「っ…!…ここ、は…ゲホッ!?」
唐突に視界に飛び込んで来た…光と、掠れ切った声を頭の何処か遠いところで認識しつつ、横たえていた身体を起こすと咳が出る…止まらない!?
「目が覚めたのね、まだ起きてはダメよ。」
身体にトン、と軽い感触を受けながらまた身体を下ろす…柔らかい感触…
「今はまだ眠っていなさい。話は体力が戻ってからね。」
その声に何処か聞き覚えが…姿は良く見えな…
「…ん?」
目が開いたのが分かる…見えた先にあるのは…天井?
「あら?お目覚め?」
その声が横から聞こえ、そちらに顔を向ける…
「キャ、スター…?」
「…私の事は認識出来てるのね。自分の事は分かるかしら?」
顔を戻し、目を閉じる…僕の、事…僕の名前、は…!
「何で…!何で僕は生きてるんだ!?」
「…起きるなり元気ね、坊や。」
勢い良く上体を起こし、そう叫ぶと横からうんざりした様な声が聞こえた。そっちを見れば、椅子に腰掛け、顔を顰めたキャスターがいた。
「質問に答えろ…」
精一杯低い声を出す…
「…質問をしたら必ず答えが返って来ると思ってるのかしらね…全く…何かしら?」
「…何で…僕は生きている…?」
「…さっきも聞かなかった、それ?」
「答えろ!?僕はあの日…!死んだ筈だ! 」
「……」
「僕は…死んだ…!そしてお前に頼んだ筈だ…!僕の身体をこの世に残さないでくれと!」
「…一つ良いかしら?」
「何だよ!?」
「どうして私がそんな約束を守らないといけないのかしらね。」
「はぁ!?何を「私にそんな事をするメリットが無いじゃない」そういう問題じゃ…!」
「そういう問題よ、坊やは私に借りを返してない。死んでもらったら困るのよ。」
「どういう「貴方に最後にかけた魔術…その借りを返して貰ってないのよ」……」
口を噤む…屁理屈なのに不思議とそれ以上の反論が浮かばない…
「だからあの後蟲を身体から取り除いたの。最も、それだけでは蘇生は不可能だったけど。」
「そうだ…僕は何で…」
僕の身体はもうどうしようも無い程ボロボロになっていた筈だ…
「だから貴方は厳密に言うと別人よ、間桐慎二じゃない。」
「……は?」
話が読めないなんてレベルじゃない…いきなり話が飛躍した様な感じがした…
「肉体を別に用意して、こっちもボロボロの貴方の魂を修復して放り込んだの。さて、手間をかけて貴方を助けた恩をコレで追加ね。どう返してくれるのかしら?」
「はぁ!?僕はそんな事頼んだ覚えは「もうしちゃったもの。どう返してくれるのかしら?」っ!」
心底ムカつく笑顔をしたその女の顔を見ながら、僕はこいつのふざけた理屈からどうやって逃れるか必死で考えていた…