デュエル脳はテラを救う   作:G1N

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お ま た せ し ま し た


お そ い や つ





献身からの物体X

生物にとって食事とは、生命維持手段の一つとして確立しており、勿論人間にとっても同じことが言える。

体内へ栄養素、エネルギーを摂取する為に行われるこの行為は、この世界に生きる生物にとって普遍的なものでありながら、一つの共通点を創り出していると言っても過言ではないだろう。

それが例え、肉食と草食の違いがあっても、その両方を摂取出来る身体だとしても、将又有機物ではなく、鉱石等の無機物を食べるとしても…だ。

……最後に述べた例は所謂例外に近いが、それでも生物は食事をする事で繫栄し、種の存続を行うわけだ。

 

そして生物には、目の前の物が食べられる物かそうでないかを定める器官が存在する。それは五官であり、五感と呼ばれるものである。

勿論それだけの為に付属したものではないが、そう言った事にも生きていく上で役立てられているという意味である。

見た目に毒々しい物であれば、視覚情報からソレを食べようとは思わないし、もし口にして何らかの異常があれば、味覚情報から胃に入る前にすぐ吐き出すだろう。

聴覚、触覚、嗅覚…他三つも変わらない。先に述べた二つも合わせ、五感の内何か一つでも危険だと感じるものがあれば、生物はそれに対して忌避感を起こすのだ。

 

さて、前日自分の力を過信してボコボコにされた俺だが、クロージャとの連戦の後、俺を探していたらしい行動予備隊の面々に囲まれ、再度ベッドの上に戻されていた。

身体の調子自体は問題ないのだが、それでもと医師見習い達がしつこく言って聞かない為、今日の所は一先ず大人しくしておくことにした。

互いにチェルノボーグでの出来事を語らいながら、軽く打ち解け合う事も出来た。そんな中有難いことに、予備隊の医療オペレーターの二人が晩御飯を持ってきてくれたのだった。

 

「まさかあんなにボロボロだったのに、もう病床を出て艦内を歩き回ってるなんて思いませんでしたよ」

「ですけど、アナタは怪我人なんですから、少しの間安静にしていて下さいね!」

 

目の前に出されたのは所謂病院食というもので、こういう食事は味が薄く、食べる量を制限されたりで食べ応えが無かったりする。

しかし今身寄りのない俺達にとって、これ程有難いものは無い。寧ろ手持ちの金が無いのに飯が出てくるだけ有難いものだ。

うん、有難いもの、だけどな……

 

「ラウラちゃん、野菜は好き?」

「うん、好きだよ!」

「そうですか、じゃあ心配は要りませんでしたね。ゆっくりでいいので、頑張って食べて下さいね?」

「はーい!」

「ユウリさんにはこれ!私も野菜ジュースを作ってきましたから、どうぞ!」

 

そう言われ、追加で目の前に現れたのは、…うん、何かな?コレは?

えっと、現れたのは……なんか色んなものがぐじゅぐじゅに混ざって、凡そ生物が好んで食べる見た目をしていないナニカだ。

 

「……ハイビスさん?野菜ジュースは何処かな?」

「え?目の前にあるじゃないですか。…あ、さては野菜嫌いなんですね?」

 

好き嫌いは駄目ですよ~と言いながら、ハイビスは透明な容器の蓋を取り外す。

蓋を空けた途端、果実系の甘い匂いと野菜の青臭い匂い、それをそのまま足した匂いが同時に鼻を突く。

異臭とまでは言わなくとも、美味しそうとは分類できない匂いだ…

 

「野菜ジュースってさ、普通緑黄色だったり、人参やらトマトとかが入ってるなら赤っぽくなるのは分かるんだよ」

「…ハイビス、これは何色に見える?」

「カラフル?」

「良いように言ってんじゃねぇ!」

 

どう見ても吐瀉物です本当に有難う御座いました。

 

「…因みに一応聞いておくけど、味見はしたんだろうな?」

「ユウリさんを捜すのに時間が掛かっちゃって、慌てて作ったので…」

「…してないんだな?味見」

「え、えへへ…」

 

ちょんちょんと人差し指同士をくっ付けて、申し訳なく頷く。

チクショウが!そんな可愛い動きされても現実は変わらんのだ!

というかこの一連の流れを、他の予備隊の奴らは聞いているハズなんだが!?

こいつ等、一歩引いた位置で話が終わるのを待ってやがる…!さっきまで一緒に語らってただろう!?俺を売ったのか!?この裏切り者!!

おいアンセル、ラウラの相手だけしてないで俺の事助けてくれよ!同じ医師見習いだろ!?冗談じゃなくヤバいって!

 

「ラウラちゃん、美味しい?」

「うん!」

 

あ駄目だコイツ、ぜってー目を合わせない気だ。ラウラの事しか見てないもん。

俺と絶対目を合わせないように首が固定されてるもん!ちくしょー!

 

「この食事と合わせれば、栄養バッチリですから!さぁどうぞ!」

 

確かに栄養"は"バッチリだろうな!それ以外が駄目そうだけど!

 

「あー…いや……、ちょっと…俺実はお腹空いてな…」

「よいしょっと…」

「ちょ!おま、ごがごぼぼ!?」

 

―――

――

 

多少の、いやかなりの波乱はあったものの、食事自体は頂けたので良しとしよう。

不幸中の幸いだったのは、あの物体Xを胃に収めたのが、ラウラではなく俺だったという事だ。

ラウラにあんなもの飲ませてたら、俺は俺じゃなくなってたかもしれん…

食事フェイズが終わると、予備隊の面々から繕いの言葉を貰った。

その温かい言葉はチェルノボーグでの戦いについてなのか、それとも先のハイビスとの戦いの事なのか。

 

「まさか無理矢理飲ませる暴挙に出るとは…」

「お前の姉だろうが…と、止めてくれよ……うっぷ……」

 

タダでさえ薄い病院食の味が、何の味もしなくなるくらいには強烈な味だった…

やべ、思い出したら胃の中の物が反転召喚しそう……

 

「…で?クロージャと戦ったんだって?」

 

姉の件には全く触れずに、別件の話を持ち出してくる。

成る程、ハイビスの健康食については下手にでも触れたくない話題なんだろうな。妹の気苦労が知れる…

 

「耳が早いな…まぁ色々滅茶苦茶な試合だったけどな」

「あれはまだ動いたのか?」

 

視線の先には、クロージャから返却された俺のデュエルディスクがある。

俺が受け取る前から既に使い物にならなくなっていたらしい。決して私が壊したわけじゃないからね!とクロージャから伝えられた。

 

「もう動かないよ…、クロージャが新しいモデルのデュエルディスクを貸してくれたんだ。なんか動作テスト云々言ってたけど…、もしかしたらアレを購買部で売りに出す…とか?」

「へぇ…そんな資金力があるなら、ロドス内の施設整備に手を付けて欲しいモンだけど…」

 

ロドスの設備か、最初の内は確かに区画整理からだもんな…

俺も最初はドローン集めたり、炭素材集めのために資源調達のステージ周回してたっけなぁ…

…ん?

 

「な、なぁラヴァ?もしかしてロドスの労働環境って…」

「ん?あぁ…ヤバいぞ」

「へ、へぇ~…」

 

俺、ドクター達にここで働きますって言った後なんだけど!

そうだったー!ドクター達が改善しない限りは、勤務状況がとんでもない事になってるんだっけか!?

 

「アタシも発電所の管理を任されることがあるんだけど、残業は当たり前。任されてる持ち場はほぼワンオペだから、ずっと気を張ってないといけなくて…」

 

そういうラヴァの表情には疲れが見える…

いやうん、序盤の発電スキル持ちは君に頼るしかないもん。そうなるよな…

 

「偶に伝達ミスが起きた時には、休憩なしで一日以上仕事する事もあったな…あの時はクロージャをぶん殴りたかったけど、その気力すら無かった」

 

機密ファイルで観たわ。ぶっ倒れてる横でドクターに発電所の説明してたっけな。

つまり今の労働環境はあの状態なのか……

 

「…俺ここにオペレーターとして働きますって、もう話つけちゃってるんだけど……」

「……マジか」

「マジだよ」

「…いやまぁ、いいんじゃないか?実際問題として感染者がマトモに働ける場所なんて限られてるし、その分ロドスは…さっき言った事もあるけど、それを差し引いても好条件だと…」

「丸一日ワンオペで作業でもか?」

「……それがキツかったのは、否定はしない、かな」

 

顔が引き攣っているぞ、ラヴァよ…

多分この数日中に、ドクターが艦内の設備管理を引き継ぐはずだから、その後は少しずつ改善されるんだろうけど……

頼む、この事実に早く気が付いてくれドクター…!

 

「配属希望は決めてるのか?」

「なんでも前線オペレーターに推薦されてるらしくて、俺も異論は無いし、多分そうなるんじゃないかな…」

「ふうん…確かにユウリのアーツはかなり珍しい…というか独特な物だ。汎用性も高そうだし、前線に推されるのも分かる気がする」

「まぁ体調を整えて、万全の状態で…」

「いやそれなんだけど」

「何だよ」

「こんな話しといてあれなんだけどな?…明日適性検査を受けようと思ってたんだけど、人事部って何処にあるか知ってる?」

「……」

「……お前、バカだろ」

「おぉん!?」




やぁ、やぁ!
後書きの文字欄ってここ?

はい、お久しぶりです。
書き溜めをチマチマ作りつつ構想が練れてきたので投稿を再開します。
と言っても文字に起こしている途中だったりするので、偶に更新がない日も出来そうですが…

という感じの近況報告でした。
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