念能力者バトルロイヤル(更新停止中) 作:おヒマ?
顔に光が当たるのを感じる。どこか懐かしい朝の感覚に目を覚ますと、そこには銀髪の女性と黒髪の少女が、俺のいる
起き上がろうとして——手が動かない。2人がそれぞれ両手を握り込んでいるらしいく、特に銀髪の方は体格もあってびくともしなかった。
「ん……ぅ……ふぁ〜……あれ? 教そ、さま?」
「んぅ…… どないしたんどすか、シズクちゃん……」
一方で黒髪の少女はその震動に目を覚まし、ベッドを揺らした事で連鎖的に銀髪も目を開ける。そして程なく、俺を見つけると、その顔は怒っているのか嬉しいのか、複雑そうなものへと変わった。
「教祖はん目ぇ覚ましたんどすなぁ!も、もうほんまに良かった! 手も足も取れて血もぎょうさん流れて——なんであないな無茶をッ! 近くにいた女の子、「マチちゃん」?に聞いたで!? 相手を煽って出してへんかった本気出さして——余計な怪我まで——!」
「教祖……? それは、
不意の一言に2人が目見開く。
「……教そさま?」
「な、な、なに言うてるんどすか……あんたは「教祖」、「アビスの集い」の教祖をしとったロリコンで変態でせんない、そやけどうちらの教祖はん……やん。 ね?」
ロリコン? それはそれはおかしな話だ。この体どう見積もっても3〜4歳。12、5歳をロリと呼ぶのに、これではどう転んでもオネショタになってしまう。すわいち大事ジャンル詐欺だ。
「それに……ここは何処ですか? 窓の外はまるでゴミ収集場みたいだし……ここは……船?」
「教そさま……わかんないの? ここ、お家だよ? ねえ……『りゅーせーがい』にあるお家に帰って来たんだよ?」
「な、なんでそないな事言うんどすか……まさか傷は治せても出血性ショックで記憶が……ッ!? ……嘘や……嘘や嘘や……嘘やッ!! た、達の悪い冗談どす……なぁ!?」
鬼気迫る形相で肩を掴まれるが、記憶と言われてもピンと来ない。そのあまりの必死さに体が強張り、どう説明していいか当惑していると、ついに銀髪の方から不意に力が抜け——
「はは……なんでうちの大切な人ばっか、いつもいつも先に消えるんや……また1人か!? なあ、嘘って言うてや教祖はん……」
「——うん。嘘なんだけどね——」
「は、はは、そうやんやっぱ、記憶喪失なんて——は?」
「どういうこと? 教そさま。ほんとはおぼえてるの? どっちなの?」
ポカンとした顔で俺を見る
「寝起きで怒られたくないからすっとぼけただけだよ。いやさ、マジになるとは思わなくて。切り時がわからんくなった。正直スマ——
「どあほぉおおおおおお!」「バカぁああああ!」
まあ流石に今のはちょっとタチが悪かったと反省して甘んじて殴られました!俺ったら偉い!しかしどんな肉体ダメージより純なシズクの子供ながらの「正論」が1番痛いって辛いね。
「——で、回収されたギンコはやはりほぼ無傷の気絶状態。 それを連れて引き返すと、
「ええまあその通りどす。ところでマチちゃんに聞いた限り、教祖はん気絶前に傷口抉って血ぃ撒いたそうやな——なんで?」
「さー、ちょっと朦朧としてて覚えてないなそれ。本当に俺やったの?」
「あれって『しんじ』じゃないのー? ギンコさん、あの『しんじ』がないとマチちゃん死んでたって言ってだし。教そさまはマチちゃんの命をどうしても助けたかったんだよね! すごーい!」
「え?そうかなぁ。そうかなやっぱ! 俺凄いよね!? いやーあの時は「一か八か、どうせ死ぬならやってみよう」って焼けくそだったけど、そうか、ちゃんと周囲の残留オーラと執念の『血のインク』がちゃんと機能したか! 俺凄い!」
「すごくなーい!」
「またそないな無茶ばっかしてこのどあほ!! やっぱあんたアホや! おつむの良し悪し以前にどあほ!」
それはもう酷い言われようだった。
「あほー!」「あほ!」「あほー!」「どあほ!」と左右からのステレオ式「アホ」の嵐。結果を見れば完全勝利したのに完敗した気分になる。それ以上の追撃を逃れるため、俺はそそくさと自室から退散した。手と足は直されている。
しかしこの一見万能に見える他人を犠牲にする回復方法も新たな欠点が発見された。切り傷や切断、粉々になったマチなど、失った『部位』がその場に残っていれば『
「あ、これなんかダメや。やったら死ぬ」とはギンコ談。『不死』だけあって自分の死にはさとい彼女がダメというならダメなのだ。おかげで傷を肩代わりした僧兵の1人が左手右足を失う逆“ハガレン”状態。
由々しき事態だ。
僧兵が身代わり人形になれる条件として、「差し替え部位」が存在する必要がある。これは例えば右手の怪我を治す場合、「右手の怪我」という状態をそのまま相手に押し付けるんだから、当然その相手には『右手』が必要だよねって事。無いと多分不発に終わるか——「右手がナイヨー」って状態がフィードバックするか……とりあえず成功はしないだろう。
輪切りで治すか。
映画、“フィフスエレメント”の冒頭で死人を蘇生させるシーンがある。採取したDNAで1センチ厚のハムみたいなクローンいっぱい作って、順番に並べて全体を組み立てるのだ。みたいな風に失った部位をちょっとずつ再生させれば無理もない。引くほど手間はかかるだろうし生贄も3ケタは食いそう、でも『刻印持ち』再生産するよりは楽。
「それにしても今めちゃくちゃ頭冴えるなぁ……」
凄い思考が纏まる。邪念がない、心に一点の曇りもないと言うべきか、なにが近いかと言えば『賢者タイム』。まあ
冷静に考えると俺バカだったわ。
マッハ超えたロケットパンチ。3歳男児大とはいえマッハ出てたよね
今になって恐怖で体が震えてくるが……
「どちゃくそ楽しかったんだよなぁ…………」
俺は「知ってしまった」
初めて自慰した中学生よろしく、もうこりゃやめられんよ。栗に代わって死生臭い日々が始まる。
勝ち残って、ピトーを持って帰ったその先で、俺だけ特別でいようと思ったけど、『念』をばら撒きつつ
俺ソシオパスだからそーゆーの続かないんだよな。家業がなかったら今頃どうなっていた事か……死者枠に変わるだけだな?
あの
『興奮』を制御しなければならない。だが『操作系』はカスカスのカス。
そも自分を制御、自制するというのが身に合わない。できてたらソシオパスやってないんだよなぁ……
ここでちょっと『原作』の話。
クルタ族という少数民族の『クラピカ』というキャラがいる。彼の一族は気が高まると、つまり興奮したら、両目の色が緋色へ変わる。これを『緋の目』いって彼がこの状態になるとオーラが増加し強化されるのだ。これは『能力』を作る前だから体質だろう。そして『緋の目』は後に能力に組み込むのだが——俺の『興奮』も同じようにできるんじゃなかろうか?
変化系には自分のダメージと怒りをオーラに変えて“バ火力”ぶっ放すキャラもいるし、彼もまた『変化系』
故に、変化系能力。
①興奮をオーラ量、操作精度、能力強度に変換する。
……だけだと流石に強化倍率悪いか。
制約と誓約でエグい強化したいけど、ピピンの「3分だけ」や「〇〇してはいけない」「〇〇したら解除」みたいな『限定強化』を戦いの最中気にしたくない。となれば観点を変えて、『興奮』で強化なら、『絶望』『怯え』で弱体化——するようならピピン戦で
おのれピピン。死んでなお俺を苦しめるか!
『負けたら死ぬ』は、バトル漫画の王道、「来いよ、リベンジマッチだ!」的展開ができなくなる。願わくばある程度フォローが効く誓約——とはなんぞや?
「わからないまま歩いてたら目的地についてしまった。 ここで実験するはずだったのにぃ……」
いつのまにか手をかけていたのはマチが幽閉されている部屋のノブ。「俺に生かされてる」と見取っても流石に理由がわからないので当然彼女も持って帰っていた訳だ。手荒に扱われてなきゃいいけど。
いやその場合は傷ついた心をどっぷり癒して楽しくなれるからどの道お得か。
「ノックしてコンコン、俺だよー。 あなたの命の大恩人、愛しのきょうそさ——」
瞬間、脳に電流奔る——
(ずっと『教祖』で名乗って来たけど、流石に好きな子にそれで呼ばすってありえなくない?)
今世で名乗ってないのも理由がある。名前なんか付けられなかったから。故に自分で考えようとしたけど……その……
——自分で自分の名前考えるのってこそばゆくない?
かと言って「トグロ=
ま、いっか。
「あなた」とか「君」とか「ご主人様」で。
「オープンセサミ—— おおっと、バッドモーニングって顔だねマチ」
「あぁ……返事もしてないのに……は、入って来た……ッ!?」
粉砕されたドレスの代わりに適温の部屋で白いシャツとカボチャパンツを着こなしながら怯えるマチは可愛いなあ。
「あ、あの、本当に……この前は兄からその……助けていただいて……その——」
「御託はいい。とりあえずチューしようぜチュー」
「……ほんとうに
毎回同じことやっても芸がないので時間制限の意を込めて彼女の鼻を摘みながら口腔粘膜を蹂躙する。
やはり興奮するとオーラは湧き出すのだ。能力として欲しいのはそれ。
だとすれば殺し合い中気にならず、気になってもどうにかできるくらい興味があるもの、でリスクを負うしかない——マチの顔が赤くなって来た——が、よくある誓約として「強制『絶』」がある。 『絶』とは常人でも垂れ流しになっている『オーラ』そのものの流出を断ち、気配を薄く、防御力0、しかし内部肉体活性を図る、まあ戦闘中には厳しいもの。 が離脱してしま——マチの顔が青くなって、俺を叩き始めた——えば1日でも1年でも逃げるだけでいい。 俺には使える部下もいるしさしたる問題にならない。そうわかっていれば「カクゴ」なんて決まるわけもなく精神的リスクにならな「んんん!! んんんんん!! ん゛ん゛ん゛ん゛んッ!!!」
涙目通り越してまさに『必死』という形相なので開放した。吸引力の変わらなそうな音がする。窒息の、第二段階くらいかな? ドキドキするだろう。そのドキドキをぜひ恋のドキドキと勘違いして欲しい。
これを俗に「吊り橋効果」という。
「こっ—— けっほへっほ……はっ、はぁ〜っ! はぁ〜……殺す、き、ですか……? はぁ……はぁ……」
「窒息するマチも可愛いなぁ」
「兄さん、兄さん助けて……この人マトモじゃないよぉ……」
甘ったれんな! ピピン
あ、墓建ててやらないと。
「けっほけっほ……けほ……」
しかし涙目でむせ込む女児もまた乙なものだ。
大切なモノって壊したくないんだけど、ついつい弄りたくなっちゃうよね。いつか壊すと知ってても。あれは悲しい、毎度心が折れそうに——そうだ。『制約と誓約』はコレにしよう。
気分を力に変える能力、
『無限大の力(仮)』
——変化系——
①、気分の上下をオーラ・念の性能に直結させ、興奮しているほど強くなる。
②、『無限大の力』はいかなる場合でも有する全念能力に影響する。
③、もし興奮の真逆である鎮静の頂点、「心が折れた」「敗北を」悟った場合本能力を含む全能力は封印され、オーラ未開放の『一般人状態』になる※(『絶』ではない)
④、③の封印は『一般人状態』でプライドを癒せるほどの『満足』が得られた場合のみ解除される。
⑤、③④⑤及び以降追加される『無限大の力』制御系の項は無効化できない。
と、まあ要約すれば以下3行。
1、心の力、興奮で強くなる!
2、心が折れると念使えない!
3、念使えない状態で『マチ』レベルの戦利品を得ると復活するよ!
うん、ちょうどいいんじゃないかな?
『絶』で他人のオーラが見えるかは知らないが、少なくとも『一般人』は認識すらできず無力で嬲りモノ必至。でもカクゴ決めれば
生身で能力者相手に……ヤバイ、興奮して来た。
「うわぁあ……ッ! なにか、みえない、冷たくて温かいものが噴き出してる、この人……!」
——しかしこれをなんと呼ぶべきか?
「ありもしないもの」を作る念能力は、存在を強化するためにしっくり来る名前が重要。
気持ち一つで勝敗が分かれる、生死をかけた覚悟の証明。
相手からしたらたまったものじゃない、心の力。信条。信念。気分一つで段違い。そして俺はソシオパス。——ならば、
「うへへ……ふふッ——ふははは!あっはっはっはっは! みんな俺の小さな『
「ひぃぃ……今度は1人で笑い出した……た、助けて……ギンコさぁん……シズクちゃぁん……」
そうして、自分でも何が面白いのかわからない内にしこたま笑い終わると、なぜかマチが部屋の隅で膝を抱えて震えていた。やめてね?白シャツとパンツいっちょの時にそんなんされると、まるで虐待してるみたいじゃないか。
まあキスの無理強いは虐待だろうけどね!?
そうだこれから出かけよう! 服を買えば気分も晴れる。俺は知っている、女の子は物に弱いんだ。この殺風景な船室も良くない。もっとファンシーに、ふわふわして、丸っこくて、優しげな物で埋めよう。
「マチぃぃ……ふふっ、今からシズクに服を借りておいで。これからデート行くぞ」
「——…………え?」
ついでに魂。人間狩りも少々……さあ、かかって来い転生者!
果たしてマチは生き残れるだろうか……
今更ですがソシオパスとサイコパスの違いは以下一般論、
共通項→無責任。平気で嘘を吐きルールを無視、軽視する。不安や恐怖を感じにくい。
サイコ→良心が無い。先天的で治せない。大体頭が良く、魅力ある人間を装えるので社会に溶け込む。犯罪を起こすなら計画的なので捕まりにくい。愛着や固執といったものがなく、かつ人と違う観点を持つので意外と成功する。関わった相手をソシオパスにすることがある。社会的地位の高い職に就きやすい。
ソシオ→ナルシスト。後天的で治療可能。頭の良さはピンキリ。感情が抑えられないので社会適正が低い。犯罪を起こしても突発的無計画なので捕まりやすい。自分と同じ思想に共感し固執執着するが、使えないとなるとすぐ切るので定職は難しい。日雇いか無職多め。他人を操作したがる。
——とまあ、あくまで参考程度に。そして『教祖』はソシオパスです。