、全身から青いオーラが溢れ始めた!これは……これ以上なにかされるとまずいかも!
「ドラゴンダイブ!」
「アクロバット!」
ここまでくると、もう五属性のタイプ技は使わない方がいい、まである。ハンター風に言うなら、無属性攻撃ってやつだ!
リオレウスとラ・ロがぶつかり合う。その時、ラ・ロの青いオーラがなぜかリオレウスにまで伝播していった!?
「グオオオオオオオオオオオオンッ!!」
「グアアアアアアアアアアアオンッ!!」
「な、なにこれ……」
「(共鳴、している……。信じられない……こんなことが……!?)」
私たちが目の前の光景に圧倒される中、両者は大きく弾かれ合った。……すごい、いつの間にか互角にまでなってる……。
「万物万象、森羅万象、一切合切を灰燼に沈めろ!目覚めろ刻竜!!」
シロちゃんがそう告げると、ラ・ロの様子がいきなり変わった!大きく飛翔すると、風抜け道の方へと飛んでいくラ・ロ。リオレウスも後を追い、私たちもアヤシシに乗ってそのあとに続く。
大きく旋回し続けるラ・ロ……次第に黒い旋風が岩や瓦礫、果てはポケモンたちまで巻き込んで大きく巻き上げていく!そして、その中心にラ・ロは降りてきた。
龍と思しき属性によって体が紅く染まり上がり、その炯眼は爛々と燃え盛るように輝いている。元より黒かった体色はより暗さを増し、まるで闇に溶け込むかのよう……全身から龍属性のような電撃が溢れていて、これまでとは明らかに違う変化をもたらしていた。
「これは……!?」
「【至天】」
「し、至天……」
「うまく説明できないんだけど……もしかしたら、ボレアスに届くかも知れない脅威を持つもの、といったところかしら」
「ミラボレアスに!?」
「さぁ、ショウ。これにどう立ち向かう?」
推奨BGM
【至天UNKNOWN】~モンスターハンターフロンティア-G~
※正確には曲名不明です
「最初から!全力で!!すてみタックル!!」
「グオオオン!!」
「ハング・サマーソルト」
「グアアアアアアアオオォッ!!」
リオレウスが突貫を仕掛けるとラ・ロは足を引いて踏みしめつつ、思い切りサマーソルトを繰り出した!その強烈な勢いに直撃したリオレウスだけでなく、周囲の地面も抉りとりそのまま打ち上げた!
……地形が変わりそう。これは地図を書き換える必要が来るかもしれない。
「ぐっ……きあいだま!」
「ダーク・チャージ」
リオレウスがきあいだまを放つが、ラ・ロの周囲を暗い闇のようなものが包み込んだ……かと思えば、また大爆発を起こした!その威力は高台の山肌の一部が削れるばかりか、リオレウスのきあいだまを消し飛ばしリオレウスも吹っ飛ばした!
体勢が崩れたリオレウスに、ラ・ロが迫る!
「ダイブ・ディープエンド」
「グアアオン!」
「グオオォ……!」
ラ・ロはリオレウスに飛びかかるとそのまま地面に叩きつけ、しばらく引きずった後でサマーソルトの要領で放り投げた!リオレウスも何とか踏ん張り、空中で持ちこたえた!
「終わりにしよう……ラ・ロ!」
「くっ……リオレウス、奥義装填!」
リオレウスが、スカイハイフォールの構えに入る中、ラ・ロは物凄い勢いで闇を生み出し始めていた。ラ・ロが完全に見えなくなった頃、リオレウスが攻撃態勢に入った!
「スカイハイフォール!」
「さようなら……『ジ・エンド』」
闇を纏ったラ・ロと、スカイハイフォールで急速落下してくるリオレウスがぶつかり合い……夜を照らすほどの閃光とともに空中で大爆発が起こった!さらに、爆炎からの中から物凄い勢いで吹っ飛んだリオレウスがハマナスの島方面の水面に叩きつけられた!!
「リオレウスーッ!!」
「…………」
ラ・ロが降りてくる中、リオレウスは一向に上がってこない……まさか、気絶してそのまま!?
「どこ行くの?」
「決まってる!リオレウスを助けに行く!!」
「……流石にあの直撃を喰らって、意識を保ってられたら大したものだよ。素直に褒めてあげる。……でも、そっか。至れなかったか……」
シロちゃんがすごく残念そうに顔を俯かせた。ラ・ロは……リオレイアは、黙って水面を見つめているだけだ。って、そうじゃない!リオレウスを助けに行かないと!!
私がイダイトウを呼び出すべくカミナギの笛を吹こうとした……その時だった!
ザブン……ザブン……。
水面が少しずつ揺れ始め、ゆっくりと影が見え始めた。リオレウスだ!
「リオレウス――」
「…………」
姿を見せたリオレウスを見て、私は言葉を失った。甲殻や鱗が吹き飛び夥しい量の血が流れ、翼なんてもはや機能しないのではないかというほどに翼膜が消えてなくなっていた。
そして、なによりも……リオレウスは、白目を剥いたまま一歩、また一歩とラ・ロに向けて歩みを進めていたのだ。
「……信じられない、気絶したまま戻ってくるなんて。それほどまでに彼女が大事なのね……」
「き、気絶!?」
「今のリオレウスに意識はないわ……あるのは、リオレイアへの一途な想いだけ。その想いが、気絶してなおリオレウスを動かしている」
「リオレウス……!!」
翼を引きずり、しかし歩みは止まらず。真っ直ぐにラ・ロを目指す。私は、止めるべきなのか……それとも、最後まで見守ってあげるべきなのか……。
「……憐れだわ。今度こそ、終わりにしましょう」
「シロちゃん!待っ――」
「ラ・ロ、ドラゴンエナジー!!」
ラ・ロが、龍属性エネルギーを混ぜたドラゴンエネルギーを激しく放射した!ダメ!今のリオレウスは受けることも避けることもできないのに!!
「ダメエエェェェッ!!」
どうにもならないと思いつつも、手を伸ばすのを抑えられなかった。リオレウス――!
「焔……」
「……葵」
……!今の、声は……?
「なん……だと……!?」
一瞬、声が聞こえたような気がして呆けてしまったけど、シロちゃんの声で現実に引き戻された。見れば、ラ・ロが放ったドラゴンエナジーを、気絶しているはずのリオレウスが口で受け止めていた……って、えぇ!?
「な、なにこれ!?」
「……!?吸収、している……ラ・ロのドラゴンエネルギー、そして龍属性を!」
「え!?」
ラ・ロが放射を止めると同時に、リオレウスがエネルギーを嚥下した。リオレウスの全身から立ち込める煙……がっくりと項垂れたリオレウスは微動だにしなくなった。
……いや、待って、これは!?
「リオレウスが――」
「――進化、する」
リオレウスに変化が起き始めた!それは、私にとって見慣れたもので、ポケモンが進化する際に見せる現象!力強い旋風は次第にリオレウスの全身を包み込み……光が弾けた!!
「うっ……」
「くっ……。……あ、うわぁ……!!」
光が収まり、私が顔を上げると……そこには、美しいモンスターがいた。
容姿自体はリオレウスと酷似しているが、その体色は穢れなき「白」。
甲殻の隙間からは蒼い光を放ち、青白く輝く結晶のようなものに変化した翼爪。
純白色の翼には蜂の巣のようなハニカム構造状の模様が刻まれ、翼爪から放たれる蒼光に照らされて非常に美しい。
「……これ、が……」
「そう。これこそが刻竜と対を為すと言われる、天光に包まれた塔の頂上にて確認された伝説の"白き蒼空の王"……
『輝界竜 ゼルレウス』だよ」
「ゼルレウス!」
リオレウス……破滅レウスが進化して、ゼルレウスになったんだ!ゼルレウスはゆっくりと私に顔を向けた。
……そういえば、コイキングとギャラドスという例があるように、進化することで極端に性質や性格が変化するポケモンもいる。もしかしたら、モンスターも……そんな一抹の不安に駆られつつ、私は彼の名前を呼んだ。
「……ゼルレウス?」
「グオン!」(。ゝω・。)
呼んでみれば、なんてことはなかった。彼は、私がよく知るリオレウスだ。その証拠に、こっちに向かってお茶目にウインクを飛ばしてきた。
「……ふふっ、進化しても変わらないのね」
「うん。だって、私のリオレウスだもん」
「あっははは!そうだったね!……それじゃあ続き、やろうか?」
「もちろん!……え?」
トレーナー同士が盛り上がる中、ゼルレウスはゆっくりとラ・ロに近づいていく。……なんだか、進化したことでゼルレウスは一回り大きくなったみたい。ラ・ロよりもそのサイズは大きい。
近づいていったゼルレウスは、翼を大きく広げると抱きしめるようにラ・ロを包み込み、翼で優しくラ・ロを撫でていた。
「クォン」
「……クァオン……!」
あやすように優しく鳴くゼルレウスに、ラ・ロはまるで泣いているかのような声で鳴き声をあげた。やがてお互いに顔を見合わせると……。
――チュッ。
「ひゃっ」
「あら~♪」
マウス・トゥ・マウス……いや、あの、なんか、うん……はい、そうですねキスですね堂々とキスしてますこの二頭。パカッ、と口を開けるとそのまま舌と舌がががggg
「はわわわわ!?」
「あらら~♪」( ̄∀ ̄)
いや、ちょ、まっ、別にそういうのは知らないわけじゃないけど直に目にしたことはないしなんならこれが初めてだしというかなんで初めてがドラゴン同士のキスなのかちょっと何言ってるかわからないけど私もそろそろ脳がバグりそうだよ!?
「……クゥ」
「グゥゥ……」
二頭はそのまま寄り添いあうように体を横たえて……なんか眠ってしまった。
「……シロちゃん、これ……どうすれば……」
「……ショウの勝ちでいいよ。愛は強し、ってやつだね」
「いいのかな、これで……」
むしろこれからってところだったと思ったんだけど……でも、これ以上戦える気がしないというか、完全に戦闘の空気が霧散しちゃったんだけど。
「いいんじゃない?おしどり夫婦のいい参考例になると思うよ」
「……待って、シロちゃん。どうしてそれを私に言うの?」
「え?テルとはヤってないの?」
「なにを!?」
というか、どうしてここでテル先輩が!?……いや、まぁ別にそういうことをするならテル先輩がいいというか、テル先輩としたいというか……ハッ!?私ったら何考えてるの!?
「もう完全に戦える雰囲気じゃないね。……ゼルレウスへの到達という目的は果たしたし、帰ろっか」
「……うん」
シロちゃんと共に、モンスター達をボールに戻して帰路に着く。途中、シロちゃんが何か話しかけてくれたような気がしたけど、私の耳には何も入らなかった。
……頭の中を、先輩とのキスシーンが無限ループしてたから。
ゼルレウス進化!からの……戦わないんかーい!!
脳内シミュレーションSV編……見たいですか?
-
見たい!見せろ
-
本編の方はよ