念能力者バトルロイヤル(更新停止中)   作:おヒマ?

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信じる心は無限大 信じる頃には無理限界(虚偽申告編)

 流星街においてまさかの起業。インターネットバンキングサービス『カーバンクル』が始動してしばらく。人材や設備の問題はあったがなんとか軌道に乗った。

 サーバー所在地は流星街だが運良くちょうどいい空き物件がタダで手に入ったのでセキュリティ(物理)もバツグン。

 

 いやはや、流石「なんでも捨てていい場所」と思ったが、大型タンカーがそのまま置かれていた時は目を疑ったね。

 

 解体よりは安いだろうけど、海岸沿いならまだしも、ゴミ山のど真ん中にあるんだもん。現地民も不気味がって近づかないし邪魔だしで『族長会議』……早い話が『流星街』の国会預かりになってホトホト困っていた所声かけたらタダで貰えた。

 

 今やタンカーが住居兼本社。

 

 せっかくハンタの世界なんだ、必要なものは全て『人材ハンター』や『探し物ハンター』を使って集めたのでどれも一流品。おかげでだいぶ値が張ったが銀行を2、3件強襲したので問題ない。

 

 念に目覚めていたルシルフルズ7兄弟、そしてギンコと俺と用意できる最高の戦力を持って襲えば、どんな金庫もブタ貯金箱と大差ない。というか俺とギンコの超温度差攻撃に耐えられる物質は皆無!!

 

 やはり念……! 念能力は全てを解決する!!

 

 

 しかし金持ちを本気で怒らせると何されるかわからないので盗むのは現金に留めておく。貸金庫は社会のブラックボックス。死にたくなけりゃ手を出さない。いいね?

 

 そして! 俺自ら起こした強盗事件引き合いに出し、新聞の一面にネットバンキングの安全性と必要性を全面的に押し出したことで地引網の如く根こそぎ客を掻っ攫った!

 なんというマッチポンプ!しかし最高効率!

 

 これで潰れる訳がない!

 そして何より非上場。口煩い奴が誰もない。全てが俺の独裁体制のもと行える。

 あとは1990〜2020年くらいまでの知識から金の卵を選び投資するだけ。

 

 うーん、完全勝利って感じ。

 

 一つ難点があるとすれば俺が『変化系』で、『放出系』が大の苦手だと言うこと。

 タンカーの油槽一つをサーバと冷却用オーラで満杯にできても、本体の俺が離れればオーラは胡散し、たちまち熱暴走。甲板に陽光発電やバッテリを設置したとはいえ、この年代のクーラーの燃費の悪さは戦車並みだ。

 

 

 ああ、自分冷却の為には一生タンカーから出られないのか——

 そんな俺は今、流星街を離れれた高級ホテルで社員と協力者を労っていた。

 

 

「皆様、どうぞグラスをお持ち下さい。カーバンクル益々の繁栄を願いまして…… まあいいか。 それでは皆様、堅苦しい挨拶は抜きにして—— くたばるといいね」

 

「「「言うと思った。 カンパーイ!!」」」

 

「「「——?」」」

 

 

 明暗別れる転生者とそうでないの。会社関係はさっき済ませたのでここにいるのはクロロブラザーズと残党組だけ。あと経営者が流石に幼稚園児くらいのガキなのは不味いから、表向きには若手女社長ギンコで通した。

 会社が潰れたらお前のせいだからな! 覚悟しておけ!

 

 

「というか、今まで誰も聞いてないが船を冷やす仕事はいいのか」

 

 

 ここでクロロ君のもっともな質問。

 

 

「そりゃ大丈夫。 苦手分野は『神字(しんじ)』でサポートしてるから」

 

「「「しんじ?」」」

 

「おいどうして6()()()まで首を傾げるんだぁ!?」

 

 

 お前らそれでも既読勢か!?

 影は薄くても要所要所でストーリに関わっただろ、神字は!

 

 神字とは『念・オーラ』を込める事で能力を補佐する文字。この場合文字よりも「念を込めて書いた」方が重要だと思う。

 だって言語体としての『神字』なんて知らないし。原作でも模様に近かった。

 まあ本当はQRコードみたいに意味があるかもしれないが、使えたんだから問題なし。

 

 

「『神字』は書くだけメリットがある。分かる奴にはそれが『念』関係だと1発でバレルが、「こいつは『神字』で強化しないと念も使えない」と勘違いして舐めプしてくれる可能性もある。 欠点は使いまわせず、書くのに労力と時間がかかる点だ」

 

「なるほどな。つまりその『神字』で槽を覆ったのか」

 

「槽だけじゃないぞ。船内至る所は『神字』で覆った。どの言語で発動するかわからんからその実験と、ダメージコントロールを考えて」

 

「ほう。 意外だな。そんな学があるとは」

 

 

 見かけにって……馬鹿っぽそうで悪うございましたね!

 

 

「で、どれが使えたんだ?」

 

「結果は全部。共通語からヘブライ、ヒエログリフ、ヒエラティック、ヲシテ、変体ヲシテ、ルーン、アナイチ、アヒルクサ、ウガリッド、梵字、最後らへん書くのが面倒になって手にインク付けてベタベタスタンプしたけど、それでも効果を発揮した。重要なのは「思いを込める」。この手順さえ踏めばどんなのでも——ん? どしたお前ら固まっちゃって?」

 

 

 俺を馬鹿だと思っていたクロロがフリーズするのは分かるが。なぜ6兄弟まで。

 驚愕と……その顔は「焦り」? はっ!まさかお前ら!?

 

 

「おい次男坊(シロロ)。なぜ黙る。なんだ。何が言いたい。言ってみろ」

「え、いやぁ……いろんな文字知ってるなぁって……だ、だよな! 長女(ヘカテリン)!」

「え゛!? えぇーホント、凄っ、凄いなーって、思って! ね、ねえシズクちゃん!?」

 

「うーん、ノーコメント! ギンコがんばれ!」

「え、うち? ……いやぁ……教祖はんはおつむがええなって、思てますで?」

 

「だったら素直に褒めればいいだろ!? なんだこの空気!?」

 

 

 まさか。

 まさかまさかまさかコイツら……

 え、違うよな? そうじゃないと言ってくれよ、せめてギンコ。お前と俺の仲だろ!?

 え、まさか本当に……俺の思ってる通りなの?

 

 

「ひょっとして……さ。 もしかしてお前ら……俺のこと自分より馬鹿だと思ってたら急に知識がポンポン出てきて「あれ? あれ?」ってなってる感じ? 違うよね!?」

 

「「「………」」」

 

「ちょっと待てよお前ら。もしかして、全員俺を馬鹿だと思ってたのか? おいギンコふざけんなよ!?」

 

「え!? う、うちどすか——?」

 

「決まってんだろ!誰がその能力考えてやったと思ってんだ!?」

 

 

 ギンコシズク僧兵ズまで俺を馬鹿だと思ってたのか!?

 いや僧兵ズはいい。シズクはまだガキだから俺の凄さがわからないとして、お前!ギンコ!お前だけはダメだろ!この毛玉野郎!

 

 それに6()()

 見下すのは別にいいが、自己認識ができてるか怪しい反応。

 クロロの身内だけに手は出さん。しかし1度教育してやる必要があるな。意識改革だ。

 

 

「クロロ、今から6人借りるぞ」

「ん。 殺すなよ」

 

 

 許可も貰ったので俺との話より料理が心配そうなシロロ以下、

 三男:シアン 長女:ヘカテリン

 四男:ベンゼ 次女:アマテラ

       三女: マリリリリン

 を連れ添いバルコニーへ。窓も閉めたので会話は中に聞こえないだろう。

 で、転生者諸君——

 

 

「まずはありがとう。 強盗の協力もだが、クロロ=ルシルフルが能力を作らずとも『念』に目覚めているのは君たちのおかげだろう?」

 

「ええ、まあ……」「6人もいればね」「欠けた原作知識も補えたし」

 

 

 やっぱり原因お前らかよ。やってくれたな。

 彼の能力が先天的発現なのか自作なのかわからないじゃないか。

 

 特質系の多くは本人の望む形で生まれる。

 だが万能ではなく相応の『制約と誓約』が付随するのだが、先天的発現者は無自覚に、あるいは能力自らが見合うだけの『制約と誓約』を勝手に掛けた状態になる事がある。

 

 いいサンプルだったのに——まあいい。

 

 

「なるほどなるほど! 俺としては、バトロワ攻略に向けてクロロ、引いては君たちとも末長く付き合って行きたいと思ってるんだけど、そこで少し聞きたい。 これ以降のクロロ強化計画ってどう考えてる?」

 

「「「…………強化計画?」」」

 

 

 (がん)首揃えて傾げる様に、不安が的中した。

 思わず天を仰ぐ。

 コイツらどういう基準で選ばれたんだろ。揃いも揃って無能の衆かよ。

 

 

「……うーんマジか、念に目覚めさせただけで、それだけか—— やっぱりよろしくするのはナシだな。 悪い事は言わない、君たち、クロロの邪魔だから消えろ」

 

「…………は?」

 

 

 正解は6分の1。誰が言ったか、ファンとしては死刑宣告に等しい言い草に魂が口からこぼれてアホ面になる面々。次の瞬間にはそれはもう非難轟々。

 

 なに様だ。何のつもりだ。どうしてそんな事言われなきゃいけない。

 大体そんな感じ。聞いてばっかないで少しは頭を使って欲しい。

 

 こういうのを説得するには、有無を言わさず嫌われる「正論連打」が有効。こんな事もあろうかと懐から一枚の、それはもうびっしりと文字図形が書かれた怪しげな紙を取り出す。

 

 

「まあ怒るな、順を追って説明しよう。これはクロロの為でもあるんだ」

 

「……クロロのだと?」

 

「そうクロロの。 ところでこの紙は『神字』の実験に作った遊び道具なんだけど、嘘がわかるようになるんだ。これ以降は説明とか裏付けとか面倒だし、()()を使って話そうよ」

 

「あ、あたしは嫌だよ。だって怪しいし。 第一、あんたの作った物なんか信用できるか」

 

「それは残念。 このままだとクロロが死ぬのに助けられないなんて——」

 

「なんだと!?」「ど、どういう事だ!」「説明しなさいよ!」「そんなの嘘だ!」

 

 

 やはりファンとして()()の死に反応するか。

 もう一押しで理性的になるかな?

 

 

「それが嘘がどうか証明するための紙だ。 別に痛くないよ? 『嘘』を吐くと語尾に特定のワードを言うようになるんだ。ここは公平を期してそこの君! 次女(アマテラ)ちゃん! 前世で好きなゲームはなんだった?」

 

「え? す、スプラトゥーンだけど……」

 

「じゃあ「マンメンミ」にしよう。 書き入れて……以降この紙に署名した者は、破壊されるまで、嘘を吐くと「マンメンミ」と言うようになった。 じゃあまずは俺が署名しよう。次は君たち——」

 

「い、いや待て! ……最初を選ぶのは怪しい。まずは、俺がやる」

 

「どうぞお好きに」

 

 

 俺が用意した物という事で訝しんでた連中も、1人動き出せば流れるように名前を書く。そんなレミングスがペンギンみたいな習性を前に、最後に俺も署名した。

 

 

「きょ う そ——っと。これでよし!」

「おい待てそれ本名だったのか!?」

「ネオン=ノストラードの能力だって芸名でも発動するんだ。 いけるやろ。 俺はギンコのでかい乳に実は欲情していない《マンメンミ》 ケモナーでもない《マンメンミ》 実は人間は対象外……ほら?」

「「「えぇ……………」」」

 

 あとは各々しょうもない嘘を吐いて効果の確認。それが済んだあたりで話始める。

 

 

「俺は女だ《マンメンミ》。 よし。 俺はクロロに生き残って欲しいと思っている。その上で言おう。君たち6人は今のままじゃクソの役にもたたず、死ぬ!」

 

「……どうしてそう思う」

 

「だって君たち『原作改変』は極力したくないクチでしょどうせ?」

 

 

 それは一つの転生者あるあるだろう。

 原作が好きな余り、そこへ介入したくない、ただ推しを間近で見たいだけ。

 

 「クロロに『念』を教えたのも実は不本意なんじゃないの?」と視線をやれば、沈黙がその場を満たした。

 それが答えだ。

 

 

「…………それは。 でも、それとこれとどう——」

 

「介入しないってことは『クルタ族襲撃』も止めないんだろ? じゃあ君達みたいなファンが、それもクラピカ推しがクルタを救おうと強化する可能性は考えられないかい?」

 

 

 盲点だったのか黙りこくる連中。

 おいせっかく道具作ったんだから喋ってくれよ。議論しようぜ。

 

 正直今での転生者が(あれ)とかコエンマ(これ)とかで同郷の知り合い、話題に飢えてるんだ。できるなら今度こそ仲良くしたい。

 

 

「だけど…… 念とオーラは秘匿された技術でしょ。 い、いくら助けたいからってそんな大勢の人には教えない、はず」

「そ、そうだ。クラピカファンなら……いや、どこまで教えるんだ。 村の襲撃まで伝えれば回避できるが、それだと原作に繋がらない。 クラピカの平和をとるのか……?」

 

「俺は寿司が嫌い《マンメンミ》。 そうだよもっとちゃんと考えて。それができれば手を組むに値する」

 

「なんて上から目線…… だがこっちには少なくとも俺達がいるんだぞ! 6人だ! それも戦闘用の能力を6人が作れば、旅団全員で襲撃したとして能力者は19人! こ、こんなに用意出来るわけがない!」

 

 

 確かにそれが一線級の能力者なら、用意できないだろう。

 でも俺という、数でゴリ押しの効く能力者が現にいるわけですよ。

 

 

「うーん。能力を聞くのはマナー違反だが、暴露ならいいか。 能力は秘匿される物! そんな価値観もありますが! 俺の能力の1つは無能力者を問答無用で能力者に変える! 一時はそれで800人の能力者軍団を作り上げたりもした!そんな転生者もいるんです!」

 

「は?……はぁああああ!?800人だと!?」

「う、嘘だ!」「でも紙の効果は出てないみたいだよ……」「まさか、強制的に念に目覚めさせる能力……じゃ、じゃああのギンコさんも?」

 

「そうだ!ギンコもまた800人の部下の1人。そして数少ない生き残りだ」

 

「それだけいてやられたのか!? まさかっ!」

 

 

 無言で肯く。

 原作を()()する彼らには到底理解できないらしく荒れる6人。

 うん。嘘は言ってないな。嘘は。

 

 

「マジかよ信じられんねぇ…… 俺はクラピカ派、《マンメンミ》。 な、なあ教祖さんよ、なんでもいいからもう一回嘘吐いてみてくれ」

 

「まあ確認したくなるのもわかる。 俺はロリコンだ! しかし800人いた能力者軍団も壊滅した! それもたった1人の転生者によって——」

 

「おい待てロリコン」

 

 

 嫌だなぁ人をロリコン扱いして……ん? あれ?

 《マンメンミ》はどこ行った?

 

 なんか女3人も引いてるし。やめて!俺別にそういう趣味はないから!

 

 

「え、いや違うぞ!俺はロリコンじゃない《マンメンミ》! 違うんだ!これは何かの間違いだ! こ、壊れたのかなこの紙、あははは! ……ショートケーキの苺は最後に食べたいな《マンメンミ》。 あれおっかしいなぁ……」

 

「……俺は女だ《マンメンミ》……まあいい、この際あんたがロリコンなのは置いておく」

 

「置くんじゃねえ!違うつってんだろ! こ、この道具が壊れたの! 俺はロリコンじゃない《マンメンミ》!違う《マンメンミ》! やめてもうやめてよぉ、どうして製作者をいじめるの? よし!これはもう破こう!」

 

「いや待ってくれ。800人の能力者がいてどうして負けたのか、その確認が先だ。 だろ、みんな」

「確かに……」

「こいつの言うことが正しいなら、クロロを強くする方法も考えなきゃいけないし……」

「ってなると、800人育てたこのロリコンさんの知識も必要だよね…… 言っとくけど、あたし前世だと30代で、もうロリじゃないから……」

 

「なに警戒してんの!? そんなクロロ似の顔に惚れると思ったら大間違いだぞ!」

 

「……じゃあ顔が違えば惚れるんだ。 え、まさかシズクちゃんを連れてるのって——」

「まさかお前!?」「マジかよ!?」「やっば——」

 

「違うわい! 断言しよう!シズクには手を出してませんー! やましい気持ちの一つも抱いてない《マンメンミ》!?」

 

「「「うわぁ……」」」

 

 

 え、え、なんで?なんで? どうして今反応したの? マジでやましい気持ちなんて……

 

 ほあぁぁあ!? まさか『やましい』ってエロ以外の意味でとられてる!?

 確かに実験したり、あわよくば使ってやろうとか思ってるけど。でも違うじゃん!まだ女児だよ!?なに真に受けてんだお前ら!

 

 

「で、では言い直してやる! 俺は限りなく低い可能性で百万歩譲ってロリコンかもしれないが、断じて現段階のシズクにエロを感じた事はない! どうだ!?」

 

「……いやでもロリコンって厳密には12〜15歳を対象とした言葉だし、ねえ?」

 

「よしもう認める! だが、これ以降俺をロリコンだと責めるなら、この場で「自分はロリ・ショタコンじゃありません」と高らかに宣言してもらおうじゃないか! そうだそれがいい!」

 

「それじゃあ800人の能力者がどうやって、説明してもらおう!」

「そうだそうだ!」「早く教えろー」「100人単位を殺す能力……一体どんな?」

 

「露骨に話を戻しやがって!お前らも人のこと言えねえじゃねぇか!!」

 

 

 恐ろしいことにここにいる全員がロリショタコン。

 いやでも俺は別にロリが好きなわけじゃなくて、ロリも守備範囲内なだけだし。やっぱ俺はまともだな。

 ここはクロロ君が姉妹に襲われないことを祈ろう。

 

 

「俺らを襲ったのは1人。シズクの姉に転生した恐るべき思想を持った転生者だった」

 

「思想? 異教徒は殺す、みたいな奴か」

 

「まあそんなところ。 能力自体はそうでもない。憑依するように1人を操り、身体能力を爆上げするだけ。 しかし自身のいたビルを崩した事で、俺の部下はみんな潰された。 いくら能力者でも50階建てのビルの瓦礫じゃ耐えられない。 だが奴は賭けに勝ち、生き残った」

 

「そうか!直接戦闘じゃなくても、それなら何人来ようが怖くない!」

「物理的なトラップ。確かに原作でも銃は能力者に有効だったからな」

「それで800人もの軍勢がやられたの……」

 

 

 まあ俺が俺のいたビル崩したんですけどね。

 しかしこれで転生者の脅威というのを正しく認識しただろう。敵がどんな無茶な事をしでかすかわからない今、原作原作と拘ってもいられない。協力者は1人でも多く欲しい筈だ。

 

 さあ仲良くやろうじゃないか! 少なくとも今は!

 

 

「そしてビル崩壊で生き残ったコエンマ(ヤツ)は今もどこかをうろついている。 シズクの姉は男を恨んでいた。世界から男を全て消し去るつもりなんだ! 少なくともコエンマ(ヤツ)を勝たせちゃいけない! さて状況が理解できたろう?どうして俺がお前らを戦力外通告したのか。 だが今は違う。一緒に戦ってくれるね?」

 

「ああ…… まさかハンターハンターと関係ない理由で、そんな願いの為に殺し合う奴がいるなんて、思ってなかった」

「わたした流星街から出ようとも思わなかった。ただクロロの活躍が見れればそれでいいって」

「でもあんたの能力なら幾らでも手下は増やせるだろ? どうして俺たちを……」

「バカ。原作を知ってるアドバンテージがあるからだろ」

 

「一応言っとくが、能力者は作れても忠誠心は作れんぞ。『操作系』はからっきし。 だから君らは協力者だ」

 

「え、じゃあ800人の能力者をどうやって操ってたんだ!?」

 

「それは多分……カリスマとか、求心力じゃないかな? ノリだよノリ」

 

「「「ま、マジかよ……」」」

 

 

 主に『司祭』のね。

 しかし数人程度をまとめ上げるカリスマなら俺にもあるらしく、あれだけギスってたルシルフルズ6兄弟もすでに仲良くやれそうな雰囲気。

 

 「800人みたんだ。お前らの能力もアドバイスしてやるよ」と固く握手を交わし、室内へ帰る連中の背を見ながら、信頼構築の鍵だった嘘のつけない紙を破り捨てた。

 

 ああ、やっぱりあいつら……

 

 

「馬鹿だったろ?」

「え!? く、クロロ!? どうしてここに!?」

「さっきから隠れてた。 だが、あまり虐めてやらないでくれ。あれでも一応家族なんだ。 ……例え、実は赤の他人だったとしてもな」

 

 

 赤の他人だと?

 その瞳と口振りはまるで、転生者だと知ってるようだった。

 

 

「……知ってたのか?」

「今知った。 にわかには信じられない。でも、あの()、確かに嘘はわかるらしい。 全て、包み隠さず。詳しく教えてくれないか?」

 

 

 その注文はあまりにもアバウト。全てってどこからだよ。

 しかし現地民にバトロワをばらすのはどうなんだろう。

 

 

「わからんぞ? もう紙はない。嘘を吐くかも」

「それならそれでいい。 オレは頼んだ。叶えるかはお前次第。 だが聞く限り、()()も必要なんだろ?」

「……わかったよ。 でもヤバ目な部分はボカすからな」

「ありがとう」

 

 

 俺は限りなく原作に影響しないよう、掻い摘んで、改変して、それなりに並べ立てる。

 

 

「念っていうのは複雑かつ難解に律すると効果が上がる。これはわかるか?」

「ああ」

「じゃあ大人数で一つの能力を作ると、それも隔絶した効力を持つようになる。 この二つを絡めて、俺たちはあるゲームをしている」

「……殺し合いか」

「厳密には俺らはここでない、並行世界の生まれだと思ってくれ。 それなりに歴史は知った上で、似たような世界に転生し、最後に生き残った1人が——」

「複雑な儀式で増幅された『念』で、どんな願いでも叶えられる。そんなところか」

「……そうだ」

「……あの6人もいずれ殺し合うしかないのか……」

 

 

 それを呟いたクロロの横顔に、俺はなにも言えなかった。

 彼にしてみれば当たり前の家族だ。それが実は他人の都合まみれで、こんなにもねじ曲げられた存在だと突きつける行為。俺にはできない。

 何よりクロロはクロロで、まだ一桁の子供なのだ。忘れていたが。

 

 

「……一つ訂正しよう。全員が乗り気だったわけじゃない。主催者に殺され、無理やり参加させられた奴もいる」

「それは、ひどいな。 だがお前じゃないだろう」

「いや、案外俺もそのクチなんだよ。ただ商品で全部許したけどね」

「現金な奴め」

「へへっ、人はみんな現金なのさ。だからもし何も持ってない奴に笑顔を向けたとしたら、それは打算のない純粋なものだ。 あいつらお前に笑顔を向けるか?」

「……臭いぞ」

 

 

 そりゃあ、誰かを励まそうとした事なんて、生まれてこのかた、前世含めて初めてかもしれないからね。慣れてないんだよ。

 だがまあこっちもいい顔になった。

 

 

「じゃあな。 そういう訳だ。俺があいつら殺しても恨むなよ」

「吐かせロリコン。勝つのはオレの家族に決まってる」

 

 

 だから俺はロリコンじゃないんだがな……

 おっとそうだ! クロロの友好値稼ぐついでに、彼女のことも聞いておかないと。

 なにせ予定では俺の勝利に最も影響するだろう存在だ。

 

 

 

「話は変わるがクロロ君。マチ=コマチネという少女を知ってるかな?」

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