俺の上司共が色んな意味でブラックすぎる件   作:ギルバート

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 閃の軌跡NW終わりましたね。色々考査のしがいがあるストーリーでした

 あとお知らせですが
 この話以降は黎の軌跡ⅠⅡ、閃の軌跡NWの内容も入れていきたいと思います
 それに伴い、タグも変更します




第二十三話 出向先では愛想よく

 

 あれから数日間、俺とイリスは、アルベリヒ工房長から命ぜられた『D∴G教団殲滅作戦の余波の調査』任務を完遂するべく、昼夜を問わずクロスベル中を駆けずり回って情報収集に勤しんでいた。

 

 昼は観光客に扮して、鉱山町《マインツ》や《アルモニカ》村、東方風の街並みの《東通り》の屋台通りを偵察して回り。

 夕方には劇団《アルカンシェル》の舞台公演にS席チケットを買って潜入を敢行し。

 そして夜にはイリスをホテルで待機させて、単身ジャズバー《ガランテ》やカジノハウス《バルカ》に乗り込み、バーテンダーやホステス、ディーラー、スロット台、ルーレット台などにチップを弾んで入念な聞き込み調査を行なった。

 

 その他にも宿酒場《龍老飯店》、カフェレストラン《ヴァンセット》、オーバルストア《ゲンテン》、百貨店《タイムズ》など、様々なスポット(名所)を精力的に回って情報収集に努めた。

 

 ちなみに、保養地ミシュラムについては、残念ながら併設されたテーマパーク――ミシュラムワンダーランドは未だ建設中で開園していなかったので、情報収集(観光)リストから除外している。

 

 そしてその甲斐もあり―――

 

 なんと原作でも詳細に語られることのなかった《D∴G教団殲滅作戦》におけるカルバート共和国内の動きを正確に把握することが出来たのである!

 

 いや〜、短期間でこれほどの情報を集めてくるなど、ひとえに、偉大なる(爆笑)イシュメルガ様(塵)に対する我らの忠誠心の為せる業だと言え――……え?その情報は全部ガルシア氏から聞いたヤツじゃねえのかだって?………知らんな。

 

 ……いや、そもそも彼との情報交換も調査の一環であったことには相違無いのだ。

 そして情報収集というものは、必ずしも全てが上手くいくわけではなく、どうしても空振りも相応に含まれてしまうものである。

 

 だから、アルベリヒ工房長へ提出する報告書に、ガルシア氏から聞いた内容をそっくりそのままコピペすることも、クロスベル中を駆けずり回った調査費用として、クロスベル市民の平均年収の二倍以上の費用を経費として計上することも、全て致し方のないことなのだ。うむ。

 

 

 

 さて、クロスベル自治州での調査を終えた俺とイリスは、大陸横断鉄道へと乗り込んで自治州を後にし、黒の工房の本拠地へと帰還した。

 

 そして帰還して早々、列車の車内で一番値段の高かった駅弁を食べながらサクッと仕上げた調査報告書をアルベリヒ工房長に提出し、ついでに、工房長に回収してきたミリーズ・ロッジの資料整理を丸投げされて死にかけているゲオルグ君に、アルタイル・ロッジで回収してきた資料の入ったメモリカードを渡す。

 

 これのデータ整理もよろしく。俺はパクッてきた魔導書解析に忙しいから。

 ああ、それとゲオルグ君には、お土産のアルモニカ村の蜂蜜瓶を買ってきたぞ。

 これでも舐めて資料整理の仕事を頑張るといい。

 

 そして、椅子からひっくり返って動かなくなったゲオルグ君の傍にお土産を御供えして研究室を後にした。

 

 え?工房長にはお土産は無いのかだって?

 

 何で買わなきゃなんねえの?

 

 

 ……ああ、そういえばイリス。

 

 今回の観こ…ゲフンゲフン調査で色々な場所を回った訳だが……何か思うところとかないかね。 

 

 ……いや、調査の内容とかではなくてだな。

 

 黒の工房にはない、大陸有数の貿易都市と謳われるクロスベルの活気あふれる町並みを見てだな……何というか憧れというか夢というか、「オラ、こんな陰気臭い工房さ出てってクロスベルに行くだ!」とかそういう感じの感情とか願望とか芽生えたりは………。

 

 え?しない?………………そうか。(´・ω・`)

 

 ………まあ、あそこ治安クソだしな。

 

 

 

 

 

 

 ◇

 

 

 

 黒の工房の本拠地に帰還してしばらくは、何事もなく過ぎていった。

 

 イリスと共に、猟兵団からのSウェポン発注に対応しつつ、《星見の塔》で回収してきた魔導書データを解析したり、プレロマ草とグノーシスの研究をしたり、ラクウェルに出張(カジノ)に行ったり。

 

 アルベリヒ工房長に粛清されないよう研究成果を提出しつつ、新しく得た戦闘データを基にSウェポン戦闘用強化外骨格『パワードアーマー Zwei 』――通称『メカゴリラ二号改』にさらなる改良を施したり、買って来た《ローゼンベルク人形》を調べ上げて人型の機械人形制作に反映させたり、前にアルベリヒ工房長から毟った髪の毛の毛根の遺伝子情報解析したり、魂魄研究したり、オルディスに出張(食べ歩き)に行ったり、ラクウェルに出張(キャバクラ)に行ったり、ユミルに出張(温泉)に行ったりしていたある日のこと。

 

 

 

 

 俺はゼムリア大陸で暗躍する秘密結社――《身食らう蛇(ウロボロス)》が保有する研究施設の一つに足を運んでいた。

 

 俺がこうして蛇の研究施設に足を運んでいるのは、アルベリヒ工房長と《身喰らう蛇》の最高幹部《蛇の使徒(アンギス)》の一人である第六柱にして、《黒の工房》も参画している結社の技術ネットワーク《十三工房》の統括者でもあるノバルティス博士との取り決めのせいだ。

 

 結社の有する人間そっくりな機械人形の製作技術とのトレードで決まった、『ゴルディアス級戦略人形兵器開発計画』への技術提供。

 その交流窓口としての役割を、アルベリヒ工房長になすりつけられ、開発計画に参加させられるはめになったのである。

 

 尤も、ゴルディアス級戦略人形兵器――《パテル=マテル》の研究開発自体は既に完了し、結社産マッドがやらかしやがったせいで大惨事(・・・)となった(・・・・)操縦者選定も、少し前に終わっているのだが。

 アルベリヒ工房長がゴルディアス級戦略人形兵器に興味を示した為に、結社への技術提供の一環として、俺が担当した『操縦者の神経系統を用いた、非接触式の人形兵器制御術式』の被験者への経過観察と、野暮用ついでに、《パテル=マテル》の運用データを回収しに来ているのである。

 

 

 「やはり一番人気の《ランドプリンス》が……いや、最近のレースでも絶好調の《ブラックインパクト》も中々……」

 

 

 研究施設内にあるテラス席。

 その一角で、帝国時報と資料を広げて、来るべき『皇帝賞春』の競馬予想をしつつ、俺の戦術殻である《グング=ニール》の改造計画を練りながら、とある人物が来るのを待っていると、どこからか幼い少女の声が聞こえきた。

 

 

 「あらハンス。また競馬予想を立ててるの?」

 

 

 俺の名前を呼ぶ、たくさんのフリルがついた白いドレスを身にまとった小さな少女。

 その少女は、こちらへと近づいてきながら、楽しそうにクスクスと笑い声を上げる。

 

 

 「失礼な。片手間で仕事もしているぞ」

 

 「……メインは競馬の方なのね……」

 

 

 俺が帝国時報を畳みながらそう答えると、その少女は呆れたように呟いた。

 

 

 「検査の方は終わったのか、レン(・・)

 

 「ええ、ついさっきね」

 

 

 そう。

 この目の前の少女こそが、俺の待ち人。

 俺が担当した『操縦者の神経系統を用いた、非接触式の人形兵器制御術式』の被験者にして、ゴルディアス級戦略人形兵器――《パテル=マテル》の正式操縦者。

 そして、《D∴G教団》のロッジの一つである《楽園》唯一の生存者にして、「はいよろこんで」のフレーズと共に数多の軌跡プレイヤーにトラウマ植え付けた、シリーズでもお馴染み、《身喰らう蛇》の執行者No.XV――《殲滅天使》レンである。

 

 その彼女は、そのまま俺のテーブルの対面席に遠慮なく座ると、鞄からノートや教科書、筆記用具を取り出して勉強の準備を始める。そして――

 

 

 「ではお願いするわね、『先生(・・)』?」

 

 「ああ、では授業(・・)を始めようか」

 

 

 

 

 

 

 ◇

 

 

 

 俺が陣取っていたラウンジのテーブルの対面席に教科書とノートを広げて座るレン。  

 そんな彼女に向けて、俺は授業をしていた。

 

 俺が彼女の勉強を見ることになったのは、完全な成り行きだ。

 レンが《パテル=マテル》との接続実験を成功させ、執行者候補から正式な執行者となり、他の執行者たちから、戦闘技術や諜報スキルなどといった手ほどきを受ける中、人形制御術式の被験者である彼女に対する経過観察のついでに、俺が勉強を見てやることなったのである。

 

 とはいっても、相手は原作で『あらゆる周囲の状況に対応できる天才』とまで称されていた逸材(キティ)

 その学習速度は並大抵のものではなく、まさにスポンジが水を吸うかの如く知識を吸収していっている。

 今教えている授業範囲も、既に大学で教えるような範囲に、片足どころか両足を突っ込んでいるくらいだ。

 

 いやー、物覚えのいい生徒というのは実にいい……。

 なにせ俺が楽だからな!

 

 そうして二時間ほどの授業が終われば、お茶会好きな彼女の希望で、そのままティータイムと洒落込むまでが、いつもの流れである。

 

 レンはオレンジジュースを、俺はコーヒーを飲みながら、お茶請けとして、この間ユミルに出張(強弁)した時に買ってきたユミル饅頭(経費)を摘みつつ、他愛もない会話を楽しんでいた。

 

 

 「そういえば……、今日はいつもより来るのが遅かったが、何かあったのか?」

 

 

 ユミル饅頭を口に放り込みながら、ふと思い出したことをレンに聞く。

 

 ……結構美味いな、この饅頭。

 

 

 「《博士》の思いつきの実験に付き合わされちゃってね……」

 

 

 すると、付き合わされた実験の内容を思い出してしまったのだろう、レンはゲンナリしたような、疲れたようなため息をついた。

 

 ……ああ《博士》って言えば――

 

 

 「……あの腐れキノコ(ノバルティス博士)か……」

 

 「腐れキノコって……、相変わらずハンスは《博士》と仲が悪いのね」

 

 

 そりゃあそうだ。

 あのタラ〇の野郎には、接続実験を台無しにして(・・・・・・)くれやがった借り(・・・・・・・・)があるからな。

 いつかあの野郎には、俺の顔に泥を塗ってくれやがった落とし前をつけさせてやる所存である。

 

 そうして二人でお茶会を楽しんでいたその時、俺たちの視界に、見知った顔が映り込んだ。

 

 ……ん?アイツは……。

 

 そこに居たのは西洋甲冑を身に着けた茶髪の少女。

 そしてその姿を目聡く見つけたレンが、その茶髪の少女に声をかけた。

 

 

 「あら、デュバリィじゃない」

 

 「?……ああ、殲滅天使にハンスですか」

 

 

 レンに声をかけられて、初めてこちらに気づいた様子のデュバリィは、そのままこちらへと歩いてくる。

 彼女はデュバリィ。《蛇の使徒》第七柱――《鋼の聖女》アリアンロード直属の戦闘部隊――《鉄機隊》が誇る筆頭剣士だ。

 

 尤も、それはまだまだ未来の話ではあるが。

 彼女がアリアンロードに師事してから、あまり時間が経っていない為に、《神速》の異名もまだ無く、そして他メンバーも加入していない時期なので、《鉄機隊》というモノ自体、未だ影も形も無いのでな。

 

 ちなみに、デュバリィが俺のことを知っていたのは、じつは彼女とは、実戦訓練と戦闘データの収集がてら、よく手合わせをしている間柄だからだ。

 アリアンロードの元でメキメキと順調に力をつけてきているとはいえ、未来において執行者に迫る(人間卒業)と謳われた実力もまだ無い、未だ人類のカゴテリーにはギリ収まる程度の強さである今の彼女は、まさに手合わせにはもってこいの相手といえるからな。

 

 ……それに勝てるうちに、少しでもマウントとっとかんと(使命感)

 

 

 「それで、こんな所でどうしたんだ?

 確か今日は第七柱は外に出て、不在じゃなかったか」

 

 

 そう聞きながら、ついでに「お土産のユミル饅頭食う?」と開けていた饅頭の入った箱を、デュバリィの方へ差し出す。

 

 「……いただきますわ。

 ええ、ですがマスターが不在でも鍛錬を怠るわけにもまいりません。

 ですので、少々手合わせをしに演習場へ。

 あそこであれば誰かしら人がいると思いまして。

 ……む!これは中々……」

 

 「今から……」

 

 「演習場に?」

 

 

 そこそこ気に入ったのか、ユミル饅頭をもぐもぐと美味しそうに食べるデュバリィを尻目に、顔を見合わせる俺とレン。

 

 ………今から演習場にって、マジか。

 勘のいい連中や、演習場の使用予定をしっかり確認する奴らなら、今は絶対近づかないと思うんだが…。

 ……彼女は、そのどちらでも無かったようである。

 

 ああ、かわいそうに………。

 

 

 「……そのユミル饅頭な。『食わずして死ぬなかれ』がキャッチコピーだそうだ……」

 

 「へー、そうなんです――」

 

 「これで、いつでも死ねるな」

 

 「ってちょっと!?何不吉なこといってくれやがるんですか!?」

 

 「だってなあ?」

 

 「ねえ?」

 

 

 芸人顔負けの鋭いツッコミを入れるデュバリィを前に、二人で顔を見合わせる。

 

 

 「今から演習場に向かうって……、現在進行形で、あそこがどうなっているのか知ってるのか?」

 

 「い、いえ。存じませんが………」

 

 「今、演習場でマクバーンとヴァルターとレティの三人がバトロワやってるわよ」

 

 「……………マジですの?」

 

 

 デュバリィの恐る恐るの問いかけに、二人して頷く。

 《執行者》No.Ⅰ《劫炎》のマクバーンに、No.Ⅲ《黄金蝶》ルクレツィア、No.Ⅷ《痩せ狼》ヴァルター。

 コイツ等は、どいつもこいつも結社屈指の武闘派(ゴリラ)にして戦闘狂(人外)共だ。

 その強さも生半可なものではない。

 それに加えて、全員一回火が付いたら、ちょっとやそっとじゃ止まらない、非常にタチの悪い連中なのである。

 

 ……《劫炎》と《痩せ狼》はともかく、名前だけは原作で知ってた《黄金蝶》が、まさかあんなにも好戦的だったとは知らんかったわ。

 

 しかも間が悪いことに、同じ武闘派でも常識人であり、この三人を止めることが出来そうな《執行者》No.Ⅱ《剣帝》レオンハルトと、アリアンロードが共に外に出ていて不在と来ている。

ただでさえ、アクセル全開な奴等に、ブレーキ役になりそうな奴等の不在。

 

 

 「間違いなく大惨事になるだろうな」

 

 「少なくとも、演習場周りは消し飛ぶんじゃないかしら」

 

 「………今日のところは、止めておきましょうか」

 

 

 今演習場に行けば、ゼムリア大陸屈指のゴリラ共(人外)が引き起こす大災害に巻き込まれると気づいたのだろう。

 デュバリィはガクリと肩を落とした。

 

 ……まあ、ちょうどいい機会か。

 

 

 「どうだレン。腹ごなしの運動がてら、三人で手合わせでもするかね?

 確か別の場所に、使われていない予備の演習場があったはずだ」

 

 「あら、それはいいわね」

 

 「………いいんですの?」

  

 

 唐突に手合わせの段取りをし始めた俺と、意外と乗り気なレンの顔を交互に見ながら、おずおずと聞いてくるデュバリィ。

 

 

 「まあ、俺も改良したパワードアーマーの実戦テストをしたかった所だからな」

 

 「レンも最近、博士の実験に付き合わされてばかりだったから、身体を動かしたかったし」

 

 「……な、ならばいいでしょう!

 つい先日、我が麗しのマスターより、新たに授かりし《神速》の異名の冴え!!とくと見せてあげますわ!!!」

 

 

 ……ああそう。

 異名を授かったことを誰かに自慢したかったから、手合わせの相手を探してたんだな……。

 

 しっかし、異名か……。

 

 

 「俺もそのうち何か異名がつくのかねえ」

  

 

 原作では《神速》や《殲滅天使》、《黒き終焉(笑)》のように、ある異名持ちの人物がよくいる。

 そしてその多くは、どれもこれも名は体を表す異名だった。(《黒き終焉(爆笑)》を除く)

 であれば、俺もいつか自身を表す異名が付くのだろうか。

 

 まあ?名は体を表すというからには?

 おそらくは、この俺の全身から滲み溢れんばかりの知性に因んだ異名にはなりそうだが?

 

 

 「ハンスの……」

 

 「異名……」

 

 

 すると、俺の異名の候補に心当たりがあったのか、レンとデュバリィが二人揃って考え込んだ。そして――

 

 

 「「《脳筋》とかじゃないかしら(ありませんの)?」」

 

 「よーし、オモテ出ろお前ら」

 

 

 

 この後、滅茶苦茶手合わせした。

 

 

 

 

 






 結社の中で交流のある人物

 レン デュバリィ ○○○○ン


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