……え?出番は当分先になった?暫くはアークナイツ本編をなぞる…?
――ロドス視点
龍門 スラム街 合流ポイント
道中、現地の感染者へと矛先を向けるレユニオンに対応しつつ、近衛局が指定した合流地点…
スラム街の一角に龍門近衛局の部隊が展開し、ロドス―が護衛している少女―との合流を待機していた。
「…遅かったな」
「チェンさん」
「龍門は余計なリスクが発生する事を良しとしない」
「分かっています。…ですがレユニオンの部隊から幾度とない襲撃を受けました。それも執拗に…」
「その様だな、小規模ながら爆弾が使用された事を此方でも確認した。まさか龍門の街中で…」
「爆発はレユニオンが起こしたものです。…ロドス本隊とは別件での戦闘で使用されたようです」
「ふむ…そうか」
アーミヤは移動してきた道に身体を向け、真っ直ぐに見据える。
「未だレユニオンはこの周辺を徘徊しています。レユニオンはあのスラムに、既に根付いてしまっています…」
「……」
「此処も安全とは言えません。ミーシャさんを連れて、すぐにこの場を離れて下さい」
「そうさせてもらおう」
「…君がミーシャか?」
「…っ」
アーミヤのすぐ隣…彼女より少し背の低い少女が、上級警司と視線を交わす。
「…はい」
「怖がらなくてもいい。私達は君に危害を加えに来た訳ではない」
「今から龍門近衛局が君を保護する。…だから、なるべく此方の指示に従ってくれ」
「PC94172、この子を見ておけ」
「了解…さぁ、私と来てくれ」
近衛局の隊員が姿勢を落とし、少女となるべく同じ高さに視線を下げる。
だが少女の視線はまだ、チェンへと向けられたままだった。
「…私が連れていかれるのは、私のお父さんが関係しているの?」
「……早く連れていけ」
「話してくれないんですね」
「規則ですので」
チェンは目を閉じ、これ以上の受け答えをせず黙秘を選んだ。
会話はそこで途切れ、沈黙が流れる…
「…あの、ミーシャさん!」
「アーミヤ…スラムの子供たちの事なんだけど…」
「大丈夫です。私達ロドスに任せて下さい!」
「…ですけど、私はお人形の作り方は分からないので、次に会う時は教えて下さいね?」
「人形…?」
「はい!あの子たちが大切に持っていたあの人形です」
「…ふふ」
「うん、わかった!」
後方に控えていた隊員の一人にチェンが指示を出し、改めてアーミヤへと向き直る。
「チェンさん…ミーシャさんについて、我々ロドスは情報を頂くことは出来ないのですか?」
「……」
「…分かりました。ですが、ミーシャさんの容体はあまり良くありません」
「あの方の安全と適切な治療を…必ず、約束してください」
「龍門の感染者への措置は十分に寛大なものだ」
「…そのお言葉、信じて良いんですね?」
「今回の件が済んだら、私はミーシャさんにロドスで治療を受けてもらいたいと思っています」
彼女の蒼く深い瞳の奥、その瞳には力強い意志が感じられる。
「…分かった。私からウェイ長官に申請しておく」
「宜しくお願いします」
――
―
「ドクター…?此方ですか…?龍門近衛局と合流後、要人…ミーシャさんの引き渡しを無事に完了しました」
「ああ、助かったよアーミヤ、これで少しは肩の荷が下りるはずだったんだけど…」
先程の合流ポイントの付近、街道に待機していたロドス一行は現在、身を隠せる建物内に移動後、アーミヤの帰りを待っていた。
だが、送り届けた後は撤退するだけ…そう思われた当初の思惑とは、状況が変わった事が見て取れる。
各隊の無線から複数の報告を受けたドクターは、PRTSを用いてその情報群を素早く簡潔に纏めている最中だった。
「…分かりました。また動きがあれば逐一連絡して下さい」
「何かあったんですか?」
「アーミヤさん、レユニオンが活動を再開しました。…私達の現在地も捕捉されているようです」
「敵はこの滅茶苦茶なスラムの地形を利用して、再度此方に攻め入るつもりみたいね。全く、こんな場所じゃ奇襲してくださいって言ってるようなものだわ」
「此方の任務は完了しました。ですがこの状況では、近衛局側に敵が張り付く事も視野に入れなければいけませんね…。ユウリさんの捜索に移りたいですが、ここまでレユニオンの動きが活発だと……」
「…PRTSの計算が済んだ。各自これからの内容を聞き逃さないように」
PRTSの計算を基に、ペンギン急便から齎されたスラム内の地図と照合し、建物内の壁をスクリーンとして、この周辺の精密な地図が新たに出力される。
「我々は無事、この合流地点で要人の引き渡しを完了した。当初の予定通りなら、要人はこのまま龍門近衛局が送り届けてくれるだろう」
「問題は、この場に残された我々に対して、未だレユニオンは襲撃を企てているという事だ」
「各自知っての通り、このスラム内では我々に地の利は無い。辛うじてペンギン急便の協力がある為、不利な対面だが相手を抑える事が出来ていた」
「だが今まで以上の戦闘となれば、周囲への被害は勿論、我々の身の安全も危ぶまれる事だろう」
「要人捜索の為に別行動をしていた部隊員からの連絡によれば、レユニオンと思われる勢力の移動を確認したとの事だ。それも複数の隊から連絡を受けている。…考え得る限りで、先程まで相手取っていた戦力より多い」
「うへぁ、さっきより多いって…、そんなの被害云々とか言ってる場合じゃ…」
「黙って聞け」
「おうっ!?」
ドクターの説明を聞いてぼやいていたエクシアの横腹を、テキサスが肘で突く。
一部の部隊員達は彼女たちの方へ注目が移るが、それもすぐにドクターの方へと向き直る。
「彼女の言う通り、考えなしに行動すれば、此処に住む住民への被害は免れない」
「…だが、現在我々が身を隠しているこの場所は、先程まで龍門近衛局が占有していた場所だ。そんな場所においそれと近づいてくる住民は居ない。…リスカム」
指示を受けたリスカムが新たに前に出た後、スクリーンに映し出された映像は"現在地"と表示された付近の、より精密な地図へと置き換わる。
「我々の隊と各分隊の協力を受け、この合流地点付近には人影が無いことを確認しています。また、新たにこの場所へ寄り付いて来ないよう、既に近衛局側で一時的な"網"を敷いていた様です」
「ですのでレユニオン側も、人のいないこの状況を承知の上で行動を起こしたのだと考えます。…得策ではありませんが、民間への被害を防ぐには相手の動きに合わせる他ないかと…」
「ありがとう。…聞いてもらった通りだ。我々の任務は既に達せられたが、護送中の要人が此方の撤退後に襲われたのでは元も子もない」
「敵が此方の思惑をどこまで知っているのかは不明だが、我々に残された選択肢は少ない上、どれもリスクを伴う事になる」
「そして、それを承知でレユニオンとの戦闘に挑むことになる。…要人護送の最終段階と言っても差し支えないだろう」
「……我々ロドスはこの場で残存するレユニオンとの交戦し、主目的である近衛局の要人護送、その陽動作戦を行う」
「この時点で異論がある者は?」
「……」
この場で異論を唱える者は居らず、数秒の沈黙が流れる。
「…よし、各部隊はこの後少ないが時間を設ける。今後の作戦内容等、伝えることがあるからね」
「だが、各隊の医療班及び、医療部隊は移動の準備を、指示はその後に通達する。いいね?」
「了解!」
「ペンギン急便の皆も、医療班を手伝ってもらえるかな?」
「はーい、重いもんとかやったらウチが運んだるで~」
「アーミヤ、通信機器のチェックを頼めるかな。どうにも手が足りないみたいだ」
「分かりました、お任せください」
「…では、再度ブリーフィングを始める」
「……」
周囲への被害。
この合流地点へと向かう途中、ここに住む住民の家屋が破壊されてしまった事も多々あった。
ロドスの面々は、周囲への被害を最小限へ食い止めるため尽力していたが、レユニオンの部隊員はそれを鑑みず行動し―
いや、実際には同じ感染者への攻撃を躊躇う様子はあったが、考えが相反した結果、レユニオンの面々は歯止めが利かなくなり、暴走したのだ。
その時の情景と、戦闘後に話をした人物との会話内容が、アーミヤの頭を過る…
――
―
「うぅ…痛てて……」
「大丈夫ですか!?何処か怪我をされたのでは…!」
戦闘中に家屋が倒壊し、近くに居た住民に被害が出てしまった。
「いや、心配いらないよ。少し身体をぶつけただけだ…」
「それより、助かったよ…危ない所を助けてもらって……」
「…いえ、これも私達ロドスの役目ですから」
「ロドスねぇ…何処かで聞いたことがあるような……」
「製薬会社のロドス・アイランドです」
「あぁ薬の…もしかしたら、知らない間にお世話になってたかもしれねぇなぁ…」
そう言う男性の頬には、小さいが黒い結晶が生えてしまっている。
…源石病の症状。お世話になったというのは、源石病抑制の薬を指しているのだろう。
「これからもお体を大事にして下さいね。…さぁ、此処はまだ危険なので、すぐに離れて下さい」
「…?」
「…離れ…て?」
「此処を離れて、俺に何処へ行けと言うんだ…?」
「……?…あっ!」
ハッとして、途端に後悔の念が押し寄せる。
このスラムで感染者として生きるという事、彼自身の身分を考えれば、自分が言った言葉がどれほど残酷な刃となるか、想像に難くなかった。
「ここが俺の、俺達の家だ……。でもあいつ等に全部、壊されちまった……」
「……ごめんなさい」
「…いや、……お前さん達は悪くない」
「多分、誰も、悪くないんだ……」
―――
――
―
龍門の外れ、荒廃した土地に立つ二人の影が近づき、言葉を交わす。
「…タルラ」
「……」
「全ての手はずは完了している」
その言葉を聞き、ただ一点を見つめるだけの動作を取り止めて、レユニオンの同士―クラウンスレイヤーへと向き直る。
「時が来たか、…そろそろ私達も行動を起こす頃合だな」
「……」
「何か言いたげだな、クラウンスレイヤー」
「…龍門を攻め入るに当たって、そのリスクとリターンは十分に理解している」
「だが、一つだけ疑問に思う事もあってな…」
「今後の憂いは断っておくべきだろう。構わない、言ってくれ」
「なら遠慮なく…、どうして此処まで龍門に執着するんだ?」
執着と言う言葉を聞き、再び龍門のビル街へと視線を戻す。
「執着、そう見えるか」
「ああ」
「…お前はあのビルを見たか」
「ビル?…あぁ、今見えている者も含めて、龍門にあるビルは幾つか」
「表面だけではない。あのビルの本質を、お前は見たか」
「…成る程」
「アレが龍門の象徴だ。つまり――」
「此処に戻ってきたのは、本来であれば感染者が手にすることが出来たものを取り戻す為…」
「そして、……さらには奴らに、代償を払わせる為…」
「其方の方がより興が深いと思わぬか?」
「……そうだな、タルラ―?」
ユウリ「休暇だー!」(地下)
ユウリ君がロドスと別行動をとっている為、2章を跨いで3章の途中まで、彼の出番が無いです。
なので、アークナイツ本編のシナリオを、暫くなぞることになると思います。
大まかな流れは一緒にする予定です。
そして今までと同じように、細かい部分で変化を付けて、なるべくテンポよく文体を変えていくつもりです。
因みに本編2章分は明日の投稿で全て内容を完了する予定です。
良ければ見てやってください…
デュエル回のぶつ切り云々について
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