俺の上司共が色んな意味でブラックすぎる件 作:ギルバート
今回は少し短め
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七耀暦1202年
結社《身喰らう蛇》が抱える研究施設の一つにて。
「では教授、準備はよろしいでしょうか」
広い演習場の中心に佇む、その手に身の丈ほどの魔導杖を持つ司祭服を身に纏った眼鏡の男性―――結社《身喰らう蛇》使徒第三柱――《白面》ゲオルグ・ワイスマン教授。
その彼の姿を制御室に並ぶ無数のモニターで確認しながらマイク越しに話しかける。
『ああ、始めてくれたまえ』
「了解しました。ではこれより新型小型戦術殻『メカハエ』の動作テストを開始します」
俺が制御室のPCにテストプログラムを走らせると、テスト開始を告げるブザー音が鳴り響き、彼の周囲に青い的が幾つも現れ始めた。
それと同時に、ワイスマン教授の魔導杖を掲げると、彼の周囲に突如として
「続いて、操縦者及び小型戦術殻による同時処理テストを開始します」
さらに追加でプログラムを起動すると、青い的に混じって赤い的が現れ、中にはワイスマン教授に模擬弾を発射する物も現れ始めた。
すると小型戦術殻たちは、青い的を狙い撃ちつつも、彼に飛んでくる模擬弾を
その後も彼は小型戦術殻を巧みに操りつつも、
そして、彼の周囲を埋め尽くすほどの大量の赤い的が出現した直後、彼を中心に生者の理性を削り取るような、絶望に沈んだ夥しい亡者の悲鳴が轟く地獄のような世界が展開され、
テスト終了ブザーが鳴り響いたと同時に、制御室のPCから手元のタブレット端末に送られてきたデータを確認しながら、演習場へと続く扉を開けて、一息つくワイスマン教授に話しかけた。
「お疲れ様です、教授。
いかがでしたか、新しい戦術殻は?」
「うむ、実に素晴らしい出来だ。
そう言いながらワイスマン教授は、周囲に侍らせていた小型戦術殻共を
この六基のファンネ――もとい小型戦術殻共は通称『メカハエ』。
近々リベール王国の地にて行われる『福音計画』遂行に対するサポートとして、ワイスマン教授へ戦力として提供する為に、俺が新たに開発した戦闘用小型戦術殻だ。
小型戦術殻を脳内で一基づつ個別に操縦しなければならなかった従来型と違い、ヘッドセット内に搭載している人工知能――AIを介して管理制御を行い、操縦者の思考に沿った小型戦術殻共の軌道をAI側でリアルタイムに補正最適化させる事で、操縦者の負担を大幅に軽減させている。
その為、原作では四基の操縦までが限界だったのを、六基へと増設することに成功し、オマケに小型戦術殻内に取り付けられたセンサーで操縦者に対する攻撃を検知し、自動的に盾となる防衛システムも備えている。
ぶっちゃけアルベリヒ工房長より良いものを作ったという自負がある。ざまあ。
まあそれでも、AI側で最適化させているとはいえ、六基もの小型戦術殻を同時に操る難易度は、比較にならないほどに高いのだが。
俺たちのような戦術殻の運用に長けた《
「教授によくアドバイスを頂いていたあの
「フフ、嬉しいことを言ってくれるじゃないか」
そう言うと教授は更に機嫌を良くしたようだが、決しておべっかを言っている訳では無い。
小型戦術殻の動きを管理制御するAIの判断基準の元となった
「後は……他に何か改善点などはありませんか?」
「いや、特に無いね。
……だが強いて言うならば………もう少し名前の方は何とかならなかったのかね?」
「そうですか?分かりやすくていいでしょう」
「……まあ、君がそれでいいのならば構わないが……」
小型戦術殻の通称『メカハエ』の名前が引っかかるのか、難しい顔をするワイスマン教授。
だが俺に言わせれば、武器や兵器において、重要なのは性能と使いやすさと整備性だ。(
その中で名前などといったものはただの記号、商品を見つけるタグに過ぎないのだ。
まあほっといたら工房長が何か適当に名称を付けるだろ。
今まで俺が作った武器や兵器も大体後で工房長が正式名称を付けてたみたいだし。
ちなみに『メカハエ』の名前の由来は、ブンブン飛び回って鬱陶しい様が、アルベリヒ工房長ソックリだったのでそう名付けた。
「ともかく、これで私の方は準備は出来た。
そちらの進捗は?」
「ええ、リベール王国内での活動拠点としてヴァレリア湖の湖畔に建設していた研究所は既に完成し、後は機材と人員を運び込むだけとなっております」
「上出来だ。機材と人員の方は私が手配しよう。
一足先にリベール入りするつもりだからね」
教授と計画の最終確認をする。
いよいよもって
ゼムリア大陸を舞台に、この世界の超常的な存在たる《女神エイドス》が遣わした《
エレボニア帝国とカルバート共和国という列強に挟まれた小国リベール王国にて、《
まあ、
とにかく今回《黒の工房》は、ワイスマン教授の暗示技術提供と引き換えに、教授主導の元、結社《身喰らう蛇》がリベール王国の地で行おうとしている、オルフェウス最終計画の第一段階『福音計画』に対する全面的なサポートを約束している関係上、工房の総力を挙げて今回の計画の支援している。
先の教授用の小型戦術殻の提供もその一環だ。
他にも、俺がワイスマン教授と『福音計画』の綿密な打ち合わせをしたり
俺が計画を優位に進める為の装備や兵器を設計開発したり
俺がリベール王国に密入国して、活動拠点に適した場所探して、図面を引いて、建築資材密輸して、作業要員として連れてきた汎用戦術殻共をこき使って、秘密裏に研究所を完成させたりしている。
………あれ?俺しか動いてなくね?
……いや、イリスは弁当作ってくれたりしてたから、アイツは動いていたな、うん。
ま、まあええか。とにかく
「では、私は第一結界が解除されるまで、リベール内の研究所で待機しておきますか?」
ワイスマン教授に今後の動きについて確認をとる。
先ほど色々言ったものの、《空の軌跡FC》単独で見た場合、俺たち《身喰らう蛇》の人員が動くことは、ほとんどない。
というのも、《空の軌跡FC》のメインストーリーとなるのは、リベール王国軍情報部司令のリシャール大佐が行う軍事クーデター計画であり、それを主人公陣営が止めるという話となるだからだ。
尤も、リシャール大佐はワイスマン教授によって秘密裏に暗示をかけられており、《輝く環》を有する空中都市《リベル=アーク》を異次元空間に凍結封印する《封印機構》、その第一結界解除の為の駒となっているのだが。
そんなわけで、今作で暗躍するのは、リベールにやってきた人のいい貧乏考古学者――アルバ教授の仮面を被ったワイスマン教授だけであり、その他の人員は次回作である《空の軌跡SC》が始まる時まで手すきなのである。
なので教授に確認をとったのだが―――
「いや、一つリベール国外で君に頼みたい仕事がある。
今回の計画の成否に関わりかねない非常に重要な任務だ。ぜひ君に任せたい任務なのだが、どうかな?」
教授は俺にリベール国外の任務を依頼してきた。
え?リベール行かんでいいの?やったじゃん。
最悪の場合アルバ教授の助手という立場で、一緒にリベール国内で連れまわされる可能性も考えていたからな。
原作では、教授自身の作品であるヨシュアの完成度を見たかったのか、主人公パーティーに護衛を依頼していたり、共に行動していたりするので、もし同行していた場合、主人公パーティーに顔を覚えられる可能性も普通にあるのだ。
当然その場合、赤の他人に
何せFCの主人公パーティーは、
そんな伝手も人脈も権力も豊富な連中にかかれば、素顔を隠そうが、この後公に姿を見せることになるワイスマン教授との繋がりから、身元を割られる可能性は十分あるのだ。別に教授との師弟関係を隠している訳じゃないし。
……もっと言えば、
ともかく、いずれバレることが確定してるとしても、今すぐ身バレするリスクをわずかにでも排除できるならば、それに越したことはない。
「ええ、お任せください。必ずや成し遂げて見せましょう!」
この時、俺はリベールに行かなくていいという事のみに気を取られ、特に何も考えず返事をしてしまった。してしまったのだ。
「ありがとう。
ではハンス君。君はエレボニア帝国の地にて、《身食らう蛇》子飼いの《ジェスター猟兵団》、そして執行者No.Ⅸ――《死線》シャロン・クルーガーと共に、今回の『福音計画』を進めるにあたって、最も警戒すべき人物、S級遊撃士カシウス・ブライトの足止めを頼む」
………………………え?
……………………………………え?
(ようやく)軌跡シリーズの本編開始!
記念すべき初戦の相手は~~
元 祖 チ ー ト 親 父
カ シ ウ ス ・ ブ ラ イ ト