デュエル脳はテラを救う   作:G1N

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はおちぃらいらい……


にゃん、にゃん……


でかるちゃあ……


もう十年以上も前なんですか、このネタ…


2章_龍の門を進め
せや、龍門行こか


――1096/12/28

龍門 スラム街

 

「…埃っぽい、それになんか周りの人に見られまくってる気がする」

「そらウチみたいな美人と、ごついデュエルディスク着けたウルサス人が歩いとったら、目立つに決まっとるやん?」

「自分で言うなよ」

「いい女には変わらへんやろ?」

「はいはい…、頼んだ手前アレなんだけど、まさか俺までスラムの方に来る事になるとはなぁ…」

 

現在ロドスは龍門に逗留し、チェルノボーグ事変後の龍門内部で起こりうる"甚大な被害"への抑止力として、協定を結んでいる。

その辺の交渉には流石に同行しなかったが、恙なく龍門近衛局との協力関係を結べているようで、その後の作戦参加の連絡も支給された端末に送られていた。

 

「ユウリはん、お勧めの店はここや!」

「やっとか…」

 

で、その作戦はロドス所属となった俺にとって関係ない訳ではないが、今回俺がこの場に居る理由は別にある。

複雑な路地を抜けて着いた建物の外観としては、共同住宅の一階部分がそのまま店として使われているようだ。

繁盛しているかどうかまでは判断できないが、周囲の建物と比べると、まぁ多少小綺麗だとは感じる。

 

「クロワッサンが色々知っててくれて助かったよ。俺の任務はすぐ終わりそうだ」

「これ位やったら朝飯前やで。他の任務と違って、こんなんでエエんやったら楽なモンやわ」

 

龍門近衛局とロドスの連携作戦は現在、龍門外周の警備から、内側のスラムへと場所を移している。

龍門…それも複雑に入り組んだ土地であるスラムでの活動は、土地勘のないロドスにとってかなり困難になってしまう事は想像に難くない。

そこで龍門内の外部企業である「ペンギン急便」と契約し、所属しているトランスポーター達の協力を得る事で、任務を円滑に進めることが出来ている。

ここに居る独特な口調で話してくるクロワッサンも、ペンギン急便が誇るトランスポーターの一人だ。

 

「時間の方は…よし、まだまだ余裕あるな」

 

近いうちにドクター達には、"ミーシャ"というウルサスの少女を捜索せよ、と龍門近衛局のチェン隊長から命令があるはずだ。

そっちに俺が参加出来るかどうかは命令次第という感じだが…、これから起こる事を考えると、見て見ぬふりなんて出来ないよなぁ…

 

「しかし龍門に、それもスラムにカードショップがあるんだな」

「スラムって一括りで言うても、全部同じような場所って訳でもないんよ?」

「そういうモンか?」

「そそ、そういうモンや。ここはマシな方…、勿論酷い所には連れてかへんけど、源石病のウルサス人が今行ったらアカン場所なんか、そこら中にあるで?」

 

怖いこと言うなよ!

間違っても一人でふらついたりは出来ないな…

 

「…帽子も売ってるかな、せめて耳を隠せればバレない?」

「帽子やったら有るやろうけど…、雰囲気でバレるんちゃう?」

 

雰囲気じゃあどうしようもねぇな…

 

……兎も角、今回俺はドクター達に付いて来た訳ではなく、クロージャの遣い…もとい購買部の店員として此処へ来たのだ。

ロドス購買部でのカードショップをどうレイアウトするか。そして、この世界の"物の相場"を知るため、所謂社会勉強って奴だな。

主にこの二つを目的に、ロドスから使い走りにされたのだ。新人でも容赦なく使う、それがロドス・アイランドという企業である。

 

「たいしょー!邪魔するで~!」

「あぁ?勝手に見てけ…」

「…無愛想だな」

「文句あるなら帰んな」

「そんな固い事言わんといてやぁ…」

 

愛想という文字を辞書から抹消した店員は置いといて、と。

さてさて店内は…、雑貨店かな?だとしても統一感がないな…

衣類に長期保存可能な食料品、簡単な医療品に食器からから家具まで…、これ等の共通点は皆、リサイクル品だというところか。

成る程、リサイクルショップであれば、この売り物のバラバラ加減にも納得出来る。

しかし目的のカードパックは何処だ…

 

「店の奥にお目当てのモノがあると思うで~」

「奥か、わかった」

 

店内の一角、内装の都合上で人目に付き辛い場所に、俺の求めているものはあった。

 

「なんだ、カードパックは新品なのか」

 

ひと昔のおもちゃ売り場の如く、リサイクル品ではないカードパックが、ズラリと手に取れるようになって並んでいる。

この置き方だと、カードパックを指でこすり合わせて、レアカードが入っているか"サーチ"してみる…。とかいうのが俺の小さい頃に流行ってたっけな。

……そもそも、この位置だと万引きしてもバレないんじゃないか。

 

「悪い事考えてるやろ?」

「うわっ!?」

 

気付けば後ろにクロワッサンが立っていた。

心臓に悪いから止めて欲しい…

 

「ははっ、やっぱ図星やろ~。でもアカンで」

「…出来そうだとは考えたけど、流石にそんな事しないって」

「うんうん、そんなことしたら最後、ここの店主に死ぬまで追い回されるで?」

「怖えなぁオイ…」

 

改めて、カード売り場のレイアウトを見てみる。

他の商品との兼ね合いもあるのだろうが、ショーケースに入れたレアカードのばら売りとか、ストレージなんかは置いて無いみたいだな。

それにカードパックの種類もそこそこ、置いてあるパックが人気の弾なのかは分からないが……

 

「クロワッサン、この店の価格設定って相場と比べてどうなんだ?」

「ふっふっふ、よう聞いてくれたユウリはん!なんとここの店はカードパックの価格が2割ほど安いんや!」

「2割も…何か理由が?」

「見た所、殆ど定価割れ起こしたパックを仕入れたみたいやな。これとか?」

 

定価割れかぁ…、やっぱそういう事もあるんだなぁ。

 

「このパックの目玉になってるレアカードは?」

「ウチはデュエルモンスターズはあんまり詳しくないねん…、ゴメンな?」

「そっか、そういう事ならいいんだ」

 

なんか意外だな…

レアカードとか結構良い値段するし、クロワッサンならその辺の知識は有りそうだと思ってた。

この世界でのデュエルモンスターズの価値観が、また分からなくなってきたぞ……

…それにしても、ロドスに入荷したのもそうなんだが、パックの外装はどれも見たことがないんだよな…

外装が違うだけで、中身は俺の知ってるデュエルモンスターズのカードなんだろうけど…、これじゃ以前までの知識は役に立たないか。

 

「因みに、カード以外の商品の値段は?」

「なんや自分、カード買いに来たんちゃうんかいな?」

「……恥ずかしい話、街の商店に入ったのは今日が初めてなんだ。物の価値すら知らない世間知らずでさ」

「ははーん?読めてきたで、そういう事やったらウチの専売特許やな」

 

だろうなぁ。

アークナイツでもドクター相手に商売してたり、他のキャラの回想にもちょいちょい出てきたりしてて、色んな所で自分の顔と商品を売ってるっぽいし。

 

「色々察してくれたようで助かる。…で、急な話、ロドスで店員の仕事をやらなくちゃいけなくてさ。主にカードの販売を中心に…」

「それで色々聞いてきたわけやな?成る程なぁ…」

「しかし売り物の値段も分からんのに、よう引き受ける気になったな」

「……引き受けたんじゃなくて、勝手にそうなってた」

「…あぁ、うん。まぁ頑張りや?」

 

そんな目で俺を見るな。悲しくなるだろう…

 

「そういう事やったら、他の店も周った方がエエんとちゃう?」

「いいのか?」

「勿論や!どうせ今日はこのままユウリはんの道案内するだけやしな」

「凄く助かる。ありがとう」

 

かまへんよー!とサムズアップしながら笑うクロワッサン。うむ、立ち絵そのまんまだな。

端末を起動させ、周辺の店をピックアップしているようだ。

俺だけでは此処まで上手く事が運ばなかっただろう。

これでクロージャが設定していた購買部推奨価格の236%が、どれくらい高い物価なのかやっとわかる…

 

「じゃあここでの買い物はもうええか?」

「…カードパック、少しだけ買っておこうかな」

 

無駄遣いはしない、うん。ちょっとだけだから…

 

―――

――

 

「うん、大体分かってきた。金銭感覚についてはもう問題ない…と思う」

「ほうか、ほりゃあやかったへ」

「……食ってから話してくれ」

「んぐ、ん…、はー!御馳走様、やっぱ人の金で食う飯は美味いな~!」

「集った本人の前で言うな」

 

なんで俺が奢らされてるんだ、金無いんだぞ。

俺散々身の上話したよな?鬼かよコイツ。

 

「まぁまぁ、安くて美味しい店ならまだ紹介出来るで?」

「せやなぁ…しょっぱいもん食べたし、次は甘いもんでも食べに行こか?」

「勘弁してくれ…」

 

安いとはいえ、まだ俺から搾り取る気か!

…けど確かに美味かったな。やっぱ龍門だと中華料理というか、そういう店が多い気がする。

少なくとも、今までの暮らしだと食えない食べ物ばっかりだった。……あ、ハイビスの健康食は論外な。

…待てよ?そもそも龍門のモデルは香港だっけか?それにこっちの世界だと中華料理って言わないのか。

……龍門料理?

 

「っと、連絡入ったわ。ちょっと待ってな」

「おう」

 

その様子を見て、俺も自分の端末が気になり確認してみる。

…お、つい数分前に全部隊宛で連絡が入ってるな。

 

「そっちにも連絡来とるみたいやな」

「ああ、白髪ウルサス人少女の感染者を捜索、か…」

「どうすんの?あっちと合流しよか?」

 

さて、やっぱりこうなるよなぁ。

ミーシャが行った場所は断片的に知っているけど、どうするか。

 

「スラムの中心に向かうとしたら、此処からどの位かかる?」

「…言うて此処も、スラムの中心みたいなモンやけど」

 

彼女の表情が変わり、その視線の先にある物を確認する。

何だ?この辺の住人じゃない風貌だな…

 

「きな臭くなって来たな」

「丁度この辺りが、その子の潜伏場所っちゅうわけか…」

「多分な」

 

どうする…?

アーミヤ達と合流するまで俺達は待機する事も出来そうだが…

 

「此処で待つにしても、この店のお冷飲みつくしてまうで」

「…そうだな、移動しよう」

「その言葉を待っとったで!」

 

先回りして、先にミーシャを保護できれば万々歳。

そうでなくても、捜索範囲を広げておけば、後々合流した後に捜す場所が減る。

……決してこれ以上、クロワッサンに俺の金を集られないようにする為ではない。ないのだ!

 

「この辺りの廃ビル、それもあまり使われていない場所とか分かるか?」

「そんなんそこいらにあるわ!もっと絞ってくれんと…」

「ですよねー」

 

捜索対象の容姿だけ知ってても、捜し回るのは難しいか。

こりゃあ、その辺を虱潰しに散策するしかないかな…

 

「ミーシャお姉ちゃん!待ってよぉ!」

「走って!皆頑張って!」

 

店を出ようとした矢先、先程まで静かだったスラムの街に一つの喧騒が響く。

遠巻きに見える路地に、小さい子供達を励ましながら先導して走る少女。

白髪でウルサス人特有の耳…、間違いない、ミーシャだ。

 

「今の子達が見えたな?行くぞ!」

「よっしゃ!」




後書きになります。

今回から第2章、龍門へとシナリオの舞台が移ります。
ここから龍門近衛局のメンバーを中心に、魅力的なキャラクターが増えるんですよね。
レユニオンとの対立も深くなって、登場人物がどんどん曇っていく…
堪りませんね(ニッコリ)
こっちの世界でも、程よく曇って貰わないとねぇ、ぐへへへ…
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