相変わらずのネタバレ注意です。
レユニオン側のキャラクターに関して、ユウリ君が含んだ言い方をしてます。
「…成る程、貴方は私達ロドスがここに来ていることを知って、あの…竜に…乗って、此処まで避難してきたと」
「はい…それでフェン、じゃないフェンさん。俺の……」
俺の視線の先、さっきまで俺達に集まっていた人たちが、がやがやと今度は別の物に集まっている。
「デュエルディスクの初期型だな。随分ボロボロだし、動作不良を起こすのも無理はない」
「もう市場に出回ってないって聞いたことあります。だけどこんな時に見られるなんて…」
「アドナキエル君、これの事詳しいの?」
「詳しいわけじゃないんだけど、珍しいものだって知ってたから、つい…」
「ラヴァちゃんも持ってるよね?同じやつ」
「アタシが持ってるのは、コレより新しいヤツだよ。部屋に置いてあるんだから、区別くらいつくだろ?」
「う~ん…お姉ちゃんは同じに見えるけど……」
俺のデュエルディスク、行動予備隊の人達に取られちゃったんだけど…
それがないと俺、ただの一般人なんですけど……
「これが、デュエルモンスターズのカード…」
「メランサちゃん興味あるの?」
「う、ううん。私には難しそうだし…」
「あっ、さっきのドラゴンってこれじゃない~?」
「《エレキテルドラゴン》…、確かにこの竜ですね」
「わ~、《バニーラ》だってぇ。兎だね~」
「そ、それ、私がユウリにぃに渡したの」
「そ~なんだぁ」
「きゅきゅ~!」
居ますけどねアナタの隣に、カードの精霊としてだけど…
後から分かったんだけど、多分というか…やっぱり俺にしか見えてないっぽいんだよなぁ。
流石に精霊を食べようとは思わないし、可愛いから良いんだけどさ…
……というか、俺のデッキまで取られたんですけど。
なんかデュエリストの命らしいですよ?それ。
「フェンさん、俺のデュエルディスクとカード…」
「あぁそうですよね!ほら皆、ユウリさんに返してあげて」
「は~い」
「…見た所、もうそのデュエルディスクは限界だ。近いうちに使えなくなると思う」
「そ、そうか……」
まぁそうだよなぁ…
使っている俺でさえ、コイツはもうボロボロのガラクタに見えるし。
俺はそんなデュエルディスクを、いつも離さず身に着けてるわけだが……
「此方に飛翔体が不時着したと、報告があったのだが…」
俺達が聴取されている場所に、ブロンドの髪と耳をしたクランタの女性がやって来る。
「あ、ニアール…」
「ん?…其方の御仁は?」
「ニアールさん、この方は都市の源石病感染者です。ロドスの事を知って此処に避難して来たと」
「そうでしたか。もう間もなく今回の件で被害に遭った方々を、我々ロドスのオペレーターが安全な場所まで避難出来る様、護衛いたします。貴方もどうぞご一緒に」
助かったぁ…これで俺もラウラも安心だ……
「それで飛翔体の件なのだが…」
「あ、それは…」
俺から説明しようとした時、ニアールの表情が変わる。
どうやらインカムに連絡が入ったようだ。
「……失礼、連絡が入った。……あぁ、今は合流地点に居る」
うわぁなんかオペレーターって感じするなぁ。
…駄目だ、疲れすぎて雑な感想しか出てこない。
……ん?待てよ。ニアールだけ来たという事は、ドクター達はまだ合流してないのか。
そうなると……
「今頃、丁度マズい頃合なんじゃ…」
ここの様子から察するに、恐らくドクター達の救出には成功していると思う。が、撤退するまでに修羅場がいくつあった…?
それにこの世界、普通のアークナイツ世界なら、単純に戦闘して命辛々脱出なんだろうが…
遊戯王だぞ…
デュエル脳が作用するこの世界で、彼らはどこまで戦えるんだ…?
「ユウリにぃ、どうしたの?」
「…クルースさん、ラウラを任せていいですか?」
「えっ…どうしたのぉ?」
「…少し、野暮用なんです!」
言葉と同時に、モンスターを召喚する。
モンスターは同じく、エレキテルドラゴンだ。
「ごめんなさい!ほんっとうにスマン!だけど行かなきゃヤバい気がする!」
「ユウリにぃ!どこ行くの!?」
「ドクターが危ないかもなんだ!」
「……ドクターが?」
「勘違いで済んだなら、すぐ帰って来るから!」
「……あっ!後フェンさん!爆弾持ったサルカズの女性に気を付けてください!」
「何を言ってるんですか!また動作不良で落っこちますよ!」
「出来るだけ早く帰って来る!」
そう言い残し、俺はドクター救出隊と合流に向かう。
空は赤黒く染まり始めており、これが恐らく"天災"の予兆なのだろう。
急がないと、こんなごちゃまぜ時空で何が起こるか、全くの予想がつかない…
「行っちゃったぁ…」
「……フェン、彼にドクターの存在を伝えたのか?」
「い、いえ!伝えていません!」
「…では何故彼は、我々がドクターを保護したことを知っているんだ?」
「それに私のコードネームまで…、内通者…なのか…?」
「そう言えば私も…、フェンちゃんも自己紹介してないよねぇ?」
「た、確かに…自然に呼ばれてたから、気がつかなかった……」
「私もドクターの元へ向かう。ドクター達との通信が途絶えている今、この場は引き続き任せる」
「はい!お気をつけて!」
―――
――
―
「……あれかな」
信号弾、恐らくはドーベルマンが打ち上げたものだろう。
空からなら煙こそあれど、やはり地上から探すよりずっと早い。
恐らくあの場にいるのは…
「…メフィストか、という事は」
クラウンスレイヤーとの追いかけっこは終わった後か。
そしてメフィストとなると、ファウストもこの場に来ているはず。なら、早めにあの場に下りてしまおう。直線で降りれば、早々弾も当たるまい…
と、思わないとやってられないので、死ぬほどビビりながら、最高速で地上を目指すことにした。
「…!ドクター!何かが空から降ってきます!」
「あれは…竜か!?本当に本物の竜が、何故こんな所に…!」
「見ている場合かAce!アーミヤ!ドクターを連れて少しでも離れるんだ!」
「逃がさないって言ってるだろ。a2、a3!前へ!」
「だああああああぁぁ!」
豪速で地面に着地する。その着地点には大きく亀裂が走り、この場を大きく揺らす。
「…っ!ドクター!無事か!」
「けほっ、…私は問題ない」
舞い上がる粉塵の中に、軽く手を上げて返答する人物。
あの怪しいフードで顔が見えない感じ…間違いない、あれがアークナイツの主人公、ドクターだ。
「…ドクターを、知っている?……貴方は!?」
「包囲網を突破するんだろう!今は走れ!行け!」
「何だこの竜は!?誰なんだお前は、お前もロドスの人間か!?」
この場を支配していたレユニオンの幹部と対面する。
…やはりメフィストだったか。
あいつは何というか、生い立ちは複雑なんだけど、結局やってる事は残忍極まりないからな…
「エレキテルドラゴン!足止めだ!その翼で突風をお見舞いしてやれ!」
「ジギャアアアア!!」
油断ならない相手…更に気を引き締めると、俺は自分のモンスターに指示を出す。
命令通りにエレキテルドラゴンは、周辺の瓦礫すら舞い上げる程の突風を吹き荒らす。
この風で物理的に近づくことは不可能、そして…
「クソッ…!ファウスト!」
『…駄目だ。どの方角からも照準が定まらない』
『それにこれ程の風圧だと、狙い通りに矢が飛ばない』
強烈に舞い上げた砂塵は視界不良を起こし、この場での射撃行為を牽制する。
俺だって何も考えなしに突撃してるわけじゃない。念の為の伏せカードだって既にセット済みだ。
「アーミヤ行こう!ドーベルマンはドクターの前を頼む!」
「分かった!」
「分かりました!」
「どこぞのアンタ!強力感謝する!」
「いいから行け!」
今すっごいシリアス出来てるから!デュエルの文字が出る前にはよ行け!
「だから、逃がさないって!d4、d5、e5!竜は無視だ、ロドスを逃がすな!」
「そうはさせない!」
一瞬、戦場が閃光に包まれ、敵の包囲網に穴をあける。
あの声…良かった。やはりここは間に合ってくれたか…
「どうした、何が起きた?……どうして、僕の兵士が吹き飛ばされたんだ?」
「…危機というのは本当だったか」
「ニアールさん!」
「ニアール、助かった!」
「彼を追ってここまで来た。Ace、ドーベルマン、私は彼と殿を務めて撤退する」
「さぁ、攻勢に移れ!此方の陣形を崩すな!…打って出るぞ!」
―――
――
―
「……一先ず、逃げ延びたか」
「貴方がドクターだな。カジミエーシュの耀騎士ニアール、お迎えに参上いたしました」
「ありがとうニアール。あの状況下は私達だけで突破する事は困難だった。君と、彼のお陰だ」
「ああ、…そうだな」
「よーしよし、サンキューな、エレキテルドラゴン…」
そう言って大きな身体を優しく叩く。ギルルル…と落ち着いたように鳴いているが、先の移動と戦闘でお互いに疲れてしまった。
このモンスターは少し休ませてあげよう…
モンスターをデッキに戻していると、周囲の人達からの視線が刺さる…
「え、なん、何でしょうか…?」
「貴様、ロドスのオペレーターではないな。名はなんという?」
「ど、ドーベルマン教官…!ユウリです!ハイ…」
「……何故私が"教官"だと知っている?」
「ヒョ!?…あー……いやぁ、ハハ……」
強面が恐いってば教官…
この威圧感ありまくりな人相と声色を相手に、行動予備隊は訓練を続けているのか。
そりゃ同じフィールドに立てば、ステータスも上がるわ…
「私の名前もだ、ユウリさん。フェンは私の名前どころか、行動予備隊の自己紹介すらしていないと言っていた」
「……今その話は止めておかないか?天災も迫っている。尋問なら助かった後でも出来るだろう」
「…そうですね。ユウリ、さん…で、あっていますか?」
「はい、アーミヤさん」
「私達への協力、感謝します。このまま撤退ルートをご一緒してもらって構いませんか?」
「その方が俺も助かります」
「では一緒に行こう。頼りにしている」
「ドクター、ありがとう」
すげぇ…ドクターが喋ってる……
いや、喋ってるシーンは幾つかあったけど、実際に目の当たりにするのとでは印象が違うなぁ…
「敵は我々を足止め出来ないはずだ。今ある戦力を正面に向け、敵陣の包囲網を抜ける!」
「確かに、あの散開した布陣では、我々を止めることは出来んだろう」
「悪くない。集中砲火で敵陣を攪乱し、その隙に乗じて移動する…」
早速オペレーター達が、今後の作戦を練っているようだ。
ぶっちゃけ細かい部分までは俺も覚えていないので、流れに任せるとしよう。
…それに、まだ大一番が残ってる。
そこを乗り越えないと、チェルノボーグを脱したとは言えない。
この事件を起こした張本人、この街から彼女に遭わず逃げられることは無いはずだ。
恐らく今も、ファウストの部隊が監視網を引いている。
必ず、ぶつかって来る。
「ユウリと言ったな。良いガッツだった。それに竜を操るとは、只者じゃないな」
「…Aceさん」
その時、その後の展開を知っているのは俺だけだ。
なら、俺が出来る事は……
後書きになります。
やぁ~っとロドスとレユニオンの面々がまともに登場しました。
もう8話目なのに、やっとですよホント…
なるべくたくさんのキャラクターを登場させたいですねぇ。
次回は戦闘描写多めになりそうなんです。
ぶっちゃけ苦手なんですよ、描写処理書くの…
なので読みにくかったら申し訳ないです。
……え?じゃあ得意な描写はあるのかって?
……
……
後書き担当が居なくなってしまったので、代わりにありがとう担当がお送りします。
後書きまで読んで下さり、誠にありがとうございました。