デュエル脳はテラを救う   作:G1N

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スカルシュレッダーのおみ足


とても


エッ……!


Escape from Longmen

「丁度このビルかな~…」

「…うん!間違いないよ!此処でウチのトランスポーターが保護対象と待機してるってさ!」

 

手元の端末を確認しながら、ショートヘアの天使…文字通り、天使の羽根と頭の輪っかがある配達員がアーミヤ達に確認を取る。

彼女が着こんだアウターはペンギン急便支給の物で、片袖にはそのまんま"ANGEL"と記載されている。

 

「分かりました。リスカムさんとフランカさんはビル内部での先導をお願いします」

「了解!」

「はーい」

「……フランカ」

「はーい、りょうかーい」

「もう…」

「ドクター、私の傍を離れないでくださいね?レユニオンは既に、スラムの奥深くまで侵攻の手を伸ばしているようですから…」

「分かっているよ。…エクシア、対象の待機している階層は?」

「ん~、あそこかな?ほら、丁度窓が割れちゃって、窓枠だけになってるとこr…」

 

そうエクシアが指を指した窓枠、話を聞いていた人物は視線をその指の先に移していた。

誰もが視線を移したその矢先、その窓枠から、此方から合流するはずだった三人が飛び降りている最中だった。

 

――

 

「ちょおおおっ!?」

「きゃあああああ!?」

「なんだってんだよちきしょー!…リバース発動!《重力解除》!」

 

二人の姿を見た瞬間、本能的にその場に居た二人の腕を引っ張って窓から飛び降りた。

あんな狭い場所であの二人を相手に出来る訳ないだろ!どっちも爆発物持ちだし、第一レユニオン幹部だぞ!?

 

「逃がさないっ…!」

「…ッ!引っ付いてくんなよ!」

 

だが飛び出した直後、背後から同じく飛び出してくる影…スカルシュレッダーが俺達を追って、同じ窓枠から飛び出してきた。

近くに居たスカルシュレッダーも同様にカードの効果を受け、俺達の近くへと着地する。

 

「ねぇ~?急に飛び出す事ないじゃない?」

 

なんか上の方から聞こえるな…

あ、だぶちか…

アイツは一緒に降りてこなかったんだ……

 

「あら、他の面子も揃っちゃって…、もしかしていいタイミングだったかしら?」

「最悪だよバーカ!」

「最悪なのはこっちや!飛ぶんやったら先に言ってから飛んでや!」

「…ね?居たでしょ?保護対象」

「…余計なのも混じってるんですけど」

「招かれざる客って奴ね、遅かれ早かれこうなってたでしょ。行くわよリスカム」

「言われなくても…!」

 

不幸中の幸いか、ロドスの面々が真下に居てくれたのは助かった。

俺とクロワッサンだけであの二人を対処とか荷が重すぎるからな…

 

「ユウリ!」

「ドクター!ミーシャはここだ!」

「…ミーシャ、多分また走ることになるぞ。それもさっきよりたっぷりな」

「あの仮面の…一緒に降りてきたあの子は、私の事を知っているの……?」

「……」

 

雰囲気で分かるってこういう事か…

成る程、確かにこれじゃあ隠しようがないな。

確かにスカルシュレッダーは、ミーシャと血を分けた家族だ。本当の名前はアレックスだっけな…

 

「ミーシャ、あいつはだな…」

「お前はタルラとデュエルをしていた男だな?…俺ともデュエルで足止めをするつもりか?」

「るせー!今こっちが話してんだろうが!」

「問答無用!」

 

おま!?デュエルするのかと聞いておいて、リアルファイトに持ち込むのは反則だろ!?

 

「クソッ…、距離が近すぎる…!」

 

手持ちの発射機に付属する刃を展開させ、優れた跳躍で俺達に迫る。

こうなればカードを引く余裕がない。タルラとの一戦を見ていたとなれば、俺の弱点なんてすぐに看破されるか…!

 

「ユウリさん!下がって!」

「……!」

 

アーミヤの声に反応できた俺は、すぐに後方へ思い切り飛んだ。

そりゃもう、この後思い切り頭を地面にぶつけるのも厭わずに。

そして自分の目の前に、黒い光弾が着弾する。

 

「…ロドスの術師か」

「それ以上ミーシャさん達には近づけさせません!」

 

対するスカルシュレッダーは、光弾を確認した直後に自身の飛んだ勢いとは逆の方向へと再跳躍して見せた。

自身の持ちうる瞬発力に付随して、理想の動きを実現出来るほどの運動能力…

レユニオン・ムーブメントの突撃部隊隊長を務めているだけはある。

…今はアーミヤのアーツが着弾したお陰で、土煙に巻かれてその姿が良く見えないけど…

 

「ユウリはん、大丈夫!?」

「いってて…、頭打った…」

「…大丈夫そうやな」

「今痛いって言ったよ俺!」

「…ユウリさん、このまま私達の後ろへ」

「アッ、スンマセン…」

 

あ、呆れられてるなコレ…

今目の前に現れたのは、部隊の隊長として今回の作戦に同行している一人、重装オペレーターのリスカム。

彼女たちが俺達と接触出来たのであれば、並大抵の事では正面からの突破はされないだろう。それに…

 

「鬼さん、こ~ちらっ!」

「ぐわあぁっ…!?」

「チ…、『包囲網はどうなっている?』」

『包囲自体は出来てる!…だけどこのままじゃあ、あの女共に網を破られそうだ!』

「面倒な…!」

 

同じく作戦に同行している前衛オペレーターのフランカ。

彼女が繰り出す攻撃の鋭さなら、敵の包囲を突破する事は容易い筈だ。

…テラの世界の傭兵は、どんだけ高水準を要求されるんだ?

彼女たちを雇っているBSWという組織は、どれほどの力を持っているのか…

 

『各隊、保護対象の移送を優先するんだ。…既に包囲されている、術師も潜んでいる事だろう』

『今現在フランカの隊が、テキサスが用意した撤退路へと穴を空けている最中だ。…踏ん張りどころだ、頼んだよ』

「「「了解!」」」

 

戦場の指揮を総括するドクターの一声で、全隊の士気がさらに向上する。

包囲されて劣勢であるにも拘らず、何とも負ける気がしない…!

 

『手間取りそうね?助けてあげましょうか?』

『…Wか、有り難いが今は必要ない。それに元々此方へ出向く必要もなかった筈だ』

『そう?…じゃあ作戦通りに、精々上手に追い立ててよね』

『心配ない』

「……」

「ロドス、思った以上にやるようだ」

「……姉さん」

 

―――

――

 

「ちょ…、ちょっと待って……、ハァ……」

「ドクター!頑張って!もう少しですから!」

「だ、だからって……、ぜぇ……、階段は……、うぇ……」

「……さっきまで凄い指揮をしてた人とは思えないわね」

「ふ、フランカ…!」

 

まさか今まさに追われて包囲されるか否かという時に、建物を昇っていくとは殆どの部隊員が想像していなかっただろう。

……ロドスの戦術指揮官であるドクターでさえ、その一人だったのだから。

 

「ミーシャさん。走ってばかりで申し訳ないですけど、貴方も大丈夫ですか?」

「私は大丈夫…」

「ごめんなさい…。私もこんな事になるとは……」

「急いでくれ。エクシアがマッピングし直したとはいえ、完全に安全だとは限らない」

「わ、分かってる…よ……、ふぅ……」

 

撤退路を繋いだペンギン急便のトランスポーター、テキサス。

彼女の活躍が無ければ、ロドスはスラムでの包囲を抜ける事は難しかっただろう…

 

「…なぁ、お前がロドスのドクターだろう?」

「そ、そう…だがっ……。ふぅ……」

「疲れているところ悪いが、あのユウリとかいうのは放って置いて良いのか?」

「……良くない。良くないけど、彼の行動に合わせられるオペレーターが此方で用意出来ないからね」

「幸い通信も繋がる。逐一連絡を送り合えば、最悪の事態は避けられる筈だ」

「そうか…」

「クロワッサン、そういう事だからあまり気に病むな」

「いや全然気に病んでへんけど?」

「……そうか」

 

――

 

「ぬおおおぉぉ!!」

「ま、待てぇ!」

「待つわけないだろおおぉぉ!!」

「チリンチリン!」

 

《サイクロイド》おおおおお!!

さっき買ったカードパックから出てきたから召喚してみたのは良いものの、コイツ自動で動いてくれないのかよおおお!!

これじゃ只の自転車じゃねぇかああああ!!!

というか自転車でレユニオンから全力で逃げてるって、全力でダサ過ぎないか俺ェ!!

 

《サイクロイド》

通常モンスター

星3/地属性/機械族/攻 800/守1000

数あるビークロイドの中で、最も親しみ深く愛されるビークロイド。

補助輪を装備する事もできるぞ!

 

「くそっ…地味に速いな…!妙なアーツといい、面倒な奴だ!」

「アイツの車両を潰しちまえ!後ろに乗ってる子には当てるなよ!」

「ちょま、うおおおい!?」

 

あいつ等アーツ撃って来やがった!?

こっちは一応《クローン複製》でコピーしたミーシャのクローンが乗ってんだぞ!?

 

「いたぞ!止めろ止めろ!」

「や、やべ!?前に出てくんじゃねぇ!」

「あ!?お、お前!馬鹿!とま、止まれって!」

 

車は急に止まれない。それは自転車でも同じこと、これ豆な?

そしてスピードの出し過ぎと、曲がり角には注意して運転する様にしよう。さもなくば…

 

「ぐわあああああ!?」

「のわあああああ!!」

 

人にぶつかった衝撃で、今の俺の様に宙を舞う羽目になるぞ!

 

――

 

「う、うぐ……、此処は……?」

「…ごきげんよう、お馬鹿さん?」

「……げ」

 

だ、だぶち……

俺の方を追ってきたのはコイツだったか…

 

「いい顔してくれるじゃない。…自転車なんかであたし達から逃げ切れると思ったら大間違いよ」

「ですよね…」

「…どうやら、私の方は貧乏くじだったみたいね。薄々分かってはいたけど…」

 

《クローン複製》の効果で出現したクローントークンは、先程の事故で消滅した後だった…

 

「うぐぐ…まぁ陽動作戦は上手くいったという事にしておこう…!」

「出来てないわよ、あたしはさっきいた場所から元々の作戦ルートに移動してただけ」

「あんたが勝手に付いて来ただけよ。それもわざわざアタシの部下を連れて…ね」

「ま、マジか…」

 

完全に俺の行動が裏目ってるじゃないか…、何しに来たんだ俺ェ……

 

「でも丁度良かったわ。あんたには色々気になる事があったから」

「……奇遇だな。俺も聞いておきたい事が幾つかあるぜ」

「あんたに主導権があると思う?あたしが聞きたい事聞いたらあんたは用済みよ」

 

…取り敢えず状況整理のために体を起こし、周囲がどうなっているのか確認する。

また廃ビルの中っぽいな。使われていないビル多すぎないか…?

外を見るに、そこまで高くない階層ってことは解るけど……

 

「…?此処に居るのはWだけか?」

「言ったでしょう、色々気になることがあるって」

「念のためサシで聞いておきたかったのよ。だけど、人払いにはそれ以上の意味は無いわよ」

 

Wはずっと笑いながら話しているせいで、心の内が全く読めない。

コイツが笑ってる時は大抵ロクな事にならない。まぁ、笑っていないタイミングを捜す方が大変らしいんだけど…

 

「一応聞いておくけど、俺が抵抗して逃げ出すとか思わない訳?」

「良いわよ逃げても。その代わりあんたの身体と意識はぶっ飛んじゃうかもね?」

「洒落になってねぇよ!」

「…それにしても、うちのは正面からぶつかって結構重症なのに、何であんたはピンピンしてんのよ…」

「えっ……」

「…なんか、ゴメンな?」

「……」

 

き、気まずい…

そっかぁ、俺とぶつかった奴、怪我したのかァ…

普通に悪いことしてしまったなぁ。でも急に前に出てきたのはアイツだし……

 

「…で、聞きたい事って何だよ」

「ふぅん…、手っ取り早く済ませてくれる人は好きよ」

 

その声で好きとか言うな!

後お前のビジュアル面とんでもなく美人なんだからな!

俺は見た目からは分からないだろうけど、中身は只のオタクなんだぞ!

普通に致命傷足りえるんだからな!

 

「……ねぇ、あんたデュエル中にタルラと何を話してたの?」

「へ?」

「間抜けな声出してるんじゃないわよ。あの女と、どんな会話をしてたのかって聞いてるのよ」

「ど、どんなって…」

「アレがあんなに動揺した姿を見たのは初めてよ!すっごい面白かったわ!今思い出しても…ふふっ」

 

俺はこの人、実はクソ(いい)女って認識だったんですが?

俺の目の前で笑ってるこの女は、どう考えても悪魔とかその類の奴だろ…!

女性の笑う姿って、素敵やん?とか思ってた自分の中に、笑う姿に惚れてはいけない女性の種類が初めて追加されたわ。

 

「あははっ……、ねぇ?勿体ぶらないで教えなさいよ。もしかしたらタルラとの"良い話題"になりそうだし?」

 

ホントに友好関係を築く為の話題として振るんだよな?

…いや、絶対違うなコイツ、だって笑い方が邪悪そのものだもの…

 

「……タルラと話した事は、アイツがデュエルモンスターズが好きかどうかって事だ」

「は?……他には?」

「ほ、他か…?そうだな、俺が人に対してアーツを使うのを躊躇っている事を指摘されたかな」

「そういう下らない事はどうでもいいの。本命は?」

「本命…」

 

本命は、タルラの内側に潜む"蛇"の話だが…

遅かれ早かれ、Wはこの事実を自分で感じ取る筈だ。

少なくともタルラとWは対立して、7章の時点で離反する訳だし…

 

「……お前は、タルラの事はどう思ってるんだ?」

「何よ急に、…そうね、良いクライアントだと思ってるわよ」

「本当か?」

「アタシから何を聞き出したいのか知らないけど、主導権は此方にあるって事…忘れてないわよね?」

「もしお前がタルラの事をまだ好ましく思っているなら、俺から話せることは無い」

「……"まだ"?」

「まるでアタシが、アイツの事を嫌いになるみたいな言い方じゃない」

 

なんなら最初から嫌いだったとかもあり得そうだな…

Wが話す"嘘"の会話から、いったいどれほどの真実を掬い取れるか。

…そんな高等な技術は、俺が出来るわけがない。

ならば……

 

「……」

「あら、もうだんまり?」

「……デュエルだ」

「…は?何?」

 

この手に限る。

聞けばデュエルは、普通に交渉事にも使われる様じゃないか。

クロージャがデュエリストをロドスに欲していた理由も、優秀なデュエリストを抱え込んで、交渉材料の一つとして活用する為らしいし。

その他、というか当初の目的はデュエルで相手を拘束するとかも言ってたけども…、どこのセキュリティだよ…

 

「アンタは自分の本音を俺に話すつもりは毛頭ないんだろう?」

「そして俺はこの件に関して、アンタが信用出来る人間か判断できない限り、話せることはない」

「で?だからデュエルしようって…意味わかんないわよ」

 

言うな。俺も正気に戻りそうになる…

 

「デュエリストなら、デュエルの中で答えを見つけるモンだ。…俺が負ければ俺の持ってる情報は全部吐く」

「だけど、俺が勝ったらこの話が出来るかどうか、判断した上で話を続ける」

 

ついでに俺が勝ったら、色々知りたい事聞かせて貰おうかな。

主にScoutの行方ぐらいしか聞くことないけど…

だとしても、我ながらいい考えだ、フフ…!

 

「…面倒くさい事言ってないで、素直に話してくれれば良いのに」

「さっきの話以外にも、聞きたい事はあったのよ?」

 

そう言うWは纏っていたマントを脱ぎ捨て、見慣れた機械を装着する。

…デュエルディスク、傭兵にも普及されてるんだなぁ。

 

「あんたの身体に聞いても良かったのよ、こっちは」

「ゑ」

「……痛めつけるって意味よ、このサル」

「……わ、分かってらぁ!」

 

ちょっと期待しただろ馬鹿!

……あれ、待てよ。

痛めつけるって事は…、ご、拷問…?

前言撤回、勝ったら早々にこの場から逃げようそうしよう…!

 

「ライフ4000、他は何でもいいわ」

「…禁止カードとか」

「駄目」

「ハイ」

 

通常通りのルール設定という事で問題なさそうだ。

案外デュエルを挑めば、タイマンならその場しのぎになりそうだな。

…と、自分の中に悪い考えが浮かんでくるのであった。




補助輪を装備する事もできるぞ!

後書きになります。
前日は投稿予約を忘れて普通に寝てました。
ご、ゴメン!ゴメンて!痛い痛い!ぺちぺちしないで!

さ、さて…
次回からWとのデュエルになります。
まだデュエル内容がキッチリ決まってないので、すぐに投稿出来るかは不明ですが…

追記
ぅわWっょぃ…
デュエルの内容纏めてたら、思った以上にWが強かったのでデュエル内容を見直しています……
なので投稿はしばしお待ちを……
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