デュエル脳はテラを救う   作:G1N

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あーちーちーあーちー!


燃えてるんだ~ろうか~!


魔法カード発動!《デス・メテオ》!


火焔

シナリオ通り、都市部南側の撤退ルートを進んでいる。

時刻も天災まで一時間を切ったのが少し前、悲しいくらい予定通りだ。

ここまで予想通りの光景が続くと、緊張が途切れそうになる。

 

「別部隊との通信は、まだ回復しませんか?」

「依然、ノイズだけだな。恐らく天災の影響だろう」

 

先程よりも空が赤い。天災が近づいている事が目に見えて分かる。

しかし、本当に源石が降ってくるのだろうか。凍原から出たことないから天災がどんなものかハッキリとは知らないんだよなぁ…

う~ん、やっぱり此方としては未だに信じがたいな…

 

「チェルノボーグのクズどもめ!お前たちの様な奴が居るから、俺達感染者がこんな目にあうんだ!」

「いいから、どけ!」

「ぎゃあぁ!」

 

群がるレユニオン構成員達を、ドーベルマンの鞭が襲う。

変幻自在に軌道を変えて襲い掛かる攻撃に、敵は成す術なく倒れていく。

 

「この狂乱状態は一体なんだんだ…?」

「まともに考えて行動しているような輩は、この辺りには居ないらしいな」

「構成員というより、唯の暴徒の集団だ。…烏合の衆だが、ここまで数が膨れ上がると手に負えなくなってきたな」

「我々は可能な限り速い速度で駆け抜けると決めた。急ごう」

 

レユニオンの数は、文字通り暴力的に多い。叩けば叩くほど出てくる。

ひっきりなし、無限にお代わり自由だ。いやもう勘弁してくれ……

 

「行け!ガガギゴ!」

「ウオオォ!」

 

勿論俺も参戦している。厳密には俺の召喚したモンスターが、だけど。

……正直、ここに来るまでにアーツを酷使し過ぎて、身体の動きが鈍くなってきた。

だが、四の五の言ってられる状況じゃない。

 

「ぐわあっ!?」

「何だ!何処から攻撃を!」

「…いや、違う!遂に!遂にこの時が来たんだ!」

 

レユニオン達の動きが鈍り始める。それと同時に、狂ったようにそれぞれ声を上げ始めた。

 

「感染者の救済を!」

「…救済?一体、奴らは何を言っている?」

「ギャアア!」

「おい!奴らは何にやられているんだ!」

 

たぎる雲が炎の中で渦巻き――

 

「……マズい!始まった!」

「ロドスの皆さん!天災だ!天災が始まったんだ!」

「何!?」

「空が…空が、血の色に染まっている……!」

 

恐怖がかの者たちの声を奪い、大地は、静寂に包まれる――

 

「お前ら健常者共は!この大地に粛清されるのだ!ハハハハ!!」

「勝手な事を…!」

「各部隊、慌てるなよ!自分の身を守ることを優先しろ!」

 

巨大な源石が降り注ぎ――

 

「避難が無理なら出来るだけ俺の近くに!アーツを発動させる!」

「リバース発動!《閃光のバリア -シャイニング・フォース-》!」

 

――そは堕ちる、死の焦げた影の上に

 

―――

――

 

……死の匂い。

鼻孔を突き刺すような、焦げ臭く、絶対に嗅ぎなれない、受け入れがたい匂い。

それが今、この周りに充満している。

 

「げほっ…げふ……うぇ……」

「…皆、無事か!」

「な、何とか……」

 

俺とロドスの面々は、大きな被害もなく天災の第一波を耐え凌いだ。

その後レユニオンの残党も対処し、再度撤退ルートを進んでいる。

その事実に皆安堵し、束の間の喜びを分かち合っていた。

 

「……ここからだ」

「…?ユウリ、何か言ったか?」

 

ここからが本番だ。

一先ずロドス一行が逃げられる隙を作る為、モンスターを多面展開し、可能な限りリバースカードも伏せる。

 

「ジギャアアア!」

「トーン!」

「ピュアアアァァ!」

 

「わっ!わっ!?」

「ゆ、ユウリ!?どうしたんだ一体!」

「……皆さん。出来る限り俺も食い止めますんで、撤退路を確保してください…」

 

天災が起きた際、被害を被ったのは俺達だけではない。が、その被害を鑑みても、レユニオンの数は減っていない。

言っちゃ悪いが、《増殖するG》レベルだぞあいつ等。

 

「あ、あれは…レユニオンなのか」

「あれだけの数、一体何処から!?」

「…這い出してきたんだ。天災をやり過ごして」

 

行けるか…?いや物量的に俺達は逝けるだろうけど……

思考を巡らせる中で、やはり…というか。見覚えのある女性が近づいてくる。

 

「臭うな。鋼鉄と硫黄の臭いだ。何かが燃焼する…火焔そのものの様な……」

「……タルラ」

 

頭部に角を生やし、黒衣に身を包んだ女性が握るのは、身の丈程の長剣。

その長剣は朱く熱を帯び、エネルギーをこれでもかと溜め込んでいるに違いない。

 

「何だ…?熱が、彼女に集まって……」

 

来る……!

 

「頼むぞ!タスケルトン!」

「トントーン!」

 

直後、全てを溶かす火焔が俺達を襲う。

 

「トン…トーン……!」

「お、押されてる…!」

「私が行く!E4小隊!ドクターと医療班の撤退を援護せよ!」

 

号令の後、タスケルトンが弾き飛ばされ、すぐさま入れ替わりでニアールが防御に移る。

だがその衝撃は凄まじく、後方にいる俺達にも、ビリビリと空気が震えている事が分かる程だ。

 

「ぐ、うぅ……、おおお!!」

 

攻撃を受け切るが、ニアールも大きく後退する。

リアルで対面すると、ここまでえげつないのか……

 

「我々は、一体何と対峙しているんだ…!?」

「うっ…ぐ!」

「ニアール!大丈夫か!」

「一撃が、重すぎる…!たった一振りで此処まで…!」

 

ニアールが防御に使用した盾は未だ、先程の攻撃を放熱しきれず赤みがかっていた。

 

「…ニアール、もういい。アレとまともにやり合うんじゃない」

「ふっ…う…、だがしかし…、あのような攻撃を受け切れるのは…」

「いや、……後は私達のチームに任せてくれ」

「ッ!…Ace!?こんな時に、冗談は止すんだ!」

 

強がるニアールを無視し、Aceの小隊員達が前線へと躍り出る。

……恐らく、この撤退ルートを死守する為に。

 

「こんな時に冗談なんぞ飛ばすか。それに先程の一撃だけで、もうボロボロだろう」

「私はまだ問題ない!アーミヤ、ドクターを連れて撤退しろ!」

「い、嫌です!何を言っているんですか!…私は誰も犠牲にはしません!」

「アーミヤ!作戦の目的を、我々の目的を考えるんだ!」

「ドーベルマンさん!だけどっ…!譲れないんです!受け入れられる筈が、ありません…!」

 

此方の言い争いなんて、相手は待ってくれない。

二振り目を貯めている所を、早々に叩く!

 

「ガガギゴ!エレキテルドラゴン!」

 

呼びかけに応じ、瞬時にタルラの元へと飛び出すモンスター達。

 

「―ハッ」

 

だがそのモンスター達は、俺が認識できた時には既に存在せず…

シュウウゥ…と、何かが燃えた音が聞こえた。

 

「な、に……!?」

 

……一瞬だった。

一瞬、たった一振り、撫でるように振り切った長剣の斬撃は、俺のモンスターを声を上げる間もなく、そして跡形もなく消し去っていた。

 

「……ッ!」

「ユウリ!一人で無茶をするな!」

「…反抗は世界に希望を芽吹かせるが」

「しかしお前たちには、命運を変える力はない」

「ロドス、お前たちは真に感染者の側に立つべきだったのだ」

「お前たちは、過ちを犯した」

 

―――

――

 

俺はここに来るべきではなかった。

タルラとアーミヤ、二つのアーツがぶつかり合った時、そう思う他無かった。

 

『お前も早くいけ、ユウリ』

「……」

 

だがAceは動いた。あの光景を目の当たりにしながら。

タルラの操るアーツを見たはずなのに。

アーミヤが創り出した黒いアーツ、堅牢な障壁が燃えていく様を見ていたのに、だ。

 

『どうした。…動けないのか?この期に及んで、また立ち止まるのか?』

「……」

 

ロドス一行はこの場をAceに任せ、Aceとの約束を守るために、この場を撤退した。

対して俺は、撤退ルートも辿らずに、ただ物陰に隠れただけ。

 

『ラウラはどうする?あの子は、お前がいないと独りぼっちだ』

「……分かってる」

 

今もAceは、あの化け物と戦っている。

命を賭してまで、この戦いには意味があると、そう信じているから。

 

『頭でばかり考えるな。理屈じゃない。…行動するか、しないかだ』

「分かってる」

 

凍原で生きて、村を出て、ここまで来て…

何をやっているんだ俺は、また中途半端じゃないか。

 

『あの日の誓いは、まだ俺の心にあるんだろう?』

「分かってるって言ってんだろ!」

 

―――

――

 

「ラビードラゴォォン!」

「ピュアアアアァァァ!!」

 

ラビードラゴンの背に乗り、戦いの中心へ急ぐ。

 

「風を纏え!少しでもタルラのアーツを防ぐんだ!」

 

凄まじい熱風の中に、未だ戦闘音が響いている…

 

「Ace!」

「…!戻って来るな!」

「……黙れ」

 

火焔を纏う斬撃を寸でのところで躱しながら、タルラへと肉薄する。

二人の間に割って入り、俺はタルラと対峙する。

 

「……黙ってられるか。ロドスの窮地だ」

「貴様に何が出来る。先程まで物陰で震えていた者に」

「ユウリ…今からでもいい。早く逃げろ!」

 

何が逃げろだ。血反吐吐きやがって、もうお前もボロボロじゃないか…

 

「Aceさん、逃げるのはアンタだ。今からでも部隊を連れて撤退しろ」

「ほう、なら私の足止めはもう良いのか?」

「何を勘違いしているんだ。タルラ、アンタの相手はこの俺がする!」

「馬鹿を言うな!ユウリ!」

 

俺の発言に黒衣の女性は苛立っているのか、眉を顰める。

 

「Aceさん、俺はな…ロドスがこれから先どうなるか。全部知ってるんだよ」

「アンタはここでタルラに討たれて、部隊も皆死んじまうんだよ!」

「だから俺は、その知ってしまった未来を変えるために戻ってきた!アンタがいなくなれば、ロドスの多くの人が悲しむから!」

 

タルラの眼、あの燃え滾るかのような眼を見る。

戦うと決めた以上、俺がこの世界で出来る事は一つだ。

 

「…タルラ、俺とデュエルしろ!この戦いは俺が幕を下ろす」

「……何?」

「ユウリ!」

「アンタは俺達に、命運を変える力がないと言ったな」

「その言葉は撤回しろ!ロドスは、アンタが考えている以上の集団だ」

「……行けAce!行くんだ!」

「そして今から言う言葉を、ケルシーに伝えてくれ!」

「そうだな…『口内で即席麺を作るな!』だ!必ず伝えてくれ!」

「ユウリ……」

「Ace、頼む…!」

「……分かった、必ず伝えよう!」

 

俺の出来る事、知っている事、…この世界だからこそ、俺は戦える。

いや、戦いたいんだ。俺の知っている世界だから、拾えるものは全部俺が拾わせて貰う。

 

「タルラ、レユニオンのリーダーであるお前が、たかが雑魚一匹に逃げるなんて事…しないよな?」

「……貴様」

「足止めなんて生易しい事はしない。俺はアンタに勝ちに行く」

「チェルノボーグ事変の大局はアンタが握ったとしても、たった一つ、お前に黒星をくれてやるぜ!」




後書きになります。
今回のあらすじ!
タルちゃん参戦!
止めろAce!戻れ!
俺とデュエルしろおぉぉぉぉ!!
以上!
ユウリ君は自分からデュエルを吹っ掛けるようになりました。
これでもう立派なデュエリストですね?

次回はいきなりデュエルから始まります。
以前のデュエル回と比べるとかなり長いと思ったので、3分割くらいする予定です。

あの戦場を生き延びるとはな…!
後書きまで読んじまって、全く…ありがとうございました。ってか?
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