借りをいきなり返せ、と言われても今の僕には何も出来る事が無い…最も、僕の口座には金が入っていたから金なら出せる…そう思っていたら…
「その気になれば自分で稼げる私が、今更お金貰って満足するとでも?」
「じゃあどうしろって言うんだよ…大体、今の僕に他に何が出来るって言うんだ?」
仮に僕が死ぬ前のままだったら…何か出来無い事もなかった…でも…今の僕は…
「アンタが用意した肉体「あら?気に入らなかった?」いや…可笑しいだろ?ぬいぐるみってどういう事だよ…?」
そう…今、僕はテディベアになっているみたいだ…本当に意味が分からない。
「こんな僕にどうしろと「う~ん…そうね、私と宗一郎様の子供にでもなる?」…子供が動くテディベアなのは可笑しいだろ…?大体、新婚夫婦の邪魔する程空気の読めない奴じゃないつもりなんだけどね…」
「…そもそもね、魂のままだと何れはどうしてもこの世界から消えるから…だから間に合わせの身体に入れるしかないのよ…あ、ちなみに私の手作りよ?自信作なんだけど…どう?」
そう言われて意外と思い通りに稼働する足で歩き、部屋にある姿見に自分の姿を映す…
「……アンタ、もしかして結構不器用?」
まぁ…正直色々コメントに困る見た目なのは否めない。
「…仕方無いでしょ?魔術的な媒体として創ったらそうなったのよ…」
「そもそも…擬似的な魔術回路がこの身体に通ってるって言うのが一番可笑しいんだけどな…」
大した本数じゃないらしいが一応ある……何とまぁ…他の魔術師に見つかったらすぐにでも僕は追い出されて、奪われそうな…色々垂涎物の出来だ……ぬいぐるみとしての見た目は…子供に見られたら一瞬で泣かれそうな程、酷い姿だけどね。
「一応、坊やはその身体にいる間は魔術回路が有るし、魔術師を名乗れるわね。」
「まぁ…僕も知識だけは有るからね…普通に使えるとは思うよ。」
それ以上にあの蟲たちのお陰で実際に魔術を使った経験もある……あのジジイにも蟲にも…感謝なんてしてやるつもりは更々無いけど…
「で?こんな身体に僕を入れて…今更何をさせたいんだ?こんな身体じゃあ迂闊に外にも出られないぞ?」
「そうね…まぁ、先に言った通りで良いわ。」
「……僕にアンタたちの子供をやれと?本気で言ってるのか?」
「ええ、本気。」
「何で?それこそアンタにも葛木にも…何もメリットが無いだろ?」
「……気紛れみたいな物かしらね。」
「気紛れ?」
「実を言うと…坊やを助けたのも本当は大した理由がある訳じゃないのよ…寧ろ、何も無いと言えるわね。」
「じゃあ何か?…本当にアンタの気紛れで僕はここにいる訳か。」
「そうよ。でも、創ったからには簡単に手放す気も壊す気も無い。」
「だからアンタの子供、か。……ハァ…分かったよ。」
「何が分かったのかしら?」
「だから…葛木とアンタの子で良いって事だよ。…ま、何時までか知らないけど…これからしばらく宜しく。」
「ええ、宜しく。」