デュエル脳はテラを救う   作:G1N

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知っているか


ウルサスの凍原は


寒い


0.5章_凍原の戦い
凍原の日常


「おーい!そっちのはどうだ?収穫できそうか?」

「いんゃまだだなぁ、まだ葉も枯れきってないし、茎もまだしっかりしてるや」

 

明け方の寒空に、ぼろい服を纏った男たち。彼らは痩せた畑モドキから、大地の実りをまだかまだかと待ち続けている。

その身なりと同様、少々痩せ気味の身体。その中の数人は、体表に黒い結晶が痛々しく突き出ているのが見える。

一人の男が俺の視線に気づいたようで、お互い軽く手を上げて挨拶を交わす。

此方の世界に来てからというもの、こういった環境に慣れてしまった。

 

「ユウリ、お前も手伝ってくれ。今日も今日とて飯を捜さないと、俺達は生きていけない」

「…分かった。今日は何処まで行く?」

「この前は、村の北側をまっすぐ行っただろう?だが、あそこはもう大きな収穫は期待出来ない。だから今回は南側に向かってみよう」

「大雑把だなぁ」

 

生きていけない、話しかけてきた男はそう言った。それもそうだ、この村に備蓄なんて概念は有って無い様なものだからな。

毎日その日暮らしの食料も見つけられない。収穫した作物も、村同士の取引とか、稀に訪れる商人との交渉に使う為、結局満足に食事が出来ないのが現状である。

因みにだが、この目の前の男にも結晶が生えている。左足首と鎖骨近く、恐らく目に見えない部分にも点在しているのだろう。

この症状は鉱石病《オリパシー》と呼ばれ、このテラの世界では普遍的なものである。

詳しいことは解らないが、この病気は現在に至るまで完治する手立てが存在しない。

そして病状による差はあれど、最終的には人間を等しく死に至らしめる病である事は、俺でも知っている。

 

「南側だと、近くの村の活動範囲と被らないか?小さい村同士で少ない資源を食い潰すのは御免だ」

「あっーとそうか…なら西に逸れよう。ここいらで野草なんかが自生してそうなのはもうそこしかない」

「…この辺りって、寒さに強い野草が生えている土地なのか?」

「いや知らんよ。あるように祈りながら探しにに出かけるんだろうが」

「えぇ…」

「ほら準備しろ!あと妹ちゃんにも声掛けて来い、連れてくるかは任せる」

「分かった分かった…」

 

―――

――

 

どの村にも、屋根と壁が辛うじて残っている廃屋がある。勿論少ない資源から家屋を立てる事もあるが、最初はその廃屋を中心に生活拠点を整えていくからだ。

その中の一つに、俺達二人は住まわせて貰っている。

例え隙間風が吹こうとも、雪の降るウルサスの大地に建物の中で過ごせるというのは、大きな利点なのだ。

 

「ユウリにーちゃん、おはよー」

「おう、おはよう」

「にいちゃんカード、今日はカード教えてくれる?」

「いや、今日は予定があってな…帰って来てからなら大丈夫なんだが…」

「ユウリさんってば、出かける日はいつも帰って来るの遅いじゃない。今日は駄目かぁ」

「はは…まぁ、また今度な」

「おやぁユウちゃん。おはよう」

「おはよう、ばあちゃん」

「今日はまた寒いねぇ…こんな日に出かけるのかい?」

「アンドンの頼みでね、また色々持って帰って来るよ」

「そうかぃ、無理はするんじゃないよぉ」

「はいはい」

 

この家は小さい子供たちやお年寄りも住んでいる。アレだ、共同住宅という奴だ。

 

「ラウラ?起きてるか?」

「んぅ…?ユウリにぃ?」

「あー寝てたか、悪いな起こしちまって」

「うぅん、私に用事なんでしょ?大丈夫だよ…」

「そか、俺はまたその辺歩き回って色々探しに行くけど、お前どうする?」

「んー…行きたい…」

「身体の調子はどうだ?」

「うんー…」

 

どれどれと彼女の額に手を当ててみる。

どうやら熱は無い様だが、元々身体が丈夫ではない彼女には、外の寒さは厳しいだろう。

 

「今日は留守番しててくれ。荷物とか寝床の近くに置いておくから、何かあったらこれ持って隠れるんだ」

「うー…」

 

半分まだ寝てるなこ奴…

まぁ返事はしてるし、毎日言い聞かせてはいるから大丈夫だと思うが…

 

「いってらっさいユウリにぃ…」

「おう、なるべく早く帰ってくる」

 

―――

――

 

「今日は来ないって?」

「朝早かったのと、最近は体調もまずまずに落ち着いてきたから、今日は様子見て留守番させてる」

「お前と違ってちっこいからなぁ、あんま無理させてやるなよ?」

「はいはい…」

 

俺とラウラは、元々この村に居たわけではない。

この村とは別の、かなり離れた村(といっても、ウルサス内部には変わりない)から一緒に移動してきている。

無理に連れまわしているわけではなく、訳あっての事だ。決して良いように使う為ではない。

村を移動し続けている事にも理由があり、最終的な終着点は、チェルノボーグという都市まで辿り着くためだ。

正直そこに行くと行かないとでは、これから先の未来がかなり変わって来る。

……はずだ。

 

「アンドンさん、このあたりじゃないですか?」

「確かに随分歩いた。…あそこに見える地形は、この地図の部分と合致しているな。よぉし皆!集めるぞぉ!」

 

感染者のコミュニティは、例え感染者同士でも、互いを仲間として迎えることは殆ど無い。

実際、アンドンと村の子供たちぐらいしか、まともに話し合いすらしたことが無い気がする。

アンドンと話していた男は、俺を見るなり何とも言えない表情で去っていった。

 

「ユウリ、何かあればまた頼めるか?」

「その為に呼んだんだろ?俺はそのつもりで来てたんだけど」

「ハハハ…、しかしその…デュエルディスクだったか?随分ボロっちいがちゃんと動くのか?」

「試してみるか?…そうだな、このカードだ」

 

デッキからカードを一枚引き、そのままデュエルディスクに置く。

使用するカードの種類はモンスターカード。正しく起動した左手の機械は、召喚を行ったモンスターの姿を徐々に投影していく。

 

「《稲荷火》を召喚!」

「ふしゅるるるぅ…」

 

ぼう、と召喚された狐のモンスターから、炎が吹きあがる。

よしよし…心配はしていなかったが、ちゃんと動作しているようだ。

 

「おぉ、いつ見ても不思議なもんだな…。これはやっぱりアーツの類なのか?」

「元々デュエルディスク自体が、カードに実体がある様に見せる装置なんだよ」

「ならやっぱりただの映像なのか?」

「…いや、どういう訳かその立体映像を本物にしてしまうのが、俺のアーツらしいんだ」

 

きゅるる…と《稲荷火》が退屈そうに欠伸をすると、その周囲で積もった雪が解け始める。

燃え盛る尾の炎が周囲の空気を温めていく。

こんな芸当は、彼らが扱っていたソリッドビジョンシステムでも難しいだろう。

 

「難しいというか、実際に召喚出来てるんだもんなぁ…」

 

膝を曲げ、《稲荷火》に手を伸ばし喉を撫でてやると、くるる…と気持ちよさそうに目を細める。

俺がデュエルディスクにカードを置いている間、間違いなくモンスターには魂が宿る。

 

「しかし、ボロ板を腕に着けて俺達の村に来られた時は、何事だと思ったよ」

「あー…だろうなぁ。村から村へ移動する時は、アーツを扱うのに集中するからさ。色々周りが見えなく時があるんだ」

「ま、それも今では何とも思わんがね。お前はラウラを守るのに必死だし、肝心のラウラは、そんなお前を見た俺達の誤解を解こうと、頭を下げるしで…」

「もうその話は良いだろ!用心棒を頼む時は、毎度その話をするつもりか!?」

 

おっちゃんはハッハッハ!と笑い始めるが、毎回その話になるこっちの身にもなってくれ。堪ったもんじゃないぞ…

 

「ったく……お、カードみっけ」

「おいまたカード拾いか!?カードより飯だと言っているだろう!」

「落ちてるんだから拾ってるんだろ。カードが落ちてる方が悪いんだ」

「ああそうかよ!……じゃあ俺も探してくるとするかね。ユウリ、緊急時は直ぐ動けるよう、頼んだぞ」

「わかった。何かあれば叫んで呼んでくれ」

 




後書きになります。
今回は、ウルサスで生きる今作主人公と妹、その生活ぶりに焦点を当てています。
彼らはウルサスのとある凍原で、生活しております。
というより、主人公ユウリくんの転生先が、凍原に住むとある男性だったという話です。

それよりほら!遊戯王カードとデュエルディスクですよ。これはもう遊戯王クロスオーバーという条件は達成したでしょう…!
……え?デュエルですか?
……
……

さて次回ですが…あっ……
い、いぇ、あの…区切り方が決まりましたので、今回に続き、次回もデュエルはございません。
えっ、痛っ…痛い…!や、止めて……叩かないで……
後、期待されている方には申し訳ないのですが、"今の所は"バチバチの現環境デッキで戦う様なシナリオではございませんので、予めここでお知らせと謝罪しておきますね。
今の私の技量で、現代のソリティアを再現しようものなら、眼が滑るような文章まみれになること必死ですので…
それでは今回も後書きなんぞに時間を割いて頂き、ありがとうございました。
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