俺の上司共が色んな意味でブラックすぎる件 作:ギルバート
勘違いタグをつけるべきか否か……
「結社《身喰らう蛇》……だと!?」
「……初めて聞く名だ」
俺の堂々とした名乗りに対し、疑問符を浮かべるガイ・バニングス、アリオス・マクレイン。
二人は結社《身喰らう蛇》という名前に心当たりはないようだった。
……まあ知らないのも仕方のない事だろう。
軌跡シリーズの初作品にして結社が初めて表舞台に姿を現す『空の軌跡FC』が始まる七耀暦1202年以降ならばともかく。
その四年前である七耀暦1198年頃では、《
「結社、だと!?《楽園》を潰しおったか!?」
《D∴G教団》アルタイルロッジのトップはその名前に心当たりがあったようだが。
この幹部司祭が言っているのは、教団ロッジ《楽園》の事だ。
ペ○フィリア&ロ〇コンホイホイな強制売春所を営んでいたこのロッジは去年、結社に所属する執行者No.Ⅱ《剣帝》レオンハルトと執行者No.ⅩⅢ 《漆黒の牙》ヨシュア・アストレイに壊滅させられているのである。
結局、威力偵察という名目で行われたそれに、どのような意図があったのかは、俺が知っている範囲である『創の軌跡』までで終ぞ明らかになることはなかったが、結社の名の下に主力戦闘員である執行者を二人も派遣してまで《D∴G教団》の一拠点を潰したのは確かである。
まあその時に救助された少女と、ある実験の方針をめぐって、結社の腐れマッドキノコとすったもんだあったのだが……それは一先ず置いておくとして。
……結社の名前がすんなりと出てきたあたり、この司祭は《教団》内ではそこそこの地位にいたらしい。話が早くて助かる。このまま便乗してやろう。
「左様。貴様たちはやり過ぎたのだ。
裏社会の間ですら、貴様らの度を越した悪行の数々は知れ渡っている。
もはやこのゼムリア大陸に貴様たちの居場所はないものと知れ」
「お、おのれぇぇ!!!この偉大なる儀式の価値すら分からぬ愚昧共が!!」
俺のほとんどアドリブ、口から出まかせの言葉を真に受けて、司祭幹部が猛烈な怒りを示す。
よしよし、そもそも結社を知らないガイ・バニングス、アリオス・マクレインの方は置いておくとして、少なくとも《教団》の連中には俺を結社の手の者と思い込ませる事ができたようだな。
わざわざ結社の下っ端強化猟兵に賄賂渡してヘルムと大剣を借りてきたり、『パワードアーマー Zwei 』を強化猟兵のプロテクターそっくりに赤く塗装したりと手間をかけただけの事はある。
ああ、先に言っておくが俺は嘘をついてはいないぞ。
俺の所属する《黒の工房》は結社の技術者ネットワークである十三工房に参画している為、結社に忠誠を誓っているというのも嘘ではないし、強化猟兵に関してもそうだ。
下っ端強化猟兵に渡した賄賂には、ヘルムと大剣のレンタル代以外にも強化猟兵という身分を借りるという意味も含まれており、ちゃんとその旨を契約書として下っ端強化猟兵に見せ、同意のサインを貰っている。
……まあ大金に目がくらんで契約書を全く読んでなかったが。
だから、俺の今の身分は強化猟兵で間違いないのだ。
一日警察署長ならぬ、一日強化猟兵だな。
そして
上司の意を汲み、先んじて動くことこそ、部下の務めではなかろうか?いや、そうに違いない!
だからこれは、
すなわち実質命令みたいなものなのである。
え?それは流石にその理屈は強引すぎだろって?俺もそう思う。
だがな。世の中にはこういう時に使える素晴らしい箴言があるのだ。
バレなきゃ犯罪じゃない
まあ、元々が犯罪歴まみれの結社やし、多少心当たりのない罪の一つや二つ増えたって今更問題ないやろ。(手遅れ的な意味で)
ショタコンマッドの第三柱《白面》が死んだ時ですら、他の使徒がプギャーwwwしてる中で、真っ当にその死を悼むほどの出来た人なので、この程度のお茶目(強弁)くらい笑って許してくれるだろう。知らんけど。
まあ、もしバレたとしてもその時はその時。
責任は、俺の上司たるアルベリヒ工房長に取ってもらう事にしよう。
部下の失態は上司の責任である。当然だな。
……ちなみにどうでもいい話だが、ボイスチェンジャーの声はアルベリヒ工房長の声そっくりに再現している。いや、本当にどうでもいい話だが。
「……お前たちの因縁は知らんが……ともかく。
《D∴G教団》幹部司祭及び信者!自治州法に基づき、未成年者拉致誘拐、虐待、及び殺害など数多の容疑で逮捕する!」
「……そこの赤いプロテクターの男も詳しく話を聞かせてもらおうか」
先ほどまで様子を伺っていたガイ・バニングスとアリオス・マクレインが《教団》の信者共とついでに俺にそう宣言する。
あっ、やっぱ俺も対象に入ってますかそうですか。
「いいだろう!世界の真実に気づきし者達よ!偽りの神の軛から解き放つ真の叡智、大いなる《Ⅾ》復活の邪魔をする者共を排除せよ!!!」
「「ウオォォォオ!!!」」
そしてそれに呼応するかのような幹部司祭の宣誓に士気を上げる信者共。
……しゃあねえ、俺も乗っとくか。
「全ては我が主たる結社《身喰らう蛇》の偉大なる
こうして俺、狂信者、ポリ公の三つ巴の戦いの火ぶたが切って落とされた。
◇
アルタイルロッジ最下層の最奥部にある《儀式の間》。
そこの決戦のバトルフィールドみたいな広場で繰り広げられる、結社『身喰らう蛇』所属の強化猟兵(臨時)たる俺 VS 《D∴G教団》のトップ率いる教団員十名 VS ガイ・バニングスとアリオス・マクレインのクロスベル警察若手最強コンビの大乱闘ス〇ッシュブラザーズ。
敵味方入り乱れての乱戦極まるその状況下で、俺はロングソードを振るう教団員の一人と打ち合う。
……あの幹部司祭は他の教団員が稼いだ時間で、装備を整えた手練れを揃えていたらしい。
完全武装の教団員共は、先ほどまでボコってきた有象無象とは明らかに動きが違う。
ほぼ鎧袖一触だった今までと違い、まともな戦いになっているのがその証左と言えるだろ。
大剣とロングソードとの鍔迫り合いでジリジリと飛び散る火花。
だが……まだまだだ。
まだ、お前には致命的に足りないものがある。
お前に足りないものは、それは――
情熱、思想、理念、頭脳、気品、優雅さ、勤勉さ
そして何よりも ―― 力 が 足 り な い !!
「オラァ!!」
「ぐあッ!?」
鍔競り合いの中で俺はパワードアーマーの腕部出力を全開にし、その膂力を以てロングソードをへし折り、そのまま教団員を大剣で叩き潰す。
力こそパワー!!
人類相手の力比べでこの『パワードアーマー Zwei 』は負けはせんわ!(ゴリラを除く)
まあ、祭服の下に丈夫なボディーアーマーを着込んでいたようなので死んではいないだろう。
教団員が倒れ伏したちょうどその時、こちらに向け導力ライフルを構える別の教団員が見えた。
「おっと危ない」
先ほど倒した教団員の襟首を引っ掴んで無理矢理立たせ、俺と導力ライフルの射線上の間に挟み込む。
「……がはっ!?」
「残念、外れだ。いや、むしろ当たりか?」
ダダダッという導力ライフルの発射音と共に撃ち出された弾丸たちを俺の代わりにその身に食らい、泡を吹いてのけ反る教団員。
秘技!
……というか、あの教団員の持ってる導力ライフル、カルバート共和国軍でも配備が始まったばかりのヴェルヌ社製の最新軍用導力ライフルじゃねえか。
現物を見たのは初めてだわ。
カルバートのロリコン将校共め……。《教団》に情報を流すだけじゃ飽き足らず、武器まで横流ししてやがったとはな。
「なッ!?」
俺を撃つつもりが味方を撃ってしまった事に驚愕する教団員をよそに、俺はそのままビクビクと痙攣する
何故か肉盾が信じられないような目でこちらを振り返って見ているが……心配することはない。
見たところ、あの導力ライフルはカルバート共和国軍が制式採用しているライフル弾を使用している。
カルバート共和国軍のライフル弾は、エレボニア帝国のより小口径、しかも扱いやすいものの火薬式に火力面で劣る導力式ならば、このタイプのアーマーなら弾は貫通することはないだろう。
精々着弾時にプロボクサーの全力パンチレベルの衝撃が断続的に伝わってくる程度だから、安心して肉盾になるがよい。
頭に当たったらって?……そうならないよう祈るんだよ。仲間の射撃の腕にな。
「くッ!?」
我に返った教団員は苦悶の表情を浮かべながらも、導力ライフルを連射するものの、俺へと向かってくる弾丸はすべて肉盾によって防がれる。
そして至近距離まで近づくと、度重なる被弾によってもはや白目を剥き始めた肉盾をぶん投げて教団員にぶつけ、縺れて倒れ込む教団員を肉盾ごと大剣で叩き潰した。
「肉盾ご苦労だった」
その時、ちょうど教団員が取り落とした導力ライフルが目に入る。
ふむ。ヴェルヌ社製の最新軍用導力ライフルねえ……。
いい機会だ。《黒の工房》のSウェポン部門を預かる俺が、この導力ライフルを査定してやろう。……
大剣を担ぎながら、気絶する教団員が取り落とした導力ライフルを蹴り上げて片手でキャッチ。
セミオートモードからフルオートモードに切り替え、そのまま槍を構えて突っ込んでくる教団員に銃口を向け、躊躇なく引き金を引く。
ヴェルヌ社製の軍用導力ライフルは持ち主が変わってもその性能を遺憾なく発揮し、突っ込んでくる教団員の身体に容赦なく弾丸の雨を浴びせた。
「ぐががががっがあ!?」
ふむ、大きさ重量共に既存の導力ライフルとさほど変わらず。
発射時の反動の方は導力式に小口径の弾を採用しているのもあって小さく、フルオート射撃でも制御がしやすいな。
発射レートも良好。
これならば小口径の弾丸と導力式に起因する威力低下のデメリットも手数で十分カバーできるだろう。
命中精度も悪くない。
こうして見ると中々良い導力ライフルのように見え―――いや。
ボディーアーマーにより貫通はせずとも大量の弾丸による強烈な衝撃を食らい続けたことで、膝をついて激しくむせる教団員に近づいていく。
そして大剣を近くの床に突き刺し、導力ライフルの銃身部分を持ってバットのように両手で構え、その教団員の顔面目掛けて、全力で振りぬいた。
「フン!」
「ゲファ!?」
メキャッという音と共に小さなパーツを大量に撒き散らしながら粉々になる導力ライフルと、鼻血と折れた歯が混じった液体をぶちまけながらぶっ倒れる教団員。
や――っぱり耐久性の方にシワ寄せが来てたか。
しかもこのパーツの量。こりゃ整備性にも難がありそうだな。
劣悪な環境での運用が想定される軍用でこの二つを欠くとは……。
ヴェルヌ社の奴ら、カタログスペックだけを追い求めたか。
それにグリップやタクティカルライトなどといった各種外付けアタッチメントを
コッキングレバーの配置もよろしくない。
というかなんだこのSUSATスコープは。
なんでレティクルが十字じゃなくて、三角形のぶっとい針が一本あるだけなんだ。
偏差射撃やゼロインがやりづらいことこの上ねえわ。遠距離目標だと針と目標がかぶって狙いづれえしだろうし。
……全く雑な仕事しやがって。所詮は
「30点だな」
導力ライフルだったものの残骸を放り捨てながら、点数を口にする。
これじゃ及第点はやれんな。
ああ、もちろん千年以上の歴史を持つ
我が工房のベストセラー商品である『Sウェポンシリーズ』は、ヴェルヌ社製、そしてラインフォルト社製の製品に比べ、威力、反動、命中精度、整備性、耐久性、携帯性と、その全てにおいて上回っており、いかなる環境下においても常に最高のパフォーマンスを発揮出来るよう設計されております。
武器のラインナップも充実しておりますので、是非ご利用ください。
ああご心配なく。猟兵団の皆様が愛用する、火薬式の銃も豊富に取り揃えておりますよ。(なお値段)
そうこうしているうちに、いつの間にか乱戦は終盤に差し掛かっていたらしく、未だ立っているのは俺、ガイとアリオスコンビ、そして幹部司祭のみとなっていた。
別に狙ってやったわけでも共闘したわけでも無いが、この大乱闘において最も人数が多かった《教団》陣営が、俺とガイ、アリオスコンビの袋叩きに合い、一番数を減らしていたようだ。
「もうお前の仲間は居ない。大人しく投降しろ!」
「お、おのれぇぇぇ!」
投降を促すガイ・バニングスに対し、怨嗟の声を上げる幹部司祭。
絶好の逃走のチャンスではあるのだが……うーむ、アリオス・マクレインがこちらを警戒しているせいで、微妙に逃げられない。
「………こうなれば致し方あるまい。私も覚悟を決めよう」
そう言いながら、幹部司祭が懐から取り出したのは、ビンに入った
「!?よせ!!」
「大いなる《D》の為に!!!!」
そしてガイ・バニングスが止める暇もなく、幹部司祭はビンいっぱいに入った
「おおおオオオオォォ」
その直後、幹部司祭の身体に異変が起こった。
まるで風船が膨らむかのように急激に膨張していき、身体の表皮はどす黒い甲殻に覆われていく。
………へえ。
アレはグノーシスの適合者や完成形である赤のグノーシスでしか起きないと思っていたんだが。
いや……
……しかしその完成度はまだまだ低かったらしい。
その質はグノーシスの適合者であるヴァルド・ヴァレスや、赤のグノーシスを過剰摂取したヨアヒム・ギュンターの
だがそれでも。
人が魔人に変化していくという光景は初見の者にとっては度肝を抜いたらしく、ガイ・バニングス、アリオス・マクレインは未だ膨張していく幹部司祭の
だが。
世の中には、その
アリオス・マクレインが幹部司祭の魔人化に気を取られている隙をつき、全速力で隠し通路があるであろう壁に走り寄っていく。
もはや隠し通路を開けるレバーを探している時間はない以上、ここはマスターキーを使うしかない!
走りながら大剣を大きく振りかぶる。そして隠し通路があるであろう壁まで近づくと、その壁に向かって全力で振り下ろした。
「
パワーアシスト機能が生み出す膂力も上乗せしての、全力で踏み込んでの渾身の振り下ろし攻撃。
その攻撃が直撃した壁は、轟音と共に裂け―――そしてその奥に通路が見えた。
ッシャア!ビンゴォ!!やっぱこの手に限る!!
そしてその通路に飛び込むと、わき目も振らず全力で逃走する。
ブハハハハハハ!!!
さらばだ者共よ!!人外同士、仲良く遊んでいるがいい!!!
――――――
その光景を唖然とした様子で見ていたガイ・バニングスとアリオス・マクレイン、そして変異の終わった幹部司祭。
結社《身喰らう蛇》の強化猟兵と名乗った赤いプロテクターの男が、幹部司祭の変異中に突然壁際に走り寄ったと思ったら、壁に向かって
そして壊れた壁の向こうに何故かあった通路を通って何処かに消えた。
……言いたいことは色々とあった。
何故そんなところに隠し通路があったんだ、とか。
そもそも何でそこに隠し通路がある事をあの赤いプロテクターの男が知っていたんだ、とか。
だが、それでも。
結局三人の思考は自然と一つの疑問に集約された。
あいつ結局何しに来たんだ?
◇
パワードアーマーの脚部出力を全開にし、暗く狭い隠し通路の中を全速力で走る事数分。
出口を塞いでいた壁をマスターキー(武力)でぶっ壊すと、その先には月のない夜空と森が広がっていた。
「ハンス主任!!!」
俺の傍に走り寄るイリスを無視し、先ほど出てきた隠し通路の出口にピンを抜いたありったけの手りゅう弾を投げ込む。
起爆した手りゅう弾により、隠し通路の出口が崩落し、塞がったのを確認した俺は―――
「よし、追手が来る前に一刻も早くここから離れるぞ」
「しゅ、主任?」
イリスを担いで全速力で逃走する。
「あ、あの隠し通路の出口は崩落したので追手は……」
「馬鹿野郎!あいつ等が崩落程度で止まるか!」
多分魔人化した幹部司祭と戦っている頃だろうが……いや、もうすでに幹部司祭を倒してこちらを追いかけてきているかもしれん!
詳しいんだ俺は!あのガイ・バニングスとアリオス・マクレインが出口の崩落程度で止められる訳がないんだ!
絶対バーニングなハートで崩落した場所をトンファーでぶち破って出てくるんだ!
アリオス・マクレインに至っては、なんかもう八葉一刀で新しく通路を掘り進めながら出てくるに違いないんだ!
いや、こうしているうちにもう後ろに迫ってるかも……――――
うおおおおおおお!唸れ!俺の足とパワードアーマー!!
一刻も早くゴリラ共から逃れるのだぁぁぁぁ!!!
アルタイルロッジ編終了!
※幹部司祭は
ティオ・プラトーについては少々お待ちください。
ハンス主任オリジナルクラフト
メカゴリラ全力稼働:自己・STR・SPD↑(大) CP40
パワードアーマーを全力稼働させ、身体能力を向上させる。
対ゴリラ用麻酔弾:単体・封技 封魔 アイテム封印100% 遅延 CP10
特別に調合された麻痺弾を放つ。
サッカーしようぜ!お前ボールな!:直線M・敵味方一人選択(戦闘不能含む)吹き飛ばし CP30
対象者をボールに見立て、敵に向かって蹴り飛ばす。
近くにいたお前が悪い:カウンター・敵味方一人選択(戦闘不能含む)ダメージ肩代わり CP30
対象者を盾にすることで戦闘ダメージを肩代わりさせる。