ポケットモンスターHUNTER アルセウス   作:箱厨

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ここからショウが本格的に『きずなへんげ』を目指していきます。


"きずなへんげ"への道……

ミラボレアスの侵略に備えて準備を進める私たち……いつ奴が攻めて来るのかはわからないので、なるべく早い段階で備えを整えておく必要があったんだけど……。

 

「どうしてこうなった……」

 

「それではこれより、第一回コトブキムラ対抗巨大ポケモン勝負大会を開催する!!」

 

頭を抱える私をよそに、ペリーラさんの元気な宣言が響き渡った。歓声を上げるムラの住民たち……まるで一人だけテンションがズレている私がおかしいみたいだ。

 

「まぁまぁ……始まったものはしょうがないよ、ショウ。諦めて楽しんだほうが楽だとおもうぞ」

 

「そうは言いますけどね、先輩……いや、私も勝負するのは一向に構わないんですけどね?まさかこんなに見物人が集まるなんて思わなくて……」

 

辺りを見渡せば、自分に課せられた作業をほっぽり出してポケモン勝負を見て盛り上がる村人たちがたくさんいる。普通の勝負だけならこれほど盛り上がることもなければ、ここ『大闘技場』に人が集まることもないだろう。

……あ、大闘技場っていうのはこの巨大バトルフィールドのことね。向こうの世界にある闘技場の話をしたら、それを気に入ったペリーラさんがこの場所をそう名付けちゃって、すっかり定着しちゃったんだよね。……って、そうじゃなかった。なぜ人が集まるのかというと……。

 

「いっけぇ!ベリオロス、アイスサイクロン!!」

 

「躱せタマミツネ!ムーンフォースだ!!」

 

今、バトルフィールドではワサビちゃん&ベリオロスペアとムベさん&タマミツネペアが激しいバトルを繰り広げている。

ベリオロスがアイスサイクロン(元:氷嵐砲)を放ち、タマミツネが軽快な動きでそれを避けつつムーンフォースで反撃に転じる。足元は凍りついていたり泡まみれになったりと目まぐるしく変化している。

 

「うーん、お互いに千日手ってところかな?」

 

「だな。いくら足場を泡まみれにしても飛んでいるベリオロスには意味がないし、その泡も氷で上書きされる。その代わりベリオロスは迂闊には地上に降りられないし、凍らせてもタマミツネのねっとうで氷が解かされるから場の奪い合いに発展している」

 

「泡まみれの足場に降りられないベリオロスと、泡を凍らされて機動力を確保できないタマミツネ……先に場を制したほうが状況を優位に持っていけるけど、ワサビちゃんもムベさんもその辺は一切抜かりないね」

 

ワサビちゃんとムベさんのバトルはほとんど互角の様相を呈している。特にムベさんとタマミツネのペアはこれが初実戦にも関わらずいい関係を築けている……いや、トレーナーとして要請したのは私なんだけどね?

この大会が始まる一週間前から空いた時間に話しかけに行っていたそうだけど、その短い期間で信頼関係が出来上がるなんて両者の間にシンパシーでもあったのだろうか。それも、向こうの世界ではバトルのパートナーだったセキさん以上の何かが。

 

「やるね、ムベさん!」

 

「なんの。まだまだ若者には負けておられんからな」

 

「それなら……ここからは本気で行くよ!ベリオロス!メガシンカ!!」

 

「ガオ"オ"オ"オ"オ"オ"ッ!!」

 

「むぅっ!!」

 

ワサビちゃんが帽子に付けられたキーストーンに触れて、ベリオロスが持つメガストーンと共鳴を起こす。メガベリオロスこと、【凍氷刃】ベリオロスへとメガシンカを果たした。ムベさんの表情が苦しげに変わったところを見るに、二人はまだメガシンカに至るほどの絆は紡げていないようだ。

メガベリオロスが地上に降り立つと、体から漏れ出る冷気で周囲の泡がそれだけで凍りつき始めた。おっと、これは間違いなく状況が動くね。

 

「いかん……!」

 

「いっくよー!奥義装填!グラウンドサイクロン!!」

 

「ガオオオン!」

 

「ギャウウゥン!!」

 

「タマミツネ!」

 

「……タマミツネ、戦闘不能!ベリオロスの勝ち!勝者、コンゴウ団ワサビ!!」

 

氷の嵐に打ち上げられ、タマミツネは戦闘不能。ペリーラさんが勝者の名を高らかに宣言すると、会場は一気に湧き上がった。うん、本当にいい勝負だった。

 

「ベリオロスー!かっこいー!」

 

「ガオ!」

 

「えへへ!子供たちに大人気だね、ベリオロス!」

 

「ガオガオ」

 

「うむ……よく頑張った、タマミツネ。もっと精進しよう、ワシと一緒にな」

 

「コォン」

 

「タマミツネ……負けても映えるわねぇ、写真撮りましょ」

 

勝っても負けてもお祭り騒ぎ、とはこのことか。ポケモン勝負を通してライバルともパートナーとも心を通わせ合うことで、より関係にも深みが増してくる。そうして絆を深めていくことで、メガシンカを可能とする領域へ達する……そこからさらに成長を遂げることでメガシンカエネルギーを体内に完全に取り込みメガシンカ形態へと通常進化する。これによって恒久的な戦力の確保を狙っているのだけど、未だ成果はあがっていない。

ジンオウガとゼルレウスが特別なのかな……いや、そんなことはないはずだ。みんなにはみんなの可能性がある、その可能性を信じてあげなくちゃ!そうなると、今一番兆候が見られるのはワサビちゃんとベリオロスかな。以前は子供の面倒を見るような態度が多かったベリオロスが、今はワサビちゃんを対等な関係として見るようになっていたから、きっと可能性があるのはあの二人だな、乞うご期待といったところか。

 

「お、次はセキさんとカイさんだ」

 

「グラビモスとガムートの超重量級勝負……これも結構見栄えがあるよね」

 

「純白の凍土じゃあ落ち着いて見られなかったけど、今となっては確かに見栄えのいい勝負だよな」

 

バトルフィールドに立つのはセキさんとカイさん。二人が同時に投げたボールから出てきたのはグラビモスとガムートだ。

 

「こういう振り分けにはなったが、やるからには手は抜かねぇぜ。カイ!」

 

「望むところだよ、セキ!グラビモスも、一回勝ってるからって二度も勝てるとは思わないでね!」

 

「……おぉ、これはいい勝負になりそうだな」

 

「だね」

 

テル先輩の言う通り、これはいい勝負になりそうだ。確かにグラビモスVSガムートは純白の凍土で一度グラビモスの勝利に終わっているが……今回はあの時とは大きく違う。

フィールドは言わずもがな、やはり一番はガムートにトレーナーがついていることだ。あの時のガムートは野生個体な上に、メガシンカ後は一時3v1で戦っていたというのもある。けど、今回は最初から最後まで1v1だ。

 

「「アイアンヘッド!」」

 

「「ヴアアア!/ガムーア!」」

 

お、初手はどっかで見たぶつかり合い。アイアンヘッド同士による押し相撲が始まった。こうなると……やはりガムートが動いた。いつだかのように鼻でグラビモスを締め上げようとする。

 

「おっと、その手には乗らねぇぜ!」

 

「ヴァ!」

 

だが、私からの話でそのやり口を知っているセキさんがそう言うと同時に、グラビモスが横ステップで体をずらし、ガムートの動きを避けた。力場を失ったことで前につんのめったガムートにグラビモスの追い打ちがかけられる。

 

「グラビモス、ラスターカノンだ!」

 

「させない!ガムート、ハイドロポンプ!!」

 

「ガムッ!」

 

すぐ後ろでラスターカノンを構えたグラビモスに対し、ガムートは鼻だけを伸ばして後ろに向けると、そのまま鼻からハイドロポンプを放った!ハイドロポンプとラスターカノンはぶつかり合い、大きな爆破を起こした。

 

「すっげぇ、あれを防ぐのか!」

 

「ガムートならでは、ってところだな」

 

「……いや、鼻から水ってソレ――」

 

「ネネ、お座り」

 

「ワンッ!」

 

ハンターのみんなも、この大会を観戦している。上からニールさん、シュラークさん、ネネさん、シズカさんだ。あと、ネネさんが思ったことはあえて誰も触れていないことなのでお口チャックしてくれたシズカさん、グッジョブです。

 

「ほぅほぅ、あそこからあんな動きが……それならあえて踏み込むか。いや、側面に回り込むのが正解か?」

 

そしてヒューイさん、あなたはどうして自分が戦うこと前提なんですか?これもハンターの性か……。

それからも、一進一退の攻防が続く。ガムートがふぶきを利用して雪をかき集めてアイスランチャーを放てば、グラビモスはかえんガスを羽ばたきで前方へ吹き飛ばす擬似ねっぷうで雪玉を溶かしきった。お返しとばかりにすいみんガスを羽ばたきで放つと、ホワイトブラスターで打ち消した。グラビモスがいわなだれをお見舞いすると、反撃のねっとうをガムートから浴びせられていた。

だいちのちからとシルバースタンプによる場の制圧合戦に、もろはのずつきとスノーデストロイヤーの押し相撲など、見応え抜群な大迫力の勝負が繰り広げられた。

 

「これはなかなか見ものだな」

 

「あれ、アカイさん?お帰りなさい」

 

「あぁ、ただいま」

 

と、ここでアカイさんが声をかけてくれた。いつの間に?……って、違う違う。せっかくアカイさんが帰ってきたなら、頼んでおいたあのことを聞いておかないと。

 

「アカイさん、どうでした?」

 

「うむ。時空の裂け目に可能な限り接近してわかったが、どうやらミラボレアスは時空の裂け目を抜けられないでいるようだ。今や君の手持ちとなったヒスイの三龍が、時空の裂け目になにかしら細工を施したのかもしれんな」

 

「パルキアたちが?」

 

「たしか、パルキアは権能を封じられているのだったな。それでも権能が生きているディアルガと、時空の裂け目を創造できるギラティナの二頭の協力のおかげで、ミラボレアスが安易に通れないようにしたのだろう。おかげでまだまだ猶予がある。慌てることなく、各々の成長に努めるといい」

 

「あとでお礼を言わないとですね」

 

ディアルガ、パルキア、ギラティナの三匹が、ミラボレアスの足止めを……本当なら、とんでもない大金星だ。いつミラボレアスが侵略に来るかわからない状況で内心で気を張り続けていただけに、すごく安心することができた。

 

「ほぉ、黒いのが来るのはもう少し先になるのか」

 

「キサマ……」

 

「あ、ヒューイさん」

 

と、ここでヒューイさんも会話に加わった。先輩は……あ、セキさんもカイさんもメガシンカでぶつかり合ってる。先輩は試合に夢中なようだ。

 

「いやぁ、あれってズルじゃね?原種がいきなり二つ名個体に化けるとか」

 

「それがメガシンカだ。トレーナーとの絆によって、さらなる成長を遂げることができる。セキ殿とカイ殿も、ようやくその領域に達したか。あとは、いかに早くショウと同じ領域に立てるか、だな」

 

きっかけはどうあれ、メガシンカ可能なトレーナーが増えるのはいいことだ。あとは、彼らがメガシンカ形態に通常進化できれば文句なしだが……。

 

「しっかしたまげたなぁ……少し前まで黒炎王だったと思ったのに、ある朝いきなり輝界竜だぜ?どんなトリックだっつーの」

 

「それが進化、というやつだ。この世界のモンスターを育てていたお前なら、わかるだろう?」

 

「あぁ、わかるぜ。いきなりでかくなるもんな、あれ。初見の時はさすがにビビったぜ」

 

「その節はすみませんでした、リオレウスを見るのを楽しみにしていたと聞いたので……」

 

実はリオレウスがゼルレウスに、リオレイアがラ・ロに進化したことを誰よりも驚いていたのはハンター組……とりわけ、ヒューイさんとシズカさんの反応が顕著だった。

ヒューイさんは「なんだこれは……たまげたなあ」口ををあんぐりと開けていて、シズカさんは「なんちゅーバケモンを生み出したんだ……」と頭を抱えていた。やっぱり二体の進化したあの姿はハンター界ではかなり恐れられているモンスターだったのかな。

 

「いやいや、その代わりに面白いものが見られたんでな。これはこれでよし、だ」

 

「ライゼクスか」

 

「あはは……」

 

……え、ライゼクス?出会い頭にゼルレウスに発情してラ・ロと戦争しましたけどなにか?というか、進化して姿が変わったのによくわかったね……愛かな?戦争はラ・ロが勝利したけど、ゼルレウスがその場を執り成してくれたので命の奪い合いにはならずに済んだ。偉いね、ゼルレウス。膝が震えていたのは見なかったことにしてあげる。

 

「……おっ、決着だ」

 

「どれ……ふむ、カイ殿が勝利したか。かなりの接戦だったようだな」

 

「ガムート、リベンジおめでとう」

 

一際大きな歓声が上がったのでそちらに目を向ければ、どうやらカイさんとガムートが勝利したようだ。歓声に応えて手を振るカイさんと鼻を持ち上げるガムート。グラビモスは悔しげにしていて、それをセキさんが宥めていた。

 

「そういや、この勝負大会にショウは出ないんだったか」

 

「はい。私がメガシンカできる相棒がいないんで」

 

ラギアクルスはまだメガストーンが見つかってないし、ジンオウガは進化済みだからね。

 

「例のジンオウガの件はどうした?アレを試すにはこの大会はもってこいだと思うが」

 

「いやぁ……」

 

アカイさんの追求をそれとなく誤魔化す。これは私というより、ジンオウガの方が問題を抱えていた。ジンオウガに限らず、ゼルレウス、ラギアクルス、グラビモス、ベリオロスは身内が相手だとどこか身が締まらないようなのだ。なんというか、「味方だから」というフィルターが掛かって、本気を出しきれないのだ。確かにポケモンよりもずっと強い力を持つ彼らが全力でぶつかり合えば、その気がなくとも命の奪い合いレベルの戦闘に発展する。ジンオウガ達は、無意識にそのレベルの戦闘を避けようとする傾向にある。ただ、私自身は問題ないかと言われれば……先ほど"ジンオウガの方が~"なんて言った手前恥ずかしいのだが、少しだけそんなことはなかったりする。

同じきずなへんげ使いである先輩トレーナー――シズカさん曰く、サトシというらしい。……どこかで聞いたような?――は、どんなバトルにおいても相棒であるゲッコウガとのきずなへんげを可能としていたらしいけど……私の場合は仮称『きずなへんげジンオウガ(又はショウジンオウガ)』が発現した戦闘は、いずれも"敗北の許されない不退転の戦い"だったことが共通している。だから、負けが許される勝負だと私自身も無意識に緊張が緩んできずなへんげを発現できないかもしれないと感じていた。それはジンオウガも同じようで、お互いそのことに気づいて苦笑いを浮かべたのが一昨日のことだ。

 

「……普通の勝負では発現しにくい、ということか」

 

「あはは……バレちゃいました?」

 

「君の向上心を思えば、大会に参加しないほうがおかしな話だ。戦いの中で追い詰められなければ、底力が出にくいということか」

 

「シズカさんから聞いたサトシってトレーナーは、どんなバトルでも発現できたそうなんですけど……私の場合、そうもいかなくって……こう、"絶対に負けない!勝ちたい!"って想いが普通の勝負だと感じにくくて……」

 

「(……マズイな)」

 

「(アカイもそう思うか?よくねぇな、こりゃ)」

 

「(あぁ……ショウの中で命の危険が身近になりすぎている)」

 

「(命が脅かされないと本気になれない(・・・・・・・・・・・・・・・・)とは、難儀なこって)」

 

……なんだろう、アカイさんとヒューイさんが深刻そうな顔でヒソヒソと話し始めてしまった。やっぱり心構えから鍛え直したほうがいいのかな……。

……あ、そうだ。今は先輩と団長が勝負してるんだっけ。えーっと戦局は……ディノバルドのバーニングテイルとライゼクスのライトニングブレードが激しい剣劇を繰り広げているようだ。片や尻尾、片や頭と部位は異なるが剣を形成する技同士のぶつかり合いは見応え抜群だ。

 

「(ショウは"絶対に負けない!勝ちたい!"と言っていたが……)」

 

「(正確には"負けるわけにはいかない、勝たなければならない"だろうな)」

 

「(極限まで追い詰められないとダメか、ジンオウガの方も同じか?)」

 

「(あぁ、敗北が終わりに直結する勝負ばかりだったから、感覚がマヒしているのかもしれん。そのマヒが、無意識下にまで影響を及ぼしているのだろう。矯正する必要がある)」

 

「(誰がやる?)」

 

「(俺がやろう。……そろそろ頃合だと思っていたところだ)」

 

「(じゃあ、ヨロ)」

 

「(……ヒューイ。おまえ、本当に腹の立つヤツだな)」

 

「(なにが!?)」

 

おっ、ライゼクスのエアリアルスティング!ディノバルドは尻尾で受け止めたか。ライゼクスの尻尾がディノバルドの尻尾を挟んだけど……おおっと、ディノバルドが尻尾を振り回してライゼクスを引きずり倒す!そのまま斬熱刃が迫るもライゼクス辛うじて回避!ディノバルドはすかさずかえんほうしゃで追い打ちをかけるがライゼクスはワンダーパルスで牽制しながら距離をとった!

 

「やるな、テルよ」

 

「まだまだ!団長にだって負けませんよ!」

 

「ならば……やらいでか!一意専心、メガシンカ!!」

 

「なっ!?」

 

な、なんだってー!?まさかの団長がメガシンカ!ディノバルドがメガディノバルドにメガシンカしたことで、試合の流れが大きく変わった!!

 

「さあ、ゆくぞ!!」

 

「くっ……」

 

そこからはすっかり形勢逆転、能力が大幅に上がったメガディノバルドに必死に食らいつくも、後一歩のところでテル先輩とライゼクスは負けてしまった。やはり、メガシンカのアドバンテージはデカイな……みんなの成長、もう少し急げそうかな。

 

「ショウ、いいか?」

 

「アカイさん?なんですか?」

 

「よければ私と勝負をしないか?あえて言わせてもらうが、今の君のその考え方は危険だ。力を発揮できる頃には手遅れなんぞ笑い話にもならん」

 

「うっ……で、ですよね」

 

「そこでだ……以前にも見た亜種個体、アレで君と勝負しよう」

 

「!!」

 

亜種……というと、黒いジンオウガと蒼いリオレウス!!是非とも勝負したい!!

 

「やります!!」

 

「そうかそうか、了解した(まぁ亜種にもいろいろとあるがな)」

 

楽しみになってきた!ひとまず、この勝負大会が終わるまで待とうかな……えーっと、次はワサビちゃんがシードで団長とカイさんか。これもいい勝負になりそうだ。……あ、先輩だ。

 

「あ、ショウ……ごめん、負けちまった」

 

「でも、すごいですよ先輩。受け止め方次第と言ってしまえばそれまでですけど、私からすれば団長ほどのトレーナーがメガシンカ無しでは先輩に勝ちきれなかったと思えました」

 

「……そう、かな?ははは、そうだといいな」

 

「私も先輩に負けていられないです。この大会が終わったら、アカイさんと勝負します!気持ちを切り替えるという意味で!」

 

「気持ち?」

 

先輩にも、私が考えていることを話してみた。すると先輩は神妙な顔つきで唸っている。

 

「……なるほど、追い詰められないと力を出せないのはヤバイから、いつでも力を出せるようにしたい、と。その相手をおれが務められないのは残念だな……」

 

「あ、えっと……!け、決して先輩が弱いとかそういうはないじゃなくて……!」

 

「いや、いいんだ。おれが単にアカイさんに嫉妬してるだけだから……いつか、ショウの訓練相手に堂々と名乗り上げられるくらい強くなるからさ!」

 

「あっ……は、はい」ドキッ……

 

うっ……ちょっと、その笑顔は卑怯じゃないですか……?思わず顔が熱くなってしまう……あの先輩の告白の夢を見てから、ちょっとどころじゃないレベルで先輩を意識してしまっている。私は、私は帰らなきゃいけないのに……このままじゃ、帰れなくなっちゃう……。

 

「……あれ?」

 

「グルル……」(`・ω・´)ジー

 

「オゥフ」

 

急に先輩が静かになったかと思ったら、いつの間にかボールから出てきたジンオウガが先輩に睨みを効かせていた。……最近、ジンオウガのこういうムーブが激しい気がする。まるでその様子は『娘に近寄る悪い虫を威嚇する父親』みたいだ……。

 

「……わかってるよ、ジンオウガ。おれにもっと強くなれって言いたいんだろ?大丈夫、俺は絶対にショウに並ぶだけの強さを手に入れてみせるさ」

 

「ワン!」(^ω^) フンスッ!

 

「じゃあおれ、団長の応援してくるから。……あっ!ショウとアカイさんのバトルも応援に行くからな!」

 

「はい!」

 

先輩が走っていく。……ちょっと寂しいと思うのは気のせいだ、気のせいだと思いたい。

さて、大会が終わったらワサビちゃんとセキさんにポケモンを返してもらわなきゃ。アカイさんが連れてくる亜種といえば、きっとジンオウガたち五体のことだ。ジンオウガの亜種、グラビモスの亜種、ラギアクルスの亜種、リオレウスの亜種、ベリオロスの亜種……その最後の砦たる六体目は、マガイマガド。

一度は交代しながらの三体がかりで敗北を喫したマガイマガドだけど、今度こそ勝つ!今から楽しみだ……よし、牧場にいるラギアクルスも手持ちに戻して作戦会議だ!!私はすぐさまそちらへ駆け出していった。

……あ、大会はワサビちゃんが優勝したそうです。さすがはワサビちゃんだ!シズカさんも「ぅゎょぅι゛ょっょぃ」ってちょっと何言ってるかよくわからなかったけど、褒めてたんだよね?

 

 

 

 




まずは導入から、これ大事。
次回、決戦アカイ!!
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