念能力者バトルロイヤル(更新停止中)   作:おヒマ?

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俺のオーラは無色透明 俺は無職で不透明(教団編)

「未だ目覚めぬ者達よ、神の子のお言葉を聞け!」

 

 

 怪しげな(こう)が焚かれる仄暗い広間。雇いの()()の紹介に、舞台袖から護衛の僧兵を伴いしゃなりしゃなり歩み出ると、客が獣のように沸き立った。

 その光景はどう見ても少年を神として祭り上げた怪しげな宗教団体。

 実際その通りだから仕方ない。

 

 『俺のオーラは無色透明(ノンリーサル)』によって無毒化されたオーラは、いとも簡単に凡人を念に目覚めさせる。それが到底強者には敵わない、ちょっとした身体強化程度とはいえ、生身で鋼鉄が曲げられる様は神の御業と言って差し支えがない。

 

 だから神になってみた!

 

 念が秘匿された技術だからこそ、常識外れにもその技術をひけらかして、あまつさえ体験させればコロッと宗教にのめり込んでくれるって訳だ。初めて作った能力者もそうだった。今もういないけど。

 しかも他と違ってこっちは実在する奇跡を分けてるんだから詐欺じゃないっていうね。

 

 なんて健全な宗教だろう。

 

 団体名は『アビスの集い』

 原作にないこんな組織作って怪しまれないかと思うだろう。

 しかし世界は広いのだ。総勢500足らずの地方カルトに誰が気づくか。

 

 

「さあ、どうかお言葉を!」

「教祖様!」「教祖様!」「我々に救いを!」「どうかうちの子を治して下さい!」「この足を治して!」「お守り下さい!」「どうか慈悲を!」「妻と生き返らせて!」「幸福を!」

 

「ええい黙らんか!」

 

 

 流石は時給1万ジェニー。司祭の一言で静まった会場で、ゆっくりと今日の獲物に狙いを定める。

 

 さて、どんな奇跡を見せてやろうか。

 できれば一目瞭然でトリックに見えない、外観が大きく変わるようなものが……

 そうしていると夫婦だろう。片腕のない男と、残る腕を抱く女が目に止まる。あれは丁度いい。

 

 

「そこの方……」

 

「おお教祖様が選ばれた! 早く、前に出なさい!」

 

 

 下よりは僅かに明るい壇上に手招いた彼らは、どうやら新顔のようで半信半疑という風だ。

 まあ怪しげな宗教なんでね。とりあえずそこの椅子に座って下さい。

 

 

「その腕は、どうされたのでしょうか」

 

「こ、これは、まだ軍人だった頃に……機銃で撃たれて……」

 

「貴方…… しゅ、主人の腕は治して貰えるんでしょうか! こんなになった主人を軍は端金で捨てて。もう藁にも縋る思いでここに!」

 

「こ、こらお前、そんな言い方は……」

 

 

 なんたるチョロさ。チョロいぜ、甘いぜ、チョロ甘だぜ!

 聞いてもない事ベラベラ喋ってくれる連中は簡単でいい。

 予想通りそれを()()ばいいって事だ。

 

 

「藁にも縋る!? 神の子を藁とは! き、貴様ら教祖様に無礼であるぞ!」

 

「いいのです司祭。起きてこそ初めて奇跡なのですから。 お二人もどうか安心して」

 

 

 これまた完全に『良い警官・悪い警官』の攻防戦。単純に心理学。

 司祭が叩いて俺が諫める。この上で助けてやるのだから信仰の獲得も楽なもの。

 

 失ってしまった筋骨隆々の腕に手を乗せ、これから起こる()()()をしっかりと観客席の敬虔な信者達に見えるようにする。

 それから無事な方の腕を掴んで、これもまた多くに見えるよう掲げさせた。

 

 

「奇跡は願いが形になるもの。確認しますが、貴方は無事だった頃の腕を思い出せますか?」

 

「それはもちろん……」

 

「それでは奥様。貴方は、失われたはずの腕がここにある様を思い浮かべられますか?」

 

「はい!」

 

「それでは彼らの願いが今ここに成されるよう、皆さまも願って下さい! 共に彼らの願いを、強く! 腕の復活を願うのです! 強き願いで(うつつ)を歪める我が力、どうか協力してほしい!」

「おおおおお!」「教祖様ー!」「うおおお!」「どうか2人に幸せを!」「どうか腕をお返しに!」

「腕を!」「腕を!」「健康な腕を!」

 

 

 だんだんと揃っていく「腕」の大合唱。それに気圧されないよう夫婦にしっかり何が欲しいか、腕をどうしたいか強く想像する様に言い聞かせながら、俺はオーラを流し込んだ。

 

 はいこの時点で俺が何をやりたいか分かった方はハンター読者でもオリジナル念能力とか考えちゃった人でしょう。

 ヒントは『グリードアイランド』と『相互協力型能力』と『ハルケンブルグ』

 

 まあそんな事言ってる間に、すでに薄く、()()()()姿()の腕が断面の先に顕現し始めた。

 沸き立つ信者。妻はむせび泣き、夫は目を見開いて腕の感触を確かめている。

 ここでトチらないよう、「温かみは感じるか」「痛覚はあるか」「血液から鼓動を感じるか」と質問責めにして最後の補強を済ませ、はい奇跡の完成です。

 

 速い話が、腕なし男を能力者にして、具現化系能力で腕を顕現させた。

 本来長い修行と強いイメージ力が必要な具現化系能力だが、それは一丸となった信徒の信仰心で補っている。

 

 この前具現化系を

「ありもしないものに重みや形といった法則を与える能力」

 と言ったが、これをもっと簡単にすると、

 

 『妄想を現実にする力』と言える。ロベルト=ハイドンではない。

 

 しかし現実を歪めるほどの妄想を1人で補うのは大変だ。が、大勢の人間が、それも念を使える人間が同時に「そこに存在する」と思い込めば現実を歪めるのに必要な力は分散し、効率的に世界を改編できてしまう。

 しかも『なんでも切れる名刀』とか『絶対に折れず曲がらず刃こぼれしない刀』みたいな無理難題じゃなく、ただの腕や足だから難易度自体も低い。

 

 さらにさらにこれは具現化を強化するだけでなく、同時に他の系統にも転用可能。

 その末に完成したのがエリア内だけとはいえ、ワープや精神操作、肉体改編、強運顕現と言った高位の念能力を、カードという形で参加者全員がいつでも使えるゲーム『グリードアイランド』だ。

 

 そしてこれの良いところは「あくまで術者はこの夫婦と信徒達」ということ。

 俺はチョロっとオーラを流しただけで、全く疲れないんだよね!

 

 さあ今日のノルマは8人くらいかなー? どんどん行こう!

 

 

「教祖様お願い助けて!」

「娘は一昨年、事故で下半身が動かなくなったんです」

「では昔は歩けたんですね?」

 

 

 はいはい操作系。あと具現化で神経も生やすか。

 次の方ー!

 

 

「こっほこっほ…… 見ての通り病弱で」

「健康になりたいと……。 大病ではないんですね?」

 

 

 じゃあ強化系で免疫強化だ。

 さあ次。

 

 

「地雷で足を——」

 

 

 はい具現化系! でも歩けなくなって長いから、リハビリ頑張って!

 次。

 

 

「生まれつき両眼が見えない——」

 

 

 え!? そ、それはどうしたら……

 まあ見える眼球を具現化すればいいか!

 視覚がどんなものかは信徒が補うからなんとかなるでしょ!念だし!

 

 

「死んだ女房と話がしたい!」

 

 

 あ、そういうのは本当にちょっと。

 てっきりハゲを治したいとかそんなんだと思ってたのに……

 すみませんお客さん。多分それ特質系の能力なんで、信者に特質系がいないとどうしようもないんですよ——

 

 

「——ッ! はっ、ここは何処かしら……って、あなたッ!?」

 

「……ど、どうしました司祭?」

 

「ああ貴方、死んでから会えるなんて…… 私よ! おときよ! 信じられないかも知れないけど、プロポーズの場所だって覚えてるわ! ヨークシンのベーチタクルホテル!」

 

「ときぃ!? いやしかし、それを知ってるのは…… まさか本当にときか!?」

 

 

 嘘でしょ!? 司祭お前特質系かよ!

 しかもなんか憑依されてるし!

 そして駆け寄り、ひしと抱き合う妻と夫——えぇ……?まあまあ頭の寂しいジジイが裏声でおっさん(ハゲ)と夫婦生活を語り合うとかどんな拷問だ。その体は司祭の体だぞ。おっさんも喜ぶな!

 

 

「こ、公衆の面前ですので、接吻などはご容赦くださいね? ……分かってます?」

 

 嬉しいことに接吻はなかった。

 

 憑依自体は数分で終わったが。うん、ちゃんと終わってくれてよかった。

 妻(司祭)と話せて涙ぐむおっさんもおっさんだが、即座に営業モードに切り替えられる司祭もすごい……

 

 

「あ゛り゛か゛と゛う゛! ありがとう本当に…… 俺の尻の痣まで知ってるなんて、あれは本当のときだった! うぅ………ときぃ」

 

「見よ! またもここに奇跡は成されたぞ!!」

「「「おおおおおおおおおおおおおおお!!」」」

 

 

 沸き立つ観衆一斉のスタンディングオベーション。

 そ、そんなに盛り上がる光景だった? 腕直した方が凄くない?

 しかし死者との交信までして……このままヒートアップすると願いの際限が無くなりそうだ。信徒が暴走しそうなんで、切り上げて司祭!奇跡は売っても値崩れは困る。

 

 

「しかし! ……皆の願望を肩がわりされた教祖様は大変お疲れだ! 我が身を犠牲にするかのような激務。それに見合うよう日々の感謝、そして困窮者への手助けを忘れるな! 本日はここまでとする」

 

 

 流石司祭!

 

 僧兵を率いて舞台袖。裏に引っ込んだ俺は早速汗を拭う。

 変なもん見ちゃったから変な汗かいちゃったよ。思わぬ才能だ。

 

 

「……教祖様。 こちらが本日の貢物になります」

 

「おう司祭、悪いね。 今日のは流石に想定外だったから色をつけとくよ。期待しておいて」

 

「それはいいのですが…… あの、疲れてないならもっと願いを叶えた方が羽振りも良くなるのでは?」

 

「それは最もだけどね。 化けの皮が剥がれちゃ意味ないでしょ?」

 

「化けの皮?」

 

「……細小は伏せるけど、やりすぎると信者が倒れて、叶えた物が消えるって事」

 

 

 相互協力型としては、オーラは平等に徴収されるようだし。今日いるメンバーの数と、願いから一回にどれくらいオーラが使われるか、1番少ない人間は何回耐えられるかとか、俺だって考えてるのだ。

 しかしここまでコントロールできてほぼ願いを叶える能力がノーコスで使えるのは凄い。信徒に飼育代は要らないし、会場の維持費から司祭と僧兵の給料まで貢いでくれる。

 

 1人でオーラ鍛えるより、協力型の方が出力高そうだから、試験的にやったらこの調子だ。

 俺なんか1人につき念弾1発程のオーラも使ってないよ。

 

 

 ていうかこれ。何気にマジで神の御業に片足突っ込んでない?

 

 

 カルトどころか真っ当に信者から感謝されちゃってるいい宗教じゃん。

 念を公開してるのがヤバイけど。

 

 これを能力とするなら、こんな感じか——

 

 『奇跡の坩堝(ウィッシュアポンアビス)

 全系統複合能力(参加者による)

 1人の願いをその他全員が負担し、叶える(実現する)能力。

 (もしくは全員の協力によりその場で念能力を作成する能力)

 

 ①、参加者は念能力者に限る。

 ②、この能力が発動するのは教祖様(俺)を保有する密室内に限る。

 ③、徴収量は平等だが、オーラ負担者はアビス教団のロザリアを所持していなければならなず、教祖(俺)への信仰心が必要。またオーラが足りなければ発動しない。

 ④、参加者に必要な系統が揃ってない場合も発動しない。

 ⑤、願いには本人と協力者である程度合致する明確なイメージが必要。成功すればその成果は長期的に顕現する。

 ⑥、イメージが曖昧だったり到底実現不能な場合はその時点のオーラ量で叶う形に修正されるか失敗の2択。効果もすぐ消える。

 

 

 ……厳密に俺が作った訳じゃないので、それどころか世にも珍しい「能力者が定まってない能力」なので大部分は状況からの推理だが恐らくこんなものだろう。

 俺からオーラが取られた事はなく、かつ信者だけで奇跡を起こした話も聞かないので、儀式発動のキーアイテム(キーパーソン?)になってるのは間違いない。俺は聖杯だった……?

 

 

 ともあれこれだけの力。どうにか私物化できない物か。

 本職には敵わないが教団員は全員念能力者。この本部事務所にも常に何人か無償で駐在してるからそうそう襲われる事はないだろうが、逆に外へ攻撃もできない。

 

 こちとらあくまでバトロワの通過点なんだ。

 

 僧兵を送っても囲んでタコらないといけないし。

 そうだ! 敵が入って来れば『奇跡』で殺せるじゃないか!

 信者なら神敵に天罰が下るくらい想像してくれる。そこで「雷よ落ちよ!」とか「焼け死ね!」とか言ってやれば想像の方向性は揃えられる。数十人以上の相互協力で破れない防御もある訳なく、条件が揃った瞬間必中必殺の攻撃が襲い掛かるって寸法よ!

 

 なんて天才的なアイデアなんだ!

 信仰心は無駄に高いから儀式の失敗は有り得ない!

 

 つまり俺の勝ちは決まったような物!

 

 

「ふはは! 勝ったな!」

 

「……どうされました? しばらく上の空でしたが」

 

「いや何。ここほど安全な場所も無いと思ってね」

 

「そうですか。 おっと、もうすぐ終業時刻ですので帰らせてもらいます……が。 最後に新たな入信者の洗礼をして下さい」

 

 

 おっとそんな仕事もありましたね。

 てことはさっきの能力条件も加筆するの必要があるな。

 ⑦、教団員の定義はロザリオを所持し、洗礼を受け、教祖への信仰心がある者とする。——みたいな風に。

 

 

「じゃあ洗礼用の洗面器と聖水とオリーブ油と生卵は頼んだよ」

 

「はい。 して、こちらがその方々です—— 教祖様が御目通りを許可された! 入れ!」

 

 

 テキパキと司祭が準備する傍ら、応接の間には青年2人に女性と少女が1人ずつ入って来た。

 入信者は4人か。

 と思ってるとそうでも無いようで。青年と女、指輪から見て夫婦だろう連中が真っ先に跪くと、

 

 

「おお教祖様ッ! 教祖様の御業はまさに奇跡! この目で見て分かりました、この世をお救いになるのは貴方しかいないと!」

 

「ですからどうか私達の娘を、どうぞ……! ほら、行きなさい」

 

「…………」

 

 

 「どうぞ」ってどういう……貢物かまさか!? うわぁ……

 引かれてるとはつゆ知らず、両親に背を押された死んだ顔の少女が()()()()()()

 

 

「あ、あのダメですよこういうの。本当に! ちょっと!司祭!へっ、ヘルプ!司祭ィ!? ……あの、冗談にしてもこれは——」

 

「とんでもない! 貴方様の身を削る激務に比べればこの程度のこと!」

 

「一通りなんでもできるはずですから、どうか使ってやって下さい! 決して文句は言いません! ですから何卒、私達にもこの教団で働く事をお許しになって頂きたい!」

 

「是非とも是非とも、この奇跡の素晴らしさを人々へ分け与えるお助けを!」

 

 

 要約「娘をやるから、教団での地位をよこせ」

 いや、「願いを叶える権利」だろうか?

 

 流石の俺でもこのパターンは初めてだ。ドン引きだよ。

 しかしコイツらの元に返しても辛いだけだろうし、これは受け取るしかない。受け取った上で、両親の刑罰は子に決めさせよう。

 

 

「はぁ……まぁ、よくわかりませんが…… でしたら託児という事で。 ——こっちにおいでお嬢ちゃん。 君の名前は何ていうのかな? 僕に教えて欲しい」

 

 

 聞くが、ダンマリ。仕方なし。俺だってこんなんやられたら流石に傷付く。

 

 それにしてもえらく表情の無い子だ。

 顔の造形自体は悪くない。いや、良い。目は大きいし黒目も黒髪も()()()()のような澄んだ黒をしている。ゲス的には良い貢物なんだろうけど、境遇だけに素直に喜べん。

 そう思っていると、よく見れば少女の口元が微妙に動く。

 

 

「……ぁ……ゎ……」

 

「うん。 ゆっくりで良いよ。言いたくなかったらで。 でも僕は君に興味があるんだ。だから——」

 

「わたし……の……なまえ。 私の名前は……シズク」

 

「そうか、シズクちゃんか……—— ん?」

 

 

 ふぁッ!? 再度容姿確認。

 黒目、黒髪、大きな目でシズクって、まさか原作キャラのシズクか!?

 

 い、いいいいいやいやいいいぃいいいや待て待て、落ち着くんだステイステイ。まだ本人と決まった訳じゃない。フルネームはまだだ。シズク=ムラサキでない可能性も大いにある。

 この子のことは一旦置いておこう。今考えるには過ぎた問題だ。

 

 

「そうかシズクちゃんか。いい名前だ」

 

 

 お茶を濁して、最後の男に向き直る。

 あの両親からシズクと来て、残るコイツもだいぶキャラが濃そうだ。一見普通の美青年っぽいが、眉間にある「Jr」の刺青(ジュニアだろうか?)によって一癖あるのが見えている。

 

 

「そ、それで貴方も入信希望と聞いていますが、何か要望とか、なぜ入りたいとか、聞かせてもらえますか?」

 

「大した理由じゃない。俺はコエンマという者、いわゆる転生者という奴でな。これも神の奇跡だ。ここにも同じようなものがあると聞いて、見に来た訳だ。 入信理由は内情視察」

 

「へぇ転生者さんですか…… ん? 転生者?」

 

 

 コエンマ?コエンマって幽白に居たような——額に「Jr」ってあれかぁあああ!!

 

 転生者の外見は同作者の別作品から引っ張られる。彼の容姿は確かに幽白のコエンマだ。

 しかし名前は別のはず。

 

 俺は戸愚呂(兄)の姿、といっても幼少期の姿だが、生まれた家の名字は「トグロ」ではない。

 その上で「コエンマ」と名乗った以上、奴は知っているのだ。幽白という作品を!

 やっぱ戸愚呂の見た目のせいで転生者ってバレたじゃねーか!!

 

 ど、どうしよう……

 信者帰っちゃってるよ。もう10人も居ないよ。俺に攻撃能力一個もないのに!

 奇跡もできない!

 

 悟られたら——死ぬ。

 

 

「……なるほど、()()()()方でしたか。 いいでしょう。どうぞ入信なさって下さい」

「……意外だな。断られると思っていた」

「ええ、まあ。ここは不干渉領域ですので」

 

 

 浮かべるのは余裕の笑みだ。

 意味深な単語と、宗教の怪しげなベールで、全てはこちらの手の上だと思わせなければ。

 

 

「不干渉……ね」

「ええそれはもう。 せっかくですし、しばらく共同戦線といきません? 荒事は苦手なので」

「言ってくれる。 外から感じたあの膨大なオーラ。お前のだろ」

 

 

 膨大なオーラ? 『奇跡の坩堝(ウィッシュアポンアビス)』のか!

 つまり奴は俺が数十人分のオーラを使えると思っている! これは僥倖! 手下の数といい、安易に手は出せまい!

 その間になんとしても奴を殺せる能力を作らねば!

 

 

「それではよろしく、という事で」

「ああ()()()()

 

 

 能力かもしれないので握手はしない。

 そうやって一触即発の空気を纏わせつつ

 戸愚呂兄VSコエンマの、おおよそHUNTER× HUNTERとは思えない異世界初戦が始まろうとしていた……

 

 

「……ねえ教祖様、お腹減った」

 

「……シズクちゃん空気よんで?」

 

 

 よくわからない問題を一つ抱えながら……

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