デュエル脳はテラを救う   作:G1N

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水の無い場所でこれ程のアーツを…!


初狩りのユウリ

「居たぞ!捕まえろ!」

「うっ…、逃げた先にも……」

 

私達が走る先、丁字路に差し掛かる所で、複数人の大人達が正面の道を塞ぐ。

追手の別グループもすぐそこまで迫っており、前と後ろを挟まれた形になってしまった…

 

「ミーシャお姉ちゃん…」

「だ、大丈夫!左の路地に…っ!」

 

希望を見出した通路の先、そこにも何者かが追ってくる気配がある。

走って来る影は二つ、片方はフォルテの女性で、もう片方はウルサスの男性…それも片手に機械を着けてる。

二人共このスラムでは目立つような風貌をしている。

 

「…追いついた!ミーシャで間違いないな!?」

「そこにも居たの!?か、完全に囲まれた……」

「大丈夫や!ウチ等の方を通って、はよ逃げるんや!」

「え…?逃げてって……?」

 

状況が掴めず、思考が少しの間フリーズする。

今目の前に現れた二人組は、私を追って来る人達の仲間なのか。

それとも理由は分からないけれど、本当に私達を助けてくれる味方なのか…

 

「誰だお前達は!…ウルサスの子供を捕まえろ、あの二人より早くだ!」

「子供に手ェ上げんじゃねぇ!…来い、《稲荷火》!」

「ふしゅるるる……!」

「ちびっ子共も固まってんじゃねぇ!アイツ等が優しくしてくれる様に見えるか!?」

「……!」

 

そうだ。狙いは私だと分かっている以上、この子達は本当は無関係。

此処に居る皆は、私と一緒に居たというだけで狙われてしまっているんだ…

 

「皆、あの二人の後ろに走って!」

「う、うん!」

 

彼らに促されるまま、全員が二人の後ろへと駆け抜ける。

宣言した通りに、彼らは私達には手を出さず、追手から壁になるように立ち塞がってくれている。

……どうやら、本当に助けてくれるみたい。

このままこの子達を、どこか安全な場所で別れさせないと……

 

――

 

「ま、待てガキ共!」

「おっ~と、こっから先はウチ等を倒してから…」

「何言ってんだ、お前もあの子達を追うんだよ!」

「ちょわっ!?」

 

クロワッサンが言いかけた台詞…、そういう台詞も一回言ってみたいな。

今の俺なら言ってもフラグにならないかな…?

 

「…ユウリはん、一人で足止めできんの?」

「ちょっと荒っぽくなるかもだけどな」

「ふ~ん、じゃあボコされへんようにな!」

 

あの子達だけだと、次の追手を躱し切れないかもしれない。

俺がついて行くよりも、この辺りの地理に把握しているクロワッサンの方が護衛に適任だろう。

足止めが終われば、クロワッサンと連絡取って合流すればいいし。

 

「…良し、始めようか?」

「何が始めようかだ!女の前でカッコつけて、ハッタリのソリッドビジョンなんぞ使いやがって!」

「ハッタリかどうか、試してみればいい」

「…《稲荷火》!」

 

俺の合図と同時に、素早く相手に突進する。

流石に街中だと炎は使えないし、召喚するモンスターを間違えたかもしれないな…

 

「ぐげぇっ…!」

「な、何だと!?コイツ実体があるぞ!?」

「てめぇ!最初から此処に罠でも仕込んでやがったな!」

 

そんな手間の掛かる事をわざわざする訳がない。

第一、物理的に吹っ飛ぶような罠ってなんだよ…

 

「うだうだ言ってるけど、掛かって来るのか来ないのか!ハッキリしろ!」

「…勿論、来るなら容赦はしないぜ。多少の怪我は負ってもらうからな」

 

う…、とたじろぐレユニオン一味。

先程までソリッドビジョンだと侮っていたモノが、実体のあるモンスターだと認識した以上は迂闊に攻勢に出られない。

だが、モンスターの召喚はモンスターカードゾーンが空いている分だけ可能…!

 

「《アクア・マドール》召喚!さぁ、少しの間眠っててもらおうか!」

「ハアァ!」

 

召喚された《アクア・マドール》は、魔力で発生させた大量の水を圧縮し、敵に対して叩きつける。

その様はまるで滝にでも打たれているが如く、高圧水流は次々と敵を吹き飛ばしていく!

 

「う、うわあぁぁ!」

「なんだ!?何処から水が!」

「水を使うアーツなのか!?」

 

追手達が混乱している間も、《アクア・マドール》は攻撃の手を緩めない。

その攻撃は最後の一人が地に伏すまで続けられた。

 

「お前で最後だ!《アクア・マドール》の攻撃!アクア・プレッシャー!」

「うごッ!?……う、うぅ……」

 

俺のアーツはデュエルモンスターズのカードに頼りきりだが、その分カードの数だけ幅広い戦略を執ることが出来る。

つまりは汎用性と初見殺し性能がかなり高い。

その利点は俺も分かっているので、その部分を存分に奮わせてもらった。

 

「ウルサスの凍土で育った俺の実力、舐めてるとこうなるぜ!っと…」

「ふしゅ…」

 

《アクア・マドール》が戦っている間、《稲荷火》は自分が濡れないように俺の後ろに隠れていた…

やっぱ場違いだったか…

 

―――

――

 

「よーす、お前等も追手は振り切ったみたいだな」

「…!」

「お、きたきた…。遅いでユウリはん」

 

とある廃ビルの一室、クロワッサンからの通信のお陰で無事に再合流することが出来た。

……ミーシャは警戒したままか。

だけど一緒に居た他の子達は、此処とは別の場所に避難出来たみたいだな。

 

「いや遅いってお前な…、最初の追手を蹴散らして、別の奴らも牽制しながらやっと追いついたんだぞ!?」

「ちゃうちゃう…あのなユウリはん、レディを長い間待たせるんは御法度っちゅうもんや」

 

……テラにおける美人の間では、肉と書かれたインナーが流行ってるのか。

というかそれはインナーで合ってるのか?それはもうほぼ下着じゃないのか?

言ってなかったが、俺は今日ずっと目のやり場に困ってるんだぞ。

 

…いかん、多少悪態を突きたくはなったが、今はそれどころじゃなかった。

 

「改めて、君がミーシャで合ってるよな?」

「…貴方達はあの追って来た人達とは違うみたいだけど、一体誰なの?」

「ま、驚くのも無理はないよな。俺はロドス・アイランドっていう製薬会社の実働部隊だ」

「ロドス・アイランド…」

「ウチはそこに雇われた只のトランスポーターやから、気にせんでええよ~」

「……」

 

警戒を解かず、かといって今すぐ逃げ出せる状況でも無い為、ミーシャは部屋の隅でじっとしたままだ。

 

「連絡はもう取ったのか?」

「其方さんのボス達にはこっちの事情を話しておいたで。せやから、何事も無ければ後は此処で待っとくだけやな」

「オッケー、…ミーシャ、悪いけど君の安全を守るために保護させてくれ」

「……嫌」

「嫌言うなよ…」

 

アーミヤ達と合流出来るまでまだ時間はありそうだし…

ここは俺から誤解が解けないか、少し話でもしてみるか。

 

「素性も分からん奴に保護されるのが嫌なのは分かるけどな、……そうだな」

「まずロドスは感染者の為に戦い、感染者を守るために活動していることを先に覚えておいてくれ」

「感染者の為…」

「そうだ。んで、君を今まで追ってきたのはレユニオン・ムーブメントの部隊員だ」

「どうして私が追われなきゃいけないの!?私は、何も……」

「君は自分が狙われている理由に、心当たりは無いんだな?」

「…ここに来て一週間、その間このスラムで暮らしてきた」

「そうして分かったことは、此処に居る以上、感染者は居るだけで疎まれる立場にあるって事よ」

「…そうだな。今チェルノボーグから多くの避難民がこの龍門へ移動している」

「君もその一人で、源石病を患った事で、レユニオンを含めた街の人々から迫害されている…。そう言いたいんだな?」

 

少女は何も言わないまま、此方を見つめている。

その様子を肯定と捉え、俺は話を続けることにした。

 

「確かに世間的には源石病患者の肩身は狭い。恐らく例外も殆ど無いと思う」

「それは俺も身をもって経験した。なんせ俺も感染者で、…チェルノボーグでの一件は俺も体験したからな」

「貴方もチェルノボーグに居たの?」

「ああ、と言っても住んでた訳じゃないけどな。訳あってチェルノボーグに居た時に巻き込まれた感じだ」

「チェルノボーグの一件もレユニオンが関わっているが、問題なのはレユニオンも感染者の為に立ち上がった組織だってことだな…」

「レユニオンも、感染者の為に…?」

 

俺を見るミーシャの表情が少し変わる。

同じウルサスの感染者という事で、多少は気を引けたらしい。

これを言うと話をややこしくするだけだろうし、わざわざチェルノボーグの一件に巻き込まれに行ったというのは黙っておく。

 

「でもそれなら尚更、私が狙われる理由なんて…」

「まぁ待てって…、感染者への迫害はこのスラムでも同じだ。…だけど君が狙われる理由は、感染者だからじゃない」

「……だったら、何?」

「君のお父さんだよ。セルゲイ博士の研究していた物が関係している」

「私の…お父さん?」

「……ちょっち待って、ウチそんな話一言も聞いてへんねんけど?」

「この話は今回の依頼主である龍門近衛局側が、俺達に隠蔽している情報だからな。知らないのも当然だ」

「い、隠蔽て…」

 

……話の途中、何者かがこの建物を昇って来る足音が聞こえる。

俺は訓練とか殆どしてないから、足音なんかで近づいてくる奴らが何人いるとか、どういう武装をしているとか全く分からん。

…が、このタイミングだと、恐らくアーミヤ達だろう。

……でもそうじゃなかった時が怖いから、一応警戒しておくか。

 

「今、龍門近衛局が貴方達の依頼主って言った…?」

「ああ、君を保護する様にって依頼を受けたんだ」

「信じられる訳ないでしょ!」

「龍門で君に起きた出来事に関しては、否定の仕様が無い事実なんだろう」

「だがロドス…ひいては龍門近衛局が、君を保護する依頼を出したのも事実だ」

「それに信じようが信じまいが、俺達は君を力尽くでも保護する」

「…ッ!」

「身勝手だと思うか?だけど俺はこの件に関わった以上、仕事抜きでも君を保護するけどな」

「…色々知ってる以上、もう俺は見てみぬふりが出来ないんだ。悪いな」

「本当に、本当に身勝手よ…」

 

話の区切りが一旦ついたので、先程から警戒していた此方に近づいてくる奴らへの対策を考えるとしよう。

この部屋から逃げられそうなのはミーシャの近くにある窓枠ぐらいかな。もしもの時は此処から飛び降りるしかないか…、やだなぁ…

俺以外の二人も近づいてくる足音に気付いたようで、部屋のボロい扉に注意を向ける。

 

「…誰か来とるんか?」

「気付いたか、エクシア達と連絡は?」

「…おー、もう近くまで来てるみたいやな。丁度このビルの下……」

「……じゃあ今此処に来てるのは」

 

――話している最中に扉は開き、目の前には

 

「…ハロー?ロドス・アイランドさん?」

「……見つけた」

 

此処で出会ってはいけないツートップ。

Wとスカルシュレッダー、両名が仲良く訪問してきたのだった…




ユウリ「タイトルが不本意過ぎる」

後書きになります。
クソ(良い)女ことWがやっと台詞有りで出演出来ました。
うちのロドスには限定ガチャ回しても全く来る気配がありませんでしたが…
私が書く物であれば、Wを出す事なんて意のままよ!ガハハ!

……虚しい。

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