デュエル脳はテラを救う   作:G1N

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運命を変える!


(シリアスな雰囲気を壊すのは)得意だ!


残念だったな!(ステージから落下しながら)


変わりゆく運命

「……存外、決着が付けば呆気無いものだ」

 

デュエルの余波によって、荒れてしまった大地を進む。

周囲には天災被害を顧みず、この場に残った同胞たちが喝采を上げている。

 

「ぅ、ぐ……」

「哀れなものだ。一時の感情に身を任せ、自己犠牲により身を亡ぼす…典型的な弱者の考えだ」

 

目の前で倒れている男は立ち上がらない。

我が力を前にして、この男の精神力は折れた。

尤も、"主導権を全て掌握出来ていれば"、ここまで手こずる事も無かったのだが。

しかし今回の一件で、私が反抗心を抑えきれなかったという事も事実…

今後はより強く、心を封じ込めねばなるまい…

 

「欠片程の役には立ったと言う訳か…」

 

……ふと、男のデュエルディスクに目を遣る。

最後の伏せカード、只のフェイクだと分かってはいるが…

 

「……!」

 

…これは

…これは、何だ

 

「《破壊指輪》……」

 

《破壊指輪》

通常罠

自分フィールド上の表側表示モンスター1体を破壊し、

お互いに1000ポイントダメージを受ける。

 

何故、このカードを使わなかった。

あの場で《ロードランナー》を破壊していれば、勝利出来ずとも引き分けに持ち込む事は出来たはず…

この男は…この戦いを通じて、私に情けを賭けたとでも言うのか。

それとも、自分のモンスターを大事にしろと、暗に意図してこの様な決着にしたのか。

 

「本当に、愚かな男だ」

 

仮にその様な下らない考えだとしても、私を倒すことは端から出来なかったという事だ。

アンティなど意味のない事を言い連ねて、結局は少しでも時間を稼ぐ為…

 

「カードを欲しがっていたな…確か、このカードだったか」

 

《プチリュウ》、我が力《蛇神ゲー》よりも先に手札に存在し、この者の反抗心を支え続けたカード。

 

「貴様とこのカードは、ここで亡き者にする」

 

ひらり、と男の前にカードを落とす。

男に反応はない。意識を刈り取られたまま逝けるのは、この者に訪れた唯一の幸運だろう。

 

「さらばだ、敗者よ――!」

「きゅー!!!」

 

小さな叫び声と共に、私の腕に齧りつく。

突然現れたかと思えば、これもデュエルモンスターか。

 

「…邪魔だ」

「きゅぅっ……!」

 

この男と出会ってから、随分と不思議な事が起こる。

召喚もしていない《プチリュウ》が私の周囲を飛び回り、現に兎のモンスターが私の邪魔をする。

 

「きゅ…、きゅ!」

 

まだ立ち上がるか。

強大な力を前に、敵わぬ敵に…

 

―――

――

 

……何だ?

何か、あの兎の声が聞こえたような……

……駄目だ。

頭も身体も痛すぎて、思考が上手く纏らない。

 

「っ……」

 

身体に力を込める事も出来ない。

視界はぼやけてるし、何なんだ…?

なんか、目の前にカードっぽいのが落ちてる。

……あ、そっか。俺デュエルしてたんだった。

俺はタルラと戦って…そんで……

あれ、どうしたんだっけ?

 

「ぅ……!」

「きゅ!きゅー!」

 

何とか踏ん張ってみるけど、駄目だ。

デュエルでこうなったんだっけ?

何でだっけ……あ、俺のアーツか。

クソ痛ェなぁ、アホだろ俺。

なんでアーツ使いながらデュエルするんだよ。

というか、デュエルで全部片づけようと考える方が変か。

デュエル脳だコレ、あーヤダヤダ……

 

「きゅー!」

「……」

 

あー……ヤバイ……

何か血の気が引いて行くのが分かる。

これって俺、ほっとかれたら死ぬんじゃないか?

やだなぁ死ぬの。まだこっちじゃ二十代だぜ?楽しい盛りなのにさ。

でも、最期にデカい土産話も出来たし、よくやった方なのかな?

まぁ土産話って言っても、俺は誰にこの話をすればいいのやら。

何か眠くなってきたな…寝たら全部、全部夢でしたー!みたいなオチに……

 

「きゅー!!」

『ユウリにぃ!!』

 

―――

――

 

「……驚いたな」

「ピュオオオオオオォォォ……!」

 

低い唸り声を上げ、此方と対峙する龍。

その巨躯で倒れている男の盾とし、首だけを此方へと向けている。

デュエルディスクが光を放ったかと思えば、一瞬の内にあの男のエースモンスターが現れた。

 

「意識を失い、召喚動作も行わずして、次々とモンスターをアーツで実体化させるとは」

「ピュアアアアアアァァァ!!!」

 

怒り狂う龍、暴風を纏い、主人を守ろうと器用に前足で抱える。

あの兎も同様、私が捨てたカードを咥えて、主人と一緒に龍の懐へ潜り込む。

 

「逃げるか、……逃がすと思うか」

 

長剣を振りかざそうとしたその矢先、周囲には黒色に鈍く光る剣が突き刺さり、私の行動を阻害する。

 

「…っ!また……!」

 

どうなっている……!

無意識化でアーツを使用するなど、そんな芸当は聞いたことがない。

此方の隙を見逃さず、龍は大きく跳躍し、大地から飛び立つ。

 

「逃さん…!」

 

一振り、術者との距離が離れ、アーツの効力が薄まった瞬間に此方のアーツを放つ。

どれだけ速かろうと、私のアーツの射程内なら、一撃。

 

「キュッ……アアアアアアァァァ!!」

「…馬鹿な、外した…?」

 

私のアーツであれば、急所を狙わずともあのモンスターを屠る威力はあった。

だが狙いを曖昧にした覚えはない。

 

「……《チェンジ・デステニー》」

 

私が外したのではない。あの男が致命傷になりえる部分より外に、ダメージをずらしたのだ。

現に私はあのカード影響か、剣を握る腕が痺れ、二撃目が振るえずにいた。

 

「タルラ」

「クラウンスレイヤーか」

「追うか?」

「……いや、いい」

「なら、どうすればいい?」

「現時点での作戦状況は滞りなく完了している。であれば……」

 

次の目標へと、歩を進めるのみ。

 

―――

――

 

「難民の受け入れ状況は?」

「今の所、問題ありません」

 

一方で、ロドスの部隊員達は、後方で待機中だった撤退を補助する部隊と合流を果たしていた。

 

「…Aceさん!?意識が無いのか!?急患だ!運べ!」

「大変だ!Aceの部隊員全員重体だぞ!」

 

タルラとの戦闘後、辛うじて撤退出来たメンバーは無事に撤退中のドクター達と合流する。

…が、そこへ現れたWというサルカズとの戦闘時、全部隊員が重軽傷を負った。

撤退中のロドス一行に、負傷者を庇いながらの戦闘は困難を極めた。

結果、Ace達E3小隊の残存メンバーは、度重なるダメージにより全員が意識不明の重体となった。

 

「Aceさん…片腕がありませんでした」

「あぁ」

 

医療部隊は負傷者の救援。

前線部隊は難民受け入れの簡易的な手続きや、整列状況の維持等の仕事を請け負う。

その少し離れた場所に、アーミヤとドクター、そして一人の少女が並んで話している。

 

「私達を無事に撤退させる為…分かっています、けど…」

「アーミヤ…」

「それに、ユウリさんが、まだ…」

「Aceの話が本当なら、彼が代わりにレユニオンのリーダーと戦っている筈だ」

「……彼は、戻って来るさ」

 

予感がするんだ、とドクターは言う。

たとえ気休めだとしても、そう言う他無かった。

 

「……ユウリにぃ」

「…大丈夫だ、彼は必ず帰って来る」

「ドクター」

 

ドーベルマンがドクターを呼ぶ。恐らく少女の前では話し辛い内容なのだろう。

 

「既に私達は、予定の撤退時刻を大幅に超えている」

「分かっている」

「……あの子は気の毒だが」

「もう少し、待っては貰えないか?」

「目覚めてすぐ決断の連続で申し訳ないが、もう……」

「……いや」

「待ってくれ……、アレは?」

 

ドクターの視線の先、飛翔体が此方へと向かってくる。

 

「……あの龍は!」

「恐らくそうだ。…だが様子がおかしい」

「ドクター!ユウリさんが帰って来ましたっ!」

「アーミヤ、周囲の隊員に伝えてくれ。アレは、"降って来る"」

「えっ!?」

 

飛翔体は既に羽ばたく力は無く、両腕に何かを抱えて自由落下していた。

 

―――

――

 

「うわああああ化け物がああぁ!」

「化け物が降って来るぞぉ!」

「皆さん落ち着いて!慌てず避難してください!」

 

隊員達の尽力により、避難は素早く完了し、やがて……

 

「キュウ、アアァァ……」

 

ズドン、と大きな音を立てて龍は不時着し、その場に倒れ込む。

その脇には男性が一人倒れており、傍らに兎が跳ねている。

 

「きゅ!きゅ!」

「ユウリにぃ!!」

「ラウラちゃん待って!」

「…駄目です、あの様子だとユウリさん意識が無いのかも!」

「至急医療班を寄越してくれ!……それと」

 

不時着してなお、警戒を解かない龍に近づいていく。

 

「キュウウ…ウウゥ……!」

「《ラビードラゴン》…もう大丈夫だ。後は私達に任せてくれ」

 

龍の体躯には大きな傷があり、その傷から光の粒子が溢れ出ている。

…恐らく彼のアーツで顕現したモンスターからは、血ではなく、エネルギーそのものが流れ出るのだろう。

 

「苦しかったろう、よく頑張って彼を運んでくれた。もう休んでくれ」

「キュオオォ……」

 

信じてくれたのだろうか、目の前の龍はその体躯を大地へ寄り掛からせ、やがて多量の光の粒となり消えていった。

 

「きゅー!」

「兎さん!ユウリにぃ!」

 

ラウラがユウリの元へ駆け寄る。私達も急がなければ、彼の容体は一刻を争うかもしれない。




後書きになります。
これにて第1章終了となります。
次回からは2章の内容に移るのではなく、折角ロドスに拾われたので、ロドス内で起こる色々な幕間を書いていきます。
暫くは平和な日常回が書けると思うんだァ…

え?いいから推しを出せ?
推しのデッキが気になる?
俺とデュエルしろ?

……ガンバリマス、ハイ

後書きありがとうネタが浮かばなかったので、普通に感謝をば。
最後まで読んでくれてありがとうございます~。
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