デュエル脳はテラを救う   作:G1N

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デュエル…


デュエル要素どこ…?


引き金を引く、その先

――ロドス視点

龍門 スラム街 合流ポイント跡

 

「えぇい!」

「ぐああぁっ!?」

「っもう!少しは敵の数が減ってくれないと、こっちも持たないわよ!」

 

スラム内に潜んでいたであろうレユニオンの部隊員達は、ロドスへ襲撃を行うために、その多くがこの場へ集結していた。

戦闘訓練をまともに受けていない烏合の衆と言えど、圧倒的な数での制圧力は、ロドスに対して十分な有効手段だった。

 

「弱音を吐かない!…二時の方向!」

「…っ!クソ!喰らえぇっ!」

 

リスカムが声を荒げる方向には、物陰に潜んだ敵の姿が確認できる。

銃口を向けられ、視認されていることを理解したレユニオンは、今度は味方が射線に被る様に懐へと飛び込んでくる。

 

「うわっ!?っとと、あっちいっとき!」

「がはあっ!?」

「…油断大敵ですよ?」

「そ、そうみたいやな…。ほんま、全然減らへんな…」

 

レユニオンとの交戦を開始して、既に一時間を超えようとしている。

敵の勢いは衰えることなく、地に伏した数だけ追加の増援が送られてくる状況だった。

 

『苦しい戦いだろうけど、まだ耐えてくれ』

 

戦闘が起こる少し後方、ドクターは現状を自身の眼で定めながら、通信機越しに各隊員へと連絡を送る。

 

「あと少し、とか気休め言わん辺り、ドSなんか逆に優しいんか…」

『ミーシャが龍門に保護されたこと、相手はそれをを知らない可能性が高い。そうなれば此方が粘れば粘る程優位に立てる』

「言いたい事は理解できるが、此方の戦力はガタが来ている」

『分かっているよ、…そろそろだと思うが』

「…来たよ!前線の一部が下がってる!彼方さん、戦列を立て直すみたい!」

『エクシアの報告が間違いでなければ、このタイミングでお目当ての人物が姿を現す筈だ』

 

ロドスの前線オペレーター達も普通であれば寸刻の休息を行える筈だが、ドクターの予想通りであればこのタイミングこそが一番の正念場となる。

前線が引いた直後、その空白を埋めるように一つの部隊が前線へと進む…

 

「…随分整った戦場だ。これも其方の指揮官の指示か」

「来たわね、フードマスク!」

「スカルシュレッダーだ。…お前たちを殲滅する」

「出来るものなら…っ!」

「やってみなさい!」

「同士よ、俺に続け!俺が皆の剣となる!感染者の希望を、活路を見出すために!」

「うおおおぉぉ!!!」

 

―――

――

 

――近衛局視点

龍門 スラム街 要人輸送中

 

「……チェンさん、でしたよね?」

「…何か?」

 

ミーシャを無事に龍門へ保護するべく、近衛局の部隊は細心の注意を払いながら、そして迅速に行動していた。

 

「…あのスラム街には、感染者の子供たちがまだ大勢いるんです」

「もし…、もし可能なら、これからもあの子たちの事を…!」

「龍門とそこに住まう市民を守ることが、我々近衛局の仕事です」

「…!なら……!」

 

チェンの話す内容に、縋りつくように眼を輝かせる。

 

「しかし、感染者はその例外であり、彼らは龍門の市民ではありません」

「…ぁ、う…」

 

しかしその希望は、同じくチェンから話された内容から、地に落とされることになる…

 

「……ですが、龍門の感染者は間違いなく龍門の一部であり、同じ龍門の市民である筈なんです」

「今後どうなるかは私からは保証出来かねますが…、それでも……」

「…いいんです、あの子達から聞きました。さっき仰った事も、それが龍門でまかり通ってしまっている事実だという事も」

「それに、貴方があの子達にしてくれた事も…」

「……それは、私が…やるべき事をやったまでです」

「……ありがとう」

 

動揺、憤り、その他にも多数の感情が一人の警官の心をぐちゃぐちゃにする。

その正体が、この街の捻じ曲がった摂理か、それともその環境に染まりかけている自分自身への、どちらへの怒りなのか、彼女には判断できなかった。

 

「…どうして、我々が貴方を捜していたのか…お分かりですね?」

「私のお父さん、ですよね?」

「……そうです」

「貴方の父親は、チェルノボーグでも最も名高い科学者でした」

「それと同時に、政治的に見ても、チェルノボーグでの重要人物の一人だった」

「ともすれば、貴方にもそれだけの価値がある。…少なくとも、追手はそう考えているのでしょう」

「…私は、私には分かりません。そんな事…」

「勿論、確証が無いことは此方も承知しています」

「ですが、貴方がレユニオンの手に落ちる事だけは、避けなければいけなかったのです」

 

涙ぐむ少女の傍ら、チェンは成す術無く付き従えるしかなかった。

 

「はいはい、お涙頂戴はもう終わりでいいかしら?」

「……ッ!貴様、何処から!」

 

死角となった物陰から、黒と赤のコントラストが一人、近衛局とその要人に歩み寄る。

 

「やっと見つけたわ、龍門近衛局…!あのアホのせいで思いのほか時間喰っちゃたけど…」

「…っ、レユニオンの…幹部……!」

「スカルシュレッダーは十分上手くやったみたいじゃない?…まぁ本当なら、その子はあっちで回収して欲しかったんだけど」

「ミーシャ、下がっておいてくれ。…部隊は要人の前へ、何としても死守する」

「「了解!」」

「貴方達には特別恨みとかないんだけど…」

「とっても良いシナリオが思いついちゃったのよ。だからその出演チケットを貴方達にも配ってあげる」

「ゴミの押し売りなら、龍門の外でやってもらおう…行くぞ!」

「…さぁ、開幕よ!」

 

―――

――

 

「ロドスッ!…貴様らはァ!」

「させない…!」

 

リスカムが構えた盾へ銃剣の刃が滑り、火花を散らす。

 

「…フンッ!邪魔な盾共が、一人ずつその薄壁を剝いでやる!」

「その薄壁相手に、随分な手間取り様ですがっ…、フランカ!」

「こぉんのぉっ!」

「チッ…」

 

素早く連携を取り、敵の隙を文字通り突いたフランカ。

…だったが、スカルシュレッダーはそれを上回る機敏さを見せ、攻撃を躱す。

 

「あぁもう!すばしっこい!」

「重装チーム、このまま防衛陣形を維持!ドクターの所へは行かせるな!」

「ハァ…っ、りょ、了解!」

 

ロドスとレユニオンとの戦線は長時間の白兵戦を行っているにもかかわらず、その戦闘の勢いは未だ衰えていない。

状況は、スカルシュレッダーが前線へ参戦してから、ジリジリとロドス側が追い詰められている。

だがその光景としては異様そのものだった。

その理由は、ロドス側は撤退路を確保する為、ペンギン急便のメンバーが戦線から離脱している以外、チームでの連携を用いて、重傷者を出さずに戦線を維持し続けている。

対するレユニオン側で立っている人物は殆ど居らず、ほぼスカルシュレッダーが一人で戦線を維持している状態だからだ。

 

「何故あいつを龍門へと引き渡した!龍門が感染者へ行う仕打ちを知らない訳ではないだろう!」

「引き渡した理由なんて、あなたには関係ありません!」

「貴様…!」

 

グレネードランチャーの銃口をアーミヤへと向け、引き金を絞る。

 

「…!」

 

同時にスカルシュレッダーへと右手を向け、黒い光弾が空中に収束する。

放たれた二つの思念は、互いの中心で炸裂し、一時的に双方の視界を光と煙で塞ぐ。

 

「ドクター、これ以上の戦闘は此方の戦線が押しつぶされます…!」

『まさか標的が居ないと知った上で、此処まで粘着されるとはね…』

『前線から下がったペンギン急便は、既に撤退ルートを確保済みだ。だが撤退ルートを進むにしても奴を撒けるかどうか…』

「何が何でも撒くのよ…!流石にこの数の後に、こんな手練れは捌き切れな…きゃあッ!?」

「グ…ぅ…!逃がすと、思うか!」

「な…!?い、いつの間に陣形の内側へ…!?」

「まさか、煙の中を跳んで…がぁっ!?」

 

不意の斬撃により不完全な防御体勢となったフランカへ、両の手で持った得物を用いてレイピアを弾き、強烈な蹴りを喰らわせる。

その衝撃でフランカは大きく吹き飛び、ぐったりとした様子で起き上がることは無かった。

 

「フランカ!?っこのぉ!」

「無礼るな…!その玩具のような銃で俺に当てられるとでも!」

「うっ!?ぐっ…!」

 

素早く反応したリスカムは拳銃を相手に向け、連続して発砲するが、捉えた目標は既にその場を跳躍した後だった。

リスカムによる精密な射撃ですら、異常な素早さで跳ね回るスカルシュレッダーを捉えきることは出来ず、再び接近を許してしまい盾で防ぎ続ける状態に陥る。

 

「スカルシュレッダー!あなたの相手は私です!」

「…!良いだろう…!」

「…アーミヤさ、ぐうっ…!?」

 

攻撃により変形した盾ごと、先程と同じようにリスカムが蹴り飛ばされる。

違った点で言えば、リスカムは後退こそしたものの気を失うことはなく、代わりに膝を着き肩で息をしている状態だった。

 

『アーミヤ、スカルシュレッダーの様子は異常だ。…初戦と動きが違いすぎる。より鋭敏に、より頑強に……まるで獣そのものだ』

「分かっています。今レユニオン側の戦力はあの人だけ…。私が引き付けている内に、此方の前線を戻してください!」

「ロドスの術師、そのアーツが強力であることは認める。だが、俺にそれを当てられるか!」

「…っ!」

「俺の怒りは、理不尽に淘汰され続けた感染者達の怒りは!こんなものではッ!?…ッぐぅぅ!?」

 

突如として相対する相手の懐が眩く、しかし何処か邪悪な光が漏れ出す…

 

「…あの光は、何…?」

「ぐ、ああああああ!?…なん、だ……?何が……!」

 

光はやがてスカルシュレッダーへと収束し、足元に一つの"陣"を描き出す。

 

「まさか、アーツ…!?」

 

瞬時に黒い障壁を広く展開させて、アーミヤは衝撃に備えるが、その陣はやがて姿を消した。

陣の中心にいたスカルシュレッダーは、その場でふらつきながら立ち止まっている。

 

「…何も、起きない?」

「アーミヤさん、今のうちに!」

「…!皆さん、撤退しましょう!急いで!」

 

―――

――

 

「ハアッ…!ふうっ…!」

「しっかりしてフランカ!…メディック、早く!」

「は、はい!」

「クソ!…隊長がやられるなんて、バケモンだよアイツは!」

 

レユニオンとの戦闘から撤退した後、各隊の負傷者を医療班が手当を行っている。

一度合流したペンギン急便の面々は、ロドスと別行動を取ることとなり、龍門に存在するレユニオンの調査を行う事となった。

 

「…私の責任だな、これは」

「ドクター…」

 

この戦いでロドス側に戦死者は居ないが、だから良かったとはならない。

襲撃に次ぐ追撃を掻い潜り、皆が必死になって戦ったお陰で、今があるのだ。

 

「アーミヤ、君に負傷は?」

「問題ありません。皆さんが守ってくださいましたから」

「…なら話しておきたい事がある。少しこっちに来てくれ」

 

隊員達から離れ、ドクターはアーミヤを連れて小声で話し出す。

 

「…先程から近衛局の部隊へ通信を行っているが、連絡が取れないんだ」

「えっ、それって…」

「彼方で何か問題が起きたのかもしれないが、此方もすぐには動けない」

「…もしかすれば、私達がレユニオンに乗せられていたのかもしれない」

「そんな!」

 

合流地点での襲撃したにも関わらず、引き渡しの際にレユニオンは行動を起こさなかった。引き渡しの後、ロドスと近衛局は別行動を取ることとなる。

そしてロドス側に戦力を集中させ、近衛局側にも別途戦力を割いていたとすれば…?

スラム内にはスカルシュレッダーの他にもう一人、Wがいる。

此方へ戦力を集中したのであれば、彼女の姿が無かったことはおかしい。

…最初の戦闘から、ロドス側の戦力は測られていたに違いない。十分に引き付けられる戦力をぶつければ、後は近衛局から当初の目的であるミーシャを奪取するだけ…

 

「…最初から仕組まれていたんですか、レユニオンに」

「いいや、最初からここまで上手く仕向けていた訳じゃない筈だ。現に幹部二人がスラム内に居合わせていたが、十分に統率が取れていたとは言い難い」

「だがこの戦いは違った。…この龍門で起きている事象にも、策略家が相手にいるらしい」

「スカルシュレッダーが何度も食い下がって来たのは、ただ怒りに身を任せていた…、それだけじゃなかったんですね…」

「医療行動が完了次第、私達は近衛局に合流しなくてはならない。…いいね?」

「了解しました!」

 

―――

――

 

気付けば、その場に倒れ込んでいたらしい。

通信端末への連絡音で目が覚めたのだ。恐らくWからだろう。…震える指で端末を起動させる。

 

『…もしも~し、聞こえてるかしら?』

「……ああ」

『うわ、何よその声…、まさかやられたんじゃないでしょうね』

「問題ない。…それより、あいつは…」

『…こっちで預かってるわよ。今はお昼寝中』

『近衛局主力部隊の足止め、あの女が自ら動くとは思ってなかったけど…そのお陰でこっちはスムーズだったわ』

「…そうか」

 

作戦の成功からか、安堵感により身体の力が少し抜ける。

 

『本当に大丈夫なの?迎えがいるなら…』

「W、俺は手に入れたぞ」

『はぁ…?何をよ』

「力だ。…希望の、正義の力」

『……あっそ、良かったわね』

「くく、…これで、感染者を見下してきた奴らに、力を示せる…!」

「俺達感染者は、奴隷でも、家畜でも、それ以下でもない…ッ!」

「"オレイカルコスの結界"…!このカードに選ばれたという事は、俺は正しかったんだ!」

『…そっちの部隊も早めに切り上げさせて、こっちでクライアントに信号を送っておくわ』

「…W」

『何よ、一々呼ばなくても聞いてるわよ』

「助かった」

『……あは』

『あたしに感謝するなんて、あんたらしくないんじゃない?』

「…フッ」

 

通話の最後に無機質な機械音が響く。

そのタイミングを見計らっていたのか、生き残った兵士達が近づいてくる。

 

「……」

「す、スカル、シュレッダー……。大丈夫、か…?」

「この場で動ける奴らは、全員集めた。残りの部隊もじきに此処へ…」

「…いや、次の作戦地点へ向かう」

「……!お、おぉ…!ということはWの部隊がやったんだな!俺達の作戦はまだ軌道に乗っているんだな!!」

「やった、やったんだ…!うおおおぉぉ!!」

 

喜びの歓声をあげる同胞達、だがその数は、作戦当初よりも遥かに少ない。

この場に倒れた者、…相手は加減をして、此方へ致命傷は追わせないようにしたらしいが、それでも死傷者はいる。

重くなった身体を起こし、次の行動へと移る。

 

「倒れた者は安全な場所へ置いて行く。此処からの距離では、次の作戦へは同行させようにも運び手が足りない」

「あ…、そう、だな!へへ…狡い奴らだぜ全く!一足先に休暇貰いやがって…」

 

この言葉の意味を、恐らく聞いた全員が理解しているだろう。

倒れた者の意志を継ぎ、立ち上がった者は前へ進むのだ。

これから先、感染者として苦難する事も減らせるよう、今しがた得たこの力で取り計らねばなるまい。

 

「俺が…、俺達が変えるんだ…」

「レユニオンが感染者の未来を、変えるんだ…!」




オレイカルコスの結界をツカイナサイ…(ダメー!
強くなりたいんだろう?ツカイナサイ…(ツカワナイデー!


後書きになります。
これにてアークナイツ本編第2章終了となります。
しかし、話の繋がり的に龍門編として章は分けない方がいいのか。
将又原作基準で普通にに分けておくのか…
その辺りは此方で後々考えておきます。


又、アンケートに回答して下さった方々、本当に助かります…!
次回投稿時を目途に回答は閉め切ろうと考えておりますが、このままのペースで良さそうですね。とても参考になりました。


では、此処まで読んで下さりありがとうございます~。

デュエル回のぶつ切り云々について

  • 文量マシマシ一括投稿
  • 文量マシ、デュエルと日常は別途投稿を希望
  • そのままの君で居て
  • そのままでいいがデュエルと日常は別途ry
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