念能力者バトルロイヤル(更新停止中)   作:おヒマ?

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信じる心は無限大 信じる頃には無理限界(流星街熱暑編)

 雲一つない空をこれほど恨めしいと思うことはない。

 

 

「あぁ暑い…… なんて猛暑だ。舐めていた、『流星街』を……」

 

 

 四方に広がるゴミ山から発掘したソファーとパラソル。

 300億と1000人と拠点と権力全部捨てて、ここからまた念の実験始めようと、作り上げた拠点がこれだ。

 

 サバイバル、ホームレス、アウトドア、全て舐めていた。

 

 水道はない。電気も、エアコンも、娯楽の一切が存在しない。

 当たり前だが『流星街』はスラムなのだ。法的にゴミ捨て場になっている()に、存在しない人間が、ひしめきあって暮らしている。

 

 彼らの逞しさたるや、まさに知恵を持った原始人。

 ゴミ山からジープ掘り出して再生利用したり、尋常じゃないタフネスと専門知識が相まって完璧な人種に見えて来る。

 まあ実際に単にピンからキリまでの人材の坩堝だってだけ。しかし何より足がつかない。

 

 一方ひ弱な現代っ子出身の俺は言わずもがな。

 シズクも早々に舌を出して()()()、大丈夫なのは、神に身を捧げた女僧兵の2人のみ……

 

 

「うぁ……体が、いうことを——ッ」

「ど、どうした!? 大丈夫か!? 倒れてる場合じゃないぞ、御身を扇がねば! さあ扇を持て!」

「う……うぅ……教祖……様——無念」

 

 

 若干名減った。

 しかしこれらはまだいい方で、1番重症なのは、今や俺に重なってへばるシズク——の上にちょこんと載っている銀色の団子だろう。

 

 それは団子というよりむしろ毛玉。

 丸めて置いた上質なファーにも見える。そのファーが動いて、()()()

 

 

「クゥ〜ン……」

 

 

 光沢のあるふかふか毛皮。実に高級そうだ。

 その中で蒸しあがる()()こそ何を隠そう、力なく鳴くこの毛玉こそが、教団が抱えていた3人の特質系の1人。『不死』を司る京都弁っぽいお姉さん! ギンコだ!

 

 「え、何言ってんだ」と思うだろうがこれがギンコの本性。

 

 ギンコ=キュービクルとはこの生き物に俺がつけた名前に過ぎない。

 

 実はギンコは人語を理解する知性ある文化持つ非人類の()()、『魔獣』なのだ。

 妙に寿命が長かったり、そういう伏線は出していた。

 

 キツネとタヌキを出して2で割ったような、体長50cm前後、6脚の小動物。ポコン族。

 本来栗毛であるところ先祖返りで全身銀毛。

 総括し、胴長麻呂眉糸目がちなスマートダヌキだ。

 種族として化けることと雨を降らす力、火を吹くが、その強さにより尾が1〜9本生まで増えるらしい。

 

 彼女の場合、出会った時点で狸のようなふくよかな尾が6本だったが、聞けばレア個体なんで「これ九尾になるんじゃね?」と。

 

 九尾になる→九尾来る→キュービクル!

 銀色のポコン→銀ポコン→ギンポコ!→「え、メスなの?」→ポンポコリーナ!→却下!

 銀色のポコン→ギンコ!

 

 

 決してキリコ=キュービィに似てるからの一点で決めた訳じゃない。似せたけど。

 彼女の能力も、種族特性に上乗せ、それを骨組みにすることで形成している。それなりに強化できたのか今や尾も7つ。これで7本とか9本はどれだけ強いのだろうか……

 やっぱハンタの人間ってただ滅んでないだけなんだな。

 

 因みに原産は寒冷地。ここは熱暑。

 これは酷い。

 

 

「て、いうか! そうだお前雨降らせられるって言ってたじゃん! やれ、やるんだギンコ!」

 

「……クゥ〜……(雨は降っても曇りはしいひんどすえ……)」

 

「よし! なんとなくダメそうだってのはわかった!」

 

 

 もはや人語も喋らず、力なく開いた口から舌が垂れる様にあの涼しげな面影は消えた。しかし女——メスとしてその顔はどうなんだ?

 

 やはり魔獣の価値観はわからない。

 ポコン的に混合毛で非対称な模様があると“ブサイク”らしいが……

 

 だが調べるにも、まるで砂漠に打ち上げられた魚のような体たらく。

 バトロワとてんで関係ない所で死にかけている我々の運命や、もはやここまでなのか……っ!

 渇望の手をパラソル越しの太陽に伸ばした。

 

 

「うぉおお!! 天よ! どうか我々に恵の水をォッ!!」

 

「水なら持って来てやったぞ」

「邪魔だお前ら退けオラ!」「ぎゃあ!?」「コン!?」

 

 

 やったぁッ!

 その声に「俺が1番だ」と腹の上の2人を捨てて赤いポリタンクに飛びつく。

 捨てる神あれば拾う神がなんとやら。

 願ってみるもんだ。

 

 

 ゴクゴクと食道から滲み入るそんなに冷たくない土臭い水。しかしその味は無類であった。

 しばらくぶりの潤いに感謝。そして今まで仰いでくれていた僧兵、倒れ込んだその口に流し入れる。これで難は去った。

 

 シズクとギンコは知らん。

 血走った目で貴重な水を見るな。減るだろうが。

 真っ先に倒れやがって。働かずに水が飲めると思わない事だな!

 

 

(ちん)のために今まで休まず、大儀であった! そちは然るのちに救済されるであろう」

「あぁ……ありがたき…… か、彼女にも水を……」

 

「相変わらずなんで()()()()に従ってるかわからん連中だ」

 

「不信心には罰が下るぞ?」

 

「その水オレが持って来たのに……」

 

 

 そうだった。

 言われて気付く、ご近所付き合いの大切さ。

 「ありがとう」と向き直れば、そこにはもう一つのポリタンク。

 

 

「そ、それもくれるのか!?」

 

「さすがにガメツ過ぎて笑いそう。 紛いなりにもあんた()だろ? 水を見るな、顔見て話せ」

 

 

 そう言いつつ、ポリタンクを渡してくれる彼。ツンデレさんだね!

 黒目黒髪。歳は俺とそう変わらずに、落ち着いた物腰。整った容姿に、負けず劣らず、この場所にしては珍しい良い服を着こなしている。

 

 その名は『クロロ=ルシルフル』。

 

 今はただのご近所さんだが……ハンタにおいて後々最強格になる1人だ。

 原作ではもう少し冷たい印象を受けるが、身内にはそれなりに温かい人物なのだろう。なにせこっちから仕掛けた“戦争”で死んだ仲間の弔いに、何百人か殺し回ったりする。

 

 彼が頭をやる『幻影旅団』は盗賊団のくせに良い意味でアットホームな職場だ。

 仲間意識は強く、団員も屈強な能力者ばかりで、襲われる方はたまったもんじゃない。「盗人猛々しい」を地で行く男。

 

 もっとも、この世界でそうなるかは色々怪しいが……

 

 

「あ、クロロ兄さーん! ここに居たんだ」

 

 

 噂をすれば影とばかり早速その原因の1人が駆けてきた。

 彼もまた黒目黒髪。そしてどことなく、というよりモロだが、クロロに似ている。それもそのはず、兄と呼ぶ関係は多岐に渡るが正真正銘クロロの()だ。

 

 まあもちろん原作にそんなのいないので転生者なのだが、ショータイムはここから。

 若干、痛そうに顔を歪めたクロロを俺は見逃さない。そうか、1人になりたくて、ここへ来たか。

 

 

「おーいみんなー! 兄さんいたぞー! 教祖の家だ!」

「えー、またー?」

「に、兄さん危ないよ! そいつは……」

「その話はここじゃ無しだって! 取り決めたばっかじゃん!」

「そうそう!『流星街』は捨てられた者同士助け合わなきゃ。殺し合いなんて御法度さ!」

「にーさーん! 教祖さんも、あーそーぼー!」

「…………」

 

 

 喚く6人、無言1。

 賑やかなのは良いが兄弟が多いってのも考えものだよな。

 泣くなクロロ。頑張れクロロ。水のお礼に今度1人にしてやるから。

 

 もう説明も面倒なので、クロロ以下、

 

 次男:シロロ 長女:ヘカテリン

 三男:シアン 次女:アマテラ

 四男:ベンゼ 三女: マリリリリン

 

 

 

 いやさ。

 シズクの姉の時、確かに転生先ならもっとメジャーな血統あるだろって俺は言った。

 言ったけどなんだこれは。おそ松くんか?

 

 ルシルフル7兄弟とか誰が予想できよう。

 大人気すぎて初見笑いました。それで殴られて、殴りあって、クロロとは友情を深めたと思うが——うん。

 

 

「おいクロロ。へへッ、可愛い兄弟が呼んでるぞ。うへへへへへッ」

「笑うな」

 

 

 ごめんやっぱ笑うわ。

 

 

「や、やぁ! シロロ、シアン、ベンゼ、ヘカテリン、アマテラ、マリッ—— マリリリリリン。 ふっ……ふふっ……同じ顔がたくさん…… イッデェ!? やめて殴らないで」

 

「水返せ。今すぐ。 飲んだ分も」

 

「違うんすよ〜クロロさん!笑ってない!笑ってないって! 髪型だけで、あとみんな同じとか全然思ってないから! 女装似合いそうとか思ってない!」

 

 

 もう充分カオスだが、ここで終わらないのが『念能力者バトルロイヤル』

 なにせ100人も転生したのだ。

 

 ”悪役”でこの人気。

 優良血統のフリークスやゾルディックがどうなってる事やら。

 

 フリークスズ10兄弟とかやめてくれ。誰も勝てなくなる……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 よし冷やそう!

 

 どういうわけかルシルフルズは友好的だが、相変わらず俺に攻撃能力がないこの状況はA5サーロインを持ちながらライオンを撫でるようなもの。せめて抑止力にギンコを復活させるのは急務である。

 

 よって冷やす。

 

 寒冷地出身とはいえ教団で暮らせたんだ、25度もあれば充分。その程度なら『変化系』オーラの俺がオーラの温度変化を習得すれば造作もない。

 そう、冷やすだけなら。

 

 

「冷えろオーラ! 『低温変化(アイスエフェクト)!!』

 

「「おおー涼しー!!」」

 

 

 オーラを当てた2人は見る見るうちに生き返る。

 体、なんともない? 結構強めに出したけど怪我とか、あ、ない? ふーん?

 うーんやはり『原初の色彩(イノセントオーラ)』による無害化は解けないか。凍傷覚悟でぶっ放したんだが。意図せず発動するあたり呪縛じみて来た。

 

 しれっと人体実験したが、まあこうなる事は予想済みだ。作ってからというもの“OFF”以前に“ON”にした覚えがない。常時発動型、というか、オーラの質自体が変わってしまったのだろう。

 こっちは予想外。

 

 根本的に“無害化”が切れない!

 俺もそろそろ攻撃能力が欲しいのに!

 

 

「で、元気になってそうそう悪いがギンコ。服を脱げ」

 

「教祖はんそらひょっとして……——エッチな話どすか?」

 

()()の確認だよ!」

 

 

 記憶が正しければ生命力8人分、8魂残ってる筈だが……うん。

 1つを3分割できるにしても心許ない。

 

 

「やはり8発24画。 どうすっかなぁ。ここじゃ補給できないし……」

 

「うちら住まわして貰うてる身どすさかいね、主に断りものう無礼は命取りやろうし」

 

 

 となればあくまでギンコは切り札。やはり俺が攻撃できるようになるしかない。

 

 ここを出ていけば話は早いが、後々できる『幻影旅団』と交流を持っておきたい。あわよくばクルタ狩りに参加、同行する。これはバトロワ攻略、ひいては俺の強化につながる重要ファクター。

 

 愚行だらけの俺は何も考えてないように見えて、重要事項の1、2、3。

 ❶「どうやってネフェルピトーを手に入れるか」

 ❷「最後まで勝ち抜く為の戦力確保」

 ❸「転生者の作りそうな能力への対策」

 は考えている。

 

 ❸は所詮予測止まりだが、❶と❷は既に明確なビジョン。優勝への『メインストーリー』、『ストーリークエスト』と呼ぶべきイベントまでみっちり組み上がっていたり。

 

 でもコエンマと出会って、不安なんだよね。

 生者だった50人の参加者はもちろん生き返る為に優勝を目指す。はっきり言って単純思考のわかりやすい連中だ。

 

 だがコエンマ。奴みたいに、妙なポリシーやプライド、場違いの正義感で動く死者がいたら最悪の一言。

 自分の命に頓着しない様は良く言えばヒーロー。野暮だとキチ◯イ。

 

 実はネフェルピトーの出現自体は、この勝負上では「べつに起こらなくていい事」だ。

 そしてピトーが生まれるには少なく見積もって数千人の犠牲が出てしまう。

 しかもこれ「止めよう」と思えば止められてしまうからタチが悪い。

 

 住宅街に出たクマを狩る感覚で、コエンマみたいなのが手を出したら計画がご破算だ。俺もそこまでコントロールできん。

 

 だからここは「ピトーは出現する」と仮定して、

 そのピトーを手懐ける為に必要な能力——

 ——を開花する為に必要な博打——

 ——を安定させる為の未来予知——

 ——をしてもらう為の対価——

 ——を手に入れる為のコネ作りが必要だ。

 

 あ、そうだ。対価と言えばクルタ族に転生者が居ないとも限らないのか!

 原作で美術品として『眼球』抉られる一族だが、人気キャラのクラピカが生まれた血統だ。クロロみたいに追っかけがいてもおかしくない。てか絶対いる。

 

 念能力者の最高峰の一角をして「強かった」と言わせしめる無能力一族。そこに転生者のテコ入れ強化が入ったら手がつけられなくなるぞ。

 

 クルタを対価に色々する予定なのに邪魔くさい。

 深いため息が出た。

 

 

「何か、相手を傷付けないで、かつ強力な攻撃力を持つ方法はないだろうか…… なあギンコ」

 

「…………」

 

「ギンコ? ……おいシズクも、何黙ってんだ」

 

「「…………………」」

 

「……おいおい、凍ったみたいに固まっちゃって。 うへへ、変な顔」

 

 

 2人が凍りついていたのに気付いたのはそれから2時間後だった。

 なんと『低温変化(アイスエフェクト)』は無害故に他人に染み込む『原初の色彩(イノセントオーラ)』の影響まで受けて、浴びると吸収したオーラで芯から冷やされるらしい。

 しかも『原初の色彩(イノセントオーラ)』の無害化により、創作氷属性でよくある「ゆっくり溶かせば生き返る」という性質まである。

 

 最強の冷凍保存能力ができてしまった……

 

 しかしちょっと待て。

 オーラの温度を下げられるって事は、上げられるってのと同義じゃなかろうか。エントロピーだのポテンシャルだのマクスウェルだの昔学校で習ったぞ。

 要は粒子振動を抑制する所を、増幅してやればいい。

 

 でもやっぱり概念的にわからないので、ここは頼れるウィキ先生に聞いてみよう!

 転生者にあるまじき所業だろうが、ここはハンタ。人間の文明レベルは大抵現実と似たようなもんだからあるだろう。

 

 

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カリカリカリカリ〜(数十秒)

 

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 よし!

 

 残り少ないバッテリーを使って、「この時代にそんな便利なモンはねえ!」ということが、わかりましたね?

 原作開始が1998〜9年だから、そりゃそうだ。ネットなんて電話回線でピロピロいってた時代より、前だもんな。回線も死ぬほど遅くて重い。

 

 ん? てことは、今ならネット事業のパイオニアに、なれるんじゃね?

 

 『低温変化(アイスエフェクト)』で冷却要らず。むしろ物質を透過する冷却剤とか、理想なのでは?

 パソコン自体企業では既に使われてたが、確かネットバンキングが普及したのが90年代。そこからは、ゲーム、サービス、SNSと指数関数的に成長する市場の、未来の知識が盛り沢山。目に見える大鉱脈だ。

 

 これはイケる!

 

 経営無理だから投資だ投資。

 インターネットバンキングを作ろう。

 名前はそう、

 

 実体のない銀行→霊体バンク→魂(カー)バンク→カーバンクル!

 

 アビスの集い残党改め、今日ここに『カーバンクル』として再始動する!

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