念能力者バトルロイヤル(更新停止中) 作:おヒマ?
アビスの集い。
それは人類が“偶然滅んでないだけ”と称されるこの世界でも上から数えた方が早い戦力を持つ団体だ。
総信者数1017名。
その内『念・オーラ』に目覚めている人間が800。
どこの軍隊だってこの数字には及ばない。
一般人は言わずもがな、例え練度が低くても教団には戦術兵器に転用できる『奇跡』がある。
教団が保有するほぼ唯一にして絶対の『奇跡』
数〜数百人のオーラを束ねて発生する現象を止めるこの能力を止める方法は発動前に儀式を失敗させるのみ。本来秘匿されるべき念を面白半分実験半分でひけらかしばら撒いた実験結果。
そのかわり、一般信者はこれを『念・オーラ』として確たる法則の上で成り立ってるとは露ほども知らない。
さらに教団では「失った四肢を具現化する能力」や「免疫を強化して健康になる能力」というような日常生活範囲の異能を持つ者が殆どで、自分のそれが『念能力』だと自覚し、『奇跡』に頼らない、自分の能力を持っているのは僅か5人。
他人を能力者にする能力を持つ俺。そしてコエンマ。
これに説明は不要だろう。
残る3人は転生者ではなく、自衛力を持たせる為に俺が教えた。
儀式は参加者で補い合う都合上、自分が苦手な分野の願いも叶えられる。しかし、絶対数が少ない『特質系』だけはその常ではない。
この3人は全員特質系。
儀式に使う1000人の内、たった3人だけの、替えの効かないパーツだ。
それはもう死なれないように、生存に特化した能力を持たせてある。
攻撃の必要はない。
本部の中は全て『儀式場』
部外者が許可なく侵入すれば食い殺す『奇跡』が充満し、そして許可を出せるのは俺だけ。
そうしてアビスの集い本部ビルは二重三重に守られた鉄壁の要塞として、信者最後の砦として機能していた。しかしそれも昨日まで。
ビル中央で起きた『司祭』の暗殺。
所詮俺はお飾りの教祖。
丸投げしていた
教団の安全神話が崩壊した今、不安に駆られる信者を纏められるだけのカリスマを持ち合わせてなく、もはや崩壊は秒読み。
腹立たしい。
遅いか早いか、せめて計画倒産程度は足掻かせて貰おう。
「こんな事がないように司祭にはそれはもうひたすら殺し難い能力を持たせてたってのに! 殺すと増えるんだぞ!? それをどうやって、クソがッ!」
豪華な装飾が施された応接室で感情に任せて空き缶を蹴り飛ばす俺にシズクとコエンマが冷たい眼差しを送りつける。そう見えるだけかもしれないが。ともかくこの世の全員が敵のようだ。
「なあ教祖、『奇跡』で司祭の霊をおろすわけにはいかないのか? あれで犯人の手口や特徴を聞けばいい」
「教そさまおなか——ムグっ」
「パンでも食ってろ! ——交霊はもうできない。あれは司祭の特質系があって可能になる選択肢。畜生、だから最初に潰されたんだ!」
「最初だと? まだ、続くっていうのか?」
「わからないのか!? これは転生者による攻撃だよ! 教団と仲良くしたい連中はいても、表立って敵対したい奴はいない! 必要ならゾルディック送り込んでくるだろうさ!」
そもそも“念能力研究実験場”として作った組織だ。クライアントの報酬か信者の寄付しか収入がない。
内部犯の可能性が捨てきれない今、依頼人であるバッテラ氏にまで危険が及ぶ事も考えて交流は遮断し、司祭の持っていた300億の小切手も盗まれて全体的に経営難。
外で暮らす信者は多いが、それでも食料は2ヶ月もすれば尽きる。
組織だからこその弱点。兵糧攻めと、不安による信仰心の上書き。ゾルディックならこんなまどろっこしい事しない。
しかし司祭を殺せるのは能力者だけ。なのに教団には個人規模で能力を使える人間はいないし、残る奴も『儀式』を行い、信仰心があるのを確認済み。
入れない場所に入れる。いないはずの能力者。
この矛盾は一体なんなんだ。
「分からん。でもなにかしないと…… 少なくとも施設内での殺人は痛い」
「じゃあ儀式で防御を上げる……なんて言ってる俺が犯人かもしれない、か。 悪い、信じられないよな」
「いや、お前とシズクは犯人じゃない。だからこの部屋に入れてる」
「……根拠を聞いても?」
「実はお前ら、とシズクの親が入信したした時、正規の手順を端折ったんだ。生卵出されなかっただろ? だからお前ら『教団員』でなく『客人』。悪意を持って誰かを襲った瞬間、400人のオーラで作られた『念獣』に心臓と脳と脊椎をくり抜かれる」
「嘘だろッ!? なんでそんな……」
「お前が転生者で! シズクの両親が胡散臭かったからだ!」
といってもこれは暴発しないように罪を犯した後、言うなれば殺した後で発動する罪人を殺すためのものだ。本当に「悪意を持って他者を害そうとした」だと条件として緩すぎるし、変に複雑化すると穴ができる。格殺するにはこれぐらい必要。
でも司祭を殺した下手人の死体、無かったんだよね。
「……しかし“悪意”、か。 もし仮にそれが“善意の殺害”だったらどうなる教祖?」
「…………発動しないな。 大体信者の協力が必要な以上、変な事願えるかよ」
「普通に殺人全般を禁止すればいいんじゃ?」
「おう、俺らが操作系で操られて殺し合って終了だ」
「……操作系?」
首を傾げるコエンマ。え、操作系知らないの? ハンタの面白みといえば心理戦と念能力でしょ。
「実は俺、ハンターハンターって読んだことないんだよね……」
どんがらがっしゃん。
そうとしか表現できない。
驚きのカミングアウトに俺は酷くずっこけた。
「おまっ……え? でもコエンマは知ってる……まさか幽白世代か!?」
うなずくコエンマに目眩がした。
モチーフのある異世界で殺し合うのに、原作を知らない人間を送り込むってどんな神経だ。
引き金の軽さもあるし……まさか生存力と
「ま、まあ追々説明しよう。 しかしコエンマ、いい着眼点だ。 この際「『奇跡(念)』を他人へ使うこと」と「『奇跡』以外による殺人」を禁じてしまおう!」
「なるほど! それなら操られる事もないな! しかしこの教団で『奇跡』を禁じるのは信者が……その、逃げてしまわないか?」
「司祭への追悼という名目で1ヶ月の期限付きにすればいい」
「確かに! 稼いだ時間で犯人探しか次の策を講じるんだね!」
天才的発想。それは「先延ばし」
そうして残存する信者全員による強力な、それこそ蟻王でも簡単に死ぬような『奇跡』でこれらを禁じ、ほっと息ついた次の日。
俺の寝室前に死体が置かれた。
即座に戒厳令を敷いてこの事は伏せられた。
嘲笑うかのように出た2人目の犠牲。狙われたのはまた特質系。
しかも死んだのは1人で、『奇跡』によって殺された痕跡はない。犯人がどうやって『奇跡』の禁を掻い潜ったかより、これは最悪だった。
内部犯確定
貴重な特質系が誰か知ってる人間なんて教団上層部だけなのだ。
「で、でもどうやって……
①、悪意の殺人
②、1ヶ月間、『奇跡(念)』以外での殺人
③、1ヶ月間、他人への『奇跡(念)』の行使
は禁じられているのに。 どういう事だ教祖!? どうなってる!? 俺には穴があるようには見えないのに」
「俺にも見えねえよ。でもあるんだろうな。 死んだ奴が外に出たら記録はないし、出すわけもない。中で死んでる」
「ま、まさか教祖……君は罰則の例外なんてオチじゃ……」
「なんで俺が俺の資産である教団を殺すのかね!? 司祭はマジで貴重だったんだ! ……金が目的なら、300億くらいやったさ……なのに」
「……悪い」
ヤバイ、ギスってる。このままだと殺される前に殺し合いで犯人の一人勝ちになりそうだ。
お互い水に流して話を変えよう。
原作を知らないコエンマの為に、今日は初めから念の講習をする約束だった。それがあんな事に……
「とりあえずコエンマは何を知ってる? オーラは知ってたようだから、さすがに1ミリも知らないって事はないはずだ」
「うん、まあ……ね。 甥っ子が見たがってた映画に連れてったのと、夜中にテレビでチロっと見たくらいかな……ほぼ、映画だけ。 まず主人公たちはオーラと念能力ってのが使えるんだろ?」
「ああ。ただしその2つは鍛えりゃ誰でも使える技術だがな」
「そうか。で、悪い奴は『怨』っていう闇の力を使って——」
「はいストップ!!『怨』の事は忘れていい!てか忘れなさい!全部『念』で片付く範囲だから!」
まさか異世界で『怨』の設定を思い出す事になるとは……
そういえば、そんな映画も、ありましたね。
え、まさか敵は『怨』使いの可能性が……ないな。うん。
「念には使い辛くする事で威力を高める、ハイリスクハイリターンな強化方があるんだ。で、結構キツめなのが「ルールを破ると術者は死ぬ」みたいなのと「発動中は寿命がウン十倍の速さで減る」みたいな命を賭ける奴ね。 原作勢はこれを知った上で「『怨』てなんだろ。何を賭けたらあんなに禍々しく、強くなるのか」と見に行って、「なんだ死ぬだけか。え、ただの『念』じゃね?」と落胆しました。 つまり結論としては『念』のほの暗い部分を世間知らず一派が『怨』と総称していただけと、そう取れるわけですよ」
「……でも「ほの暗い」って事は悪い奴が使うんだろ?」
「そしたらなんと主人公4人中2人が既に『怨』を使ってるんだなこれが」
「えぇ……」
「引くな! 幽白だって主人公不良だろ!?」
よく言われるが主人公勢力の肩書は結構酷い。
メンヘラ、暗殺者、復讐者、医大生。…………医大生ェ……
それで『怨』以外は何を知ってる?
「えっと、なんか念には6種類あって……スゴイのが一種類。なんでもできるのが一個あったんだよ。死体から人形作ったり、幽波紋出したり、千手観音召喚したり」
「映画が混ざってるではないか! 念・オーラは生まれつき何が得意か決まってて、それが6種類。自分がどれかはわかるか?」
「知らないよ。前の転生者殺った時だって、石にオーラつけてぶん投げただけだし」
そんな俺でもできない方法かよ。体から離れたエンチャントの持続……放出系臭いな。
「まあともかく得意系統は物を強化する強化系、オーラの性質を変える変化形、物質化する具現化系、お前の言うスゴイ奴で今回狙われている特質系、物体を操作する操作系、体から切り離しても持続する放出系、そして最初の強化という順で六角形に並んでると思って」
「ふーん。てことは司祭も他人の能力が盗めたりした訳か」
「なぜそれを知って——いや有名か。 特質はね、多分同じ特質でも、他人の真似はできないと思うよ。むしろあれは念に別ベクトルの属性がつくと思って」
「属性?」
「そう『属性』。 “テーマ”や“お題”とも言えるかも知れない」
司祭の『交霊』はタネが割れても宗教の神秘性を保てる本当にいい能力だった。だから他の2人にも使えるよう努力させたが……ダメ。
じゃあ原作で有名な、『能力を盗む能力』でも覚えて貰おう!
それもできなかった。
特質系の本分は『他人のオーラの吸収』かと思ってたが、そう複雑な事じゃない。
それは望むままの力、願い通りの異能。
自分の本質や根源的欲求をそのまま能力にできる属性。それが特質系だ。
だから『未来予知』を願った人間に『交霊』はできないし、『サイコメトリー』がテーマの奴はどこまでも「記憶の入出力」しかできない。
特質系が最も困難とする事は、同じ特質系の模倣なのだ。
知識と技術の引き継ぎができないので、良くも悪くも師匠要らず、一代限りの博打系統。
これは酷い……
「だから特質系は一見便利、万能に見えて、能力の方向性が限られる諸刃の剣。 3人に蟻王の『食ったオーラを取り込み、昇華する能力』をつけたかったけど、無理だったんだよね〜」
「そうなのか…… それじゃあ、司祭は『交霊』として、後の2人は何ができたんだい?」
「……普通能力の事を聞くのはタブーなんだけど、ま死んでるしいっか! 今日死んだ奴は名付けるなら『模倣』だな」
「へ〜、でどういう能力だったの?」
「………………」
「……なんで黙るのさ」
ごめん。それ説明すると、今までの事をいくらか撤回しなきゃいけないんだよね。
特質系には自衛力を持たせた……あれ嘘です……コイツだけ例外です。
「どういう能力なんだってば! 模倣って真似でしょ? まさか他人の能力すぐに真似して、コピー忍者みたいな感じだったり?」
「……………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………デコイ」
「デコイ? 「
「か、彼は見た目も含め血を啜った人間にオーラの色から揺らぎ方、果ては能力や癖まで
「それって教祖の代わりに……」
「死体は奴自身の姿だった! 俺は知らん!」
そう思うと怖くなって来たじゃないか。
まさか奴は本当に影武者として死んだのか?
じゃあ……本当の狙いは……俺? 2回目にして俺!?
もっと段階踏めよ!ホラー映画だって主人公は最後だぞ! 俺は主人公じゃないと申すか!?
「ひ、1人じゃ死なないぞ。初戦敗退は嫌だ!! 誰か!誰かいないか!オイあいつここに連れて来い!」
「ねえ教そさま、おなか減った」
「シズクの飯もだ! 早くせんか!」
今度こそコエンマに白い眼で見られながら、しばらくして食事を乗せたトレーを銀の髪を持った妙齢の女性が運んで来た。
目立つ容姿だ。コエンマもどこかで見覚えはあるらしい。
「その人は確か僧兵の1人……」
「紹介しよう。彼女こそ火力だけなら僧兵随一!『不死』の属性を持った絶対に死なない縁起者!ギンコ=キュービクル女史だ!」
「まあうちそないな大層なものちゃうんに…… よろしゅうおたのもうします。 ほらシズクのちゃん食事どすえ」
「ごはん」
「こっちにもその方言あるのか…… というか教祖、気のせいだと思いたいが、不死の肩書きに名前の響きがどうにも異能生存体っぽくて、身の危険を感じるんだけど…… 彼女は一体どういう能力をしているのさ。 せ、説明はあるんだよね?」
おお!“ボトムズ”を知ってるなら話が早い!能力の半分は
彼女はどんな状況でも絶対に自分だけは死なない異能生存体、キリコ=キュービィーそのもの。もしくは名探偵コナンのコナン君。駆逐艦雪風だ。
彼女の
でも教えない。コエンマだけ逃げるなんてずるいぞ。
「司祭が魂に呼びかけるなら、ギンコは命をバキューム、イグナイトする!」
「命をバキューム……って、燃料にされてる!? 僧兵一の
「能力は『
「前半が不穏すぎるし……後半はまんま“高級ブランド“ってどういう……」
「そもそも昨今使われる“ブランド”とは「ウチの家畜だよ!」と焼印入れた事に始まり——」
「あ、もうなんか分かったからいい! ろくでもない力ってのは理解した!」
不満は多そうだが、それ以上に「どう対処すれば」と悩むコエンマはお利口さん。これほど厄介な奴もいない。
『
仮に要人に
最悪怪我しようが『
その本質は死を遠ざけ、生を吸う。 おまけで不老。故に『不死』!
むしろ俺より神っぽい!
ふっふっふ……これが転生者じゃないってのがマジ
野生産も負けちゃいない!
「しかし、ギンコさんはそれでいいのか? その力は余りにも……その……」
「確かに思う事はあるかもしれしまへんが、うちは今幸せどすえ。見た目も力も生まれ付きひとを遠ざけるなか、教祖様は孤独を癒してくれた。それ守れるなら文句なんてあらしまへんよ。
そう言って大胆にも服を脱ぎ出すギンコ。突然の事にコエンマが動揺するが、彼女に刻まれたその白い背を穢すような絵を見て息を飲む。
まったく、どういう神経してるんだ。
——彼女の背にある九曜に並んだ三つ巴。命のストックに。
「使うた覚えはあらしまへんが、ちゃんといっぱいあるんやのんね?」
「ああ、ちゃんと9人分。27画全部ある」
「そら良かった。恩人の為とはいえ、この空気の中裁判はしとうなかったさかい」
「……おい教祖、その模様……動いてるぞ……」
そりゃあ“生きてる”からね、まだ。
大きくなったり、萎んだり、回ったりしながら揺れる様はさながら2度と出られない檻からしきりに外を眺める九つの瞳というとこか。
殉教者も罪人も一飲みにして。文字通り命に貴賤のない術。
にしても『念』って、やっぱすごい!
しかし強力な反面。術者ですら振り回される代償の大きさ、扱いにくさも『特質系』。
プラナリア並にしぶとい司祭を殺したのだ。だから、服を着直した、冷たくも見える貼り付けたようなアルカイックスマイルのギンコに、例え不要でも一応、釘を刺しておく。
「ギンコ。わかってるだろうが、お前は盾として守るのが仕事だ。でも——」
「言われへんでも、使い切るような事はしまへんで。もう教祖様ったら心配性なんやさかい。そやけど、思てくれるのんは嬉しいどすえ」
「おい! 司祭のいない今、お前は本当に換えの効かない——」
「せやったらうちも一つ。教祖様も忘れてまへんか? こないな見た目でも人の何倍かは生きて来たんどす。うちの命くらい自分で守るさかい、ね?」
「……
「ふふふっ ほんまにかいらしい子やねえ…………」
頭を撫でられるが、これくらい言っとけば馬鹿はしないだろう。
攻撃だけなら問題ない。何画燃料にするかは自分で決められる。だが回復は必要な量が勝手に持ってかれてしまう。
貴賤なく命を燃やす彼女の力は、本当に『命』の区別をしない上に、背中の残弾は本人には分からない。
『不死』の彼女唯一の死因。
もし、9つ27画の全てを使って尚能力を使えば燃えるのは……
「もう直球で言うわ。死ぬなよ」
「それうちにいうのんは教祖はんくらいどすえ…… おおきに」
ヤバイ。生「おおきに」って何気初めて聞いたかも知れない。
「というか、『奇跡』のせいで1ヶ月の間、ギンコさんが能力を使っても死ぬんじゃ?」
「禁じたのは『奇跡』だ。コイツのこれは『念能力』。そう自覚してる」
「バッチリ抜け穴じゃないか! じゃ、じゃあ犯人が『念』と思って使えば……」
「入信者は全員俺がチェック済みだ。反意もなければ『念』なんて知らない。知ってたら『奇跡』じゃないからな。信仰心がなく儀式でオーラが減らない奴はいなかった」
「うちは念であれ奇跡であれ教祖様に救われたのに違いはあらへんさかい、命を投げ出してええ思てるし」
「コレはこの通り。 気を付けろ、狂信者は意味不明だ、怖いぞ」
「……そして部外者は悪意の殺人で罰せられる、と。 信者に犯人がいても、殺人に能力は使えない」
「仮に今抜け穴があるとすれば単純なオーラ強化だが、その程度で司祭は殺せない。 あるとすれば」
「操作系による精神操作やな。意思を消されたら能力も使えへんし、司祭は憑依される仕事もあったさかい操作系への耐性はあらへん」
「待て、精神操作は耐性が持てるのか?」
「既に操作されてると後発は無効化されるんだ。操作系は先手必勝。これ豆ね」
「なんで豆知識なの!?凄い重要な情報だと思うんだけど!?」
俺も最初はそう思ってた。きっとコエンマも「自分に緩い操作を掛ければ……」とか思ってるだろう。でもそれ間違いなんです。
「ギンコ、教えてあげなさい」
「うちの能力も少し操作系みたいなとこはあるし、最悪この効果まで受け付けななると、変に耐性つけるより複数人で警戒しおうた方がええ思います」
「その通り。明確なビジョンもなくとりま作った能力なんて邪魔以外の何者でもないのです」
「そやさかい、こうなった以上今日から教祖様はうちと寝食を共にするちゅうことで——」
「それはヤダ」
「え〜ん、いけずぅ。うちはこないに好きなのに。守るにも最適やのに」
「いけず」? 聞いた事あるけど、知らない単語出てきた。
確か否定的な意だが、どの程度だ?
『
もしもの時に彼女に使って貰う必要があるから、ここで好感度落としていざそっぽ向かれたら目も当てられない……というか永眠する。
でも寝食……寝るのはなぁ……
ギンコはいいが、いかんせん背中のアレがヤバめのオーラ垂れ流しで、一緒に寝ると金縛りの上拷問される夢を見る。これさえなきゃ護衛として完璧なのに。
が、背に腹は変えられない。
「あのギンコやっぱ俺——」
「教そ様、教そ様」
「あらどないしたのシズクちゃん。 もう次のご飯の時間かいな?」
ここに来て袖引くシズク。
そういえば居たんだっけ。完全に忘れてたわ。
「教そ様、私も教そ様を、守るから」
「いやお前オーラ使えない——」
「あら〜シズクちゃんたら健気でかいらしいわぁ〜。こらうちと一緒に教祖様を守らな。 なぁ教祖はん?」
まあそういうなら、願ったり叶ったり……
「わぁったよ! ……
「もちろん9人全員ドア前に待機させとくさかい。安心してうちの胸で眠っとおくれやす」
(もはや教団で唯一の財産はギンコ一派——最後だ。連中を手元に置いておこう)
勿体ない精神で決めたそれが、マジで最期になろうとは、ギンコとシズクにベッドで挟まれながら目を瞑った時点では思いもしなかった。
なんたって次に目を覚ました時には……
「ちょっとあなた、
あの花園で性悪金髪ツインテとご対面してたのだから。
お嬢さんたら怖いほどにいい笑顔。
あちゃー。これはポックリ逝きましたね。